説明

除湿空調装置

【課題】基本装置の構成部品点数を削減して、小型化・低コスト化を実現するとともに、除湿空調能力を維持しつつ省エネ運転が可能な除湿空調装置を提供する。
【解決手段】処理側流路14と、該処理側流路14の対向流を成すように再生用空気が送気される再生側流路16と、除湿ロータ30と、顕熱交換器32と、前記再生用空気を加熱する加熱手段42と、前記除湿ロータ及び顕熱交換器で処理された処理用空気の一部を、前記除湿ロータよりも上流側の前記処理側流路に循環させる循環流路44とを備えたことを特徴とする除湿空調装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿空調装置に係り、特に一般事務所ビルや病院設備などに供給する外気を除湿する除湿空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般事務所や病院設備などのビル設備では、ビル管理法により在室人員に応じて必要な外気の導入が行われる。セントラル方式の空調設備では、外気処理用空調機を設置し、必要な外気を冷却除湿して温調した後室内へ供給する。しかし、近年は省エネ法の改正などに伴いビル設備の消費エネルギーへの規制が強化されたこともあり、コージェネレーション設備など消費エネルギーを削減する取り組みが進んでいる。このコージェネレーションの効率向上のためには、発生する低レベル温熱を有効利用する必要があり、低温熱源を利用して外気を除湿する除湿空調装置が注目されている。
【0003】
しかし、この種の除湿空調装置では、コージェネレーション設備から得られる80℃程度の温水では、除湿性能が限られているため、夏期ピークの外気条件では室内に供給するのに十分な湿度まで除湿することが困難であった。
【0004】
この問題を解決するため、除湿ロータを複数用いて除湿・冷却を繰り返すことにより、除湿性能を高める除湿空調装置が、特許文献1に示されている。
【0005】
特許文献1に開示される除湿空調装置を、図7に示す。除湿空調装置内部に流通する空気は、除湿される空気である室内取込用外気と高温加熱されて水分放出に使用される再生用空気の2つに分かれている。装置は、2つの除湿ロータ(除湿ロータ1、除湿ロータ2)、2つの顕熱交換ロータ(顕熱交換ロータ3、顕熱交換ロータ4)および2つの加熱器(加熱器5、加熱器6)と蒸発式冷却器7、蒸発式冷却器8から構成される。
【0006】
室内取込用外気は送風手段により除湿ロータ2の処理領域を通過し一段目の除湿が行われた後、顕熱交換ロータ4で再生用空気と顕熱交換し冷却される。しかし、外気条件が夏期ピーク状態に近い場合には、1段目の除湿では不十分であるため、さらに除湿ロータ1、顕熱交換ロータ3を通過し、より低湿度の空気となって室内に給気される。
【0007】
一方、再生用空気は送風手段により顕熱交換ロータ3に導入され、室内取込用空気と顕熱交換した後、温水などのコージェネレーション設備から供給される低温熱源により加熱され、除湿ロータ1を再生領域に導入される。加熱された再生用空気は、除湿ロータ1を再生し、高除湿空気となって系外に排出される。顕熱交換ロータ4、除湿ロータ2でも同様に顕熱交換および再生が行われる。
【0008】
したがって、特許文献1に開示される除湿空調装置によれば、除湿装置を二段化して直列に接続することで、熱源が低温の場合でも、夏期外気を室内に供給可能な水分量まで除湿することが可能となる。
【特許文献1】特開2001−272055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示される従来の除湿空調装置の構成では、除湿ロータ及び顕熱交換ロータが複数台必要となり、機器製造のコストが増加するほか、機器寸法が大きくなり設置面積が必要となる問題点があった。また、構成機器が複数台となることで、室内空気を複数回加熱する必要があり、熱源の使用量自体が増加する懸念もあった。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上記の欠点を解消し、基本装置の構成部品点数を削減して、小型化・低コスト化を実現するとともに、除湿空調能力を維持しつつ省エネ運転が可能な除湿空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、室内に給気される処理用空気が処理側ファンによって送気される処理側流路と、該処理側流路の対向流を成すように再生用空気が再生側ファンによって送気される再生側流路と、前記処理側流路と前記再生側流路に跨って設けられ、回転することよって内部の除湿材が前記処理側流路で処理用空気に接触するとともに前記再生側流路で再生用空気に接触する除湿ロータと、前記処理側流路と前記再生側流路に跨って設けられ、前記除湿ロータで除湿された処理用空気と前記再生用空気との顕熱の交換を行う顕熱交換器と、前記除湿ロータと前記顕熱交換器の間の再生側流路に設けられ、前記再生用空気を加熱する加熱手段と、前記除湿ロータ及び顕熱交換器で処理された処理用空気の一部を、前記除湿ロータよりも上流側の前記処理側流路に循環させる循環流路とを備えたことを特徴とする除湿空調装置を提供する。
【0012】
請求項1の発明によれば、除湿ロータ及び顕熱交換器で処理された処理用空気の一部を、循環流路によって除湿ロータより上流側の処理側流路に戻すようにしたので、除湿ロータより上流側の処理用空気の湿度を低下させることができる。したがって、除湿ロータで除湿することによって、低湿度の処理用空気を製造することができる。
【0013】
また、請求項1の発明によれば、一台の除湿ロータと一台の顕熱交換器という単純な装置構成においても高い除湿性能を得ることができる。したがって、装置構成の部品点数を削減することができ、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は請求項1において、前記処理側流路から前記室内に給気される処理用空気の流量を制御する定流量ダンパと、前記循環流路に設けられ、該循環流路を流れる処理用空気の流量を制御する循環流量操作用ダンパと、前記顕熱交換器で処理された処理用空気の温湿度を測定する温湿度センサと、前記処理側ファンの回転数を制御する処理側インバータとを備え、前記温湿度センサの測定値と前記定流量ダンパの操作量に応じて、前記循環流量操作用ダンパ及び前記処理側インバータが操作されることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明によれば、温湿度センサの測定値に基づいて循環流量を調節するので、処理用空気を所望の温湿度に制御することができる。さらに、請求項2の発明によれば、定流量ダンパを設けるとともに、処理側インバータを操作するようにしたので、循環流量を調節した場合にも、室内に所定の流量の処理用空気を供給することができる。したがって、請求項2の発明によれば、所望の温湿度で所定流量の処理用空気を室内に供給することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は請求項2において、前記室内に供給される処理用空気の圧力を測定する圧力センサを備え、前記圧力センサの測定値に基づいて前記処理側インバータが制御されることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明によれば、室内に給気される処理用空気の圧力を測定して処理側インバータを制御し、処理用空気の送気量を調節するようにしたので、室内に所定流量の処理用空気を確実に給気することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれかにおいて、前記処理側流路は複数の流路に分割され、該複数の流路を流れる処理用空気がそれぞれ前記除湿ロータと前記顕熱交換器を通過するとともに、前記分割された流路の少なくとも一つの流路の出口部が、前記循環流路を介して、他の流路の入口部に接続されることを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明によれば、処理側流路が複数の流路に分割されるとともに、その一つの流路の出口部と他の流路の入口部とが循環流路で接続されているので、処理用空気は一つの流路を通過した後、該循環流路を介して他の流路を流れる。したがって、処理用空気の一部は除湿ロータと顕熱交換器に繰り返し供給されて処理される。よって、除湿性能を高めることができ、より低湿度の処理用空気を製造することができる。
【0020】
なお、循環流路は、除湿ロータの回転方向に対して下流側の流路の出口部と上流側の流路の入口部とを接続することが好ましい。これにより、下流側の流路で除湿された処理用空気が、除湿性能の高い上流側の流路に流れるので、上流側の流路における除湿性能をさらに高めることができ、より低湿度の処理用空気を製造することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれかにおいて、前記循環流路には、該循環流路を流れる処理用空気を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明によれば、循環流路を流れる処理用空気を冷却するようにしたので、除湿ロータに送気される処理側空気の温度を低下させることができる。したがって、除湿ロータにおける除湿性能をさらに高めることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は請求項1〜5のいずれかにおいて、前記再生側ファンの回転数を制御する再生側インバータを備え、該再生側インバータは前記処理側ファンの回転数に応じて制御されることを特徴とする。
【0024】
請求項6の発明によれば、処理用空気の風量に応じて再生用空気の風量が調節されるので、より省エネ運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る除湿空調装置によれば、除湿ロータと顕熱交換器の各1台を構成要素とする単純な装置構造においても高い除湿性能を有する除湿空調装置を提供することができる。
【0026】
また、本発明に係る除湿空調装置によれば、小型・低コストで高性能な除湿性能を実現し、さらに、出口状態をモニタリングして運転状態を変更することで、熱源使用量を低減した省エネ運転可能な除湿空調装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明に係る除湿空調装置の好ましい実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る除湿空調装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態に係る除湿空調装置10は、筐体12を有し、この筐体12内が、処理側流路14と再生側流路16に区分けされている。
【0030】
処理側流路14は、処理用空気を取り込んで室内空間(図示しない)に送風するための流路である。筐体12の両側面には、処理用空気取込口18と処理用空気出口20が形成され、筐体12内部の処理用空気取込口18の付近には、処理側ファン22が設けられている。この処理側ファン22により、処理側流路14に処理用空気取込口18から処理用の空気が送り込まれ、処理用空気出口20へ向けて流れるようになっている。
【0031】
再生側流路16は、再生用の空気を取り込んで排出する流路である。筐体12の両側面には、再生用空気取込口24と再生用空気出口26が形成され、筐体12内部の再生用空気出口26の付近には、再生側ファン28が設けられている。この再生側ファン28により、再生側流路16に再生用空気取込口24から再生用空気が送り込まれ、再生用空気出口26へ向けて流れるようになっている。なお、再生用の空気は、外気を用いてもよいし、室内からの排気を利用してもよい。
【0032】
筐体12の内部には、処理用空気取込口18及び再生用空気出口26に近い方から順番に、除湿ロータ30と顕熱交換器32が配置されている。
【0033】
除湿ロータ30は、円盤形状をしており、その側面部分(円盤面)が、処理側流路14及び再生側流路16を通過する空気の流れと直交するように配置されている。
【0034】
また、除湿ロータ30は、塩化リチウムやシリカゲル等の除湿剤を含浸させたハニカム状の不織布をロータ状に形成したものであり、図示しないモータに駆動されて回転する。
【0035】
さらに、除湿ロータ30は、処理側流路14及び再生側流路16の空気の流れと直交する向きに回転しながら、処理側流路14及び再生側流路16との間を移動して、処理側流路14において処理用空気取込口18から取り込まれた再生用空気と接触して、再生用空気を除湿する一方、再生側流路16において加熱された再生用空気と接触して加熱再生される。すなわち、除湿ロータ30は、処理側流路14において処理用空気を除湿する除湿領域34と、再生側流路16において加熱された再生用空気と接触して加熱再生される再生領域36を有している。
【0036】
一方、顕熱交換器32は、円盤形状をしており、その側面部分(円盤面)が、処理側流路14及び再生側流路16を通過する空気の流れと直交するように配置されている。
【0037】
また、顕熱交換器32は、アルミニウム等の金属材料をロータ状に形成したものであり、図示しないモータに駆動されて回転する。
【0038】
さらに、顕熱交換器32は、除湿ロータ30と同様に、処理側流路14と再生側流路16との間を回転しながら、再生側流路16において再生用空気と接触して、再生用空気から冷熱を回収する一方、その回収した冷熱を処理側流路14において、除湿された処理用空気に付与し、処理用空気と再生用空気との熱交換を行う。すなわち、顕熱交換器32は、再生側流路16と通過する再生用空気から冷熱を回収する放熱領域38と、処理側流路14において除湿された処理用空気と熱交換を行う冷却領域40を有している。
【0039】
除湿ロータ30と顕熱交換器32とで挟まれる再生側流路16の内部には、ヒータ(加熱手段)42が設けられており、このヒータ42によって、顕熱交換器32の放熱領域38を通過した再生用空気を所定の温度にまで加熱する。
【0040】
本実施の形態に係る除湿空調装置10には、循環流路44が設けられている。そして、この循環流路44の一方の端部は処理用空気取込口18に接続され、また、循環流路44の他方の端部は処理用空気出口20に接続されており、除湿ロータ30及び顕熱交換器32で処理された処理用空気の一部を除湿ロータ30よりも上流側の処理側流路14に再度送り込む。
【0041】
循環流路44には、循環流量操作用ダンパ46が設けられており、この循環流量操作用ダンパ46によって、循環流路44を流れる処理用空気の流量を制御することができる。
【0042】
処理側流路14内の顕熱交換器32と処理用空気出口20との間には、温湿度センサ48が設けられており、処理側流路14内で処理された処理用空気の温度及び湿度を検出する。
【0043】
処理用空気出口20と室内(図示しない)は、ライン49を介して連結されており、このライン49には、定流量ダンパ50が設けられている。この定流量ダンパ50は、室内に給気される処理用空気の空気量を所定の一定値に制御する。
【0044】
処理側ファン22には、処理側インバータ52が接続されており、この処理側インバータ52によって、処理側ファン22の回転数が制御される。
【0045】
処理側インバータ52には、温湿度センサ48及び定流量ダンパ50が電気的に接続されており、この処理側インバータ52によって、温湿度センサ48の検出結果と定流量ダンパの操作量に応じて、処理側ファン22の回転数が制御される。
【0046】
また、循環流量操作用ダンパ46には、温湿度センサ48及び定流量ダンパ50が電気的に接続されており、温湿度センサ48の検出結果と定流量ダンパの操作量に応じて、循環流量操作用ダンパ46の開度が調整される。
【0047】
次に、本実施の形態に係る除湿空調装置を用いて、室内空間の除湿を行う場合について説明する。
【0048】
処理側流路14では、処理側ファン22を駆動させることによって、処理用空気取込口18から処理用空気が処理側流路14送り込まれる。処理用空気取込口18から取り込まれた空気は、除湿ロータ30の除湿領域34を通過することにより、該空気中に含まれる水分が除湿ロータ30内の除湿材に吸着される。吸着される際に発生する吸着熱により除湿処理された空気が加熱され、顕熱交換器32の冷却領域において顕熱の交換を行うことにより冷却されて処理用空気出口20から室内に給気される。
【0049】
一方、再生側流路16においては、再生側ファン28を駆動させることによって、再生用空気取込口24から再生用空気が再生側流路16に送り込まれる。再生側流路16へ取り込まれた再生用空気は、顕熱交換器32の放熱領域38を通過することにより、顕熱交換器32において顕熱の交換を行うことにより加熱され、ヒータ42において除湿ロータ30の再生領域36の湿分を除去するのに必要な温度まで加熱されて除湿ロータ30を通過する。除湿ロータ30は回転しているので、除湿ロータ30内の除湿材が処理側流路14と再生側流路16とを循環しており、再生側流路16で加熱された再生用空気によって、処理側流路14において除湿材に吸着した水分が除去されて除湿材が再生される。その際に生じる気化熱により、再生用空気が冷却されて再生用空気出口26から室外へと排出される。
【0050】
ところで本実施の形態では、除湿ロータ30及び顕熱交換器32で処理された処理用空気の一部を、循環流路44によって除湿ロータ30より上流側の処理側流路14に再び送り込むようにしている。したがって、除湿ロータ30より上流側の処理用空気の湿度を低下させることができ、除湿ロータ30で除湿することによって、低湿度の空気を製造することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、一台の除湿ロータ30と一台の顕熱交換器32という単純な装置構成においても高い除湿性能を得ることができる。したがって、装置構成の部品点数を削減することができ、装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0052】
さらに、本実施の形態によれば、温湿度センサ48の測定値に基づいて循環流量を調節するので、処理用空気を所望の温湿度に制御することができる。そして、定流量ダンパ50を設けるとともに、処理側ファン22の処理側インバータ52を操作するようにしたので、循環流量を調節した場合にも、室内に所定の流用の処理用空気を給気することができる。この結果、所望の温湿度で所定流量の処理用空気を室内に供給することができる。
【0053】
次に、本発明に係る除湿空調装置の第2の実施形態について説明する。なお、上記実施の形態と共通する部分については同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0054】
図2に示す第2の実施形態の除湿空調装置10Aは、図1に示した第1の実施形態と比べて、処理側流路14で処理された空気が室内空間に至る流路において、定流量ダンパ50と処理側流路14の間に圧力センサ54が設けられている点で異なっている。この圧力センサ54は、処理側インバータ52と電気的に接続されている。そして、この処理側インバータ52は、圧力センサ54の検出結果に基づき、処理側ファン22の回転数を制御して、処理側流路14に送り込まれる処理用空気の流入量を制御する。
【0055】
本実施の形態に係る除湿空調装置10Aによれば、室内に給気される処理用空気の圧力を測定して処理側ファン22の処理側インバータ52を制御し、処理用空気の送気量を調節するようにしたので、室内に所定流量の処理用空気を確実に給気することができる。
【0056】
図3に示す第3の実施形態の除湿空調装置10Bは、図1に示した第1の実施形態と比べて、循環流路44Bの途中に冷却手段56が設けられている点で異なっている。この冷却手段56は、循環流路44Bを流れる処理用空気を冷却する。
【0057】
本実施の形態に係る除湿空調装置10Bによれば、循環流路44Bを流れ再び処理側流路14に送り込まれる処理用空気の温度を低下させることができるので、除湿ロータ30における除湿性能をさらに高めることができる。したがって、除湿空調能力を維持しながら省エネ運転を行うことができる。
【0058】
図4に示す第4の実施形態の除湿空調装置10Cは、図1に示した第1の実施形態と比べて、第1の実施形態に係る処理側流路14が、高湿度用処理側流路14Aと低湿度用処理側流路14Bに分割され、さらに、高湿度用処理側流路14Aの出口部が、循環流路44Cを介して、低湿度用処理側流路14Bの入口部に接続されている点が異なっている。なお、高湿度用処理側流路14Aは、除湿ロータ30の回転方向に対して、低湿度用処理側流路14Bより下流側に設けられる。
【0059】
また、除湿ロータ30Cは、高湿度用処理側流路14Aを流れる処理用空気が通過する高湿度用空気除湿領域34A及び、低湿度用処理側流路14Bを流れる処理用空気が通過する低湿度用空気除湿領域34Bを有している。
【0060】
さらに、顕熱交換器32Cは、高湿度用処理側流路14Aを流れる再生用空気が通過する高湿度用空気冷却領域40A及び、低湿度用処理側流路14Bを流れる再生用空気が通過する低湿度用空気冷却領域40Bを有している。
【0061】
本実施の形態に係る除湿空調装置10Cによれば、処理側流路14が高湿度用処理側流路14Aと低湿度用処理側流路14Bに分割されるとともに、高湿度用処理側流路14Aの出口部と低湿度用処理側流路14Bの入口部とが循環流路44Cを介して接続されているので、処理用空気は高湿度用処理側流路14Aを通過した後、循環流路44Cを介して低湿度用処理側流路14Bを流れる。したがって、処理用空気の一部は、除湿ロータ30Cと顕熱交換器32Cに二度供給されて処理される。この結果、除湿性能を高めることができ、より低湿度の処理用空気を製造することができる。
【0062】
図5に示す第5の実施形態の除湿空調装置10Dは、図4に示した第4の実施形態と比べて、循環流量44Dの途中に冷却手段56Dが設けられている点で異なっている。
【0063】
本実施の形態に係る除湿空調装置10Dによれば、循環流路44Dを流れ低湿度用処理側流路14Bに送り込まれる処理用空気の温度を低下させることができるので、除湿空調装置自体の除湿性能をさらに向上させることができる。これにより、除湿ロータ30Dにおける除湿性能をさらに高めることができるので、除湿空調能力を維持しながら省エネ運転を行うことができる。
【0064】
図6に示す第6の実施形態の除湿空調装置10Eは、図4に示した第4の実施形態と比べて、排気側インバータ58が設けられている点で異なっている。排気側インバータ58は、処理側インバータ52と電気的に接続されており、処理側ファン22の回転数に応じて再生側ファン28の回転数を制御する。
【0065】
本実施の形態に係る除湿空調装置10Eによれば、処理用空気の風量に応じて再生用空気の風量が調整されるので、除湿空調能力を維持しながらさらなる省エネ運転を行うことができる。
【0066】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
【0067】
例えば、上記実施の形態においては、処理側流路を高湿度用処理側流路と低湿度用処理側流路に分割し、高湿度用処理側流路の出口部と低湿度用処理側流路の入口部を、循環流路を介して接続する例を説明したが、本発明はこれに限られず、処理側流路を二以上の複数の流路に分割し、分割された複数の流路の少なくとも一つの流路の出口部が、循環流路を介して、他の流路の入口部に接続されるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る除湿空調装置の第1の実施形態を示す概略構成図
【図2】本発明に係る除湿空調装置の第2の実施形態を示す概略構成図
【図3】本発明に係る除湿空調装置の第3の実施形態を示す概略構成図
【図4】本発明に係る除湿空調装置の第4の実施形態を示す概略構成図
【図5】本発明に係る除湿空調装置の第5の実施形態を示す概略構成図
【図6】本発明に係る除湿空調装置の第6の実施形態を示す概略構成図
【図7】従来技術における除湿空調装置を示す概略構成図
【符号の説明】
【0069】
10…除湿空調装置、12…筐体、14…処理側流路、16…再生側流路、18…処理用空気取込口、20…処理用空気出口、22…処理側ファン、24…再生用空気取込口、26…再生用空気出口、28…再生側ファン、30…除湿ロータ、32…顕熱交換器、34…除湿領域、36…再生領域、38…放熱領域、40…冷却領域、42…加熱手段、44…循環流路、46…循環流量操作用ダンパ、48…温湿度センサ、50…定流量ダンパ、52…処理側インバータ、54…圧力センサ、56…冷却手段、58…再生側インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に給気される処理用空気が処理側ファンによって送気される処理側流路と、
該処理側流路の対向流を成すように再生用空気が再生側ファンによって送気される再生側流路と、
前記処理側流路と前記再生側流路に跨って設けられ、回転することよって内部の除湿材が前記処理側流路で処理用空気に接触するとともに前記再生側流路で再生用空気に接触する除湿ロータと、
前記処理側流路と前記再生側流路に跨って設けられ、前記除湿ロータで除湿された処理用空気と前記再生用空気との顕熱の交換を行う顕熱交換器と、
前記除湿ロータと前記顕熱交換器の間の再生側流路に設けられ、前記再生用空気を加熱する加熱手段と、
前記除湿ロータ及び顕熱交換器で処理された処理用空気の一部を、前記除湿ロータよりも上流側の前記処理側流路に循環させる循環流路と、
を備えたことを特徴とする除湿空調装置。
【請求項2】
前記処理側流路から前記室内に給気される処理用空気の流量を制御する定流量ダンパと、
前記循環流路に設けられ、該循環流路を流れる処理用空気の流量を制御する循環流量操作用ダンパと、
前記顕熱交換器で処理された処理用空気の温湿度を測定する温湿度センサと、
前記処理側ファンの回転数を制御する処理側インバータと、を備え、
前記温湿度センサの測定値と前記定流量ダンパの操作量に応じて、前記循環流量操作用ダンパ及び前記処理側インバータが操作されることを特徴とする請求項1に記載の除湿空調装置。
【請求項3】
前記室内に供給される処理用空気の圧力を測定する圧力センサを備え、
前記圧力センサの測定値に基づいて前記処理側インバータが制御されることを特徴とする請求項2に記載の除湿空調装置。
【請求項4】
前記処理側流路は複数の流路に分割され、該複数の流路を流れる処理用空気がそれぞれ前記除湿ロータと前記顕熱交換器を通過するとともに、
前記分割された流路の少なくとも一つの流路の出口部が、前記循環流路を介して、他の流路の入口部に接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の除湿空調装置。
【請求項5】
前記循環流路には、該循環流路を流れる処理用空気を冷却する冷却手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の除湿空調装置。
【請求項6】
前記再生側ファンの回転数を制御する再生側インバータを備え、
該再生側インバータは前記処理側ファンの回転数に応じて制御されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の除湿空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−116086(P2008−116086A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298009(P2006−298009)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】