説明

電力供給監視装置、画像処理装置

【課題】装置周りで移動体を検出する領域の最適化を図り、検出する移動体が操作実行者か否かの区別の確実性を向上する。
【解決手段】画像処理装置10の設置場所や設置状況に基づいて、簡単な構成で人感センサ28の検出領域を調整する構成を具備した。基本的には、画像処理装置10に取り付けた人感センサ28の検出部28Bの検出面をマスク34によって一部を遮ることで、検出範囲を制限する構造であり、3種類の開口部34Aが形成されたマスク34を備える。一例として、開口部34Aの開口面積が異なるパターン(相対的に中面積、大面積、小面積)が形成されたマスク34を一対の案内部材36に沿って摺動させると、同軸円上に異なる半径の検出範囲が設定可能である。従って、画像処理装置10の設置場所が通路である場合、その通路の幅寸法等に合わせて、マスク34を摺動させることで、最大範囲Mを含めて4種類の検出範囲の中から選択して設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給監視装置、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、省エネルギー時に駆動が必要な人体検知センサを時分割駆動にしておき、実際に人体を検出したら時分割の周期を短くするなどして、時分割駆動による人体検知センサの平均電力を省エネすることが記載されている。また、機器が操作中の場合には、人体検知センサを駆動停止してさらに省エネすることも記載されている。
【0003】
特許文献2には、画像処理装置に人感センサを設置して、当該画像処理装置に近づいてきた人を検出して、画像処理装置の電源を立上げて、消費電力の低減と利便性の両立を実現することが提案されている。
【0004】
より詳しくは、人感センサとして、2点に設置された距離検出手段を採用し、人体の移動方向が所定のエリアに向かっているかどうかを判断し、その判断結果に基づいて、画像形成装置本体を制御しており、人感センサによる人体の接近の際、画像形成装置に近づいてきて、操作することなく素通りするといった事象(単なる歩行者)に対して、前記立上げが実行される場合を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−071833号公報
【特許文献2】特開平05−045471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置周りで移動体を検出する領域の最適化を図り、検出する移動体が操作実行者か否かの区別の確実性を向上することができる電力供給監視装置、画像処理装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、商用電力電源部から電力の供給を受け、当該電力によって動作する処理部に対して電力を供給する電力供給モード、及び、前記処理部への電力供給を休止する節電モードを選択的に実行する電力供給制御手段と、前記処理部に対して使用する意志のある使用者を含み、当該処理部の周りの所定範囲内で、移動体を検出する検出手段と、前記検出手段を、前記処理部に対して使用する意志のある使用者を特定するための位置、面積を含む検出領域を調整可能に取り付ける取付手段と、前記検出手段で前記移動体を検出したとき、前記節電モードから前記電力供給モードへ移行するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記電力供給制御手段を制御する制御手段と、を有している。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記取付手段が、前記検出手段の検出面の一部を遮蔽することで検出領域を制限するマスクを備え、前記マスクの取付位置によって前記検出領域の調整を行なう。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記マスクと前記検出手段との相対位置を変更可能な案内手段をさらに有し、前記マスクには、予め複数の検出領域形態が形成されており、前記案内手段によって前記マスクと前記検出手段とを相対移動させることで、前記マスクに形成された検出領域形態を選択的に適用する。
請求項2記載の電力供給装置。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記処理部には、前記処理装置全体の外観輪郭が変更される後付装置が着脱可能であり、当該後付装置の装着状態に基づいて、前記検出領域が調整される。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電力供給監視装置を備え、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部の少なくとも1つを含んでおり、前記画像読取部、前記画像形成部、前記ファクシミリ通信制御部が、使用者から指示される、画像読取機能、画像形成機能、画像複写機能、ファクシミリ受信機能、ファクシミリ送信機能の各画像処理機能に対して、相互に連携しあって当該画像処理機能を実行する画像処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項5記載の発明によれば、装置周りで移動体を検出する領域の最適化を図り、検出する移動体が操作実行者か否かの区別の確実性を向上することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、予め複数種類の検出領域の調整範囲を定めておくことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて調整機構を簡素化することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて処理装置の外観変化に適正にすることができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の概略図である。
【図2】本実施の形態に係るメインコントローラと電源装置との概略構成図である。
【図3】(A)は画像読取部の下面に取付けられた人感センサ及びその周辺の取付構造を示す斜視図、(B)は図3(A)の拡大斜視図である。
【図4】(A)は開口面積が異なる複数の開口部が形成されたマスクの正面図、(B)はそれぞれの開口部での検出領域を示す斜視図である。
【図5】(A)は開口軸が左右に偏心した複数の開口部が形成されたマスクの正面図、(B)はそれぞれの開口部での検出領域を示す斜視図である(ICカードリーダー対応)。
【図6】(A)は開口位置が奥行き方向に偏心した複数の開口部が形成されたマスクの正面図、(B)はそれぞれの開口部での検出領域を示す斜視図である。
【図7】(A)は開口位置、形状、面積等が異なる複数の自由形状開口部が形成されたマスクの正面図、(B)はそれぞれの開口部での検出領域を示す斜視図である(オプション装置対応)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部240と、原稿画像を読み取る画像読取部238と、ファクシミリ通信制御回路236を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ200を備えており、画像形成部240、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を制御して、画像読取部238で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部12又はファクシミリ通信制御回路236へ送出したりする。
【0018】
メインコントローラ200にはインターネット等のネットワーク通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路236には電話回線網22が接続されている。メインコントローラ200は、例えば、ネットワーク通信回線網20を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路236を介して電話回線網22を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0019】
画像形成部240は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、顕像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
【0020】
画像読取部238は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0021】
画像処理装置10には、入力電源線244の先端にコンセント245も取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源242の配線プレート243に、当該コンセント245を差し込むことで電力の供給を受けるようになっている。
【0022】
図2は、前記メインコントローラ200によって制御されるデバイス、並びにメインコントローラ200、並びに各デバイスへ電源を供給するための電源装置202の電源ラインを主体とした概略構成図である。
【0023】
(メインコントローラ200)
図2に示される如く、メインコントローラ200は、CPU204、RAM206、ROM208、I/O(入出力部)210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。I/O210には、UI制御回路214を介してUIタッチパネル216が接続されている。また、I/O210には、ハードディスク(HDD)218が接続されている。ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて、CPU204が動作することによって、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
【0024】
I/O210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、I/O210には、ファクシミリ通信制御回路(モデム)236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスに接続されている。
【0025】
なお、前記タイマ回路220は、前記ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240を節電状態(電源非供給状態)とするための契機として、初期設定時間の計時を行うものである。
【0026】
メインコントローラ200及び各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)は、電源装置202から電源が供給される(図2の点線参照)。なお、図2では、電源線を1本の線(点線)で示しているが、実際には2本〜3本の配線である。
【0027】
(電源装置202)
図2に示される如く、商用電源242から引き込まれた入力電源線244は、メインスイッチ246に接続されている。メインスイッチ246がオンされることで、第1の電源部248及び第2の電源部250へ電力供給が可能となる。
【0028】
第1の電源部248は、制御用電源生成部248Aを備え、メインコントローラ200の電源供給制御回路252に接続されている。電源供給制御回路252は、メインコントローラ200に電源供給すると共に、I/O210に接続され、メインコントローラ200の制御プログラムに従って、前記各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)への電源供給線を導通/非導通させるためのスイッチング制御を行う。
【0029】
一方、第2の電源部250へ接続される電源線254には、第1のサブ電源スイッチ256(以下、「SW−1」という場合がある。)が介在されている。このSW−1は、前記電源供給制御回路252で、オン・オフが制御されるようになっている。
【0030】
また、第2の電源部250は、高電圧電源生成部250Hと低電圧電源生成部(LVPS)250Lを備えている。高電圧電源生成部250Hは主として画像形成部240の定着部のヒータ等で使用される電源であり、低電圧電源生成部250Lから生成される。
【0031】
第2の電源部250の高電圧電源生成部250H及び低電圧電源生成部(LVPS)250Lは、選択的に、画像読取機能電源供給部258、画像形成機能電源供給部260、画像複写機能電源供給部262、ファクシミリ受信機能電源供給部264、ファクシミリ送信機能電源供給部266に接続されている。
【0032】
画像読取機能電源供給部258は、低電圧電源生成部(LVPS)250Lを入力源として、第2のサブ電源スイッチ268(以下、「SW−2」という場合がある。)を介して、画像読取部238に接続されている。
【0033】
画像形成機能電源供給部260は、高電圧電源生成部250Hと低電圧電源生成部(LVPS)250Lを入力源として、第3のサブ電源スイッチ270(以下、「SW−3」という場合がある。)を介して、画像形成部240に接続されている。
【0034】
画像複写機能電源供給部262は、高電圧電源生成部250Hと低電圧電源生成部(LVPS)250Lを入力源として、第4のサブ電源スイッチ272(以下、「SW−4」という場合がある。)を介して、画像読取部238及び画像形成部240に接続されている。
【0035】
ファクシミリ受信機能電源供給部264は、高電圧電源生成部250Hと低電圧電源生成部(LVPS)250Lを入力源として、第5のサブ電源スイッチ274(以下、「SW−5」という場合がある。)を介して、ファクシミリ通信制御回路236及び画像形成部240に接続されている。
【0036】
ファクシミリ送信機能電源供給部266は、低電圧電源生成部(LVPS)250Lを入力源として、第6のサブ電源スイッチ276(以下、「SW−6」という場合がある。)を介して、ファクシミリ通信制御回路236及び画像読取部238に接続されている(通信レポート等の出力を除く)。
【0037】
前記第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第4のサブ電源スイッチ272、第5のサブ電源スイッチ274、第6のサブ電源スイッチ276は、それぞれ前記第1のサブ電源スイッチ256と同様に、メインコントローラ200の電源供給制御回路252からの電源供給選択信号に基づいて、オン・オフ制御される。
【0038】
上記構成では、機能別に各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)を選択した電源を供給し、指示された機能に不要なデバイスへの電源を供給しないため、必要最小限の電力で済む。
【0039】
(節電中の監視)
ここで、本実施の形態のメインコントローラ200は、必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。或いは、メインコントローラ200の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。その中で、常に電力を供給を受ける素子として、節電中監視制御部24がI/O210に接続されている。この節電中監視制御部24は、例えば、ASICと称される、自身で動作プログラムが格納され、当該動作プログラムで処理されるCPU,RAM,ROM等を備えたICチップ等で構成することができる。
【0040】
ところで、前記節電中の監視において、例えば、UIタッチパネル216の操作や、所謂ハードキー(コピー指示、ファクシミ指示等を行なうための操作ボタン等)の操作があることで、節電中であったデバイスに対して、節電中監視制御部24では、第1のサブ電源スイッチ256、第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第4のサブ電源スイッチ272、第5のサブ電源スイッチ274、第6のサブ電源スイッチ276を制御することで、電力を供給を行なうことが前提である。
【0041】
また、メインコントローラ200のI/O210には、節電解除ボタン26が接続されており、節電中に使用者がこの節電解除ボタン26を操作することで、節電が解除可能となっている。
【0042】
ここで、前記UIタッチパネル216の操作や所謂ハードキー(節電解除ボタン26を含む)の操作を監視するためには、節電中監視制御部24以外に、メインコントローラ200のUIタッチパネル216等に電力を供給しておくことが前提となる。
【0043】
従って、節電モードであっても、UIタッチパネル216等の入力系を主体とした必要最小限の電力供給は供給されているのが現状である。
【0044】
さらに、使用者が画像処理装置10の前に立ち、その後に節電解除ボタン26を操作して、電力供給を再開した場合、画像処理装置10が立ち上がるまでに時間を要する場合があった。
【0045】
そこで、本実施の形態では、上記節電モード中の監視体制によるメインコントローラ200への電力供給量低減に対して、当該メインコントローラ200へのさらなる電力供給量低減を目的として、前記節電中監視制御部24に、人感センサ28を設置すると共に、節電モードでは、人感センサ28と、前記節電中監視制御部24以外への電力供給を遮断するようにした。
【0046】
なお、人感センサ28は、「人感」としているが、これは、本実施の形態に則した固有名詞であり、少なくとも人が感知(検出)できればよく、言い換えれば、人以外の移動体の感知(検出)も含むものである。従って、以下において、人感センサの検出対象を「人」に言及する場合があるが、将来的には、人に代わって実行するロボット等も感知対象範囲である。なお、逆に、人と特定して感知できる特殊センサが存在する場合は、当該特殊センサを適用可能である。
【0047】
人感センサ28の仕様は、画像処理装置10の周囲において、人の動きを検出するものである。この場合、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサ等が代表的である。
【0048】
この焦電素子の焦電効果を用いたセンサの最大の特徴は、検出領域が広いことである。また、人の動きを感知するため、検出領域内であって、人が静止していると、人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
【0049】
本実施の形態における「静止」とは、スチルカメラ等で撮影した静止画のように完全静止も当然含まれるが、例えば、人が画像処理装置10の前に操作を目的として立ち止まることを含むものとする。従って、予め定めた範囲の微動があったり、手足、首等を動かすといった場合を静止の範疇とする。
【0050】
なお、当該「静止」を定義して人感センサ28の感度を調整するのではなく、感度は、比較的おおまか、かつ標準的に調整し、当該人感センサ28の検出状態に依存するようにしてもよい。
【0051】
人感センサ30の仕様は、人の有無(存在・不存在)を検出するものであってもよい。このようなセンサは、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等が代表的である。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
【0052】
この反射型センサ等の最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって人の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である。
【0053】
ここで、本実施の形態の画像処理装置10に搭載される、前記人感センサ28は、前述したように前記節電中監視制御部24に接続され、その検出信号が節電中監視制御部24へ入力されるようになっている。
【0054】
節電中監視制御部24では、人感センサ28からの信号に基づいて、人の接近、さらには操作の意志を見極めるようになっている。
【0055】
図3(A)に示される如く、人感センサ28は、基本的に画像処理装置10の画像読取部238の手前側上面に設けられた操作パネルに対して裏面側、すなわち、下面側に固定的に取り付けられている。
【0056】
人感センサ28の検出光軸は、画像処理装置10の前に立って操作を行なう使用者が存在すると予測される装置前方に向けられており、基本的に検出領域は、人感センサ28における人の移動又は有無を検出する最大領域Mとなる(図4(B)〜図7(B)参照)。
【0057】
ところで、画像処理装置10では、その設置場所によって人の動きが異なる場合がある。すなわち、画像処理装置10は、設置場所(例えば、事務所等)の環境によって異なる。環境によって異なるということは、人感センサ28によって検出する対象が、実際の画像処理装置10を操作する人以外の人(例えば、単に通りすぎる人、ほとんど画像処理装置10に近づかない人等)も検出する可能性がある。
【0058】
このため、本実施の形態では、画像処理装置10の設置状態に基づいて、人感センサ28による検出方向、検出領域、検出領域の形状(輪郭)を含む複数種の要素を調整可能な構造とした。この調整は、前記最大領域Mを基準とした、領域制限を意味するものである。
【0059】
図3は、前記画像処理装置の操作パネルの下面に、人感センサ28を取り付けるための取付構造が示されている。
【0060】
操作パネルの下面部30には、人感センサ28を取り付けるための矩形状の溝部32が取り付けられている。この溝部32に、人感センサ28が収容されている。
【0061】
図3(B)に示される如く、人感センサ28は、平板状の回路基板部28Aと、先端に検出面を備えた筒状の検出部28Bとで構成されており、回路基板部28Aが前記溝部32の底面に突き当てられた固定されている。この結果、検出部28Bの検出面が溝部32の開口部に位置する。なお、本実施の形態では、検出部28Bにおける検出面の光軸は、回路基板28Aの主面に対して直角とされ固定配置されているが、例えば、検出部28Bを回路基板部28Aに対して揺動可能に取り付けることで、検出面の光軸を自在に変更する構成としてもよい。この場合、後述する最大領域M(図4(B)〜図7(B)参照)の位置が、大きさを変えずに変更されることになる。なお、光軸の自在変更は、多軸構造、ボールジョイント構造、可撓性アーム構造等、特に限定されるものではない。
【0062】
前記溝部32周縁には、前記人感センサ28の検出部28Bにおける検出面に対向するように、マスク34が選択的に配置されるようになっている。マスク34は、開口面積、開口位置、開口形状が異なる開口部34Aが形成可能であり、図3(B)では、一例として、互いに開口位置が基本中心軸から偏心した3個の開口部34Aが形成されたマスク34を示している。このマスク34が取り付けられることで、人感センサ28の検出領域である、前記最大領域M(図4(B)〜図7(B)参照)が制限されるようになっている。
【0063】
前記溝部32の周囲には、対向する一対の辺のそれぞれに沿って、互いに平行となるように一対の案内部材36が取り付けられている。
【0064】
案内部材36は棒状で軸直角断面が略L字型に形成され、左右対称の状態で取り付けられている。
【0065】
この一対の案内部材36に案内されて、当該案内部材36の長手方向一端部から、前記マスク34が摺動するようになっている。マスク34には、3箇所の取り付け基準中心(図3(B)の十字一点鎖線参照)が設定されており、マスク34は、何れかの基準中心を前記検出部28Bの検出面の光軸に合わせるように位置決めされている。
【0066】
なお、マスク34は、案内部材36による摺動時の摩擦抵抗の状態にもよるが、前記位置決め後において、溝部32の周囲にマスク28をネジ止め、クリップ止め、弾性力による保持等々、周知の着脱可能な構造によって固定することが好ましい。
【0067】
なお、後述するマスクパターン(図4〜図7参照)は、基本的なパターンをその形態別に分類した設定したものであるが、それぞれのパターンを複合的に設定したパターン(例えば、開口面積が小さく、かつ光軸がずれている、開口位置が左にずれ、かつ開口面積が大きい等)が設定されるマスクを準備してもよい。
【0068】
なお、例えば、開口部が存在しないマスク34を準備し、設置場所に基づいて開口部の形状を型取り板に型取りし、この型取り板基づいて、画像処理装置10の設置現場でマスク34を加工するようにしてもよい。また、加工は型取り板を用いず、自由に加工してもよい。
【0069】
さらには、検出したい領域を入力することで、最適な開口部34Aの形状を演算処理するプログラムを備えた制御機器を搭載、或いは、サービスマンが形態するようにしてもよい。
【0070】
上記マスク34を取り付けることで、人感センサ28による検出領域が最大範囲Mに対して制限され、画像処理装置10の設置場所に基づいて、操作目的で画像処理装置10に近づいてくる使用者とそれ以外とを、最大範囲Mを用いて判定するよりも、比較的高い確率で判定精度が向上される。
【0071】
図4〜図7は、マスク34における様々な開口部34Aのパターンが示されている。
【0072】
図4は、開口面積が異なるパターンであり、図4(A)の上からマスク非装着状態、相対的に中面積マスク状態、相対的に大面積マスク状態、相対的に小面積マスク状態を示している。
【0073】
図5は、開口面積が制限され、かつ開口中心が左右に異なるパターンであり、図5(A)の上からマスク非装着状態、相対的に非偏心マスク状態、相対的に左偏心マスク状態、相対的に右偏心マスク状態を示している。
【0074】
図6は、開口面積が制限され、かつ開口中心が前後に異なるパターンであり、図6(A)の上からマスク非装着状態、相対的に非偏心マスク状態、相対的に前偏心マスク状態、相対的に奥偏心マスク状態を示している。
【0075】
図7は、開口部34Aが自由に形成されたマスク34のパターンであり、図7(A)の上からマスク非装着状態、扁平マスク状態、相対的に装置左位置ピンポイントマスク状態、相対的に装置右位置ピンポイントマスク状態を示している。
【0076】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0077】
本実施の形態の画像処理装置10では、予め定められた条件が揃うと、節電モードへ移行する。この節電モードでは、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスのみならず、節電中監視制御部24を除くメインコントローラ200、並びにUIタッチパネル216に対しても電力供給を遮断する。この場合、メインコトローラ200に接続されている節電解除ボタン26の機能も停止される。このため、周囲から画像処理装置10を見ると、完全にメイン電源スイッチが切られている状態と同等の状態となる。すなわち、節電モードが確実に実行されていることが、周囲から確認可能な状態となる(「見える化」の実現)。
【0078】
ここで、本実施の形態では、上記節電モード中の画像処理装置10に対して、電力供給を再開させる契機として、人感センサ28により、画像処理装置10の周囲を監視して、当該画像処理装置10に接近してくる人が操作を目的としているか否かを見極めて、電力供給を再開するか否かを判定するようにした。
【0079】
ところで、人感センサ28による人の検出で、節電モード中の画像処理装置10に対して電力供給を再開する場合、当然、人感センサ28で検出する人が、画像処理装置10に対して、何らかの操作をする使用者であることが好ましい。しかしながら、人感センサ28の検出範囲によっては、画像処理装置10を近傍を通過する人、或いは画像処理装置に接近したとしてもそのまま通り過ぎる人等、実際の画像処理装置10に電力供給を再開する必要がない状況が考え得る。その原因の1つとして、画像処理装置10の設置場所がある。すなわち、画像処理装置10が狭い通路に置かれると、人が通過する度に人感センサ28でこれを検出する場合がある。また、画像処理装置10が柱に沿って置かれたり、凹んだ場所に置かれることで、画像処理装置10の2方面または3方面が遮られる場合、操作しようとする人が接近しても、これを検出できない場合がある。
【0080】
或いは、画像処理装置10に、ICカードリーダ38(図5参照)、自動仕分装置40(図7参照)や大容量用紙収容装置42(図7参照)等の外形が変化するようなオプション装置が取り付けられることで、人感センサ28の検出領域に所謂死角が発生する場合がある。
【0081】
そこで、本実施の形態では、画像処理装置10の設置場所や設置状況に基づいて、簡単な構成で人感センサ28の検出領域を調整する構成を具備した。基本的には、画像処理装置10に取り付けた人感センサ28の検出部28Bの検出面をマスク34によって一部を遮ることで、検出範囲を制限する構造であり、本実施の形態では、それぞれ3種類の開口部34Aが形成された複数のマスク34を示した。
【0082】
以下、図4〜図7に従い、それぞれのマスク34の使途について説明する。
【0083】
なお、マスク非装着状態は、人感センサ28の検出部28Bの検出面を最大限利用するものであり(図4〜図7のそれぞれに示す最大領域M)、比較的に広い設置場所において、画像処理装置10に近づいてくる人を確実にかつ早期に人感センサ28により検出する場合に適している。
【0084】
図4(A)に示される如く、開口部34Aの開口面積が異なるパターン(相対的に中面積、大面積、小面積)が形成されたマスク34を一対の案内部材36に沿って摺動させると、図4(B)に示されるように、同軸円上に異なる半径の検出範囲が設定可能である。
【0085】
従って、画像処理装置10の設置場所が通路である場合、その通路の幅寸法等に合わせて、マスク34を摺動させることで、最大範囲Mを含めて4種類の検出範囲の中から選択して設定する。
【0086】
図5(A)に示される如く、開口部34Aの開口面積が制限され、かつ開口中心が左右に異なるパターン(相対的に非偏心、左偏心、右偏心)が形成されたマスク34を一対の案内部材に沿って摺動させると、図5(B)に示されるように画像処理装置10の幅方向に沿うように3箇所の検出範囲が設定可能である。
【0087】
従って、例えば、画像処理装置10の画像読取装置238の左右の何れかに認証処理用のICカードリーダ38が設置され、画像処理装置10への最初の操作が必ず認証処理であるような場合、当該ICカードリーダ38の設置場所(画像読取部238の右側、或いは左側)によって、検出範囲を設定すればよい。
【0088】
図6(A)に示される如く、開口部34Aの開口面積が制限され、かつ開口中心が前後に異なるパターン(相対的に非偏心、前偏心奥偏心)が形成されたマスク34を一対の案内部材に沿って摺動させると、図6(B)に示されるように画像処理装置10の奥行き方向に沿うように3箇所の検出範囲が設定可能である。
【0089】
従って、例えば、画像処理装置10の設置場所が、柱に沿って置かれたり、凹んだ場所に置かれ、正面からしか操作を目的とする人が近づいてこないような場合、その近づく通路方向に合わせて、マスク34を摺動させることで、3種類の検出範囲の中から選択して設定する。
【0090】
なお、図4〜図6では、開口部34Aを円形としたが、矩形、多角形、楕円形、星形等、形状は限定されるものではなく、また、1種類のマスク位置に2以上の開口部が形成されていてもよい。
【0091】
図7(A)に示される如く、開口部34Aが自由パターン(扁平、装置左位置ピンポイント装置右位置ピンポイント)で形成されたマスク34を一対の案内部材に沿って摺動させると、図7(B)に示されるように画像処理装置10の設置場所やオプション装着状態に合わせて3箇所の検出範囲が設定可能である。
【0092】
例えば、扁平形状の開口部34Aを適用されると、画像処理装置10の左右にオプション装置(自動仕分装置40や大容量用紙収容装置42)が取り付けられた状態で狭い通路に設置された場合に、オプション装置を含め全ての前面において奥行き方向は狭く設定されるので、通路の反対側の通る人は検知されず、画像処理装置10に接近する人が検出される。なお、この場合、例えば、オプション装置としての大容量用紙収容装置42に用紙を補給するために画像処理装置10に近づいてきた場合、この大容量用紙収容装置42の前にきただけで人感センサ28を人を検知し、電力供給が再開されたメインコントローラ200によって用紙補給状態が認識されることになる。
【0093】
なお、本実施の形態では、固定された人感センサ28に対して、マスク34を案内部材36に沿って摺動させて、開口部34Aを選択する構成としたが、予め開口部34A或いはこれに準じる複数の検出面制限部を予め画像処理装置10に形成しておき、検出面制限部材の中から1つまたは複数選択して、1個又は複数の人感センサ28を取付ける構成としてもよい。
【0094】
また、マスク34の移動は直線的な摺動に限られるものではなく、当然1枚1枚交換する構成でもよいし、例えば円板の周縁に複数の開口部34Aを形成し、回転させることで開口部34Aを選択する、所謂ターレット式であってもよい。さらには、人感センサ28を三次元的に移動可能な架台に支持するようにし、検出面の光軸の調整の自由度を増してもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、節電モード中の電力(節電中監視制御部24の起動に利用する電力)を商用電源242から供給を受けるようにしたが、内部電池、太陽電池、或いは、電力供給モード中に充電した充電池からの電力で動作するようにすれば、節電モード中は完全に商用電源242からの電力供給が遮断される。
【0096】
さらに、図2では、指示される処理機能毎に必要なデバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240やメインコントローラ200の一部、UIタッチパネル216等)を独立して電力供給・遮断を実行する構成としたが、例えば、電力供給モードでは全てのデバイスに電力が供給され、一方、節電モード中では、少なくとも、人感センサ28及びその監視制御系(節電中監視制御部24)にのみ電力が供給され得る構成であればよい。
【0097】
また、人感センサ28で検出した移動体の検出履歴情報に基づいて、使用目的で近づいてくる使用者を特定する確率の高い取付状態を決定するようにしてもよい。さらに、電力供給モード中、或いは節電モード中において充分な電力が確保できる場合、モータ等の駆動源を用いて、前記検出履歴情報に基づいて、人感センサ28の向きや、マスク34の開口部34Aの選択ための移動を自動的に調整可能としてもよい。
【符号の説明】
【0098】
W 壁面
20 ネットワーク通信回線網
22 電話回線網
24 節電中監視制御部
26 節電解除ボタン
28 人感センサ
28A 回路基板部
28B 検出部
30 下面
32 溝部
34 マスク
34A 開口部
36 案内部材
38 ICカードリーダ
40 自動仕分装置
42 大容量用紙収容装置
200 メインコントローラ
204 CPU
206 RAM
208 ROM
210 I/O(入出力部)
212 バス
214 UI制御回路
216 UIタッチパネル
218 ハードディスク
220 タイマ回路
222 通信回線I/F
236 ファクシミリ通信制御回路
238 画像読取部
240 画像形成部
242 商用電源
243 配線プレート
244 入力電源線
245 コンセント
246 メインスイッチ
248 第1の電源部
250 第2の電源部
248A 制御用電源生成部
252 電源供給制御回路(電力供給制御手段)
254 電源線
256 第1のサブ電源スイッチ(「SW−1」)
250H 高電圧電源生成部
250L 低電圧電源生成部
258 画像読取機能電源供給部
260 画像形成機能電源供給部
262 画像複写機能電源供給部
264 ファクシミリ受信機能電源供給部
266 ファクシミリ送信機能電源供給部
268 第2のサブ電源スイッチ(「SW−2」)
270 第3のサブ電源スイッチ(「SW−3」)
272 第4のサブ電源スイッチ(「SW−4」)
274 第5のサブ電源スイッチ(「SW−5」)
276 第6のサブ電源スイッチ(「SW−6」)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力電源部から電力の供給を受け、当該電力によって動作する処理部に対して電力を供給する電力供給モード、及び、前記処理部への電力供給を休止する節電モードを選択的に実行する電力供給制御手段と、
前記処理部に対して使用する意志のある使用者を含み、当該処理部の周りの所定範囲内で、移動体を検出する検出手段と、
前記検出手段で前記移動体を検出したとき、前記節電モードから前記電力供給モードへ移行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記電力供給制御手段を制御する制御手段と、
前記検出手段を、前記処理部に対して使用する意志のある使用者を特定するための位置、面積を含む検出領域を調整可能に取り付ける取付手段と、
を有する電力供給監視装置。
【請求項2】
前記取付手段が、前記検出手段の検出面の一部を遮蔽することで検出領域を制限するマスクを備え、前記マスクの取付位置によって前記検出領域の調整を行なう請求項1記載の電力供給監視装置。
【請求項3】
前記マスクと前記検出手段との相対位置を変更可能な案内手段をさらに有し、
前記マスクには、予め複数の検出領域形態が形成されており、前記案内手段によって前記マスクと前記検出手段とを相対移動させることで、前記マスクに形成された検出領域形態を選択的に適用する請求項2記載の電力供給監視装置。
【請求項4】
前記処理部には、前記処理装置全体の外観輪郭が変更される後付装置が着脱可能であり、当該後付装置の装着状態に基づいて、前記検出領域が調整される請求項1〜請求項3の何れか1項記載の電力供給監視装置。
【請求項5】
前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電力供給監視装置を備え、
原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御部の少なくとも1つを含んでおり、前記画像読取部、前記画像形成部、前記ファクシミリ通信制御部が、使用者から指示される、画像読取機能、画像形成機能、画像複写機能、ファクシミリ受信機能、ファクシミリ送信機能の各画像処理機能に対して、相互に連携しあって当該画像処理機能を実行する画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−114500(P2012−114500A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259236(P2010−259236)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】