説明

難燃性ブロモベンジル系

ブロモメチルもしくはブロモメチレン基を含有するポリ臭化ビスアリール化合物、ならびにこの化合物を含んでなる難燃性ポリマー配合物が提供される。この新規化合物は、すぐれた熱安定性を示し、熱可塑性ポリスチレンフォームを難燃化するのに特に適している。ポリ臭化ビスアリール化合物の製造方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロモメチル基もしくはブロモメチレン基を有する新規ポリ臭化ビスアリール化合物を取り込むことによって、スチレン重合体、特に熱可塑性ポリスチレンフォームに、難燃性を付与することに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ポリスチレンは、多くの分野、特に建築業、建設業、および包装産業において、ますます広範に使用されている。多くの場合、上記製品に難燃剤を加えることによって、製品の燃焼性を低下させることが求められている。
【0003】
発泡ポリスチレン業界では、臭素化した脂肪族を使用することが一般的であり、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が、発泡スチレンポリマーにもっともよく用いられる難燃剤である。臭素化された有機難燃剤の気相作用方式は、ポリマーの熱安定性との関連で、難燃剤の熱安定性に大いに依存する。熱安定性がポリマーに近い難燃剤を有することが望ましい。主としてこうしたことが、気泡および発泡ポリマー材料に難燃性を付与する際の、臭素化脂肪族、なかでもHBCD、の高い有効性を説明する。
【0004】
発泡ポリスチレン、特に押出発泡ポリスチレン(XPS)の製造法は、HBCDの熱安定性が比較的低いためと、ならびにHBCD中の典型的な不純物の一部が原因となって、HBCDの品質に非常に影響されやすい。発泡ポリスチレンのために選択される難燃剤は、すぐれた熱安定性を有することがきわめて重要である。ポリスチレンの加工/発泡中にHBCDの熱分解の結果として生じる臭化水素は、発泡ポリマー製品の物理的特性に悪影響を及ぼすことがある。加えて、生成したHBrは、加工中に加熱混合物と接触する金属製装置の腐蝕を引き起こす可能性がある。さらに、業界は加工の生産性を高めるために、運転温度を上げることを目指している。こうした望ましくない早期の分解を抑制し、性能を最適化して、より高温で、より長期間にわたるHBCDの加工を可能にするために、HBCDは通常、さまざまな有機金属およびエポキシ化合物の添加によって安定化される必要がある。
【0005】
上記の観点から、発泡ポリスチレンの製造中、ならびにその加工およびスクラップ再利用の際に、HBCDおよび他の既知の臭素含有脂肪族化合物のいずれよりも熱に安定であるが、発泡ポリスチレンのために効果的な難燃剤となる、臭素含有化合物に対するニーズがあると思われる。
【0006】
DowのWO 91/19758(特許文献1)は、HBCDの限定された難燃性を記述し、脂肪族臭素化合物、特にHBCD、および芳香族臭素化合物、たとえばデカブロモジフェニルエーテルの混合物をポリスチレンフォーム用の難燃剤として使用することを記載する。別のDowの特許である米国特許第6,579,911号(特許文献2)は、HBCDの難燃有効性を向上させるため、HBCD、リン化合物、および流動促進剤の使用を記載する。この特許は、典型的には臭素化された脂肪族化合物だけがスチレンベースのフォームとともに利用され、HBCDがもっとも一般的であることを強調している。
【0007】
米国特許第2005/0043464号(特許文献3)は、ロストフォームアルミニウム鋳造における、発泡ポリスチレン成形型の製造工程において、ポリスチレンビーズの添加物として使用される、臭素化された芳香族化合物の典型的な使用を記載する。臭素化化合物は、臭素ラジカルの遊離によってポリスチレンの解重合を促進し、それによって液体ポリスチレンの粘性が低下する。
【0008】
米国特許第5,639,799号(特許文献4)および同第5,717,001号(特許文献5)は、スチレンポリマーフォーム組成物に使用するHBCDの熱安定性を改善する方法を記載する。
【特許文献1】WO 91/19758
【特許文献2】米国特許第6,579,911号
【特許文献3】米国特許第2005/0043464号
【特許文献4】米国特許第5,639,799号
【特許文献5】米国特許第5,717,001号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、特に発泡ポリスチレンに混入されるときに、すぐれた熱安定性および有効な難燃性を併せ持つ、新規の臭素含有難燃剤を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、発泡ポリスチレンの製造および加工のいずれにおいても、脱臭化水素に対抗して、適当な熱安定性を有する、こうした難燃剤を提供することである。
【0011】
さらにもう一つの本発明の目的は、上記の臭素含有難燃剤を含有する、難燃性発泡ポリスチレン配合物を提供することである。
【0012】
さらに別の本発明の目的は、ポリマー材料、特に発泡ポリスチレン中の難燃剤としての、本発明の新規化合物およびその混合物の使用を提供することである。
【0013】
本発明は、発泡ポリスチレンの製造および加工のいずれの際にも、脱臭化水素に対抗して、熱に安定である一方で、非常に申し分のない難燃性を発泡ポリスチレンに付与することができる、ブロモメチルもしくはブロモメチレン基を有する新規ポリ臭化ビスアリール化合物を提供する。本発明はさらに、すぐれた難燃性を示す、前記の新規ポリ臭化ビスアリール・ブロモメチル/ブロモメチレン化合物、およびそれらの混合物を含有する発泡ポリスチレン組成物を提供する。
【0014】
本発明の他の目的および利点(効果)は、説明の進行にしたがって明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
本発明は、ブロモメチルもしくはブロモメチレン基を含んでなる、下記の式(I)の新規ポリ臭化ビスアリール化合物を提供する:
【化1】

【0016】
(式中、a) Zは、結合、-O-、-CH2-、-CH(CH3)-、-OCH2CH2O-であり、m = 1〜4、n= 1〜4、p = 1〜4、およびq = 1〜4である;または、b) Zは-CH(Br)-CH(Br)-であり、n=1〜4、p = 1〜4、m=0、およびq = 0である。)
本発明の好ましい式(I)の化合物は、式A-Fからなる下記の群から選択される式を有する。
【0017】
A.
【化2】

【0018】
B.
【化3】

【0019】
C.
【化4】

【0020】
D.
【化5】

【0021】
(式中、X1、X2、X3、およびX4 は独立して、HまたはBrであるが、それらのうち少なくとも1つはBrである。);
E.
【化6】

【0022】
F.
【化7】

【0023】
本発明はまた、前記新規化合物を、対応するビスアリール化合物の臭素化によって製造する方法を提供する。
【0024】
本発明のポリ臭化ビスアリール化合物は、すぐれた熱安定性を有し、スチレン含有ポリマー、好ましくはポリスチレン、もっとも好ましくは発泡ポリスチレン中の難燃剤として有用である。本発明はさらに、前記新規ポリ臭化ビスアリール化合物、ならびにそれらの混合物を難燃剤として含んでなる、難燃化発泡ポリスチレン組成物を提供する。
【0025】
上記の、および他の、本発明の特徴および利点はすべて、以下の例示となるが制限的でない、好ましい実施形態の詳細な説明によって、さらによく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の目的は、ブロモメチルもしくはブロモメチレン基を有する新規ポリ臭化ビスアリール化合物群を提供することである。本発明の式A-Fの新規化合物の製造は、芳香環の臭素化、ならびに、式Fの化合物以外は、ブロモメチル基を生じるためのラジカル臭素化を含んでなる。式Fの化合物のブロモメチル基は、スチルベンの二重結合への臭素付加反応の結果として得られる。
【0027】
芳香環臭素化
芳香環臭素化は、適当な有機溶媒中で、または溶媒としての臭素中で行われる。炭素間不飽和のない、1-6個の炭素原子からなるハロゲン化低級アルカンが上記の目的に適している。具体的な有用溶媒には、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、ジブロモメタンおよびブロモクロロメタン、またはそれらの混合物がある。好ましくは、溶媒は実質的に無水である。水は触媒を破壊し、反応の進行速度が遅くなる原因となる。本明細書で使用される「溶媒」という用語は、記載された溶媒の要件を備えた、それ自体反応物の1つである物質を含む。たとえば、過剰量の臭素は、それ自体溶媒として使用しうる。
【0028】
芳香環臭素化は、ルイス酸触媒の存在下で実施されるが、ビスアリール基質の一部(式CおよびDの化合物)に関して、場合によっては、必要な程度の臭素化を達成するために触媒は必要ない。
【0029】
もっとも望ましいルイス酸触媒は、フリーデル-クラフツ反応を生じることができる金属ハロゲン化物である。当然、好ましいのは、アルミニウムおよびアンチモンの臭化物および塩化物である。しかしながら、FeおよびSnといった金属、もしくは例えば酸化アンチモンなどの金属酸化物は、本発明の範囲から除外されず、これらもまた本発明の触媒として使用することができる。日常的な実験によって容易に決定することができる量の触媒が使用される。一般に、使用される触媒の量は、重量でビスアリール基質の5%〜25%の範囲、好ましくは10%〜22%の範囲とすることができる。
【0030】
臭素が化学量論的にビスアリール基質を越えて多少なりとも過剰であることは、妥当な反応時間内に完了する芳香環臭素化を促すために有効である。一般に、完全に臭素化することができる、ビスアリール化合物に対する臭素の過剰量は、少なくとも5モル%である。上記のように、臭素は、場合により、溶媒として使用することができる。臭素の添加速度は、できるだけ完全な臭素化を促すために少なくとも反応終了時点で化学量論的に過剰量が存在する限り、重要ではない。一例として、化学量論的に過剰量の臭素を、約30分から3時間かけて、ビスアリール基質に加えることができる。
【0031】
臭素および塩素の混合物を意味する塩化臭素も、本発明の方法における芳香環臭素化のために、臭素化剤として使用することができる。臭素および塩素は、一般に、(0.7〜1.3):1のモル比で用いられ、好ましくは臭素および塩素は約1:1のモル比で使用される。ビスアリール基質に対する塩化臭素の過剰量は、少なくとも5モル%である。
【0032】
工程の温度は、好ましくは0℃から約80℃までである。反応は、条件および反応物に応じて、通常約2〜10時間以内に完了する。
【0033】
最終反応混合物は、水および還元剤、たとえば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムもしくはヒドラジンを連続して加えることによって処理する。水は触媒を分解除去する。還元剤は、過剰な臭素を中和する(式Fの化合物の場合、臭素の大半を蒸留した後)。
【0034】
本発明の目的に適合したある実施形態において、ベンジル臭素化の前に、芳香環臭素化産物を単離することによって、芳香環臭素化、および臭素化された生成物のベンジル臭素化が連続して行われる。
【0035】
別の適当な実施形態において、芳香環およびベンジルの臭素化はいずれも、中間体のポリ臭化ビスアリール化合物を分離することなしに、ワンポット2段階法として行われる。
【0036】
ベンジルの臭素化
(式A-Eに関する)化学反応の第2段階は、芳香環臭素化後に単離された中間生成物のメチル基の選択的モノ臭素化(ベンジル臭素化としても知られている)である。これは、臭素分子を、メチル基を攻撃してブロモメチル官能基を生じる反応性ラジカルに変換するラジカル開始剤の発生源を用いて、ラジカルプロセスによって達成される。ラジカル源の選択はかなり限定されるが、一方、生成物の最終純度に対する開始剤の影響は重大である。
【0037】
上記目的のためにもっとも適したラジカル開始剤の1つが、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。AIBNの分解によって形成されるラジカルが、この種の反応で活性のある臭素化種である臭素ラジカルの形成を開始させるので、AIBNの分解がベンジル臭素化の進行に必須である。こうした反応は、妥当な反応時間と併せて高い選択性を保証する温度で行うことが、おおいに推奨される。低すぎる温度では、ラジカルの形成が鈍化して、有効な反応が生じない。この方法の温度は、好ましくは60〜80℃であるが、約69〜約75℃の温度がもっとも好ましい。光化学反応も、臭素ラジカルの発生源とすることができる。
【0038】
ベンジルの臭素化は、好ましくは、上記の温度範囲で沸騰する、ハロゲン化された有機溶媒中で行われる。ジクロロメタン、ブロモクロロメタンおよびジブロモメタンの重量比10:20:70の混合物は上記の要件に合致し、もっとも好ましい。ベンジル臭素化に使用されるAIBNの有効量は、芳香環の臭素化された中間体基質の量に対して、5〜50重量%の範囲内であるが、好ましくは10〜40重量%である。
【0039】
適当な量の水の存在が、高いベンジル臭素化効率のために不可欠である。臭素が芳香環臭素化中間体のメチル基について1.1-2モルの範囲で化学量論的に過剰であること、好ましくはメチル基につき1.2〜1.8モル臭素の範囲で過剰であることは、妥当な時間内に完全なベンジル臭素化を実現するのに有効である。
【0040】
最終的な反応混合物を、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムもしくはヒドラジンなどの還元剤の添加によって処理し、過剰な臭素を中和する。
【0041】
以下の実施例は、本発明の新規ポリ臭化ビスアリール化合物の調製、ならびに、発泡ポリスチレンにおけるこれらの化合物の難燃剤としての利用に関する、具体的な実施形態を説明する。以下の実施例は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0042】
実施例1
式Aの化合物の調製
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した1リットルジャケット付反応器に、ジクロロメタン、ブロモクロロメタンおよびジブロモメタンの溶媒混合物(重量比20:40:40、500 g)、AlCl3(5 g)ならびにp-トリルエーテル(50 g)を入れた。温度を20℃に設定した後、臭素(350 g)を蠕動ポンプによって3 g/分の速度で供給した。還流状態で2.5時間の反応後、反応が完了した(GC分析で確認した)。
【0043】
触媒を分解し、過剰な臭素を還元するために、反応混合物に水(100 g)および17%ヒドラジン水溶液(30 g)を添加することによって、粗製オクタブロモジメチルジフェニルエーテルの取り上げおよび単離を行った。水層を分離した。有機スラリーを水(100 g)と混合して濾過し、溶媒混合物(57 g)および水(100 g)で洗浄した。
【0044】
減圧乾燥後、196 gのオクタブロモジメチルジフェニルエーテル(p-トリルエーテルに基づいて、理論値の93%)が得られた。
【0045】
ブロモクロロメタンおよびジブロモメタン(重量比20:80、500 g)の混合物、オクタブロモジメチルジフェニルエーテル(185 g)、臭素(107 g)、ならびに水(107 g)を反応器に入れた。混合物を69℃に加熱し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を小量ずつ(8 x 2 g)5時間かけて添加した。
【0046】
反応混合物を40℃に冷却し、過剰な臭素を17%ヒドラジン水溶液(25 g)で中和した。水相を分離した。有機スラリーを水(120 g)と混合し、濾過して、溶媒混合物(50 g)および水(125 g)で洗浄した。減圧乾燥後、206 g(オクタブロモジメチルジフェニルエーテルに基づく理論値の94%)の精製1,1'-オキシビス(4-ブロモメチル-2,3,5,6-テトラブロモ)ベンゼン(化合物A、HPLC/MS, H1-NMRにより確認された)が白色粉末として得られ、融点266-268℃、% Br計算値:81.0%、実測値:81.7%、ベンジルBr計算値:16.2%、実測値16.4%であった。示差走査熱量測定(DSC)分析は、純度が99%であることを示した。熱重量分析(TGA):346℃および359℃でそれぞれ、5および10%重量損失。
【0047】
実施例2
式Bの化合物の調製
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した0.5リットルジャケット付反応器に、ジクロロメタン、ブロモクロロメタンおよびジブロモメタンの溶媒混合物(重量比20:40:40、150 g)、AlCl3(2 g)ならびに4,4'-ジメチルビフェニル(9.1 g)を入れた。温度を25℃に設定した後、臭素(70 g)を1.5時間かけて供給した。還流状態で4時間の反応後、反応が完了した(GC分析で確認した)。
【0048】
触媒を分解し、過剰な臭素を還元するために、反応混合物に水(75 g)および17%ヒドラジン水溶液(8 g)を添加することによって、粗製オクタブロモジメチルビフェニルの取り上げおよび単離を行った。水層を分離した。有機スラリーを水(50 g)と混合して濾過し、溶媒混合物(20 g)および水(70 g)で洗浄した。
【0049】
減圧乾燥後、31.5 gのオクタブロモジメチルビフェニル(4,4'-ジメチルビフェニルに基づいて、理論値の77%)が得られた。
【0050】
ブロモクロロメタンおよびジブロモメタン(重量比15:85、140 g)の混合物、オクタブロモジメチルビフェニル(26 g)、臭素(18 g)、ならびに水(25 g)を反応器に入れた。混合物を72-75℃に加熱し、AIBNを小量ずつ(5 x 2 g)5時間かけて添加した。
【0051】
反応混合物を40℃に冷却し、過剰な臭素を17%ヒドラジン水溶液(4 g)で中和した。水相を分離した。有機スラリーを水(50 g)と混合し、濾過して、溶媒混合物(10 g)および水(25 g)で洗浄した。減圧乾燥後、22 g(オクタブロモジメチルビフェニルに基づいて、理論値の71%)の精製4,4'-ビスブロモメチル-オクタブロモ-ビフェニル(化合物B、HPLC/MS, H1-NMRにより確認された)が白色粉末形態として得られ、融点320-322℃、% Br計算値:82.3%、実測値:82.6%、ベンジルBr計算値:16.5%、実測値16.7%であった。TGA:325℃および339℃で、5および10%重量損失。
【0052】
実施例3
式Cの化合物の調製
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した0.5リットルジャケット付反応器に、ジクロロメタン、ブロモクロロメタンおよびジブロモメタンの溶媒混合物(重量比20:40:40、100 g)、および臭素(145 g)を入れた。温度を25℃に設定した後、ビスメシチルメタン(38 g)を溶媒混合物(200 g)に溶解した溶液を1.5時間かけて供給した。25℃で2時間の反応後、反応が完了した(GC分析で確認した)。
【0053】
過剰な臭素を還元するために、反応混合物に水(100 g)および37% 亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3) (110 g)を添加することによって、粗製ビス (3,5-ジブロモ-2,4,6-トリメチル)メタンの取り上げおよび単離を行った。水層を分離した。有機スラリーを濾過し、溶媒混合物(40 g)および水(55 g)で洗浄した。
【0054】
減圧乾燥後、72 gのビス (3,5-ジブロモ-2,4,6-トリメチル)メタンが得られ(ビスメシチルメタンに基づいて、理論値の84%)、融点は284-287℃であった。
【0055】
ブロモクロロメタンおよびジブロモメタン(重量比25:75、80 g)の混合物、ビス (3,5-ジブロモ-2,4,6-トリメチル)メタン(17 g)、臭素(40 g)、ならびに水(40 g)を反応器に入れた。混合物を74-76℃に加熱し、AIBNを小量ずつ(6 x 0.5 g)7時間にわたって添加した。
【0056】
反応混合物を40℃に冷却し、過剰な臭素を37% 亜硫酸水素ナトリウム(8 g)で中和した。水相を分離した。有機スラリーを水(40 g)で洗浄し、続いて相分離して、溶媒混合物の約半分を除去した。沈澱を濾過して、ジクロロメタン(10 g)および水(30 g)で洗浄した。減圧乾燥後、20 g(ビス (3,5-ジブロモ-2,4,6-トリメチル)メタンに基づいて、理論値の64%)のビス (3,5-ジブロモ-2,4,6-トリブロモメチルフェニル)メタン(化合物C、HPLC/MS, H1-NMRにより確認された)が白色粉末として得られ、融点214-216℃、% Br計算値:76.8%、実測値:74.8%、ベンジルBr計算値:46.1%、実測値44.8%であった。TGA:271℃および284℃で、5および10%重量損失。
【0057】
実施例4
式Dの化合物の調製
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した1リットルジャケット付反応器に、ジクロロメタン、ブロモクロロメタンおよびジブロモメタンの溶媒混合物(重量比20:40:40、350 g)ならびに臭素(350 g)を入れた。温度を24℃に設定した後、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン(83 g)を2時間かけて供給した。40℃で3時間の反応後、反応が完了した(GC分析で確認した)。
【0058】
過剰な臭素を還元するために、反応混合物に水(50 g)および37% 亜硫酸水素ナトリウム (208 g)を添加することによって、1-(ジブロモジメチル-フェニル)-1-(ジブロモジメチル-フェニル)エタン混合物の取り上げおよび単離を行った。水層を分離した。有機スラリーを溶媒混合物と混合し、濾過して、溶媒混合物および水で洗浄した。減圧乾燥後、178 gの1-(ジブロモジメチルフェニル)-1-(ジブロモジメチルフェニル)エタン混合物が得られ(1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンに基づいて、理論値の92%)、融点は222-224℃であった。
【0059】
ブロモクロロメタンおよびジブロモメタン(重量比25:75、150 g)の混合物、1-(ジブロモジメチルフェニル)-1-(ジブロモジメチルフェニル)エタン混合物(55g)、臭素(80 g)、ならびに水(80 g)を反応器に入れた。混合物を74-76℃に加熱し、AIBNを小量ずつ(6 x 1 g)5時間にわたって添加した。反応混合物を40℃に冷却し、過剰な臭素を37% 亜硫酸水素ナトリウム(8 g)で中和した。水相を分離した。有機相を水(60 g)で洗浄し、続いて溶媒を一部蒸発させた。5℃に冷却後、形成された沈澱を濾過して、ジクロロメタン(33 g)および水(50 g)で洗浄した。減圧乾燥後、18 g(1,1-ビス((ジブロモジメチルフェニル)エタン)に基づいて、理論値の約20%)の(ベンゼン環上の3つのメチル基で)臭素化された1-(トリブロモブロモメチル メチルフェニル)-1-(トリブロモジメチルフェニル)エタン混合物(化合物D、HPLC/MSにより確認された)が白色粉末形態として得られ、融点191-195℃、% Br計算値:77.8%、実測値:78.1%、ベンジルBr計算値:31.1%、実測値24.6%であった。TGA:274℃および290℃で、5および10%重量損失。
【0060】
実施例5
式Eの化合物の調製
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した2リットル反応器に、ジクロロエタン(1120 g)、ビス(3-メチルフェノキシ)エタン(40 g)および酸化アンチモンSb2O3(6.6 g)を入れた。室温で1時間かけて、臭素(316.4 g)を蠕動ポンプによって送り込んだ。臭素の半量を添加した後、反応混合物を40℃に加熱した。臭素の添加が終了した後、反応混合物を8時間にわたって75-77℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(100 g)を加えた後、触媒の分解、ならびに過剰な臭素の還元のために、37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えた。固形物を濾過してジクロロエタンで洗浄し、次に5%炭酸水素ナトリウム溶液および水で洗浄した。減圧乾燥後、102.7 g(ビス(3-メチルフェノキシ)エタンに基づいて、理論値の87%)の1-(トリブロモ-3-メチルフェノキシ)-2-(トリブロモ-3-メチルフェノキシ)エタンが得られ、融点は242-244℃であった。GC分析から、純度は98%より高いことが明らかになった(面積%)。
【0061】
ジクロロメタン、ブロモクロロメタンおよびジブロモメタンの溶媒混合物(重量比10:20:70、2100 g)、1-(トリブロモ-3-メチルフェノキシ)-2-(トリブロモ-3-メチルフェノキシ)エタン(96 g)、臭素(60 g)および水(100 g)を反応器内に入れた。この混合物を70-73℃に加熱した。AIBN(5 g)を1時間間隔で5回に分けて混合物に加えた。反応混合物を25℃に冷却した。臭素過剰量を37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液で還元した。この有機混合物を水で洗浄し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。沈澱を濾過し、ジクロロメタンおよび水で洗浄した。減圧乾燥後、111.6 g(1-(トリブロモ-3-メチルフェノキシ)-2-(トリブロモ-3-メチルフェノキシ)エタンに基づいて、理論値の95%)の精製1-(トリブロモ-3-ブロモメチルフェノキシ)-2-(トリブロモ-3-ブロモメチルフェノキシ) エタン(式Eの化合物、HPLC/MS, 1H-NMRで確認された)が白色粉末として得られ、融点238-240℃、% Br計算値:73.2%、実測値:73.1%、ベンジルBr計算値:18.3%、実測値18.0%であった。HPLC分析によって、純度は99.5%より高いことが明らかになった(面積%)。NMRは、この物質の大半が、ビス(トリブロモ-3-ブロモメチルフェノキシ)エタンの対称な化学式で表されることを示唆した。TGA:294℃および300℃で、5および10%重量損失。
【0062】
実施例6
式Fの化合物の調製
2段階法
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した1リットルジャケット付き反応器に、ジクロロメタン(520 g)およびtrans-スチルベン(54 g)を入れ、続いて臭素(50 g)を添加した。室温で1時間撹拌した後、水200 mlを反応器に入れ、過剰な臭素を37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液で中和した。その後、有機溶媒を蒸留した。得られたスラリーを濾過して、98.2 g(trans-スチルベンを基準とする理論値の96.3%)の1,2-ジブロモ-1,2-ジフェニルエタンが淡黄色固体として与えられた。
【0063】
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した0.5リットルジャケット付き反応器に、臭素(310 g)、1,2-ジブロモ-1,2-ジフェニルエタン(20.4 g)およびAlCl3(2 g)を入れた。反応はやや発熱した。もはやHBrが発生しなくなるまで、反応混合物を撹拌した。水(100 g)を滴下して加え、未反応の臭素の大部分を蒸留するために、混合物を60℃に加熱した。得られたスラリーを37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液で処理し、濾過して水で洗浄した。濾別した粉末をキシレン(200 ml)および37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(60 g)に注ぎ入れ、4時間にわたって70℃に加熱した。濾過して水で洗浄し、減圧乾燥した後、52 g(1,2-ジブロモ-1,2-ジフェニルエタンを基準とする理論値の90%)の1,2-ジブロモ-1,2-ビス(2,3,4,5-テトラブロモフェニル)エタン(式Fの化合物、X線により確認された)が、白色固体として得られ、融点282-283℃、% Br計算値:82.2%、実測値:80.5%であった。TGA:291℃および295℃で、5および10%重量損失。
【0064】
1段階法
メカニカルスターラー、熱電対、および還流冷却器を装備した0.5リットルジャケット付き反応器に、臭素(750 g)、trans-スチルベン(21.6 g)およびAlCl3(4.2 g)を入れた。HBrが発生しなくなるまで、反応混合物を撹拌した。後処理および単離は、2段階プロセスに関する記載のように実施した。減圧乾燥後、107 g(trans-スチルベンを基準とする理論値の92%)の1,2-ジブロモ-1,2-ビス(2,3,4,5-テトラブロモフェニル)エタン(式Fの化合物)が得られた。
【0065】
本発明の新規臭素化難燃剤のほかに、本発明の方法に従って調製される難燃化組成物は、加工助剤、共力剤(synergist)、および流動促進剤として、母材ポリマーに難燃性を付与するのを助ける他の添加物を、組み入れることができる。したがって、米国特許第6,579,911号は、ポリスチレン、リン化合物および流動促進剤の混合物を記載する。好ましくは、共力剤は有機リン化合物であり、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、亜リン酸エステルおよびホスフィンオキシドなどがある。特に、このような有機リン共力剤は、モノマー、ダイマーまたはオリゴマー型であり、芳香族部分を有することができる。
【0066】
芳香族部分を有する特に好ましい有機リン共力剤には、式(II)で表される芳香族リン酸エステルがある:
【化8】

【0067】
上記式中、R1、R2、R3、およびR4はアリール基であるが、それらは同一でも異なっていてもよく、Aはアリーレン基、「n」は0から5までの整数である。リン酸エステルは、トリアリールリン酸エステル(上記式中「n」は0である)、もしくは単量体二リン酸エステル(式中「n」は1である)、または前記トリアリールリン酸エステルおよび単量体二リン酸エステルと二量体以上のオリゴマーとの混合物(各オリゴマーの「n」は2から5までの整数である(前記混合物はまた、以下、オリゴマーリン酸エステルとしても称される))のいずれかとすることができる。
【0068】
アリール基は、フェニル、クレジル、2,6-キシレニルなどとすることができる。アリーレン基は、二水酸基化合物、たとえば、レゾルシノール、ビスフェノール-A、4,4'-ビフェノールなどから誘導される基である。本明細書で使用するために特に好ましいアリールリン酸エステルは、トリフェニルリン酸エステル(TPP)、ならびに4,4'-ビフェノールのフェニルリン酸エステルが挙げられる。好ましくは、リン共力剤は、1つのリンを含有する物質からなると考えられるが、2つ以上の異なる有機リンを含有する化合物の混合物から構成されてもよく、これはポリスチレンフォームの望ましい特性を得るのに適していると言える。
【0069】
リン共力剤(phosphorous synergist)は、非制限的ではあるが、典型的には、スチレンポリマー100%に対して約0.1重量%から約10.0重量%までの範囲の量で存在することができる。もっとも好ましくは、リン共力剤の組成物中の量は、スチレンポリマー100%に対して約0.5重量%から約2.0重量%までの範囲である。有機リン難燃剤を共力剤として含有する難燃化組成物は、粘性のある液体として、または、より好ましくは、固体フレーク(TPP)として、もしくはポリスチレンポリマー中に混合された予備的融解物として、使用することができる。
【0070】
本発明の別の好ましい実施形態において、流動促進剤は、ジメチルジフェニルブタン、過酸化ジクミルもしくはα,α'-ビス-tert-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン、およびジエチルジフェニルブタンから選択され、典型的な量はスチレンポリマー100%に対して約0.01%から約0.2%の間である。より好ましくは、その量は、スチレンポリマー100%に対して約0.02%から約0.1%までの範囲である。流動促進剤の実例は、ジクミル(2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン)である。
【0071】
方法の背景および実験条件
試験方法
LOIおよびUL-94によって評価される射出成形および圧縮成形難燃性ポリスチレンの性能は、発泡ポリスチレン中の難燃添加剤の性能の指標と見なすことができることがよく知られている。
【0072】
したがって、射出成形および圧縮成形試料を用いて、本発明の新規ポリ臭化ビスアリール化合物の、ポリスチレン中の難燃剤としての有効性を実証した。このために、射出成形もしくは圧縮成形試料を調製し、それらの難燃性を、表1に詳述される方法で測定した。
【表1】

【0073】
配合
全成分(プラスチックペレットおよび粉末)を、Sartorius社製の半分析タイプの天秤で秤量し、その後ポリ袋の中で、手動で混合した。混合物を、1つのフィーダーから供給されるBerstorff社製二軸押出機 Type ZE-25(L/D = 32:1)内でコンパウンド(配合)した。コンパウンド条件を表2に示す。得られたストランドを水浴中で冷却した後、Accrapak Systems Limited社製 Pelletizer 750/3でペレット化した。得られたペレットを熱風循環炉の中で、70℃にて2時間乾燥した。
【0074】
射出成形
上記コンパウンドペレットを、Arburg-Allrounder機、モデル320s / 500-150を用いて成形した。LOIおよびUL試験試料は、S 22963番の型を用いて成形された。成形条件を表3に示す。
【表2】

【表3】

【0075】
圧縮成形
全成分(プラスチックペレットおよび粉末)を、Sartorius社製の半分析タイプの天秤で秤量し、その後、手動で混合した。混合物70 gを、Brabender Plasticorderセル内で200℃にて8分間配合して、160℃まで空冷した。配合速度は40RPMとした。
【0076】
Schwabenthan社製Polystat型プレス機において、次のような設定で、配合混合物をプレスすることによって、127 x 6.5 x 3.2 mmの試験板を調製した。プレス条件:温度180℃、一次圧力1分0バール、二次圧力1分、100バール。
【0077】
プレスされた試験板を流水で100℃に冷却し、サンプルをプレス機から取り出した。試験板を、LOI試験片6.5 x 127 x 3.2 mmとなるように切断した。燃焼試験の前に試験片を48時間周囲の環境条件で調整した。
【0078】
材料
以下の実施例に使用するポリスチレンは、市販のポリスチレン637タイプ(Dow社製)とした。リン酸トリフェニル、Reomol(Ciba Geigy社製)を、リン酸エステルの商品例として使用した。
【0079】
使用した流動促進剤は、市販のInterox C-C DFB(Peroxide Chemie社製);ジクミルとも呼ばれる2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンとした。
【0080】
本発明の難燃剤−ブロモエチル/ブロモメチレン基を含有する新規臭化ビスアリール化合物は、式Aの化合物、式Bの化合物、式Cの化合物、式Dの化合物もしくは式Dの化合物の混合物、式Eの化合物もしくは式Eの化合物の混合物、および式Fの化合物からなる群から選択された(式A〜Fは上記)。
【0081】
前述の、および他の、本発明の特徴および利点は、本発明のポリ臭化ビスアリール化合物が発泡ポリスチレン中で難燃剤として有用であることを示す、以下の、例証となるが制限的でない実施例の記述によって、より良く理解されると考えられる。
【0082】
実施例7-13
圧縮成形
ポリスチレン圧縮成形試料7-13は、その組成は表4に詳述されているが、実質的に上記の手順にしたがって、コンパウンドして成形された。圧縮成形調製品7-13の燃焼試験は、標準的なLOI(限界酸素指数)試験に基づいて実施されたが、表1において、この試験法に言及している。
【0083】
表4は、難燃剤として使用される本発明の臭化ビスアリール化合物が異なる調製品を、対照のためにHBCDを含有する1つの調製品とともに、列挙する。これらの圧縮成形難燃性ポリスチレン試料の燃焼結果は、LOI標準法にしたがって測定され、表4に要約されている。結果は、本発明の製品の難燃性能を評価するために圧縮成形試料を使用することができることを明白に示す。ブロモメチル基を有するポリ臭化ビスアリール化合物は、要求される水準に合格する。
【表4】

【0084】
表4は、本発明のさまざまなポリ臭化ビスアリール化合物の、ポリスチレン用難燃剤としての有効性が、満足できるものであり、すべてが同じように作用し、HBCDと同様に効果的であることを示す。すべての圧縮成形調製品の試験片は、良好な透明度を有していた。このことは、本発明の化合物がポリスチレンによく適合することを示す。
【0085】
実施例14-19
射出成形
ポリスチレン射出成形試料14-19は、その組成は表5に詳述されているが、実質的に上記の配合および射出成形の手順にしたがって、配合して成形された。それらの方式は、表2および3にそれぞれ詳述されている。
【0086】
表5に記載の射出成形調製品14-19の燃焼試験は、標準LOI(Limiting Oxygen Index)およびUL 94試験に基づいて実施されたが、表1において、この試験法に言及している。
【0087】
表5は、射出成形試料14-19のために使用される、さまざまな配合成分を詳しく記載する。調製品は、リン含有難燃共力剤およびジクミル流動促進剤の添加あり、またはなしで、相対量の異なるポリ臭化スチルベン(式Fの化合物)を含有する。1つの調製品は、対照としてHBCDを含有する。これらの射出成形難燃性ポリスチレン試料の燃焼結果は、LOIおよびUL-94標準法にしたがって測定され、表5に要約されている。
【0088】
上記のように、難燃製品の難燃性能を評価するために射出成形試料を使用することができる。表5の結果によれば、本発明のポリ臭化ビスアリール化合物Fは、HBCDより高いLOIを有する。表5のデータは、調製品において共力剤を使用することの利点を明白に示している。そうした調製品のすべてにおいて、共力剤を含有しない調製品よりLOIが高い。
【表5】

【0089】
本発明の実施例は、説明の目的で記載されたが、当業者が特許請求の範囲を超えることなく、多くの修正、変更および改変を行うことができるのは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロモメチル/ブロモメチレン基を有する下記の式(I)のポリ臭化ビスアリール化合物。
【化1】

(式中、a) Zは、結合、-O-、-CH2-、-CH(CH3)-、-OCH2CH2O-であり、n= 1〜4、p = 1〜4、m = 1〜4、およびq = 1〜4である;または、b) Zは-CH(Br)-CH(Br)-であり、n=1〜4、p = 1〜4、m=0、およびq = 0である。)
【請求項2】
以下の式A-F:
A.
【化2】

B.
【化3】

C.
【化4】

D.
【化5】

(式中、X1、X2、X3、およびX4 は、独立して、HまたはBrから選択されるが、それらのうち少なくとも1つはBrである。);
E.
【化6】

F.
【化7】

からなる群から選択される式を有する、請求項1に記載のポリ臭化ビスアリール化合物。
【請求項3】
ブロモメチル/ブロモメチレン基を有する式(I)のポリ臭化ビスアリール化合物
【化8】

(式中、a) Zは、結合、-O-、-CH2-、-CH(CH3)-、-OCH2CH2O-であり、n= 1〜4、p = 1〜4、m = 1〜4、およびq = 1〜4である;または、b) Zは-CH(Br)-CH(Br)-であり、n=1〜4、p = 1〜4、m=0、およびq = 0である。)
のうち少なくとも1つと、ポリマー材料とを含んでなる難燃性配合物。
【請求項4】
前記ポリ臭化ビスアリール化合物が、請求項2に記載の式A〜Fから選択される式を有する、請求項3に記載の難燃性配合物。
【請求項5】
前記ポリマー材料がスチレン含有ポリマーであり、好ましくは前記スチレン含有ポリマーがポリスチレンであり、もっとも好ましくは発泡ポリスチレンである、請求項3または4に記載の難燃性配合物。
【請求項6】
前記ポリスチレンが、UL-94規格でV-2に格付けされる、請求項5に記載の難燃性配合物。
【請求項7】
有機リン化合物、流動促進剤、またはそれらの組み合わせから選択される共力剤をさらに含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の難燃性配合物。
【請求項8】
有機リン化合物が、スチレンポリマー100%に対して約0.5重量%から約10重量%までの量で存在する、請求項7に記載の難燃性配合物。
【請求項9】
有機リン化合物がリン酸トリフェニルである、請求項7または8に記載の難燃性配合物。
【請求項10】
流動促進剤が、ジメチルジフェニルブタン、過酸化ジクミルもしくはα,α'-ビス-tert-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン、ジエチルジフェニルブタン、および2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンから選択される、請求項7に記載の難燃性配合物。
【請求項11】
流動促進剤が、スチレンポリマー100%に対して約0.01重量%から約0.2重量%までの量で存在する、請求項10に記載の難燃性配合物。
【請求項12】
流動促進剤が2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタンである、請求項10に記載の難燃性配合物。
【請求項13】
前記配合物が射出成形もしくは圧縮成形される、請求項5〜12のいずれか1項に記載の難燃性配合物。
【請求項14】
ブロモメチル/ブロモメチレン基を有する式(I)のポリ臭化ビスアリール化合物:
【化9】

(式中、a) Zは、結合、-O-、-CH2-、-CH(CH3)-、-OCH2CH2O-であり、n= 1〜4、p = 1〜4、m = 1〜4、およびq = 1〜4である。)
を製造する方法であって、芳香環の臭素化、およびそれに続くベンジルの臭素化を含んでなる前記方法。
【請求項15】
前記ブロモメチルビスアリール化合物が、以下の式A-E:
A.
【化10】

B.
【化11】

C.
【化12】

D.
【化13】

(式中、X1、X2、X3、およびX4 は、独立して、HまたはBrから選択されるが、それらのうち少なくとも1つはBrである。);

E.
【化14】

からなる群から選択される式を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
下記の式F:
F.
【化15】

を有するポリ臭化ビスアリール化合物を製造する方法であって、スチルベンの二重結合への臭素付加、および芳香環の臭素化を含んでなる、前記方法。
【請求項17】
実質的に記載および例示した、難燃剤として用いる、ブロモメチル/ブロモメチレン基を有するポリ臭化ビスアリール化合物。
【請求項18】
実質的に記載および例示した、ブロモメチル/ブロモメチレン基を有するポリ臭化ビスアリール化合物の製造方法。
【請求項19】
実質的に記載および例示した、ブロモメチル/ブロモメチレン基を有するポリ臭化ビスアリール化合物を含んでなる難燃性ポリマー配合物。
【請求項20】
270℃で10%以下の重量損失を示す、請求項1または2に記載のポリ臭素化化合物。
【請求項21】
本質的に透明である、請求項13に記載の難燃性配合物。

【公表番号】特表2009−516678(P2009−516678A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540787(P2008−540787)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/IL2006/001327
【国際公開番号】WO2007/057900
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(501364081)ブロマイン コンパウンズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】