防護柵
【課題】電源を共用しながら現場での配線作業を簡易に行うことが可能な防護柵を提供する。
【解決手段】防護柵1は、道路に沿って配置され、支柱2と、ビームパイプ3と、パイプ継手4と、複数のLED9と、電源装置12と、電気配線10とを備えている。電気配線10は、パイプ継手4内部の継手配線102と、ビームパイプ3内部のビームパイプ配線103と、継手配線側コネクタ32と、ビームパイプ配線側コネクタ33とを含む。ビームパイプ配線側コネクタ33は、各ビームパイプ配線103の端部に設けられ、当該ビームパイプ配線103が配索されるビームパイプ3の端部が連結されるパイプ継手4に配索された継手配線102の継手配線側コネクタ32に着脱可能に結合することにより、ビームパイプ配線103と継手配線102とを電気的に接続する。
【解決手段】防護柵1は、道路に沿って配置され、支柱2と、ビームパイプ3と、パイプ継手4と、複数のLED9と、電源装置12と、電気配線10とを備えている。電気配線10は、パイプ継手4内部の継手配線102と、ビームパイプ3内部のビームパイプ配線103と、継手配線側コネクタ32と、ビームパイプ配線側コネクタ33とを含む。ビームパイプ配線側コネクタ33は、各ビームパイプ配線103の端部に設けられ、当該ビームパイプ配線103が配索されるビームパイプ3の端部が連結されるパイプ継手4に配索された継手配線102の継手配線側コネクタ32に着脱可能に結合することにより、ビームパイプ配線103と継手配線102とを電気的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の車道沿い等に設置された防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の車道沿い等には、種々の防護柵が設置されているが、夜間は防護柵の位置が見えにくいので、自動車のヘッドランプの光を反射する反射器またはデリネータ等が防護柵に設置されているのが一般的である。
【0003】
しかし、反射器またはデリネータで反射した光は、光源であるヘッドランプに向かって戻ってくる、いわば再帰反射をするので、ヘッドランプの位置よりも高い位置にある運転者の目には届きにくく、視認性の向上が難しい問題がある。
【0004】
そこで、夜間の視認性を良くするために、LED等の自発光光源を備えた防護柵が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1記載の防護柵では、横に延びるビームパイプと、その端部に設けられるケースユニットを備え、このケースユニット内にLEDと太陽電池とキャパシタが収容されている。キャパシタは、昼間に太陽電池で発電した電気を貯め、夜間になるとLEDがキャパシタに貯められた電気を用いて発光して防護柵の位置を運転者へ知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4274932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1記載の防護柵では、LEDごとにその電源である太陽電池およびキャパシタを必要とするので、製造コストが高くなるとともに、各LEDを連動して点滅させることも困難である。
【0008】
一方、複数のLEDを太陽電池およびキャパシタからなる共通電源に接続し、電源を共用することも考えられるが、この場合、電源と各LEDとの間の配線が複雑になるという問題がある。しかも、このような配線を防護柵取付け工事の現場などで行うのは非常に困難な作業となる。
【0009】
本発明の目的は、電源を共用しながら現場での配線作業を簡易に行うことが可能な防護柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の防護柵は、道路に沿って配置される防護柵であって、前記道路に沿う方向に間隔をあけて立設される複数の支柱と、前記支柱を横切る方向に延び、互いに異なる支柱にそれぞれ両端部が連結される複数本のビームパイプと、前記各支柱に固定され、前記ビームパイプのうち当該支柱に連結されるべきビームパイプの端部が連結可能なパイプ連結部を有する複数のパイプ継手と、前記支柱、前記パイプ継手、および前記ビームパイプを含む柵本体の中の複数の箇所にそれぞれ設けられ、給電を受けて発光する電気発光体と、複数の電気発光体に共用され、これらの電気発光体に給電することにより当該電気発光体を発光させる電源装置と、前記電源装置をこの電源装置に対応する複数の電気発光体に接続するための電気配線とを備え、前記電気配線は、前記各パイプ継手に配索されて固定される継手配線と、前記各ビームパイプ内にこのビームパイプに沿って配索されて固定されるビームパイプ配線と、前記各継手配線の端部に設けられる継手配線側コネクタと、前記各ビームパイプ配線の端部に設けられ、当該ビームパイプ配線が配索されるビームパイプの端部が連結されるパイプ継手に配索された継手配線の継手配線側コネクタに着脱可能に結合することにより当該ビームパイプ配線と当該継手配線とを電気的に接続するビームパイプ配線側コネクタとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、防護柵取付け工事の現場等において、支柱に固定されたパイプ継手とビームパイプとの連結作業に加え、電気配線のコネクタの接続作業を行うだけで、複数の電気発光体への給電回路を容易に構築することができる防護柵を提供するものである。
【0012】
すなわち、本発明の防護柵では、電源装置を複数の電気発光体に接続するための電気配線が、各パイプ継手に配索されて固定される継手配線と、各ビームパイプ内にこのビームパイプに沿って配索されて固定されるビームパイプ配線と、各継手配線の端部に設けられる継手配線側コネクタと、各ビームパイプ配線の端部に設けられたビームパイプ配線側コネクタとを含んでいる。そして、このビームパイプ配線側コネクタは、継手配線側コネクタに着脱可能に結合することによりビームパイプ配線と継手配線とを電気的に接続する。
【0013】
このようにパイプ継手およびビームパイプ内の配線をコネクタ接続することにより、電源装置と複数の電気発光体との間の配線接続を現場で容易に行うことが可能である。
【0014】
また、前記電気発光体は、前記パイプ継手または前記支柱に固定され、当該電気発光体に前記継手配線が接続されるのが好ましい。
【0015】
この構成では、パイプ継手または支柱に固定された電気発光体に継手配線が接続されているので、継手配線をビームパイプ配線にコネクタ接続することにより、各電気発光体への配線を容易に行うことが可能である。
【0016】
しかも、前記電気発光体は、前記パイプ継手の上部に配置されているのが好ましい。この構成では、電気発光体がパイプ継手の上部に配置されているので、パイプ継手またはビームパイプにかくれることなく遠距離から電気発光体の発する光を見ることが可能になるので、車道からの視認性が高い。
【0017】
さらに、前記ビームパイプは、前記支柱が延びる方向に複数段並べて設けられ、前記電気発光体は、2段目以下の前記ビームパイプに連結された前記ビーム継手の上部(好ましくは、上部正面)に配置されているのが好ましい。この構造では、電気発光体が2段目以下のパイプ継手の上部に配置されているので、障害物との接触のおそれも低い。
【0018】
また、前記各パイプ継手は、その外側に前記ビームパイプの端部が外嵌される継手スリーブを含み、この継手スリーブ内に前記継手配線の一部が配索されるのが好ましい。
【0019】
この場合、ビームパイプをパイプ継手の継手スリープに挿入して結合する構造なので、ビームパイプとパイプ継手との連結しながら、その内部においてビームパイプ配線と継手配線との間のコネクタ接続を容易に行うことができる。
【0020】
前記発電装置は、光を受けて発電する太陽電池、およびこの太陽電池が生成する電力を蓄える蓄電部を含むのが好ましい。この場合、太陽光があれば、電源装置の太陽電池で発電することが可能になり、外部からの給電がなくても、電気発光体への給電を行うことができる。また、太陽電池が生成する電力は蓄電部に蓄えられるので、夜などで暗くなったときには、蓄電部に蓄えられた電力を用いて電気発光体への給電が可能になる。
【0021】
前記ビームパイプの端部に接続可能な袖パイプをさらに備えており、前記太陽電池は、前記袖パイプに設けられているのが好ましい。
【0022】
この構造では、太陽電池が、ビームパイプの端部に接続可能な袖パイプに設けられているので、太陽電池とビームパイプ配線との間の接続を、袖パイプおよびビームパイプの内部で容易に行うことが可能である。また、袖パイプを移動させてビームパイプ配線を接続するだけで、太陽電池の配置を容易に変更することが可能である。
【0023】
また、前記太陽電池は、前記支柱に設けられているのが好ましい。
【0024】
この構成では、太陽電池が支柱に設けられているので、太陽電池をビームパイプ等より日当たりの良い場所を選択して設置することが可能になり、ビームパイプ等で日光をさえぎられるおそれが低くなる。その結果、太陽の向きなどの影響をあまり受けることなく、太陽電池による十分な発電量を確保できる。
【0025】
さらに、前記ビームパイプ配線の一部は、前記ビームパイプにより構成されているのが好ましい。この構造では、ビームパイプ配線の一部をビームパイプにより構成することで、配線数を減らし、構造を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の防護柵によれば、パイプ継手およびビームパイプ内の配線をコネクタ接続することにより、電源装置と複数の電気発光体との間の配線接続を現場で容易に行うことが可能である。しかも、1個の太陽電池によってその太陽電池から離れた複数の電気発光体を発光させることが可能であるので、防護柵を低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の防護柵の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の2段目のビームパイプ付近の配置を示す横断面図である。
【図3】図1の防護柵の側面図である。
【図4】図1のパイプ継手付近の部分を示す拡大断面図である。
【図5】図1のパイプ継手付近の部分を示す拡大平面図である。
【図6】図1の袖パイプ付近の部分を示す拡大正面図である。
【図7】図1の袖パイプ付近の部分を示す拡大平面図である。
【図8】図1の袖部の内部の配線図である。
【図9】図1のパイプ継手の内部の配線図である。
【図10】図1のビームパイプ内部の配線図である。
【図11】図1の継手ブラケットの側面図である。
【図12】図1の継手ブラケットの平面図である。
【図13】図1の袖パイプ平面図である。
【図14】図1の袖パイプの側面図である。
【図15】図1の防護柵の全体についての回路図である。
【図16】本発明の防護柵の変形例に係わるビームパイプに接地されたたアース接続を利用した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
つぎに図面を参照しながら本発明の防護柵の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0029】
図1〜3に示される防護柵1は、道路の車道沿い等に設置され、車道と歩道とを区画する防護柵であり、主として、複数の支柱2と、複数のビームパイプ3と、パイプ継手4と、複数のLED9と、電源装置12と、袖部15とから構成されている。
【0030】
複数のLED9は、支柱2に固定された2段目のパイプ継手4および袖部15にそれぞれ配置され、これらのLED9が点灯することにより、車道を走る自動車のドライバーに対して、防護柵1が延びる方向へ視線誘導することができる。これらのLED9は、防護柵1の内部を通る電気配線10を介して、2段目の袖部15に内蔵された電源装置12に電気的に接続されている。また、電源装置12は、太陽電池11を備えており、LED9を発光するための電源となる。
【0031】
電気配線10は、図8〜10に示されるように、袖部15の内部に配索されて固定された袖部配線101と、パイプ継手4の内部に配索されて固定された継手配線102と、ビームパイプ3の内部に配索されて固定されたビームパイプ配線103と、袖部配線101の端部に設けられた袖部配線側コネクタ31と、継手配線102の端部に設けられた継手配線側コネクタ32と、ビームパイプ配線103の端部に設けられたビームパイプ配線側コネクタ33とから構成される。
【0032】
ビームパイプ配線側コネクタ33は、ビームパイプ配線103が配索されるビームパイプ3の端部が連結されるパイプ継手4に配索された継手配線102の継手配線側コネクタ32に着脱可能に結合することにより、ビームパイプ配線103と継手配線102とを電気的に接続する。
【0033】
以下、さらに詳細に防護柵1の各構成部分の説明をする。
【0034】
複数の支柱2は、道路に沿う方向に間隔をあけて地面に立設されている。それぞれの支柱2の下部は、地面に所定の深さだけ埋め込まれている。また、支柱2は、所定の高さにそれぞれ横方向に貫通するボルト貫通孔2a(図4参照)が形成されている。
【0035】
(ビームパイプ3の説明)
ビームパイプ3は、支柱2を横切る方向に延び、互いに異なる支柱2にそれぞれ両端部が連結される。ビームパイプ3は、支柱2が延びる方向に複数段並べて(図1に示される本実施形態では3段)設けられている。防護柵1の側端に位置するビームパイプ3は、その両端部が袖部15およびパイプ継手4により支柱2にそれぞれ固定され、さらに、その中間部が中間ブラケット8により支柱2に固定されている。また、防護柵1の中間の区間に位置するビームパイプ3は、その両端部がパイプ継手4により支柱2にそれぞれ固定され、その中間部が中間ブラケット8により支柱2に固定されている。
【0036】
ビームパイプ3の内部には、図10に示されるように、正負1本ずつの1組のビームパイプ配線103が貫通して配線され、ビームパイプ配線103の両端にビームパイプ配線側コネクタ33が接続されている。これにより、ビームパイプ3、ビームパイプ配線103およびビームパイプ配線側コネクタ33によって、1つのユニットを構成する。
【0037】
(パイプ継手4の説明)
パイプ継手4は、図4〜5および図9に示されるように、各支柱2に固定され、ビームパイプ3のうち当該支柱2に連結されるべきビームパイプ3の端部が連結可能なパイプ連結部4a(図5参照)を有するユニットである。パイプ継手4は、主として、継手ブラケット5と、当該継手ブラケット5によって中間部分が支持された継手スリーブ6とから構成されている。
【0038】
継手ブラケット5は、図11〜12に示されるように、継手スリーブ6を保持するパイプ保持部5aと、支柱2に固定される支柱固定部5bとが一体に形成されて構成されている。継手ブラケット5の上面5cには、LED9を取り付けるためのLED取付孔5dが形成されている。また、パイプ保持部5aの上下両端には、それぞれボルト貫通孔5e、5fが形成されている。さらに、支柱固定部5bの側面には、ボルト貫通孔5gが形成されている。
【0039】
また、継手スリーブ6は、図4〜5に示されるように断面D字状または円筒状の筒体からなり、上下方向に貫通するボルト貫通孔6a、6cが5組形成されている。また、継手スリーブ6の側面には、開口6bが形成されている。継手スリーブ6の外径は、ビームパイプ3の内径よりも小さくなるように設定されている。これにより、継手スリーブ6の両端部、すなわち、パイプ連結部4aの部分にビームパイプ3が外嵌できる。
【0040】
また、パイプ継手4の内部には、図9に示されるように、継手配線102が配線されている。継手配線102は、正負1本ずつ計2組の配線からなり、正負1組ずつ、継手スリーブ6の内部で二手に分岐して配索されている。分岐している継手配線102の継手スリーブ6の外部に引き出された端部には、それぞれ継手配線側コネクタ32が接続されている。
【0041】
パイプ継手4は、以下のようにして1つのユニットを構成している。すなわち、図4〜5および図9に示されるように、継手ブラケット5のパイプ保持部5aの内部に継手スリーブ6が挿入され、LED取付孔5dにLED9が取り付けられ、LED9に接続された2組の継手配線102が開口6b(図4〜5参照)を通して、継手スリーブ6内部を1組ずつ左右に分岐されて、継手スリーブ6の両端の開口から外部へ引き出され、継手配線側コネクタ32が継手配線102の端部に接続される。そして、継手ブラケット5のボルト貫通孔5e、5fと継手スリーブ6のボルト貫通孔6a、6cとが位置合せされた状態で、これらの貫通孔に1本のボルト21が挿入され、ナット22を締結する。これにより、継手ブラケット5、継手スリーブ6、継手配線102、および継手配線側コネクタ32によって、パイプ継手4は1つのユニットとして構成される。
【0042】
(袖部15の説明)
袖部15は、図6〜8に示されるように、主として、袖パイプ7と、袖パイプ7に収容された電源装置12と、継手ブラケット5とから構成されている。
【0043】
継手ブラケット5は、前述のパイプ継手4の継手ブラケット5と同様の構成を有している。
【0044】
袖パイプ7は、防護柵1の側端に位置するビームパイプ3における当該側端を向く端部に接続され、ビームパイプ3の端末を閉塞するパイプである。具体的には、図13〜14に示されるように、袖パイプ7は、本体部7aと、ビーム接続部7bとから構成されている。本体部7aは、円筒状をしており、その周面の上側の部分には、矩形の開口7cが形成されている。また、本体部7aの先端側の開口7dには、袖キャップ25がはめ込まれ、根元側の開口7eには、ビーム接続部7bがはめ込まれている。
【0045】
ビーム接続部7bは断面D字状または円筒状の筒体であり、本体部7aと連通している。ビーム接続部7bの外径は、ビームパイプ3の内径よりも小さく設定されており、ビーム接続部7bをビームパイプ3の内部に挿入できる。ビーム接続部7bの上下両端には、ボルト貫通孔7f、7hが形成されている。さらに、ビーム接続部7bの側面には、開口7gが形成されている。
【0046】
電源装置12は、図8に示されるように、複数のLED9に共用され、これらのLED9に給電することにより当該LED9を発光させる装置であり、太陽電池11と、制御基板13と、キャパシタ14とから構成される。これら太陽電池11、制御基板13およびキャパシタ14は、互いに電気的に接続されている。電源装置12は、袖パイプ7の本体部7a(図13参照)に収容されている。
【0047】
太陽電池11は、太陽光を受けて発電を行う。太陽電池11は、図13に示されるように、袖パイプ7の本体部7aの開口7cにはめ込まれ、保護カバー36(図6〜7参照)に覆われて外部から保護されている。
【0048】
キャパシタ14は、太陽電池11で発電した電力を蓄える蓄電部に相当するものであり、充電および放電が可能なコンデンサまたは既存の二次電池などが用いられる。
【0049】
制御基板13は、LED9の点灯を制御する。例えば、制御基板13は、夜または雨になって防護柵1の設置場所が一定の暗さになったことを太陽電池11の起電力の変化により感知したとき、キャパシタ14に蓄えられた電力をLED9に供給してLED9を点灯させる。また、制御基板13は、各LED9を所定のタイミングで点滅させる制御を行い、ドライバーの視線誘導を促進させる。
【0050】
図8に示されるように、袖部15の内部には、袖部配線101が配線されている。袖部配線101は、正負1本ずつ計2組の配線からなり、正負1組ずつ、袖パイプ7の内部で二手に分岐している。分岐している袖部配線101のうち、袖パイプ7の外部に引き出された端部には、袖部配線側コネクタ31が接続されている。一方、分岐して袖パイプ7の内部に延びる袖部配線101は、内部接続コネクタ34および袖キャップ25のLED9を介して電源装置12に接続されている。
【0051】
袖部15は、以下のようにして1つのユニットを構成している。すなわち、図6〜8に示されるように、袖パイプ7の本体部7aの内部に電源装置12が収容された状態で、継手ブラケット5のパイプ保持部5aの内部に袖パイプ7のビーム接続部7bが挿入され、LED取付孔5dにLED9が取り付けられ、LED9に接続された2組の袖部配線101が開口7g(図7および図14参照)を通して、袖パイプ7のビーム接続部7b内部を1組ずつ左右に分岐されて、そのうちの一方の組の袖部配線101は、袖パイプ7のビーム接続部7bの端部開口から外部へ引き出され、そこに袖部配線側コネクタ31が接続される。また、他方の組の袖部配線101は、内部接続コネクタ34を介して、袖キャップ25に取り付けられたLED9、制御基板13、太陽電池11、およびキャパシタ14に電気的に接続される。そして、継手ブラケット5のボルト貫通孔5e、5fと袖パイプ7のビーム接続部7bのボルト貫通孔7f、7hとが位置合せされた状態で、これらの貫通孔に1本のボルト21が挿入され、ナット22を締結する。これにより、継手ブラケット5、袖パイプ7、電源装置12、袖部配線101、および袖部配線側コネクタ31によって、袖部15は1つのユニットとして構成される。
【0052】
(LED9の説明)
LED9は、電源装置12からの給電を受けて発光する発光ダイオードであり、支柱2、パイプ継手4、およびビームパイプ3を含む防護柵1の本体の中の複数の箇所にそれぞれ設けられる。本実施形態のLED9は、2段目のビームパイプ3に接続されたパイプ継手4および袖部15において、継手ブラケット5の上面5cに形成されたLED取付孔5dに透明な保護カバー35で覆われた状態でそれぞれ配置されている。さらに、LED9は、防護柵1の側端に位置する袖部15の袖キャップ25にも配置されている。
【0053】
(防護柵1の組み立て方法)
つぎに、防護柵1の組み立て方法について説明する。
【0054】
はじめに、防護柵1を構成する袖部15、パイプ継手4およびビームパイプ3は、あらかじめ工場などで1つのユニットとして組み立てられた状態で、防護柵取付け工事現場に搬入される。
【0055】
防護柵取付け工事現場では、まず、複数の支柱2を、道路と歩道の境界線に沿って等間隔に地面に設置する。
【0056】
ついで、袖部15を支柱2に取り付ける。袖部15は、図6〜7に示されるように、支柱2の横に延びるボルト貫通孔2aに継手ブラケット5の支柱固定部5bに形成されたボルト貫通孔5g(図4参照)を重ね合わせて、これらのボルト貫通孔2a、5gにボルト23を挿入してナット24(図4参照)を締結することにより、袖部15を支柱2の側面に固定することができる。
【0057】
つぎに、ビームパイプ3を袖部15に接続するときには、まず、袖部配線101の端部の袖部配線側コネクタ31(図8参照)をビームパイプ配線103のビームパイプ配線側コネクタ33(図10参照)に接続する。
【0058】
そののち、図6〜7に示されるように、袖パイプ7のビーム接続部7bにビームパイプ3を挿入して、ビームパイプ3の上下両端に形成されたボルト貫通孔3a、3bと袖パイプ7のビーム接続部7bの上下両端のボルト貫通孔7f、7hの位置を合わせた後、これらのボルト貫通孔3a、3b、7f、7hにボルト21を挿入してナット22を締結することにより、ビームパイプ3を袖部15に接合することができる。
【0059】
つぎに、ビームパイプ3の端部にパイプ継手4を接続するときには、まず、ビームパイプ配線103のビームパイプ配線側コネクタ33(図10参照)を、パイプ継手4における継手配線102の端部の継手配線側コネクタ32(図9参照)に接続する。そののち、図5に示されるように、継手スリーブ6をビームパイプ3に挿入しておく。
【0060】
つぎに、継手スリーブ6をビームパイプ3に挿入しておいた状態で、パイプ継手4を支柱2に接続する。図4〜5に示されるように、支柱2の横に延びるボルト貫通孔2aに継手ブラケット5の支柱固定部5bに形成されたボルト貫通孔5gを重ね合わせて、これらのボルト貫通孔2a、5gにボルト23を挿入してナット24を締結することにより、パイプ継手4を支柱2の側面に固定することができる。
【0061】
そののち、ビームパイプ3の上下両端に形成されたボルト貫通孔3a、3bと継手スリーブ6の上下両端のボルト貫通孔6a、6cの位置を合わせた後、前述と同様に、これらのボルト貫通孔3a、3b、6a、6cにボルト21を挿入してナット22を締結することにより、ビームパイプ3をパイプ継手4に接合することができる。
【0062】
これ以降の作業は、前述と同様に、ビームパイプ3とパイプ継手4とを交互に接続するとともにパイプ継手4を支柱2に固定する作業を繰り返していく。このとき、隣接するビームパイプ3同士は、パイプ継手4を介して接続されるとともに、それらのビームパイプ配線103同士が、ビームパイプ配線側コネクタ33と継手配線側コネクタ32とが接続されることにより、継手配線102を介して接続される。これにより、防護柵1の電気配線10における配線接続の作業を容易に行うことが可能である。
【0063】
防護柵1の終点におけるビームパイプ3の端末には、袖パイプ7が取り付けられる。ビームパイプ3の端末から外に引き出されたビームパイプ配線103の端部のビームパイプ配線側コネクタ33は、袖パイプ7の端末に設けられた袖キャップ25の取り付けられたLED9の正負1本ずつの1組の配線に接続される(図15のLED番号L8のLED9参照)。
【0064】
(防護柵1の配線構造)
図15には、本実施形態の防護柵1の電気配線の構造が示されている。ここでは、太陽電池11、制御基板13およびキャパシタ14からなる電源装置12から1組の正極側電線Pと負極側電線Nが出ている。そして、LED番号L1〜L8まで付された8個のLED9は、互いに隣接するLED9同士で1組の正極側電線Pおよび負極側電線Nを介して並列に接続されている。各LED9は、上記の接続コネクタ31〜34からなる接続ポイントCにおいて、これらの正極側電線Pおよび負極側電線Nに着脱自在に接続されている。
【0065】
図15に示されるように、複数のLED9が互いに並列に接続されていることにより、太陽電池11で発電された電力が小さい場合でも、各LED9に等しい電圧を印加して安定して発光させることができる。例えば、比較的小型の既存の太陽電池11(例えば、縦48mm、横25mm程度の大きさで、2V程度の起電力のソーラーパネル)であっても、68mの区間に配置された20個のLEDを点灯または点滅させることが可能である。かかる構造により、面積の小さい太陽電池11でLED9の消費電力を最小限に設定できる。
【0066】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の防護柵1では、電源装置12を複数のLED9に接続するための電気配線10が、各パイプ継手4に配索されて固定される継手配線102と、各ビームパイプ3内にこのビームパイプ3に沿って配索されて固定されるビームパイプ配線103と、各継手配線102の端部に設けられる継手配線側コネクタ32と、各ビームパイプ配線103の端部に設けられたビームパイプ配線側コネクタ33とを含んでいる。そして、このビームパイプ配線側コネクタ33は、継手配線側コネクタ32に着脱可能に結合することによりビームパイプ配線103と継手配線102とを電気的に接続する。このようにパイプ継手4およびビームパイプ3内の配線102、103をコネクタ接続することにより、電源装置12と複数のLED9との間の配線接続を防護柵の取付け工事の現場で容易に行うことが可能である。
【0067】
また、この構造により、太陽電池11から離れた位置に設置された複数のLED9を1個の太陽電池11に接続すること容易に行うことができるので、配線工事費を大幅に軽減できる。しかも、太陽電池11とキャパシタ14による供給電力の範囲内であれば、LED9の数を増設することが可能である。なお、必要であれば、太陽電池11およびキャパシタ14の数も増設してもよく、この場合、さらに多くのLED9を増設することが可能になる。
【0068】
また、多数のLED9を容易に接続することができるので、より多くのLED9を点灯または点滅させて、視線誘導の距離を長くさせることができる。
【0069】
(2)
しかも、複数のLED9は継手配線102およびビームパイプ配線103を介して太陽電池11に接続されているので、太陽電池11の設置場所を任意に選択することが可能である。例えば、防護柵1を部分的に日当たりが悪い場所に設置する場合でも、太陽電池11を日当たりの良い場所を選択して設置して、太陽電池11の発電量を確保することが可能である。また、それとともにLED9を暗い場所に設置することが容易になるので、LED9による視線誘導を暗い場所で容易に行うことが可能になる。
【0070】
(3)
また、本実施形態では、パイプ継手4に固定されたLED9に継手配線102が接続されているので、継手配線102をビームパイプ配線103にコネクタ接続することにより、各LED9への配線を容易に行うことが可能である。
【0071】
(4)
さらに、本実施形態では、LED9がパイプ継手4の上部に配置されているので、パイプ継手4またはビームパイプ3にかくれることなく遠距離からLED9の発する光を見ることが可能になるので、車道からの視認性が高い。
【0072】
(5)
また、本実施形態では、ビームパイプ3は、支柱2が延びる垂直方向に複数段並べて設けられ、LED9が2段目以下のパイプ継手4の上部、好ましくは上部正面(上部の道路に面する側)に配置されているので、また、障害物との接触のおそれも低くなる。なお、あまり低い段にLED9を設置すると、自動車を運転するドライバーからLED9の発する光が見えにくくなるので、2段目程度の高さのパイプ継手4の上部にLED9を設置すれば、車道からの視認性が確保され、しかも、車道から跳ね上がる泥などによって汚れるおそれも低くなる。
【0073】
(6)
さらに、本実施形態では、各パイプ継手4は、その外側にビームパイプ3の端部が外嵌される継手スリーブ6を含み、この継手スリーブ6内に継手配線102の一部が配索されている。この構成では、ビームパイプ3をパイプ継手4の継手スリープ6に挿入して結合する構造なので、ビームパイプ3とパイプ継手4との連結を行いながら、その内部においてビームパイプ配線103と継手配線102との間のコネクタ接続を容易に行うことができる。
【0074】
(7)
また、本実施形態では、発電装置12は、光を受けて発電する太陽電池11、およびこの太陽電池11が生成する電力を蓄えるキャパシタ14を含んでいるので、太陽光があれば、電源装置12の太陽電池11で発電することが可能になり、外部からの給電がなくても、LED9への給電を行うことができる。また、太陽電池が生成する電力はキャパシタ14に蓄えられるので、夜などで暗くなったときには、キャパシタ14に蓄えられた電力を用いてLED9への給電が可能になる。
【0075】
(8)
また、本実施形態では、太陽電池11が、ビームパイプ3の端部に接続可能な袖パイプに設けられているので、太陽電池11とビームパイプ配線103との間の接続を、袖パイプ7およびビームパイプ3の内部で容易に行うことが可能である。また、袖パイプ7を移動させてビームパイプ配線103を接続するだけで、太陽電池11の配置を容易に変更することが可能である。
【0076】
(変形例)
(1)
上記の実施形態では、ビームパイプ3の端末に接続された袖パイプ7に太陽電池11が設置された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の場所に太陽電池11を設置してもよい。例えば、太陽電池11を支柱2の上面または上部の側周面などに設けてもよい。この場合、太陽電池11をビームパイプ3や袖パイプ7等よりもさらに日当たりの良い場所に設置することが可能になり、ビームパイプ3等で日光をさえぎられるおそれが低くなる。その結果、太陽の向きなどの影響をあまり受けることなく、太陽電池11による十分な発電量を確保できる。なお、太陽電池11をビームパイプ3に設置してもよい。
【0077】
(2)
また、上記の実施形態では、図15に示されるように、各LED9に正極側電線Pおよび負極側電線Nが2本ずつ接続されている例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ビームパイプ3に沿って配線されたビームパイプ配線を用いる配線構造であれば、種々の配線構造を採用することが可能である。例えば、本発明の変形例として、図16に示されるように、各LED9の負極側端子をビームパイプ3を含む接地ポイントEに接地させることにより、ビームパイプ3自体を配線の一部として用いた配線構造を採用してもよい。
【0078】
接地ポイントEは、例えば、隣接するビームパイプ3同士が導電フィルムの貼付または溶接などによって電気的に接続され、これらのビームパイプ3が防護柵1の外部の所定の場所へ接地されることにより形成される。
【0079】
各アース線Gは、ソケットなどを介して接続ポイントCで着脱自在に接地ポイントEへ電気的に接続される。
【0080】
このように、各LED9に接続される負極側配線を省略して、ビームパイプ3などの共通の接地場所にアース接続することにより、ビームパイプ内の配線数を減らすことができ、防護柵1の構造が簡単になる。
【0081】
(3)
さらに本実施形態では、LED9がパイプ継手4または袖部15に配置された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の場所にLED9を配置してもよい。例えば、継手配線102が接続されたLED9を支柱2に設けてもよい。この場合も、継手配線102をビームパイプ配線103にコネクタ接続することにより、各LED9への配線を容易に行うことが可能である。
【0082】
(4)
さらに他の変形例として、LED9をビームパイプ3の上部などに設けてもよい。この場合、ビームパイプ3の上に並べられたLED9を点灯させることにより、車道を走る自動車のドライバーに対して、防護柵1が延びる方向へ視線誘導することができる。ビームパイプ3の上部にLED9を設ける場合、ビームパイプ配線103または継手配線102のいずれかの配線からLED9へ給電すればよい。
【0083】
(5)
また、本発明の変形例として、LED9を歩道の側を向く位置に支柱2などに設けることも可能である。その場合、歩道を歩く歩行者の足元を照らすことも可能である。なお、足元照明用のLEDの消費電力を大きいものを用いる場合には、別途、外部電源に接続してもよい。
【0084】
(6)
なお、上記の実施形態では、電気発光体の一例としてLEDを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、LED以外にも、ランプなどの電気により発光する電気発光体であれば、本発明の防護柵に適用することが可能である。
【0085】
(7)
また、LED9へ給電する電源装置12として、太陽電池11およびキャパシタ14を備えた電源装置に代えて、他の電源装置に変更してもよい。例えば、外部の交流電線から得た交流電流を直流電流に変換して各LED9へ給電する電源装置を用いてもよい。この場合も、パイプ継手4およびビームパイプ3内の配線102、103をコネクタ接続することにより、電源装置12と複数のLED9との間の配線接続を防護柵1の取付け工事の現場で容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 防護柵
2 支柱
3 ビームパイプ
4 パイプ継手
7 袖パイプ
9 LED(電気発光体)
10 電気配線
11 太陽電池
12 電源装置
15 袖部
31 袖部配線側コネクタ
32 継手配線側コネクタ
33 ビームパイプ配線側コネクタ
101 袖部配線
102 継手配線
103 ビームパイプ配線
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の車道沿い等に設置された防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の車道沿い等には、種々の防護柵が設置されているが、夜間は防護柵の位置が見えにくいので、自動車のヘッドランプの光を反射する反射器またはデリネータ等が防護柵に設置されているのが一般的である。
【0003】
しかし、反射器またはデリネータで反射した光は、光源であるヘッドランプに向かって戻ってくる、いわば再帰反射をするので、ヘッドランプの位置よりも高い位置にある運転者の目には届きにくく、視認性の向上が難しい問題がある。
【0004】
そこで、夜間の視認性を良くするために、LED等の自発光光源を備えた防護柵が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1記載の防護柵では、横に延びるビームパイプと、その端部に設けられるケースユニットを備え、このケースユニット内にLEDと太陽電池とキャパシタが収容されている。キャパシタは、昼間に太陽電池で発電した電気を貯め、夜間になるとLEDがキャパシタに貯められた電気を用いて発光して防護柵の位置を運転者へ知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4274932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1記載の防護柵では、LEDごとにその電源である太陽電池およびキャパシタを必要とするので、製造コストが高くなるとともに、各LEDを連動して点滅させることも困難である。
【0008】
一方、複数のLEDを太陽電池およびキャパシタからなる共通電源に接続し、電源を共用することも考えられるが、この場合、電源と各LEDとの間の配線が複雑になるという問題がある。しかも、このような配線を防護柵取付け工事の現場などで行うのは非常に困難な作業となる。
【0009】
本発明の目的は、電源を共用しながら現場での配線作業を簡易に行うことが可能な防護柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の防護柵は、道路に沿って配置される防護柵であって、前記道路に沿う方向に間隔をあけて立設される複数の支柱と、前記支柱を横切る方向に延び、互いに異なる支柱にそれぞれ両端部が連結される複数本のビームパイプと、前記各支柱に固定され、前記ビームパイプのうち当該支柱に連結されるべきビームパイプの端部が連結可能なパイプ連結部を有する複数のパイプ継手と、前記支柱、前記パイプ継手、および前記ビームパイプを含む柵本体の中の複数の箇所にそれぞれ設けられ、給電を受けて発光する電気発光体と、複数の電気発光体に共用され、これらの電気発光体に給電することにより当該電気発光体を発光させる電源装置と、前記電源装置をこの電源装置に対応する複数の電気発光体に接続するための電気配線とを備え、前記電気配線は、前記各パイプ継手に配索されて固定される継手配線と、前記各ビームパイプ内にこのビームパイプに沿って配索されて固定されるビームパイプ配線と、前記各継手配線の端部に設けられる継手配線側コネクタと、前記各ビームパイプ配線の端部に設けられ、当該ビームパイプ配線が配索されるビームパイプの端部が連結されるパイプ継手に配索された継手配線の継手配線側コネクタに着脱可能に結合することにより当該ビームパイプ配線と当該継手配線とを電気的に接続するビームパイプ配線側コネクタとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、防護柵取付け工事の現場等において、支柱に固定されたパイプ継手とビームパイプとの連結作業に加え、電気配線のコネクタの接続作業を行うだけで、複数の電気発光体への給電回路を容易に構築することができる防護柵を提供するものである。
【0012】
すなわち、本発明の防護柵では、電源装置を複数の電気発光体に接続するための電気配線が、各パイプ継手に配索されて固定される継手配線と、各ビームパイプ内にこのビームパイプに沿って配索されて固定されるビームパイプ配線と、各継手配線の端部に設けられる継手配線側コネクタと、各ビームパイプ配線の端部に設けられたビームパイプ配線側コネクタとを含んでいる。そして、このビームパイプ配線側コネクタは、継手配線側コネクタに着脱可能に結合することによりビームパイプ配線と継手配線とを電気的に接続する。
【0013】
このようにパイプ継手およびビームパイプ内の配線をコネクタ接続することにより、電源装置と複数の電気発光体との間の配線接続を現場で容易に行うことが可能である。
【0014】
また、前記電気発光体は、前記パイプ継手または前記支柱に固定され、当該電気発光体に前記継手配線が接続されるのが好ましい。
【0015】
この構成では、パイプ継手または支柱に固定された電気発光体に継手配線が接続されているので、継手配線をビームパイプ配線にコネクタ接続することにより、各電気発光体への配線を容易に行うことが可能である。
【0016】
しかも、前記電気発光体は、前記パイプ継手の上部に配置されているのが好ましい。この構成では、電気発光体がパイプ継手の上部に配置されているので、パイプ継手またはビームパイプにかくれることなく遠距離から電気発光体の発する光を見ることが可能になるので、車道からの視認性が高い。
【0017】
さらに、前記ビームパイプは、前記支柱が延びる方向に複数段並べて設けられ、前記電気発光体は、2段目以下の前記ビームパイプに連結された前記ビーム継手の上部(好ましくは、上部正面)に配置されているのが好ましい。この構造では、電気発光体が2段目以下のパイプ継手の上部に配置されているので、障害物との接触のおそれも低い。
【0018】
また、前記各パイプ継手は、その外側に前記ビームパイプの端部が外嵌される継手スリーブを含み、この継手スリーブ内に前記継手配線の一部が配索されるのが好ましい。
【0019】
この場合、ビームパイプをパイプ継手の継手スリープに挿入して結合する構造なので、ビームパイプとパイプ継手との連結しながら、その内部においてビームパイプ配線と継手配線との間のコネクタ接続を容易に行うことができる。
【0020】
前記発電装置は、光を受けて発電する太陽電池、およびこの太陽電池が生成する電力を蓄える蓄電部を含むのが好ましい。この場合、太陽光があれば、電源装置の太陽電池で発電することが可能になり、外部からの給電がなくても、電気発光体への給電を行うことができる。また、太陽電池が生成する電力は蓄電部に蓄えられるので、夜などで暗くなったときには、蓄電部に蓄えられた電力を用いて電気発光体への給電が可能になる。
【0021】
前記ビームパイプの端部に接続可能な袖パイプをさらに備えており、前記太陽電池は、前記袖パイプに設けられているのが好ましい。
【0022】
この構造では、太陽電池が、ビームパイプの端部に接続可能な袖パイプに設けられているので、太陽電池とビームパイプ配線との間の接続を、袖パイプおよびビームパイプの内部で容易に行うことが可能である。また、袖パイプを移動させてビームパイプ配線を接続するだけで、太陽電池の配置を容易に変更することが可能である。
【0023】
また、前記太陽電池は、前記支柱に設けられているのが好ましい。
【0024】
この構成では、太陽電池が支柱に設けられているので、太陽電池をビームパイプ等より日当たりの良い場所を選択して設置することが可能になり、ビームパイプ等で日光をさえぎられるおそれが低くなる。その結果、太陽の向きなどの影響をあまり受けることなく、太陽電池による十分な発電量を確保できる。
【0025】
さらに、前記ビームパイプ配線の一部は、前記ビームパイプにより構成されているのが好ましい。この構造では、ビームパイプ配線の一部をビームパイプにより構成することで、配線数を減らし、構造を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の防護柵によれば、パイプ継手およびビームパイプ内の配線をコネクタ接続することにより、電源装置と複数の電気発光体との間の配線接続を現場で容易に行うことが可能である。しかも、1個の太陽電池によってその太陽電池から離れた複数の電気発光体を発光させることが可能であるので、防護柵を低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の防護柵の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の2段目のビームパイプ付近の配置を示す横断面図である。
【図3】図1の防護柵の側面図である。
【図4】図1のパイプ継手付近の部分を示す拡大断面図である。
【図5】図1のパイプ継手付近の部分を示す拡大平面図である。
【図6】図1の袖パイプ付近の部分を示す拡大正面図である。
【図7】図1の袖パイプ付近の部分を示す拡大平面図である。
【図8】図1の袖部の内部の配線図である。
【図9】図1のパイプ継手の内部の配線図である。
【図10】図1のビームパイプ内部の配線図である。
【図11】図1の継手ブラケットの側面図である。
【図12】図1の継手ブラケットの平面図である。
【図13】図1の袖パイプ平面図である。
【図14】図1の袖パイプの側面図である。
【図15】図1の防護柵の全体についての回路図である。
【図16】本発明の防護柵の変形例に係わるビームパイプに接地されたたアース接続を利用した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
つぎに図面を参照しながら本発明の防護柵の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0029】
図1〜3に示される防護柵1は、道路の車道沿い等に設置され、車道と歩道とを区画する防護柵であり、主として、複数の支柱2と、複数のビームパイプ3と、パイプ継手4と、複数のLED9と、電源装置12と、袖部15とから構成されている。
【0030】
複数のLED9は、支柱2に固定された2段目のパイプ継手4および袖部15にそれぞれ配置され、これらのLED9が点灯することにより、車道を走る自動車のドライバーに対して、防護柵1が延びる方向へ視線誘導することができる。これらのLED9は、防護柵1の内部を通る電気配線10を介して、2段目の袖部15に内蔵された電源装置12に電気的に接続されている。また、電源装置12は、太陽電池11を備えており、LED9を発光するための電源となる。
【0031】
電気配線10は、図8〜10に示されるように、袖部15の内部に配索されて固定された袖部配線101と、パイプ継手4の内部に配索されて固定された継手配線102と、ビームパイプ3の内部に配索されて固定されたビームパイプ配線103と、袖部配線101の端部に設けられた袖部配線側コネクタ31と、継手配線102の端部に設けられた継手配線側コネクタ32と、ビームパイプ配線103の端部に設けられたビームパイプ配線側コネクタ33とから構成される。
【0032】
ビームパイプ配線側コネクタ33は、ビームパイプ配線103が配索されるビームパイプ3の端部が連結されるパイプ継手4に配索された継手配線102の継手配線側コネクタ32に着脱可能に結合することにより、ビームパイプ配線103と継手配線102とを電気的に接続する。
【0033】
以下、さらに詳細に防護柵1の各構成部分の説明をする。
【0034】
複数の支柱2は、道路に沿う方向に間隔をあけて地面に立設されている。それぞれの支柱2の下部は、地面に所定の深さだけ埋め込まれている。また、支柱2は、所定の高さにそれぞれ横方向に貫通するボルト貫通孔2a(図4参照)が形成されている。
【0035】
(ビームパイプ3の説明)
ビームパイプ3は、支柱2を横切る方向に延び、互いに異なる支柱2にそれぞれ両端部が連結される。ビームパイプ3は、支柱2が延びる方向に複数段並べて(図1に示される本実施形態では3段)設けられている。防護柵1の側端に位置するビームパイプ3は、その両端部が袖部15およびパイプ継手4により支柱2にそれぞれ固定され、さらに、その中間部が中間ブラケット8により支柱2に固定されている。また、防護柵1の中間の区間に位置するビームパイプ3は、その両端部がパイプ継手4により支柱2にそれぞれ固定され、その中間部が中間ブラケット8により支柱2に固定されている。
【0036】
ビームパイプ3の内部には、図10に示されるように、正負1本ずつの1組のビームパイプ配線103が貫通して配線され、ビームパイプ配線103の両端にビームパイプ配線側コネクタ33が接続されている。これにより、ビームパイプ3、ビームパイプ配線103およびビームパイプ配線側コネクタ33によって、1つのユニットを構成する。
【0037】
(パイプ継手4の説明)
パイプ継手4は、図4〜5および図9に示されるように、各支柱2に固定され、ビームパイプ3のうち当該支柱2に連結されるべきビームパイプ3の端部が連結可能なパイプ連結部4a(図5参照)を有するユニットである。パイプ継手4は、主として、継手ブラケット5と、当該継手ブラケット5によって中間部分が支持された継手スリーブ6とから構成されている。
【0038】
継手ブラケット5は、図11〜12に示されるように、継手スリーブ6を保持するパイプ保持部5aと、支柱2に固定される支柱固定部5bとが一体に形成されて構成されている。継手ブラケット5の上面5cには、LED9を取り付けるためのLED取付孔5dが形成されている。また、パイプ保持部5aの上下両端には、それぞれボルト貫通孔5e、5fが形成されている。さらに、支柱固定部5bの側面には、ボルト貫通孔5gが形成されている。
【0039】
また、継手スリーブ6は、図4〜5に示されるように断面D字状または円筒状の筒体からなり、上下方向に貫通するボルト貫通孔6a、6cが5組形成されている。また、継手スリーブ6の側面には、開口6bが形成されている。継手スリーブ6の外径は、ビームパイプ3の内径よりも小さくなるように設定されている。これにより、継手スリーブ6の両端部、すなわち、パイプ連結部4aの部分にビームパイプ3が外嵌できる。
【0040】
また、パイプ継手4の内部には、図9に示されるように、継手配線102が配線されている。継手配線102は、正負1本ずつ計2組の配線からなり、正負1組ずつ、継手スリーブ6の内部で二手に分岐して配索されている。分岐している継手配線102の継手スリーブ6の外部に引き出された端部には、それぞれ継手配線側コネクタ32が接続されている。
【0041】
パイプ継手4は、以下のようにして1つのユニットを構成している。すなわち、図4〜5および図9に示されるように、継手ブラケット5のパイプ保持部5aの内部に継手スリーブ6が挿入され、LED取付孔5dにLED9が取り付けられ、LED9に接続された2組の継手配線102が開口6b(図4〜5参照)を通して、継手スリーブ6内部を1組ずつ左右に分岐されて、継手スリーブ6の両端の開口から外部へ引き出され、継手配線側コネクタ32が継手配線102の端部に接続される。そして、継手ブラケット5のボルト貫通孔5e、5fと継手スリーブ6のボルト貫通孔6a、6cとが位置合せされた状態で、これらの貫通孔に1本のボルト21が挿入され、ナット22を締結する。これにより、継手ブラケット5、継手スリーブ6、継手配線102、および継手配線側コネクタ32によって、パイプ継手4は1つのユニットとして構成される。
【0042】
(袖部15の説明)
袖部15は、図6〜8に示されるように、主として、袖パイプ7と、袖パイプ7に収容された電源装置12と、継手ブラケット5とから構成されている。
【0043】
継手ブラケット5は、前述のパイプ継手4の継手ブラケット5と同様の構成を有している。
【0044】
袖パイプ7は、防護柵1の側端に位置するビームパイプ3における当該側端を向く端部に接続され、ビームパイプ3の端末を閉塞するパイプである。具体的には、図13〜14に示されるように、袖パイプ7は、本体部7aと、ビーム接続部7bとから構成されている。本体部7aは、円筒状をしており、その周面の上側の部分には、矩形の開口7cが形成されている。また、本体部7aの先端側の開口7dには、袖キャップ25がはめ込まれ、根元側の開口7eには、ビーム接続部7bがはめ込まれている。
【0045】
ビーム接続部7bは断面D字状または円筒状の筒体であり、本体部7aと連通している。ビーム接続部7bの外径は、ビームパイプ3の内径よりも小さく設定されており、ビーム接続部7bをビームパイプ3の内部に挿入できる。ビーム接続部7bの上下両端には、ボルト貫通孔7f、7hが形成されている。さらに、ビーム接続部7bの側面には、開口7gが形成されている。
【0046】
電源装置12は、図8に示されるように、複数のLED9に共用され、これらのLED9に給電することにより当該LED9を発光させる装置であり、太陽電池11と、制御基板13と、キャパシタ14とから構成される。これら太陽電池11、制御基板13およびキャパシタ14は、互いに電気的に接続されている。電源装置12は、袖パイプ7の本体部7a(図13参照)に収容されている。
【0047】
太陽電池11は、太陽光を受けて発電を行う。太陽電池11は、図13に示されるように、袖パイプ7の本体部7aの開口7cにはめ込まれ、保護カバー36(図6〜7参照)に覆われて外部から保護されている。
【0048】
キャパシタ14は、太陽電池11で発電した電力を蓄える蓄電部に相当するものであり、充電および放電が可能なコンデンサまたは既存の二次電池などが用いられる。
【0049】
制御基板13は、LED9の点灯を制御する。例えば、制御基板13は、夜または雨になって防護柵1の設置場所が一定の暗さになったことを太陽電池11の起電力の変化により感知したとき、キャパシタ14に蓄えられた電力をLED9に供給してLED9を点灯させる。また、制御基板13は、各LED9を所定のタイミングで点滅させる制御を行い、ドライバーの視線誘導を促進させる。
【0050】
図8に示されるように、袖部15の内部には、袖部配線101が配線されている。袖部配線101は、正負1本ずつ計2組の配線からなり、正負1組ずつ、袖パイプ7の内部で二手に分岐している。分岐している袖部配線101のうち、袖パイプ7の外部に引き出された端部には、袖部配線側コネクタ31が接続されている。一方、分岐して袖パイプ7の内部に延びる袖部配線101は、内部接続コネクタ34および袖キャップ25のLED9を介して電源装置12に接続されている。
【0051】
袖部15は、以下のようにして1つのユニットを構成している。すなわち、図6〜8に示されるように、袖パイプ7の本体部7aの内部に電源装置12が収容された状態で、継手ブラケット5のパイプ保持部5aの内部に袖パイプ7のビーム接続部7bが挿入され、LED取付孔5dにLED9が取り付けられ、LED9に接続された2組の袖部配線101が開口7g(図7および図14参照)を通して、袖パイプ7のビーム接続部7b内部を1組ずつ左右に分岐されて、そのうちの一方の組の袖部配線101は、袖パイプ7のビーム接続部7bの端部開口から外部へ引き出され、そこに袖部配線側コネクタ31が接続される。また、他方の組の袖部配線101は、内部接続コネクタ34を介して、袖キャップ25に取り付けられたLED9、制御基板13、太陽電池11、およびキャパシタ14に電気的に接続される。そして、継手ブラケット5のボルト貫通孔5e、5fと袖パイプ7のビーム接続部7bのボルト貫通孔7f、7hとが位置合せされた状態で、これらの貫通孔に1本のボルト21が挿入され、ナット22を締結する。これにより、継手ブラケット5、袖パイプ7、電源装置12、袖部配線101、および袖部配線側コネクタ31によって、袖部15は1つのユニットとして構成される。
【0052】
(LED9の説明)
LED9は、電源装置12からの給電を受けて発光する発光ダイオードであり、支柱2、パイプ継手4、およびビームパイプ3を含む防護柵1の本体の中の複数の箇所にそれぞれ設けられる。本実施形態のLED9は、2段目のビームパイプ3に接続されたパイプ継手4および袖部15において、継手ブラケット5の上面5cに形成されたLED取付孔5dに透明な保護カバー35で覆われた状態でそれぞれ配置されている。さらに、LED9は、防護柵1の側端に位置する袖部15の袖キャップ25にも配置されている。
【0053】
(防護柵1の組み立て方法)
つぎに、防護柵1の組み立て方法について説明する。
【0054】
はじめに、防護柵1を構成する袖部15、パイプ継手4およびビームパイプ3は、あらかじめ工場などで1つのユニットとして組み立てられた状態で、防護柵取付け工事現場に搬入される。
【0055】
防護柵取付け工事現場では、まず、複数の支柱2を、道路と歩道の境界線に沿って等間隔に地面に設置する。
【0056】
ついで、袖部15を支柱2に取り付ける。袖部15は、図6〜7に示されるように、支柱2の横に延びるボルト貫通孔2aに継手ブラケット5の支柱固定部5bに形成されたボルト貫通孔5g(図4参照)を重ね合わせて、これらのボルト貫通孔2a、5gにボルト23を挿入してナット24(図4参照)を締結することにより、袖部15を支柱2の側面に固定することができる。
【0057】
つぎに、ビームパイプ3を袖部15に接続するときには、まず、袖部配線101の端部の袖部配線側コネクタ31(図8参照)をビームパイプ配線103のビームパイプ配線側コネクタ33(図10参照)に接続する。
【0058】
そののち、図6〜7に示されるように、袖パイプ7のビーム接続部7bにビームパイプ3を挿入して、ビームパイプ3の上下両端に形成されたボルト貫通孔3a、3bと袖パイプ7のビーム接続部7bの上下両端のボルト貫通孔7f、7hの位置を合わせた後、これらのボルト貫通孔3a、3b、7f、7hにボルト21を挿入してナット22を締結することにより、ビームパイプ3を袖部15に接合することができる。
【0059】
つぎに、ビームパイプ3の端部にパイプ継手4を接続するときには、まず、ビームパイプ配線103のビームパイプ配線側コネクタ33(図10参照)を、パイプ継手4における継手配線102の端部の継手配線側コネクタ32(図9参照)に接続する。そののち、図5に示されるように、継手スリーブ6をビームパイプ3に挿入しておく。
【0060】
つぎに、継手スリーブ6をビームパイプ3に挿入しておいた状態で、パイプ継手4を支柱2に接続する。図4〜5に示されるように、支柱2の横に延びるボルト貫通孔2aに継手ブラケット5の支柱固定部5bに形成されたボルト貫通孔5gを重ね合わせて、これらのボルト貫通孔2a、5gにボルト23を挿入してナット24を締結することにより、パイプ継手4を支柱2の側面に固定することができる。
【0061】
そののち、ビームパイプ3の上下両端に形成されたボルト貫通孔3a、3bと継手スリーブ6の上下両端のボルト貫通孔6a、6cの位置を合わせた後、前述と同様に、これらのボルト貫通孔3a、3b、6a、6cにボルト21を挿入してナット22を締結することにより、ビームパイプ3をパイプ継手4に接合することができる。
【0062】
これ以降の作業は、前述と同様に、ビームパイプ3とパイプ継手4とを交互に接続するとともにパイプ継手4を支柱2に固定する作業を繰り返していく。このとき、隣接するビームパイプ3同士は、パイプ継手4を介して接続されるとともに、それらのビームパイプ配線103同士が、ビームパイプ配線側コネクタ33と継手配線側コネクタ32とが接続されることにより、継手配線102を介して接続される。これにより、防護柵1の電気配線10における配線接続の作業を容易に行うことが可能である。
【0063】
防護柵1の終点におけるビームパイプ3の端末には、袖パイプ7が取り付けられる。ビームパイプ3の端末から外に引き出されたビームパイプ配線103の端部のビームパイプ配線側コネクタ33は、袖パイプ7の端末に設けられた袖キャップ25の取り付けられたLED9の正負1本ずつの1組の配線に接続される(図15のLED番号L8のLED9参照)。
【0064】
(防護柵1の配線構造)
図15には、本実施形態の防護柵1の電気配線の構造が示されている。ここでは、太陽電池11、制御基板13およびキャパシタ14からなる電源装置12から1組の正極側電線Pと負極側電線Nが出ている。そして、LED番号L1〜L8まで付された8個のLED9は、互いに隣接するLED9同士で1組の正極側電線Pおよび負極側電線Nを介して並列に接続されている。各LED9は、上記の接続コネクタ31〜34からなる接続ポイントCにおいて、これらの正極側電線Pおよび負極側電線Nに着脱自在に接続されている。
【0065】
図15に示されるように、複数のLED9が互いに並列に接続されていることにより、太陽電池11で発電された電力が小さい場合でも、各LED9に等しい電圧を印加して安定して発光させることができる。例えば、比較的小型の既存の太陽電池11(例えば、縦48mm、横25mm程度の大きさで、2V程度の起電力のソーラーパネル)であっても、68mの区間に配置された20個のLEDを点灯または点滅させることが可能である。かかる構造により、面積の小さい太陽電池11でLED9の消費電力を最小限に設定できる。
【0066】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の防護柵1では、電源装置12を複数のLED9に接続するための電気配線10が、各パイプ継手4に配索されて固定される継手配線102と、各ビームパイプ3内にこのビームパイプ3に沿って配索されて固定されるビームパイプ配線103と、各継手配線102の端部に設けられる継手配線側コネクタ32と、各ビームパイプ配線103の端部に設けられたビームパイプ配線側コネクタ33とを含んでいる。そして、このビームパイプ配線側コネクタ33は、継手配線側コネクタ32に着脱可能に結合することによりビームパイプ配線103と継手配線102とを電気的に接続する。このようにパイプ継手4およびビームパイプ3内の配線102、103をコネクタ接続することにより、電源装置12と複数のLED9との間の配線接続を防護柵の取付け工事の現場で容易に行うことが可能である。
【0067】
また、この構造により、太陽電池11から離れた位置に設置された複数のLED9を1個の太陽電池11に接続すること容易に行うことができるので、配線工事費を大幅に軽減できる。しかも、太陽電池11とキャパシタ14による供給電力の範囲内であれば、LED9の数を増設することが可能である。なお、必要であれば、太陽電池11およびキャパシタ14の数も増設してもよく、この場合、さらに多くのLED9を増設することが可能になる。
【0068】
また、多数のLED9を容易に接続することができるので、より多くのLED9を点灯または点滅させて、視線誘導の距離を長くさせることができる。
【0069】
(2)
しかも、複数のLED9は継手配線102およびビームパイプ配線103を介して太陽電池11に接続されているので、太陽電池11の設置場所を任意に選択することが可能である。例えば、防護柵1を部分的に日当たりが悪い場所に設置する場合でも、太陽電池11を日当たりの良い場所を選択して設置して、太陽電池11の発電量を確保することが可能である。また、それとともにLED9を暗い場所に設置することが容易になるので、LED9による視線誘導を暗い場所で容易に行うことが可能になる。
【0070】
(3)
また、本実施形態では、パイプ継手4に固定されたLED9に継手配線102が接続されているので、継手配線102をビームパイプ配線103にコネクタ接続することにより、各LED9への配線を容易に行うことが可能である。
【0071】
(4)
さらに、本実施形態では、LED9がパイプ継手4の上部に配置されているので、パイプ継手4またはビームパイプ3にかくれることなく遠距離からLED9の発する光を見ることが可能になるので、車道からの視認性が高い。
【0072】
(5)
また、本実施形態では、ビームパイプ3は、支柱2が延びる垂直方向に複数段並べて設けられ、LED9が2段目以下のパイプ継手4の上部、好ましくは上部正面(上部の道路に面する側)に配置されているので、また、障害物との接触のおそれも低くなる。なお、あまり低い段にLED9を設置すると、自動車を運転するドライバーからLED9の発する光が見えにくくなるので、2段目程度の高さのパイプ継手4の上部にLED9を設置すれば、車道からの視認性が確保され、しかも、車道から跳ね上がる泥などによって汚れるおそれも低くなる。
【0073】
(6)
さらに、本実施形態では、各パイプ継手4は、その外側にビームパイプ3の端部が外嵌される継手スリーブ6を含み、この継手スリーブ6内に継手配線102の一部が配索されている。この構成では、ビームパイプ3をパイプ継手4の継手スリープ6に挿入して結合する構造なので、ビームパイプ3とパイプ継手4との連結を行いながら、その内部においてビームパイプ配線103と継手配線102との間のコネクタ接続を容易に行うことができる。
【0074】
(7)
また、本実施形態では、発電装置12は、光を受けて発電する太陽電池11、およびこの太陽電池11が生成する電力を蓄えるキャパシタ14を含んでいるので、太陽光があれば、電源装置12の太陽電池11で発電することが可能になり、外部からの給電がなくても、LED9への給電を行うことができる。また、太陽電池が生成する電力はキャパシタ14に蓄えられるので、夜などで暗くなったときには、キャパシタ14に蓄えられた電力を用いてLED9への給電が可能になる。
【0075】
(8)
また、本実施形態では、太陽電池11が、ビームパイプ3の端部に接続可能な袖パイプに設けられているので、太陽電池11とビームパイプ配線103との間の接続を、袖パイプ7およびビームパイプ3の内部で容易に行うことが可能である。また、袖パイプ7を移動させてビームパイプ配線103を接続するだけで、太陽電池11の配置を容易に変更することが可能である。
【0076】
(変形例)
(1)
上記の実施形態では、ビームパイプ3の端末に接続された袖パイプ7に太陽電池11が設置された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の場所に太陽電池11を設置してもよい。例えば、太陽電池11を支柱2の上面または上部の側周面などに設けてもよい。この場合、太陽電池11をビームパイプ3や袖パイプ7等よりもさらに日当たりの良い場所に設置することが可能になり、ビームパイプ3等で日光をさえぎられるおそれが低くなる。その結果、太陽の向きなどの影響をあまり受けることなく、太陽電池11による十分な発電量を確保できる。なお、太陽電池11をビームパイプ3に設置してもよい。
【0077】
(2)
また、上記の実施形態では、図15に示されるように、各LED9に正極側電線Pおよび負極側電線Nが2本ずつ接続されている例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ビームパイプ3に沿って配線されたビームパイプ配線を用いる配線構造であれば、種々の配線構造を採用することが可能である。例えば、本発明の変形例として、図16に示されるように、各LED9の負極側端子をビームパイプ3を含む接地ポイントEに接地させることにより、ビームパイプ3自体を配線の一部として用いた配線構造を採用してもよい。
【0078】
接地ポイントEは、例えば、隣接するビームパイプ3同士が導電フィルムの貼付または溶接などによって電気的に接続され、これらのビームパイプ3が防護柵1の外部の所定の場所へ接地されることにより形成される。
【0079】
各アース線Gは、ソケットなどを介して接続ポイントCで着脱自在に接地ポイントEへ電気的に接続される。
【0080】
このように、各LED9に接続される負極側配線を省略して、ビームパイプ3などの共通の接地場所にアース接続することにより、ビームパイプ内の配線数を減らすことができ、防護柵1の構造が簡単になる。
【0081】
(3)
さらに本実施形態では、LED9がパイプ継手4または袖部15に配置された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の場所にLED9を配置してもよい。例えば、継手配線102が接続されたLED9を支柱2に設けてもよい。この場合も、継手配線102をビームパイプ配線103にコネクタ接続することにより、各LED9への配線を容易に行うことが可能である。
【0082】
(4)
さらに他の変形例として、LED9をビームパイプ3の上部などに設けてもよい。この場合、ビームパイプ3の上に並べられたLED9を点灯させることにより、車道を走る自動車のドライバーに対して、防護柵1が延びる方向へ視線誘導することができる。ビームパイプ3の上部にLED9を設ける場合、ビームパイプ配線103または継手配線102のいずれかの配線からLED9へ給電すればよい。
【0083】
(5)
また、本発明の変形例として、LED9を歩道の側を向く位置に支柱2などに設けることも可能である。その場合、歩道を歩く歩行者の足元を照らすことも可能である。なお、足元照明用のLEDの消費電力を大きいものを用いる場合には、別途、外部電源に接続してもよい。
【0084】
(6)
なお、上記の実施形態では、電気発光体の一例としてLEDを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、LED以外にも、ランプなどの電気により発光する電気発光体であれば、本発明の防護柵に適用することが可能である。
【0085】
(7)
また、LED9へ給電する電源装置12として、太陽電池11およびキャパシタ14を備えた電源装置に代えて、他の電源装置に変更してもよい。例えば、外部の交流電線から得た交流電流を直流電流に変換して各LED9へ給電する電源装置を用いてもよい。この場合も、パイプ継手4およびビームパイプ3内の配線102、103をコネクタ接続することにより、電源装置12と複数のLED9との間の配線接続を防護柵1の取付け工事の現場で容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 防護柵
2 支柱
3 ビームパイプ
4 パイプ継手
7 袖パイプ
9 LED(電気発光体)
10 電気配線
11 太陽電池
12 電源装置
15 袖部
31 袖部配線側コネクタ
32 継手配線側コネクタ
33 ビームパイプ配線側コネクタ
101 袖部配線
102 継手配線
103 ビームパイプ配線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って配置される防護柵であって、
前記道路に沿う方向に間隔をあけて立設される複数の支柱と、
前記支柱を横切る方向に延び、互いに異なる支柱にそれぞれ両端部が連結される複数本のビームパイプと、
前記各支柱に固定され、前記ビームパイプのうち当該支柱に連結されるべきビームパイプの端部が連結可能なパイプ連結部を有する複数のパイプ継手と、
前記支柱、前記パイプ継手、および前記ビームパイプを含む柵本体の中の複数の箇所にそれぞれ設けられ、給電を受けて発光する電気発光体と、
複数の電気発光体に共用され、これらの電気発光体に給電することにより当該電気発光体を発光させる電源装置と、
前記電源装置をこの電源装置に対応する複数の電気発光体に接続するための電気配線とを備え、
前記電気配線は、前記各パイプ継手に配索されて固定される継手配線と、前記各ビームパイプ内にこのビームパイプに沿って配索されて固定されるビームパイプ配線と、前記各継手配線の端部に設けられる継手配線側コネクタと、前記各ビームパイプ配線の端部に設けられ、当該ビームパイプ配線が配索されるビームパイプの端部が連結されるパイプ継手に配索された継手配線の継手配線側コネクタに着脱可能に結合することにより当該ビームパイプ配線と当該継手配線とを電気的に接続するビームパイプ配線側コネクタとを含む、
ことを特徴とする防護柵。
【請求項2】
前記電気発光体は、前記パイプ継手または前記支柱に固定され、当該電気発光体に前記継手配線が接続される、請求項1記載の防護柵。
【請求項3】
前記電気発光体は、前記パイプ継手の上部に配置されている、請求項2記載の防護柵。
【請求項4】
前記ビームパイプは、前記支柱が延びる方向に複数段並べて設けられ、
前記電気発光体は、2段目以下の前記ビームパイプに連結された前記パイプ継手の上部に配置されている、
請求項3に記載の防護柵。
【請求項5】
前記各パイプ継手は、その外側に前記ビームパイプの端部が外嵌される継手スリーブを含み、この継手スリーブ内に前記継手配線の一部が配索される、
請求項1から4のいずれかに記載の防護柵。
【請求項6】
前記発電装置は、光を受けて発電する太陽電池、およびこの太陽電池が生成する電力を蓄える蓄電部を含む、
請求項1から5のいずれかに記載の防護柵。
【請求項7】
前記ビームパイプの端部に接続可能な袖パイプをさらに備えており、
前記太陽電池は、前記袖パイプに設けられている、
請求項6に記載の防護柵。
【請求項8】
前記太陽電池は、前記支柱に設けられている、
請求項6に記載の防護柵。
【請求項9】
前記ビームパイプ配線の一部は、前記ビームパイプにより構成されている、
請求項1から8のいずれかに記載の防護柵。
【請求項1】
道路に沿って配置される防護柵であって、
前記道路に沿う方向に間隔をあけて立設される複数の支柱と、
前記支柱を横切る方向に延び、互いに異なる支柱にそれぞれ両端部が連結される複数本のビームパイプと、
前記各支柱に固定され、前記ビームパイプのうち当該支柱に連結されるべきビームパイプの端部が連結可能なパイプ連結部を有する複数のパイプ継手と、
前記支柱、前記パイプ継手、および前記ビームパイプを含む柵本体の中の複数の箇所にそれぞれ設けられ、給電を受けて発光する電気発光体と、
複数の電気発光体に共用され、これらの電気発光体に給電することにより当該電気発光体を発光させる電源装置と、
前記電源装置をこの電源装置に対応する複数の電気発光体に接続するための電気配線とを備え、
前記電気配線は、前記各パイプ継手に配索されて固定される継手配線と、前記各ビームパイプ内にこのビームパイプに沿って配索されて固定されるビームパイプ配線と、前記各継手配線の端部に設けられる継手配線側コネクタと、前記各ビームパイプ配線の端部に設けられ、当該ビームパイプ配線が配索されるビームパイプの端部が連結されるパイプ継手に配索された継手配線の継手配線側コネクタに着脱可能に結合することにより当該ビームパイプ配線と当該継手配線とを電気的に接続するビームパイプ配線側コネクタとを含む、
ことを特徴とする防護柵。
【請求項2】
前記電気発光体は、前記パイプ継手または前記支柱に固定され、当該電気発光体に前記継手配線が接続される、請求項1記載の防護柵。
【請求項3】
前記電気発光体は、前記パイプ継手の上部に配置されている、請求項2記載の防護柵。
【請求項4】
前記ビームパイプは、前記支柱が延びる方向に複数段並べて設けられ、
前記電気発光体は、2段目以下の前記ビームパイプに連結された前記パイプ継手の上部に配置されている、
請求項3に記載の防護柵。
【請求項5】
前記各パイプ継手は、その外側に前記ビームパイプの端部が外嵌される継手スリーブを含み、この継手スリーブ内に前記継手配線の一部が配索される、
請求項1から4のいずれかに記載の防護柵。
【請求項6】
前記発電装置は、光を受けて発電する太陽電池、およびこの太陽電池が生成する電力を蓄える蓄電部を含む、
請求項1から5のいずれかに記載の防護柵。
【請求項7】
前記ビームパイプの端部に接続可能な袖パイプをさらに備えており、
前記太陽電池は、前記袖パイプに設けられている、
請求項6に記載の防護柵。
【請求項8】
前記太陽電池は、前記支柱に設けられている、
請求項6に記載の防護柵。
【請求項9】
前記ビームパイプ配線の一部は、前記ビームパイプにより構成されている、
請求項1から8のいずれかに記載の防護柵。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−17611(P2012−17611A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155990(P2010−155990)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
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