説明

難燃性金属被覆布帛およびそれを用いた電磁波シールド用ガスケット

【課題】優れた電磁波シールド性を有し、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物を含まない難燃性金属被覆布帛およびそれを用いた電磁波シールド用ガスケットを提供する。
【解決手段】金属被覆布帛の少なくとも片面に、(A)有機ホスフィン酸塩、(B)ホスファゼン化合物、(C)特定の難燃助剤、(D)特定の発泡剤粒子、および(E)熱可塑性樹脂を含む組成物からなる層を有する難燃性金属被覆布帛である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から発生する電磁波の遮蔽や静電気対策などのために用いられる金属被覆布帛およびガスケットに関に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや家庭において、各種情報端末を主とする電子機器が急速に普及するのに伴い、これら電子機器から発生する静電気や電磁波による、他の電子機器や人体への影響が危惧されている。これら静電気や電磁波による障害を防ぐために、優れた電磁波シールド性が求められている。更に、製造物責任法(PL法)などの施行により、UL規格などを満足する、高度の難燃性を有する電磁波シールド用ガスケットが、強く望まれている。
【0003】
電磁波シールド用ガスケットの一例として、芯材に柔軟な発泡材を使用し、これに導電性を有する布帛を巻きつけて接着させたものがある。一般的に柔軟な電磁波シールド用ガスケットを製造するためには、芯材のみならず、芯材に巻きつける導電性の布帛も十分に柔軟であることが望ましい。
【0004】
また、電磁波シールド用ガスケットとして高度の難燃性を実現するためには、芯材、導電性の布帛、両者を接着するための接着剤など、全ての構成物に十分な難燃性が要求される。そのために、難燃剤として、ハロゲン系化合物、アンチモン化合物、リン系化合物などが使用されてきた。高度の難燃性を持たせるために、これらの難燃剤を併用し、相乗効果を狙う提案も数多くある。一方、最近の環境配慮品として、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物を使用せずに、難燃性を持った導電性布帛の開発も行なわれているが、十分な難燃性と他の所望の特性とを併せ持つ導電性布帛の開発には至っていなかった。
【0005】
特許文献1では、導電性布帛の表面に、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物以外の難燃剤を添加したホットメルト樹脂を積層し、環境に配慮したガスケットを提供している。
【0006】
また、特許文献2には、フィルム状の支持体の片面に導電性薄膜を介在させ、更に導電難燃性接着剤層を積層して成る3層構造の難燃性電磁波シールド材が開示されている。難燃剤としては、ノンハロゲン系であるリン系難燃剤を用い、接着剤層に導電性を与える目的で、導電性粉末が添加される。このような難燃性電磁波シールド材は、環境に対する配慮はなされているものの、フィルム支持体の導電性に欠ける。また、ある一方向の曲げに対してのみは柔軟性を有しているが、多方向の立体的な変形に対する柔軟性が不足するため、電磁波シールド用ガスケットとしては不適である。
【0007】
さらに、特許文献3では、リン系難燃剤と熱可塑性樹脂の混合物からなる難燃性皮膜が形成されている難燃性金属被覆布帛およびそれを用いた電磁波シールド用ガスケットが開示されている。
【0008】
また、ハロゲン化合物やアンチモン化合物以外の難燃剤を汎用の合成樹脂に添加して導電性布帛の表面に積層し、更にホットメルト樹脂シートをラミネート等で積層して形成したガスケットもあるが、これは、積層数が多いことから布帛の柔軟性が損なわれ、その上、加工工程数も増えるという問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−243873号公報
【特許文献2】特開2003−258480号公報
【特許文献3】特開2006−299447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、電磁波シールド用ガスケット用として、優れた電磁波シールド性能を有し、環境に配慮してハロゲン系化合物やアンチモン化合物を含むことなく、高度な難燃性を示す難燃性金属被覆布帛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、金属被覆布帛の少なくとも片面に、本発明の処方による組成物からなる難燃性被膜を形成することによって所望の特性を得られえることを見出し、本発明を完成させたものである。本発明においてはハロゲンおよびアンチモンを含まない有機リン系化合物が使用される。
【0012】
ある実施形態において、本発明は、金属被覆布帛の少なくとも片面に、以下の(A)〜(E)を含む組成物からなる層を有する。
(A)有機ホスフィン酸塩
(B)ホスファゼン化合物
(C)メラミン、メラミンシアヌレートおよびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートから選ばれる少なくとも1種の難燃助剤
(D)熱膨張性黒鉛、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルおよびN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種の発泡剤粒子、および
(E)熱可塑性樹脂。
【0013】
別の実施形態においては、前記組成物中の各成分の配合比が重量比で、
(A)有機ホスフィン酸塩 10〜100重量部
(B)ホスファゼン化合物 10〜80重量部
(C)メラミン、メラミンシアヌレートおよびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートから選ばれる少なくとも1種の難燃助剤 5〜75重量部
(D)熱膨張性黒鉛、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルおよびN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種の発泡剤粒子 2〜50重量部
(E)熱可塑性樹脂 100重量部
含んでいる。
【0014】
前記金属被覆布帛は、温度60℃、湿度90%の条件下、1,000時間の環境耐久性試験において、金属被膜表面の変色および腐食をきたさないように設計してもよい。
【0015】
また、本発明は、合成樹脂発泡体からなる芯材と、該芯材を回捲する前記難燃性金属被覆布帛とを有する電磁波シールド用ガスケットに関する。
【0016】
上記の難燃性金属被覆布帛は、優れた電磁波シールド性と高度な難燃性を有する。また柔軟性も有する。また、ガスケットを形成した場合の芯材、および、回捲された難燃性金属被覆布帛同士の接着性に優れ、環境への配慮もなされている。また、上記の難燃性金属被覆布帛は、人体に有害なアンチモン化合物を含まず、燃焼時にダイオキシン類など有毒なハロゲンガスを発生することもない。
【0017】
また、低い熱軟化温度を有する熱可塑性樹脂を配合した組成物により層を形成することによって、ガスケットを製造する際、接着剤を別途使用する必要が無い。そのため、少ない製造工程でガスケットを得ることができる。
【0018】
本発明においては有機リン系化合物が使用される。有機リン系化合物としては、例えば有機ホスフィン酸塩やホスファゼン化合物が挙げられる。これらは水に難溶である。そのため、本発明の布帛を環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿下に放置しても、金属被膜の変色や腐食が生じず、電磁波シールド性を長期にわたり維持することができる。本発明では、水に難溶の難燃剤を使用することができる。
【0019】
ある実施形態の難燃性金属被覆布帛は、環境耐久性試験において系のpHを低下させる難燃剤を含まない。例えば、後述の比較例1で使用したポリリン酸アンモニウムのような難燃剤を含まない。ポリリン酸アンモニウムは、環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿状況下において、アンモニアが揮発、消失し、ポリリン酸が発生する。これによって系のpHが低下する。また、例えば、後述の比較例2で使用した酸性ホスホン酸エステルを難燃剤として含まない。酸性ホスホン酸エステルは、炭素数が3個以下のエステル置換基を少なくとも1個含む。このような難燃剤は、環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿状況下において、酸が発生し、系のpHが低下する。このような難燃剤を使用すると、金属被膜の変色や腐食ならびに導電性の著しい低下を引き起こすかもしれない。このような難燃剤としては酸性ホスホン酸エステルの他に、ホスホン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩および酸性リン酸エステルが挙げられる。酸性リン酸エステルとしてはリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルが挙げられる。なお、本発明のある実施形態においては炭素数が4個以上のエステル置換基のみを含むホスホン酸エステルも、使用を避けることができる。
【0020】
ある実施形態においては、難燃剤として酸性ホスホン酸エステルおよびポリリン酸アンモニウムのいずれも含まない。別の実施形態においては、難燃剤として酸性ホスホン酸エステルおよびアンモニウム塩のいずれも含まない。さらに別の実施形態においてはホスホン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、酸性ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステルおよびアンモニウム塩のいずれも含まない。
【0021】
ある実施形態における本発明の難燃性金属被覆布帛は、第一の表面と第二の表面とを有する金属被覆布帛と、該第一の表面側に形成されたコーティング層とからなる、ハロゲンおよびアンチモンを含まない難燃性金属被覆布帛であって、
該コーティング層は、有機リン系化合物、および熱可塑性樹脂を含み、
該難燃性金属被覆布帛は、温度60℃、湿度90%の条件下、1,000時間の環境耐久性試験において系のpHを低下させる難燃剤を含まず、
該難燃性金属被覆布帛は、前記環境耐久性試験を行った後に0.2Ω以下の表面導通性を有し、
該難燃性金属被覆布帛は、前記環境耐久性試験を行った後に金属被膜表面の変色がなく、しかも
該難燃性金属被覆布帛を使用して作製したガスケットがUL94 V−0試験法による難燃性を満たす難燃性金属被覆布帛である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、優れた電磁波シールド性と高度な難燃性を有する柔軟な難燃性金属被覆布帛を提供することができる。また、本発明の難燃性金属被覆布帛は、ガスケットを形成した場合の芯材との接着性、および、回捲された難燃性金属被覆布帛同士の接着性に優れ、人体に有害なアンチモン化合物を含まず、燃焼時にダイオキシン類など有毒なハロゲンガスを発生することがないため、環境への配慮もなされている。
【0023】
また、低い熱軟化温度を有する熱可塑性樹脂を配合した組成物により層を形成することによって、ガスケットを製造する際、接着剤を別途使用する必要が無い。そのため、少ない製造工程でガスケットを得ることができる。
【0024】
さらに、有機リン系化合物として、例えば有機ホスフィン酸塩やホスファゼン化合物は水に難溶であるため、本発明の布帛を環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿下に放置しても、金属被膜の変色や腐食が生じず、電磁波シールド性を長期にわたり維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明で用いられる布帛としては、織物、編物、不織布などの形態のものを挙げることができ、特に限定されない。なかでも、布帛の強度および厚みの均一性の点で、織物を使用することができる。
【0026】
また、用いられる繊維素材としては、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアミド系(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリウレタン系などの合成繊維、セルロース系(ジアセテート、トリアセテートなど)、蛋白質系(プロミックスなど)などの半合成繊維、セルロース系(レーヨン、キュプラなど)、蛋白質系(カゼイン繊維など)などの再生繊維、セルロース系(木綿、麻など)、蛋白質系(羊毛、絹など)などの天然繊維を挙げることができ、これらが2種類以上組み合わされていてもよい。なかでも、加工性および耐久性を考慮すると合成繊維を使用することができ、合成繊維の中でもポリエステル系繊維を選択することができる。また、安全性の面から、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物、赤リンを含まない繊維を選択してもよい。
【0027】
用いられる繊維の総繊度は11〜167dtexとすることができ、更には33〜84dtexとすることができる。上記総繊度の範囲にある繊維を使用すると、金属被覆布帛の強度およびめっき加工性を良好に維持ししつつ、金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを防止できる。
【0028】
本発明で用いられる金属被覆布帛においては、前記布帛の繊維表面に金属が被覆されている。被覆の方法としては、蒸着法、スパッタリング法、電気メッキ法および無電解メッキ法など従来公知の方法を採用することができる。なかでも、形成される金属被膜の均一性および生産性を考慮すると、無電解メッキ法、あるいは、無電解メッキ法と電気メッキ法との併用することができる。また、金属の定着を確実にするために、予め、繊維の表面に付着している糊剤、油剤、ゴミなどの不純物を、精練処理により完全に除去しておいてもよい。精練処理は従来公知の方法を採用することができ、特に限定されない。
【0029】
被覆される金属としては、金、銀、銅、亜鉛、ニッケルおよびそれらの合金などがあげられる。なかでも、導電性および製造コストを考慮すると、銅およびニッケルを使用することができる。
【0030】
これらの金属によって形成される被膜は1層あるいは2層としてもよい。3層以上になると金属被膜の厚みが大きくなり、布帛の風合いが硬くなるばかりか、製造コストが高くなるかもしれない。金属被膜を2層に積層する場合は、同種の金属を2層に積層してもよく、また、異なる金属を積層してもよい。これらは、求められる電磁波シールド性や耐久性を考慮して適宜に設定すればよい。
【0031】
また、その金属の被覆量は、5〜80g/mとすることができ、更には10〜50g/mとすることができる。金属の被膜量を上記の範囲に設定することによってシールド材としての十分なシールド性が得られるとともに、金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを防止できる。
【0032】
本発明のある実施形態においては、難燃性金属被覆布帛は、上記金属被覆布帛の少なくとも片面に、難燃剤(A)および(B)、(C)難燃助剤、(D)発泡剤粒子および(E)熱可塑性樹脂(以下、(E)熱可塑性樹脂と称す) を配合した組成物(以下、(G)組成物と称す)からなる層を有している。この組成物を構成する各成分は、熱可塑性樹脂(E)100重量部に対して、特定の比率となるように配合してもよい。
【0033】
(A)成分
本発明においては、(A)成分として、ハロゲンやアンチモンを含まない有機酸塩からなる難燃剤を使用することができる。そのような有機酸塩としては水に難溶であるものが使用できる。例えばリンを含む有機酸塩が使用できる。特に、環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿状況下において酸が発生して系のpHを低下させないものが使用できる。このような難燃剤としては有機ホスフィン酸塩が挙げられる。
【0034】
前記有機ホスフィン酸塩としては、特開2005−281698号公報に記載されているものがあげられるが、なかでも、下記一般式(I)で表わされるものを使用することができる。
【0035】
【化5】

(式中、RおよびRは、メチル基またはエチル基であり、同一でも異なっていても良い。Mは、マグネシウムまたはアルミニウムであり、mは2または3を表わす。)
【0036】
具体的には、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸のアルミニウム塩またはマグネシウム塩などがあげられる。なかでも、難燃性能の点で、ジメチルホスフィン酸アルミニウムまたはジエチルホスフィン酸アルミニウムを使用することができる。
【0037】
また、(A)成分として次式で示されるジホスフィン酸塩を使用してもよい。
【0038】
【化6】

(式中、RおよびRは、メチル基またはエチル基であり、同一でも異なっていても良い。Rは線状もしくは分岐状の炭素数1〜10のアリーレンまたはアルキルアリーレンもしくはアリールアルキレンであり、Mはマグネシウムまたはアルミニウムであり、nは1または3、xは1または2、mは2または3を表わす。)
【0039】
有機ホスフィン酸塩(A)の配合量は、ある実施形態においては熱可塑性樹脂(E)100重量部に対して10〜100重量部とすることができる。また別の実施形態においては15〜100重量部とすることができる。更に別の実施形態においては20〜70重量部とすることができる。(A)の配合量を上記の範囲に設定することによって金属被覆布帛に十分な難燃性を付与するとともに、難燃性金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを有効に防止することができる。
【0040】
(B)成分
上記の(A)成分に加えて別の難燃剤として(B)成分を加えることができる。(B)成分は水に難溶であるものを使用することができる。(B)成分としては、ハロゲンやアンチモンを含まない有機化合物を使用することができる。特に、リンを含む有機化合物を使用することができる。特に、環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿状況下において酸が発生して系のpHを低下させないものが使用できる。このような難燃剤としては、例えばホスファゼン化合物が挙げられる。特に(B)成分としては、下記一般式(II)で表わされる環状のホスファゼン化合物を挙げることができる。このような化合物は、例えば、特開平10−298188号公報に記載されている。
【0041】
【化7】

(式中、RおよびRは、メトキシ基、エトキシ基またはフェノキシ基であり、同一でも異なっていても良い。nは3〜7を表わす。)
【0042】
具体的には、ヘキサメトキシシクロトリホスファゼン、オクタメトキシシクロテトラホスファゼン、ヘキサエトキシシクロトリホスファゼン、オクタエトキシシクロテトラホスファゼン、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリエトキシシクロトリホスファゼン、2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、2,4,6−トリエトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン、2,4,6,8−テトラメトキシ−2,4,6,8−テトラエトキシシクロテトラホスファゼン、2,4,6,8−テトラメトキシ−2,4,6,8−テトラフェノキシシクロテトラホスファゼン、2,4,6,8−テトラエトキシ−2,4,6,8−テトラフェノキシシクロテトラホスファゼンなどがあげられる。なかでも、難燃性能の点で、2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼンを使用することができる。
【0043】
ホスファゼン化合物の配合量は、ある実施形態においては熱可塑性樹脂(E)100重量部に対して10〜80重量部とすることができ、別の実施形態においては15〜60部重量とすることができる。ホスファゼン化合物の配合量を上記の範囲に設定することによって、難燃性金属被膜布帛に十分な難燃性を付与するとともに、難燃性金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを防止することができる。
【0044】
難燃剤として、これら(A)成分および(B)成分を併用することにより、金属被覆布帛への難燃性能だけでなく、ガスケットとした場合に難燃性能を発揮することが可能となる。
【0045】
ここで、布帛およびガスケットの燃焼に対しては、炭化層の形成による熱伝達の抑制および材料内部で生成した可燃性化合物の拡散防止や、不活性ガスの発生による酸素および可燃性ガスの希釈などが、さらなる燃焼を抑制するのに効果的である。
【0046】
ところが、ガスケットに使用されている芯材は、金属被覆布帛に比べより燃えやすい材料であり、さらに、芯材は燃焼時に溶融し、その溶融物が滴下するため、ガスケットの難燃性能としては、より大きな炭化層形成による高い断熱効果、および芯材の滴下防止効果が必要となる。
【0047】
本発明で使用される(A)成分および(B)成分は、両者ともに炭化層形成を促進する役割があり、さらに(B)成分には発泡粒子の発泡を促進する効果があるため、より大きな断熱層が形成され、ガスケットに対する高い難燃性能が発揮されるのである。
【0048】
(C)成分
本発明において(C)として難燃助剤を加えることができる。難燃助剤は、熱分解による吸熱と、不活性ガスによる酸素や可燃性ガスの希釈により燃焼時の延焼を抑制することができる。(C)成分としてハロゲンやアンチモンを含まないものが使用できる。
【0049】
この難燃助剤としては、メラミン、メラミンシアヌレートおよびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートが挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。なかでも、後述する熱可塑性樹脂として、低い熱軟化温度を有するものを使用した場合、すなわち、組成物(G)の層にホットメルト樹脂層としての役割を持たせた場合において、ガスケット形成の際の、芯材との接着性および回捲された難燃性金属被覆布帛同士の接着性と難燃性能との点で、メラミンシアヌレートを使用することができる。
【0050】
ここで、組成物(G)の層(以下、難燃層と称する場合がある)にホットメルト樹脂層としての役割を持たせた場合、難燃層を形成した面が芯材に接するように難燃性金属被覆布帛を回捲して、ガスケットを作製する。このとき、難燃層(ホットメルト樹脂層)は、芯材との接着、および、前記布帛の捲き終わりの部分における難燃性金属被覆布帛同士の接着を担うため、前記のように、芯材との接着性および回捲された難燃性金属被覆布帛同士の接着性が重要となる。
【0051】
難燃助剤の配合量は、ある実施形態においては熱可塑性樹脂(E)100重量部に対して5〜75重量部とすることができ、別の実施形態においては10〜40重量部とすることができる。難燃助剤(C)の配合量が上記の範囲にある場合に難燃性金属被覆布帛に所望の難燃性能を付与することができるとともに難燃性金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを防止できる。
【0052】
(D)成分
本発明において(D)成分として発泡剤粒子を加えることができる。発泡剤粒子は、発泡断熱層の形成と不活性ガスによる酸素や可燃性ガスの希釈により、燃焼時の延焼を抑制することができる。ガスケット芯材はクッション性が要求されるため、材料に空隙が多く、空気を取り込みやすい構造となっている。その結果、着炎が起こると炎の伝播が非常に早く、延焼しやすい。加えて、ガスケット芯材に利用される材料は、熱により溶融するものが多く、燃焼時に有炎または無炎の滴下物を生じやすい。このようなガスケット芯材を難燃化するには、断熱層の形成と滴下物の抑制が必要となる。(D)成分としてハロゲンやアンチモンを含まないものが使用できる。
【0053】
前記発泡剤粒子(D)としては、熱膨張性黒鉛、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルおよびN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。なかでも、発泡性および膨張性の点で、熱膨張性黒鉛を使用することができる。熱膨張性黒鉛は、積層されたリンペン状黒鉛の間に酸が挿入されたものであり、燃焼時の熱により挿入された酸からガスを発生し、リンペン状の黒鉛が膨張することにより発泡断熱層を形成する。
【0054】
発泡剤粒子(D)の配合量は、ある実施形態においては熱可塑性樹脂(E)100重量部に対して2〜50重量部とすることができ、別の実施形態においては5〜40重量部とすることができる。発泡剤粒子(D)の配合量を上記の範囲に設定することによって、発泡効果を確保し十分な断熱層を形成して難燃性金属被覆布帛に所望の難燃性能を付与することができる。また、難燃性金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを防止するとともに、ガスケットを形成した場合の芯材および導電性の布帛両者への接着性を確保することができる。なお、接着性が不十分であるとガスケットのラッピング部分が開き、そこから酸素が供給され易くなるために、十分な難燃性能が得られないこともある。
【0055】
発泡剤粒子(D)の平均粒子径は300μm以下にすることができる。また別の実施形態では13〜300μmとすることができる。さらに別の実施形態では50〜300μmとすることができる。発泡剤微粒子はある程度の粒子径分布をもつ粒子の集まりである。出願人はその平均粒子径を所定の範囲とすることで、難燃性能と接着性および金属被覆布帛に組成物(G)を付与した際の柔軟性を満たすことができることを見いだした。発泡剤粒子の平均粒子径を上記の範囲に設定することによって、所望の発泡倍率を維持し、十分な断熱層を形成し、難燃性金属被覆布帛に所望の難燃性能を付与することができる。また、発泡剤粒子の平均粒子径を上記の範囲に設定することによって、難燃性金属被覆布帛の風合が粗硬になるのを防止することができる。さらに、組成物(G)の層にホットメルト樹脂層としての役割を持たせた場合において、ガスケット形成の際に熱可塑性樹脂の芯材への浸透を阻害せず、芯材との接着性、および、回捲された難燃性金属被覆布帛同士の接着性を確保することができる。また更に、組成物(G)を金属被覆布帛に付与する際に、発泡剤粒子の分散性を均一(スジ、ムラ等がない)に保ち、これによって均一な発泡断熱層を形成して難燃性能を維持することができる。
【0056】
(F)成分
本発明において(F)成分としてリン酸トリエステルを用いることが出来る。リン酸トリエステルは組成物(G)からなる層を可塑化させることができる。(F)成分としてハロゲンやアンチモンを含まないものが使用できる。
【0057】
ある実施形態において、リン酸トリエステルのリン含有量は6〜11重量%とすることができる。また、別の実施形態では、リン含有量が8〜10重量%になっていてもよい。リン酸トリエステルのリン含有量を上記の範囲に設定することによって、難燃性被膜の難燃性能を高度に維持しつつ、十分な可塑化効果を得て、所望の難燃性被膜を形成することができる。
【0058】
リン酸トリエステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ビフェニルジフェニルホスフェートなどを挙げることができ、これらが2種類以上組み合わされていてもよい。ある実施例においては、ビフェニルジフェニルホスフェートを使用することができる。このようなリン酸トリエステルは環境耐久性試験で代表されるような長時間高温高湿状況下において酸が発生して系のpHを低下させない。なお、このようなリン酸トリエステルには不純物として酸性リン酸エステル、例えばリン酸モノエステルやリン酸ジエステルが含まれることがあるかもしれないが、本発明の効果を阻害しない不純物である限りは含まれてもよい。
【0059】
リン酸トリエステルの配合量は、ある実施形態においては熱可塑性樹脂(E)100重量部に対して3〜40重量部とすることができ、別の実施形態においては5〜30重量部とすることができ、さらに別の実施形態においては5〜20重量部とすることができる。リン酸トリエステルの配合量を上記の範囲に設定することによって、十分な可塑化効果を得るともに、ブリードアウトを適切に防止することができる。またリン酸トリエステルの配合量を上記の範囲に設定することによって、層のべたつきを適切に防止することができる。
【0060】
(E)成分
本発明では(E)成分として熱可塑性樹脂を使用する。熱可塑性樹脂は、上述した他の構成成分を金属被覆布帛に固着させることができる。すなわちバインダー樹脂として機能させることができる。さらに、低い熱軟化温度を有するものを使用した場合、本発明の難燃性金属被覆布帛を用いて電磁波シールド用ガスケットを製造する際に、芯材となる合成樹脂発泡体などに該難燃性金属被覆布帛を接着させるためのホットメルト樹脂として作用する。
【0061】
このような目的で用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂などを挙げることができ、これらが2種類以上組み合わされていてもよい。なかでも、柔軟性を考慮すると、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を使用することができる。とくにウレタン樹脂を使用することができる。ウレタン樹脂は、難燃性を阻害し難く、且つ、風合が柔軟である。(E)成分としてハロゲンやアンチモンを含まないものが使用できる。
【0062】
熱可塑性樹脂としては、コーティング溶液を調整するための溶媒に溶解するものが使用できる。ある実施形態においては、室温においてジメチルホルムアミドに溶解して粘度が(約)の8000cpsの均一なポリマー溶液を形成できる熱可塑性樹脂が使用できる。熱可塑性樹脂であっても、高度に架橋されたものは使用を避けることができる。
【0063】
ある実施形態においては、熱可塑性樹脂は熱軟化温度70〜130℃を有している。別の実施形態においては熱可塑性樹脂は熱軟化温度80〜120℃を有している。熱可塑性樹脂の熱軟化温度を上記の範囲に設定することによって、ホットメルト樹脂として使用できる。また塗工製造時の乾燥後における巻き取りを適切に行うことができ、また梱包輸送時に巻き取り背面へ塗工樹脂が移行したりするのを防止することができる。また、ガスケットとして使用中にも、高温環境下において芯材から剥がれるなどのトラブルを防止できる。熱可塑性樹脂の熱軟化温度を上記の範囲に設定することによって、ガスケット製造時に芯材となるウレタンフォームとの接着を良好に保ち、良質なガスケットを得ることができる。また、ガスケット製造機の設定温度の条件も製造機への負荷が大きくならない条件を設定することが可能になる。
【0064】
ここで、熱軟化温度とは、熱可塑性樹脂を加熱していき、その熱可塑性樹脂が一定の値にまで変形したときの温度をいう。以下のようにして測定することができる。まず、対象の熱可塑樹脂で幅15mm×長さ50mのフィルム状のサンプルシートを作成する。尚、サンプルの厚みは任意の厚みとする。オーブン内の引張試験機のチャック間距離を20mmに設定し、得られたサンプルをセットする。ついで、前記サンプルを定荷重450g/cmで引張りながら、2℃/分で昇温していき、サンプルの長さが400mm(2倍)になった時の、オーブン内の温度を熱軟化温度とする。
【0065】
(H)その他の成分
さらに、組成物(G)には他の添加剤(H)を配合することができる。(H)成分としてハロゲンやアンチモンを含まないものが使用できる。(H)成分としての添加剤は、着色、風合調整および絶縁性などの機能性付与などを行うことができる。難燃性などの前記性能を阻害しない範囲で他の添加剤を配合することができる。このような添加剤として、例えば、シリコーンゴム、オレフィン系共重合体、変性ニトリルゴム、変性ポリブタジエンゴムなどのエラストマー、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂、および、顔料などを挙げることができる。
【0066】
本発明において用いられる組成物(G)の構成成分は、市販のものを特に制限なく用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂(E)は、有機溶剤に溶解させた状態で市販されたものを使用することができる。
【0067】
また、組成物(G)には、各種原料を溶解あるいは分散させる目的で溶媒を添加することができる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤を挙げることができる。また、工業用ガソリン、石油ナフサ、ターペンなどの鉱物油留分を用いてもよい。さらにこれらを2種類以上組み合わせることもできる。これらは、ハロゲンやアンチモンを含まないものが使用できる。
【0068】
前記溶媒は、組成物(G)を含む混合処理液の粘度は、ある実施形態では3000〜25000cpsとすることができ、また別の実施形態では8000〜20000cpsとすることができる。混合処理液の粘度を上記の範囲に設定することによって乾燥不良を防止するとともに良好な塗工性を維持することができる。
【0069】
混合処理液の調製は、特に限定されない。各種原料を均一に分散混合できる方法が使用できる。例えばプロペラ撹拌による分散混合や、ニーダー、ローラーなどの混練による分散混合を挙げることができる。
【0070】
本発明の難燃性金属被覆布帛は、金属被覆布帛に、例えばダイレクトコーティング法、ラミネート法またはボンディング法により、組成物(G)からなる層を形成させることにより製造することができる。
【0071】
コーティング法としては、ナイフコーター、ロールコーター、スリットコーターなどを用いた通常の方法を採用することができる。
【0072】
混合処理液を金属被覆布帛にコーティングなどした後、乾燥などにより溶媒を取り除き、組成物(G)からなる難燃性被膜の層を形成させる。
【0073】
金属被覆布帛に対する混合処理液の付与量は、ある実施形態においては組成物(G)からなる層の重量として、100〜300重量%とすることができ、また別の実施形態においては150〜250重量%とすることができる。付与量を上記の範囲に設定することによって、高度な難燃性を得るとともに、布帛本来の柔軟性が失われるのを防止することができる。
【0074】
上記の例示のように行うことによって難燃性金属被覆布帛を得ることができる。なお、組成物(G)からなる層は、布帛の片面だけでなく、両面に形成させてもよい。また、この層を形成後、その他の機能性を付与する加工、あるいはカレンダー加工などの特殊加工を行ってもよい。
【0075】
なお、金属被覆布帛には、裏漏れを防止する目的で、予め、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリエステル樹脂などによる目止めコーティングを行ってもよい。目止めコーティングは、片面であっても両面であってもよいが、少なくとも、難燃層を形成する面に、目止めコーティングを施すことができる。
【0076】
また、目止めコーティングに使用する樹脂には着色を目的に顔料を添加しても、さらなる難燃性向上を目的に難燃剤を添加してもよい。このとき、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物以外の難燃剤を選択することは、言うまでもない。
【0077】
前記樹脂の付与量は、ある実施形態においては全量で1〜15g/mとすることができ、また別の実施形態においては3〜7g/mとすることができる。樹脂の付与量を上記の範囲に設定するとによって十分な目止め効果を得て、難燃樹脂を塗布した際に難燃樹脂が裏漏れするのを有効に防止できる。また樹脂の付与量を上記の範囲に設定するとによって、難燃性金属布帛の風合が粗硬くなるのを防止できる。
【0078】
また、本発明の難燃性金属被覆布帛を用いて、電磁波シールド用ガスケットを作成する際には、芯材として柔軟で圧縮復元性に富み、三次元構造を有する合成樹脂発泡体を用いることができる。
【0079】
これらの発泡体の例として、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などの難燃性を特徴とする合成樹脂からなる発泡体や、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂等に難燃剤を添加した後に発泡させた発泡体、または、発泡させた後に難燃剤を含浸、またはコーティング、またはスプレーにより付与された発泡体でもよい。これらの中でも、難燃剤を添加したポリウレタン樹脂を使用することができる。ポリウレタン樹脂は、発泡させた発泡体が、柔軟で圧縮復元性に富み、工程数も少なく、経済性にも優れている。また、用いられる難燃剤は、ハロゲン系化合物やアンチモン化合物、赤リン以外の難燃剤であれば、特に限定はされない。
【0080】
本発明の電磁波シールド用ガスケットは、熱可塑性樹脂(E)として低熱軟化温度を有するものを使用した場合は、前記合成樹脂発泡体の芯材に、本発明の難燃性金属被覆布帛の難燃層を有する面を内側にして捲きつけた後、熱可塑性樹脂の熱軟化点以上の温度に加熱して、芯材と難燃性金属被覆布帛とを接着させることにより得ることができる。
【0081】
また、本発明の難燃性金属被覆布帛の難燃層を有する面に、ホットメルト樹脂をラミネートして、そのラミネート面を内側にして捲きつけた後、そのホットメルト樹脂の熱軟化点以上の温度に加熱して、芯材と難燃性金属被覆布帛とを接着させることにより得ることができる。
【0082】
なかでも、得られたガスケットの柔軟性が優れる点で、低熱軟化温度を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0083】
本発明の難燃性金属被覆布帛を使用すると、UL94 V−0試験法に従う難燃性を満たすガスケットを作製することができる。例えば、厚さ3mm、幅13mmの寸法を有し、重量約0.2グラムのウレタン発泡体からなる芯材(ハロゲン化合物やアンチモン化合物を含まないもの)と、その芯材の周囲を包む本発明の難燃性金属被覆布帛とからなるガスケットは、UL94 V−0を満たす。
【0084】
本発明の難燃性金属被覆布帛は、JIS L 1096 A法(45°カンチレバー法)に従う剛軟性を100以下にすることができる。また別の実施形態においては剛軟性を90以下にすることができる。更に別の実施形態においては剛軟性を約50〜約80にすることができる。
【0085】
本発明のある実施形態においては、温度60℃、湿度90%の条件下、1,000時間の環境耐久性試験を行った後の難燃性金属被覆布帛の表面導通性を、0.2Ω以下にすることができる。また別の実施形態においては、0.1Ω以下にすることができる。更に別の実施形態においては0.04Ω以下にすることができる。
【0086】
本発明のある実施形態においては、温度60℃、湿度90%の条件下、1,000時間の環境耐久性試験を行った後にも、難燃性金属被覆布帛の金属被膜の変色(腐食性)が確認できないようにすることができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。実施例中の「部」および「%」は重量基準であるものとする。また、得られた難燃性金属被覆布帛またはガスケットの性能は、次の方法により評価した。
【0088】
(1)難燃性
得られたガスケットAについて、UL94 V−0試験法に従い難燃性を評価した。
【0089】
(2)ホットメルト接着性
得られたガスケットBを一日間放置し、芯材から金属被覆布帛を剥がした。芯材と接着していた金属被覆布帛の表面を目視にて観察し、評価した。
○ 芯材が材料破壊し、金属被覆布帛面に接着している。
× 芯材が殆ど材料破壊しない。
【0090】
(3)剛軟性
得られた難燃性金属被覆布帛について、JIS L 1096 A法(45°カンチレバー法)に従い剛軟性を測定した。数値が小さいほど風合いが柔軟である。
【0091】
(4)環境耐久性
恒温恒湿器(タバイ・エスペック製、PR3KPH)を60℃、90%に設定し、得られた難燃性金属被覆布帛を、1000時間投入放置した。その後、以下の(4−1)および(4−2)の評価を行なった。
【0092】
(4−1)表面導通性
抵抗値測定器(三菱化学(株)製、Loresta−EP MCP−T360 ESPタイプ)を用い、難燃性被膜の形成されていない面の抵抗値を測定した。
【0093】
(4−2)金属被膜の変色(腐食性)
1000時間投入前の金属被膜表面と、1000時間後の金属被膜表面の変色を比較観察し、腐食の有無を評価した。難燃性被膜の形成されていない面から観察した。
【0094】
[実施例1]
(金属被覆布帛の作製)
ポリエステル系繊維織物(経糸56dtex/36f、緯糸56dtex/36f)を精練、乾燥、熱処理した後、塩化パラジウム0.3g/L、塩化第一錫30g/L、36%塩酸300ml/Lを含む40℃の水溶液に2分間浸漬後水洗した。続いて、酸濃度0.1N、30℃のホウ沸化水素酸に5分間浸漬後水洗した。次に、硫酸銅7.5g/L、37%ホルマリン30ml/L、ロッシェル塩85g/Lを含む30℃の無電解銅メッキ液に5分間浸漬後水洗した。続いて、スルファミン酸ニッケル300g/L、ホウ酸30g/L、塩化ニッケル15g/Lを含む、pH3.7、35℃の電気ニッケルメッキ液に10分間、電流密度5A/dmで浸漬しニッケルを積層させた後水洗した。織物には銅が10g/m、ニッケルが4g/mメッキされた。得られた金属被覆布帛の目付は64g/mであった。
【0095】
得られた金属被覆布帛の両面に、下記処方1の目止め樹脂をナイフを用いてコーティングし、130℃で1分間乾燥した。付与量は固形分で全量6g/mであった。
【0096】
処方1
クリスボン2016EL 100部
(大日本インキ工業(株) 製、ポリウレタン樹脂、固形分30%)
クリスボンNX 3部
(大日本インキ工業(株) 製、イソシアネート架橋剤、固形分75%)
メチルエチルケトン 適量
【0097】
メチルエチルケトンの添加量を調整することにより、粘度を6000cpsに調整した。
【0098】
(難燃層の形成)
次に、得られた金属被覆布帛の片面に下記処方2の混合処理液をナイフを用いてコーティングし、130℃で2分間乾燥した。付与量は固形分で120g/mであった。
【0099】
処方2
ジエチルホスフィン酸アルミニウム 20部
2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン
16部
メラミンシアヌレート 12部
熱膨張性黒鉛(平均粒子径50μm) 12部
ビフェニルジフェニルホスフェート 10部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 40部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0100】
ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0101】
(ガスケットAの作製)
得られた難燃性金属被覆布帛を、芯材(厚さ3mm、幅13mmのブリヂストン製ウレタン発泡体エバーライトGNK)に巻きつけ、加熱金型温度170℃×3秒で処理して接着し、布巻きガスケットを作成した。得られたガスケットを長さ125mmにカットして、ガスケットAを得た。なお、芯材は、ハロゲン化合物やアンチモン化合物を含んでいない。
【0102】
(ガスケットBの作製)
得られた難燃性金属被覆布帛を、芯材(厚さ10mm、幅10mmのブリヂストン製ウレタン発泡体エバーライトGNK)に巻きつけ、加熱金型温度170℃×3秒で処理して接着し、布巻きガスケットBを作成した。なお、芯材は、ハロゲン化合物やアンチモン化合物を含んでいない。
【0103】
[実施例2]
難燃層の形成に下記処方3の混合処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0104】
処方3
ジエチルホスフィン酸アルミニウム 28部
2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン
8部
メラミンシアヌレート 8部
熱膨張性黒鉛(平均粒子径50μm) 12部
ビフェニルジフェニルホスフェート 6部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 40部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0105】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0106】
[実施例3]
難燃層の形成に下記処方4の混合処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0107】
処方4
ジエチルホスフィン酸アルミニウム 20部
2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン
16部
メラミンシアヌレート 12部
熱膨張性黒鉛(平均粒子径50μm) 12部
ビフェニルジフェニルホスフェート 10部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 40部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0108】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0109】
[実施例4]
難燃層の形成に下記処方5の混合処理液を用いて、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。更にエステル系ホットメルトウレタンシート(エルファン ―PH413 日本マタイ(株)製)を同一面にラミネート処理し、接着層を設けた。
【0110】
処方5
ジエチルホスフィン酸アルミニウム 28部
2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン
8部
メラミンシアヌレート 8部
熱膨張性黒鉛(平均粒子径50μm) 12部
ビフェニルジフェニルホスフェート 6部
(リン含有量8.8%)
レザミンME−3612LP 40部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度140〜150℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0111】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0112】
[実施例5]
難燃層の形成に下記処方6の混合処理液を用いて、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0113】
処方6
ジエチルホスフィン酸アルミニウム 60部
2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン
2部
メラミンシアヌレート 1.2部
熱膨張性黒鉛(粒子径50μm) 2部
ビフェニルジフェニルホスフェート 0.8部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 40部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0114】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0115】
[実施例6]
難燃層の形成に下記処方7の混合処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0116】
処方7
ジエチルホスフィン酸アルミニウム 20部
2,4,6−トリメトキシ−2,4,6−トリフェノキシシクロトリホスファゼン
16部
メラミンシアヌレート 12部
熱膨張性黒鉛(粒子径50μm) 30部
ビフェニルジフェニルホスフェート 10部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 40部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0117】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0118】
[比較例1]
難燃層の形成に下記処方8の混合処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0119】
処方8
ポリリン酸アンモニウム 22部
メラミンシアヌレート 25部
熱膨張性黒鉛(平均粒子径50μm) 11部
ビフェニルジフェニルホスフェート 10部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 30部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0120】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0121】
[比較例2]
難燃層の形成に下記処方9の混合処理液を用いて、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0122】
処方9
ホスホン酸エステル 25部
メラミンシアヌレート 20部
熱膨張性黒鉛(平均粒子径50μm) 18部
ビフェニルジフェニルホスフェート 15部
(リン含有量8.8%)
レザミンUD―1305 30部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度90〜100℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0123】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0124】
なお、処方9で使用したホスホン酸エステルは、酸性ホスホン酸エステル(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチルジメチルホスホネート−P−オキサイドと、別のホスホン酸エステル(ビス[(5−エチル−2−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−5−イル)メチル]メチルホスホネート−P,P´−ジオキサイド)の重量比8:2混合物からなる。
【0125】
[比較例3]
片面のみに目止め樹脂をナイフを用いてコーティングし、同一面に下記処方10により難燃性の層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0126】
処方10
デカブロモジフェニルエーテル 47部
三酸化アンチモン 24部
ビフェニルジフェニルホスフェート 14部
(リン含有量8.8%)
レザミンME−3612LP 30部
(エステル系ウレタン樹脂、大日精化工業(株)製、熱軟化温度140〜150℃)
ジメチルホルムアミド 適量
【0127】
なお、ジメチルホルムアミドの添加量を調整することにより、粘度を8000cpsに調整した。
【0128】
前記実施例および比較例について、評価結果を表1に示す。
【0129】
【表1】

【0130】
表1の結果から明らかなように、実施例1−3において特に良好な結果が得られたことが確認できた。実施例4は実施例1−3などに比べると風合いがやや硬いが、他の点においては良好であった。
【0131】
[実施例7〜12]
難燃層の形成に表2の混合処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。
【0132】
【表2】

【0133】
実施例7〜12について、評価結果を表3に示す。ホットメルト接着強度は接着条件、アイロン180℃×10秒による自背面接着強度を測定した。
【0134】
【表3】

【0135】
表3から明らかなように、特に実施例7〜11において、特に良好な結果が得られたことが確認できた。
【0136】
[実施例13〜16]
熱膨張性黒鉛の平均粒子径を13μm(実施例13)、150μm(実施例14)、300μm(実施例15)、500μm(実施例16)とし、実施例9と同様の混合処理液を用いたこと以外は実施例1と同様にして難燃性金属被覆布帛およびガスケットを得た。評価結果を表4に実施例9を含めて示す。
【0137】
【表4】

【0138】
表4から明らかなように、特に実施例13〜15において特に良好な結果が得られたことが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属被覆布帛の少なくとも片面側に、以下の(A)〜(E)を含む組成物からなる層を有する難燃性金属被覆布帛。
(A)有機ホスフィン酸塩
(B)ホスファゼン化合物
(C)メラミン、メラミンシアヌレートおよびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートから選ばれる少なくとも1種の難燃助剤
(D)熱膨張性黒鉛、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルおよびN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種の発泡剤粒子
(E)熱可塑性樹脂
【請求項2】
前記組成物中において、(D)熱膨張性黒鉛、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルおよびN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種の発泡剤粒子 2〜50重量部、(E)熱可塑性樹脂 100重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項3】
更に、(F)リン酸トリエステル 3〜40重量部を含む組成物からなる層を有する請求項1に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項4】
(A)有機ホスフィン酸塩が、下記一般式(I)で表わされる請求項1に記載の難燃性金属被覆布帛。
【化1】

(式中、RおよびRは、メチル基またはエチル基であり、同一でも異なっていても良い。Mは、マグネシウムまたはアルミニウムであり、mは2または3を表わす。)
【請求項5】
(B)ホスファゼン化合物が、下記一般式(II)で表わされる請求項1に記載の難燃性金属被覆布帛。
【化2】

(式中、RおよびRは、メトキシ基、エトキシ基またはフェノキシ基であり、同一でも異なっていても良い。nは3〜7を表わす。)
【請求項6】
前記(D)発泡剤の平均粒子径が、300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項7】
前記(F)リン酸トリエステルのリン含有量が6〜11重量%であり、かつハロゲンを含まないことを特徴とする請求項3に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項8】
前記(E)熱可塑性樹脂が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項9】
前記(E)熱可塑性樹脂が、熱軟化温度70〜130℃であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項10】
前記組成物からなる層が、金属被覆布帛に対して100〜300重量%であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項11】
前記金属被覆布帛の表面を被覆する金属が、銅および/またはニッケルであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項12】
前記金属被覆布帛の表面を被覆する金属の被膜が、1層または2層であることを特徴とする請求項11に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項13】
前記金属被覆布帛を構成する金属被膜量が、5〜80g/m2であることを特徴とする請求項11に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項14】
前記金属被覆布帛が、温度60℃、湿度90%の条件下、1,000時間の環境耐久性試験において、金属被膜表面の変色および腐食をきたさない請求項11に記載の難燃性金属被覆布帛。
【請求項15】
合成樹脂発泡体からなる芯材と、該芯材を回捲する請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の難燃性金属被覆布帛とを有する電磁波シールド用ガスケット。
【請求項16】
第一の表面と第二の表面とを有する金属被覆布帛と、該第一の表面側に形成されたコーティング層とからなる、ハロゲンおよびアンチモンを含まない難燃性金属被覆布帛であって、
該コーティング層は、有機リン系化合物、および熱可塑性樹脂を含み、
該難燃性金属被覆布帛は、温度60℃、湿度90%の条件下、1,000時間の環境耐久性試験において系のpHを低下させる難燃剤を含まず、
該難燃性金属被覆布帛は、前記環境耐久性試験を行った後に0.2Ω以下の表面導通性を有し、
該難燃性金属被覆布帛は、前記環境耐久性試験を行った後に金属被膜表面の変色がなく、しかも
該難燃性金属被覆布帛を使用して作製したガスケットがUL94 V−0試験法による難燃性を満たす難燃性金属被覆布帛。
【請求項17】
酸性ホスホン酸エステルおよびポリリン酸アンモニウムのいずれも含まない請求項16に記載の前記難燃性金属被覆布帛。
【請求項18】
酸性ホスホン酸エステルおよびアンモニウム塩のいずれも含まない請求項16に記載の前記難燃性金属被覆布帛。
【請求項19】
ホスホン酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩、酸性ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステルおよびアンモニウム塩のいずれも含まない請求項16に記載の前記難燃性金属被覆布帛。
【請求項20】
前記有機リン系化合物が下記一般式(I)で表わされる有機ホスフィン酸塩である請求項16に記載の難燃性金属被覆布帛。
【化3】

(式中、RおよびRは、メチル基またはエチル基であり、同一でも異なっていても良い。Mは、マグネシウムまたはアルミニウムであり、mは2または3を表わす。)
【請求項21】
前記有機リン系化合物として下記一般式(II)で表わされるホスファゼン化合物をさらに含む請求項20に記載の難燃性金属被覆布帛。
【化4】

(式中、RおよびRは、メトキシ基、エトキシ基またはフェノキシ基であり、同一でも異なっていても良い。nは3〜7を表わす。)
【請求項22】
前記コーティング層は、熱膨張性黒鉛、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルおよびN,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種の発泡剤粒子を含み、前記発泡剤の平均粒子径は300μm以下である請求項16に記載の難燃性金属被覆布帛。

【公開番号】特開2008−285804(P2008−285804A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108100(P2008−108100)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【出願人】(592092032)大京化学株式会社 (19)
【Fターム(参考)】