説明

防振装置、及び、防振装置用ブラケット

【課題】簡易な構成で、強度を補強することの可能な防振装置用のブラケット、及び、この防振装置用ブラケットを備えた防振装置を提供する。
【解決手段】ストッパ部材42のストッパ軸A方向の一端面には、補強部材60が固定されている。補強部材60の補強本体部62は、一対の側面板部43A、43Bを連結すると共に、ストッパ部材42の開口(筒内空間)の少なくとも一部を板面が覆うように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般産業機械、自動車のエンジンマウント等として用いられ、エンジン等の振動発生部からの振動を吸収して車体等の振動受部への振動伝達を抑制する防振装置、及び、この防振装置に用いられる防振装置用ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の振動発生部であるエンジンと振動受部である車体との間にはエンジンマウントとしての防振装置が配設されており、この防振装置はエンジンが発生する振動を吸収し、車体側への振動伝達を抑制する。このような防振装置としては、例えば、防振装置の内部に弾性体及び一対の液室を設けると共に、オリフィスとなる制限通路でこれらの液室を互いに連通した液体封入式のものが知られている。液体封入式の防振装置によれば、搭載されたエンジンが作動して振動が発生した場合には、弾性体の制振機能及び、一対の液室間を連通するオリフィス内の液体の粘性抵抗等で振動を吸収し、車体側への振動伝達を抑制する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の防振装置には、曲げ加工で簡易に製造されるエンジンマウントブラケットが開示されている。このエンジンマウントブラケットは、液封型弾性体の軸方向上側を覆う構成を有しており、ストッパとしての機能も有している。ストッパ機能を有するブラケットは、衝突による荷重を受けるため、強度が要求される。しかしながら、曲げ加工のみで製造されたブラケットは、絞り加工によりリブ袋状部分を有する部材と比較して、強度が低い。
このような強度の低いブラケットは、常用領域(400〜1000Hz)で共振を起こし、振動伝達特性に影響を起こす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−177955
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記事実を考慮して成されたものであり、簡易な構成で、強度を補強することの可能な防振装置用のブラケット、及び、この防振装置用ブラケットを備えた防振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る防振装置用ブラケットは、振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒状の外側取付部材と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され前記外側取付部材の筒軸方向からみて前記外側取付部材の内側に配置される内側取付部材と、前記内側取付部材と前記外側取付部材の間に配置されて両者を連結する弾性体と、を有する防振装置本体を支持する防振装置用ブラケットであって、前記筒軸方向で互いに向き合い前記内側取付部材の前記筒軸方向の移動を当接により規制する一対のストッパ板面部と、前記一対のストッパ板面部同士を連結するように前記ストッパ板面部の間に互いに向き合うように配置される一対の側面板部と、含んで筒状に一体的に形成され、前記外側取付部材側に固定されたストッパ部材と、前記ストッパ部材の前記一対の側面板部同士を連結すると共に、前記ストッパ板面部の少なくとも一方と前記一対の側面板部の各々の間に構成される被補強角部に固定され、前記ストッパ部材の筒軸に沿ったストッパ軸方向からみて、前記ストッパ部材の筒内空間の少なくとも一部を覆うように配置された補強部材と、前記振動発生部及び振動受部の一方に固定され、前記外側取付部材と前記振動発生部及び振動受部の一方とを連結する脚部材と、を備えている。
【0007】
上記構成の防振装置用ブラケットでは、振動入力による弾性体の弾性変形により、内側取付部材と外側取付部材とが所定量以上相対移動すると、ストッパ部材のストッパ板面部に当接されることにより内側取付部材の筒軸方向の移動が規制される。ストッパ板面部へ当接される部材は、内側取付部材自体であってもよいし、内側取付部材に固定された別部材であってもよい。
【0008】
本発明のストッパ部材は、筒状に形成されているため、曲げ加工により簡易に形成することができる。一方、ストッパ部材には、当該当接時における衝撃荷重を受けるため、強度が求められる。特に、ストッパ部材の筒状が倒れるような変形が生じないように強度を出す必要がある。そこで、本発明では、補強部材を用いてストッパ部材の強度を補強している。補強部材は、一対の側面板部同士を連結すると共に、ストッパ板面部の少なくとも一方と一対の側面板部の各々の間に構成される被補強角部に固定されている。そして、ストッパ部材の筒軸に沿ったストッパ軸方向からみて、ストッパ部材の筒内空間の少なくとも一部を覆うように配置されている。このように、補強部材を設けることにより、ストッパ部材の筒状が倒れ込む変形を抑制することができると共に、一対の側面板部同士の連結が強化されて筒状が偏平となるような変形も抑制することができる。
【0009】
本発明の請求項2に係る防振装置用ブラケットは、前記補強部材が、前記ストッパ軸方向からみて前記筒内空間の一方のストッパ板面部側を覆うように、前記被補強角部の一方から他方にかけて連続して前記ストッパ板面部に固定されていること、を特徴とする。
【0010】
このように、補強部材を一方の被補強角部から他方の被補強角部にかけて連続してストッパ板面部に固定することにより、ストッパ部材の強度をより高くすることができる。
【0011】
本発明の請求項3に係る防振装置用ブラケットは、前記補強部材が、前記ストッパ部材の前記ストッパ軸方向の端面に固定されていること、を特徴とする。
【0012】
このように、補強部材をストッパ部材の端面に固定することにより、補強部材を容易に固定することができる。
【0013】
本発明の請求項4に係る防振装置用ブラケットは、前記補強部材が、前記ストッパ軸方向からみて前記ストッパ部材の筒外に張り出す張出部を有すること、を特徴とする。
【0014】
このように、補強部材にストッパ部材の筒外に張り出すことにより、ストッパ部材の強度をより高くすることができる。
【0015】
本発明の請求項5に係る防振装置用ブラケットは、前記補強部材と一体的に形成され、振動発生部及び振動受部の一方に連結される連結ステーを備えている。
【0016】
このように、連結ステーを補強部材と一体的に形成することにより、部品点数を増加させずにストッパ部材の補強を行うことができる。
【0017】
本発明の請求項6に係る防振装置は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒状の外側取付部材と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され前記外側取付部材の筒軸方向からみて前記外側取付部材の内側に配置される内側取付部材と、前記内側取付部材と前記外側取付部材の間に配置されて両者を連結する弾性体と、を有する防振装置本体と、前記防振装置本体を振動発生部及び振動受部の一方に支持する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の防振装置用ブラケットと、を備えている。
【0018】
本発明の防振装置によれば、請求項1〜請求項6のいずれかの防振装置用ブラケットを用いることにより、簡易な構成で強度の補強された防振装置とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、簡易な構成で強度の補強された防振装置用ブラケット、及び、防振装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る防振装置の防振装置本体と防振装置用ブラケットの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る防振装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る防振装置ブラケットの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る防振装置用ブラケットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る防振装置の動作説明図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係る防振装置用ブラケットの側面図である。
【図7】本発明の実施形態の他の変形例に係る防振装置用ブラケットの側面図である。
【図8】本発明の実施形態の他の変形例に係る防振装置用ブラケットの側面図である。
【図9】本発明の実施形態の他の変形例に係る防振装置用ブラケットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る防振装置用ブラケット40、及び、防振装置10について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の防振装置10は、図1に示されるように、防振装置本体12、及び、防振装置用ブラケット40を備えている。防振装置本体12は、内側取付部材14、外側取付部材16、及び、弾性体18を備えている。
【0023】
図2に示すように、内側取付部材14は、下側が小径となる略円錐台形とされ、上側中央(大径側中央)に、連結ねじ穴14Aが構成されている。連結ねじ穴14Aには、後述するストッパアーム50との連結用ボルト52を螺合するための雌ネジが形成されている。
【0024】
外側取付部材16は、略円筒形状とされ、内側取付部材14の外周に内側取付部材14と同軸的に配置されている。内側取付部材14及び外側取付部材16の軸心に沿った方向をSとする。防振装置10は、振動発生部からの主振動が、軸方向Sに入力されるように設置される。
【0025】
円筒の軸方向Sの中間部よりやや上側には、小径とされたくびれ部16Aが形成されている。外側取付部材16のくびれ部16Aよりも上側の部分を上取付部16B、くびれ部よりも下側の部分を下取付部16Cとする。下取付部16Cの下端部は、径方向内側にかしめられたカシメ部16Dとされている。内側取付部材14は、外側取付部材16に対して軸方向Sの上取付部16Bから外側に突出するように配置されている。
【0026】
外側取付部材16の上取付部16Bの内周面、及び、内側取付部材14の外周面には、図2に示されるように、弾性体18が加硫接着されている。弾性体18により、内側取付部材14と外側取付部材16とが弾性的に連結されている。
【0027】
弾性体18の外側取付部材16側には、凹部18Aが構成されている。外側取付部材16のくびれ部16A及び下取付部16Cの内周面には、被覆部18Dが接着されている。被覆部18Dは、薄肉筒状で弾性体18から延出されており、外側取付部材16の内周面下部側を被覆している。被覆部18Dは、弾性体18と一体的に形成されている。
【0028】
図2に示されるように、外側取付部材16内のくびれ部16Aよりも下側には、オリフィス部材20が嵌入されている。オリフィス部材20は、リング状とされ、外周面には、周方向に沿って一周近くに亘り溝部20Aが形成されている。溝部20Aの外周側は被覆部18Dを介して外側取付部材16によって閉止され、オリフィス22が構成される。
【0029】
オリフィス部材20の中央部には、上下方向に貫通した円形開口20Bが構成されおり、この円形開口20Bを閉止するように、ゴム製のメンブラン24が加硫接着されている。オリフィス部材20は、その外周面が弾性体18の被覆部18Dを介して外側取付部材16の内周面へ圧接している。また、オリフィス部材20は、被覆部18Dを介してくびれ部16Aへ当接している。これにより、オリフィス部材20は、外側取付部材16内における上方のへ移動が拘束されている。
【0030】
外側取付部材16内のオリフィス部材20の下側には、円筒状の支持リング30が配置されている。支持リング30の内周面には、薄膜状のダイヤフラム32の外周端部が全周に亘って加硫接着されている。ダイヤフラム32は、たわみ変形が生じていない自然状態では、上方へ向かって略円錐台状に突出している。支持リング30の外周面は、被覆部18Dを介して外側取付部材16の下側の内周面へ圧接している。また支持リング30は、その下端部が被覆部18Dと共にカシメ部16Dでカシメられることにより、外側取付部材16内からの脱落が防止されている。
【0031】
外側取付部材16内には、ダイヤフラム32及び弾性体18により囲まれた空間が構成されている。この空間は、オリフィス部材20及びメンブラン24によって、弾性体18側の主液室34とダイヤフラム32側の副液室36の2つに区画されている。主液室34、副液室36内には、例えば水、オイル等の液体が封入されている。
【0032】
オリフィス部材20の溝部20Aの一端側には、主液室34とオリフィス22とを連通する貫通穴22Aが構成されている。また、オリフィス部材20の溝部20Aの他端側には副液室36とオリフィス22とを連通する貫通穴22Bが構成されている。主液室54と副液室56とは、オリフィス22を介して連通されている。
【0033】
防振装置用ブラケット40は、図3及び図4にも示されるように、ストッパ部材42、外筒部材44、及び、一対の脚部材46、48を備えている。
【0034】
ストッパ部材42は、四角筒形状とされ、筒軸は、軸方向Sと直交する方向に配置される(以下この方向を「ストッパ軸方向A」という)。ストッパ部材42は、板面が軸方向Sで互いに向き合う一対のストッパ板面部41A、41Bと、板面が軸方向Sに沿って配置され互いに向き合う側面板部43A、43Bと、で一体的に形成されている。側面板部43A及び側面板部43Bは、一対のストッパ板面部41A、41Bの間に配置されて両者を連結している。
【0035】
ストッパ板面部41Aと側面板部43Aの間には、第1被補強角部45Aが構成され、ストッパ板面部41Aと側面板部43Bの間には、第2被補強角部45Bが構成されている。また、ストッパ板面部41Bと側面板部43Aの間には、第3被補強角部45Cが構成され、ストッパ板面部41Bと側面板部43Bの間には、第4被補強角部45Dが構成されている。
【0036】
一対のストッパ板面部41A、41Bには、互いに同軸的となるボルト穴42A及び本体穴42Bが各々構成されている。ボルト穴42Aは、後述するボルト52を挿通可能な径とされ、本体穴42Bは、防振装置本体12の外側取付部材16を圧入可能な径とされている。一対のストッパ板面部41A、41Bは、ストッパ板面部41Aの内側面がリバウンドストッパ面とされ、ストッパ板面部41Bの内側面がストッパ面とされる。ストッパ板面部41Bは、ストッパ軸方向Aの一端辺が、ストッパ部材42の他の3面の筒端よりも外側へ突出され、突出部41Cが形成されている。
【0037】
ストッパ部材42は、一枚の金属板材を曲げ加工で角筒形状に形成し両端面同士を突き合わせて溶接することにより、構成することができる。本実施形態では、突合部42Tで突き合わせられている。ストッパ部材42を曲げ加工で製造することにより、絞り加工で製造する場合と比較して、製造工程が少なくなり、低コストで製造することができる。
【0038】
ストッパ部材42のストッパ軸A方向の一端面には、補強部材60が固定されている。補強部材60は、補強本体部62とステー連結部64を備えている。補強本体部62及びステー連結部64は、板状とされ、一体的に形成されている。
【0039】
補強本体部62は、略長方形板状とされ、一対の側面板部43A、43Bを連結すると共に、ストッパ部材42の突出部41Cが形成されている側の開口(筒内空間)の略上半分(ストッパ板面部41A側)を板面が覆うように配置されている。補強本体部62は、板面がストッパ部材42の端面に溶接固定されている。すなわち、補強本体部62は、第1被補強角部45Aに対応する端面に固定されると共に、ストッパ板面部41Aの一端から他端に亘って端面に固定され、さらに、第2被補強角部45Bに対応する端面に固定されている。なお、本実施形態では、補強本体部62はストッパ板面部41Aの一端から他端に亘る端面に固定されているが、第1被補強角部45A及び第2被補強角部45Bに対応する部分のみ固定されていてもよい。特に、本実施形態のように、ストッパ板面部41Aの一端から他端に亘って固定することにより、強度を高くすることができる。補強本体部62の外周はストッパ部材42の径方向外側に張り出して張出部62Fが形成されている。
【0040】
ステー連結部64は、補強本体部62の軸方向Sの下辺側から、ストッパ部材42より離れる方向へ延出されている。ステー連結部64の先端部には、車体との連結用の連結穴64Hが構成されている。
【0041】
上記のように補強部材60がストッパ部材42に固定されているので、ストッパ部材42は、第1被補強角部45A及び第2被補強角部45Bが補強され、軸方向Sの主振動が入力された際に、一対の側面板部43A、43Bが傾いて倒れるような変形を抑制することができる。また、ストッパ部材42は、一対の側面板部43A、43Bの連結が強化されて、ストッパ部材42が軸方向Sにつぶれて偏平となるような変形も抑制することができる。
【0042】
外筒部材44は、円筒形状とされ、内側に中空部44Aが構成されている。中空部44Aの径は、外側取付部材16を圧入可能な径とされている。外筒部材44には、外側取付部材16が圧入され、外筒部材44の筒軸方向は、軸方向Sと一致される。外筒部材44は、本体穴42Bと中空部44Aとが重なり合うように本体穴42Bと同軸的に配置され、ストッパ部材42の下面に固定されている。ここでの固定は、溶接により行うことができる。また、外筒部材44は、一枚の金属板材を曲げ加工で円筒形状にして両端面同士を突合部44Bで突き合わせて溶接することにより、構成することができる。外筒部材44についても、曲げ加工で製造することにより、絞り加工で製造する場合と比較して、製造工程が少なくなり、低コストで製造することができる。
【0043】
一対の脚部材46、48は、図4にも示されるように、ストッパ部材42及び外筒部材44を挟んで、互いに対向する位置に配置されている。脚部材46、48は、各々、一枚の金属材料を曲げ加工して形成されており、底部46A、48A、第1支持部46B、48B、第2支持部46C、48Cを備えている。脚部材46、48についても、曲げ加工で製造することにより、絞り加工で製造する場合と比較して、製造工程が少なくなり、低コストで製造することができる。
【0044】
底部46Aは、外筒部材44の筒軸方向Sと略直交する方向に板面が配置され、車体(不図示)との連結用の連結穴46Hが構成されている。第1支持部46Bは、底部46Aから立ち上がるように折り曲げられ、板面が外筒部材44の筒軸方向Sに沿った方向に配置されている。第2支持部46Cは、底部46Aの板面の第1支持部46Bと逆サイドから立ち上がるように折り曲げられ、板面が外筒部材44の筒軸方向Sに沿った方向に配置されている。第1支持部46Bと第2支持部46Cとは、互いの板面が略平行に配置され、各々の先端側に、第1接合部46BS、第2接合部46CSが形成されている。第1接合部46BS、第2接合部46CSは、板面がストッパ部材42の外面と略直交するように配置され、その端面がストッパ部材42の外面に固定されている。
【0045】
第2支持部46Bの軸方向Sの中間部で第2接合部46BSの下側には、固定部47Aが形成されている。固定部47Aは、第2支持部46Bと一体的に形成され、第1支持部46Bから離れる方向へわずかに突出している。固定部47Aは、端面が外筒部材44の外周面に固定されている。また、固定部47Aの第2接合部46BSと連続する端面は、ストッパ部材42の下面に固定されている。
【0046】
第2支持部46Cの軸方向Sの中間部で第2接合部46CSの下側には、延出部47Bが形成されている。延出部47Bは、第2支持部46Cと一体的に形成され、第1支持部46Bから離れる方向へ延出されている。延出部47Bの板面内側は、外筒部材44の外周面の周方向に沿ったR形状とされ、外筒部材44の外周面に固定されている。また、延出部47Bの第2接合部46CSと連続する端面は、ストッパ部材42の本体穴42Bを挟んでストッパ板面部41Bの下面に固定されている。
【0047】
脚部材48は、脚部材46と外筒部材44を挟んで径方向で向かい合う位置に配置されている。脚部材48は、底部48A、第1支持部48B、第2支持部48Cを備えている。これらの構成は、脚部材46の底部46A、第1支持部46B、第2支持部46Cと同様の構成であり、第1接合部48BS、第2接合部48CSの端面がストッパ部材42の外面に固定されている。底部48Aには、車体(不図示)との連結用の連結穴48Hが構成されている。
【0048】
第2支持部48Bの軸方向Sの中間部で第2接合部48BSの下側には、固定部49Aが形成されている。固定部49Aは、第2支持部48Bと一体的に形成され、第1支持部48Bから離れる方向へわずかに突出している。固定部49Aは、端面が外筒部材44の外周面に固定されている。また、固定部49Aの第2接合部48BSと連続する端面は、ストッパ部材42の下面に固定されている。
【0049】
第2支持部48Cの軸方向Sの中間部で第2接合部48CSの下側には、延出部49Bが形成されている。延出部49Bは、第2支持部48Cと一体的に形成され、第1支持部48Bから離れる方向へ延出されている。延出部49Bの板面内側は、外筒部材44の外周面の周方向に沿ったR形状とされ、外筒部材44の外周面に固定されている。また、延出部49Bの第2接合部48CSと連続する端面は、ストッパ部材42の本体穴42Bを挟んでストッパ板面部41Bの下面に固定されている。
【0050】
脚部材46、48は、上記のようにして、ストッパ部材42、外筒部材44へ固定されている。
【0051】
防振装置用ブラケット40は、不図示のボルトが連結穴46H、48Hを介して車体(不図示)に締結され、さらに、補強部材60のステー連結部64の連結穴64Hが車体(不図示)に締結されることにより、車体と連結されている。
【0052】
防振装置本体12は、内側取付部材14がストッパ部材42側(上側)になるように、防振装置用ブラケット40の外筒部材44の下側から圧入され、外側取付部材16が外筒部材44の内側に固定されている。
【0053】
内側取付部材14の上面(大径面)側には、ストッパアーム50が固定されている。ストッパアーム50は、断面長方形の長尺形状とされ、連結穴50Aが穿孔されている。連結穴50Aを介して、ボルト52が内側取付部材14の連結ねじ穴14Aと螺合されることにより、ストッパアーム50は内側取付部材14に固定されている。ストッパアーム50は、突出部41Cが突出された側で、外側取付部材16の外側へ延出されている。ストッパアーム50の外側は、厚みをもったゴム部材で被覆されており、ストッパアーム50の上面側に上ゴム部54Aが形成され、ストッパアーム50の下面側に下ゴム部54Bが形成されている。上ゴム部54Aは、ストッパ板面部41Aの内面と対向するように配置され、下ゴム部54Bは、ストッパ板面部41Bの内面と対向するように配置されている。ストッパアーム50は、延出された側の端部で、不図示のエンジンと連結されている。
【0054】
次に、本実施形態に係る防振装置10の作用を説明する。
【0055】
防振装置10では、エンジン又は車体側から振動が入力されると、吸振主体である弾性体18が弾性変形する。この弾性変形により、入力された振動が、減衰吸収される。
【0056】
また防振装置10では、エンジンから比較的低い周波数域の振動、例えばシェイク振動等が入力されると、弾性体18の弾性変形により主液室34の内容積が拡縮し、この主液室34の拡縮に伴って、主液室34と副液室36との間で、液体がオリフィス22を通して相互に流通する。このとき、オリフィス22内で液柱共振が生じ、この液柱共振等により、防振効果、制振効果を得ることができる。
【0057】
一方、エンジンから比較的高い周波数域の振動、例えばアイドル振動等が入力されると、オリフィス22に目詰まりが発生する。この時には、メンブラン24が、主液室34内の容積を拡縮するように弾性変形する。これにより、主液室34内の液圧上昇が抑制され、動的ばね定数の上昇を抑制できるので、高い周波数域の振動も効果的に吸収することができる。
【0058】
また、エンジンまたは車体から大振幅の振動が入力した場合には、図5に示すように、ストッパアーム50の下ゴム部54Bがストッパ板面部41Bに当たり、ストッパアーム50と外側取付部材16との間の相対移動が規制される。続いて、ストッパアーム50は、リバウンドにより、図5の二点鎖線で示すように、上ゴム部54Aがストッパ板面部41Aに当たり、ストッパアーム50と外側取付部材16との間の相対移動が規制される。
【0059】
このとき、ストッパ部材42に大きな衝撃が加わった場合でも、補強部材60によりストッパ部材42が補強されているので、曲げ加工により形成されたストッパ部材42の変形を抑制することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、補強本体部62の外周に張出部62Fを形成したが、張出部62Fは必ずしも必要ではなく、補強本体部62の外周縁がストッパ部材42の端面に配置されていてもよい。本実施形態では、張出部62Fを形成しているので、ストッパ部材42の強度をより高くすることができる。
【0061】
また、本実施形態では、補強部材60がステー連結部64を有し、補強本体部62とステー連結部64を一体的に形成した例について説明したが、ステー連結部64は別体としてもよい。本実施形態のように、補強本体部62とステー連結部64を一体的に形成することにより、補強部材60がストッパ部材42の補強機能と車体への連結機能を兼ね備えることができ、部品点数を増加させることなく、ストッパ部材42の補強を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、補強部材60の補強本体部62をストッパ部材42の端面に固定したが、必ずしも端面に固定する必要はなく、図6に示すように、筒内に補強本体部62を固定してもよい。この場合には、補強本体部62の外周端面をストッパ部材42の内周面に溶接する。
【0063】
また、本実施形態では、補強本体部62は、板面をストッパ部材42の突出部41Cが形成されている側の開口(筒内空間)の略上半分(ストッパ板面部41A側)を覆うように配置したが、図7に示すように、板面をストッパ部材42の突出部41Cが形成されている側の開口(筒内空間)の略下半分(ストッパ板面部41B側)が覆われるように配置してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、溶接により補強部材60をストッパ部材42に固定したが、他の方法により固定してもよい。例えば、図8に示すように、ストッパ部材42のストッパ軸Aの一端側(突出部42Cが形成されていない側)の、第1被補強角部45A及び第2被補強角部45Bに対応する位置に、取付板部42Pをストッパ部材42と一体的に形成し、補強本体部62と取付板部42Pをボルト66により固定してもよい。この場合には、補強本体部62に取付穴を構成し、対応する取付板部42Pにも取付穴を構成して、ボルト66を挿通すると共に、逆側から不図示のナットを螺合させることにより、締結固定することができる。
【0065】
また、本実施形態では、補強本体部62の軸方向Sの下辺側から、ステー連結部64を延出したが、図9に示すように、補強本体部62の側面板部43A(または側面板部43B)の端面に沿った側辺からストッパ部材42より離れる方向へ延出したステー連結部68としてもよい。
【0066】
また、本願の作用を説明するにあたり、取り付け部材14については、円筒形であるとして説明したが、楕円、角形などの部材を用いることもできる。また、取り付けにあたりくびれ部16Aを使わず取り付ける防振装置に対しても本発明を適用することができる。
【0067】
また、本実施形態では、液封式の防振装置本体12を、防振装置用ブラケット40に取り付けた防振装置10について説明したが、防振装置本体としては、液封式でない、いわゆるソリッド式の防振装置本体を取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0068】
10 防振装置
12 防振装置本体
14 内側取付部材
16 外側取付部材
18 弾性体
40 防振装置用ブラケット
41A ストッパ板面部
41B ストッパ板面部
42 ストッパ部材
43A 側面板部
43B 側面板部
44 外筒部材
45A 被補強角部
45B 被補強角部
45C 被補強角部
45D 被補強角部
50 補強部材
60 補強部材
62F 張出部
62 補強本体部
64 ステー連結部
S 軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒状の外側取付部材と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され前記外側取付部材の筒軸方向からみて前記外側取付部材の内側に配置される内側取付部材と、前記内側取付部材と前記外側取付部材の間に配置されて両者を連結する弾性体と、を有する防振装置本体を支持する防振装置用ブラケットであって、
前記筒軸方向で互いに向き合い前記内側取付部材の前記筒軸方向の移動を当接により規制する一対のストッパ板面部と、前記一対のストッパ板面部同士を連結するように前記ストッパ板面部の間に互いに向き合うように配置される一対の側面板部と、含んで筒状に一体的に形成され、前記外側取付部材側に固定されたストッパ部材と、
前記ストッパ部材の前記一対の側面板部同士を連結すると共に、前記ストッパ板面部の少なくとも一方と前記一対の側面板部の各々の間に構成される被補強角部に固定され、前記ストッパ部材の筒軸に沿ったストッパ軸方向からみて、前記ストッパ部材の筒内空間の少なくとも一部を覆うように配置された補強部材と、
前記振動発生部及び振動受部の一方に固定され、前記外側取付部材と前記振動発生部及び振動受部の一方とを連結する脚部材と、
を備えた防振装置用ブラケット。
【請求項2】
前記補強部材は、前記ストッパ軸方向からみて前記筒内空間の一方のストッパ板面部側を覆うように、前記被補強角部の一方から他方にかけて連続して前記ストッパ板面部に固定されていること、を特徴とする請求項1に記載の防振装置用ブラケット。
【請求項3】
前記補強部材は、前記ストッパ部材の前記ストッパ軸方向の端面に固定されていること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の防振装置用ブラケット。
【請求項4】
前記補強部材は、前記ストッパ軸方向からみて前記ストッパ部材の筒外に張り出す張出部を有すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防振装置用ブラケット。
【請求項5】
前記補強部材と一体的に形成され、振動発生部及び振動受部の一方に連結される連結ステーを備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防振装置用ブラケット。
【請求項6】
振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒状の外側取付部材と、振動発生部及び振動受部の他方に連結され前記外側取付部材の筒軸方向からみて前記外側取付部材の内側に配置される内側取付部材と、前記内側取付部材と前記外側取付部材の間に配置されて両者を連結する弾性体と、を有する防振装置本体と、
前記防振装置本体を振動発生部及び振動受部の一方に支持する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の防振装置用ブラケットと、
を備えた防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−67870(P2012−67870A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214281(P2010−214281)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】