説明

防振構造

【課題】 防振性を高められより確実に防振することができ、発振器の特性の低下を防止できる防振構造を提供すること。
【解決手段】 筐体10と、筐体10に搭載されるベース11と、振動を発する発振器20を中央に保持し、端部43に開口部45を有し、ベース11に配設される保持部40とにおいて、防振構造60は、開口部45に配設され、筐体10の外部から保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振する。
防振構造60は、開口部45に挿入され、端部43を挟み込むことで外部から保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振する防振部材61と、開口部45に挿入される防振部材61と開口部45とに嵌り込み、振動による端部43と防振部材61との緩衝からそれぞれを保護する保護材67と、保持部40をベース11に固定すると同時に、防振部材61の一部65と保護材67とを端部43に密着させる固定構造69とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機器に搭載される振動に弱い発振器を防振する防振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に図示しない無線機器の筐体の内部には、無線機器の筐体内部の基盤となる図示しないベースが搭載される。
【0003】
このベースには、図4に示すように、信号を出力する発振器120と、発振器120を保持する金属製の保持部140と、筐体の外部から筐体とベースとを通じて保持部140に伝達した振動に対して発振器120を防振する(無線機器が外部から受けた振動が筐体とベースと保持部140とを通じて発振器120に伝達することを防止する)防振構造160とが配設されている。
【0004】
発振器120は、振動に弱い。
【0005】
保持部140は、保持部140の中央に凹部141を有している。また保持部140は、凹部141の両端の端部143にて、端部143の厚み方向に貫通している開口部145を有している。
【0006】
防振構造160は、開口部145に配設される。
図4に示すように防振構造160は、開口部145に嵌め込まれ、且つ端部143の表面143cと裏面143dとに密着して端部143を表面143cと裏面143dとから挟み込むことで外部からの振動を吸収し、これにより筐体の外部から筐体とベースとを通じて保持部140に伝達した振動に対して発振器120を防振する防振部材161と、発振器120を保持する保持部140をベースに固定すると同時に、防振部材161を端部143に密着させるように防振部材161を端部143に配設する固定構造169とを有している。
【0007】
次に防振部材161について説明する。
防振部材161は、先端(凸部)163aが開口部145に嵌り込み、固定構造169によって裏面143dに密着する凸形状の凸型防振部材163と、開口部145から突出する先端163aに嵌まり込み、固定構造169によって表面143cに密着し、凸型防振部材163と共に端部143を挟み込むリング形状のリング型防振部材165とを有している。
【0008】
凸型防振部材163とリング型防振部材165とは、軟性体である。
【0009】
凸型防振部材163とリング型防振部材165とは、高さ方向に貫通している中空部材である。凸型防振部材163の開口部163bには、後述するネジ169aが螺合する軸部163cが予め配設されている。軸部163cには、ネジ169aが螺合するための開口部164が配設されている。
【0010】
先端163aの外径は、開口部145の直径と略同一である。そのため先端163aは、開口部145の内周面145aに当接する。
【0011】
固定構造169は、軸部163cに螺合し、保持部140をベースにネジ止め固定するネジ169aと、ワッシャ169bとを有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように端部143(より詳細には、内周面145a)と凸型防振部材163(より詳細には、先端163a)とは当接している。そのため振動が筐体の外部から筐体とベースとを通じて保持部140に伝達する度に、端部143と凸型防振部材163とは繰り返し緩衝してしまう。これにより軟性体である凸型防振部材163に亀裂が生じ、防振構造160の防振性能が低下してしまう虞が生じる。よって振動が発振器120に伝達してしまい、発振器120の特性が低下してしまう虞が生じる。
【0013】
そのため本発明は、上記事情に鑑み、防振性を高められより確実に防振することができ、発振器の特性の低下を防止できる防振構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は目的を達成するために、筐体と、前記筐体の内部に搭載される基盤となるベースと、振動を発する発振器を中央に保持し、端部に開口部を有し、前記ベースに配設される保持部とにおいて、前記開口部に配設され、前記筐体の外部から前記筐体と前記ベースとを通じて前記保持部に伝達した振動に対して前記発振器を防振する防振構造であって、前記開口部に挿入され、前記端部を前記表面側と前記裏面側とから挟み込むことで前記外部から前記筐体と前記ベースとを通じて前記保持部に伝達した前記振動に対して前記発振器を防振する防振部材と、前記開口部に挿入される前記防振部材と前記開口部とに嵌り込み、前記振動による前記端部と前記防振部材との緩衝からそれぞれを保護する保護材と、前記発振器を保持する前記保持部を前記ベースに固定すると同時に、前記防振部材の一部と前記保護材とを前記端部に密着させるように前記防振部材と前記保護材とを前記端部に配設する固定構造と、を具備することを特徴とする防振構造を提供する。
【0015】
また本発明は目的を達成するために、前記防振部材は、先端が前記開口部に挿入され、前記裏面側に配設される凸形状の凸型防振部材と、前記開口部から突出する前記先端に嵌まり込み、前記固定構造によって前記表面に密着し、前記凸型防振部材と共に前記端部を挟み込むリング形状のリング型防振部材とを有していることを特徴とする上記に記載の防振構造を提供する。
【0016】
また本発明は目的を達成するために、前記保護材は、高さ方向に前記先端が前記保護材を貫通し、前記保護材が前記凸型防振部材に載置可能な中空の凸形状を有することを特徴とする上記に記載の防振構造を提供する。
【0017】
また本発明は目的を達成するために、前記保護材が前記凸型防振部材に載置された状態で、前記凸型防振部材が前記開口部に配設される際、前記先端が嵌め込まれている前記保護材の先端は、前記開口部に嵌まり込むことで前記先端と前記開口部との間に配設され、前記凸型防振部材の基端に載置されている前記保護材の基端は、前記裏面と前記凸型防振部材の基端との間に配設され、前記保護材は、前記裏面と前記開口部と、前記凸型防振部材との間に位置し、前記裏面と前記開口部の内周面と、前記凸型防振部材との当接を防止することを特徴とする上記に記載の防振構造を提供する。
【0018】
また本発明は目的を達成するために、前記固定構造は、前記保持部を前記ベースにネジ止め固定すると同時に、前記リング型防振部材を前記表面に向けて押圧して前記リング型防振部材を前記表面に密着させ、前記端部を前記先端に嵌め込まれている前記保護材に向けて押圧し前記端部と前記保護材とを密着させるネジとを有していることを特徴とする上記に記載の防振構造を提供する。
【0019】
また本発明は目的を達成するために、前記凸型防振部材は、高さ方向に貫通している中空部材であり、前記凸型防振部材の中空部には、前記ネジが前記保持部を前記ベースに固定すると同時に前記防振部材を前記端部にネジ止めする際に、前記ネジによる締め付けによって前記リング型防振部材がつぶれることを防止する前記軸部が配設されていることを特徴とする上記に記載の防振構造を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、防振性を高められより確実に防振することができ、発振器の特性の低下を防止できる防振構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(A)は、防振構造が配設され、発振器を保持している保持部がベースに配設されている状態を示す斜視図である。図1(B)は、図1(A)に示すベースを底面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、防振構造が配設され、発振器を保持している保持部の斜視図と、防振構造の分解斜視図とである。
【図3】図3は、開口部に配設された防振構造の断面図である。
【図4】図4は、従来の防振構造が配設され、発振器を保持している従来の保持部の斜視図と、従来の防振構造の分解斜視図とである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1乃至図3を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、無線機器の筐体10の内部には、無線機器の筐体10内部の基盤となるベース11が搭載される。
【0023】
このベース11には、振動を発する発振器20と、発振器20を保持する金属製の保持部40と、筐体10の外部から筐体10とベース11とを通じて保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振する(無線機器が外部から受けた振動が筐体10とベース11と保持部40とを通じて発振器20に伝達することを防止する)防振構造60と、各種の設定を制御する制御部70と、電子機器80とが配設されている。
【0024】
発振器20を含む筐体10は、搬送可能な可搬系である。
【0025】
発振器20は、振動に弱い。この振動には、例えば衝撃と震動とも含まれる。発振器20は、例えば2つ配設されている。発振器20は、それぞれ異なる周波数帯の信号を出力する。
【0026】
保持部40は、剛性が高い金属製の板部材である。図2に示すように保持部40は、保持部40の中央に凹部41を有している。つまり保持部40は、一枚の板部材の中央が凹形状に窪むことによって形成されている。凹部41には、例えば2個の発振器20が図示しないネジなどによって固定されている。保持部40は、発振器20をベース11に取り付ける取付金具である。
【0027】
また保持部40は、凹部41の両端の端部43(保持部40の側部)にて、端部43の厚み方向に貫通している開口部45を有している。開口部45は、一方の端部43aの長手方向においてこの端部43aの例えば両端431aにそれぞれ配設され(つまり一方の端部43aに例えば2個配設され)、また他方の端部43bの長手方向においてこの端部43bの例えば両端431bにそれぞれ配設され(つまり他方の端部43に例えば2個配設され)ている。このように開口部45は、保持部40にあわせて例えば4個配設されている。
【0028】
ベース11には、図1に示すように開口部11aが配設されている。発振器20を有する保持部40は、端部43がこの開口部11aの縁に引っ掛かるように開口部11aに嵌め込まれる。
【0029】
上述したように無線機器の筐体10と、筐体10の内部に搭載されるベース11と、振動を発する発振器20を中央(凹部41)に保持し、端部43に開口部45を有し、ベース11に配設される保持部40とにおいて、防振構造60は、開口部45に配設され、筐体10の外部から筐体10とベース11とを通じて保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振(無線機器が外部から受けた振動が筐体10とベース11と保持部40とを通じて発振器20に伝達することを防止)する。防振構造60は、1個の開口部45に1個配設される。
【0030】
図2に示すように防振構造60は、開口部45に挿入され、端部43を表面43c側と裏面43d側とから挟み込むことで外部からの振動を吸収し、これにより筐体10の外部から筐体10とベース11とを通じて保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振する防振部材61と、開口部45に挿入される防振部材61と開口部45とに嵌まり込み、振動による端部43と防振部材61との緩衝からそれぞれを保護する保護材67と、発振器20を保持する保持部40をベース11に固定すると同時に、防振部材61の一部と保護材67とを端部43に密着させるように、防振部材61と保護材67とを端部43に配設する固定構造69とを有している。
【0031】
次に図2と図3とを参照して防振部材61について説明する。
防振部材61は、先端(凸部)63aが開口部45に挿入され、裏面43d側に配設される凸形状の凸型防振部材63と、開口部45から突出する先端63aに嵌まり込み、固定構造69によって表面43cに密着し、凸型防振部材63と共に端部43を挟み込むリング形状のリング型防振部材65とを有している。リング型防振部材65は、固定構造69によって端部43に密着させるように端部43に配設される防振部材61の一部である。
【0032】
上述したように凸型防振部材63は裏面43d側に配設され、リング型防振部材65は固定構造69によって表面43cに密着し、凸型防振部材63とリング型防振部材65とは端部43を挟み込む。これにより凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、上述したように外部からの振動を吸収し、筐体10の外部から筐体10とベース11とを通じて保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振する。このように凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、防振することで、振動による発振器20への負荷を軽減している。
【0033】
なお先端63aは、開口部45に挿入される防振部材61の挿入部分となる。
【0034】
また凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、例えばシリコンのようなジェル状の軟性体である。またリング型防振部材65は、ジェル状のリング部材でもある。
【0035】
凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、高さ方向に貫通している中空部材である。凸型防振部材63の中空部である開口部63bには、後述するネジ69aが螺合する軸部63cが予め配設されている。軸部63cには、ネジ69aが螺合するための開口部64が配設されている。
【0036】
次に保護材67について説明する。
保護材67は、例えばプラスチックやナイロンで形成されている。またこの保護材67は、高さ方向に先端63aが保護材67を貫通し、保護材67が凸型防振部材63(より詳細には凸型防振部材63の基端63d)に載置可能な中空の凸形状を有している。この中空部は、開口部67dである。
【0037】
保護材67が凸型防振部材63に載置されると、保護材67の先端(凸部)67aには先端63aが嵌め込まれ、保護材67の基端67bは凸型防振部材63の基端63dに載置する。
【0038】
また保護材67が凸型防振部材63に載置された状態で、凸型防振部材63が前記開口部45に配設される際、図3に示すように先端63aが嵌め込まれている先端67aは、開口部45に嵌まり込むことで先端63aと開口部45(より詳細には開口部45の内周面45a)との間に配設され、基端63dに載置されている基端67bは、裏面43dと基端63dとの間に配設される。
【0039】
これにより保護材67は、裏面43dと開口部45と、凸型防振部材63との間に位置し、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との当接を防止する。この内周面45aには、開口部45のエッジ45bが含まれる。またこの凸型防振部材63には、先端63aと、基端63dと、先端63aと基端63dとによって形成するエッジ63eとが含まれる。
【0040】
これにより振動が保持部40に伝達した際に、保護材67は、端部43(主に裏面43dと内周面45a)と凸型防振部材63との緩衝を防止し、緩衝から端部43と凸型防振部材63とを保護し、緩衝によって亀裂がエッジ63eを中心に凸型防振部材63(主に基端63d)に生じることを防止する。このように保護材67は、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との当接を防止し、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との緩衝を防止する緩衝防止材として機能する。
【0041】
よって保護材67は、緩衝によって亀裂が凸型防振部材63に生じることによって、防振構造60の防振性能が低下してしまうことを防止する。また保護材67は、緩衝によって亀裂が凸型防振部材63に生じることを防止し、これにより凸型防振部材63とリング型防振部材65とが常に端部43を挟み込め、凸型防振部材63とリング型防振部材65とが常に固定構造69によって端部43に密着するように配設されるために、無線機器の性能の著しい低下を防止する。
【0042】
次に図3を参照して防振部材61と保護材67との形状について詳細に説明する。
先端63aの外径は、保護材67の内径とリング型防振部材65の内径と略同一である。先端67aの外径は、開口部45の直径と略同一である。そのため先端63aは、保護材67(先端67a)によって内周面45aに当接せず、保護材67の内周面67cに当接する。
【0043】
先端67aの高さは、先端67aがリング型防振部材65に当接しないように、端部43の厚みよりも低い。
【0044】
また先端63aの高さは、基端67bの厚みと端部43の厚みとリング型防振部材65の高さとの和とよりも低い。より詳細には先端63aは、表面43cから突出し、リング型防振部材65の開口部65a内に位置する長さを有している。
【0045】
先端63aが保護材67の開口部67dに挿入された時、凸型防振部材63には保護材67が載置(積層)され、保護材67には端部43が載置(積層)され、先端63aは開口部65aに挿入され、端部43(表面43c)にはリング型防振部材65が載置(積層)される。このとき図3に示すように軸部63cの一端は先端63a側の開口部63bから突出し且つリング型防振部材65(開口部65a)から突出せず、軸部63cの他端は基端63d側の開口部63bから突出しない。なお軸部63cの一端において、軸部63cの一端とリング型防振部材65とは同一平面となる。
【0046】
固定構造69は、軸部63cに螺合し、保持部40をベース11にネジ止め固定するネジ69aと、ワッシャ69bとを有している。固定構造69は、1個の防振構造60に1個配設される。
【0047】
ワッシャ69bは、開口部69cを有しており、リング型防振部材65に配設される。ネジ69aは、ワッシャ69b側から開口部69cと開口部64とを挿通する。このときネジ69aは、軸部63cに螺合し、さらに保持部40をベース11にネジ止め固定する。
【0048】
またネジ69aは、保持部40をベース11にネジ止め固定すると同時に、保護材67を裏面43dに密着させ、リング型防振部材65を表面43cに密着させ、防振部材61と保護材67とを一体化させて端部43に配設する。言い換えると、ネジ69aは、保持部40をベース11にネジ止め固定すると同時に、リング型防振部材65を表面43cに向けて押圧してリング型防振部材65を表面43cに密着させ、端部43を先端63aに嵌め込まれている保護材67に向けて押圧し端部43と保護材67とを密着させる。
【0049】
このようにネジ69aは、防振部材61の一部(リング型防振部材65)と保護材67とを端部43により強固に密着させるように、防振部材61と保護材67とを端部43に配設する。
【0050】
なおネジ69aが保持部40をベース11に固定すると同時に防振部材61を端部43にネジ止めする際に、軸部63cは、ネジ69aによる締め付けによってリング型防振部材65がつぶれることを防止する。
【0051】
ネジ69aは例えば真鍮であり、ワッシャ69bは例えばアルミである。
【0052】
次に本実施形態における動作方法について説明する。
保持部40は、凹部41にて発振器20を保持する。先端63aは、保護材67(開口部67d)に嵌まり込み、内周面67cに当接する。また基端67b、基端63dに当接する。そして、保護材67は、凸型防振部材63に載置される。
【0053】
保護材67が載置されている凸型防振部材63は、開口部11aの縁に配置される。保持部40は、端部43がこの開口部11aの縁に引っ掛かるように開口部11aに嵌め込まれる。
【0054】
このとき、端部43は、保護材67に載置され、先端63aは開口部45を挿通し開口部45から突出する。またこのとき先端63aは、保護材67によって内周面45aに当接しない。また先端67aは、開口部45に嵌り込み、内周面45aに当接する。また基端67bは、裏面45dに当接する。
【0055】
次に先端63aには、リング型防振部材65が嵌まり込む。これにより凸型防振部材63とリング型防振部材65とは端部43を挟み込み、保護材67は、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との間に配設され、緩衝防止材として機能する。
【0056】
また軸部63cはリング型防振部材65から突出せず、リング型防振部材65にはワッシャ69bが配設される。ネジ69aは、ワッシャ69b側から開口部69cを通じて開口部64を挿通する。
【0057】
このときネジ69aは、軸部63cに螺合しつつ、凸型防振部材63を抜けて、保持部40をベース11にネジ止め固定する。さらにネジ69aは、リング型防振部材65を表面43cに密着させ、保護材67を裏面43dに密着させ、防振部材61と保護材67とを一体化させて端部43に配設する。このようにネジ69aは、防振部材61の一部(リング型防振部材65)と保護材67とを端部43に密着させるように、防振部材61と保護材67とを端部43に配設する。
【0058】
この状態ではベース11は、図示しない無線機器に搭載される。
無線機器が外部から振動を受けると、振動は筐体10の外部から筐体10とベース11と保持部40と通じて発振器20に伝達する。しかしながら本実施形態では、凸型防振部材63とリング型防振部材65とが端部43を挟み込み、凸型防振部材63とリング型防振部材65とが固定構造69によって端部43により強固に密着するように配設されている。よって凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、外部からの振動を吸収し、筐体10の外部から筐体10とベース11とを通じて保持部40に伝達した振動に対して発振器20を防振する。このように凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、発振器20を防振することで、振動による発振器20への負荷を軽減している。
【0059】
またこのとき保護材67は、開口部45と凸型防振部材63とに嵌まり込み、裏面43dと開口部45と、凸型防振部材63との間に位置する。詳細には、先端63aが内周面45a,67cに当接し、基端63dが基端67bと裏面43dとに当接する。そして保護材は、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との当接を防止する。
【0060】
そのため振動が防振構造60に伝達した際に、保護材67は、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との緩衝を防止する。これにより保護材67は、緩衝によって亀裂がエッジ63eを中心に凸型防振部材63に生じることを防止する。
【0061】
よって凸型防振部材63には亀裂が生じず、凸型防振部材63が破損しないために、凸型防振部材63とリング型防振部材65とが常に端部43を挟み込む状態が維持される。これにより凸型防振部材63とリング型防振部材65とは、常に外部からの振動を吸収し、筐体10の外部から筐体10とベース11とを通じて保持部40に伝達した振動に対して常に発振器20を防振する。
【0062】
このように保護材67は、防振構造60の防振性能が低下してしまうことを防止する。また保護材67は、緩衝によって亀裂が凸型防振部材63に生じることを防止し、凸型防振部材63とリング型防振部材65とを常に端部43に挟み込ませる。よって発振器20への振動の伝達が防止され(振動による発振器20への負荷を軽減され)、発振器20の特性の低下が防止され、無線機器の性能の著しい低下が防止される。
【0063】
このように本実施形態では、保護材67を開口部45と凸型防振部材63とに嵌め込み、裏面43dと開口部45と、凸型防振部材63と間に保護材67を配設させる。
【0064】
これにより本実施形態では、振動が防振構造60に伝達した際に、裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63との緩衝を防止することができ、緩衝から裏面43dと内周面45aと、凸型防振部材63とを保護でき、緩衝によって亀裂が凸型防振部材63に生じることを防止ことができる。
【0065】
このように本実施形態では、保護材67によって、防振構造60の防振性能が低下してしまうことを常に防止することができ、防振性を高められより確実に防振することができる。
【0066】
また本実施形態では、保護材67によって防振構造60の防振性能の低下を防止でき、凸型防振部材63とリング型防振部材65とによって端部43を挟み込ませることを常にでき、固定構造69によって防振部材61を端部43に常に密着させることができる。よって本実施形態では、発振器20への振動の伝達を防止でき(振動による発振器20への負荷を軽減することができ)、発振器20の特性の低下を防止することができる。
【0067】
また本実施形態では、保護材67によって、緩衝によって亀裂が凸型防振部材63に生じることを防止でき、凸型防振部材63とリング型防振部材65とによって常に端部43を挟み込ませることを常にできるために、無線機器の性能の著しい低下を防止することができる。
【0068】
なお本実施形態において、保持部40が保持する発振器20の数は、特に限定はされない。
【0069】
また本実施形態では、開口部45の配設位置と数は、特に限定されない。
【0070】
また本実施形態では、防振構造60は、4個の開口部45が配設されているため、4個配設されているが、これに限定する必要はなく、開口部45の数に対応して配設される数は変化してもよい。
【0071】
また本実施形態では、固定構造69は、防振構造60と同様に、4個の防振構造60が配設されているため、4個配設されているが、これに限定する必要はなく、防振構造60の数に対応して配設される数は変化してもよい。
【0072】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0073】
10…筐体、11…ベース、11a…開口部、20…発振器、40…保持部、41…凹部、43…端部、43c…表面、43d…裏面、45…開口部、45a…内周面、45b…エッジ、60…防振構造、61…防振部材、63…凸型防振部材、63a…先端、63b…開口部、63c…軸部、63d…基端、63e…エッジ、64…開口部、65…リング型防振部材、65a…開口部、67…保護材、67a…先端、67b…基端、67c…内周面、67d…開口部、69…固定構造、69a…ネジ、69b…ワッシャ、69c…開口部、70…制御部、80…電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の内部に搭載される基盤となるベースと、振動を発する発振器を中央に保持し、端部に開口部を有し、前記ベースに配設される保持部とにおいて、前記開口部に配設され、前記筐体の外部から前記筐体と前記ベースとを通じて前記保持部に伝達した振動に対して前記発振器を防振する防振構造であって、
前記開口部に挿入され、前記端部を前記表面側と前記裏面側とから挟み込むことで前記外部から前記筐体と前記ベースとを通じて前記保持部に伝達した前記振動に対して前記発振器を防振する防振部材と、
前記開口部に挿入される前記防振部材と前記開口部とに嵌り込み、前記振動による前記端部と前記防振部材との緩衝からそれぞれを保護する保護材と、
前記発振器を保持する前記保持部を前記ベースに固定すると同時に、前記防振部材の一部と前記保護材とを前記端部に密着させるように前記防振部材と前記保護材とを前記端部に配設する固定構造と、
を具備することを特徴とする防振構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−283081(P2010−283081A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134316(P2009−134316)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】