Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
除ウイルス剤又は除真菌剤
説明

除ウイルス剤又は除真菌剤

【課題】ウイルスや真菌、その他の微生物に広く有効な除菌(抗細菌、抗真菌、抗ウイルス)剤及び除菌製品を提供すること。
【解決手段】抗菌性色素剤と金属を含有してなる除ウイルス剤と除真菌剤及び当該除ウイルス剤と除真菌剤で処理してなる物品。抗菌性色素剤としては、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素が好ましい。金属としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体が好ましい。本発明の除菌剤は、抗菌性色素剤と金属を併用することによって、ウイルスと真菌の両方に対して相加相乗的殺菌効果を発揮する。また、汚染が考えられる物品を染色処理して汚染の防止を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス及び真菌による感染および、ガーゼ、リネン、衣服、床材、絨毯、マット、カテーテル、器具等への汚染防止と除ウイルスと除真菌に有効な除ウイルス剤又は除真菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
老人が増加している近年、寝たきりの老人人口も増加し続けており、かつ高度医療の発展に伴い免疫不全患者も増加している。老人も一種の免疫不全状態であり、これらの免疫不全者に対して、インフルエンザウイルスを含むウイルスや皮膚糸状菌を含む真菌による感染症も増加し続けており、それに伴いリネン類や衣服および、処置するためのガーゼ、カテーテル、器具などに対する汚染が拡大している。それらの感染症を防ぐために汎用されているのが次亜塩素酸、クレゾール、陽イオン界面活性剤の塩化ベンザルコニウムと塩化ベンゼトニウム、両性界面活性剤の塩化アルキルジアミノエチルグリシンおよび、ビグアナイト系薬剤のグルクロン酸クロルヘキシジンであるが、いずれも汚染後の処置にしか使用できず、汚染の防止には役立たない。一旦、リネン類が汚染されてしまえば、院内感染もしくは在宅感染が発症するばかりか、それらを取り扱う医療従事者の他に清掃員やクリーニング従事者のような第三者に対する2次感染の危険性も大きくなる。
【0003】
一般的に、重症急性肺呼吸器症候群(SARS)や鳥インフルエンザなどのウイルスの感染予防は空気感染予防策がとられるためマスクの着用が行われている。このマスク自体に除ウイルス効果はなく、単に機械的に侵入を止めているにすぎないため二次感染の恐れがある。また、皮膚糸状菌は皮膚からはがれた剥落層内にも存在しているため、これが二次感染の現況となっている。
これらの問題は医療上または医療費上に大きな負担を強いていることは事実であるが、免疫不全人口の増大によりさらに加速することは容易に推察できる。
また、特許文献1に記載されている抗菌性消毒剤は、ガーゼ、リネン、衣服、カテーテル、器具等への半永久的維持能力は無く、洗浄によって容易に除洗されてしまう欠点がある。
【特許文献1】特開2002−205941
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、微生物学の分類に従って、細菌とは分類を異にするウイルスや真菌までを含む微生物に広く有効な除ウイルス剤と除真菌剤製品を提供することであり、特に染色可能な除ウイルス剤と除真菌剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するべく、本発明者らは人体に安全であり、かつカテーテル、リネン類及び衣服などの繊維に染色可能な除ウイルス剤と除真菌剤の両方の性質を有す物質を検索した結果、ゲンチアナバイオレットで代表される抗菌性色素剤が最も優れていると判断した。しかし、抗菌性色素剤単独による染色では、洗浄によって容易に溶出してしまい、長時間の殺菌効果は期待できない。そこで、本発明者は抗菌性色素剤と組み合わせることで殺ウイルス、殺真菌効果増強と洗浄によって容易に脱染しない長時間の染色を可能に出来る化合物の検索を行った結果、金属剤を用いると染色が可能であり、洗浄によって容易に脱染せず、かつ従来品を上回る殺ウイルス、殺真菌効果を有する除菌剤が得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明は,抗菌性色素剤と金属を含有してなる除ウイルス剤又は除真菌剤及び当該除ウイルス剤又は除真菌剤で処理してなる物品である。抗菌性色素剤に金属を併用することにより、ウイルスと真菌に対しても優れた殺ウイルス及び殺真菌力を示すようになる。また、金属を使用することにより、リネン類の布、紙やカテーテルに対して脱染を少なくした染色が可能になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の除ウイルス剤又は除真菌剤は、抗菌性色素剤と金属を併用することによって、ウイルスと真菌の両方に対して相乗的殺菌効果を発揮する。特にゲンチアナバイオレットと銅、就中CuCl2の添加によってゲンチアナバイオレットの活性が増強することは、これらの併用が染色に応用できることを示している。CuCl2はゲンチアナバイオレットを染料とする染色時の色止めに使用できる。本剤で繊維の染色を行うことにより、ウイルスと真菌の汚染防止が可能となる様々な製品が考えられることになる。また、その他の抗菌性色素剤、例えばマラカイトグリーンを用いても、ゲンチアナバイオレットと同様の結果を得られる。
さらに、消毒剤、抗菌剤、ゲル化剤、固化剤、安定化剤、pH調整剤を添加して使用しても同等の効果を得ることが可能である。従って、本発明の除ウイルス剤又は除真菌剤を含有する製品は、ウイルスと真菌の汚染防止、除ウイルスと除真菌を目的として幅広く使用できる。
なお、本発明者は既に抗菌性消毒剤を特許出願しているが(特願2003−166305)、該抗菌性消毒剤は微生物学的分類の細菌に属するものを対象とし、本件の対象であるウイルス及び真菌とは学問的に異なるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する抗菌性色素剤としては、ゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素が好ましい。アゾ色素としては例えばスルファピリジン、スルファグアニジン、ホモスルファミン、スルファチアゾールが例示できる。これ等の中でゲンチアナバイオレットとマラカイトグリーンが特に好ましい。
【0009】
抗菌性色素剤は市販されているものでも、試薬として市販されているのもでも合成品でも構わない。また、液状でも固形状でも構わない。さらに、抗菌性色素剤自体でも、作成されうる塩の形態をとっていても構わない。水溶液の場合、抗菌性色素剤の濃度に制限はないが、通常0.00001〜10重量%水溶液である。除ウイルス剤と除真菌剤として使用されうる抗菌性色素剤の濃度は約0.001重量%水溶液であり、好ましく使用できる。
【0010】
金属としては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体が好ましく、銅および銀、その塩又はその錯体が特に好ましい。これらの金属は、抗菌性色素剤の除ウイルス効果と除真菌効果を増強し、かつ製品の安定化及び染色時に効力を有する。金属は、微粉末化した金属自体でも、作成されうる塩や錯体の形態をとっていても構わない。
【0011】
具体的に銅剤は、銅、塩化銅、硫酸銅、酢酸銅、ホウ酸銅、フッ化銅、水酸化銅、硝酸銅、リン酸化銅、セレン銅、アルセネイト銅、臭化銅、硫化銅、銅-塩基性アミノ酸であるが、好ましくは塩化銅、特に塩化第二銅と酢酸銅が好ましい。錯体としては、例えば酸性アミノ酸、クエン酸、リンゴ酸、フマール酸、オキザロ酢酸等によって形成される錯体が例示できる。銅剤は市販されているものでも、試薬として市販されているのもでも合成品でも構わない。抗菌性色素剤の染色固定に使用する銅剤は、余分な銅剤が洗浄除去されるため濃度制限はないが、人体に影響しない濃度を考慮すれば、0.001〜10重量%が好ましい。
【0012】
具体的に銀剤は、銀、炭酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、よう素酸銀、よう化銀、硝酸銀、亜硝酸銀、プロテイン銀、硫酸銀、亜硫酸銀、乳酸銀、トリフロオロ酢酸銀、トリフルオロメタンスルフォン酸銀、トルエンスルフォン酸銀であるが塩化銀、酢酸銀と硝酸銀が好ましく、濃度は0.001〜10重量%が好ましい。
【0013】
本発明においては、抗菌性色素剤と金属の比は0.0001〜0.1:0.01〜5であることが好ましい。抗菌性色素剤がこの比率より小さいと、金属併用時に於ける相乗効果が期待できないし、この比率より多い抗菌性色素剤自体の皮膚刺激性による毒性の恐れがでてくる。金属の比率がこれより少ないと、抗菌性色素剤との併用による効果が期待できないし、これより多くなれば金属の析出と毒性の恐れがでてくる。
【0014】
本発明による除ウイルス剤と除真菌剤は、常法により任意の剤形とすることができる。例えば、粉末製剤、固化製剤、ゲル製剤、軟膏製剤、パップ製剤、水剤とすることができる。また、さらに抗感染症剤を含有させた形態、すなわち抗菌性色素剤と金属および抗感染症剤を配合した形態としてもよい。抗菌剤としては、例えば一般的に使用されているクロラムフェニコール、マクロライド、キノロン、β-ラクタム、テトラサイクリン、サルファ剤などが使用できる。
【0015】
本発明の除ウイルス剤と除真菌剤は、上記の様に殺菌効果増強と抗菌スペクトルが広いという特徴を有する製剤を提供できる。また、紙、綿球、ガーゼ、マスク、タオル、繊維、不織布、布地、リネン、ベットパッド、ベットカバー、寝具、オムツ、オムツカバー、靴下、靴の中敷、マット、絨毯、たたみ、床材、衣服、カテーテル、便座、タイル、用具、器具のように汚染が考えられる物品を処理することができる。また、セラミックスやカーボン繊維、カーボンチューブ、ナノカーボン、活性炭のようなカーボン製品も処理することができる。即ち、抗菌性色素剤を除ウイルスと除真菌の主成分とし、金属の添加によって抗菌性色素剤の除ウイルス効果と除真菌効果が相乗的に強くなる染色可能な本製剤を作ることが出来る。具体的な処理方法としては、例えば汚染が考えられる物品あるいは清潔を保持したい物品を本発明の除ウイルス剤と除真菌剤に浸漬したり、物品に練り込んだり、物品をコーティングしたりあるいは物品にスプレーしたりして染色することができる。また、除ウイルス剤または除菌剤を物品に封入処理をして汚染防止をすることが考えられる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例で本発明を説明する。
実施例1
ゲンチアナバイオレットとCuCl2併用における抗HA効果
MDCK細胞を用いて培養したインフルエンザウイルス(influenzae A/WSN3, H1N1)を用いて、赤血球凝集素(HA)の力価(HA価)を定法により、目視にて完全凝集を判定した。つまり、1.1x107 influenzae A/WSN3の2倍希釈系列を作成後、0.5%ニワトリ赤血球浮遊液を等量添加し、4℃で一時間静置後、凝集の起こる最低濃度であるHA価を求めた。このHA価は320であった。このインフルエンザウイルス(influenzae A/WSN3,以下ストックウイルス液と略す)100μLと各検体100μLを37℃60分反応させ、その後、各反応系50μLに0.5%ニワトリ赤血球を50μL加え、4℃60分後にHA価を判定した。コントロールとしてリン酸緩衝生理食塩水を用いた。
結果は、リン酸緩衝生理食塩水、0.001%ゲンチアナバイオレット(GV)、0.001%GV+0.0001%CuCl2と0.0001%CuCl2の順に、320、160、40、160であり、GVとCuCl2の併用により、HA価で8倍の不活化作用が確認された。
【0017】
実施例2
ゲンチアナバイオレットとCuCl2併用時の感染価(tissue culture infectious dose、50%感染価、TCID50=10-n)に及ぼす影響
ストックウイルス液を希釈した16HA価のインフルエンザウイルス(influenzae A/WSN3)に0.0063%ゲンチアナバイオレット(GV)、0.0031%GV、0.0031%GV+0.0016%CuCl2と0.0063%CuCl2、0.25%I2を等量混合し、3時間後にサンプリングした溶液をMDCK細胞に感染させた。72時間培養後に細胞変性を観察し、Read and Munch法に従ってTCID50を算出した。
結果は、25mMリン酸緩衝液(pH7.2)、0.0063%ゲンチアナバイオレット(GV)、0.0031%GV、0.0031%GV+0.0016%CuCl2、0.0063%CuCl2、0.25%I2の順に、5.60、1.50、2.24、1.75、4.26、1.75(TCID50=10-n)であった。GV単剤、もしくはCuCl2単剤に比べ、GVとCuCl2の併用は優れた効果を示していた。また、その併用効果は80倍以上の低濃度であるにもかかわらず、0.25%I2と同程度の効果であった。
【0018】
実施例3
染色布のインフルエンザウイルスに対する不活化効果
あらかじめ3%タンニン酸で処理した綿布を0.001%GV液で加温染色し、洗浄後、0.01%CuCl2液で後媒染し、ソーピングして洗浄した染色布および同行程の非染色布、銅単独媒染布について検討した。染色あるいは媒染の温度はひろく染色で用いられている室温から100℃以上の高圧高温も可能である。染色布に50μLのストックウイルス液を希釈した16HA価のインフルエンザウイルス(influenzae A/WSN3)を滴下し、1時間後と3時間後に残存しているウイルス感染価を実施例2と同様にTCID50で算出した。
1時間後の結果は、非染色布、GV染色、GV+CuCl2染色、CuCl2染色の順のTCID50は、4.75、2.38、1.38、3.5(TCID50=10-n)、3時間後では、4.75、2.21、<1、3.5であった。染色布においても、GV単剤、もしくはCuCl2単剤に比べ、GVとCuCl2の併用は10倍から100倍程度、非染色布に比しては3,000〜50,000倍程度優れたインフルエンザウイルス不活化効果を示した。
上記、HA価、感染価及び染色布の結果から、GV+ CuCl2に代表される抗菌性色素剤と金属の併用は、繊維の汚染防止ばかりか汚染後の除ウイルスもしくは殺ウイルスとして有効と考えられる。
【0019】
実施例4
糸状菌に対する抗真菌効果
試験菌は、皮膚糸状菌であるTrichophyton mentagrophytes Fu-19とMicrosporum canis
Fu-22を用いた。抗菌力測定用の培地としてサブローグルコース寒天培地を使用した。試験菌は、サブロー寒天培地にて生育してきたコロニーをサブロー液体培地に懸濁し、107CFU/mLに調整した。2倍希釈系列の被検液含有のサブローグルコース寒天培地に調整された試験菌の5μLを接種し、各薬剤の各真菌に対する抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC)で求めた。
結果は、Trichophyton mentagrophytes Fu-19とMicrosporum canis Fu-22ともにGVとCuCl2のMIC値は、0.00005%と0.05%であった。CuCl2の濃度を1/4MICである0.0063%に固定した条件下でGVのMICを求めた結果、GVのMIC値はTrichophyton mentagrophytes Fu-19とMicrosporum canis Fu-22の順に、0.000025%と0.0000125%となった。GV単剤に比べCuCl2の併用によって、その効果は2倍から4倍増強された。
【0020】
実施例5
染色布の糸状菌に対する抗真菌効果
実施例3で作成した染色布(1x0.5cm)に5x103CFUのTrichophyton mentagrophytes Fu-19菌液を接種し、それをサブロー寒天培地上に置いて10日間培養した。培養後、染色布をサブロー液体培地中で強力にボルテックスし、上清を希釈後サブロー寒天培地に塗抹・培養後、残存生菌数を計測した。
結果は、非染色布、GV染色布、GV+ CuCl2染色布の順に、1.2x106、3.5x102、5.0x101であった。何れにしても、GV単剤よりはGV+ CuCl2併用のほうが、7倍の、非染色布に対しては20,000倍殺真菌効果が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0021】
発明の除ウイルス剤と除真菌剤を含有する製品は、ウイルスと真菌の汚染防止、除ウイルスと除真菌を目的として幅広く使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性色素剤と金属を含有してなる除ウイルス剤又は除真菌剤。
【請求項2】
抗菌性色素剤がゲンチアナバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントブルー、エタクリジン、アゾ色素より選ばれた1種以上である請求項1の除ウイルス剤又は除真菌剤。
【請求項3】
金属がマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、クロム、鉛、銅、銀、白金、それらの塩及びそれらの錯体の1種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2の除ウイルス剤又は除真菌剤。
【請求項4】
懸濁液、ゲル状、ペースト状、粉状、固形又は液状である請求項1、2又は3の除ウイルス剤又は除真菌剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の除ウイルス剤又は除真菌剤で処理してなる物品。

【公開番号】特開2006−188499(P2006−188499A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352875(P2005−352875)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(501006952)
【Fターム(参考)】