説明

集積物品のケース投入装置

【課題】 簡素な構成により、薄板状物品をスムースにケースに投入すること。
【解決手段】 集積物品のケース投入装置100であって、把持装置40により把持されて集積された複数の薄板状物品1をケース2に投入するに際し、ケース2の投入部2Cを拡開する拡開ガイド43(拡開手段)を該把持装置40に備えるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積物品のケース投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枕状包装袋等の薄板状物品のケース投入装置として、特許文献1に記載の如く、チャックとじょうご状ガイドを用いるものがある。複数の薄板状物品を把持して集積することにより、複数のチャックのそれぞれにより各薄板状物品を把持し、更に各チャックのX方向ピッチとY方向ピッチを狭くしてそれら薄板状物品を集積方向に幅寄せするものである。また、幅寄せされた薄板状物品をじょうご状ガイドによりケースの投入口に案内して投入するものである。
【特許文献1】特開2000-272605
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のチャックを用いるケース投入装置は、じょうご状ガイドを必要とするものであり、ケースの投入口にじょうご状ガイドを位置付けるスペースと時間と機構が必要になり、構造が複雑になり、生産性も低下する。
【0004】
本発明の課題は、簡素な構成により、薄板状物品をスムースにケースに投入することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、把持装置により把持されて集積された複数の薄板状物品をケースに投入するに際し、ケースの投入部を拡開する拡開手段を該把持装置に備える集積物品のケース投入装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ケース投入装置100は、図1〜図4に示す如くに構成され、集積装置101により集積された複数の薄板状物品たる枕状包装袋1を一定の集積単位枚数分、例えば8個分ずつケース2に投入するものである。枕状包装袋1は、例えば合掌貼りの平袋(図13(A))、封筒貼りの平袋(図13(B))であり、正面視の上下、中央のそれぞれに上シール部1A、下シール部1B、正面シール部1Cを備え、それらのシール部1A〜1Cを接着硬化により硬質とし、上シール部1Aの下部に位置する両側縁部1D、1D(図3)を軟質にしている。枕状包装袋1は、硬質な物品、軟質な物品、液体製品等の包装に用いられるが、特に軟質な物品を包装している際は、枕状包装袋1が柔軟で、扱いが粗雑であると破損しやすい。軟質な物品の例として、ガム等の食品、携帯用ティッシュペーパー、ウェットシート等のシート製品、布製や不織布製のマスク、また、液体調味料、接着剤等の液体製品等が挙げられる。また、硬質な物品を包装している際も包装時の袋内の空間容積が大きいときは、枕状包装袋1は容易に変形し易く、柔軟な状態にあると言える。ケース2は、例えば段ボール箱からなり、側板2A、中仕切板2Bにより複数に区画された袋投入部2Cを備える。
【0007】
尚、ケース投入装置100は、ガセット袋(図13(C))、四方シール袋(図13(D))の如くの薄板状物品をケース2に投入することもできる。
【0008】
ケース投入装置100の集積装置101は、袋搬入装置10、袋供給装置20、移動装置30、把持装置40を有する。
【0009】
袋搬入装置10は、ベルトコンベヤ11からなり、複数の枕状包装袋1をそれらの正面又は背面がコンベヤ面に載置される縦列状態で連続的に搬入する。
【0010】
袋供給装置20は、サーボモータにより間欠(連続でも可)駆動されるフィン付コンベヤ21からなる。フィン付コンベヤ21は、袋搬入装置10から順に搬入される複数の枕状包装袋1のそれぞれを、相隣るフィン22、22の間に順に受入れて前進し、それら枕状包装袋1を一定の集積単位枚数分、例えば8個分互いに並立させて(フィン付コンベヤ21の周回軌跡のうちの上面側で起立するフィン22、22の間で枕状包装袋1も起立する)、フィン付コンベヤ21の上方の把持装置40に供給する。尚、袋搬入装置10のベルトコンベヤ11から袋供給装置20のフィン付コンベヤ21への袋受け渡し領域に、袋検出センサ付シュート12(不図示)を設置し、1個の枕状包装袋1がベルトコンベヤ11からフィン付コンベヤ21のフィン22、22の間に送り込まれたことをシュート12の袋検出センサが検出する度に、フィン付コンベヤ21を1ピッチ前進させることができる。
【0011】
移動装置30は、ロボット31からなる。ロボット31に把持装置40を吊下げ支持し、把持装置40をX軸、Y軸、Z軸(鉛直軸)の直交3方向に直線移動させるとともに、Z軸まわりに回転させる。移動装置30は、袋供給装置20のフィン付コンベヤ21の上方の原位置に配置されている把持装置40を、フィン付コンベヤ21の側に近づけるようにZ軸方向に下降させ、かつフィン付コンベヤ21の前進(X軸方向)に応じてX軸方向に移動させる。また、移動装置30は、フィン付コンベヤ21により並立された複数の枕状包装袋1を把持した把持装置40を、フィン付コンベヤ21の側からZ軸方向に上昇させ、更にケース2への投入位置の上方に位置付けるようにY軸方向に移動させ、かつ90度回転させてから、ケース2への投入位置に位置付けるようにZ軸方向に下降させる。そして、移動装置30は、複数の枕状包装袋1をケース2に投入した把持装置40を、ケース2への投入位置からZ軸方向に上昇させ、90度反転させながら、X軸及びY軸方向に移動させて原位置に戻す。
【0012】
把持装置40は、原位置においてY軸方向で相対する把持バー41、41と、この把持バー41、41を開閉(接近、離隔)させるバー開閉エアシリンダ42、42を備える。把持バー41は、エアシリンダ42のピストンロッド先端の取付板42Aに着脱可能に取付けられる。相対する把持バー41、41は、エアシリンダ42を全開ストロークから全閉ストロークに作動させることにより、全開位置から全閉位置に閉じられ、枕状包装袋1の正面視で硬質上シール部1Aの下部に位置する、軟質の両側縁部1D、1Dを側方から押し込み、硬質上シール部1Aの直下にて把持する。把持バー41は長尺バーからなり、一定の集積単位枚数分、例えば8個の枕状包装袋1を互いに並立させた状態で一度に押し込み把持する。尚、エアシリンダ42は、把持バー41を全閉位置から開いて枕状包装袋1の把持を解除し、枕状包装袋1をケース2に投入するとき、中間ストロークに停止して後述する拡開ガイド43を一定の拡開位置に位置付ける。
【0013】
把持装置40は、相対する把持バー41、41のそれぞれの下方に相対する拡開ガイド43、43を備える。相対する把持バー41、41により把持されて集積された複数の枕状包装袋1をケース2に投入するに際し、相対する拡開ガイド43、43は一定の拡開位置に位置付けられ、ケース2の袋投入部2Cの投入幅を形成する側板2A、中仕切板2Bを外方に開いて拡開する。拡開ガイド43は、エアシリンダ42の取付板42Aに着脱可能に取付けられ、前述の如くエアシリンダ42を中間ストロークに停止させることにて一定の拡開位置に位置付けられる。
【0014】
把持装置40は、原位置においてX軸方向で相対する幅寄せ具44、44と、この幅寄せ具44、44を開閉(接近、離隔)させる幅寄せエアシリンダ45、45を備える。幅寄せ具44は、エアシリンダ45のピストンロッド先端の取付板45Aに着脱可能に取付けられる。相対する幅寄せ具44、44は、エアシリンダ45を全開ストロークから全閉ストロークに作動させることにより、全開位置から全閉位置に閉じられ、複数の枕状包装袋1を正面から集積方向に押さえて幅寄せする。尚、エアシリンダ45は、幅寄せ具44を全閉位置から開いて枕状包装袋1の幅寄せを解除し、枕状包装袋1をケース2に投入するとき、中間ストロークに停止して相対する幅寄せ具44、44により枕状包装袋1をケース2に投入ガイドできるようにそれら幅寄せ具44を一定の投入ガイド位置に位置付ける。
【0015】
ケース投入装置100の集積装置101は、把持装置40により上述の如くに把持され、幅寄せ具44により幅寄せされた複数の枕状包装袋1をケース2に投入可能にする。具体的には、以下の手順による。
【0016】
(1)第1工程(図5)
複数の枕状包装袋1を袋搬入装置10のベルトコンベヤ11により順に搬入し、それら枕状包装袋1をシュート12から袋供給装置20に受け渡す。袋供給装置20は、フィン付コンベヤ21の相隣るフィン22、22の間にそれら枕状包装袋1を順に受け入れて前進し、それら枕状包装袋1を互いに並立させ、フィン付コンベヤ21の上方の把持装置40に供給する。
【0017】
(2)第2工程(図6)
上述(1)において、シュート12の袋検出センサが1個の枕状包装袋1を検出する度にフィン付コンベヤ21を1ピッチ前進させる。そして、シュート12が一定の積層単位枚数分A(図6)たる例えば8個分の枕状包装袋1を連続して検出カウントしたら、相隣るフィン22、22の間に枕状包装袋1を入れない空所B(図6)を1ピッチ設けることを繰り返す。
【0018】
(3)第3工程(図7)
移動装置30により、袋供給装置20のフィン付コンベヤ21の上方の原位置に配置されている把持装置40を、フィン付コンベヤ21の側に近づけるようにZ軸方向に下降させ、かつフィン付コンベヤ21の前進(X軸方向)に応じてX軸方向に同期させながら移動する。把持装置40はフィン付コンベヤ21と完全に同期する必要はなく、フィン付コンベヤ21が1ピッチ前進するに応じて把持装置40も同方向に同距離移動させれば足りる。
【0019】
(4)第4工程(図8)
把持装置40のバー開閉エアシリンダ42を全開ストロークから全閉ストロークに作動させることにより、相対する把持バー41、41を全開位置から全閉位置に閉じ、フィン付コンベヤ21の相隣るフィン22、22の間に受け入れられて一定の集積単位枚数をなすように互いに並立している例えば全8個の枕状包装袋1の両側縁部1D、1Dを側方から一度に押し込み把持する(図3)。全閉位置に設定された把持バー41、41の間隔は枕状包装袋1の上シール部1Aの全長より短く、それらの把持バー41、41により全8個の枕状包装袋1のそれら硬質の上シール部1Aを引掛け保持する。
【0020】
(5)第5工程(図9)
一定の集積単位枚数例えば全8個の枕状包装袋1を把持した把持装置40を、移動装置30により、フィン付コンベヤ21の側からZ軸方向に上昇させる。
【0021】
(6)第6工程(図10)
把持装置40の幅寄せエアシリンダ45を全開ストロークから全閉ストロークに作動させることにより、相対する幅寄せ具44、44を全開位置から全閉位置に閉じ、一定の集積単位枚数例えば全8個の枕状包装袋1を正面から集積方向に押さえて幅寄せする。
【0022】
(7)第7工程(図11)
一定の集積単位枚数例えば全8個の枕状包装袋1を把持バー41により把持し、かつ幅寄せ具44により幅寄せした把持装置40を、移動装置30により、ケース2への投入位置の上方に位置付けるようにY軸方向に移動させ、かつ90度回転させてから、ケース2への投入位置に位置付けるようにZ軸方向に下降させる。把持装置40のバー開閉エアシリンダ42を全閉ストロークから中間ストロークにまで開いて停止し、相対する把持バー41、41による枕状包装袋1の把持を解除し、かつ相対する把持バー41、41の下方にて相対する拡開ガイド43、43を一定の拡開位置に位置付けて、ケース2の袋投入部2Cの投入幅を形成する側板2A、中仕切板2Bを外方に開いて拡開し、一定の集積単位枚数例えば全8個の枕状包装袋1をケース2の袋投入部2Cに投入する(図4)。このとき、把持装置40の幅寄せエアシリンダ45を全閉ストロークから中間ストロークにまで開いて停止し、相対する幅寄せ具44、44の幅寄せを解除するとともに、それら幅寄せ具44、44を一定の投入ガイド位置に位置付け、それら幅寄せ具44、44によりそれらの枕状包装袋1をケース2の袋投入部2Cに投入ガイドする。
【0023】
尚、中仕切板2Bに区切られ隣接する領域に、既に集積単位枚数の枕状包装袋1が投入済みの場合は、投入済の枕状包装袋1が変形していることにより中仕切板2Bの位置が所定位置より大きくずれていることもある。そのような場合には、拡開ガイド43、43がより効果的に作用する(図4)。
【0024】
また、ここで説明した把持装置40の90度回転しての投入は、ケース2への投入方法の一例にすぎない。投入位置、回数、角度等は、ケース2への枕状包装袋1の個数、列数、向き等の定められた仕様に基づき任意に設定される。
【0025】
その後、把持装置40のバー開閉エアシリンダ42、幅寄せエアシリンダ45を全開ストロークに戻し、相対する把持バー41、41(拡開ガイド43、43)を全開位置に戻し、相対する幅寄せ具44、44を全開位置に戻す。
【0026】
(8)第8工程(図12)
一定の集積単位枚数例えば全8個の枕状包装袋1をケース2の袋投入部2Cに投入した把持装置40を、移動装置30により、ケース2への投入位置からZ軸方向に上昇させ、90度反転させながら、X軸及びY軸方向に移動させて原位置に戻す。
【0027】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(請求項1)
(a)ケース投入装置100が把持装置40により把持されて集積された複数の枕状包装袋1をケース2に投入するに際し、ケース2の袋投入部2Cを拡開する拡開ガイド43(拡開手段)を該把持装置40に備えるようにした。従って、把持装置40により複数の枕状包装袋1をケース2に投入するに際し、把持装置40に備えてある拡開ガイド43を簡易にケース2の袋投入部2Cに位置付けることができ、簡素な構成により、枕状包装袋1を拡開されたケース2の袋投入部2Cに案内して投入できる。また、拡開ガイド43により、枕状包装袋1を傷めることなくスムースにケース2に投入できる。
【0028】
(請求項2)
(b)ケース投入装置100が複数の枕状包装袋1を集積方向に押さえて幅寄せする幅寄せ具44(幅寄せ手段)を備える。複数の枕状包装袋1の幅寄せ間隔を小さくし、それら枕状包装袋1を高い集積密度でケース2に投入できる。
【0029】
(請求項3、4)
(c)枕状包装袋1の如くの柔軟体からなる薄板状物品を上述(a)、(b)によりスムースにケース2に投入できる。柔軟体である薄板状物品としては、ゴムシート、ウレタンシート、スポンジシート、ウェットシート集積体等、枕状包装体となっている物品が挙げられる。
【0030】
(請求項5)
(d)ケース投入装置100が袋供給装置20を用いることにより、袋供給装置20が複数の順に搬入される枕状包装袋1を順に受け入れて前進し、それら枕状包装袋1を互いに並立させて把持装置40に供給することができる。
【0031】
(請求項6)
(e)ケース投入装置100が把持装置40を袋供給装置20の前進に応じて移動可能にすることにより、袋供給装置20に先行して並立させた一定の集積単位枚数、例えば全8個の枕状包装袋1を把持装置40により把持作業すると同時に、新たに後続して搬入される枕状包装袋1を袋供給装置20に順に受け入れでき、ケース投入装置100の生産性を向上できる。
【0032】
(請求項7)
(f)ケース投入装置100が把持装置40の把持バー41により把持され、幅寄せ具44により幅寄せされた一定の集積単位枚数、例えば全8個の枕状包装袋1をケース2に投入することにより、一定の集積単位枚数、例えば全8個の枕状包装袋1をケース2内に高密度で集積できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1はケース投入装置を示す側面図である。
【図2】図2は集積装置を示す斜視図である。
【図3】図3は把持装置による把持状態を示す正面図である。
【図4】図4は把持装置の把持解除状態を示す正面図である。
【図5】図5はケース投入装置の第1工程を示す斜視図である。
【図6】図6はケース投入装置の第2工程を示す斜視図である。
【図7】図7はケース投入装置の第3工程を示す斜視図である。
【図8】図8はケース投入装置の第4工程を示す斜視図である。
【図9】図9はケース投入装置の第5工程を示す斜視図である。
【図10】図10はケース投入装置の第6工程を示す斜視図である。
【図11】図11はケース投入装置の第7工程を示す斜視図である。
【図12】図12はケース投入装置の第8工程を示す斜視図である。
【図13】図13は袋を示す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 枕状包装袋(薄板状物品)
2 ケース
2C 袋投入部
10 袋搬入装置
20 袋供給装置
30 移動装置
40 把持装置
43 拡開ガイド(拡開手段)
44 幅寄せ具(幅寄せ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持装置により把持されて集積された複数の薄板状物品をケースに投入するに際し、ケースの投入部を拡開する拡開手段を該把持装置に備える集積物品のケース投入装置。
【請求項2】
複数の薄板状物品を集積方向に押さえて幅寄せする幅寄せ手段を備える請求項1に記載の集積物品のケース投入装置。
【請求項3】
薄板状物品が柔軟体である請求項1又は2に記載の集積物品のケース投入装置。
【請求項4】
薄板状物品が枕状包装袋である請求項3に記載の集積物品のケース投入装置。
【請求項5】
複数の順に搬入される薄板状物品を順に受け入れて前進し、それら薄板状物品を互いに並立させて把持装置に供給する物品供給装置を有する請求項1〜4のいずれかに記載の集積物品のケース投入装置。
【請求項6】
把持装置を物品供給装置の前進に応じて移動可能にする請求項5に記載の集積物品のケース投入装置。
【請求項7】
把持装置により把持され、幅寄せ手段により幅寄せされた複数の薄板状物品をケースに投入可能にする請求項1〜6のいずれかに記載の集積物品のケース投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−230662(P2008−230662A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73364(P2007−73364)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】