関節動作可能な接近シース及び使用方法
本発明は、体腔に内視鏡的に接近し、体腔内の標的組織に向かう方向付け経路をもたらす器具、システム、方法及びキットを提供する。方向付け経路は、接近シースを全体として標的組織に差し向けられた所望の形態で位置決めすることにより得られる。標的組織の存在場所及び所望のアプローチ角度に応じて、接近シースは、インターベンション器具を正しく差し向けるよう1つ以上のカーブを1つ以上の平面内に維持するようにすることが必要とされる。加うるに、接近シースは、シースを定位置に保持し、所望の形態を維持する係止手段を有する。次に、シースを通してインターベンション器具を標的組織に至らせるのがよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2001年6月27日に出願された同時係属米国特許出願第09/894,463号の優先権を主張した一部継続出願であり、この同時係属米国特許出願は、2000年4月7日に出願された同時係属米国特許出願第09/544,930号の一部継続出願であり、この同時係属米国特許出願は、37CFR§1.78(a)の規定に基づいて1990年4月9日に出願された先の米国仮特許出願第60/128,690号の権益主張出願であり、これら特許文献の全ての開示内容を参照によりここに引用する。本願は、米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号は、020489−001400US)、米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号は、020489−001500US)及び米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号は、020489−001700US)に関しており、これら米国特許出願は全て本願と同日に出願されており、これら特許文献の開示内容全体を参照によりここに引用する。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
【0002】
該当無し
コンパクトディスクに記録して提出された「シーケンスリスト」、表又は
コンピュータプログラムプログラミングリスト付録の参照
【0003】
該当無し
発明の背景
1.発明の分野
【0004】
本願は、体腔に管腔内的に接近し、インターベンション器具を挿通させて体腔内へ差し向ける接近シースに関する。特に、本発明は、インターベンション器具を所望の向きで体腔内へ差し向ける関節動作可能な接近シースに関する。幾つかの実施形態では、本発明は、血管を通って心房に接近してインターベンションカテーテルを心臓弁の方へ差し向けることに関する。
【0005】
遠隔地から人体内の標的場所に接近するためには、一般にカテーテルを1つ以上の体内管腔、例えば脈管系又は血管系中に通して標的場所に至らせる。血管系が用いられる場合、ガイドワイヤ及び拡張器を患者の体に設けた比較的小さい切開部を通して動脈又は静脈に挿入する。次に、ガイドワイヤ及び拡張器を患者の血管系中に通して所望の標的野に到達させる。拡張器がいったんシースで覆われると、これを拡張器と共に標的場所に至らせる。次に、拡張器を取り外し、シースを種々の医用器具が標的場所に接近するための導管として用いる。かかる器具としては、ちょっと挙げてみただけでも、カテーテル、手術器械、視覚化のための光ファイバケーブル、レーザ、電子機器、又は生理学的パラメータを現場でモニタできるセンサが挙げられる。かかる接近により伝統的な侵襲性手術の必要が軽減されるが、標的場所の近く、特に標的体腔内の器械の制御、操作及び位置決めに関する課題が生じる。
【0006】
体腔まで送り進められた器具は典型的には、これが入る角度をなして体腔内へ突き出ることになる。標的組織がこの経路内に存在していない場合、器具を標的組織に向かって操向する(かじ取りする)必要がある。2つ以上の器具が手技中に用いられる場合、各器具を操向し、用いられる場合には再位置決めする必要がある。これにより、手技の時間及び費用が増大すると共に位置合わせ不良の恐れが増大する。
【0007】
心臓の左心房への接近を可能にするため、カテーテル及び(又は)接近シースを大腿静脈に設けた穿刺部から下大静脈を通り、右心房内に動かし、そして心房内中隔に設けた穿刺部を通って左心房に至らせることができる。次に、この経路を用いて、左心房と左心室との間に位置する僧帽弁に接近することができる。心房内中隔を通る導入箇所から見て、僧帽弁は下に且つ右又は左に位置している場合があり、器具を僧帽弁に向かって下方に、恐らくは導入後側方に差し向けるよう挿入する必要がある。加うるに、インターベンション治療を僧帽弁に施すために利用される器具は、手技を行なうためには弁の交連部、又はリーフレット又は接合線との正確な位置合わせを必要とする場合がある。かかる手技において2つ以上の器械を用いることが必要なとき、各器具は、弁に関して正しく位置決めされているかどうかにかかっている。これには、位置決め又は操向機構を各器械に組み込む必要があり、各器械は、導入されると正しく位置決めされる必要がある。これにより、手技全体に費用、複雑さ及び時間が加わる。
【0008】
これら課題のうちの幾つかを解決するため、器械を挿通状態で差し向ける接近シースが開発された。例えば、遠位端部にあらかじめ付形されたカーブを有する接近シースが、患者の動脈又は静脈系中によく見掛けられるねじれ部及び側枝を通り抜けるのを助けると共にいったん標的空内に位置決めされると形状を維持するために開発された。あらかじめ付形されたカーブが製造時点で接近シース内に固定されているので、曲率半径及び湾曲の程度は一般に変更できない。解剖学的変化に起因して、接近シースの正確な曲率を求めるには大規模な事前手術計画が必要である。かかる特別仕立ては、とてつもなく複雑であり、予想曲率は、いったん体内に配置されると追加の再位置決めを依然と必要とする可能性が多い。正しい曲率を得ようとして予備付形接近カテーテルを連続的に交換するのは、費用が掛かり且つ時間が掛かり、場合によっては患者を別の危険にさらす。
【0009】
或る体内管腔、特に血管系の曲がりくねった経路を通って一層効果的にナビゲートする操向性案内カテーテル及び運搬カテーテルが開発された。典型的には、操向は、カテーテルの近位端部にトルクを加えることと種々のプルワイヤを引いてカテーテルの遠位端部を撓ませることの組み合わせにより達成される。残念なことに、トルク伝達は、かかる操向性カテーテルでは完璧ではなかった。近位制御端部と遠位先端部との間のカテーテル本体の長さに起因して、カテーテルの近位端部がねじれて遠位先端部を回転させるときにねじれが堆積する傾向が生じがちである。蓄積したねじりモーメントは、不均一に解き放たれる場合があり、結果的に血管内部で遠位先端部のスキップ動作又は急回転が生じる。トルク伝達を最適にするために、かかる操向性カテーテルの壁は一般に、一連の層から成っている。典型的な操向性カテーテルでは、織り金属又はポリマー管状編組体が内側管状スリーブと外側管状ジャケットの間にサンドイッチされる場合がある。その結果、トルク性の向上が得られ、一般にその結果として肉厚が増大し、それにより操向性カテーテルの外径が増大し又は所与の所望内径が減少する。加うるに、かかる大掛かりな編組構造は、プルワイヤを作動させても撓むのが困難な場合が多い。これを解決するため、コイル又は軟質ポリマーを用いて撓むことができる区分を軟らかくしてかかる区分が一層大幅に撓ませることができる。しかしながら、これにより、カテーテルがトルクをこの軟質区分に伝達し又はこの軟質区分を通って伝達する能力が低下する。加うるに、これら軟質区分は、後でその内側ルーメン中に通されるインターベンション器具又はツールに適度の支持作用をもたらさない場合がある。
【0010】
これらの理由で、永続的な予備付形又は所望の向きで標的体腔内に接近シースを位置決めするためのトルク伝達を利用しない関節動作可能な遠位端部を有する接近シースを提供することが望ましい。関節動作可能な接近シースは、種々のインターベンション器具の通過に対応する大きなルーメン直径を有するべきであり、きついカーブ周りに曲げられてもシースのキンク又は潰れを回避する上で良好な壁体強度を有するべきであり、しかも、インターベンション器具をルーメンに通したときの変形を回避する上で良好な柱強度及び引っ張り強度を有するべきである。シース関節動作機構は、シースの遠位端部のところに高度の制御撓みをもたらすべきであるが、インターベンション器具の通過を可能にするためにそれほどルーメン面積を占めるべきではない。さらに、接近シースは、複合カーブ、例えば2つ以上の平面内に湾曲部を形成できるような仕方で関節動作できるべきである。かかる操作により、同一タイプの体腔内の解剖学的変化に対応し且つ種々のタイプの体腔に用いられるよう遠位端部に対する微調整が可能であるべきである。
【背景技術】
【0011】
2.背景技術の説明
ハーマン等(米国特許第5,843,031号明細書)は、止血弁及び取り外し可能な操向機構を備えた大径イントロデューサシースを記載している。操向機構は、位置決めの際にシース内に位置決めされ、次に取り外される栓子内に位置するものとして記載されている。アダー(米国特許第5,325,845号明細書)は、関節動作を可能にするよう変形可能な関節動作部材を有する操向性シースを記載している。コージス(米国特許第5,636,634号明細書)は、別個の専用操向性カテーテルにより位置決めされるシースを記載している。
【0012】
多くの技術文献は、それ自体ワイヤにより操向可能なガイドワイヤ又はカテーテルに関する。例えば、スチーブンス−ライト等(米国特許第5,462,527号明細書)は、張力を選択的に2本又は4本のプルケーブルに与えて取付け状態のカテーテルを操向する取っ手を記載している。スチーブンス−ライト等(米国特許第5,715,817号明細書)は、スチーブンス−ライト等の米国特許第5,462,527号明細書に記載されたカテーテルの先端部を作動させる技術において改良例を更に記載している。
【0013】
ハンマースラグ(米国特許第5,108,368号明細書)は、操向可能なガイドワイヤ又はカテーテルを記載しており、かかるガイドワイヤ又はカテーテルでは、先端部は、かかるガイドワイヤ又はカテーテルを貫通して延びる軸方向に動くことができる撓みワイヤにより360°の動作範囲にわたりぐるりと撓むことができる。ハンマースラグ(米国特許第5,820,592号明細書)は、トルク制御ワイヤ又は撓みワイヤを挿通させた案内カテーテルを記載している。アクチュエータを操作することにより、ワイヤが制御されて案内ワイヤを操行し又はその狙いを定める。サベージ(米国特許第5,368,564号明細書)及びサベージ等(米国特許第5,507,725号明細書)も又、先端部を操作するためにカテーテル壁を貫通して延びるワイヤ部材を備えた操向性カテーテルを記載している。
【0014】
同様に、以下の特許文献も又、操作可能にワイヤを利用した操向性カテーテルの変形例を提供しており、かかる特許文献としては、アシサーノ・サード(米国特許第5,571,085号明細書)、クロータ(米国特許第5,359,994号明細書)、ウエスト等(米国特許第5,318,525号明細書)、ナルデオ(米国特許出願公開第2001/0037084号明細書)、バンバロー(米国特許第6,267,746号明細書)、ウェブスター・ジュニア(米国特許第6,123,699号明細書)、ランドクイスト等(米国特許第5,195,968号明細書)及びランドクイスト等(米国特許第6,033,378号明細書)が挙げられる。ファルウェル等(米国特許第6,319,250号明細書)は、当該技術分野において知られている任意適当な操向機構を備えたカテーテルを記載している。
【発明の開示】
【0015】
発明の概要
本発明は、体腔に内視鏡的に接近し、体腔内の標的組織に向かって方向付けられた経路を提供する器具、システム、方法及びキットを提供する。方向付けられた経路は、接近シースを所望の形態に位置決めし、一般的に標的組織の方へ差し向けることにより得られる。次に、インターベンション器具をシースに通して標的部位に至らせることができる。標的組織の存在場所及び所望のアプローチ角に応じて、接近シースは、インターベンション器具を正しく差し向けるよう1つ以上の平面内に1つ以上のカーブを維持することが必要とされる場合がある。本発明の接近シースは、シースがこれら曲率を形成できるよう一連の関節動作部材から成る一部を有している。加うるに、接近シースは、関節動作部材を定位置に保持し、所望の形態を維持する係止手段を有する。関節動作部材をシース内に設けられた関節動作機構、例えば、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通したプルワイヤによって位置決めできる。或いは、関節動作可能な栓子をシース内に位置決めしてもよく、この場合、栓子の関節動作により、包封状態のシースが所望の関節動作位置に動く。次に栓子を取り外すと、シースは、関節動作位置に位置したままになる。かくして、本発明により、標的組織に操向機構を各インターベンション器具に組み込む必要なく又は各インターベンション器具を使用時に再位置決めする追加の時間を費やす必要なく、接近シースから繰り返し接近できる。
【0016】
本発明の第1の特徴では、体腔に接近するための関節動作可能な接近シースが提供される。接近シースは、シャフトを有し、シャフトは、近位端部、遠位端部及びこれを貫通した中央ルーメンを有する。遠位端部は、体腔に接近する意図した方法に適するよう寸法決めされている。体腔に腹腔鏡下で、胸腔鏡下で、内視鏡下で、血管内的に、経皮的に又は任意適当な適当な手段で接近できる。好ましくは、接近シースの遠位端部は、体内管腔、例えば血管系内の血管に通すことができる。これは、心臓の腔(心室及び心房)に接近する場合には特にそうであり、これは、大腿静脈及び下大静脈又は上大静脈を通って右心房に接近でき又は大腿動脈又は腋窩動脈及び大動脈を通って左心室に接近できる。遠位端部は、更に、右心房から左心房に動くことができるよう心房内中隔を穿刺するよう構成されたものであるのがよい。器具を挿通位置決めできる他の体内管腔としては、胃に接近するための食道、胃腸系に接近するための結腸、肺に接近するための気管又は尿路に接近するための尿管が挙げられる。他の場合では、接近シースの遠位端部は、例えば心臓に対する直接接近手技では体組織を直接通過できる。接近シースを胸壁に設けた穿刺部内に位置決めし、この接近シースを用いて心臓の外部に接近して診断及びインターベンション手技、例えば心房細動を治療するための肺静脈のアブレーションを行なうことができる。変形例として、シースを心臓の壁に通してその内部室に接近してもよい。中央ルーメンは、シャフトの長さにわたって延び、例えば弁修復、電気生理学的マッピング及びアブレーション並びに中隔欠損修復のような手技を行なうようインターベンション器具、例えばカテーテル又はツールを通すことができるよう寸法決めされている。種々のインターベンション器具に対応するため、中央ルーメンは一般に、シャフトの断面全体と比較して比較的大きい。
【0017】
シャフトは、一連の関節動作部材から成る一部を更に有する。関節動作部材は、任意適当な形状のものであってよいが、好ましい実施形態では、関節動作部材は、相互に嵌合するドーム付きリングから成る。リングの特徴により、中空ルーメンを形成する中空内部が得られる。ドームの特徴により、隣りのドーム付きリングの相互嵌合面に対して回転可能な表面が得られる。ドーム付きリングは個々に回転可能なので、一連の関節動作部材を任意の経路を辿るよう種々の配列状態で位置決めできる。代表的には、一連の関節動作部材から成るシャフトの部分は、遠位端部である。これは、遠位端部が通常体腔内に送り進められ、挿通されるインターベンション器具を正しく方向付ける関節動作の恩恵を受けるからである。しかしながら、関節動作部分をシャフトに沿う任意の場所に設けてもよく、そして一連の関節動作部材を有する2つ以上の部分を設けてもよいことは理解できよう。
【0018】
幾つかの実施形態では、シースは、関節動作部材を関節動作させる少なくとも1本のプルワイヤを有する。プルワイヤは、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して関節動作部材を有するシャフトの部分を関節動作位置に動かす。プルワイヤは、中央ルーメンを通り又は関節動作部材の壁に設けられた個々のルーメンを貫通することができる。理解できるように、2本以上のプルワイヤが任意所与のルーメンを貫通してもよい。シャフトの最適な位置決めを可能にするため、複数本のプルワイヤが、中央ルーメンの周囲周りの幾つかの場所に設けられている。各プルワイヤが設けられていることにより、プルワイヤの方向におけるシャフトの関節動作が可能である。例えば、シャフトの一方の側部に沿って延びるプルワイヤを引き又はこれに張力を与えると、シャフトは、曲がり、弓形になり又はその側部に向かって曲率(湾曲)を生じさせる。次にシャフトを真っ直ぐにするためには、はね返り効果を得るために張力を除くのがよく、又は張力をシャフトの反対側の側部に沿って延びるプルワイヤに与えるのがよい。したがって、プルワイヤをシャフトの両側に沿って対称に配置するのがよい。任意の本数のプルワイヤが可能であるが、一般に、4本〜8本のプルワイヤが好ましい。
【0019】
各プルワイヤは、張力がプルワイヤに与えられたときに結果的にシャフトの特定の曲率をもたらすよう選択された場所でシャフトに取り付けられる。例えば、プルワイヤが一連の関節動作部材中の最も遠位側の関節動作部材に取り付けられている場合、張力をプルワイヤに与えることにより、プルワイヤの経路に沿う取付け箇所の近位側の関節動作部材が圧縮される。この結果、曲率又は湾曲部が取付け箇所の近位側のプルワイヤの方向に生じる。理解できるように、プルワイヤをシャフトに沿う任意の場所に取り付けてもよく、これは関節動作部材への取り付けには限定されない。
【0020】
2つ以上の曲率が望ましいとき、プルワイヤは、種々の取付け箇所で取り付けられ、各取付け箇所は、シースの互いに異なる曲率をもたらし又はその全体的な関節動作位置を変更する。例えば、第1のプルワイヤが一次取付け箇所のところでシャフトにしっかりと取り付けられているとき、張力を第1のプルワイヤに与えると、一次取付け箇所の近位箇所の一連の関節動作部材が弓形になり、一次カーブが形成される。遠位端部が遠位先端部で終端し、一次取付け箇所が遠位先端部のところに設けられている場合、一次カーブは、一連の関節動作部材全体にわたって延びる。一次取付け箇所が一連の関節動作部材に沿う中間に配置されている場合、一次カーブは、一次取付け箇所の近位側の一連の関節動作部材にわたって延びる。第2のプルワイヤが二次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられているとき、張力を第2のプルワイヤに与えると、二次取付け箇所の近位側の一連の関節動作部材が弓形になり、二次カーブが形成される。一次カーブ及び二次カーブは、同一平面内に位置してもよく、或いは互いに異なる平面内に位置してもよい。幾つかの実施形態では、これら平面は、実質的に互いに直交している。
【0021】
幾つかの実施形態では、第3のプルワイヤが、遠位取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられ、張力を第3のプルワイヤに与えると、遠位端部が角度シータ動く。特に、遠位取付け箇所が遠位先端部の近くに設けられているとき、第3のプルワイヤは、遠位先端部を角度シータ動かす。角度シータについては後の明細書部分において詳細に記載すると共に説明する。しかしながら、角度シータは一般に、中心線に対して遠位先端部を傾け又はこれに角度を付けてシースの関節動作位置を更によくする。角度シータは、少なくとも一次カーブ又は二次カーブ、場合によってはこれら両方のカーブとは異なる平面内に位置する場合が多い。事実、角度シータは、一次カーブと二次カーブの両方に直角な平面内に位置するのがよい。
【0022】
取っ手上に設けられたアクチュエータを操作することにより張力がプルワイヤに与えられる。取っ手は、関節動作可能な接近シースの近位端部に連結され、人体の外部に位置したままである。アクチュエータは、任意適当な形態のものであってよく、かかる形態としては、ちょっと挙げただけでも、ボタン、レバー、ノブ、スイッチ、トグル、ダイアル又はサムホイール(指動輪)が挙げられる。各アクチュエータは、張力を個々のプルワイヤ又は1組のプルワイヤに与えることができ、又は関節動作要素をそのタイプに応じて作動させることができる。一般に、各曲率、例えば一次曲率及び二次曲率を形成し、角度シータにわたる運動を生じさせるために互いに異なるアクチュエータが用いられる。取っ手は、係止機構を作動させる係止アクチュエータを更に有するのがよい。
【0023】
係止により、関節動作部材は、関節動作位置に保持される。かかる係止により、シースは、インターベンション器具を挿通させた状態で関節動作位置に維持される。シースは、非操向性インターベンション器具をその中央ルーメン中で撓めさせて案内すると共にインターベンション器具を体腔、特に体腔内の標的組織に差し向けるのに十分な剛性を保持する。幾つかの実施形態では、係止手段は、関節動作部材相互間の十分な摩擦力から成り、これら関節動作部材は、1つの関節部材と別の関節部材との間の摩擦の作用又は関節動作部材相互間の摩擦要素の存在により定位置に保持される。他の実施形態では、係止手段は、プルワイヤのうちの少なくとも1本を張力付与状態に保持する機構を含む係止機構から成る。上述したように、張力をプルワイヤに与えることにより、代表的には、関節動作部材の一部が互いに引かれ、カーブが形成される。プルワイヤをこの張力付与状態に保持することにより、関節動作部材は、この配置状態を維持できる場合が多い。これよりも多い本数のプルワイヤを定位置に保持することにより、この配置状態を維持する能力が増大する。したがって、係止機構によっては、プルワイヤの全てを張力付与状態に保持するものがある。個々のプルワイヤが一連の関節動作部材の個々の部分を制御するとき、これら部分は、適当なプルワイヤの張力を保持することにより個々に係止できる。これは、例えば所望の一次カーブが作られ、二次カーブが企てられているときに有用な場合がある。一次カーブを二次カーブを作る前に定位置に係止するのがよく、それにより各カーブを別個独立に形成できる。
【0024】
ほんの数タイプのカーブを関節動作位置と関連して説明するに過ぎないが、理解できるように、一連の関節動作部材全体を通じて任意の個数のカーブ又は形状を形成することができる。加うるに、一連の関節動作部材から成るシャフトの部分全体にわたり永続的なカーブを設けてもよい。かかる永続的なカーブは、関節動作部材の形状、関節動作部材を互いに配置し又は嵌合する仕方、或いは任意他の機構の結果である場合がある。さらに、一連の関節動作部材から成るシャフトの部分とは異なるシャフトの部分全体にわたり任意の個数のカーブ又は形状をあらかじめ成形してもよい。さらに、変形例としての関節動作要素、例えば、ちょっと挙げてみただけでもプッシュロッド、熱制御形状記憶合金ワイヤ、油圧流体又は空気圧流体を用いてもよい。
【0025】
本発明の第2の特徴では、体腔に接近するための接近システムが提供される。接近システムは、シャフトを含むシースを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及びこれを貫通した中央ルーメンを有する。この場合も又、遠位端部は、体腔に接近する意図した方法に適するよう寸法決めされている。さらに、シャフトの一部は、固定位置に係止できる一連の関節動作部材から成る。接近システムは、中央ルーメンを通ることができるよう寸法決めされた栓子及び栓子を関節動作させる手段を更に有する。栓子の作動により、シースの関節動作部材は、係止時に固定位置になる関節動作位置に位置決めされる。次に、栓子を取り外してインターベンション器具を挿通させることができるようにする。
【0026】
一連の関節動作部材から成るシャフトの部分は、関節動作可能な接近シースに関して上述したのと同一又は類似したものであるのがよい。この場合も又、好ましい実施形態では、関節動作部材は、相互に嵌合するドーム付きリングから成り、各ドーム付きリングは、隣りのドーム付きリングに対して別個独立に回転可能である。さらに、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通するプルワイヤを設けるのがよい。しかしながら、この実施形態では、プルワイヤは、関節動作部材を位置決めするために用いられるわけではなく、これとは異なり、プルワイヤは、関節動作部材を固定位置に係止するために用いられる。幾つかの実施形態では、プルワイヤは、関節動作部材を固定位置に保持し又は係止するのに十分な摩擦力で関節動作部材を互いに接触状態に保持する。他の実施形態では、張力をプルワイヤの幾つか又は全てに与えて関節動作部材を一緒に更にくさび止めし、したがってこれらを定位置に係止するのがよい。
【0027】
関節動作部材を栓子の作用により関節動作位置に動かす。栓子をシャフトの中央ルーメン内にいったん配置すると、栓子を任意の配置状態に動かすことができる。例えば、栓子は、曲げ部、弓形部、カーブ又はアングル(山形部)を有するよう付形できる。かかる付形は、任意適当な機構により達成でき、かかる機構としては、関節動作可能な接近シースを関節動作させることと関連して上述したプルワイヤと同様に作用するプルワイヤが挙げられる。栓子の付形により力が中央ルーメンに加えられ、付形がその周囲のシースに伝えられる。この場合も又、関節動作位置は、任意の数のカーブを含むことができ、かかるカーブとしては、ちょっと挙げてみただけでも、一次カーブ、二次カーブ又は角度シータが挙げられる。さらに、これらカーブは、同一の平面又は互いに異なる平面内に位置することができる。
【0028】
栓子の関節動作は、栓子取っ手上に配置されたアクチュエータの操作により達成できる。栓子取っ手は、栓子の近位端部に連結され、人体の外部に位置したままである。アクチュエータは、任意適当な形態のものであってよく、かかる形態としては、ちょっと挙げただけでも、ボタン、レバー、ノブ、スイッチ、トグル、ダイアル又はサムホイール(指動輪)が挙げられる。各アクチュエータは、張力を個々のプルワイヤ又は1組のプルワイヤに与えることができ、又は関節動作要素をそのタイプに応じて作動させることができる。一般に、各曲率、例えば一次曲率及び二次曲率を形成し、角度シータにわたる運動を生じさせるために互いに異なるアクチュエータが用いられる。栓子取っ手は、栓子係止機構を作動させる栓子係止アクチュエータを更に有するのがよい。
【0029】
栓子係止機構は、栓子を関節動作位置に係止する。かかる係止により、栓子は、次にシースを定位置に係止した状態で関節動作位置に維持される。幾つかの実施形態では、栓子とシースの間の両方の係止機構は、プルワイヤのうちの少なくとも1本を張力付与状態に保持する機構を含む。係止機構の中には、プルワイヤの全てを張力付与状態に保持するものがある。個々のプルワイヤが栓子又は一連の関節動作部材の個々の部分に影響を及ぼすとき、適当なプルワイヤの張力を保持することによりこれら部分を個々に係止することができる。
【0030】
この場合も又、ほんの数タイプのカーブを関節動作位置と関連して説明するに過ぎないが、理解できるように、一連の関節動作部材全体を通じて任意の個数のカーブ又は形状を形成することができる。加うるに、永続的なカーブも又、例えば熱硬化により栓子全体にわたりあらかじめ設定することもできる。次に、又、これら永続的なカーブは周りのシースに伝えられることになる。
【0031】
シースを定位置に係止した後、次に栓子を解除して取り外すのがよい。また、栓子が永続的な熱硬化カーブを有している場合、係止状態のシースは、シースの形状を変えることなく、あらかじめカーブが設けられた栓子の取り外しを可能にするほど十分剛性がある。シースは又、非操向性インターベンション器具をその中央ルーメン中で撓めさせて案内すると共にインターベンション器具を体腔、特に体腔内の標的組織に差し向けるのに十分な剛性を保持する。
【0032】
他の実施形態では、栓子は、単一のカーブを形成するに過ぎない場合があるが、シースに複合カーブ又は多数のカーブを形成するよう使用できる。例えば、栓子をシースに沿う第1の場所に位置決めし、それにより一次カーブを形成することができる。次に、シースを定位置としてのこの第1の場所に係止して一次カーブを保持する。次に、栓子をシースに沿う第2の場所に位置決めし、それにより二次カーブを形成することができる。同様に、次にシースを第2の場所に係止して二次カーブを保持する。それ故、単一のカーブを形成することができる栓子から多数のカーブ又は複合カーブを形成することができる。この技術的思想は、たった1つのカーブよりも多い数のカーブを形成できるが、より複雑な又はより多い数のカーブをシースに形成するよう用いられる栓子に及ぶよう拡張できる。
【0033】
本発明の第3の特徴では、体腔に接近する方法が提供される。一実施形態では、この方法は、体内管腔を通って体腔までシースを前進させる段階を含み、シースは、シャフトを有し、シャフトは、近位端部、遠位端部、これを貫通した中央ルーメンを有し、シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成る。シースを用いて任意の経路を介し、例えば、腹腔鏡下、胸腔鏡下、内視鏡下、血管内的に又は経皮的に任意の体腔に接近できるが、シースは特に、心臓の1つ以上の室に接近するよう使用できる。心臓の腔は、治療のための標的となり得る多くの組織、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、弁、腱索、乳頭筋、プルキンエ系、肺静脈及び冠動脈への接近を可能にする。僧帽弁を標的にする場合、左心房に接近して上から弁に近づくのがよい。これを達成するため、血管系を通ってシースを右心房まで前進させ、心房内中隔を通って左心房に至らせるのがよい。次に、関節動作部材を関節動作させて一連の関節動作部材から成るシャフトの部分を関節動作位置に動かす。理解できるように、変形例として、僧帽弁に下から又は左心室に接近することにより心室側から近づいてもよい。これは代表的には、血管系を通ってシースを大動脈まで前進させ、そして大動脈弁を通って左心室内へ送り進めることにより達成される。このアプローチの例及び他のアプローチ方法は、2001年6月27日に出願された米国特許出願第09/894463号(代理人事件番号:020489−000400US)明細書に記載されており、この特許文献の記載内容を全ての目的について参照により引用する。さらに別の方式では、接近シースを、心臓の腔に接近するために胸壁に設けられた外科的穿刺部を通り、そして心臓の壁に設けられた穿刺部を通って位置決めするのがよい。好ましくは、僧帽弁及び心臓の左側の他の手技に関し、接近シースを右心房内に導入し、次に心房内中隔を横切って左心房内へ前進させる。
【0034】
上述したように、関節動作位置は、シースを標的組織の方へ正しく差し向ける任意の個数のカーブ又は形状を含むのがよい。右心房を経由して僧帽弁を標的にする場合、シースの遠位端部は、右心房の開口空間内へ延びる。シースの遠位先端部を僧帽弁の方へ差し向けるため、シースを関節動作させて遠位先端部を、数例を挙げると、側方に、上下に又は斜めに動かすのがよい。例えば、関節動作位置は、弁表面に平行な一次平面内に位置する一次カーブを含むのがよい。これにより、遠位先端部は弁に関して側方に動く。関節動作位置は、二次平面内に位置する二次カーブを更に含むのがよく、代表的には、二次平面は、一次平面とは異なり、任意的に、一次平面に実質的に直角である。これにより、遠位先端部は、上下に、そして斜めに動き、中央ルーメンを二次平面に沿って弁に近づく方へ又は弁から遠ざかる方向へ差し向ける。これらのカーブ又は追加のカーブに加えて、関節動作位置は、角度シータを更に含むのがよい。これにより、遠位先端部を二次平面とは異なる平面内で上下に、そして斜めに動く。その結果、中央ルーメンを弁に近づく方へ又はこれから遠ざかる方へ差し向けることができ、シータ平面は、二次平面とは異なり、任意的に1次平面とも異なる。
【0035】
関節動作部材を関節動作させることは、上述した手段のうちの任意のものによって達成できる。例えば、シースは、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通する少なくとも1本のプルワイヤを更に有するのがよい。かくして、張力をこの少なくとも1本のプルワイヤに与えることにより、関節動作部材は関節動作することになる。関節動作部材を所望の関節動作位置にいったん動かすと、関節動作部材は、定位置に係止される。関節動作部材を係止する段階は、係止機構により少なくとも1本のプルワイヤの張力を保持する段階を含むのがよい。上述したように、係止は、プルワイヤの全ての張力を保持することにより達成できる。
【0036】
シースを関節動作位置にいったん係止すると、次に、インターベンション器具を中央ルーメン中へ通し、この場合、関節動作位置は、インターベンション器具を体腔内へ差し向ける。この例では、インターベンションカテーテル又はツールを、中央ルーメンを通って左心房内へ動かし、そして僧帽弁の方に差し向ける。シースの取る方向により、インターベンション器具を、リーフレット相互間で弁を通って前進させるのがよいが、このようにするかどうかは任意である。次に、所望の外科手技を行なうのがよい。追加のカテーテル又はツールが必要な場合、シースが関節動作位置に位置したままの状態で、1つの器具を取り外し、別の器具を前進させることにより器具を容易に交換できる。
【0037】
別の実施形態では、この方法は、体内管腔を通って体腔までシースを前進させる段階を含み、この場合、シースは、シャフトを有し、シャフトは、近位端部、遠位端部、これを貫通した中央ルーメンを有し、シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成る。しかしながら、この実施形態では、この方法は、栓子を中央ルーメン中へ通す段階と、栓子を関節動作させて関節動作部材を関節動作位置に位置決めする段階を含む。栓子を上述した手段のうちの任意のものによって関節動作させることができる。次に、関節動作部材を関節動作位置に係止し、栓子を取り外してインターベンション器具が中央ルーメン中へ通ることができるようにし、関節動作位置は、インターベンション器具を体腔内へ差し向ける。 本発明の第4の特徴では、本発明の器具、システム及び方法は、かかる使用のための1個以上のキット内に提供できる。キットは、接近シース及び使用説明書を有するのがよい。接近シースは、シース内に組み込まれた機構によって関節動作可能であり、又はキットは、シースを関節動作させる際に用いられる関節動作可能な栓子を有するのがよい。かかるキットは、本発明と関連して説明した他のシステムコンポーネントのうちの任意のもの及び本発明に適した任意他の材料又はアイテムを更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0038】
本発明の他の目的及び利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
発明の詳細な説明
関節動作可能な接近シース
図1を参照すると、本発明の関節動作可能な接近シース10の実施形態が示されている。シース10は、近位端部12、遠位端部14及び貫通した中央ルーメン16を備えたシャフト11を有する。遠位端部14は、体内管腔を通って体腔まで至ることができるよう寸法決めされている。したがって、遠位端部14は好ましくは、外径が約0.040インチ〜0.500インチ、より好ましくは0.130インチ〜0.300インチである(なお、1インチは、約2.54cm)。中央ルーメン16は、インターベンション器具を通すことができるよう寸法決めされている。したがって、中央ルーメン16は好ましくは、内径が約0.030インチ〜0.450インチ、より好ましくは0.120インチ〜0.250インチである。加うるに、シャフト11の一部は、一連の関節動作部材18で構成されている。この実施形態では、関節動作部材18は、シャフト11の遠位端部14のところに設けられ、遠位先端部15で終端するものとして示されている。この場合、関節動作部材18は、シース10の最も遠位側へ1〜10cmにわたって延びている。しかしながら、関節動作部材18をシースに沿う任意の場所に設けてもよいことは理解できよう。例えば、真っ直ぐな又は非関節動作部分が遠位端部14の近くに存在することが望ましい場合、関節動作部材18をより近位側の位置に設けてもよい。
【0040】
関節動作部材18を備えたシャフト11の部分は、1つ以上の位置決め機構の作動により関節動作位置まで動くことができる。位置決め機構の作動は、取っ手20に設けられたアクチュエータ、例えばアクチュエータ22,24,26を用いることにより達成される。取っ手20は、シャフト11の近位端部12に連結されていて、使用中、患者の体外に位置したままである。アクチュエータ22,24,26は、関節動作部材18を有するシャフト11の部分を曲げ、弓形にし又は形作り直すために用いられる。例えば、一次カーブアクチュエータ22を用いると、1本以上のプルワイヤ(引きワイヤ)を作動させて一連の関節動作部材18から成るシャフト11の部分に一次カーブを形成することができる。さらに、二次カーブアクチュエータ24を用いると、一連の関節動作部材18から成るシャフト11の部分に二次カーブを形成することができる。さらに、シータアクチュエータ26を操作すると、遠位先端部15を角度シータ動かすことができる。加うるに、係止アクチュエータ28を用いると、係止機構を作動させて関節動作部材18を関節動作位置に係止することができる。アクチュエータ22,24,26は、サムホイール(指動輪)として示され、アクチュエータ28は、回転ノブとして示されている。かかるアクチュエータ22,24,26,28及び取っ手20に設けられた任意追加のアクチュエータは、ノブ、ボタン、レバー、スイッチ、トグル、センサ又は他の器具を含む任意適当な形態を取り得ることは理解されよう。加うるに、取っ手20は、上方、例えばシース10の関節動作位置を指示する数値又は図形表示装置を有するのがよい。
【0041】
例示としての関節動作位置
図2A〜図2Dは、接近シース10の関節動作部材18が取ることができる関節動作位置の例を示している。図2Aを参照すると、関節動作部材18は、一次カーブ40を含む関節動作位置に動くことができるよう構成されている。一次カーブ40は代表的には、約0.125インチ〜1.000インチ、好ましくは約0.250インチ〜0.500インチの曲率半径42を有する。図示のように、関節動作位置が一次カーブ40のみを有する場合、関節動作部材18は、単一の平面X内に位置する。遠位先端部15のところで中央ルーメン16の中心を通る軸線xは、平面X内に位置する。
【0042】
図2Bを参照すると、関節動作部材18は、更に、関節動作位置が二次カーブ46を更に含むよう構成されたものであるのがよい。二次カーブ46は代表的には、約0.050インチ〜0.750インチ、好ましくは約0.125インチ〜0.250インチの曲率半径48を有する。二次カーブ46は、一次カーブ40と同一の平面、即ち、平面X内に位置してもよく、或いは、これとは異なる平面、図示のように平面Z内に位置してもよい。この例では、平面Zは、平面Xに実質的に直角である。遠位先端部15のところで中央ルーメン16の中心を通る軸線zは、平面Z内に位置する。軸線xと軸線zを比較することにより、遠位先端部15の運動を比較することができる。二次カーブ46を含むよう関節動作部材18を調節することにより、中央ルーメン16は、軸線xに沿って図示のように下方に差し向けられる。この例では、軸線xと軸線zは、互いに実質的に90°の角度をなすが、軸線xと軸線zは、互いに対して任意の角度をなしてもよいことは理解されよう。また、この例では、一次カーブ40と二次カーブ46は、互いに異なる表面、具体的には実質的に直交した平面内に位置しているが、変形例として、カーブ40,46は、同一平面内に位置してもよい。
【0043】
次に図2Cを参照すると、関節動作部材18は、更に、遠位先端部15が角度シータ50動くことができるよう操作できる。角度シータ50は、約−100°〜+100°、好ましくは約−50°〜+50°である。図示のように、角度シータ50は、平面Y内に位置する。特に、遠位先端部のところで中央ルーメン16の中心を通って延びる軸線yは、軸線zと角度シータ50をなす。この例では、平面Yは、平面Xと平面Zの両方に直角である。軸線x,y,zは全て、中央ルーメン16内の一点で交差しており、この一点は又、平面X,Y,Zの交線と一致している。
【0044】
これと同様に、図2Dは、軸線Zの反対側における角度シータ50にわたる遠位先端部の運動を示している。この場合も又、角度シータ50は、軸線zから、遠位先端部15のところで中央ルーメン16の中心を通って延びる軸線yまで測定されている。図示のように、角度シータ50は、平面Y内に位置している。かくして、一次カーブ40、二次カーブ46及び角度シータ50は全て、互いに異なる平面、任意的に互いに直交した平面内に位置するのがよい。しかしながら、一次カーブ40、二次カーブ46及び角度シータ50の存在平面は、相互に依存的であってよく、したがって、これらの幾つかが同一平面内に位置してもよいことは理解されよう。
【0045】
さらに、関節動作部材18は、追加のカーブ又は形状をもたらすよう構成されたものであるのがよい。例えば、図3に示すように、関節動作部材18により、一次カーブ40、二次カーブ46及び角度シータ50の近位側に追加のカーブ54を形成することができる。かかる追加のカーブ54は、取っ手20に設けられたアクチュエータを操作することにより関節動作部材18によって形成でき、或いは、カーブ54は、永続的にあらかじめ形成されたものであってもよい。これと同様に、任意の数のカーブ又は形状を一連の関節動作部材18を有するシースの部分以外のシースの部分全体にわたってあらかじめ形成してもよい。加うるに又は変形例として、予備形成部分を、一連の関節動作部材18を有するシースの部分と、例えば交互のパターンで混在させてもよい。かくして、任意の数のカーブを接近シース10に形成して関節動作位置を形成することができる。
【0046】
図2A〜図2D及び図3に示す接近シース10の関節動作位置は、僧帽弁に接近するのに特に有用である。図4A〜図4Cは、接近シース10を用いて僧帽弁MVに接近する方法を示している。僧帽弁に接近するために、接近シース10を大腿静脈に設けた穿刺部から下大静脈を通って右心房に動かすのがよい。図4Aに示すように、接近シース10を心房内中隔S内の窩Fに刺入するのがよい。次に、接近シース10を窩F中へ前進させて遠位先端部15が僧帽弁MV上に差し向けられるようにする。この場合も又、理解されるように、このアプローチは、単なる一例として役立つに過ぎず、他のアプローチ、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、頸動脈からのアプローチ、大腿動脈からのアプローチ、ポートアクセス又は直接アクセス方式を利用することができる。
【0047】
次に、遠位先端部15を動かしたり傾けたりして中央ルーメン16が標的組織、この場合僧帽弁MVの方へ差し向けられるようにすることが望ましい。特に、中央ルーメン16は、僧帽弁MVの特定の領域、例えば弁リーフレットLF相互間の開口部60の方へ差し向けられて特定のインターベンション手技を実施できるようにすべきである。一次カーブ40を上述したように一連の関節動作部材18で形成することができる。この例では、一次カーブ40を形成することにより、遠位先端部15は、弁表面に平行な上述の平面Xに相当する一次平面内に動かされる。これにより、遠位先端部15は、僧帽弁MVの短軸に沿って側方に動くと共に遠位先端部15を開口部60の上方で心出しすることができる。この関節動作位置では、中央ルーメン16に通された任意のインターベンション器具は、僧帽弁MV上で水平に差し向けられる。カテーテル又はツールを開口部60内へ差し向けるためには、遠位先端部15を僧帽弁MVに向かって下方に差し向けることが必要である。
【0048】
図4Bを参照すると、接近シース10は、上述の平面Zに相当する二次平面内に二次カーブ46を有する関節動作位置にある状態で示されている。二次カーブ46を形成することにより、遠位先端部15は交連部C相互間で垂直に且つ斜めに動き、中央ルーメン16が僧帽弁MVの方へ差し向けられる。この関節動作位置では、中央ルーメン16に通されたインターベンション器具は開口部60の方へ且つ(或いは)これを通って差し向けられる。一次カーブ40及び二次カーブ46は、僧帽弁MVの種々の解剖学的変化及び種々の外科手技に対応するよう変えることができるが、接近シース10の正しい位置決めのためにはこれら2つの曲率を超える調整が別途望ましい場合がある。
【0049】
かくして、接近シース10は、関節動作部材18全体にわたり追加の曲率を有するのがよいと共に(或いは)遠位先端部15が角度シータ50にわたり角度的に動くことができるようになっているのがよい。これにより、遠位先端部は、上述の平面Yに相当するシータ平面を通って垂直に及び斜めに動く。いずれかの方向における角度シータ50にわたる遠位先端部15の運動が、図4Bに破線で示されている。その結果、中央ルーメン16を二次平面とは異なる平面内で僧帽弁MVの方へ差し向けることができる。かかる運動後、接近シース10は、遠位先端部15を位置決めして遠位先端部15のところの中央ルーメン16の開口部が所望の方向に向くような関節動作位置にあることになる。所望の関節動作位置をいったん達成すると、関節動作部材18を係止手段により定位置に係止する。係止手段は単に、関節動作プロセス中、摩擦により所望の関節動作位置を保持する関節動作部材であってもよい。この状況では、関節動作部材は本質的に既に定位置に係止されている。変形例として、係止手段は、作動されると、例えば関節動作部材を圧縮するケーブルの引っ張りとこの引っ張り位置へのケーブルの係止を同時に行なう係止機構であってもよい。いずれの場合においても、かかる係止により、図4Cに示すようにインターベンション器具70を通すための剛性が接近シース10に提供される。インターベンション器具70を、中央ルーメン16を通って標的組織、この場合、僧帽弁MVに向かって通すことができる。上述したように、遠位端部15を開口部60上に位置決めすることにより、インターベンション器具70は、図示のように所望ならばリーフレットLF相互間の開口部60を通過することができる。この時点で、閉鎖不全又は任意他の障害の強制のための任意所望の外科手技を僧帽弁に施すことができる。
【0050】
関節動作部材
図5を参照すると、一連の関節動作部材18から成るシャフト11の部分の斜視図が示されている。各関節動作部材18は、任意の形状のものであってよく、特に図示のように嵌合又は組み込みを可能にする形状のものである。加うるに、各関節動作部材18は、隣りの関節動作部材18に対して独立して回転できる能力が備えることが望ましい。この実施形態では、関節動作部材18は、相互に嵌合したドーム付きリング84を有する。ドーム付きリング84は各々、ベース88及びドーム86を有している。ベース88及びドーム86は、ドーム付きリング84を連続して嵌合させると、中央ルーメン16を形成する中空内部を有している。加うるに、ドーム86により、各関節動作部材18は、隣りのドーム付きリング84の内面に合致することができる。ドーム86は、隣り合うドーム付きリング84の滑らかな動き及び所望程度の関節動作を可能にするよう選択された凸状曲率を有する。この曲率は、球形、放物線状又は他の丸みのある形状をしているのがよい。変形例として、ドーム86は、1つ又は一連の切頭円錐形表面から成っていてもよい。ベース88は、円筒形、切頭円錐形、ドーム形又は他の適当な外形のものであるのがよい。
【0051】
また、図5に示すように、相互に嵌合したドーム付きリング84は、少なくとも1本のプルワイヤ80によって互いに連結されている。かかるプルワイヤは代表的には、接近シース10の長さ及び相互嵌合ドーム付きリング84のうち少なくとも1つを貫通して、プルワイヤ80がシャフト11にしっかりと固定される固定箇所まで延びている。張力をプルワイヤ80に与えることにより、この少なくとも1本のプルワイヤ80は、カーブを形成するよう取付け箇所の近位側の一連の相互嵌合ドーム付きリング84を弓形にする。かくして、少なくとも1本のプルワイヤを引くことにより又は張力をこれに与えることにより、接近シース10は、そのプルワイヤ80の方向に操向され又はそらされる。ドーム付きリング84の周囲全体にわたって種々のプルワイヤ80を位置決めすることにより、接近シース10を多くの方向に差し向けることができる。各相互嵌合ドーム付きリング84は、各ドーム付きリング84の周囲に沿ってぐるりと設けられた1つ以上のプルワイヤルーメン82を有するのがよく、プルワイヤ80はかかるプルワイヤルーメン中に通される。変形例は、プルワイヤ80を中央ルーメン16中に通してもよい。いずれの場合においても、プルワイヤは、所望のカーブが形成されるべき位置でシース10に取り付けられる。プルワイヤ80は、任意適当な方法、例えばちょっと挙げてみただけでも、はんだ付け、膠着、結束又は注封により定位置に固定できる。かかる固定法は典型的には、用いられる材料で決まる。関節動作部材18は、任意適当な生体適合性材料で構成されたものであってよく、かかる材料としては、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、種々の他の金属、セラミック及びポリマー又はコポリマーが挙げられる。同様に、プルワイヤ80は、任意適当な材料、例えば繊維、ポリマーモノフィラメント又はマルチフィラメントライン、縫合糸、金属ワイヤ又は金属編組物で構成されたものであってよい。好ましい実施形態では、ニチモール又はステンレス鋼のワイヤが利用される。プルワイヤ80は、摩擦を減少させるために減摩性被膜、例えばパリレンで被覆されたものであるのがよい。変形例として、摺動性を高めるようプルワイヤ80を通す低摩擦材料、例えばテフロン(Teflon:登録商標)のシース又はアイレット(図示せず)をルーメン82又は中央ルーメン16に設けてもよい。
【0052】
加うるに、関節動作部材18の選択された部分を所望のカーブを作るために互いに固定してもよい。例えば、関節動作部材18がドーム付きリング84を有する場合、1列をなして位置決めされた2つ、3つ、4つ以上のドーム付きリング84をこれらの相互嵌合位置に固定してリング84相互間の運動又は回転を阻止するのがよい。これは、任意適当な方法、例えばはんだ付け、膠着、結束又は注封により達成できる。かかる固定により、関節動作できないセグメントが作られることになるが、これらセグメントのいずれかの側の関節動作部材18は、関節動作可能である。これは、或る特定のカーブ又は形状、特に正方形の形状又は尖った角を作る際に有用な場合がある。また、関節動作部材18のこれら選択部分を互いに固定すると、真っ直ぐなセグメント又は湾曲したセグメントを形成できることは理解できよう。
【0053】
所望の関節動作位置を得るためにプルワイヤ80をいったん調節すると、一連の関節動作部材18を定位置に係止して接近シース10を所望の関節動作位置に保持するのがよい。かかる係止は、引きワイヤ80の大部分又は全てを同時に保持して各関節動作部材18をその隣りの部材18に押し付けることにより達成される。係止強度は、関節動作部材18の形状、材質及び表面模様を含む多くの変数で決まる。図6A及び図6Bに示すように、ベース88及びドーム86の内部形状は、所望の係止強度、関節動作の度合い、運動の滑らかさ及び接近シース10の操向性をもたらすよう選択される。図6Aに示すように、ドーム付きリング84の内部に傾斜内面90を形成するのがよい。図6Bに示すように、ドーム付きリング84の内部に段付き内面92を設けるのがよい。幾つかの場合において、段付き内面92は、きつく係止する能力を大きくできるが、これは、操向の滑らかさを損なう場合がある。図6Cに示すように、ドーム付きリング84の内部にドーム状内面93を設けてもよい。係止能力を高めるために、ドーム86の外面及び(又は)ベース88の内面90,92,93を摩擦を増大させる材料で模様付けし又は被覆してもよく、又は、各ドーム86に摩擦層を被着させてもよく、或いは摩擦スペーサをドーム付きリング84相互間に位置決めしてもよい。ドーム付きリング84が、金属、例えばステンレス鋼から成る場合、表面粗さを増大させるためにリング84にサンドブラストを掛けるのがよい。変形例として、粗さを増大させるためにサンドペーパ又はスチールブラシも又使用してもよく、或いは表面を焼結し、或いは表面が溝又は隆起部を有してもよい。ドーム付きリング84が射出成形ポリマーから成る場合、所望の粗さを表面に成形により作り又は成形後に機械加工し又は施すのがよい。
【0054】
接近シースを関節動作させるために種々の関節動作機構を用いることができる。好ましい実施形態では、プルワイヤ80が用いられる。任意の本数のプルワイヤ80を用いて接近シース10を関節動作させることができる。図7A〜図7Dは、かかるプルワイヤ80に対応した関節動作部材18の実施形態を示している。図7Aは、関節動作部材18のベース88の断面図である。4つのプルワイヤルーメン82が、ベース88の壁全体にわたり等間隔を置いた状態で示されている。かかる間隔により、4つの方向の各々における関節動作部材の曲率を取ることができる。理解できるように、任意所望の方向において曲率をもたらすよう任意の間隔をプルワイヤルーメン82相互間に達成することができる。図7B及び図7Cは、プルワイヤルーメン82がベース88の壁及びドーム86の壁の一部を通るよう示された関節動作部材18の側面図である。この例では、傾斜内面90が示されているが、理解できるように、任意の内面の輪郭を用いることができる。図7Bは、関節動作部材18の斜視図であり、全部で4つのプルワイヤルーメン82がベース88を貫通すると共にドーム86を部分的に貫通した状態を示している。
【0055】
同様に、図8A〜図8Dは、8本のプルワイヤに対応した実施形態を示している。図8Aは、関節動作部材18のベース88の断面図である。8つのプルワイヤルーメン82が、ベース88の壁の周囲全体にわたり等間隔を置いた状態で示されている。プルワイヤのかかる本数及び配置状態により、4本のプルワイヤを有する実施形態の場合よりも接近シースの曲率又は湾曲度の制御性が高くなる。この場合も又、ルーメンは、所望の曲率をもたらすよう配置されると共に間隔を置くと共に寸法決めされたものであるのがよい。図8B及び図8Cは、8つのプルワイヤルーメン82を有する関節動作部材18の側面図である。図示のように、プルワイヤルーメン82は、ベース88を貫通すると共にドーム86を部分的に貫通している。この実施形態も又、傾斜内面90を示している。しかしながら、内面が段付きであれ、テーパしており、ドーム状になっており、ボール状になっており又はこれらの幾つかの組み合わせの状態であっても、いずれにせよ、任意の形式の内面を用いることができる。同様に、図9A〜図9Dは、8つのプルワイヤルーメン82を有する接近シース10の実施形態を示す図である。しかしながら、この場合、この実施形態は、特に図9B及び図9Cに見える段付き内面92を示している。
【0056】
図10A〜図10Eは、関節動作中、プルワイヤが引っ掛かって動かなく恐れを軽減すると共に、カーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材18の実施形態を示している。関節動作中、プルワイヤがつかえて又は引っ掛かって動かなくなるのを軽減するために、長円形のプルワイヤルーメン83が用いられている。関節動作部材18のベース88の断面図である図10Aに示すように、4つの円形プルワイヤルーメン82が、4つの長円形プルワイヤルーメン83と共に設けられている。ルーメン82,83は、ベース88の壁全体にわたり等間隔に且つ交互に位置した状態で示されている。かかる間隔により、4つの方向の各々における関節動作部材の湾曲が可能である。長円形プルワイヤルーメン83により、プルワイヤは、ルーメン83に沿ってシフトし又は摺動して、プルワイヤが関節動作部材18中を辿るようにするためのなだらかで滑らかな経路を提供することができる。長円形プルワイヤルーメン83は、断面が卵形、楕円形、弧状又は丸みもある矩形の形状のものであってよく、円周方向におけるその長さは、半径方向における幅よりも実質的に長く、通常、長さが少なくとも1.5倍であり、好ましくは長さが少なくとも2倍であり、或る実施形態では、長さが少なくとも3倍であり、関節動作部材18の周囲に沿って少なくとも約5°、好ましくは少なくとも約20°の弧角を張るのがよい。図10Bは、関節動作部材18の側面図であり、かかる側面図においては、円形プルワイヤルーメン82が、ベース88の壁及びドーム86の壁の一部を貫通するよう示され、長円形プルワイヤルーメン83が、円形プルワイヤルーメン82の両側に位置した状態で示されている。好ましい実施形態では、円形プルワイヤルーメン82は、関節動作部材18の周囲に沿ってぐるりと長円形プルワイヤルーメン83と交互に位置している。この実施形態では、ドーム86は好ましくは、その外面に設けられたチャネルにより分離された一連の環状区分に分割されていて、隣り合う関節動作部材18相互間の接触が環状区分の外面に限定されるようになっている。チャネルのうちの幾つか又は全ては、長円形プルワイヤルーメン83と軸方向に整列するのがよい。ドーム86の環状区分は好ましくは、関節動作部材18の周囲に沿って約10°〜80°、好ましくは約20°〜45°の角度を張っている。
【0057】
関節動作中、カーブの安定性を増大させるために、ピンが用いられて関節動作部材18を図10C〜図10Eに示すように互いに整列状態に保っている。図10Cに示すように、少なくとも1つの穴89が、ドーム86の壁に形成され、切欠き91が、ベース88に形成されている。図10Dは、関節動作部材18に設けられたかかる穴89及び切欠き91の斜視図である。代表的には、図示のように、穴89及び切欠き91は、関節動作部材18の互いに反対側の側部に1対ずつ形成されている。次に図10Eを参照すると、ピン93が、穴89に差し込まれて定位置にはんだ付けされている。かかるピン93は代表的には、ステンレス鋼であり、外径が約0.020インチ、長さは約0.030インチであるのがよい。関節動作部材18を図示のように組み付けて相互に係止すると、切欠き91は、ピン93を受け入れる。かくして、関節動作中、関節動作部材18の運動は、ピン93を通って引かれた軸線回りの回転に制限される。これにより、器具が安定化されると共に望ましくない方向の回転が減少する。
【0058】
ライナ
図11Aを参照すると、接近シース10は、関節動作部材18のルーメンを貫通した種々のライナを更に有するのがよい。図示のように、編組体104が、シャフト11の中央ルーメン16を貫通するのがよい。かかる編組体は、ステンレス鋼又は任意適当な材料で構成されたものであるのがよい。代表的には、編組体104は、シャフト11の長さを貫通して関節動作部材18まで延びている。編組体104は、関節動作部材18の近位側のシャフト11の剛性及びトルク応答性をもたらす。したがって、編組体104は、関節動作部材18の中を延びてはいない。その代わりに、外側ライナ102と内側ライナ100が、これらの間に設けられたコイル101又はこれに類似した構造体によって支持された状態で、関節動作部材18の長さ全体にわたって延びている。代表的には、コイル101は、ステンレス鋼又はこれに類似した材料で構成されている。幾つかの実施形態では、外側ライナ102は、ちょっと例を挙げてみただけでも、35D PEBAX、PTFE、ウレタン、ナイロン又はポリエチレンから成る。しかしながら、任意適当なポリマーを用いることができる。また、幾つかの実施形態では、内側ライナ100は、PTFE又はこれに類似した低摩擦材料で構成されている。かかるライナ100,102により、インターベンション器具70を関節動作部材18に当てないで中央ルーメン16中に通すことができる。加うるに、プルワイヤルーメンライナ106が、プルワイヤルーメン102を貫通し、プルワイヤ80を包封するのがよい。かかるプルワイヤルーメンライナ106は、プルワイヤ80の強度、可撓性及び保護をもたらすよう編組ポリイミド又は任意適当な材料で構成されるのがよい。最後に、幾つかの実施形態では、外部ライナ105が、関節動作部材を覆った状態で位置決めされ、内側ライナ100及び外側ライナ102に遠位先端部のところで融着されている。かかる外部ライナ105は、任意適当な材料、例えばPEBAX 35Dで構成されるのがよく、一般に関節動作部材の保護及び連続性が得られるようにするためのものであり、血液バリヤとして働く。
【0059】
関節動作
上述したように、プルワイヤ80は、関節動作部材18中を通り、種々の取付け箇所でシャフト11に取り付けられている。図11Bを参照すると、第1のプルワイヤ120が、一次取付け箇所122のところでシャフト11にしっかりと取り付けられた状態で示されている。張力を第1のプルワイヤ120に与えることにより、一次取付け箇所122の近位側の一連の関節動作部材18が弓形になり、一次カーブ40が形成される。この例では、一次取付け箇所122は、一連の関節動作部材18に沿う中間に位置した状態で示されている。これにより、この箇所122の近位側に一次カーブ40が得られる。理解できるように、一次取付け箇所122を遠位先端部15のところを含むシャフト11に沿う任意の場所に設けてもよい。遠位先端部15に取り付けられた場合、張力を第1のプルワイヤ120に与えると、関節動作部材18のその遠位側部分全体にわたり一次カーブ140が形成される。
【0060】
図11Bに示す例では、第2のプルワイヤ124が、二次取付け箇所126のところでシャフト11にしっかりと取り付けられた状態で示されている。張力を第2のプルワイヤ124に与えることにより、二次取付け箇所126の近位側の一連の関節動作部材18が弓形になり、2次カーブ46が形成される。第1のプルワイヤ120が近位部分に既に一次カーブ140を形成しているので、第2のプルワイヤ124を引くことにより、その近位側部分の遠位側の部分に二次カーブが形成される。
【0061】
さらに、第3のプルワイヤ128が、遠位取付け箇所130のところでシャフト11にしっかりと取り付けられた状態で設けられるのがよく、したがって第3のプルワイヤ128を引くことにより、遠位端部が角度シータ50(図4B参照)動くようになる。かくして、シャフト11が多数の取付け箇所122,126,130のところでそれぞれ終端するプルワイヤ120,124,128を有していることにより、接近シース10は、幾つかの互いに異なる平面内に多数のカーブを形成することができるようになる。
【0062】
接近システム
図12を参照すると、本発明の接近システム148の実施形態が示されている。接近システム148は、シャフト151を含む接近シース150を有し、このシャフト151は、近位端部152、遠位端部154及びこれを貫通した中央ルーメン156を有している。遠位端部154は、体内管腔を通って体腔に至ることができるよう寸法決めされている。したがって、遠位端部14は好ましくは、約0.040インチ〜0.500インチ、より好ましくは0.130インチ〜0.300インチの外径を有する。加うるに、シース150の一部は、一連の関節動作部材158で構成されている。この実施形態では、関節動作部材158は、シース150の遠位端部154のところに設けられていて、遠位先端部155で終端した状態で示されている。しかしながら、理解できるように、関節動作部材158をシースに沿う任意の場所に配置してもよい。例えば、真っ直ぐな又は非関節動作の部分が遠位端部154の近くに望ましい場合、関節動作部材158をより近位側の位置に設けるのがよい。さらに、関節動作部材158を有するシースの部分を非関節動作部分と、例えば交互に位置するパターンで混在させてもよい。取っ手160が、シース150の近位端部152に取り付けられている。接近システム148は、図示のように中央ルーメン156中に通されるよう寸法決めされた栓子又は栓塞子168を更に有する。栓子168は好ましくは、外径が約0.025インチ〜0.440インチ、好ましくは0.115インチ〜0.240インチである。通常、周知構造の止血弁(図示せず)が、中央ルーメン156と連通した状態で取っ手160に取り付けられ又は取っ手160内に設けられ、それにより栓子168を血液を失うことなく中央ルーメン156に挿入したりこれから取り出すことができるようになっている。栓子168は、軸方向ルーメン169を有するのがよく、血管系を通る接近システム148の案内を容易にするためにガイドワイヤGWを軸方向ルーメン169中へ摺動自在に挿入するのがよい。かかるガイドワイヤルーメンが設けられている場合、栓子168は通常、ガイドワイヤルーメンと連通した状態で取っ手160に取り付けられていて、栓子168をガイドワイヤGW上にこれに沿って摺動自在に導入したりガイドワイヤGWを血液が失われないでルーメン169から取り出すことができるようにする止血弁HVを更に有する。種々の市販のガイドワイヤのうち任意のものであってよいガイドワイヤGWを本発明のシステム及びキットに組み込むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0063】
接近シース150の関節動作部材158は、関節動作可能な接近シース10の関節動作部材18と同一又は類似したものであってよい。上述したように、関節動作部材は、任意の形状、特に図5に示すように嵌合又は組み込みを可能にする形状のものであってよい。加うるに、図5に示すプルワイヤ80と類似した仕方で関節動作部材158中を通るプルワイヤが設けられるのがよい。しかしながら、プルワイヤは、関節動作部材158を位置決めするために用いられるわけではない。
【0064】
関節動作部材158を有するシース150の部分は、中央ルーメン156内に嵌まり込むことができる栓子168又は他の器具の作用により関節動作位置に動くことができる。栓子168を図示のようにシース150の中央ルーメン156内にいったん配置すると、栓子168を任意の形態に動かすことができる。例えば、栓子168は、曲げ部、弧、カーブ又は角度を持つよう形作られたものであるのがよく、それにより同じ形態がその周囲のシース150に与えられる。栓子168の付形は、任意適当な機構、例えば、栓子168を貫通し、関節動作可能な接近シース10と類似した仕方で操作できるプルワイヤによって達成できる。かくして、シース150及び栓子168を図2A及び図2Bに示す位置に類似した関節動作位置に動かすことができる。
【0065】
位置決め機構の作動は、アクチュエータ、例えば栓子取っ手176上に配置されたアクチュエータ170,172,174を用いることにより達成される。栓子取っ手176は、連結接合部178のところでシース150の突起160に連結可能であるのがよい。アクチュエータ170,172,174は、関節動作部材158を有するシース150の部分の下に位置する栓子168を曲げ、弓形にし、又は形作り直すために用いられる。例えば、一次カーブアクチュエータ170を用いると、一次カーブアクチュエータ170を用いると、1本以上のプルワイヤを作動させて一連の関節動作部材158から成るシース150の部分に一次カーブを形成することができる。さらに、二次カーブアクチュエータ172を用いると、一連の関節動作部材158から成るシース150の部分に二次カーブを形成することができる。さらに、シータアクチュエータ174を操作すると、遠位先端部155を角度シータ動かすことができる。
【0066】
シース150がいったん所望の形態を取ると、取っ手160に設けられた係止アクチュエータ180を用いて係止機構を作動させ、それにより関節動作部材158を関節動作位置に係止するのがよい。栓子係止アクチュエータ186により作動される栓子係止機構により栓子168も又定位置に係止するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。代表的には、栓子168は、シース150を所望の向きに保持するようシース150の前の定位置に係止される。次に、シース150をいったん係止すると、栓子168を解除して取り外すのがよい。この場合も又、取っ手160,176に設けられたかかるアクチュエータ170,172,174,180,186及び任意の追加のアクチュエータは、任意適当な形態を取ることができ、かかる形態としては、ノブ、ボタン、レバー、スイッチ、トグル、センサ又は他の器具が挙げられることは理解されよう。加うるに、取っ手160,176は、上方、例えばシース150及び(又は)栓子168の関節動作位置を指示するデータの数値又は図形表示装置を有するのがよい。
【0067】
図13A〜図13Dは、接近システム148を用いて僧帽弁MVに接近する方法を示している。僧帽弁に接近するためには、接近システム148を、大腿静脈に設けた穿刺部から下大静脈を通って右心房に動かすのがよい。これは、先ず最初にガイドワイヤを血管系を通って心臓内に挿入し、シース150及び栓子168を次に摺動自在にガイドワイヤ上でこれに沿って導入することによって容易に実施できる。好ましくは、栓子168は、上述したこの目的のためのガイドワイヤルーメンを有する。図13Aに示すように、図13Aに示すように、接近システム148を心房内中隔S内の窩Fに刺入するのがよい。栓子168は、心房内中隔Sを穿刺するよう形作られた遠位先端部を更に有するのがよく、又は、栓子168を取り外し、別個の穿刺ツールを接近シース150中へ挿入するのがよい。変形例として、ガイドワイヤが用いられる場合、ガイドワイヤは、心房内に中隔を穿刺するのに適した先端部を有するのがよく、栓子168の遠位先端部は、シース150の通過を可能にするようガイドワイヤによる穿刺の幅を広げるのを容易にするようテーパしているのがよい。次に、システム148を窩F中に送り進めて遠位先端部155が僧帽弁MV上に差し向けられるようにする。この場合も又、理解されるように、このアプローチは、単なる一例として役立つに過ぎず、他のアプローチ、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、頸動脈からのアプローチ、大腿動脈からのアプローチ、ポートアクセス又は直接アクセス方式を利用することができる。また、理解できるように、変形例としてシステム148のシース150及び栓子168を別々の段階で送り進めてもよい。
【0068】
次に、遠位先端部155を動かしたり傾けたりして中央ルーメン156が標的組織、この場合僧帽弁MVの方へ差し向けられるようにすることが望ましい。特に、中央ルーメン156は、僧帽弁MVの特定の領域、例えば弁リーフレットLF相互間の開口部60の方へ差し向けられて特定のインターベンション手技を実施できるようにすべきである。一次カーブ200を上述したように栓子168の作動により形成することができる。栓子168は、力を中央ルーメン156に加えて関節動作部材158を再位置決めする。この例では、一次カーブ200を形成することにより、遠位先端部155は、弁表面に平行な図2Aの上記平面Xに相当する一次平面内に動かされる。これにより、遠位先端部155は、僧帽弁MVの短軸に沿って側方に動くと共に遠位先端部155を開口部60の上方で心出しすることができる。この関節動作位置では、中央ルーメン16に通された任意のインターベンション器具は、僧帽弁MV上で水平に差し向けられる。カテーテル又はツールを開口部60内へ差し向けるためには、遠位先端部155を僧帽弁MVに向かって下方に差し向けることが必要である。
【0069】
図13Bを参照すると、接近シース150は、図2Bの上記平面Zに相当する二次平面内に二次カーブ202を有する関節動作位置にある状態で示されている。二次カーブ202を形成することにより、遠位先端部15は交連部C相互間で垂直に且つ斜めに動き、中央ルーメン156が僧帽弁MVの方へ差し向けられる。この関節動作位置では、中央ルーメン156に通されたインターベンション器具は開口部60の方へ且つ(或いは)これを通って差し向けられる。一次カーブ200及び二次カーブ202は、僧帽弁MVの種々の解剖学的変化及び種々の外科手技に対応するよう変えることができるが、接近シース150の正しい位置決めのためにはこれら2つの曲率を超える調整が別途望ましい場合がある。
【0070】
かくして、接近シース150は、関節動作部材158全体にわたり追加の曲率を有するのがよいと共に(或いは)遠位先端部155が栓子168の作用により角度シータ204にわたり角度的に動くことができるようになっているのがよい。これにより、遠位先端部155は、図2C〜図2Dの上記平面Yに相当するシータ平面を通って垂直に及び斜めに動く。いずれかの方向における角度シータ50にわたる遠位先端部155の運動が、図13Bに破線で示されている。その結果、中央ルーメン156を二次平面とは異なる平面内で僧帽弁MVの方へ差し向けることができる。かかる運動後、接近シース150は、遠位先端部155を位置決めして遠位先端部155のところの中央ルーメン156の開口部が所望の方向に向くような関節動作位置にあることになる。所望の関節動作位置をいったん達成すると、関節動作部材158を係止手段によって、例えば係止機構の作動により定位置に係止する。
【0071】
図13Cを参照すると、次に、シース150が関節動作位置に位置したままの状態で栓子168を取り外す。係止状態の接近シース150は、図13Dに示すようにインターベンション器具70の通過を可能にする。インターベンション器具70を中央ルーメン156から標的組織、この場合僧帽弁MVに向かって通すのがよい。遠位端部155を上述したように開口部60上に位置決めすることにより、インターベンション器具70は、図示のように所望ならばリーフレットLF相互間の開口部60を通過することができる。この時点で、閉鎖不全又は任意他の障害の是正のための任意所望の外科的手技を僧帽弁に施すことができる。好ましい方法では、本発明の接近シース中へ導入された器具による「蝶ネクタイ」又は「切縁」技術を用いて僧帽弁を修復する。適当な器具及び技術が、本願と同日に出願された同時係属米国特許出願第10/441531号明細書(代理人事件番号は、020489−001400US)、米国特許出願第10/441508号明細書(代理人事件番号は、020489−001500US)及び米国特許出願第10/441687号明細書(代理人事件番号は、020489−001700US)に記載されており、これら米国特許出願明細書の記載内容を参照によりここに引用する。本発明の接近シース中に導入される装置を用いて実施できる他の手技としては、心房細動の治療のための肺静脈のアブレーション、心臓内又は心臓上の他の領域のマッピング及びアブレーション、僧帽弁の弁輪形成術、他の心臓弁の修復、中隔欠損の修復及び心臓における他の診断及び治療手技が挙げられる。本発明の接近シースは、管腔内的に又は外科的穿刺法により体の他の器官に接近してこれに対する手技を実施するのに更に適しており、かかる器官としては、胃、腸管、腸、膀胱、肺、肝臓、胆嚢、子宮その他が挙げられる。
【0072】
幾つかの実施形態では、栓子168とシース150の両方を別個独立に操向可能であることが分かる。これら実施形態では、栓子168及びシース150は、任意適当な機構、例えば栓子168を貫通するプルワイヤ及びシース150を貫通し、曲げ部、弓形部、カーブ又はアングル(山形部)を形成するよう操作できる別個のプルワイヤにより付形でき又は関節動作可能である。かくして、シース150及び栓子168を図2A及び図2Dに示す関節動作位置と類似した関節動作位置に動かすことができる。
【0073】
次に図14を参照すると、本発明のキット300が、本発明に関連して説明したコンポーネントのうちの任意のものを有する。或る実施形態では、キット300は、関節動作可能な接近シース及び使用説明書IFUを有する。他の実施形態では、キット300は、接近シース150、関節動作可能な栓子168及び使用説明書IFUを有する。キットのうち任意のものは、上述した他のシステムコンポーネントのうち任意のもの、例えばインターベンション器具70又は体内管腔内への器具の位置決めと関連したコンポーネント、例えばガイドワイヤ302又は針304を更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。使用説明書IFUは、上述した方法の任意のものを記載しており、全てのキットコンポーネントは通常、パウチ305又は他の従来型医用器具包装材内に一緒に包装される。通常、患者に対する手技を行なう際に用いられるキットコンポーネントは、滅菌されてキット内に維持される。大きなパッケージ内に別個のパウチ、袋、トレイ又は他の包装材を設けてもよく、この場合、小さな包みを別々に開くとコンポーネントを滅菌状態で別々に維持することができるが、このようにするかどうかは任意である。
【0074】
上記発明を理解しやすくするために例示として詳細に説明したが、種々の変形例、改造例及び均等例を用いることができ、上述の説明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものと解されてはならないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の関節動作可能な接近シースの実施形態の斜視図である。
【0076】
【図2A】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【図2B】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【図2C】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【図2D】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【0077】
【図3】図2A〜図2Dに示す関節動作位置と比較して追加のカーブを有する接近シースの側方から見た斜視図である。
【0078】
【図4A】僧帽弁に接近するための接近シースを用いる方法を示す図である。
【図4B】僧帽弁に接近するための接近シースを用いる方法を示す図である。
【図4C】僧帽弁に接近するための接近シースを用いる方法を示す図である。
【0079】
【図5】一連の関節動作部材から成るシースの部分の斜視図である。
【0080】
【図6A】一タイプの内面を備えた関節動作部材の側面図である。
【図6B】別のタイプの内面を備えた関節動作部材の側面図である。
【図6C】別のタイプの内面を備えた関節動作部材の側面図である。
【0081】
【図7A】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図7B】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図7C】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図7D】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0082】
【図8A】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図8B】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図8C】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図8D】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0083】
【図9A】8本のプルワイヤに対応するが、図8Aに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図9B】8本のプルワイヤに対応するが、図8Bに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図9C】8本のプルワイヤに対応するが、図8Cに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図9D】8本のプルワイヤに対応するが、図8Dに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0084】
【図10A】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10B】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10C】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10D】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10E】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0085】
【図11A】接近シースの幾つかの実施形態を含む種々のライナを示す図である。
【図11B】接近シースの実施形態の斜視図であり、種々のプルワイヤが種々の取付け箇所でシャフトに取り付けられている状態を示す図である。
【0086】
【図12】本発明の接近システムの実施形態の斜視図である。
【0087】
【図13A】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【図13B】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【図13C】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【図13D】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【0088】
【図14】本発明の原理に従って構成されたキットを示す図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2001年6月27日に出願された同時係属米国特許出願第09/894,463号の優先権を主張した一部継続出願であり、この同時係属米国特許出願は、2000年4月7日に出願された同時係属米国特許出願第09/544,930号の一部継続出願であり、この同時係属米国特許出願は、37CFR§1.78(a)の規定に基づいて1990年4月9日に出願された先の米国仮特許出願第60/128,690号の権益主張出願であり、これら特許文献の全ての開示内容を参照によりここに引用する。本願は、米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号は、020489−001400US)、米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号は、020489−001500US)及び米国特許出願(願番未付与、代理人事件番号は、020489−001700US)に関しており、これら米国特許出願は全て本願と同日に出願されており、これら特許文献の開示内容全体を参照によりここに引用する。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
【0002】
該当無し
コンパクトディスクに記録して提出された「シーケンスリスト」、表又は
コンピュータプログラムプログラミングリスト付録の参照
【0003】
該当無し
発明の背景
1.発明の分野
【0004】
本願は、体腔に管腔内的に接近し、インターベンション器具を挿通させて体腔内へ差し向ける接近シースに関する。特に、本発明は、インターベンション器具を所望の向きで体腔内へ差し向ける関節動作可能な接近シースに関する。幾つかの実施形態では、本発明は、血管を通って心房に接近してインターベンションカテーテルを心臓弁の方へ差し向けることに関する。
【0005】
遠隔地から人体内の標的場所に接近するためには、一般にカテーテルを1つ以上の体内管腔、例えば脈管系又は血管系中に通して標的場所に至らせる。血管系が用いられる場合、ガイドワイヤ及び拡張器を患者の体に設けた比較的小さい切開部を通して動脈又は静脈に挿入する。次に、ガイドワイヤ及び拡張器を患者の血管系中に通して所望の標的野に到達させる。拡張器がいったんシースで覆われると、これを拡張器と共に標的場所に至らせる。次に、拡張器を取り外し、シースを種々の医用器具が標的場所に接近するための導管として用いる。かかる器具としては、ちょっと挙げてみただけでも、カテーテル、手術器械、視覚化のための光ファイバケーブル、レーザ、電子機器、又は生理学的パラメータを現場でモニタできるセンサが挙げられる。かかる接近により伝統的な侵襲性手術の必要が軽減されるが、標的場所の近く、特に標的体腔内の器械の制御、操作及び位置決めに関する課題が生じる。
【0006】
体腔まで送り進められた器具は典型的には、これが入る角度をなして体腔内へ突き出ることになる。標的組織がこの経路内に存在していない場合、器具を標的組織に向かって操向する(かじ取りする)必要がある。2つ以上の器具が手技中に用いられる場合、各器具を操向し、用いられる場合には再位置決めする必要がある。これにより、手技の時間及び費用が増大すると共に位置合わせ不良の恐れが増大する。
【0007】
心臓の左心房への接近を可能にするため、カテーテル及び(又は)接近シースを大腿静脈に設けた穿刺部から下大静脈を通り、右心房内に動かし、そして心房内中隔に設けた穿刺部を通って左心房に至らせることができる。次に、この経路を用いて、左心房と左心室との間に位置する僧帽弁に接近することができる。心房内中隔を通る導入箇所から見て、僧帽弁は下に且つ右又は左に位置している場合があり、器具を僧帽弁に向かって下方に、恐らくは導入後側方に差し向けるよう挿入する必要がある。加うるに、インターベンション治療を僧帽弁に施すために利用される器具は、手技を行なうためには弁の交連部、又はリーフレット又は接合線との正確な位置合わせを必要とする場合がある。かかる手技において2つ以上の器械を用いることが必要なとき、各器具は、弁に関して正しく位置決めされているかどうかにかかっている。これには、位置決め又は操向機構を各器械に組み込む必要があり、各器械は、導入されると正しく位置決めされる必要がある。これにより、手技全体に費用、複雑さ及び時間が加わる。
【0008】
これら課題のうちの幾つかを解決するため、器械を挿通状態で差し向ける接近シースが開発された。例えば、遠位端部にあらかじめ付形されたカーブを有する接近シースが、患者の動脈又は静脈系中によく見掛けられるねじれ部及び側枝を通り抜けるのを助けると共にいったん標的空内に位置決めされると形状を維持するために開発された。あらかじめ付形されたカーブが製造時点で接近シース内に固定されているので、曲率半径及び湾曲の程度は一般に変更できない。解剖学的変化に起因して、接近シースの正確な曲率を求めるには大規模な事前手術計画が必要である。かかる特別仕立ては、とてつもなく複雑であり、予想曲率は、いったん体内に配置されると追加の再位置決めを依然と必要とする可能性が多い。正しい曲率を得ようとして予備付形接近カテーテルを連続的に交換するのは、費用が掛かり且つ時間が掛かり、場合によっては患者を別の危険にさらす。
【0009】
或る体内管腔、特に血管系の曲がりくねった経路を通って一層効果的にナビゲートする操向性案内カテーテル及び運搬カテーテルが開発された。典型的には、操向は、カテーテルの近位端部にトルクを加えることと種々のプルワイヤを引いてカテーテルの遠位端部を撓ませることの組み合わせにより達成される。残念なことに、トルク伝達は、かかる操向性カテーテルでは完璧ではなかった。近位制御端部と遠位先端部との間のカテーテル本体の長さに起因して、カテーテルの近位端部がねじれて遠位先端部を回転させるときにねじれが堆積する傾向が生じがちである。蓄積したねじりモーメントは、不均一に解き放たれる場合があり、結果的に血管内部で遠位先端部のスキップ動作又は急回転が生じる。トルク伝達を最適にするために、かかる操向性カテーテルの壁は一般に、一連の層から成っている。典型的な操向性カテーテルでは、織り金属又はポリマー管状編組体が内側管状スリーブと外側管状ジャケットの間にサンドイッチされる場合がある。その結果、トルク性の向上が得られ、一般にその結果として肉厚が増大し、それにより操向性カテーテルの外径が増大し又は所与の所望内径が減少する。加うるに、かかる大掛かりな編組構造は、プルワイヤを作動させても撓むのが困難な場合が多い。これを解決するため、コイル又は軟質ポリマーを用いて撓むことができる区分を軟らかくしてかかる区分が一層大幅に撓ませることができる。しかしながら、これにより、カテーテルがトルクをこの軟質区分に伝達し又はこの軟質区分を通って伝達する能力が低下する。加うるに、これら軟質区分は、後でその内側ルーメン中に通されるインターベンション器具又はツールに適度の支持作用をもたらさない場合がある。
【0010】
これらの理由で、永続的な予備付形又は所望の向きで標的体腔内に接近シースを位置決めするためのトルク伝達を利用しない関節動作可能な遠位端部を有する接近シースを提供することが望ましい。関節動作可能な接近シースは、種々のインターベンション器具の通過に対応する大きなルーメン直径を有するべきであり、きついカーブ周りに曲げられてもシースのキンク又は潰れを回避する上で良好な壁体強度を有するべきであり、しかも、インターベンション器具をルーメンに通したときの変形を回避する上で良好な柱強度及び引っ張り強度を有するべきである。シース関節動作機構は、シースの遠位端部のところに高度の制御撓みをもたらすべきであるが、インターベンション器具の通過を可能にするためにそれほどルーメン面積を占めるべきではない。さらに、接近シースは、複合カーブ、例えば2つ以上の平面内に湾曲部を形成できるような仕方で関節動作できるべきである。かかる操作により、同一タイプの体腔内の解剖学的変化に対応し且つ種々のタイプの体腔に用いられるよう遠位端部に対する微調整が可能であるべきである。
【背景技術】
【0011】
2.背景技術の説明
ハーマン等(米国特許第5,843,031号明細書)は、止血弁及び取り外し可能な操向機構を備えた大径イントロデューサシースを記載している。操向機構は、位置決めの際にシース内に位置決めされ、次に取り外される栓子内に位置するものとして記載されている。アダー(米国特許第5,325,845号明細書)は、関節動作を可能にするよう変形可能な関節動作部材を有する操向性シースを記載している。コージス(米国特許第5,636,634号明細書)は、別個の専用操向性カテーテルにより位置決めされるシースを記載している。
【0012】
多くの技術文献は、それ自体ワイヤにより操向可能なガイドワイヤ又はカテーテルに関する。例えば、スチーブンス−ライト等(米国特許第5,462,527号明細書)は、張力を選択的に2本又は4本のプルケーブルに与えて取付け状態のカテーテルを操向する取っ手を記載している。スチーブンス−ライト等(米国特許第5,715,817号明細書)は、スチーブンス−ライト等の米国特許第5,462,527号明細書に記載されたカテーテルの先端部を作動させる技術において改良例を更に記載している。
【0013】
ハンマースラグ(米国特許第5,108,368号明細書)は、操向可能なガイドワイヤ又はカテーテルを記載しており、かかるガイドワイヤ又はカテーテルでは、先端部は、かかるガイドワイヤ又はカテーテルを貫通して延びる軸方向に動くことができる撓みワイヤにより360°の動作範囲にわたりぐるりと撓むことができる。ハンマースラグ(米国特許第5,820,592号明細書)は、トルク制御ワイヤ又は撓みワイヤを挿通させた案内カテーテルを記載している。アクチュエータを操作することにより、ワイヤが制御されて案内ワイヤを操行し又はその狙いを定める。サベージ(米国特許第5,368,564号明細書)及びサベージ等(米国特許第5,507,725号明細書)も又、先端部を操作するためにカテーテル壁を貫通して延びるワイヤ部材を備えた操向性カテーテルを記載している。
【0014】
同様に、以下の特許文献も又、操作可能にワイヤを利用した操向性カテーテルの変形例を提供しており、かかる特許文献としては、アシサーノ・サード(米国特許第5,571,085号明細書)、クロータ(米国特許第5,359,994号明細書)、ウエスト等(米国特許第5,318,525号明細書)、ナルデオ(米国特許出願公開第2001/0037084号明細書)、バンバロー(米国特許第6,267,746号明細書)、ウェブスター・ジュニア(米国特許第6,123,699号明細書)、ランドクイスト等(米国特許第5,195,968号明細書)及びランドクイスト等(米国特許第6,033,378号明細書)が挙げられる。ファルウェル等(米国特許第6,319,250号明細書)は、当該技術分野において知られている任意適当な操向機構を備えたカテーテルを記載している。
【発明の開示】
【0015】
発明の概要
本発明は、体腔に内視鏡的に接近し、体腔内の標的組織に向かって方向付けられた経路を提供する器具、システム、方法及びキットを提供する。方向付けられた経路は、接近シースを所望の形態に位置決めし、一般的に標的組織の方へ差し向けることにより得られる。次に、インターベンション器具をシースに通して標的部位に至らせることができる。標的組織の存在場所及び所望のアプローチ角に応じて、接近シースは、インターベンション器具を正しく差し向けるよう1つ以上の平面内に1つ以上のカーブを維持することが必要とされる場合がある。本発明の接近シースは、シースがこれら曲率を形成できるよう一連の関節動作部材から成る一部を有している。加うるに、接近シースは、関節動作部材を定位置に保持し、所望の形態を維持する係止手段を有する。関節動作部材をシース内に設けられた関節動作機構、例えば、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通したプルワイヤによって位置決めできる。或いは、関節動作可能な栓子をシース内に位置決めしてもよく、この場合、栓子の関節動作により、包封状態のシースが所望の関節動作位置に動く。次に栓子を取り外すと、シースは、関節動作位置に位置したままになる。かくして、本発明により、標的組織に操向機構を各インターベンション器具に組み込む必要なく又は各インターベンション器具を使用時に再位置決めする追加の時間を費やす必要なく、接近シースから繰り返し接近できる。
【0016】
本発明の第1の特徴では、体腔に接近するための関節動作可能な接近シースが提供される。接近シースは、シャフトを有し、シャフトは、近位端部、遠位端部及びこれを貫通した中央ルーメンを有する。遠位端部は、体腔に接近する意図した方法に適するよう寸法決めされている。体腔に腹腔鏡下で、胸腔鏡下で、内視鏡下で、血管内的に、経皮的に又は任意適当な適当な手段で接近できる。好ましくは、接近シースの遠位端部は、体内管腔、例えば血管系内の血管に通すことができる。これは、心臓の腔(心室及び心房)に接近する場合には特にそうであり、これは、大腿静脈及び下大静脈又は上大静脈を通って右心房に接近でき又は大腿動脈又は腋窩動脈及び大動脈を通って左心室に接近できる。遠位端部は、更に、右心房から左心房に動くことができるよう心房内中隔を穿刺するよう構成されたものであるのがよい。器具を挿通位置決めできる他の体内管腔としては、胃に接近するための食道、胃腸系に接近するための結腸、肺に接近するための気管又は尿路に接近するための尿管が挙げられる。他の場合では、接近シースの遠位端部は、例えば心臓に対する直接接近手技では体組織を直接通過できる。接近シースを胸壁に設けた穿刺部内に位置決めし、この接近シースを用いて心臓の外部に接近して診断及びインターベンション手技、例えば心房細動を治療するための肺静脈のアブレーションを行なうことができる。変形例として、シースを心臓の壁に通してその内部室に接近してもよい。中央ルーメンは、シャフトの長さにわたって延び、例えば弁修復、電気生理学的マッピング及びアブレーション並びに中隔欠損修復のような手技を行なうようインターベンション器具、例えばカテーテル又はツールを通すことができるよう寸法決めされている。種々のインターベンション器具に対応するため、中央ルーメンは一般に、シャフトの断面全体と比較して比較的大きい。
【0017】
シャフトは、一連の関節動作部材から成る一部を更に有する。関節動作部材は、任意適当な形状のものであってよいが、好ましい実施形態では、関節動作部材は、相互に嵌合するドーム付きリングから成る。リングの特徴により、中空ルーメンを形成する中空内部が得られる。ドームの特徴により、隣りのドーム付きリングの相互嵌合面に対して回転可能な表面が得られる。ドーム付きリングは個々に回転可能なので、一連の関節動作部材を任意の経路を辿るよう種々の配列状態で位置決めできる。代表的には、一連の関節動作部材から成るシャフトの部分は、遠位端部である。これは、遠位端部が通常体腔内に送り進められ、挿通されるインターベンション器具を正しく方向付ける関節動作の恩恵を受けるからである。しかしながら、関節動作部分をシャフトに沿う任意の場所に設けてもよく、そして一連の関節動作部材を有する2つ以上の部分を設けてもよいことは理解できよう。
【0018】
幾つかの実施形態では、シースは、関節動作部材を関節動作させる少なくとも1本のプルワイヤを有する。プルワイヤは、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して関節動作部材を有するシャフトの部分を関節動作位置に動かす。プルワイヤは、中央ルーメンを通り又は関節動作部材の壁に設けられた個々のルーメンを貫通することができる。理解できるように、2本以上のプルワイヤが任意所与のルーメンを貫通してもよい。シャフトの最適な位置決めを可能にするため、複数本のプルワイヤが、中央ルーメンの周囲周りの幾つかの場所に設けられている。各プルワイヤが設けられていることにより、プルワイヤの方向におけるシャフトの関節動作が可能である。例えば、シャフトの一方の側部に沿って延びるプルワイヤを引き又はこれに張力を与えると、シャフトは、曲がり、弓形になり又はその側部に向かって曲率(湾曲)を生じさせる。次にシャフトを真っ直ぐにするためには、はね返り効果を得るために張力を除くのがよく、又は張力をシャフトの反対側の側部に沿って延びるプルワイヤに与えるのがよい。したがって、プルワイヤをシャフトの両側に沿って対称に配置するのがよい。任意の本数のプルワイヤが可能であるが、一般に、4本〜8本のプルワイヤが好ましい。
【0019】
各プルワイヤは、張力がプルワイヤに与えられたときに結果的にシャフトの特定の曲率をもたらすよう選択された場所でシャフトに取り付けられる。例えば、プルワイヤが一連の関節動作部材中の最も遠位側の関節動作部材に取り付けられている場合、張力をプルワイヤに与えることにより、プルワイヤの経路に沿う取付け箇所の近位側の関節動作部材が圧縮される。この結果、曲率又は湾曲部が取付け箇所の近位側のプルワイヤの方向に生じる。理解できるように、プルワイヤをシャフトに沿う任意の場所に取り付けてもよく、これは関節動作部材への取り付けには限定されない。
【0020】
2つ以上の曲率が望ましいとき、プルワイヤは、種々の取付け箇所で取り付けられ、各取付け箇所は、シースの互いに異なる曲率をもたらし又はその全体的な関節動作位置を変更する。例えば、第1のプルワイヤが一次取付け箇所のところでシャフトにしっかりと取り付けられているとき、張力を第1のプルワイヤに与えると、一次取付け箇所の近位箇所の一連の関節動作部材が弓形になり、一次カーブが形成される。遠位端部が遠位先端部で終端し、一次取付け箇所が遠位先端部のところに設けられている場合、一次カーブは、一連の関節動作部材全体にわたって延びる。一次取付け箇所が一連の関節動作部材に沿う中間に配置されている場合、一次カーブは、一次取付け箇所の近位側の一連の関節動作部材にわたって延びる。第2のプルワイヤが二次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられているとき、張力を第2のプルワイヤに与えると、二次取付け箇所の近位側の一連の関節動作部材が弓形になり、二次カーブが形成される。一次カーブ及び二次カーブは、同一平面内に位置してもよく、或いは互いに異なる平面内に位置してもよい。幾つかの実施形態では、これら平面は、実質的に互いに直交している。
【0021】
幾つかの実施形態では、第3のプルワイヤが、遠位取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられ、張力を第3のプルワイヤに与えると、遠位端部が角度シータ動く。特に、遠位取付け箇所が遠位先端部の近くに設けられているとき、第3のプルワイヤは、遠位先端部を角度シータ動かす。角度シータについては後の明細書部分において詳細に記載すると共に説明する。しかしながら、角度シータは一般に、中心線に対して遠位先端部を傾け又はこれに角度を付けてシースの関節動作位置を更によくする。角度シータは、少なくとも一次カーブ又は二次カーブ、場合によってはこれら両方のカーブとは異なる平面内に位置する場合が多い。事実、角度シータは、一次カーブと二次カーブの両方に直角な平面内に位置するのがよい。
【0022】
取っ手上に設けられたアクチュエータを操作することにより張力がプルワイヤに与えられる。取っ手は、関節動作可能な接近シースの近位端部に連結され、人体の外部に位置したままである。アクチュエータは、任意適当な形態のものであってよく、かかる形態としては、ちょっと挙げただけでも、ボタン、レバー、ノブ、スイッチ、トグル、ダイアル又はサムホイール(指動輪)が挙げられる。各アクチュエータは、張力を個々のプルワイヤ又は1組のプルワイヤに与えることができ、又は関節動作要素をそのタイプに応じて作動させることができる。一般に、各曲率、例えば一次曲率及び二次曲率を形成し、角度シータにわたる運動を生じさせるために互いに異なるアクチュエータが用いられる。取っ手は、係止機構を作動させる係止アクチュエータを更に有するのがよい。
【0023】
係止により、関節動作部材は、関節動作位置に保持される。かかる係止により、シースは、インターベンション器具を挿通させた状態で関節動作位置に維持される。シースは、非操向性インターベンション器具をその中央ルーメン中で撓めさせて案内すると共にインターベンション器具を体腔、特に体腔内の標的組織に差し向けるのに十分な剛性を保持する。幾つかの実施形態では、係止手段は、関節動作部材相互間の十分な摩擦力から成り、これら関節動作部材は、1つの関節部材と別の関節部材との間の摩擦の作用又は関節動作部材相互間の摩擦要素の存在により定位置に保持される。他の実施形態では、係止手段は、プルワイヤのうちの少なくとも1本を張力付与状態に保持する機構を含む係止機構から成る。上述したように、張力をプルワイヤに与えることにより、代表的には、関節動作部材の一部が互いに引かれ、カーブが形成される。プルワイヤをこの張力付与状態に保持することにより、関節動作部材は、この配置状態を維持できる場合が多い。これよりも多い本数のプルワイヤを定位置に保持することにより、この配置状態を維持する能力が増大する。したがって、係止機構によっては、プルワイヤの全てを張力付与状態に保持するものがある。個々のプルワイヤが一連の関節動作部材の個々の部分を制御するとき、これら部分は、適当なプルワイヤの張力を保持することにより個々に係止できる。これは、例えば所望の一次カーブが作られ、二次カーブが企てられているときに有用な場合がある。一次カーブを二次カーブを作る前に定位置に係止するのがよく、それにより各カーブを別個独立に形成できる。
【0024】
ほんの数タイプのカーブを関節動作位置と関連して説明するに過ぎないが、理解できるように、一連の関節動作部材全体を通じて任意の個数のカーブ又は形状を形成することができる。加うるに、一連の関節動作部材から成るシャフトの部分全体にわたり永続的なカーブを設けてもよい。かかる永続的なカーブは、関節動作部材の形状、関節動作部材を互いに配置し又は嵌合する仕方、或いは任意他の機構の結果である場合がある。さらに、一連の関節動作部材から成るシャフトの部分とは異なるシャフトの部分全体にわたり任意の個数のカーブ又は形状をあらかじめ成形してもよい。さらに、変形例としての関節動作要素、例えば、ちょっと挙げてみただけでもプッシュロッド、熱制御形状記憶合金ワイヤ、油圧流体又は空気圧流体を用いてもよい。
【0025】
本発明の第2の特徴では、体腔に接近するための接近システムが提供される。接近システムは、シャフトを含むシースを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及びこれを貫通した中央ルーメンを有する。この場合も又、遠位端部は、体腔に接近する意図した方法に適するよう寸法決めされている。さらに、シャフトの一部は、固定位置に係止できる一連の関節動作部材から成る。接近システムは、中央ルーメンを通ることができるよう寸法決めされた栓子及び栓子を関節動作させる手段を更に有する。栓子の作動により、シースの関節動作部材は、係止時に固定位置になる関節動作位置に位置決めされる。次に、栓子を取り外してインターベンション器具を挿通させることができるようにする。
【0026】
一連の関節動作部材から成るシャフトの部分は、関節動作可能な接近シースに関して上述したのと同一又は類似したものであるのがよい。この場合も又、好ましい実施形態では、関節動作部材は、相互に嵌合するドーム付きリングから成り、各ドーム付きリングは、隣りのドーム付きリングに対して別個独立に回転可能である。さらに、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通するプルワイヤを設けるのがよい。しかしながら、この実施形態では、プルワイヤは、関節動作部材を位置決めするために用いられるわけではなく、これとは異なり、プルワイヤは、関節動作部材を固定位置に係止するために用いられる。幾つかの実施形態では、プルワイヤは、関節動作部材を固定位置に保持し又は係止するのに十分な摩擦力で関節動作部材を互いに接触状態に保持する。他の実施形態では、張力をプルワイヤの幾つか又は全てに与えて関節動作部材を一緒に更にくさび止めし、したがってこれらを定位置に係止するのがよい。
【0027】
関節動作部材を栓子の作用により関節動作位置に動かす。栓子をシャフトの中央ルーメン内にいったん配置すると、栓子を任意の配置状態に動かすことができる。例えば、栓子は、曲げ部、弓形部、カーブ又はアングル(山形部)を有するよう付形できる。かかる付形は、任意適当な機構により達成でき、かかる機構としては、関節動作可能な接近シースを関節動作させることと関連して上述したプルワイヤと同様に作用するプルワイヤが挙げられる。栓子の付形により力が中央ルーメンに加えられ、付形がその周囲のシースに伝えられる。この場合も又、関節動作位置は、任意の数のカーブを含むことができ、かかるカーブとしては、ちょっと挙げてみただけでも、一次カーブ、二次カーブ又は角度シータが挙げられる。さらに、これらカーブは、同一の平面又は互いに異なる平面内に位置することができる。
【0028】
栓子の関節動作は、栓子取っ手上に配置されたアクチュエータの操作により達成できる。栓子取っ手は、栓子の近位端部に連結され、人体の外部に位置したままである。アクチュエータは、任意適当な形態のものであってよく、かかる形態としては、ちょっと挙げただけでも、ボタン、レバー、ノブ、スイッチ、トグル、ダイアル又はサムホイール(指動輪)が挙げられる。各アクチュエータは、張力を個々のプルワイヤ又は1組のプルワイヤに与えることができ、又は関節動作要素をそのタイプに応じて作動させることができる。一般に、各曲率、例えば一次曲率及び二次曲率を形成し、角度シータにわたる運動を生じさせるために互いに異なるアクチュエータが用いられる。栓子取っ手は、栓子係止機構を作動させる栓子係止アクチュエータを更に有するのがよい。
【0029】
栓子係止機構は、栓子を関節動作位置に係止する。かかる係止により、栓子は、次にシースを定位置に係止した状態で関節動作位置に維持される。幾つかの実施形態では、栓子とシースの間の両方の係止機構は、プルワイヤのうちの少なくとも1本を張力付与状態に保持する機構を含む。係止機構の中には、プルワイヤの全てを張力付与状態に保持するものがある。個々のプルワイヤが栓子又は一連の関節動作部材の個々の部分に影響を及ぼすとき、適当なプルワイヤの張力を保持することによりこれら部分を個々に係止することができる。
【0030】
この場合も又、ほんの数タイプのカーブを関節動作位置と関連して説明するに過ぎないが、理解できるように、一連の関節動作部材全体を通じて任意の個数のカーブ又は形状を形成することができる。加うるに、永続的なカーブも又、例えば熱硬化により栓子全体にわたりあらかじめ設定することもできる。次に、又、これら永続的なカーブは周りのシースに伝えられることになる。
【0031】
シースを定位置に係止した後、次に栓子を解除して取り外すのがよい。また、栓子が永続的な熱硬化カーブを有している場合、係止状態のシースは、シースの形状を変えることなく、あらかじめカーブが設けられた栓子の取り外しを可能にするほど十分剛性がある。シースは又、非操向性インターベンション器具をその中央ルーメン中で撓めさせて案内すると共にインターベンション器具を体腔、特に体腔内の標的組織に差し向けるのに十分な剛性を保持する。
【0032】
他の実施形態では、栓子は、単一のカーブを形成するに過ぎない場合があるが、シースに複合カーブ又は多数のカーブを形成するよう使用できる。例えば、栓子をシースに沿う第1の場所に位置決めし、それにより一次カーブを形成することができる。次に、シースを定位置としてのこの第1の場所に係止して一次カーブを保持する。次に、栓子をシースに沿う第2の場所に位置決めし、それにより二次カーブを形成することができる。同様に、次にシースを第2の場所に係止して二次カーブを保持する。それ故、単一のカーブを形成することができる栓子から多数のカーブ又は複合カーブを形成することができる。この技術的思想は、たった1つのカーブよりも多い数のカーブを形成できるが、より複雑な又はより多い数のカーブをシースに形成するよう用いられる栓子に及ぶよう拡張できる。
【0033】
本発明の第3の特徴では、体腔に接近する方法が提供される。一実施形態では、この方法は、体内管腔を通って体腔までシースを前進させる段階を含み、シースは、シャフトを有し、シャフトは、近位端部、遠位端部、これを貫通した中央ルーメンを有し、シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成る。シースを用いて任意の経路を介し、例えば、腹腔鏡下、胸腔鏡下、内視鏡下、血管内的に又は経皮的に任意の体腔に接近できるが、シースは特に、心臓の1つ以上の室に接近するよう使用できる。心臓の腔は、治療のための標的となり得る多くの組織、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、弁、腱索、乳頭筋、プルキンエ系、肺静脈及び冠動脈への接近を可能にする。僧帽弁を標的にする場合、左心房に接近して上から弁に近づくのがよい。これを達成するため、血管系を通ってシースを右心房まで前進させ、心房内中隔を通って左心房に至らせるのがよい。次に、関節動作部材を関節動作させて一連の関節動作部材から成るシャフトの部分を関節動作位置に動かす。理解できるように、変形例として、僧帽弁に下から又は左心室に接近することにより心室側から近づいてもよい。これは代表的には、血管系を通ってシースを大動脈まで前進させ、そして大動脈弁を通って左心室内へ送り進めることにより達成される。このアプローチの例及び他のアプローチ方法は、2001年6月27日に出願された米国特許出願第09/894463号(代理人事件番号:020489−000400US)明細書に記載されており、この特許文献の記載内容を全ての目的について参照により引用する。さらに別の方式では、接近シースを、心臓の腔に接近するために胸壁に設けられた外科的穿刺部を通り、そして心臓の壁に設けられた穿刺部を通って位置決めするのがよい。好ましくは、僧帽弁及び心臓の左側の他の手技に関し、接近シースを右心房内に導入し、次に心房内中隔を横切って左心房内へ前進させる。
【0034】
上述したように、関節動作位置は、シースを標的組織の方へ正しく差し向ける任意の個数のカーブ又は形状を含むのがよい。右心房を経由して僧帽弁を標的にする場合、シースの遠位端部は、右心房の開口空間内へ延びる。シースの遠位先端部を僧帽弁の方へ差し向けるため、シースを関節動作させて遠位先端部を、数例を挙げると、側方に、上下に又は斜めに動かすのがよい。例えば、関節動作位置は、弁表面に平行な一次平面内に位置する一次カーブを含むのがよい。これにより、遠位先端部は弁に関して側方に動く。関節動作位置は、二次平面内に位置する二次カーブを更に含むのがよく、代表的には、二次平面は、一次平面とは異なり、任意的に、一次平面に実質的に直角である。これにより、遠位先端部は、上下に、そして斜めに動き、中央ルーメンを二次平面に沿って弁に近づく方へ又は弁から遠ざかる方向へ差し向ける。これらのカーブ又は追加のカーブに加えて、関節動作位置は、角度シータを更に含むのがよい。これにより、遠位先端部を二次平面とは異なる平面内で上下に、そして斜めに動く。その結果、中央ルーメンを弁に近づく方へ又はこれから遠ざかる方へ差し向けることができ、シータ平面は、二次平面とは異なり、任意的に1次平面とも異なる。
【0035】
関節動作部材を関節動作させることは、上述した手段のうちの任意のものによって達成できる。例えば、シースは、関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通する少なくとも1本のプルワイヤを更に有するのがよい。かくして、張力をこの少なくとも1本のプルワイヤに与えることにより、関節動作部材は関節動作することになる。関節動作部材を所望の関節動作位置にいったん動かすと、関節動作部材は、定位置に係止される。関節動作部材を係止する段階は、係止機構により少なくとも1本のプルワイヤの張力を保持する段階を含むのがよい。上述したように、係止は、プルワイヤの全ての張力を保持することにより達成できる。
【0036】
シースを関節動作位置にいったん係止すると、次に、インターベンション器具を中央ルーメン中へ通し、この場合、関節動作位置は、インターベンション器具を体腔内へ差し向ける。この例では、インターベンションカテーテル又はツールを、中央ルーメンを通って左心房内へ動かし、そして僧帽弁の方に差し向ける。シースの取る方向により、インターベンション器具を、リーフレット相互間で弁を通って前進させるのがよいが、このようにするかどうかは任意である。次に、所望の外科手技を行なうのがよい。追加のカテーテル又はツールが必要な場合、シースが関節動作位置に位置したままの状態で、1つの器具を取り外し、別の器具を前進させることにより器具を容易に交換できる。
【0037】
別の実施形態では、この方法は、体内管腔を通って体腔までシースを前進させる段階を含み、この場合、シースは、シャフトを有し、シャフトは、近位端部、遠位端部、これを貫通した中央ルーメンを有し、シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成る。しかしながら、この実施形態では、この方法は、栓子を中央ルーメン中へ通す段階と、栓子を関節動作させて関節動作部材を関節動作位置に位置決めする段階を含む。栓子を上述した手段のうちの任意のものによって関節動作させることができる。次に、関節動作部材を関節動作位置に係止し、栓子を取り外してインターベンション器具が中央ルーメン中へ通ることができるようにし、関節動作位置は、インターベンション器具を体腔内へ差し向ける。 本発明の第4の特徴では、本発明の器具、システム及び方法は、かかる使用のための1個以上のキット内に提供できる。キットは、接近シース及び使用説明書を有するのがよい。接近シースは、シース内に組み込まれた機構によって関節動作可能であり、又はキットは、シースを関節動作させる際に用いられる関節動作可能な栓子を有するのがよい。かかるキットは、本発明と関連して説明した他のシステムコンポーネントのうちの任意のもの及び本発明に適した任意他の材料又はアイテムを更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0038】
本発明の他の目的及び利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
発明の詳細な説明
関節動作可能な接近シース
図1を参照すると、本発明の関節動作可能な接近シース10の実施形態が示されている。シース10は、近位端部12、遠位端部14及び貫通した中央ルーメン16を備えたシャフト11を有する。遠位端部14は、体内管腔を通って体腔まで至ることができるよう寸法決めされている。したがって、遠位端部14は好ましくは、外径が約0.040インチ〜0.500インチ、より好ましくは0.130インチ〜0.300インチである(なお、1インチは、約2.54cm)。中央ルーメン16は、インターベンション器具を通すことができるよう寸法決めされている。したがって、中央ルーメン16は好ましくは、内径が約0.030インチ〜0.450インチ、より好ましくは0.120インチ〜0.250インチである。加うるに、シャフト11の一部は、一連の関節動作部材18で構成されている。この実施形態では、関節動作部材18は、シャフト11の遠位端部14のところに設けられ、遠位先端部15で終端するものとして示されている。この場合、関節動作部材18は、シース10の最も遠位側へ1〜10cmにわたって延びている。しかしながら、関節動作部材18をシースに沿う任意の場所に設けてもよいことは理解できよう。例えば、真っ直ぐな又は非関節動作部分が遠位端部14の近くに存在することが望ましい場合、関節動作部材18をより近位側の位置に設けてもよい。
【0040】
関節動作部材18を備えたシャフト11の部分は、1つ以上の位置決め機構の作動により関節動作位置まで動くことができる。位置決め機構の作動は、取っ手20に設けられたアクチュエータ、例えばアクチュエータ22,24,26を用いることにより達成される。取っ手20は、シャフト11の近位端部12に連結されていて、使用中、患者の体外に位置したままである。アクチュエータ22,24,26は、関節動作部材18を有するシャフト11の部分を曲げ、弓形にし又は形作り直すために用いられる。例えば、一次カーブアクチュエータ22を用いると、1本以上のプルワイヤ(引きワイヤ)を作動させて一連の関節動作部材18から成るシャフト11の部分に一次カーブを形成することができる。さらに、二次カーブアクチュエータ24を用いると、一連の関節動作部材18から成るシャフト11の部分に二次カーブを形成することができる。さらに、シータアクチュエータ26を操作すると、遠位先端部15を角度シータ動かすことができる。加うるに、係止アクチュエータ28を用いると、係止機構を作動させて関節動作部材18を関節動作位置に係止することができる。アクチュエータ22,24,26は、サムホイール(指動輪)として示され、アクチュエータ28は、回転ノブとして示されている。かかるアクチュエータ22,24,26,28及び取っ手20に設けられた任意追加のアクチュエータは、ノブ、ボタン、レバー、スイッチ、トグル、センサ又は他の器具を含む任意適当な形態を取り得ることは理解されよう。加うるに、取っ手20は、上方、例えばシース10の関節動作位置を指示する数値又は図形表示装置を有するのがよい。
【0041】
例示としての関節動作位置
図2A〜図2Dは、接近シース10の関節動作部材18が取ることができる関節動作位置の例を示している。図2Aを参照すると、関節動作部材18は、一次カーブ40を含む関節動作位置に動くことができるよう構成されている。一次カーブ40は代表的には、約0.125インチ〜1.000インチ、好ましくは約0.250インチ〜0.500インチの曲率半径42を有する。図示のように、関節動作位置が一次カーブ40のみを有する場合、関節動作部材18は、単一の平面X内に位置する。遠位先端部15のところで中央ルーメン16の中心を通る軸線xは、平面X内に位置する。
【0042】
図2Bを参照すると、関節動作部材18は、更に、関節動作位置が二次カーブ46を更に含むよう構成されたものであるのがよい。二次カーブ46は代表的には、約0.050インチ〜0.750インチ、好ましくは約0.125インチ〜0.250インチの曲率半径48を有する。二次カーブ46は、一次カーブ40と同一の平面、即ち、平面X内に位置してもよく、或いは、これとは異なる平面、図示のように平面Z内に位置してもよい。この例では、平面Zは、平面Xに実質的に直角である。遠位先端部15のところで中央ルーメン16の中心を通る軸線zは、平面Z内に位置する。軸線xと軸線zを比較することにより、遠位先端部15の運動を比較することができる。二次カーブ46を含むよう関節動作部材18を調節することにより、中央ルーメン16は、軸線xに沿って図示のように下方に差し向けられる。この例では、軸線xと軸線zは、互いに実質的に90°の角度をなすが、軸線xと軸線zは、互いに対して任意の角度をなしてもよいことは理解されよう。また、この例では、一次カーブ40と二次カーブ46は、互いに異なる表面、具体的には実質的に直交した平面内に位置しているが、変形例として、カーブ40,46は、同一平面内に位置してもよい。
【0043】
次に図2Cを参照すると、関節動作部材18は、更に、遠位先端部15が角度シータ50動くことができるよう操作できる。角度シータ50は、約−100°〜+100°、好ましくは約−50°〜+50°である。図示のように、角度シータ50は、平面Y内に位置する。特に、遠位先端部のところで中央ルーメン16の中心を通って延びる軸線yは、軸線zと角度シータ50をなす。この例では、平面Yは、平面Xと平面Zの両方に直角である。軸線x,y,zは全て、中央ルーメン16内の一点で交差しており、この一点は又、平面X,Y,Zの交線と一致している。
【0044】
これと同様に、図2Dは、軸線Zの反対側における角度シータ50にわたる遠位先端部の運動を示している。この場合も又、角度シータ50は、軸線zから、遠位先端部15のところで中央ルーメン16の中心を通って延びる軸線yまで測定されている。図示のように、角度シータ50は、平面Y内に位置している。かくして、一次カーブ40、二次カーブ46及び角度シータ50は全て、互いに異なる平面、任意的に互いに直交した平面内に位置するのがよい。しかしながら、一次カーブ40、二次カーブ46及び角度シータ50の存在平面は、相互に依存的であってよく、したがって、これらの幾つかが同一平面内に位置してもよいことは理解されよう。
【0045】
さらに、関節動作部材18は、追加のカーブ又は形状をもたらすよう構成されたものであるのがよい。例えば、図3に示すように、関節動作部材18により、一次カーブ40、二次カーブ46及び角度シータ50の近位側に追加のカーブ54を形成することができる。かかる追加のカーブ54は、取っ手20に設けられたアクチュエータを操作することにより関節動作部材18によって形成でき、或いは、カーブ54は、永続的にあらかじめ形成されたものであってもよい。これと同様に、任意の数のカーブ又は形状を一連の関節動作部材18を有するシースの部分以外のシースの部分全体にわたってあらかじめ形成してもよい。加うるに又は変形例として、予備形成部分を、一連の関節動作部材18を有するシースの部分と、例えば交互のパターンで混在させてもよい。かくして、任意の数のカーブを接近シース10に形成して関節動作位置を形成することができる。
【0046】
図2A〜図2D及び図3に示す接近シース10の関節動作位置は、僧帽弁に接近するのに特に有用である。図4A〜図4Cは、接近シース10を用いて僧帽弁MVに接近する方法を示している。僧帽弁に接近するために、接近シース10を大腿静脈に設けた穿刺部から下大静脈を通って右心房に動かすのがよい。図4Aに示すように、接近シース10を心房内中隔S内の窩Fに刺入するのがよい。次に、接近シース10を窩F中へ前進させて遠位先端部15が僧帽弁MV上に差し向けられるようにする。この場合も又、理解されるように、このアプローチは、単なる一例として役立つに過ぎず、他のアプローチ、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、頸動脈からのアプローチ、大腿動脈からのアプローチ、ポートアクセス又は直接アクセス方式を利用することができる。
【0047】
次に、遠位先端部15を動かしたり傾けたりして中央ルーメン16が標的組織、この場合僧帽弁MVの方へ差し向けられるようにすることが望ましい。特に、中央ルーメン16は、僧帽弁MVの特定の領域、例えば弁リーフレットLF相互間の開口部60の方へ差し向けられて特定のインターベンション手技を実施できるようにすべきである。一次カーブ40を上述したように一連の関節動作部材18で形成することができる。この例では、一次カーブ40を形成することにより、遠位先端部15は、弁表面に平行な上述の平面Xに相当する一次平面内に動かされる。これにより、遠位先端部15は、僧帽弁MVの短軸に沿って側方に動くと共に遠位先端部15を開口部60の上方で心出しすることができる。この関節動作位置では、中央ルーメン16に通された任意のインターベンション器具は、僧帽弁MV上で水平に差し向けられる。カテーテル又はツールを開口部60内へ差し向けるためには、遠位先端部15を僧帽弁MVに向かって下方に差し向けることが必要である。
【0048】
図4Bを参照すると、接近シース10は、上述の平面Zに相当する二次平面内に二次カーブ46を有する関節動作位置にある状態で示されている。二次カーブ46を形成することにより、遠位先端部15は交連部C相互間で垂直に且つ斜めに動き、中央ルーメン16が僧帽弁MVの方へ差し向けられる。この関節動作位置では、中央ルーメン16に通されたインターベンション器具は開口部60の方へ且つ(或いは)これを通って差し向けられる。一次カーブ40及び二次カーブ46は、僧帽弁MVの種々の解剖学的変化及び種々の外科手技に対応するよう変えることができるが、接近シース10の正しい位置決めのためにはこれら2つの曲率を超える調整が別途望ましい場合がある。
【0049】
かくして、接近シース10は、関節動作部材18全体にわたり追加の曲率を有するのがよいと共に(或いは)遠位先端部15が角度シータ50にわたり角度的に動くことができるようになっているのがよい。これにより、遠位先端部は、上述の平面Yに相当するシータ平面を通って垂直に及び斜めに動く。いずれかの方向における角度シータ50にわたる遠位先端部15の運動が、図4Bに破線で示されている。その結果、中央ルーメン16を二次平面とは異なる平面内で僧帽弁MVの方へ差し向けることができる。かかる運動後、接近シース10は、遠位先端部15を位置決めして遠位先端部15のところの中央ルーメン16の開口部が所望の方向に向くような関節動作位置にあることになる。所望の関節動作位置をいったん達成すると、関節動作部材18を係止手段により定位置に係止する。係止手段は単に、関節動作プロセス中、摩擦により所望の関節動作位置を保持する関節動作部材であってもよい。この状況では、関節動作部材は本質的に既に定位置に係止されている。変形例として、係止手段は、作動されると、例えば関節動作部材を圧縮するケーブルの引っ張りとこの引っ張り位置へのケーブルの係止を同時に行なう係止機構であってもよい。いずれの場合においても、かかる係止により、図4Cに示すようにインターベンション器具70を通すための剛性が接近シース10に提供される。インターベンション器具70を、中央ルーメン16を通って標的組織、この場合、僧帽弁MVに向かって通すことができる。上述したように、遠位端部15を開口部60上に位置決めすることにより、インターベンション器具70は、図示のように所望ならばリーフレットLF相互間の開口部60を通過することができる。この時点で、閉鎖不全又は任意他の障害の強制のための任意所望の外科手技を僧帽弁に施すことができる。
【0050】
関節動作部材
図5を参照すると、一連の関節動作部材18から成るシャフト11の部分の斜視図が示されている。各関節動作部材18は、任意の形状のものであってよく、特に図示のように嵌合又は組み込みを可能にする形状のものである。加うるに、各関節動作部材18は、隣りの関節動作部材18に対して独立して回転できる能力が備えることが望ましい。この実施形態では、関節動作部材18は、相互に嵌合したドーム付きリング84を有する。ドーム付きリング84は各々、ベース88及びドーム86を有している。ベース88及びドーム86は、ドーム付きリング84を連続して嵌合させると、中央ルーメン16を形成する中空内部を有している。加うるに、ドーム86により、各関節動作部材18は、隣りのドーム付きリング84の内面に合致することができる。ドーム86は、隣り合うドーム付きリング84の滑らかな動き及び所望程度の関節動作を可能にするよう選択された凸状曲率を有する。この曲率は、球形、放物線状又は他の丸みのある形状をしているのがよい。変形例として、ドーム86は、1つ又は一連の切頭円錐形表面から成っていてもよい。ベース88は、円筒形、切頭円錐形、ドーム形又は他の適当な外形のものであるのがよい。
【0051】
また、図5に示すように、相互に嵌合したドーム付きリング84は、少なくとも1本のプルワイヤ80によって互いに連結されている。かかるプルワイヤは代表的には、接近シース10の長さ及び相互嵌合ドーム付きリング84のうち少なくとも1つを貫通して、プルワイヤ80がシャフト11にしっかりと固定される固定箇所まで延びている。張力をプルワイヤ80に与えることにより、この少なくとも1本のプルワイヤ80は、カーブを形成するよう取付け箇所の近位側の一連の相互嵌合ドーム付きリング84を弓形にする。かくして、少なくとも1本のプルワイヤを引くことにより又は張力をこれに与えることにより、接近シース10は、そのプルワイヤ80の方向に操向され又はそらされる。ドーム付きリング84の周囲全体にわたって種々のプルワイヤ80を位置決めすることにより、接近シース10を多くの方向に差し向けることができる。各相互嵌合ドーム付きリング84は、各ドーム付きリング84の周囲に沿ってぐるりと設けられた1つ以上のプルワイヤルーメン82を有するのがよく、プルワイヤ80はかかるプルワイヤルーメン中に通される。変形例は、プルワイヤ80を中央ルーメン16中に通してもよい。いずれの場合においても、プルワイヤは、所望のカーブが形成されるべき位置でシース10に取り付けられる。プルワイヤ80は、任意適当な方法、例えばちょっと挙げてみただけでも、はんだ付け、膠着、結束又は注封により定位置に固定できる。かかる固定法は典型的には、用いられる材料で決まる。関節動作部材18は、任意適当な生体適合性材料で構成されたものであってよく、かかる材料としては、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、種々の他の金属、セラミック及びポリマー又はコポリマーが挙げられる。同様に、プルワイヤ80は、任意適当な材料、例えば繊維、ポリマーモノフィラメント又はマルチフィラメントライン、縫合糸、金属ワイヤ又は金属編組物で構成されたものであってよい。好ましい実施形態では、ニチモール又はステンレス鋼のワイヤが利用される。プルワイヤ80は、摩擦を減少させるために減摩性被膜、例えばパリレンで被覆されたものであるのがよい。変形例として、摺動性を高めるようプルワイヤ80を通す低摩擦材料、例えばテフロン(Teflon:登録商標)のシース又はアイレット(図示せず)をルーメン82又は中央ルーメン16に設けてもよい。
【0052】
加うるに、関節動作部材18の選択された部分を所望のカーブを作るために互いに固定してもよい。例えば、関節動作部材18がドーム付きリング84を有する場合、1列をなして位置決めされた2つ、3つ、4つ以上のドーム付きリング84をこれらの相互嵌合位置に固定してリング84相互間の運動又は回転を阻止するのがよい。これは、任意適当な方法、例えばはんだ付け、膠着、結束又は注封により達成できる。かかる固定により、関節動作できないセグメントが作られることになるが、これらセグメントのいずれかの側の関節動作部材18は、関節動作可能である。これは、或る特定のカーブ又は形状、特に正方形の形状又は尖った角を作る際に有用な場合がある。また、関節動作部材18のこれら選択部分を互いに固定すると、真っ直ぐなセグメント又は湾曲したセグメントを形成できることは理解できよう。
【0053】
所望の関節動作位置を得るためにプルワイヤ80をいったん調節すると、一連の関節動作部材18を定位置に係止して接近シース10を所望の関節動作位置に保持するのがよい。かかる係止は、引きワイヤ80の大部分又は全てを同時に保持して各関節動作部材18をその隣りの部材18に押し付けることにより達成される。係止強度は、関節動作部材18の形状、材質及び表面模様を含む多くの変数で決まる。図6A及び図6Bに示すように、ベース88及びドーム86の内部形状は、所望の係止強度、関節動作の度合い、運動の滑らかさ及び接近シース10の操向性をもたらすよう選択される。図6Aに示すように、ドーム付きリング84の内部に傾斜内面90を形成するのがよい。図6Bに示すように、ドーム付きリング84の内部に段付き内面92を設けるのがよい。幾つかの場合において、段付き内面92は、きつく係止する能力を大きくできるが、これは、操向の滑らかさを損なう場合がある。図6Cに示すように、ドーム付きリング84の内部にドーム状内面93を設けてもよい。係止能力を高めるために、ドーム86の外面及び(又は)ベース88の内面90,92,93を摩擦を増大させる材料で模様付けし又は被覆してもよく、又は、各ドーム86に摩擦層を被着させてもよく、或いは摩擦スペーサをドーム付きリング84相互間に位置決めしてもよい。ドーム付きリング84が、金属、例えばステンレス鋼から成る場合、表面粗さを増大させるためにリング84にサンドブラストを掛けるのがよい。変形例として、粗さを増大させるためにサンドペーパ又はスチールブラシも又使用してもよく、或いは表面を焼結し、或いは表面が溝又は隆起部を有してもよい。ドーム付きリング84が射出成形ポリマーから成る場合、所望の粗さを表面に成形により作り又は成形後に機械加工し又は施すのがよい。
【0054】
接近シースを関節動作させるために種々の関節動作機構を用いることができる。好ましい実施形態では、プルワイヤ80が用いられる。任意の本数のプルワイヤ80を用いて接近シース10を関節動作させることができる。図7A〜図7Dは、かかるプルワイヤ80に対応した関節動作部材18の実施形態を示している。図7Aは、関節動作部材18のベース88の断面図である。4つのプルワイヤルーメン82が、ベース88の壁全体にわたり等間隔を置いた状態で示されている。かかる間隔により、4つの方向の各々における関節動作部材の曲率を取ることができる。理解できるように、任意所望の方向において曲率をもたらすよう任意の間隔をプルワイヤルーメン82相互間に達成することができる。図7B及び図7Cは、プルワイヤルーメン82がベース88の壁及びドーム86の壁の一部を通るよう示された関節動作部材18の側面図である。この例では、傾斜内面90が示されているが、理解できるように、任意の内面の輪郭を用いることができる。図7Bは、関節動作部材18の斜視図であり、全部で4つのプルワイヤルーメン82がベース88を貫通すると共にドーム86を部分的に貫通した状態を示している。
【0055】
同様に、図8A〜図8Dは、8本のプルワイヤに対応した実施形態を示している。図8Aは、関節動作部材18のベース88の断面図である。8つのプルワイヤルーメン82が、ベース88の壁の周囲全体にわたり等間隔を置いた状態で示されている。プルワイヤのかかる本数及び配置状態により、4本のプルワイヤを有する実施形態の場合よりも接近シースの曲率又は湾曲度の制御性が高くなる。この場合も又、ルーメンは、所望の曲率をもたらすよう配置されると共に間隔を置くと共に寸法決めされたものであるのがよい。図8B及び図8Cは、8つのプルワイヤルーメン82を有する関節動作部材18の側面図である。図示のように、プルワイヤルーメン82は、ベース88を貫通すると共にドーム86を部分的に貫通している。この実施形態も又、傾斜内面90を示している。しかしながら、内面が段付きであれ、テーパしており、ドーム状になっており、ボール状になっており又はこれらの幾つかの組み合わせの状態であっても、いずれにせよ、任意の形式の内面を用いることができる。同様に、図9A〜図9Dは、8つのプルワイヤルーメン82を有する接近シース10の実施形態を示す図である。しかしながら、この場合、この実施形態は、特に図9B及び図9Cに見える段付き内面92を示している。
【0056】
図10A〜図10Eは、関節動作中、プルワイヤが引っ掛かって動かなく恐れを軽減すると共に、カーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材18の実施形態を示している。関節動作中、プルワイヤがつかえて又は引っ掛かって動かなくなるのを軽減するために、長円形のプルワイヤルーメン83が用いられている。関節動作部材18のベース88の断面図である図10Aに示すように、4つの円形プルワイヤルーメン82が、4つの長円形プルワイヤルーメン83と共に設けられている。ルーメン82,83は、ベース88の壁全体にわたり等間隔に且つ交互に位置した状態で示されている。かかる間隔により、4つの方向の各々における関節動作部材の湾曲が可能である。長円形プルワイヤルーメン83により、プルワイヤは、ルーメン83に沿ってシフトし又は摺動して、プルワイヤが関節動作部材18中を辿るようにするためのなだらかで滑らかな経路を提供することができる。長円形プルワイヤルーメン83は、断面が卵形、楕円形、弧状又は丸みもある矩形の形状のものであってよく、円周方向におけるその長さは、半径方向における幅よりも実質的に長く、通常、長さが少なくとも1.5倍であり、好ましくは長さが少なくとも2倍であり、或る実施形態では、長さが少なくとも3倍であり、関節動作部材18の周囲に沿って少なくとも約5°、好ましくは少なくとも約20°の弧角を張るのがよい。図10Bは、関節動作部材18の側面図であり、かかる側面図においては、円形プルワイヤルーメン82が、ベース88の壁及びドーム86の壁の一部を貫通するよう示され、長円形プルワイヤルーメン83が、円形プルワイヤルーメン82の両側に位置した状態で示されている。好ましい実施形態では、円形プルワイヤルーメン82は、関節動作部材18の周囲に沿ってぐるりと長円形プルワイヤルーメン83と交互に位置している。この実施形態では、ドーム86は好ましくは、その外面に設けられたチャネルにより分離された一連の環状区分に分割されていて、隣り合う関節動作部材18相互間の接触が環状区分の外面に限定されるようになっている。チャネルのうちの幾つか又は全ては、長円形プルワイヤルーメン83と軸方向に整列するのがよい。ドーム86の環状区分は好ましくは、関節動作部材18の周囲に沿って約10°〜80°、好ましくは約20°〜45°の角度を張っている。
【0057】
関節動作中、カーブの安定性を増大させるために、ピンが用いられて関節動作部材18を図10C〜図10Eに示すように互いに整列状態に保っている。図10Cに示すように、少なくとも1つの穴89が、ドーム86の壁に形成され、切欠き91が、ベース88に形成されている。図10Dは、関節動作部材18に設けられたかかる穴89及び切欠き91の斜視図である。代表的には、図示のように、穴89及び切欠き91は、関節動作部材18の互いに反対側の側部に1対ずつ形成されている。次に図10Eを参照すると、ピン93が、穴89に差し込まれて定位置にはんだ付けされている。かかるピン93は代表的には、ステンレス鋼であり、外径が約0.020インチ、長さは約0.030インチであるのがよい。関節動作部材18を図示のように組み付けて相互に係止すると、切欠き91は、ピン93を受け入れる。かくして、関節動作中、関節動作部材18の運動は、ピン93を通って引かれた軸線回りの回転に制限される。これにより、器具が安定化されると共に望ましくない方向の回転が減少する。
【0058】
ライナ
図11Aを参照すると、接近シース10は、関節動作部材18のルーメンを貫通した種々のライナを更に有するのがよい。図示のように、編組体104が、シャフト11の中央ルーメン16を貫通するのがよい。かかる編組体は、ステンレス鋼又は任意適当な材料で構成されたものであるのがよい。代表的には、編組体104は、シャフト11の長さを貫通して関節動作部材18まで延びている。編組体104は、関節動作部材18の近位側のシャフト11の剛性及びトルク応答性をもたらす。したがって、編組体104は、関節動作部材18の中を延びてはいない。その代わりに、外側ライナ102と内側ライナ100が、これらの間に設けられたコイル101又はこれに類似した構造体によって支持された状態で、関節動作部材18の長さ全体にわたって延びている。代表的には、コイル101は、ステンレス鋼又はこれに類似した材料で構成されている。幾つかの実施形態では、外側ライナ102は、ちょっと例を挙げてみただけでも、35D PEBAX、PTFE、ウレタン、ナイロン又はポリエチレンから成る。しかしながら、任意適当なポリマーを用いることができる。また、幾つかの実施形態では、内側ライナ100は、PTFE又はこれに類似した低摩擦材料で構成されている。かかるライナ100,102により、インターベンション器具70を関節動作部材18に当てないで中央ルーメン16中に通すことができる。加うるに、プルワイヤルーメンライナ106が、プルワイヤルーメン102を貫通し、プルワイヤ80を包封するのがよい。かかるプルワイヤルーメンライナ106は、プルワイヤ80の強度、可撓性及び保護をもたらすよう編組ポリイミド又は任意適当な材料で構成されるのがよい。最後に、幾つかの実施形態では、外部ライナ105が、関節動作部材を覆った状態で位置決めされ、内側ライナ100及び外側ライナ102に遠位先端部のところで融着されている。かかる外部ライナ105は、任意適当な材料、例えばPEBAX 35Dで構成されるのがよく、一般に関節動作部材の保護及び連続性が得られるようにするためのものであり、血液バリヤとして働く。
【0059】
関節動作
上述したように、プルワイヤ80は、関節動作部材18中を通り、種々の取付け箇所でシャフト11に取り付けられている。図11Bを参照すると、第1のプルワイヤ120が、一次取付け箇所122のところでシャフト11にしっかりと取り付けられた状態で示されている。張力を第1のプルワイヤ120に与えることにより、一次取付け箇所122の近位側の一連の関節動作部材18が弓形になり、一次カーブ40が形成される。この例では、一次取付け箇所122は、一連の関節動作部材18に沿う中間に位置した状態で示されている。これにより、この箇所122の近位側に一次カーブ40が得られる。理解できるように、一次取付け箇所122を遠位先端部15のところを含むシャフト11に沿う任意の場所に設けてもよい。遠位先端部15に取り付けられた場合、張力を第1のプルワイヤ120に与えると、関節動作部材18のその遠位側部分全体にわたり一次カーブ140が形成される。
【0060】
図11Bに示す例では、第2のプルワイヤ124が、二次取付け箇所126のところでシャフト11にしっかりと取り付けられた状態で示されている。張力を第2のプルワイヤ124に与えることにより、二次取付け箇所126の近位側の一連の関節動作部材18が弓形になり、2次カーブ46が形成される。第1のプルワイヤ120が近位部分に既に一次カーブ140を形成しているので、第2のプルワイヤ124を引くことにより、その近位側部分の遠位側の部分に二次カーブが形成される。
【0061】
さらに、第3のプルワイヤ128が、遠位取付け箇所130のところでシャフト11にしっかりと取り付けられた状態で設けられるのがよく、したがって第3のプルワイヤ128を引くことにより、遠位端部が角度シータ50(図4B参照)動くようになる。かくして、シャフト11が多数の取付け箇所122,126,130のところでそれぞれ終端するプルワイヤ120,124,128を有していることにより、接近シース10は、幾つかの互いに異なる平面内に多数のカーブを形成することができるようになる。
【0062】
接近システム
図12を参照すると、本発明の接近システム148の実施形態が示されている。接近システム148は、シャフト151を含む接近シース150を有し、このシャフト151は、近位端部152、遠位端部154及びこれを貫通した中央ルーメン156を有している。遠位端部154は、体内管腔を通って体腔に至ることができるよう寸法決めされている。したがって、遠位端部14は好ましくは、約0.040インチ〜0.500インチ、より好ましくは0.130インチ〜0.300インチの外径を有する。加うるに、シース150の一部は、一連の関節動作部材158で構成されている。この実施形態では、関節動作部材158は、シース150の遠位端部154のところに設けられていて、遠位先端部155で終端した状態で示されている。しかしながら、理解できるように、関節動作部材158をシースに沿う任意の場所に配置してもよい。例えば、真っ直ぐな又は非関節動作の部分が遠位端部154の近くに望ましい場合、関節動作部材158をより近位側の位置に設けるのがよい。さらに、関節動作部材158を有するシースの部分を非関節動作部分と、例えば交互に位置するパターンで混在させてもよい。取っ手160が、シース150の近位端部152に取り付けられている。接近システム148は、図示のように中央ルーメン156中に通されるよう寸法決めされた栓子又は栓塞子168を更に有する。栓子168は好ましくは、外径が約0.025インチ〜0.440インチ、好ましくは0.115インチ〜0.240インチである。通常、周知構造の止血弁(図示せず)が、中央ルーメン156と連通した状態で取っ手160に取り付けられ又は取っ手160内に設けられ、それにより栓子168を血液を失うことなく中央ルーメン156に挿入したりこれから取り出すことができるようになっている。栓子168は、軸方向ルーメン169を有するのがよく、血管系を通る接近システム148の案内を容易にするためにガイドワイヤGWを軸方向ルーメン169中へ摺動自在に挿入するのがよい。かかるガイドワイヤルーメンが設けられている場合、栓子168は通常、ガイドワイヤルーメンと連通した状態で取っ手160に取り付けられていて、栓子168をガイドワイヤGW上にこれに沿って摺動自在に導入したりガイドワイヤGWを血液が失われないでルーメン169から取り出すことができるようにする止血弁HVを更に有する。種々の市販のガイドワイヤのうち任意のものであってよいガイドワイヤGWを本発明のシステム及びキットに組み込むのがよいが、このようにするかどうかは任意である。
【0063】
接近シース150の関節動作部材158は、関節動作可能な接近シース10の関節動作部材18と同一又は類似したものであってよい。上述したように、関節動作部材は、任意の形状、特に図5に示すように嵌合又は組み込みを可能にする形状のものであってよい。加うるに、図5に示すプルワイヤ80と類似した仕方で関節動作部材158中を通るプルワイヤが設けられるのがよい。しかしながら、プルワイヤは、関節動作部材158を位置決めするために用いられるわけではない。
【0064】
関節動作部材158を有するシース150の部分は、中央ルーメン156内に嵌まり込むことができる栓子168又は他の器具の作用により関節動作位置に動くことができる。栓子168を図示のようにシース150の中央ルーメン156内にいったん配置すると、栓子168を任意の形態に動かすことができる。例えば、栓子168は、曲げ部、弧、カーブ又は角度を持つよう形作られたものであるのがよく、それにより同じ形態がその周囲のシース150に与えられる。栓子168の付形は、任意適当な機構、例えば、栓子168を貫通し、関節動作可能な接近シース10と類似した仕方で操作できるプルワイヤによって達成できる。かくして、シース150及び栓子168を図2A及び図2Bに示す位置に類似した関節動作位置に動かすことができる。
【0065】
位置決め機構の作動は、アクチュエータ、例えば栓子取っ手176上に配置されたアクチュエータ170,172,174を用いることにより達成される。栓子取っ手176は、連結接合部178のところでシース150の突起160に連結可能であるのがよい。アクチュエータ170,172,174は、関節動作部材158を有するシース150の部分の下に位置する栓子168を曲げ、弓形にし、又は形作り直すために用いられる。例えば、一次カーブアクチュエータ170を用いると、一次カーブアクチュエータ170を用いると、1本以上のプルワイヤを作動させて一連の関節動作部材158から成るシース150の部分に一次カーブを形成することができる。さらに、二次カーブアクチュエータ172を用いると、一連の関節動作部材158から成るシース150の部分に二次カーブを形成することができる。さらに、シータアクチュエータ174を操作すると、遠位先端部155を角度シータ動かすことができる。
【0066】
シース150がいったん所望の形態を取ると、取っ手160に設けられた係止アクチュエータ180を用いて係止機構を作動させ、それにより関節動作部材158を関節動作位置に係止するのがよい。栓子係止アクチュエータ186により作動される栓子係止機構により栓子168も又定位置に係止するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。代表的には、栓子168は、シース150を所望の向きに保持するようシース150の前の定位置に係止される。次に、シース150をいったん係止すると、栓子168を解除して取り外すのがよい。この場合も又、取っ手160,176に設けられたかかるアクチュエータ170,172,174,180,186及び任意の追加のアクチュエータは、任意適当な形態を取ることができ、かかる形態としては、ノブ、ボタン、レバー、スイッチ、トグル、センサ又は他の器具が挙げられることは理解されよう。加うるに、取っ手160,176は、上方、例えばシース150及び(又は)栓子168の関節動作位置を指示するデータの数値又は図形表示装置を有するのがよい。
【0067】
図13A〜図13Dは、接近システム148を用いて僧帽弁MVに接近する方法を示している。僧帽弁に接近するためには、接近システム148を、大腿静脈に設けた穿刺部から下大静脈を通って右心房に動かすのがよい。これは、先ず最初にガイドワイヤを血管系を通って心臓内に挿入し、シース150及び栓子168を次に摺動自在にガイドワイヤ上でこれに沿って導入することによって容易に実施できる。好ましくは、栓子168は、上述したこの目的のためのガイドワイヤルーメンを有する。図13Aに示すように、図13Aに示すように、接近システム148を心房内中隔S内の窩Fに刺入するのがよい。栓子168は、心房内中隔Sを穿刺するよう形作られた遠位先端部を更に有するのがよく、又は、栓子168を取り外し、別個の穿刺ツールを接近シース150中へ挿入するのがよい。変形例として、ガイドワイヤが用いられる場合、ガイドワイヤは、心房内に中隔を穿刺するのに適した先端部を有するのがよく、栓子168の遠位先端部は、シース150の通過を可能にするようガイドワイヤによる穿刺の幅を広げるのを容易にするようテーパしているのがよい。次に、システム148を窩F中に送り進めて遠位先端部155が僧帽弁MV上に差し向けられるようにする。この場合も又、理解されるように、このアプローチは、単なる一例として役立つに過ぎず、他のアプローチ、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、頸動脈からのアプローチ、大腿動脈からのアプローチ、ポートアクセス又は直接アクセス方式を利用することができる。また、理解できるように、変形例としてシステム148のシース150及び栓子168を別々の段階で送り進めてもよい。
【0068】
次に、遠位先端部155を動かしたり傾けたりして中央ルーメン156が標的組織、この場合僧帽弁MVの方へ差し向けられるようにすることが望ましい。特に、中央ルーメン156は、僧帽弁MVの特定の領域、例えば弁リーフレットLF相互間の開口部60の方へ差し向けられて特定のインターベンション手技を実施できるようにすべきである。一次カーブ200を上述したように栓子168の作動により形成することができる。栓子168は、力を中央ルーメン156に加えて関節動作部材158を再位置決めする。この例では、一次カーブ200を形成することにより、遠位先端部155は、弁表面に平行な図2Aの上記平面Xに相当する一次平面内に動かされる。これにより、遠位先端部155は、僧帽弁MVの短軸に沿って側方に動くと共に遠位先端部155を開口部60の上方で心出しすることができる。この関節動作位置では、中央ルーメン16に通された任意のインターベンション器具は、僧帽弁MV上で水平に差し向けられる。カテーテル又はツールを開口部60内へ差し向けるためには、遠位先端部155を僧帽弁MVに向かって下方に差し向けることが必要である。
【0069】
図13Bを参照すると、接近シース150は、図2Bの上記平面Zに相当する二次平面内に二次カーブ202を有する関節動作位置にある状態で示されている。二次カーブ202を形成することにより、遠位先端部15は交連部C相互間で垂直に且つ斜めに動き、中央ルーメン156が僧帽弁MVの方へ差し向けられる。この関節動作位置では、中央ルーメン156に通されたインターベンション器具は開口部60の方へ且つ(或いは)これを通って差し向けられる。一次カーブ200及び二次カーブ202は、僧帽弁MVの種々の解剖学的変化及び種々の外科手技に対応するよう変えることができるが、接近シース150の正しい位置決めのためにはこれら2つの曲率を超える調整が別途望ましい場合がある。
【0070】
かくして、接近シース150は、関節動作部材158全体にわたり追加の曲率を有するのがよいと共に(或いは)遠位先端部155が栓子168の作用により角度シータ204にわたり角度的に動くことができるようになっているのがよい。これにより、遠位先端部155は、図2C〜図2Dの上記平面Yに相当するシータ平面を通って垂直に及び斜めに動く。いずれかの方向における角度シータ50にわたる遠位先端部155の運動が、図13Bに破線で示されている。その結果、中央ルーメン156を二次平面とは異なる平面内で僧帽弁MVの方へ差し向けることができる。かかる運動後、接近シース150は、遠位先端部155を位置決めして遠位先端部155のところの中央ルーメン156の開口部が所望の方向に向くような関節動作位置にあることになる。所望の関節動作位置をいったん達成すると、関節動作部材158を係止手段によって、例えば係止機構の作動により定位置に係止する。
【0071】
図13Cを参照すると、次に、シース150が関節動作位置に位置したままの状態で栓子168を取り外す。係止状態の接近シース150は、図13Dに示すようにインターベンション器具70の通過を可能にする。インターベンション器具70を中央ルーメン156から標的組織、この場合僧帽弁MVに向かって通すのがよい。遠位端部155を上述したように開口部60上に位置決めすることにより、インターベンション器具70は、図示のように所望ならばリーフレットLF相互間の開口部60を通過することができる。この時点で、閉鎖不全又は任意他の障害の是正のための任意所望の外科的手技を僧帽弁に施すことができる。好ましい方法では、本発明の接近シース中へ導入された器具による「蝶ネクタイ」又は「切縁」技術を用いて僧帽弁を修復する。適当な器具及び技術が、本願と同日に出願された同時係属米国特許出願第10/441531号明細書(代理人事件番号は、020489−001400US)、米国特許出願第10/441508号明細書(代理人事件番号は、020489−001500US)及び米国特許出願第10/441687号明細書(代理人事件番号は、020489−001700US)に記載されており、これら米国特許出願明細書の記載内容を参照によりここに引用する。本発明の接近シース中に導入される装置を用いて実施できる他の手技としては、心房細動の治療のための肺静脈のアブレーション、心臓内又は心臓上の他の領域のマッピング及びアブレーション、僧帽弁の弁輪形成術、他の心臓弁の修復、中隔欠損の修復及び心臓における他の診断及び治療手技が挙げられる。本発明の接近シースは、管腔内的に又は外科的穿刺法により体の他の器官に接近してこれに対する手技を実施するのに更に適しており、かかる器官としては、胃、腸管、腸、膀胱、肺、肝臓、胆嚢、子宮その他が挙げられる。
【0072】
幾つかの実施形態では、栓子168とシース150の両方を別個独立に操向可能であることが分かる。これら実施形態では、栓子168及びシース150は、任意適当な機構、例えば栓子168を貫通するプルワイヤ及びシース150を貫通し、曲げ部、弓形部、カーブ又はアングル(山形部)を形成するよう操作できる別個のプルワイヤにより付形でき又は関節動作可能である。かくして、シース150及び栓子168を図2A及び図2Dに示す関節動作位置と類似した関節動作位置に動かすことができる。
【0073】
次に図14を参照すると、本発明のキット300が、本発明に関連して説明したコンポーネントのうちの任意のものを有する。或る実施形態では、キット300は、関節動作可能な接近シース及び使用説明書IFUを有する。他の実施形態では、キット300は、接近シース150、関節動作可能な栓子168及び使用説明書IFUを有する。キットのうち任意のものは、上述した他のシステムコンポーネントのうち任意のもの、例えばインターベンション器具70又は体内管腔内への器具の位置決めと関連したコンポーネント、例えばガイドワイヤ302又は針304を更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。使用説明書IFUは、上述した方法の任意のものを記載しており、全てのキットコンポーネントは通常、パウチ305又は他の従来型医用器具包装材内に一緒に包装される。通常、患者に対する手技を行なう際に用いられるキットコンポーネントは、滅菌されてキット内に維持される。大きなパッケージ内に別個のパウチ、袋、トレイ又は他の包装材を設けてもよく、この場合、小さな包みを別々に開くとコンポーネントを滅菌状態で別々に維持することができるが、このようにするかどうかは任意である。
【0074】
上記発明を理解しやすくするために例示として詳細に説明したが、種々の変形例、改造例及び均等例を用いることができ、上述の説明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものと解されてはならないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の関節動作可能な接近シースの実施形態の斜視図である。
【0076】
【図2A】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【図2B】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【図2C】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【図2D】接近シースの関節動作位置の例を示す図である。
【0077】
【図3】図2A〜図2Dに示す関節動作位置と比較して追加のカーブを有する接近シースの側方から見た斜視図である。
【0078】
【図4A】僧帽弁に接近するための接近シースを用いる方法を示す図である。
【図4B】僧帽弁に接近するための接近シースを用いる方法を示す図である。
【図4C】僧帽弁に接近するための接近シースを用いる方法を示す図である。
【0079】
【図5】一連の関節動作部材から成るシースの部分の斜視図である。
【0080】
【図6A】一タイプの内面を備えた関節動作部材の側面図である。
【図6B】別のタイプの内面を備えた関節動作部材の側面図である。
【図6C】別のタイプの内面を備えた関節動作部材の側面図である。
【0081】
【図7A】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図7B】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図7C】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図7D】4本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0082】
【図8A】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図8B】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図8C】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図8D】8本のプルワイヤに対応した関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0083】
【図9A】8本のプルワイヤに対応するが、図8Aに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図9B】8本のプルワイヤに対応するが、図8Bに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図9C】8本のプルワイヤに対応するが、図8Cに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図9D】8本のプルワイヤに対応するが、図8Dに示す実施形態とは異なる内面を備えた関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0084】
【図10A】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10B】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10C】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10D】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【図10E】プルワイヤが引っ掛かって動かなくなる恐れを軽減すると共に関節動作中におけるカーブの安定性を増大させるよう設計された関節動作部材の実施形態を示す図である。
【0085】
【図11A】接近シースの幾つかの実施形態を含む種々のライナを示す図である。
【図11B】接近シースの実施形態の斜視図であり、種々のプルワイヤが種々の取付け箇所でシャフトに取り付けられている状態を示す図である。
【0086】
【図12】本発明の接近システムの実施形態の斜視図である。
【0087】
【図13A】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【図13B】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【図13C】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【図13D】僧帽弁に接近するための接近システムを用いる方法を示す図である。
【0088】
【図14】本発明の原理に従って構成されたキットを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔に接近するための関節動作可能な接近システムであって、
シャフトを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、遠位端部は、前記体腔に至るまで挿通可能であり、前記中央ルーメンは、インターベンション器具を挿通させるよう寸法決めされ、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、
前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して前記シャフトの前記一部を関節動作位置に動かす少なくとも1本のプルワイヤを有することを特徴とする関節動作可能な接近システム。
【請求項2】
前記インターベンション器具を前記体腔に差し向けるよう前記関節動作部材を前記関節動作位置に保持する係止手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項3】
前記関節動作部材は、前記関節動作位置が一次カーブを含むことができるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項4】
前記一次カーブの曲率半径は、約0.125インチ(3.175mm)〜1.000インチ(25.4mm)であることを特徴とする請求項3記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項5】
前記関節動作部材は、前記関節動作位置が二次カーブを更に含むことができるよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項6】
前記二次カーブの曲率半径は、約0.50インチ(1.27mm)〜0.750インチ(19.07mm)であることを特徴とする請求項5記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項7】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置していることを特徴とする請求項5記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項8】
前記一次カーブと前記二次カーブは、実質的に互いに直交した平面内に位置していることを特徴とする請求項7記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項9】
前記遠位端部は、遠位先端部で終端し、前記少なくとも1本のプルワイヤは、前記遠位先端部が角度シータ動くことができるように前記遠位先端部にしっかりと取り付けられていることを特徴とする請求項5記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項10】
前記二次カーブと前記角度シータは、互いに異なる平面内に位置していることを特徴とする請求項9記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項11】
前記二次カーブと前記角度シータは、互いに直交した平面内に位置していることを特徴とする請求項10記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項12】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは各々、互いに異なる平面内に位置していることを特徴とする請求項9記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項13】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは各々、互いに直交した平面内に位置していることを特徴とする請求項12記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項14】
前記遠位端部は、血管を通って前記体腔に至ることができるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項15】
前記体腔は、心臓の腔を含み、前記関節動作位置は、前記中央ルーメンを弁の方へ差し向けることを特徴とする請求項14記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項16】
前記中央ルーメン内に取り外し可能に位置決めでき、前記シャフトの前記一部を第1の形状で位置決めするよう構成された栓子を更に有することを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項17】
前記栓子は、前記第1の形状が全体的に真っ直ぐであるよう全体として真っ直ぐであることを特徴とする請求項16記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項18】
前記栓子は、前記第1の形状が少なくとも1つのカーブを有するよう関節動作可能であることを特徴とする請求項16記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項19】
前記栓子は、前記栓子が前記中央ルーメン内に位置決めされると、前記シャフトが患者の脈管系を通って位置決め可能であるよう可撓性であることを特徴とする請求項16記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項20】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、4本のプルワイヤから成ることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項21】
前記関節動作部材は、相互に嵌合するドーム付きリングから成ることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項22】
体腔に接近するための関節動作可能な接近システムであって、
シャフトを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、遠位端部は、前記体腔に至るまで挿通可能であり、前記中央ルーメンは、インターベンション器具を挿通させるよう寸法決めされ、前記シャフトの一部は、一連の相互に嵌合する関節動作部材から成り、
前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して前記シャフトの前記一部を関節動作位置に動かす少なくとも1本のプルワイヤを有し、
前記中央ルーメン内に取り外し可能に位置決めでき、前記シャフトの前記一部を第1の形状で位置決めするよう構成された栓子を有し、
前記インターベンション器具を前記体腔に差し向けるよう前記関節動作部材を前記関節動作位置に保持する係止手段を有することを特徴とする関節動作可能な接近システム。
【請求項23】
前記関節動作部材は各々、隣りの関節動作部材に対して別個独立に回転可能であることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項24】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、第1のプルワイヤを含み、この第1のプルワイヤは、一次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられていて、張力を前記第1のプルワイヤに与えると、前記一連の相互嵌合関節動作部材が一次カーブを形成するよう撓むようになっていることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項25】
前記一次カーブの曲率半径は、約0.125インチ(3.175mm)〜1.000インチ(25.4mm)であることを特徴とする請求項24記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項26】
前記遠位端部は、前記遠位先端部で終端し、前記一次取付け箇所は、前記遠位先端部のところに設けられていることを特徴とする請求項24記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項27】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、第2のプルワイヤを更に含み、この第2のプルワイヤは、二次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられていて、張力を前記第2のプルワイヤに与えると、前記一連の相互嵌合関節動作部材が二次カーブを形成するよう撓むようになっていることを特徴とする請求項24記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項28】
前記二次カーブの曲率半径は、約0.50インチ(1.27mm)〜0.750インチ(19.07mm)であることを特徴とする請求項27記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項29】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、第3のプルワイヤを更に含み、この第3のプルワイヤは、三次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられていて、張力を前記第3のプルワイヤに与えると、前記一連の相互嵌合関節動作部材が三次カーブを形成するよう撓むようになっていることを特徴とする請求項27記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項30】
前記角度シータは、−100°〜+100°であることを特徴とする請求項29記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項31】
各前記プルワイヤは、前記中央ルーメンを貫通することを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項32】
各前記プルワイヤは、前記相互嵌合関節動作部材の壁に設けられたプルワイヤルーメンを貫通することを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項33】
前記プルワイヤルーメンは、長円形であることを特徴とする請求項32記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項34】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、8本のプルワイヤから成ることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項35】
前記係止手段は、前記相互嵌合関節動作部材が互いに圧縮されるよう前記少なくとも1本のプルワイヤを張力付与状態に保持する手段を含むことを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項36】
前記係止手段は、前記関節動作部材の少なくとも一部に設けられていて、前記関節動作部材相互間に働く摩擦力を高める摩擦表面を含むことを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項37】
前記栓子は、ガイドワイヤを摺動自在に受け入れるよう形作られたガイドワイヤルーメンを更に有することを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項38】
前記中央ルーメンと連通していて、前記中央ルーメンからの流体の流れを阻止する止血弁を更に有し、前記止血弁は、前記インターベンション器具及び前記栓子を受け入れるよう構成されていることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項39】
体腔に接近するための接近システムであって、
シャフトを備えたシースを有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記遠位端部は、体腔に至るまで挿通可能であり、前記シャフトの一部は、関節動作位置に動くことができる一連の関節動作部材から成り、
前記中央ルーメンを挿通可能に寸法決めされた栓子を有し、前記栓子の少なくとも一部は、関節動作可能であり、前記栓子の関節動作により、前記シースの前記関節動作部材が前記関節動作位置に位置決めされることを特徴とする接近システム。
【請求項40】
各前記関節動作部材は、隣りの関節動作部材に対して別個独立に回転可能であることを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項41】
シース内に設けられていて、前記関節動作部材を前記関節動作位置に係止する係止機構を更に有することを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項42】
前記係止機構は、前記関節動作部材の少なくとも一部を貫通し、前記関節動作部材を互いに圧縮するよう構成されたプルワイヤを有することを特徴とする請求項41記載の接近システム。
【請求項43】
前記栓子は、これを貫通して延びる少なくとも1本のプルワイヤを有し、張力を前記プルワイヤに与えることにより、前記栓子が撓むことを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項44】
前記シースは、前記関節動作部材を関節動作させるようになった関節動作機構を有することを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項45】
前記関節動作機構は、前記関節動作部材の少なくとも一部を貫通する少なくとも1本のプルワイヤを有することを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項46】
前記関節動作位置は、一次カーブを含むことを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項47】
前記関節動作位置は、二次カーブを更に含むことを特徴とする請求項46記載の接近システム。
【請求項48】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項47記載の接近システム。
【請求項49】
前記栓子は、前記シースが前記栓子の取り出しの際に前記関節動作位置に位置したままであるよう取り外し可能であることを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項50】
シャフトを有するシースを用意する段階を有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、栓子が、前記中央ルーメン内に取り外し可能に位置決めされ、
前記関節動作部材を関節動作させて前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階を有し、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に維持する段階を有し、
前記栓子を前記中央ルーメンから取り出す段階を有し、
インターベンション器具を前記中央ルーメン中に通す段階を有し、前記関節動作位置は、前記インターベンション器具を方向付けることを特徴とする方法。
【請求項51】
前記シースは、前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通する少なくとも1本のプルワイヤを更に有し、前記関節動作部材を関節動作させる段階は、張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与える段階を含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記関節動作部材を維持する段階は、前記少なくとも1本のプルワイヤの張力を保持する段階を含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記栓子は、少なくとも1本のプルワイヤを更に有し、前記関節動作部材を関節動作させる段階は、張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与えて前記栓子を撓ませる段階を更に含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項54】
前記シースを用意する段階は、前記シースをガイドワイヤ上でこれに沿って摺動自在に位置決めする段階を含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項55】
前記関節動作位置は、一次カーブを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記一次カーブの曲率半径は、約0.125インチ(3.175mm)〜1.000インチ(25.4mm)であることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項57】
前記関節動作位置は、二次カーブを更に含むことを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記二次カーブの曲率半径は、約0.50インチ(1.27mm)〜0.750インチ(19.07mm)であることを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項60】
前記遠位端部は、遠位先端部で終端し、前記関節動作部材を関節動作させる段階は、前記遠位先端部を角度シータ動かして前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階を含み、前記角度シータは、−100°〜+100°であることを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項61】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは各々、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記栓子は、可撓性であり、前記シースを前進させる段階は、前記シースを湾曲した経路中に位置決めする段階を含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項63】
シャフトを有するシースを用意する段階を有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、
栓子を前記中央ルーメン中に通す段階を有し、
前記栓子を関節動作させて前記関節動作部材を関節動作位置に位置決めする段階を有し、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に係止する段階を有し、
前記栓子を取り外してインターベンション器具が前記中央ルーメンを挿通できるようにする段階を有し、前記関節動作位置は、前記インターベンション器具を方向付けることを特徴とする方法。
【請求項64】
前記栓子を関節動作する段階は、力を前記中央ルーメンに加えて前記関節動作部材を位置決めする段階を更に含むことを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記関節動作位置は、一次カーブを含むことを特徴とする請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記関節動作位置は、二次カーブを更に含むことを特徴とする請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記遠位端部は、遠位先端部で終端し、前記栓子を関節動作させる段階は、前記遠位先端部を角度シータ動かして前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階を更に含むことを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記栓子は、少なくとも1本のプルワイヤを有し、前記栓子を関節動作させる段階は、張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与える段階を含むことを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項71】
前記シースは、前記関節動作部材の前記少なくとも1つを貫通する少なくとも1本のプルワイヤを有し、前記関節動作部材を係止する段階は、係止機構で前記少なくとも1本のプルワイヤの張力を保持する段階を含むことを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項72】
体腔に接近するためのキットであって、
関節動作可能な接近システムを有し、前記関節動作可能な接近システムは、
シャフトを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、遠位端部は、前記体腔に至るまで挿通可能であり、前記中央ルーメンは、インターベンション器具を挿通させるよう寸法決めされ、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、
前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して前記シャフトの前記一部を関節動作位置に動かす少なくとも1本のプルワイヤを有し、
前記インターベンション器具を前記体腔に差し向けるよう前記関節動作部材を前記関節動作位置に保持する係止手段を有し、
前記関節動作可能な接近システムを用いるための使用説明書を有し、前記使用説明書は、
前記シースを前記体腔まで前進させる段階と、
張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与えて前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階と、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に維持する段階と、
インターベンション器具を前記中央ルーメン中へ通し、前記関節動作位置が、前記インターベンション器具を前記体腔内へ差し向けるようにする段階とを含む方法段階を記載していることを特徴とするキット。
【請求項73】
前記インターベンション器具を更に有することを特徴とする請求項72記載のキット。
【請求項74】
体腔に接近するためのキットであって、
シャフトを備えたシースを有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記遠位端部は、前記体腔まで至ることができ、前記シャフトの一部は、固定位置に係止可能な一連の関節動作部材から成り、
前記シースを使用するための使用説明書を有し、前記使用説明書は、
体内管腔を通って前記シースを前記体腔まで前進させる段階を含み、
栓子を前記中央ルーメン中へ通す段階を含み、前記栓子は、前記栓子を関節動作させる手段を有し、前記栓子を関節動作させることにより、前記関節動作部材が、係止時に固定位置になる関節動作位置に位置決めされ、
前記栓子を関節動作させて前記関節動作部材を前記関節動作位置に位置決めする段階を含み、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に係止する段階を含み、
前記栓子を取り外してインターベンション器具が前記中央ルーメンを挿通できるようにする段階を有し、前記関節動作位置は、前記インターベンション器具を方向付け、前記関節動作位置が、前記インターベンション器具を前記体腔内へ差し向けるようにする段階を含む方法段階を記載していることを特徴とするキット。
【請求項75】
前記栓子を更に有することを特徴とする請求項74記載のキット。
【請求項76】
前記インターベンション器具を更に有することを特徴とする請求項74記載のキット。
【請求項1】
体腔に接近するための関節動作可能な接近システムであって、
シャフトを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、遠位端部は、前記体腔に至るまで挿通可能であり、前記中央ルーメンは、インターベンション器具を挿通させるよう寸法決めされ、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、
前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して前記シャフトの前記一部を関節動作位置に動かす少なくとも1本のプルワイヤを有することを特徴とする関節動作可能な接近システム。
【請求項2】
前記インターベンション器具を前記体腔に差し向けるよう前記関節動作部材を前記関節動作位置に保持する係止手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項3】
前記関節動作部材は、前記関節動作位置が一次カーブを含むことができるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項4】
前記一次カーブの曲率半径は、約0.125インチ(3.175mm)〜1.000インチ(25.4mm)であることを特徴とする請求項3記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項5】
前記関節動作部材は、前記関節動作位置が二次カーブを更に含むことができるよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項6】
前記二次カーブの曲率半径は、約0.50インチ(1.27mm)〜0.750インチ(19.07mm)であることを特徴とする請求項5記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項7】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置していることを特徴とする請求項5記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項8】
前記一次カーブと前記二次カーブは、実質的に互いに直交した平面内に位置していることを特徴とする請求項7記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項9】
前記遠位端部は、遠位先端部で終端し、前記少なくとも1本のプルワイヤは、前記遠位先端部が角度シータ動くことができるように前記遠位先端部にしっかりと取り付けられていることを特徴とする請求項5記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項10】
前記二次カーブと前記角度シータは、互いに異なる平面内に位置していることを特徴とする請求項9記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項11】
前記二次カーブと前記角度シータは、互いに直交した平面内に位置していることを特徴とする請求項10記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項12】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは各々、互いに異なる平面内に位置していることを特徴とする請求項9記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項13】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは各々、互いに直交した平面内に位置していることを特徴とする請求項12記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項14】
前記遠位端部は、血管を通って前記体腔に至ることができるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項15】
前記体腔は、心臓の腔を含み、前記関節動作位置は、前記中央ルーメンを弁の方へ差し向けることを特徴とする請求項14記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項16】
前記中央ルーメン内に取り外し可能に位置決めでき、前記シャフトの前記一部を第1の形状で位置決めするよう構成された栓子を更に有することを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項17】
前記栓子は、前記第1の形状が全体的に真っ直ぐであるよう全体として真っ直ぐであることを特徴とする請求項16記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項18】
前記栓子は、前記第1の形状が少なくとも1つのカーブを有するよう関節動作可能であることを特徴とする請求項16記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項19】
前記栓子は、前記栓子が前記中央ルーメン内に位置決めされると、前記シャフトが患者の脈管系を通って位置決め可能であるよう可撓性であることを特徴とする請求項16記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項20】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、4本のプルワイヤから成ることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項21】
前記関節動作部材は、相互に嵌合するドーム付きリングから成ることを特徴とする請求項1記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項22】
体腔に接近するための関節動作可能な接近システムであって、
シャフトを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、遠位端部は、前記体腔に至るまで挿通可能であり、前記中央ルーメンは、インターベンション器具を挿通させるよう寸法決めされ、前記シャフトの一部は、一連の相互に嵌合する関節動作部材から成り、
前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して前記シャフトの前記一部を関節動作位置に動かす少なくとも1本のプルワイヤを有し、
前記中央ルーメン内に取り外し可能に位置決めでき、前記シャフトの前記一部を第1の形状で位置決めするよう構成された栓子を有し、
前記インターベンション器具を前記体腔に差し向けるよう前記関節動作部材を前記関節動作位置に保持する係止手段を有することを特徴とする関節動作可能な接近システム。
【請求項23】
前記関節動作部材は各々、隣りの関節動作部材に対して別個独立に回転可能であることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項24】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、第1のプルワイヤを含み、この第1のプルワイヤは、一次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられていて、張力を前記第1のプルワイヤに与えると、前記一連の相互嵌合関節動作部材が一次カーブを形成するよう撓むようになっていることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項25】
前記一次カーブの曲率半径は、約0.125インチ(3.175mm)〜1.000インチ(25.4mm)であることを特徴とする請求項24記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項26】
前記遠位端部は、前記遠位先端部で終端し、前記一次取付け箇所は、前記遠位先端部のところに設けられていることを特徴とする請求項24記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項27】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、第2のプルワイヤを更に含み、この第2のプルワイヤは、二次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられていて、張力を前記第2のプルワイヤに与えると、前記一連の相互嵌合関節動作部材が二次カーブを形成するよう撓むようになっていることを特徴とする請求項24記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項28】
前記二次カーブの曲率半径は、約0.50インチ(1.27mm)〜0.750インチ(19.07mm)であることを特徴とする請求項27記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項29】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、第3のプルワイヤを更に含み、この第3のプルワイヤは、三次取付け箇所でシャフトにしっかりと取り付けられていて、張力を前記第3のプルワイヤに与えると、前記一連の相互嵌合関節動作部材が三次カーブを形成するよう撓むようになっていることを特徴とする請求項27記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項30】
前記角度シータは、−100°〜+100°であることを特徴とする請求項29記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項31】
各前記プルワイヤは、前記中央ルーメンを貫通することを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項32】
各前記プルワイヤは、前記相互嵌合関節動作部材の壁に設けられたプルワイヤルーメンを貫通することを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項33】
前記プルワイヤルーメンは、長円形であることを特徴とする請求項32記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項34】
前記少なくとも1本のプルワイヤは、8本のプルワイヤから成ることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項35】
前記係止手段は、前記相互嵌合関節動作部材が互いに圧縮されるよう前記少なくとも1本のプルワイヤを張力付与状態に保持する手段を含むことを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項36】
前記係止手段は、前記関節動作部材の少なくとも一部に設けられていて、前記関節動作部材相互間に働く摩擦力を高める摩擦表面を含むことを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項37】
前記栓子は、ガイドワイヤを摺動自在に受け入れるよう形作られたガイドワイヤルーメンを更に有することを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項38】
前記中央ルーメンと連通していて、前記中央ルーメンからの流体の流れを阻止する止血弁を更に有し、前記止血弁は、前記インターベンション器具及び前記栓子を受け入れるよう構成されていることを特徴とする請求項22記載の関節動作可能な接近システム。
【請求項39】
体腔に接近するための接近システムであって、
シャフトを備えたシースを有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記遠位端部は、体腔に至るまで挿通可能であり、前記シャフトの一部は、関節動作位置に動くことができる一連の関節動作部材から成り、
前記中央ルーメンを挿通可能に寸法決めされた栓子を有し、前記栓子の少なくとも一部は、関節動作可能であり、前記栓子の関節動作により、前記シースの前記関節動作部材が前記関節動作位置に位置決めされることを特徴とする接近システム。
【請求項40】
各前記関節動作部材は、隣りの関節動作部材に対して別個独立に回転可能であることを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項41】
シース内に設けられていて、前記関節動作部材を前記関節動作位置に係止する係止機構を更に有することを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項42】
前記係止機構は、前記関節動作部材の少なくとも一部を貫通し、前記関節動作部材を互いに圧縮するよう構成されたプルワイヤを有することを特徴とする請求項41記載の接近システム。
【請求項43】
前記栓子は、これを貫通して延びる少なくとも1本のプルワイヤを有し、張力を前記プルワイヤに与えることにより、前記栓子が撓むことを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項44】
前記シースは、前記関節動作部材を関節動作させるようになった関節動作機構を有することを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項45】
前記関節動作機構は、前記関節動作部材の少なくとも一部を貫通する少なくとも1本のプルワイヤを有することを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項46】
前記関節動作位置は、一次カーブを含むことを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項47】
前記関節動作位置は、二次カーブを更に含むことを特徴とする請求項46記載の接近システム。
【請求項48】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項47記載の接近システム。
【請求項49】
前記栓子は、前記シースが前記栓子の取り出しの際に前記関節動作位置に位置したままであるよう取り外し可能であることを特徴とする請求項39記載の接近システム。
【請求項50】
シャフトを有するシースを用意する段階を有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、栓子が、前記中央ルーメン内に取り外し可能に位置決めされ、
前記関節動作部材を関節動作させて前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階を有し、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に維持する段階を有し、
前記栓子を前記中央ルーメンから取り出す段階を有し、
インターベンション器具を前記中央ルーメン中に通す段階を有し、前記関節動作位置は、前記インターベンション器具を方向付けることを特徴とする方法。
【請求項51】
前記シースは、前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通する少なくとも1本のプルワイヤを更に有し、前記関節動作部材を関節動作させる段階は、張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与える段階を含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記関節動作部材を維持する段階は、前記少なくとも1本のプルワイヤの張力を保持する段階を含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記栓子は、少なくとも1本のプルワイヤを更に有し、前記関節動作部材を関節動作させる段階は、張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与えて前記栓子を撓ませる段階を更に含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項54】
前記シースを用意する段階は、前記シースをガイドワイヤ上でこれに沿って摺動自在に位置決めする段階を含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項55】
前記関節動作位置は、一次カーブを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記一次カーブの曲率半径は、約0.125インチ(3.175mm)〜1.000インチ(25.4mm)であることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項57】
前記関節動作位置は、二次カーブを更に含むことを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記二次カーブの曲率半径は、約0.50インチ(1.27mm)〜0.750インチ(19.07mm)であることを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項60】
前記遠位端部は、遠位先端部で終端し、前記関節動作部材を関節動作させる段階は、前記遠位先端部を角度シータ動かして前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階を含み、前記角度シータは、−100°〜+100°であることを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項61】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは各々、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記栓子は、可撓性であり、前記シースを前進させる段階は、前記シースを湾曲した経路中に位置決めする段階を含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項63】
シャフトを有するシースを用意する段階を有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、
栓子を前記中央ルーメン中に通す段階を有し、
前記栓子を関節動作させて前記関節動作部材を関節動作位置に位置決めする段階を有し、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に係止する段階を有し、
前記栓子を取り外してインターベンション器具が前記中央ルーメンを挿通できるようにする段階を有し、前記関節動作位置は、前記インターベンション器具を方向付けることを特徴とする方法。
【請求項64】
前記栓子を関節動作する段階は、力を前記中央ルーメンに加えて前記関節動作部材を位置決めする段階を更に含むことを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記関節動作位置は、一次カーブを含むことを特徴とする請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記関節動作位置は、二次カーブを更に含むことを特徴とする請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記一次カーブと前記二次カーブは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記遠位端部は、遠位先端部で終端し、前記栓子を関節動作させる段階は、前記遠位先端部を角度シータ動かして前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階を更に含むことを特徴とする請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記一次カーブと前記二次カーブと前記角度シータは、互いに異なる平面内に位置することを特徴とする請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記栓子は、少なくとも1本のプルワイヤを有し、前記栓子を関節動作させる段階は、張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与える段階を含むことを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項71】
前記シースは、前記関節動作部材の前記少なくとも1つを貫通する少なくとも1本のプルワイヤを有し、前記関節動作部材を係止する段階は、係止機構で前記少なくとも1本のプルワイヤの張力を保持する段階を含むことを特徴とする請求項63記載の方法。
【請求項72】
体腔に接近するためのキットであって、
関節動作可能な接近システムを有し、前記関節動作可能な接近システムは、
シャフトを有し、このシャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、遠位端部は、前記体腔に至るまで挿通可能であり、前記中央ルーメンは、インターベンション器具を挿通させるよう寸法決めされ、前記シャフトの一部は、一連の関節動作部材から成り、
前記関節動作部材のうちの少なくとも1つを貫通して前記シャフトの前記一部を関節動作位置に動かす少なくとも1本のプルワイヤを有し、
前記インターベンション器具を前記体腔に差し向けるよう前記関節動作部材を前記関節動作位置に保持する係止手段を有し、
前記関節動作可能な接近システムを用いるための使用説明書を有し、前記使用説明書は、
前記シースを前記体腔まで前進させる段階と、
張力を前記少なくとも1本のプルワイヤに与えて前記シャフトの前記一部を前記関節動作位置に動かす段階と、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に維持する段階と、
インターベンション器具を前記中央ルーメン中へ通し、前記関節動作位置が、前記インターベンション器具を前記体腔内へ差し向けるようにする段階とを含む方法段階を記載していることを特徴とするキット。
【請求項73】
前記インターベンション器具を更に有することを特徴とする請求項72記載のキット。
【請求項74】
体腔に接近するためのキットであって、
シャフトを備えたシースを有し、前記シャフトは、近位端部、遠位端部及び前記シャフトを貫通した中央ルーメンを有し、前記遠位端部は、前記体腔まで至ることができ、前記シャフトの一部は、固定位置に係止可能な一連の関節動作部材から成り、
前記シースを使用するための使用説明書を有し、前記使用説明書は、
体内管腔を通って前記シースを前記体腔まで前進させる段階を含み、
栓子を前記中央ルーメン中へ通す段階を含み、前記栓子は、前記栓子を関節動作させる手段を有し、前記栓子を関節動作させることにより、前記関節動作部材が、係止時に固定位置になる関節動作位置に位置決めされ、
前記栓子を関節動作させて前記関節動作部材を前記関節動作位置に位置決めする段階を含み、
前記関節動作部材を前記関節動作位置に係止する段階を含み、
前記栓子を取り外してインターベンション器具が前記中央ルーメンを挿通できるようにする段階を有し、前記関節動作位置は、前記インターベンション器具を方向付け、前記関節動作位置が、前記インターベンション器具を前記体腔内へ差し向けるようにする段階を含む方法段階を記載していることを特徴とするキット。
【請求項75】
前記栓子を更に有することを特徴とする請求項74記載のキット。
【請求項76】
前記インターベンション器具を更に有することを特徴とする請求項74記載のキット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【公表番号】特表2007−511248(P2007−511248A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533226(P2006−533226)
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/015741
【国際公開番号】WO2004/103434
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505429751)エヴァルヴ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/015741
【国際公開番号】WO2004/103434
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505429751)エヴァルヴ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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