防犯システム
【課題】検知センサの限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用する。
【解決手段】検知センサ10nは、警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに防犯受信器20の動作状態を問い合わせる状態確認信号を防犯受信器20に対し無線信号として送信し、検知信号を送信した後、または第1所定時間ごとに状態確認信号を送信した後、第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ、防犯受信器20から無線信号として送信される状態信号を受信する全ての機能部へ電源供給をするよう制御することで実現する。
【解決手段】検知センサ10nは、警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに防犯受信器20の動作状態を問い合わせる状態確認信号を防犯受信器20に対し無線信号として送信し、検知信号を送信した後、または第1所定時間ごとに状態確認信号を送信した後、第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ、防犯受信器20から無線信号として送信される状態信号を受信する全ての機能部へ電源供給をするよう制御することで実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、何らかの異常状態を検知し、検知結果に応じた防犯処理を実行する防犯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部から建物内への不法な侵入を防止するために、扉、窓などに設置した検知センサ(センサ)と、侵入を検知した検知センサから送信されるワイヤレス信号を受信して警報を発する防犯受信器(ワイヤレス防犯受信器)とを備えた防犯システムが考案、実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−173837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防犯システムでは、検知センサによって何らかの異常状態が検知されたことに応じて、防犯受信器から警報音を鳴動させ異常状態を住人へと報知するばかりではなく、検知センサにおいても警報音を鳴動させることで侵入者を威嚇することができるようになっている。一旦、防犯受信器、検知センサで警報音が鳴動された場合、警報音を停止させるために、住人は、それぞれ異なる場所に設置された防犯受信器、検知センサの設置場所へとわざわざ赴き、警報音の停止操作を実行する必要があった。
【0005】
そこで、警報音を停止させるのにそれぞれ異なる設置場所へと赴く煩わしさを解消するため、防犯受信器側での停止操作に応じて、検知センサ側の警報音の鳴動を停止させる停止信号を送信するといった構成が考えられる。
【0006】
しかしながら、このような構成にすると、内蔵された電池により電源供給がなされる検知センサは、警報音を鳴動させている間、停止信号を受信する信号受信部へ常に電源供給をする必要が生じてしまうため、限られた電源供給能力しかない電池の寿命を短期間に縮めてしまうといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述したような問題を解決するために案出されたものであり、煩わしい操作をすることなく防犯受信器、検知センサの警報音の鳴動を容易に停止させることができるとともに、検知センサの限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができる防犯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防犯システムは、何らかの異常状態を検知手段によって検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する防犯受信器とを備える防犯システムにおいて、前記検知センサが、前記防犯受信器に対し防犯受信器の動作状態を問い合わせる状態確認信号を無線信号として送信する状態確認信号送信手段と、前記検知信号、または前記状態確認信号の応答信号として、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信する状態信号受信手段と、前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、警報音を鳴動させる鳴動手段と、前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、鳴動させている警報音の鳴動を停止させる鳴動停止手段と、前記鳴動手段により警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御する送信制御手段と、前記検知信号が送信された後、または前記送信制御手段による制御により前記第1所定時間ごとに状態確認信号が送信された後、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記状態信号受信手段へ電源供給をするよう制御する電源供給制御手段とを有することで、上述の課題を解決する。
【0009】
また、本発明の防犯システムは、前記検知センサの電源供給制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信したことに応じて、前記第2所定時間の経過を待つことなく前状態信号受信手段への電源供給を停止するよう制御することで、上述の課題を解決する。
【0010】
さらに、本発明の防犯システムは、前記検知センサの送信制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信してから、前記第1所定時間の計時を開始して第1所定時間経過後、前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御することで、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、防犯受信器から無線信号として送信される状態信号に応じて、検知センサの警報音の鳴動を停止させることができるとともに、防犯受信器から送信される状態信号の受信待機を常にする必要がないため、検知センサに電源供給する電源の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができ、電源の長寿命化を促進することを可能とする。
【0012】
また、本発明によれば、状態信号を受信したことで第2所定時間の経過を待つことなく状態信号の受信期間を強制的に終了させることで、検知センサの電源の限られた電源供給能力を、さらに無駄なく有効に活用することを可能とする。
【0013】
さらに、本発明によれば、複数の検知センサが作動した場合であっても、状態確認信号を送信する送信タイミングは、防犯受信器から送信される状態信号を受信してから計時される第1所定時間後となるため、各検知センサから送信される状態確認信号の衝突を回避することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す防犯システム1について説明をする。防犯システム1は、複数の検知センサ10n(nは、自然数)と、検知センサ10nと所定の周波数帯域を利用して双方向に無線通信することができる防犯受信器20とを備えている。
【0016】
検知センサ10nは、防犯受信器20に無線信号を送信し、防犯受信器20から送信される無線信号を受信するアンテナ11、無線送受信部12と、送信するデータに基づき所定の周波数の搬送波を変調し、受信した無線信号に変調されているデータを復調して取り出す変復調部13と、当該検知センサ10nを統括的に制御する信号処理部14と、少なくとも当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報を記憶しているデータ記憶部15と、侵入者を検知するセンサ部16と、電源制御部17と、電源制御部17の制御に応じて当該検知センサ10nの各機能部に電源を供給する電池などの電源18と、侵入者を威嚇する警報音を鳴動させる音響部19とを備えている。
【0017】
このような構成の検知センサ10nは、小型形状をしており電池などの電源18を内蔵しているため、住宅をはじめとする様々な建物内外のあらゆる場所に設置可能となっている。検知センサ10nが設置される場所は、センサ部16のセンシング方式によって決定される。
【0018】
センサ部16は、防犯システム1で防犯管理している建物内、建物周囲領域内へ不当に侵入した侵入者の存在といった、管理管轄領域内での何らかの異常状態を検知することができるセンサであり、例えば、窓や扉(ドア)の開閉を検知することで侵入者の存在を間接的に検知するマグネットセンサ(開閉センサ)や、物体の温度と人の温度との温度差を検出することで侵入者の存在を直接的に検知する熱線センサなどを利用することができる。
【0019】
このように、検知センサ10nは、センサ部16としてマグネットセンサが使用されている場合には、窓や扉(ドア)などに設置され、熱線センサが使用されている場合には、建物の壁や天井などに設置されることになる。
【0020】
信号処理部14は、センサ部16によって、防犯システム1の管理管轄領域内へ不当に侵入した侵入者の存在が検知されたことに応じて、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報を読み出し、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13への電源供給を開始し、さらに、無線送受信部12、変復調部13を制御して、読み出した識別情報を添付した無線信号である検知信号をアンテナ11を介して防犯受信器20に送信する。
【0021】
信号処理部14は、検知信号の他にも防犯受信器20に対し当該防犯受信器20の動作状態を問い合わせる状態確認信号を無線信号として送信するよう制御する。信号処理部14は、音響部19により警報音が鳴動されている間、第1所定時間ごとに、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報を読み出し、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13への電源供給を開始し、さらに、無線送受信部12、変復調部13を制御して、読み出した識別情報を添付した無線信号である状態確認信号をアンテナ11を介して防犯受信器20に送信する。
【0022】
後で詳細に説明をするが、この状態確認信号を受信した防犯受信器20は、状態確認信号の応答信号として、当該防犯受信器20の動作状態(動作モード:非警戒モード、警戒モード、警報モード)を通知する状態信号を無線信号として送信することになる。また、防犯受信器20は、検知センサ10nから送信される検知信号を受信した場合にも、検知信号の応答信号として、当該防犯受信器20の動作状態を通知する状態信号を無線信号として送信する。
【0023】
上述したように、検知センサ10nの各機能部は、電池である電源18によって電源供給がなされている。無線信号の送受信にかかわる無線送受信部12、変復調部13などへの電源供給量は非常に多く、電源18の蓄電量を大幅に減少させることになる。
【0024】
そこで、信号処理部14は、上述したように第1所定時間ごとに状態確認信号を送信するが、この状態確認信号を送信した後に、第1所定時間よりも極めて短く、検知信号、状態確認信号に対する防犯受信器20からの応答信号である状態信号を受信するのに充分な第2所定時間だけ、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対して電源を供給するように電源制御部17を制御する。これにより、電源18の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができる。
【0025】
また、信号処理部14は、検知信号を送信した後も第2所定時間だけ、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対して電源を供給するように電源制御部17を制御する。これにより、電源18の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができる。
【0026】
信号処理部14は、防犯受信器20から送信され、アンテナ11、無線送受信部12を介して無線信号が受信されたことに応じて、変復調部13で復調された無線信号に添付されている識別情報と、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報とを比較し、自身に対して送信された無線信号であるかどうかを判定する。
【0027】
信号処理部14は、識別信号が一致した場合には、自身に対して送信された無線信号であると判断して、送信された無線信号の命令要求に応じた処理を実行する。
【0028】
具体的には、信号処理部14は、検知信号、状態確認信号を受信した防犯受信器20から応答信号として送信される当該防犯受信器20の動作状態を通知する状態信号を受信した場合、状態信号に応じて、音響部19を制御し警報音を鳴動させたり、既に鳴動している警報音の鳴動を停止させたりする。
【0029】
検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号によって通知される防犯受信器20の動作状態が警報モードとなった場合に、侵入者を威嚇する威嚇機能を備えている。図1に示すように、検知センサ10nは、音響部19を備えており、上述した条件を満たした場合に、音響部19から威嚇音(威嚇メッセージ)を発することで侵入者を威嚇することができる。
【0030】
なお、検知センサ10nが備える威嚇機能は、当該検知センサ10nの近傍に存在する侵入者を威嚇することができればよいため、上述したように威嚇音を発する音響部19に限定されるものではなく、例えば、強い光を発光するランプや機械的な機構などであってもよい。
【0031】
図1に示すように、防犯受信器20は、検知センサ10nに無線信号を送信し、検知センサ10nから送信される無線信号を受信するアンテナ21、無線送受信部22と、送信するデータに基づき所定の周波数の搬送波を変調し、受信した無線信号に変調されているデータを復調して取り出す変復調部23と、当該防犯受信器20を統括的に制御する信号処理部24と、防犯システム1を構成する全ての検知センサ10nの識別情報を記憶したデータ記憶部25と、当該防犯受信器20の各種機能を操作するための例えば、押下ボタンなどである操作部26と、表示部27と、検知センサ10nから送信された検知信号を受信したことに応じて鳴動し、周囲にいる人に対して、侵入者が検知されたことを報知する音響部28とを備える。
【0032】
このような構成の防犯受信器20は、検知センサ10nに較べて大型な装置となっており、例えば、建物内の所定の場所に、表示部27を視認し易く、操作部26を操作し易い位置に固定的に設置されることになる。したがって、電源は、固定電源を使用する。
【0033】
表示部27は、例えば、LED(Light Emitting Diode)といった発光素子や、発光ランプなどである。表示部27は、検知センサ10nから送信された無線信号を受信した場合や、操作部26が操作された場合に、信号処理部24による点灯、消灯、点滅制御に応じて表示形態を変えることで、信号受信状況や、操作状況などをユーザに視覚的に提示する。例えば、検知センサ10nから送信された検知信号を受信した場合には、検知センサ10nの設置により侵入者を検知することが可能となった検知エリアを特定する発光ランプが点滅し、侵入者の位置をユーザに通知する。
【0034】
表示部27は、ユーザが一瞥して表示結果を視認することができればどのようなものであってもよく、例えば、赤色光、緑色光、青色光を発光することができるLEDを用い、発光色の組み合わせを変えることで上述した消灯、点灯、点滅と同じように表示形態を変えることもできる。また、このようなLEDばかりではなく、例えば、小型で薄型のEL(Electric Luminescence)発光パネルなどであってもよい。また、表示部27は、文字情報や画像情報を表示することができる液晶ディスプレイなどを用いることもできる。
【0035】
データ記憶部25は、防犯システム1を構成する検知センサ10nの全ての識別情報を、検知センサ10nを設置した検知エリアを特定することができる情報に対応付けて記憶している。検知エリアを特定することができる情報は、例えば、検知エリアと対応付けられた発光ランプである表示部27を特定する情報であったり、液晶ディスプレイや発光パネルである表示部27に表示させるシンボル情報などである。
【0036】
これにより、検知センサ10nから送信された検知信号より取得される識別情報から、データ記憶部25に対応付けられた情報を取得し、表示部27を介してユーザに提示することで、侵入者が検知された検知エリアを特定することができる。
【0037】
信号処理部24は、検知センサ10nから送信され、アンテナ21、無線送受信部22を介して検知信号が受信されたことに応じて、変復調部23で復調された検知信号に添付されている識別情報と、データ記憶部25に記憶されている検知センサ10nを一意に特定する識別情報とを比較し、対応付けて記憶されている情報を読み出すとともに、音響部28を鳴動させる。そして、信号処理部24は、読み出した情報で特定される侵入者が検知された検知エリアを表示部27を介してユーザに提示する。
【0038】
また、信号処理部24は、検知センサ10nから送信される検知信号、または状態確認信号を受信したことに応じて、防犯受信器20の現在の動作状態を示す情報とともに、各信号より取得される識別情報を添付した応答信号である状態信号を生成し、変復調部23、無線送受信部22、アンテナ21を介して検知センサ10nに送信する。状態信号を受信した検知センサ10nは、状態信号に添付された識別情報を参照することで自身宛の応答信号であることを把握し、動作状態を示す情報から防犯受信器20の現在の動作状態を把握することができる。
【0039】
防犯受信器20は、検知エリア毎に非警戒モード、警戒モードといった防犯受信器20の動作モードを設定することができる。
【0040】
検知エリアを非警戒モードに設定すると、防犯受信器20は、非警戒モードとした検知エリアに設置された検知センサ10nから送信される検知信号を受信したとしても警報音を鳴動させない。非警戒モードは、防犯受信器20の動作状態を休止状態とする動作モードである。
【0041】
また、検知エリアを警戒モードに設定すると、防犯受信器20は、警戒モードとした検知エリアに設置された検知センサ10nから送信される検知信号を受信した場合に警報音を鳴動させるよう待機する。警戒モードは、防犯受信器20の動作状態を待機状態とする動作モードである。
【0042】
信号処理部24は、この警戒モード時に検知信号を受信したことに応じて、防犯受信器20の動作状態をさらに警報モードへと移行させ、音響部28、表示部27でそれぞれ警報音(警報メッセージ)の発報や、警報表示(例えば、赤色ランプ点灯)を実行させる。警報モードは、防犯受信器20で警報を鳴動させている際の動作状態を示した動作モードである。
【0043】
[防犯システム1の処理動作]
続いて、図2−1、図2−2に示すタイミングチャートを用いて、防犯システム1の処理動作について説明をする。
【0044】
まず、図2−1に示すように、ステップS1において、防犯受信器20は、検知センサ10nから送信される検知信号を待機するアイドル状態となっている。
【0045】
ステップS2において、検知センサ10nは、電源制御部17によってセンサ部16に電源供給がなされ、センサ部16による検知エリア内への侵入者のセンシング機能のみが機能しているスリープ状態となっている。
【0046】
ステップS3において、検知センサ10nの信号処理部14は、センサ部16によって侵入者が検知されたかどうかを判断する。信号処理部14は、侵入者が検知された場合には、ステップS4へと処理を進める一方、侵入者が検知されない場合にはステップS2へと処理を戻し、上述したスリープ状態を継続する。
【0047】
ステップS4において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の送信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう制御する。
【0048】
ステップS5において、検知センサ10nの信号処理部14は、センサ部16により侵入者が検知されたことに応じて、データ記憶部15から識別情報を読み出し、読み出した識別情報を添付した検知信号を生成して防犯受信器20に送信する。
【0049】
検知信号を送信した後、信号処理部14は、検知信号の応答信号として防犯受信器20より送信される状態信号を受信するために第2の所定時間だけ、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を行うよう制御する。
【0050】
ステップS6において、防犯受信器20の信号処理部24は、検知センサ10nから送信される検知信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部24は、検知信号を受信した場合には、ステップS8へと処理を進める一方、検知信号を受信できなかった場合には、ステップS1へと戻り検知信号の受信を待機するアイドル状態を継続する。
【0051】
ステップS8において、防犯受信器20の信号処理部24は、現在の動作モードが警戒モードであるかどうかを判断する。信号処理部24は、警戒モードである場合にはステップS9へと処理を進める一方、警戒モード以外の動作モードである非警戒モードの場合にはステップS20へと処理を進める。
【0052】
ステップS9において、防犯受信器20の信号処理部24は、警戒モードであることに応じて警報モードへと移行し、音響部28を制御して警報音を鳴動させ、表示部27を制御して警報表示させる。
【0053】
ステップS10において、信号処理部24は、当該防犯受信器20の現在の動作状態を示した情報と、受信した検知信号に添付されている識別情報を読み出し、読み出した識別情報とを添付した状態信号を生成して検知センサ10nに送信する。
【0054】
ステップS11において、防犯受信器20の信号処理部24は、ユーザである住人によって警報停止操作がなされたかどうかを判断する。信号処理部24は、警報停止操作がなされたと判断した場合には、ステップS12へと処理を進める一方、警報停止操作がなされない場合には、ステップS20へと処理を進める。
【0055】
ステップS12において、防犯受信器20の信号処理部24は、警報モードを解除し、音響部28を制御して警報音の鳴動、表示部27の警報表示を停止させる。
【0056】
ステップS13において、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20から送信される状態信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部14は、状態信号を受信した場合には、ステップS14へと処理を進める一方、状態信号を受信していない場合には、状態信号の受信待機状態となる。
【0057】
ステップS7において、検知センサ10nの信号処理部14は、受信した状態信号から防犯受信器20の動作モードが警報モードであるかどうかを判断する。信号処理部14は、防犯受信器20の動作モードが警報モードであった場合、ステップS14へと処理を進める一方、警報モードでなかった場合、ステップS2へと処理を戻す。
【0058】
ステップS14において、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20から送信される状態信号に応じて、音響部19を制御し、当該検知センサ10nの近傍に存在する侵入者を威嚇するような警報音(威嚇音)の鳴動を開始させる。
【0059】
ステップS15において、検知センサ10nの信号処理部14は、検知信号が送信された後、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう電源制御部17を制御してから第2所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第2所定時間経過した場合には、ステップS16へと処理を進める一方、第2所定時間経過していない場合には、第2所定時間経過するのを待機する待機状態となる。
【0060】
ステップS16において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止させる。
【0061】
ステップS17において、検知センサ10nの信号処理部14は、検知信号を送信してから、または前回の処理ステップにおいて状態確認信号を送信してから、第1所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第1所定時間経過した場合には、ステップS18へと処理を進め、第1所定時間経過していない場合には、ステップS16へと処理を戻し、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給の停止を継続させる。
【0062】
ステップS18におい、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の送信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう制御する。
【0063】
ステップS19において、検知センサ10nの信号処理部14は、データ記憶部15から識別情報を読み出し、読み出した識別情報を添付した状態確認信号を生成して防犯受信器20に送信する。
【0064】
状態確認信号を送信した後、信号処理部14は、状態確認信号の応答信号として防犯受信器20より送信される状態信号を受信するために第2の所定時間だけ、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を行うよう制御する。
【0065】
ステップS20において、防犯受信器20の信号処理部24は、検知センサ10nから送信された状態確認信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部24は、状態確認信号を受信した場合にはステップS22へと処理を進める一方、状態確認信号を受信していない場合には状態確認信号の受信を待機する待機状態となる。
【0066】
ステップS21において、防犯受信器20の信号処理部24は、当該防犯受信器20の現在の動作状態を示す情報と、状態確認信号より取得される識別情報とを添付した状態信号を生成して検知センサ10nに送信する。
【0067】
ステップS22において、防犯受信器20の信号処理部24は、当該防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであるかどうかを判断する。信号処理部24は、警報モードである場合には、ステップS20へと処理を戻し状態確認信号の待機状態を継続させる一方、警報モードでない場合には、ステップS1へと処理を戻す。
【0068】
続いて、図2−2に示すように、ステップS23において、検知センサ10nの信号処理部14は、状態信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部14は、状態信号を受信した場合には、ステップS24へと処理を進める一方、状態信号を受信していない場合には、ステップS28へと処理を進める。
【0069】
ステップS24において、検知センサ10nの信号処理部14は、受信した状態信号を参照して防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであるかどうかを判断する。信号処理部14は、警報モードでない場合には、ステップS25へと処理を進める一方、警報モードである場合には、ステップS28へと処理を進める。
【0070】
ステップS25において、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードでないことに応じて、音響部19を制御し、警報音の鳴動を停止させる。
【0071】
ステップS26において、検知センサ10nの信号処理部14は、ステップS19にて状態確認信号が送信された後、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう電源制御部17を制御してから第2所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第2所定時間経過した場合には、ステップS27へと処理を進める一方、第2所定時間経過していない場合には、第2所定時間経過するの待機する待機状態となる。
【0072】
ステップS27において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止させる。信号処理部14は、ステップS27の処理を終了するとステップS2へと処理を戻す。
【0073】
ステップS28において、検知センサ10nの信号処理部14は、状態信号を受信していない場合、または受信した状態信号から防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであった場合に、警報音の鳴動を停止させることなく、ステップS19にて状態確認信号が送信された後、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう電源制御部17を制御してから第2所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第2所定時間経過した場合には、ステップS29へと処理を進める一方、第2所定時間経過していない場合には、第2所定時間経過するの待機する待機状態となる。
【0074】
ステップS29において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止させる。
【0075】
ステップS30において、検知センサ10nの信号処理部14は、警報音の鳴動が開始されてから警報音を鳴動させる所定の時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、警報音を鳴動させる所定の時間経過した場合には音響部を制御し警報音の鳴動を停止させ、ステップS2へと処理を進める一方、警報音を鳴動させる所定の時間経過していない場合には、ステップS17へと処理を戻す。
【0076】
なお、検知センサ10n、防犯受信器20の信号受信のステップに関しては、第1所定時間、第2所定時間よりも充分長い所定時間、信号を受信するための待機状態が続いた場合、それぞれアイドル状態、スリープ状態に戻るように設定されている。
【0077】
図3は、検知センサ10nによって異常状態が検知され、警戒モードに設定されていた防犯受信器20が警報モードへと移行した場合の検知センサ10nと防犯受信器20の信号の送受信の様子の一例を示した図である。
【0078】
図3に示すように、検知センサ10nで異常状態が検出されると、検知信号送信期間に検知信号Pが送信される。防犯受信器20は、検知センサ10nから送信された検知信号Pを受信したことに応じて、警報音を鳴動させる。
【0079】
防犯受信器20は、検知センサ10nから送信された検知信号Pを受信したことに応じて、状態信号送信期間に状態信号SSを送信する。この状態信号送信期間が経過すると、検知センサ10nから送信される状態確認信号CSの受信期間となる。
【0080】
検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号SSに応じて、警報音を鳴動させる。検知センサ10nは、検知信号Pを送信した後、第2所定時間T2だけ、防犯受信器20から送信される状態信号SSを受信することができる。
【0081】
さらに、検知センサ10nは、防犯受信器20が警報モードとなっている間、第1所定時間ごとに状態確認信号CSを送信する。検知センサ10nは、状態確認信号CS送信した後、第2所定時間T2だけ、防犯受信器20から送信される状態信号SSを受信することができる。
【0082】
以降、防犯受信器20は、検知センサ10nから送信される状態確認信号CSを受信するたびに、応答信号として状態信号SSを送信する。検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号SSで示される防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードでなくなったことに応じて、警報音の鳴動を停止させるとともに、第1所定時間ごとに送信していた状態確認信号CSの送信を停止する。
【0083】
このように、本発明の実施の形態として示す防犯システム1では、検知センサ10nが、何らかの異常状態を検出して検知信号を送信し、侵入者を威嚇するように警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに状態確認信号を無線信号として送信し、検知信号が送信された後、または第1所定時間ごとに状態確認信号が送信された後、第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ、無線信号を受信する全ての機能部に対して電源を供給するように制御する。
【0084】
これにより、防犯受信器20から無線信号として送信される状態信号に応じて、検知センサ10nの警報音の鳴動を停止させることができるとともに、防犯受信器20から送信される状態信号の受信待機を常にする必要がないため、検知センサ10nに電源供給する電源18の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができ、電源18の長寿命化を促進することができる。
【0085】
[第2所定時間の経過を待たない処理]
図2−1、図2−2、図3を用いて説明したように、防犯システム1の検知センサ10nは、検知信号、状態確認信号の応答信号として送信される状態信号から防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであると判断した場合、第1所定時間ごとに状態確認信号を送信し、状態確認信号を送信した後、第2所定時間だけ防犯受信器20からの応答信号として送信される状態信号を受信できるように、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を行うよう電源制御部17を制御している。つまり、信号処理部14は、第2所定時間経過した後、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止するよう電源制御部17を制御している。
【0086】
さらに、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20から送信される状態信号を受信したことに応じて、第2所定時間の経過を待つことなく、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止するよう電源制御部17を制御することもできる。これにより、必ず第2所定時間の経過を待つ必要がないため、検知センサ10nの電源18の限られた電源供給能力を、さらに無駄なく有効に活用することができる。
【0087】
具体的には、図4に示すように、検知センサ10nの信号処理部14は、検知信号Pを送信した後、または防犯受信器20が警報モードであり警報音を鳴動している期間において、第1所定時間T1ごとに状態確認信号CSを送信した後に、第2所定時間T2だけ状態信号SSの受信期間を設けるが、この第2所定時間T2を、防犯受信器20からの状態信号SSを受信したことに応じて強制的に終了させる。
【0088】
上述した図3に示す例では、必ず第2所定時間T2だけ状態信号SSを受信する受信期間を設けていたが、図4に示すように、検知センサ10nの信号処理部14は、状態信号SSを受信したことで第2所定時間T2の経過を待つことなく状態信号SSの受信期間を強制的に終了させることで、検知センサ10nの電源18の限られた電源供給能力を、さらに無駄なく有効に活用することができる。
【0089】
なお、このときの防犯システム1の処理動作は、図2−1、図2−2に示すフローチャートにおいて、図2−1のステップS15、図2−2のステップS26、ステップS28のステップが削除されるだけで、他の処理ステップは全く同じになるため省略をする。
【0090】
[状態信号を受信してから第1所定時間を計時する処理]
防犯システム1では、複数の検知センサ10nを備えているため、例えば、複数の検知センサ10nでほぼ同時に何らかの異常が検出された場合など、第1所定時間は一定であるため防犯受信器20へ送信する状態確認信号の送信タイミングが毎回重なってしまい信号の衝突により防犯受信器20が不具合を起こしてしまう可能性がある。
【0091】
防犯受信器20は、検知信号、状態確認信号を複数受信した場合、送信タイミングをずらして各検知センサ10n宛の状態信号を送信している。そこで、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20からの状態信号を受信してから、内蔵するタイマにより第1所定時間となるまで計時を開始し、第1所定時間経過した後に次の状態確認信号を送信するようにする。この様子を、図5に示す。図5に示すように、検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号SSを受信してから、第1所定時間T1の計時を開始し、第1所定時間T1経過後に次の状態確認信号CSを送信している。
【0092】
これにより、複数の検知センサ10nが作動した場合であっても、状態確認信号を送信する送信タイミングは、それぞれ異なる送信タイミングで防犯受信器20から送信される状態信号を受信してから計時される第1所定時間後となるため、各検知センサ10nから送信される状態確認信号の衝突を回避することができる。
【0093】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態として示す防犯システムの構成について説明するための図である。
【図2−1】前記防犯システムの処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図2−2】前記図2−1に続く前記防犯システムの処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】防犯受信器が警報モードへと移行した場合の検知センサと防犯受信器の信号の送受信の様子について示した図である。
【図4】第2所定時間の経過を待たない処理について説明するための図である。
【図5】状態信号を受信してから第1所定時間を計時する処理について説明するための図である。
【符号の説明】
【0095】
1 防犯システム
10n 検知センサ
12 無線送受信部
13 変復調部
14 信号処理部
15 データ記憶部
16 センサ部
17 電源制御部
18 電源
19 音響部
20 防犯受信器
24 信号処理部
27 表示部
28 音響部
【技術分野】
【0001】
本発明は、何らかの異常状態を検知し、検知結果に応じた防犯処理を実行する防犯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部から建物内への不法な侵入を防止するために、扉、窓などに設置した検知センサ(センサ)と、侵入を検知した検知センサから送信されるワイヤレス信号を受信して警報を発する防犯受信器(ワイヤレス防犯受信器)とを備えた防犯システムが考案、実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−173837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防犯システムでは、検知センサによって何らかの異常状態が検知されたことに応じて、防犯受信器から警報音を鳴動させ異常状態を住人へと報知するばかりではなく、検知センサにおいても警報音を鳴動させることで侵入者を威嚇することができるようになっている。一旦、防犯受信器、検知センサで警報音が鳴動された場合、警報音を停止させるために、住人は、それぞれ異なる場所に設置された防犯受信器、検知センサの設置場所へとわざわざ赴き、警報音の停止操作を実行する必要があった。
【0005】
そこで、警報音を停止させるのにそれぞれ異なる設置場所へと赴く煩わしさを解消するため、防犯受信器側での停止操作に応じて、検知センサ側の警報音の鳴動を停止させる停止信号を送信するといった構成が考えられる。
【0006】
しかしながら、このような構成にすると、内蔵された電池により電源供給がなされる検知センサは、警報音を鳴動させている間、停止信号を受信する信号受信部へ常に電源供給をする必要が生じてしまうため、限られた電源供給能力しかない電池の寿命を短期間に縮めてしまうといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述したような問題を解決するために案出されたものであり、煩わしい操作をすることなく防犯受信器、検知センサの警報音の鳴動を容易に停止させることができるとともに、検知センサの限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができる防犯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の防犯システムは、何らかの異常状態を検知手段によって検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する防犯受信器とを備える防犯システムにおいて、前記検知センサが、前記防犯受信器に対し防犯受信器の動作状態を問い合わせる状態確認信号を無線信号として送信する状態確認信号送信手段と、前記検知信号、または前記状態確認信号の応答信号として、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信する状態信号受信手段と、前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、警報音を鳴動させる鳴動手段と、前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、鳴動させている警報音の鳴動を停止させる鳴動停止手段と、前記鳴動手段により警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御する送信制御手段と、前記検知信号が送信された後、または前記送信制御手段による制御により前記第1所定時間ごとに状態確認信号が送信された後、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記状態信号受信手段へ電源供給をするよう制御する電源供給制御手段とを有することで、上述の課題を解決する。
【0009】
また、本発明の防犯システムは、前記検知センサの電源供給制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信したことに応じて、前記第2所定時間の経過を待つことなく前状態信号受信手段への電源供給を停止するよう制御することで、上述の課題を解決する。
【0010】
さらに、本発明の防犯システムは、前記検知センサの送信制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信してから、前記第1所定時間の計時を開始して第1所定時間経過後、前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御することで、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、防犯受信器から無線信号として送信される状態信号に応じて、検知センサの警報音の鳴動を停止させることができるとともに、防犯受信器から送信される状態信号の受信待機を常にする必要がないため、検知センサに電源供給する電源の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができ、電源の長寿命化を促進することを可能とする。
【0012】
また、本発明によれば、状態信号を受信したことで第2所定時間の経過を待つことなく状態信号の受信期間を強制的に終了させることで、検知センサの電源の限られた電源供給能力を、さらに無駄なく有効に活用することを可能とする。
【0013】
さらに、本発明によれば、複数の検知センサが作動した場合であっても、状態確認信号を送信する送信タイミングは、防犯受信器から送信される状態信号を受信してから計時される第1所定時間後となるため、各検知センサから送信される状態確認信号の衝突を回避することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、図1を用いて、本発明の実施の形態として示す防犯システム1について説明をする。防犯システム1は、複数の検知センサ10n(nは、自然数)と、検知センサ10nと所定の周波数帯域を利用して双方向に無線通信することができる防犯受信器20とを備えている。
【0016】
検知センサ10nは、防犯受信器20に無線信号を送信し、防犯受信器20から送信される無線信号を受信するアンテナ11、無線送受信部12と、送信するデータに基づき所定の周波数の搬送波を変調し、受信した無線信号に変調されているデータを復調して取り出す変復調部13と、当該検知センサ10nを統括的に制御する信号処理部14と、少なくとも当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報を記憶しているデータ記憶部15と、侵入者を検知するセンサ部16と、電源制御部17と、電源制御部17の制御に応じて当該検知センサ10nの各機能部に電源を供給する電池などの電源18と、侵入者を威嚇する警報音を鳴動させる音響部19とを備えている。
【0017】
このような構成の検知センサ10nは、小型形状をしており電池などの電源18を内蔵しているため、住宅をはじめとする様々な建物内外のあらゆる場所に設置可能となっている。検知センサ10nが設置される場所は、センサ部16のセンシング方式によって決定される。
【0018】
センサ部16は、防犯システム1で防犯管理している建物内、建物周囲領域内へ不当に侵入した侵入者の存在といった、管理管轄領域内での何らかの異常状態を検知することができるセンサであり、例えば、窓や扉(ドア)の開閉を検知することで侵入者の存在を間接的に検知するマグネットセンサ(開閉センサ)や、物体の温度と人の温度との温度差を検出することで侵入者の存在を直接的に検知する熱線センサなどを利用することができる。
【0019】
このように、検知センサ10nは、センサ部16としてマグネットセンサが使用されている場合には、窓や扉(ドア)などに設置され、熱線センサが使用されている場合には、建物の壁や天井などに設置されることになる。
【0020】
信号処理部14は、センサ部16によって、防犯システム1の管理管轄領域内へ不当に侵入した侵入者の存在が検知されたことに応じて、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報を読み出し、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13への電源供給を開始し、さらに、無線送受信部12、変復調部13を制御して、読み出した識別情報を添付した無線信号である検知信号をアンテナ11を介して防犯受信器20に送信する。
【0021】
信号処理部14は、検知信号の他にも防犯受信器20に対し当該防犯受信器20の動作状態を問い合わせる状態確認信号を無線信号として送信するよう制御する。信号処理部14は、音響部19により警報音が鳴動されている間、第1所定時間ごとに、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報を読み出し、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13への電源供給を開始し、さらに、無線送受信部12、変復調部13を制御して、読み出した識別情報を添付した無線信号である状態確認信号をアンテナ11を介して防犯受信器20に送信する。
【0022】
後で詳細に説明をするが、この状態確認信号を受信した防犯受信器20は、状態確認信号の応答信号として、当該防犯受信器20の動作状態(動作モード:非警戒モード、警戒モード、警報モード)を通知する状態信号を無線信号として送信することになる。また、防犯受信器20は、検知センサ10nから送信される検知信号を受信した場合にも、検知信号の応答信号として、当該防犯受信器20の動作状態を通知する状態信号を無線信号として送信する。
【0023】
上述したように、検知センサ10nの各機能部は、電池である電源18によって電源供給がなされている。無線信号の送受信にかかわる無線送受信部12、変復調部13などへの電源供給量は非常に多く、電源18の蓄電量を大幅に減少させることになる。
【0024】
そこで、信号処理部14は、上述したように第1所定時間ごとに状態確認信号を送信するが、この状態確認信号を送信した後に、第1所定時間よりも極めて短く、検知信号、状態確認信号に対する防犯受信器20からの応答信号である状態信号を受信するのに充分な第2所定時間だけ、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対して電源を供給するように電源制御部17を制御する。これにより、電源18の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができる。
【0025】
また、信号処理部14は、検知信号を送信した後も第2所定時間だけ、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対して電源を供給するように電源制御部17を制御する。これにより、電源18の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができる。
【0026】
信号処理部14は、防犯受信器20から送信され、アンテナ11、無線送受信部12を介して無線信号が受信されたことに応じて、変復調部13で復調された無線信号に添付されている識別情報と、データ記憶部15に記憶されている当該検知センサ10nを一意に特定する識別情報とを比較し、自身に対して送信された無線信号であるかどうかを判定する。
【0027】
信号処理部14は、識別信号が一致した場合には、自身に対して送信された無線信号であると判断して、送信された無線信号の命令要求に応じた処理を実行する。
【0028】
具体的には、信号処理部14は、検知信号、状態確認信号を受信した防犯受信器20から応答信号として送信される当該防犯受信器20の動作状態を通知する状態信号を受信した場合、状態信号に応じて、音響部19を制御し警報音を鳴動させたり、既に鳴動している警報音の鳴動を停止させたりする。
【0029】
検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号によって通知される防犯受信器20の動作状態が警報モードとなった場合に、侵入者を威嚇する威嚇機能を備えている。図1に示すように、検知センサ10nは、音響部19を備えており、上述した条件を満たした場合に、音響部19から威嚇音(威嚇メッセージ)を発することで侵入者を威嚇することができる。
【0030】
なお、検知センサ10nが備える威嚇機能は、当該検知センサ10nの近傍に存在する侵入者を威嚇することができればよいため、上述したように威嚇音を発する音響部19に限定されるものではなく、例えば、強い光を発光するランプや機械的な機構などであってもよい。
【0031】
図1に示すように、防犯受信器20は、検知センサ10nに無線信号を送信し、検知センサ10nから送信される無線信号を受信するアンテナ21、無線送受信部22と、送信するデータに基づき所定の周波数の搬送波を変調し、受信した無線信号に変調されているデータを復調して取り出す変復調部23と、当該防犯受信器20を統括的に制御する信号処理部24と、防犯システム1を構成する全ての検知センサ10nの識別情報を記憶したデータ記憶部25と、当該防犯受信器20の各種機能を操作するための例えば、押下ボタンなどである操作部26と、表示部27と、検知センサ10nから送信された検知信号を受信したことに応じて鳴動し、周囲にいる人に対して、侵入者が検知されたことを報知する音響部28とを備える。
【0032】
このような構成の防犯受信器20は、検知センサ10nに較べて大型な装置となっており、例えば、建物内の所定の場所に、表示部27を視認し易く、操作部26を操作し易い位置に固定的に設置されることになる。したがって、電源は、固定電源を使用する。
【0033】
表示部27は、例えば、LED(Light Emitting Diode)といった発光素子や、発光ランプなどである。表示部27は、検知センサ10nから送信された無線信号を受信した場合や、操作部26が操作された場合に、信号処理部24による点灯、消灯、点滅制御に応じて表示形態を変えることで、信号受信状況や、操作状況などをユーザに視覚的に提示する。例えば、検知センサ10nから送信された検知信号を受信した場合には、検知センサ10nの設置により侵入者を検知することが可能となった検知エリアを特定する発光ランプが点滅し、侵入者の位置をユーザに通知する。
【0034】
表示部27は、ユーザが一瞥して表示結果を視認することができればどのようなものであってもよく、例えば、赤色光、緑色光、青色光を発光することができるLEDを用い、発光色の組み合わせを変えることで上述した消灯、点灯、点滅と同じように表示形態を変えることもできる。また、このようなLEDばかりではなく、例えば、小型で薄型のEL(Electric Luminescence)発光パネルなどであってもよい。また、表示部27は、文字情報や画像情報を表示することができる液晶ディスプレイなどを用いることもできる。
【0035】
データ記憶部25は、防犯システム1を構成する検知センサ10nの全ての識別情報を、検知センサ10nを設置した検知エリアを特定することができる情報に対応付けて記憶している。検知エリアを特定することができる情報は、例えば、検知エリアと対応付けられた発光ランプである表示部27を特定する情報であったり、液晶ディスプレイや発光パネルである表示部27に表示させるシンボル情報などである。
【0036】
これにより、検知センサ10nから送信された検知信号より取得される識別情報から、データ記憶部25に対応付けられた情報を取得し、表示部27を介してユーザに提示することで、侵入者が検知された検知エリアを特定することができる。
【0037】
信号処理部24は、検知センサ10nから送信され、アンテナ21、無線送受信部22を介して検知信号が受信されたことに応じて、変復調部23で復調された検知信号に添付されている識別情報と、データ記憶部25に記憶されている検知センサ10nを一意に特定する識別情報とを比較し、対応付けて記憶されている情報を読み出すとともに、音響部28を鳴動させる。そして、信号処理部24は、読み出した情報で特定される侵入者が検知された検知エリアを表示部27を介してユーザに提示する。
【0038】
また、信号処理部24は、検知センサ10nから送信される検知信号、または状態確認信号を受信したことに応じて、防犯受信器20の現在の動作状態を示す情報とともに、各信号より取得される識別情報を添付した応答信号である状態信号を生成し、変復調部23、無線送受信部22、アンテナ21を介して検知センサ10nに送信する。状態信号を受信した検知センサ10nは、状態信号に添付された識別情報を参照することで自身宛の応答信号であることを把握し、動作状態を示す情報から防犯受信器20の現在の動作状態を把握することができる。
【0039】
防犯受信器20は、検知エリア毎に非警戒モード、警戒モードといった防犯受信器20の動作モードを設定することができる。
【0040】
検知エリアを非警戒モードに設定すると、防犯受信器20は、非警戒モードとした検知エリアに設置された検知センサ10nから送信される検知信号を受信したとしても警報音を鳴動させない。非警戒モードは、防犯受信器20の動作状態を休止状態とする動作モードである。
【0041】
また、検知エリアを警戒モードに設定すると、防犯受信器20は、警戒モードとした検知エリアに設置された検知センサ10nから送信される検知信号を受信した場合に警報音を鳴動させるよう待機する。警戒モードは、防犯受信器20の動作状態を待機状態とする動作モードである。
【0042】
信号処理部24は、この警戒モード時に検知信号を受信したことに応じて、防犯受信器20の動作状態をさらに警報モードへと移行させ、音響部28、表示部27でそれぞれ警報音(警報メッセージ)の発報や、警報表示(例えば、赤色ランプ点灯)を実行させる。警報モードは、防犯受信器20で警報を鳴動させている際の動作状態を示した動作モードである。
【0043】
[防犯システム1の処理動作]
続いて、図2−1、図2−2に示すタイミングチャートを用いて、防犯システム1の処理動作について説明をする。
【0044】
まず、図2−1に示すように、ステップS1において、防犯受信器20は、検知センサ10nから送信される検知信号を待機するアイドル状態となっている。
【0045】
ステップS2において、検知センサ10nは、電源制御部17によってセンサ部16に電源供給がなされ、センサ部16による検知エリア内への侵入者のセンシング機能のみが機能しているスリープ状態となっている。
【0046】
ステップS3において、検知センサ10nの信号処理部14は、センサ部16によって侵入者が検知されたかどうかを判断する。信号処理部14は、侵入者が検知された場合には、ステップS4へと処理を進める一方、侵入者が検知されない場合にはステップS2へと処理を戻し、上述したスリープ状態を継続する。
【0047】
ステップS4において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の送信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう制御する。
【0048】
ステップS5において、検知センサ10nの信号処理部14は、センサ部16により侵入者が検知されたことに応じて、データ記憶部15から識別情報を読み出し、読み出した識別情報を添付した検知信号を生成して防犯受信器20に送信する。
【0049】
検知信号を送信した後、信号処理部14は、検知信号の応答信号として防犯受信器20より送信される状態信号を受信するために第2の所定時間だけ、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を行うよう制御する。
【0050】
ステップS6において、防犯受信器20の信号処理部24は、検知センサ10nから送信される検知信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部24は、検知信号を受信した場合には、ステップS8へと処理を進める一方、検知信号を受信できなかった場合には、ステップS1へと戻り検知信号の受信を待機するアイドル状態を継続する。
【0051】
ステップS8において、防犯受信器20の信号処理部24は、現在の動作モードが警戒モードであるかどうかを判断する。信号処理部24は、警戒モードである場合にはステップS9へと処理を進める一方、警戒モード以外の動作モードである非警戒モードの場合にはステップS20へと処理を進める。
【0052】
ステップS9において、防犯受信器20の信号処理部24は、警戒モードであることに応じて警報モードへと移行し、音響部28を制御して警報音を鳴動させ、表示部27を制御して警報表示させる。
【0053】
ステップS10において、信号処理部24は、当該防犯受信器20の現在の動作状態を示した情報と、受信した検知信号に添付されている識別情報を読み出し、読み出した識別情報とを添付した状態信号を生成して検知センサ10nに送信する。
【0054】
ステップS11において、防犯受信器20の信号処理部24は、ユーザである住人によって警報停止操作がなされたかどうかを判断する。信号処理部24は、警報停止操作がなされたと判断した場合には、ステップS12へと処理を進める一方、警報停止操作がなされない場合には、ステップS20へと処理を進める。
【0055】
ステップS12において、防犯受信器20の信号処理部24は、警報モードを解除し、音響部28を制御して警報音の鳴動、表示部27の警報表示を停止させる。
【0056】
ステップS13において、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20から送信される状態信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部14は、状態信号を受信した場合には、ステップS14へと処理を進める一方、状態信号を受信していない場合には、状態信号の受信待機状態となる。
【0057】
ステップS7において、検知センサ10nの信号処理部14は、受信した状態信号から防犯受信器20の動作モードが警報モードであるかどうかを判断する。信号処理部14は、防犯受信器20の動作モードが警報モードであった場合、ステップS14へと処理を進める一方、警報モードでなかった場合、ステップS2へと処理を戻す。
【0058】
ステップS14において、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20から送信される状態信号に応じて、音響部19を制御し、当該検知センサ10nの近傍に存在する侵入者を威嚇するような警報音(威嚇音)の鳴動を開始させる。
【0059】
ステップS15において、検知センサ10nの信号処理部14は、検知信号が送信された後、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう電源制御部17を制御してから第2所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第2所定時間経過した場合には、ステップS16へと処理を進める一方、第2所定時間経過していない場合には、第2所定時間経過するのを待機する待機状態となる。
【0060】
ステップS16において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止させる。
【0061】
ステップS17において、検知センサ10nの信号処理部14は、検知信号を送信してから、または前回の処理ステップにおいて状態確認信号を送信してから、第1所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第1所定時間経過した場合には、ステップS18へと処理を進め、第1所定時間経過していない場合には、ステップS16へと処理を戻し、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給の停止を継続させる。
【0062】
ステップS18におい、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の送信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう制御する。
【0063】
ステップS19において、検知センサ10nの信号処理部14は、データ記憶部15から識別情報を読み出し、読み出した識別情報を添付した状態確認信号を生成して防犯受信器20に送信する。
【0064】
状態確認信号を送信した後、信号処理部14は、状態確認信号の応答信号として防犯受信器20より送信される状態信号を受信するために第2の所定時間だけ、電源制御部17を制御して、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を行うよう制御する。
【0065】
ステップS20において、防犯受信器20の信号処理部24は、検知センサ10nから送信された状態確認信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部24は、状態確認信号を受信した場合にはステップS22へと処理を進める一方、状態確認信号を受信していない場合には状態確認信号の受信を待機する待機状態となる。
【0066】
ステップS21において、防犯受信器20の信号処理部24は、当該防犯受信器20の現在の動作状態を示す情報と、状態確認信号より取得される識別情報とを添付した状態信号を生成して検知センサ10nに送信する。
【0067】
ステップS22において、防犯受信器20の信号処理部24は、当該防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであるかどうかを判断する。信号処理部24は、警報モードである場合には、ステップS20へと処理を戻し状態確認信号の待機状態を継続させる一方、警報モードでない場合には、ステップS1へと処理を戻す。
【0068】
続いて、図2−2に示すように、ステップS23において、検知センサ10nの信号処理部14は、状態信号を受信したかどうかを判断する。信号処理部14は、状態信号を受信した場合には、ステップS24へと処理を進める一方、状態信号を受信していない場合には、ステップS28へと処理を進める。
【0069】
ステップS24において、検知センサ10nの信号処理部14は、受信した状態信号を参照して防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであるかどうかを判断する。信号処理部14は、警報モードでない場合には、ステップS25へと処理を進める一方、警報モードである場合には、ステップS28へと処理を進める。
【0070】
ステップS25において、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードでないことに応じて、音響部19を制御し、警報音の鳴動を停止させる。
【0071】
ステップS26において、検知センサ10nの信号処理部14は、ステップS19にて状態確認信号が送信された後、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう電源制御部17を制御してから第2所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第2所定時間経過した場合には、ステップS27へと処理を進める一方、第2所定時間経過していない場合には、第2所定時間経過するの待機する待機状態となる。
【0072】
ステップS27において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止させる。信号処理部14は、ステップS27の処理を終了するとステップS2へと処理を戻す。
【0073】
ステップS28において、検知センサ10nの信号処理部14は、状態信号を受信していない場合、または受信した状態信号から防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであった場合に、警報音の鳴動を停止させることなく、ステップS19にて状態確認信号が送信された後、無線送受信部12、変復調部13などといった無線信号の受信にかかわる機能部に対する電源供給を開始するよう電源制御部17を制御してから第2所定時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、第2所定時間経過した場合には、ステップS29へと処理を進める一方、第2所定時間経過していない場合には、第2所定時間経過するの待機する待機状態となる。
【0074】
ステップS29において、検知センサ10nの信号処理部14は、電源制御部17を制御して、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止させる。
【0075】
ステップS30において、検知センサ10nの信号処理部14は、警報音の鳴動が開始されてから警報音を鳴動させる所定の時間経過したかどうかを判断する。信号処理部14は、警報音を鳴動させる所定の時間経過した場合には音響部を制御し警報音の鳴動を停止させ、ステップS2へと処理を進める一方、警報音を鳴動させる所定の時間経過していない場合には、ステップS17へと処理を戻す。
【0076】
なお、検知センサ10n、防犯受信器20の信号受信のステップに関しては、第1所定時間、第2所定時間よりも充分長い所定時間、信号を受信するための待機状態が続いた場合、それぞれアイドル状態、スリープ状態に戻るように設定されている。
【0077】
図3は、検知センサ10nによって異常状態が検知され、警戒モードに設定されていた防犯受信器20が警報モードへと移行した場合の検知センサ10nと防犯受信器20の信号の送受信の様子の一例を示した図である。
【0078】
図3に示すように、検知センサ10nで異常状態が検出されると、検知信号送信期間に検知信号Pが送信される。防犯受信器20は、検知センサ10nから送信された検知信号Pを受信したことに応じて、警報音を鳴動させる。
【0079】
防犯受信器20は、検知センサ10nから送信された検知信号Pを受信したことに応じて、状態信号送信期間に状態信号SSを送信する。この状態信号送信期間が経過すると、検知センサ10nから送信される状態確認信号CSの受信期間となる。
【0080】
検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号SSに応じて、警報音を鳴動させる。検知センサ10nは、検知信号Pを送信した後、第2所定時間T2だけ、防犯受信器20から送信される状態信号SSを受信することができる。
【0081】
さらに、検知センサ10nは、防犯受信器20が警報モードとなっている間、第1所定時間ごとに状態確認信号CSを送信する。検知センサ10nは、状態確認信号CS送信した後、第2所定時間T2だけ、防犯受信器20から送信される状態信号SSを受信することができる。
【0082】
以降、防犯受信器20は、検知センサ10nから送信される状態確認信号CSを受信するたびに、応答信号として状態信号SSを送信する。検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号SSで示される防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードでなくなったことに応じて、警報音の鳴動を停止させるとともに、第1所定時間ごとに送信していた状態確認信号CSの送信を停止する。
【0083】
このように、本発明の実施の形態として示す防犯システム1では、検知センサ10nが、何らかの異常状態を検出して検知信号を送信し、侵入者を威嚇するように警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに状態確認信号を無線信号として送信し、検知信号が送信された後、または第1所定時間ごとに状態確認信号が送信された後、第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ、無線信号を受信する全ての機能部に対して電源を供給するように制御する。
【0084】
これにより、防犯受信器20から無線信号として送信される状態信号に応じて、検知センサ10nの警報音の鳴動を停止させることができるとともに、防犯受信器20から送信される状態信号の受信待機を常にする必要がないため、検知センサ10nに電源供給する電源18の限られた電源供給能力を無駄なく有効に活用することができ、電源18の長寿命化を促進することができる。
【0085】
[第2所定時間の経過を待たない処理]
図2−1、図2−2、図3を用いて説明したように、防犯システム1の検知センサ10nは、検知信号、状態確認信号の応答信号として送信される状態信号から防犯受信器20の現在の動作状態が警報モードであると判断した場合、第1所定時間ごとに状態確認信号を送信し、状態確認信号を送信した後、第2所定時間だけ防犯受信器20からの応答信号として送信される状態信号を受信できるように、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を行うよう電源制御部17を制御している。つまり、信号処理部14は、第2所定時間経過した後、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止するよう電源制御部17を制御している。
【0086】
さらに、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20から送信される状態信号を受信したことに応じて、第2所定時間の経過を待つことなく、無線信号の受信にかかわる全ての機能部に対する電源供給を停止するよう電源制御部17を制御することもできる。これにより、必ず第2所定時間の経過を待つ必要がないため、検知センサ10nの電源18の限られた電源供給能力を、さらに無駄なく有効に活用することができる。
【0087】
具体的には、図4に示すように、検知センサ10nの信号処理部14は、検知信号Pを送信した後、または防犯受信器20が警報モードであり警報音を鳴動している期間において、第1所定時間T1ごとに状態確認信号CSを送信した後に、第2所定時間T2だけ状態信号SSの受信期間を設けるが、この第2所定時間T2を、防犯受信器20からの状態信号SSを受信したことに応じて強制的に終了させる。
【0088】
上述した図3に示す例では、必ず第2所定時間T2だけ状態信号SSを受信する受信期間を設けていたが、図4に示すように、検知センサ10nの信号処理部14は、状態信号SSを受信したことで第2所定時間T2の経過を待つことなく状態信号SSの受信期間を強制的に終了させることで、検知センサ10nの電源18の限られた電源供給能力を、さらに無駄なく有効に活用することができる。
【0089】
なお、このときの防犯システム1の処理動作は、図2−1、図2−2に示すフローチャートにおいて、図2−1のステップS15、図2−2のステップS26、ステップS28のステップが削除されるだけで、他の処理ステップは全く同じになるため省略をする。
【0090】
[状態信号を受信してから第1所定時間を計時する処理]
防犯システム1では、複数の検知センサ10nを備えているため、例えば、複数の検知センサ10nでほぼ同時に何らかの異常が検出された場合など、第1所定時間は一定であるため防犯受信器20へ送信する状態確認信号の送信タイミングが毎回重なってしまい信号の衝突により防犯受信器20が不具合を起こしてしまう可能性がある。
【0091】
防犯受信器20は、検知信号、状態確認信号を複数受信した場合、送信タイミングをずらして各検知センサ10n宛の状態信号を送信している。そこで、検知センサ10nの信号処理部14は、防犯受信器20からの状態信号を受信してから、内蔵するタイマにより第1所定時間となるまで計時を開始し、第1所定時間経過した後に次の状態確認信号を送信するようにする。この様子を、図5に示す。図5に示すように、検知センサ10nは、防犯受信器20から送信される状態信号SSを受信してから、第1所定時間T1の計時を開始し、第1所定時間T1経過後に次の状態確認信号CSを送信している。
【0092】
これにより、複数の検知センサ10nが作動した場合であっても、状態確認信号を送信する送信タイミングは、それぞれ異なる送信タイミングで防犯受信器20から送信される状態信号を受信してから計時される第1所定時間後となるため、各検知センサ10nから送信される状態確認信号の衝突を回避することができる。
【0093】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態として示す防犯システムの構成について説明するための図である。
【図2−1】前記防犯システムの処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図2−2】前記図2−1に続く前記防犯システムの処理動作について説明するためのフローチャートである。
【図3】防犯受信器が警報モードへと移行した場合の検知センサと防犯受信器の信号の送受信の様子について示した図である。
【図4】第2所定時間の経過を待たない処理について説明するための図である。
【図5】状態信号を受信してから第1所定時間を計時する処理について説明するための図である。
【符号の説明】
【0095】
1 防犯システム
10n 検知センサ
12 無線送受信部
13 変復調部
14 信号処理部
15 データ記憶部
16 センサ部
17 電源制御部
18 電源
19 音響部
20 防犯受信器
24 信号処理部
27 表示部
28 音響部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
何らかの異常状態を検知手段によって検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する防犯受信器とを備える防犯システムにおいて、
前記検知センサは、前記防犯受信器に対し防犯受信器の動作状態を問い合わせる状態確認信号を無線信号として送信する状態確認信号送信手段と、
前記検知信号、または前記状態確認信号の応答信号として、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信する状態信号受信手段と、
前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、警報音を鳴動させる鳴動手段と、
前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、鳴動させている警報音の鳴動を停止させる鳴動停止手段と、
前記鳴動手段により警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御する送信制御手段と、
前記検知信号が送信された後、または前記送信制御手段による制御により前記第1所定時間ごとに状態確認信号が送信された後、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記状態信号受信手段へ電源供給をするよう制御する電源供給制御手段とを有すること
を特徴とする防犯システム。
【請求項2】
前記検知センサの電源供給制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信したことに応じて、前記第2所定時間の経過を待つことなく前状態信号受信手段への電源供給を停止するよう制御すること
を特徴とする請求項1記載の防犯システム。
【請求項3】
前記検知センサの送信制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信してから、前記第1所定時間の計時を開始して第1所定時間経過後、前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御すること
を特徴とする請求項1記載の防犯システム。
【請求項1】
何らかの異常状態を検知手段によって検知したことに応じて、検知信号を無線信号として送信する検知センサと、前記検知センサによって送信された検知信号を受信した場合に自身の動作状態に応じて異常状態となったことを報知する防犯受信器とを備える防犯システムにおいて、
前記検知センサは、前記防犯受信器に対し防犯受信器の動作状態を問い合わせる状態確認信号を無線信号として送信する状態確認信号送信手段と、
前記検知信号、または前記状態確認信号の応答信号として、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信する状態信号受信手段と、
前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、警報音を鳴動させる鳴動手段と、
前記状態信号受信手段によって受信された状態信号に応じて、鳴動させている警報音の鳴動を停止させる鳴動停止手段と、
前記鳴動手段により警報音を鳴動させている間、第1所定時間ごとに前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御する送信制御手段と、
前記検知信号が送信された後、または前記送信制御手段による制御により前記第1所定時間ごとに状態確認信号が送信された後、前記第1所定時間よりも短い第2所定時間だけ前記状態信号受信手段へ電源供給をするよう制御する電源供給制御手段とを有すること
を特徴とする防犯システム。
【請求項2】
前記検知センサの電源供給制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信したことに応じて、前記第2所定時間の経過を待つことなく前状態信号受信手段への電源供給を停止するよう制御すること
を特徴とする請求項1記載の防犯システム。
【請求項3】
前記検知センサの送信制御手段は、前記状態信号受信手段によって、前記防犯受信器から無線信号として送信される状態信号を受信してから、前記第1所定時間の計時を開始して第1所定時間経過後、前記状態確認信号を無線信号として送信するよう制御すること
を特徴とする請求項1記載の防犯システム。
【図1】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2−1】
【図2−2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−176500(P2008−176500A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8426(P2007−8426)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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