説明

電力検針方法、及び電力検針システム

【課題】無線通信の通信圏を効率良く拡大することができるとともに、無線通信を介して閑散地等に存在する需要家からも検針値を収集できるようにする。
【解決手段】検針値を収集するサーバ装置100との間で第1無線通信網50を介して通信を行う第1無線通信装置415、及びサーバ装置100との間で第1無線通信網50とは通信可能範囲が異なる第2無線通信網60を介して通信を行う第2無線通信装置416、を備える検針端末400を需要家10ごとに設け、検針端末400が、第1無線通信網50を介してサーバ装置100と通信可能な場合は第1無線通信網50を介してサーバ装置100に検針値を送信し、第1無線通信網50を介してサーバ装置100と通信できない場合は第2無線通信網60を介してサーバ装置100に検針値を送信するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の需要家から無線通信を介して検針値を収集するための電力検針方法、及び電力検針システムに関し、特に無線通信の通信圏を効率良く拡大することができるとともに、無線通信を介して閑散地等に存在する需要家からも検針値を収集できるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気、ガス、水道等の機器使用量を計測する計器の検針値を遠隔地から無線でデータ収集すべく、特許文献1には、ツリー構造で相互に通信可能な複数の無線ユニットからなる無線データ収集システムであって、複数の下位無線ユニットから上位無線ユニットを経由してデータ収集ユニットにデータを収集させるデータ収集手段を備えた無線データ収集システムが記載されている。また上記文献には、ツリー構造の最上位に設けられる親局のデータ収集ユニット(以下、集約装置という)が、管理センターからの指令信号に基づいて、収集した検針データを折返し管理センターに返答することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−187793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の無線データ収集システムでは、閑散地など需要家同士の距離が遠く離れている場合は上記ツリー構造を構成できず、無線による検針値の収集ができない場合がある。
【0005】
また、閑散地の近辺に集約装置を新設して対応することも考えられるが、閑散地の少数の需要家のために集約装置を新設すれば十分な費用対効果が見込めず、無線データ収集システムの運用メリットが低下してしまう。また、集約装置を新設した場合には、その集約装置を管理センターに接続するための回線を新設する必要があり、そのための作業負担や費用負担が生じてしまう。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、無線通信の通信圏を効率良く拡大することができるとともに、無線通信を介して閑散地等に存在する需要家からも検針値を収集できるようにすることが可能な電力検針方法、及び電力検針システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、需要家における使用電力量の検針値を収集する方法であって、前記検針値を収集するサーバ装置との間で第1無線通信網を介して通信を行う第1無線通信装置、及び前記サーバ装置との間で前記第1無線通信網とは通信可能範囲が異なる第2無線通信網を介して通信を行う第2無線通信装置、を備える検針端末を需要家ごとに設け、前記検針端末が、前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置と通信可能な場合は前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置に検針値を送信し、前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置と通信できない場合は前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置に検針値を送信し、前記サーバ装置が、前記検針端末から送られてくる前記検針値を受信することとする。
【0008】
本発明によれば、検針端末は、第1無線通信網を介してサーバ装置と通信可能な場合は第1無線通信網を介してサーバ装置に検針値を送信し、第1無線通信網を介してサーバ装置と通信できない場合は第2無線通信網を介してサーバ装置に検針値を送信する。そのため、検針端末は、第1無線通信網の外に存在する場合でも、第2無線通信網内に存在していれば、検針値をサーバ装置に送信することができる。また集約装置の新設等をすることなく、検針値をサーバ装置に送信することができる。これによれば、無線通信の通信圏を効率良く拡大することができるとともに、無線通信を介して閑散地に存在する需要家からも検針値を収集できるようにすることができる。
【0009】
また検針端末は、第1無線通信装置と第2無線通信装置を備えているので、検針端末を新設するに際し、作業員等がその設置位置が第1無線通信網の通信エリア内であるか否かを調べる必要がなく(例えば、電力会社のエリアシミュレータによる通信エリアの検証や需要家敷地内での電界強度の測定による通信エリアの確認作業を行う必要がない。)、検針端末の設置に際し作業員等の作業負担を軽減することができる。
【0010】
本発明の他の一つは、上記検針値の収集方法であって、第1の前記検針端末が前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置と通信可能であり、第2の前記検針端末が、前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置と通信できないが、前記第1無線通信網を介して前記第1の検針端末と通信可能である場合に、前記第2の検針端末が前記第1無線通信網を介して前記第1の検針端末に検針値を送信し、前記第1の検針端末が、前記第2の検針端末から受信した前記検針値を前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置に送信することとする。
【0011】
本発明によれば、第2の検針端末が第2無線通信網の通信範囲外に存在する場合でも、第2の検針端末は、第1の検針端末を介してサーバ装置に検針値を送信することができる。これによれば、無線通信の通信圏を効率良く拡大し、無線通信を介して閑散地等に存在する需要家からも検針値を収集できるようにすることができる。
【0012】
尚、前記第1無線通信網は、例えば、前記検針端末同士が通信することにより構成されるアドホック通信網を介して前記サーバ装置と通信する通信網であり、前記第2無線通信網は、例えば、前記検針端末の夫々が特定の基地局と直接通信することにより前記サーバ装置と通信する通信網である。
【0013】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無線通信の通信圏を効率良く拡大することができるとともに、無線通信を介して閑散地等に存在する需要家からも検針値を収集できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電力検針システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】サーバ装置100のハードウエア構成を示す図である。
【図3】サーバ装置100が備える主な機能を示す図である。
【図4】集約装置200のハードウエア構成を示す図である。
【図5】集約装置200が備える主な機能を示す図である。
【図6】基地局300のハードウエア構成を示す図である。
【図7】基地局300が備える主な機能を示す図である。
【図8】検針端末400のハードウエア構成を示す図である。
【図9】検針端末400が備える主な機能を示す図である。
【図10】検針情報送信処理S1000を説明するフローチャートである。
【図11】検針情報1100のデータ構造を示す図である。
【図12】検針値データベース150のレコード1200を示す図である。
【図13】図10に示す処理が実行されることにより決定される、検針端末400が存在する位置と、その検針端末400が検針情報の送信に利用する通信網(第1無線通信網50又は第2無線通信網60)との関係を示す図である。
【図14】本実施形態の検針端末400を用いて行われる設置業務と、従来行われていた検針端末の設置業務との違いを説明する図である。
【図15】電力検針システム1の概略的な構成を示す図である。
【図16】電力検針システム1の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ説明する。
==第1実施形態==
図1に第1実施形態として説明する電力検針システム1の概略的な構成を示している。同図に示すように、電力検針システム1は、電力会社の中央給電指令所等に設けられ需要家10から検針値を収集するサーバ装置100、需要家にて測定された使用電力量の検針値や買電電力量、売電電力量などの検針情報をサーバ装置100に送信する複数の検針端末400を含む。
【0017】
検針端末400は、検針端末400と集約装置200とがアドホック通信することにより構成される通信網である第1無線通信網50、又は基地局300と個々の検針端末400が1対N通信することにより構成される通信網である第2無線通信網60、のうちのいずれかの通信網を介してサーバ装置100と通信する。尚、同図に示すように、集約装置200、基地局300、及びサーバ装置100は、いずれも通信ネットワーク5に接続しており、集約装置200又は基地局300は、検針端末400から受信した検針値を、通信ネットワーク5を介してサーバ装置100に送信する。
【0018】
第1無線通信網50は、例えば、UWB(Ultra-wide Band)、ZigBee、Bluetooth、その他の小電力無線(例えば、400MHz帯の周波数、無線出力10mW以下の無線システム)、無線LAN(LAN:Local Area Network)等の通信基板(インフラストラクチャ)を用いて実現される。また第1無線通信網50を構成するアドホック通信は、例えば、AODV(Ad hoc On-demand Distance Vector routing)、DSR(Dynamic Source Routing)、OLSR(Optimized Link State Routing Protocol)、TBRPF(Topology Broadcast based on Reverse Path Forwarding routing protocol)等のプロトコルに従って行われる。
【0019】
第2無線通信網60は、例えば、400MHz帯を利用した業務用無線や、携帯電話、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の通信基板(インフラストラクチャ)を用いて実現される。
【0020】
通信ネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、電力線通信(PLC(Power Line Communication))、専用線(電力系統制御用情報伝送システム(CDT:Cyclic Digital data Transmission equipment)、メタル線、光ファイバ等)等の通信基盤(インフラストラクチャ)を用いて実現される。
【0021】
図2にサーバ装置100のハードウエア構成を示している。同図に示すように、サーバ装置100は、CPU111、メモリ112、ハードディスク113、キーボードやマウスなどの入力装置114、液晶ディスプレイなどの表示装置115、及び通信インタフェース116を備えている。CPU111は、メモリ112に格納されているプログラムを実行することによりサーバ装置100が提供する様々な機能を実現する。入力装置114は、ユーザから操作入力を受け付けるユーザインタフェースである。表示装置115は、ユーザに視覚的な情報を提供するユーザインタフェースである。通信インタフェース116は、通信ネットワーク5を介して情報の送受信を行う。
【0022】
図3にサーバ装置100の主な機能を示している。サーバ装置100は、検針端末400から送られてくる検針情報を受信する検針情報受信部131、及び受信した検針情報を検針値データベース150に管理する検針情報管理部132を備えている。
【0023】
図4に集約装置200のハードウエア構成を示している。集約装置200は、CPU211、メモリ212、通信インタフェース213、及び無線通信インタフェース214を備えている。CPU211は、メモリ212に記憶されているプログラムを実行し、集約装置200が備える各種の機能を実現する。通信インタフェース213は、通信ネットワーク5を介してサーバ装置100と通信する、無線又は有線方式の通信装置である。無線通信インタフェース214は、第1無線通信網50を介して検針端末400と通信する通信装置である。
【0024】
図5に集約装置200が備える主な機能を示している。同図に示すように、集約装置200は、第1無線通信網50を介して検針端末400から送られてくる検針情報を受信し、受信した検針情報をサーバ装置100に転送する、検針情報転送部231を備えている。
【0025】
図6に基地局300のハードウエア構成を示している。同図に示すように、基地局300は、CPU311、メモリ312、通信インタフェース313、及び無線通信インタフェース314を備えている。CPU311は、メモリ312に記憶されているプログラムを実行し、基地局300が備える各種の機能を実現する。通信インタフェース313は、通信ネットワーク5を介してサーバ装置100と通信する、無線方式又は有線方式の通信装置である。無線通信インタフェース314は、第2無線通信網60を介して検針端末400と通信する通信装置である。
【0026】
図7に基地局300が備える主な機能を示している。同図に示すように、基地局300は、第2無線通信網60を介して検針端末400から送られてくる検針情報を受信し、受信した検針情報をサーバ装置100に転送する、検針情報転送部331を備えている。
【0027】
図8に検針端末400のハードウエア構成を示している。検針端末400は、CPU411、メモリ412、電力量計測装置413、計時装置414、第1無線通信装置415、第2無線通信装置416、及び表示装置417を備えている。
【0028】
CPU411は、メモリ412に記憶されているプログラムを実行することにより検針端末400が備える各種の機能を実現する。電力量計測装置413は、自身が付設されている需要家10の使用電力や、需要家10での発電量を計測する。計時装置414は、RTC(Real Time Clock)等を用いて構成され、現在日時等の日時情報(タイムスタンプ)を生成する。第1無線通信装置415は、第1無線通信網50を介して無線通信を行う通信装置である。第2無線通信装置416は、第2無線通信網60を介して無線通信を行う通信装置である。表示装置417は、ユーザに視覚的に情報を提供する、液晶パネルや有機ELパネル等のユーザインタフェースである。
【0029】
図9に検針端末400が備える主な機能を示している。同図に示すように、検針端末400は、検針情報取得部431、第1無線通信処理部432、第2無線通信処理部433、及び通信経路確立部434を備えている。
【0030】
検針情報取得部431は、電力量計測装置413によって計測される計測値を検針情報として取得する。第1無線通信処理部432は、第1無線通信網50を通じてサーバ装置100と通信する。第2無線通信処理部433は、第2無線通信網60を通じてサーバ装置100と通信する。通信経路確立部434は、第1無線通信網50を介してサーバ装置100との間の無線通信経路を確立する。また通信経路確立部434は、第2無線通信網60を介してサーバ装置100との間の無線通信経路を確立する。
【0031】
<処理説明>
図10は、検針端末400がサーバ装置100に検針情報を送信する際、検針端末400、集約装置200、及びサーバ装置100において行われる処理(以下、検針情報送信処理S1000と称する)を説明するフローチャートである。尚、検針情報送信処理S1000は、例えば、予め設定された検針タイミングが到来したことを契機として行われる。
【0032】
検針タイミングが到来すると、検針端末400は、電力量計測装置413から検針情報を取得する(S1011)。図11は検針端末400が取得する検針情報1100の一例である。同図に示すように、検針情報1100には、自身の識別子である検針端末識別子1101、自身が付設されている需要家10の使用電力量に関する情報である使用電力1102、自身が付設されている需要家10における発電量に関する情報である発電量1103、及び使用電力1102や発電量1103を取得した時刻である取得時刻1104等の情報が含まれる。
【0033】
続いて検針端末400は、第1無線通信網50を介してサーバ装置100との間の通信経路を確立できるか否かを判断する(S1012)。この判断は、例えば、第1無線通信網50を介して検針端末400からサーバ装置100に向けてループバック信号を送信し、そのループバック信号を正常に受信することができたか否かによって行う。第1無線通信網50を介してサーバ装置100との間の通信経路を確立することができた場合は(S1012:YES)、S1013に進み、通信経路を確立することができなかった場合は(S1012:NO)、S1014に進む。
【0034】
S1013では、検針端末400は、第1無線通信網50を通じて集約装置200に検針情報1100を送信する。集約装置200は、検針端末400から検針情報1100を受信すると、受信した検針情報1100を、通信ネットワーク5を通じてサーバ装置100に転送する(S1021)。
【0035】
サーバ装置100は、集約装置200から送られてきた検針情報1100を受信すると(S1031)、受信した検針情報1100を検針値データベース150に登録する(S1032)。図12にこのときに登録されるレコード1200の一例を示している。同図に示すように、このレコード1200には検針情報1100が含まれている。
【0036】
S1014では、第2無線通信網60を介してサーバ装置100との間で通信経路を確立できるか否かを判断する。この判断は、例えば、第2無線通信網60を介して検針端末400からサーバ装置100に向けてループバック信号を送信し、そのループバック信号を正常に受信することができたか否かによって行う。第2無線通信網60を介してサーバ装置100と通信を確立できた場合には(S1014:YES)、S1015に進む。一方、通信を確立することができなかった場合には(S1014:NO)、検針端末400は、表示装置417に通信を確立できなかった旨のエラーメッセージを表示する(S1061)。
【0037】
S1015では、検針端末400は、第2無線通信網60を通じて基地局300に検針情報1100を送信する。基地局300は、検針端末400から検針情報1100を受信すると、受信した検針情報1100を、通信ネットワーク5を通じてサーバ装置100に転送する(S1041)。
【0038】
サーバ装置100は、基地局300から送られてきた検針情報1100を受信すると(S1051)、受信した検針情報1100を検針値データベース150に登録する(S1052)。
【0039】
図13は、図10に示す処理が実行されることにより決定される、検針端末400が存在する位置と、その検針端末400が検針情報の送信に利用する通信網(第1無線通信網50又は第2無線通信網60)との関係を示している。
【0040】
同図に示すように、検針端末400が、第1無線通信網50及び第2無線通信網60の双方の通信圏内に存在する場合(同図における[1]のケース)、検針端末400は、第1無線通信網50を介してサーバ装置100に検針値を送信する。また検針端末400が、第1無線通信網50の通信圏外であるが第2無線通信網60の通信圏内に存在する場合(同図における[2]のケース)、検針端末400は、第2無線通信網60を介してサーバ装置100に検針値を送信する。また検針端末400が、第1無線通信網50の通信圏内であるが第2無線通信網60の通信圏外に存在する場合(同図における[3]のケース)、検針端末400は、第1無線通信網50を介してサーバ装置100に検針値を送信する。
【0041】
以上のように、検針端末400は、第1無線通信網50の通信圏内に存在する場合は第1無線通信網50を介してサーバ装置100に検針値を送信し、第1無線通信網50の通信圏外に存在する場合は第2無線通信網60を介してサーバ装置100に検針値を送信する。このため、検針端末400は、第1無線通信網50の通信圏外に存在する場合でも、第2無線通信網60内に存在する場合には、検針値をサーバ装置100に送信することができる。従って、検針端末400が第1無線通信網50の通信圏外に存在していても、第2無線通信網60の通信圏内に存在する場合には、集約装置200を新設することなく検針値をサーバ装置100に送信することができる。
【0042】
また検針端末400は、第1無線通信装置415と第2無線通信装置416を備えているので、検針端末400を新設するに際し、作業員等はその設置位置が第1無線通信網50の通信エリア内であるか否かを調べる必要がなく(例えば、電力会社のエリアシミュレータによる通信エリアの検証や需要家敷地内での電界強度の測定による通信エリアの確認作業を行う必要がない。)、検針端末400の設置に際し作業員等の作業負担を軽減することができる。
【0043】
図14は、本実施形態の検針端末400を用いて行われる設置業務と、従来行われていた検針端末の設置業務との違いを説明する図である。同図に示すように、現状では高出力の無線通信を行う検針端末(以下、高出力端末と称する。)と小電力無線による検針端末(以下、小出力端末と称する。)とが別個の端末として供給されているため、いずれの端末を需要家に設置するかについて事前にエリアシミュレータ等で通信状況等を確認し(S1401〜S1403)、設置場所において電界強度測定を行った後に検針端末を設置する必要があった(S1404〜S1406)。
【0044】
しかし本実施形態の電力検針システム1の場合には、検針端末400が第1無線通信網50及び第2無線通信網60の双方に対応する無線通信装置(第1無線通信装置415及び第2無線通信装置416)を備えているので、図14のS1401〜S1406に示すような作業を行う必要が無く、設置現場に検針端末400を設置するだけで検針値のサーバ装置100への送信(図10の処理)を開始することができる(S1407)。
【0045】
また需要家10の密集度が変化して集約装置200を増減設された場合には、現状では高出力端末から小出力端末、もしくは小出力端末から高出力端末への取り替えを行う必要があるが、本実施形態の場合には、検針端末400が第1無線通信網50及び第2無線通信網60の双方に対応する無線通信装置を備えているので、そのような取り替え作業は発生しない。
【0046】
このように、本実施形態の電力検針システム1によれば、検針端末400がサーバ装置100と無線通信するための通信圏を効率良く拡大することができるとともに、閑散地等に存在する需要家からも無線通信を介して検針値を収集することができる。
【0047】
==第2実施形態==
図15は、第2実施形態として説明する電力検針システム1の概略的な構成を示す図である。同図に示すように、第2無線通信網60の通信圏内に存在する検針端末400(1)は、基地局300との間で1対N広域通信を行うことができるが、第2無線通信網60の通信圏外に存在する検針端末400(2)は、第2無線通信網60を通じた1対N広域通信を行うことができない。しかし、検針端末400(2)は、第1無線通信網50を介して第1の検針端末とアドホック通信を行うことができる状況にある。
【0048】
同図のような状況において、検針端末400(2)は、第1無線通信網50を介して検針情報1100を検針端末400(1)に送信し、検針端末400(1)は、検針端末400(2)から検針情報1100を受信すると、その検針情報1100を基地局300を介してサーバ装置100に送信する。
【0049】
このように、本実施形態の電力検針システム1によれば、検針端末400(2)が第2無線通信網60の通信圏外に存在していても、検針端末400(2)は第1無線通信網50を介して検針端末400(1)に検針情報を送信することにより検針端末400(1)を介してサーバ装置100に検針情報を送信することができる。そのため、検針端末400(2)が第2無線通信網60の通信圏外に存在する場合でも、検針端末400(2)が第1無線通信網50の通信圏内に存在する限り、検針端末400(2)はサーバ装置100に検針情報を送信することができる。
【0050】
以上詳細に説明したが、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0051】
例えば、図16に示すように、サーバ装置100は、電力会社の中央給電指令所等に設けられる、通信制御装置130、需要家10の電気料金を管理する電気料金システム110、及び需要家10への送電の停止及び送電停止の解除を管理する送電停止解除システム120の全部又は一部であってもよい。
【0052】
また、検針端末400は、計量器510、及び開閉器520を内蔵するスマートメータ500の構成要素であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電力検針システム
10 需要家
50 第1無線通信網
60 第2無線通信網
100 サーバ装置
150 検針値データベース
200 集約装置
300 基地局
400 検針端末
S1000 検針情報送信処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家における使用電力量の検針値を収集する方法であって、
前記検針値を収集するサーバ装置との間で第1無線通信網を介して通信を行う第1無線通信装置、及び前記サーバ装置との間で前記第1無線通信網とは通信可能範囲が異なる第2無線通信網を介して通信を行う第2無線通信装置、を備える検針端末を需要家ごとに設け、
前記検針端末が、
前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置と通信可能な場合は前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置に検針値を送信し、
前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置と通信できない場合は前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置に検針値を送信し、
前記サーバ装置が、前記検針端末から送られてくる前記検針値を受信する
ことを特徴とする検針値の収集方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検針値の収集方法であって、
前記第1無線通信網は、前記検針端末同士が通信することにより構成されるアドホック通信網を介して前記サーバ装置と通信する通信網であり、
前記第2無線通信網は、前記検針端末の夫々が特定の基地局と直接通信することにより前記サーバ装置と通信する通信網である
ことを特徴とする検針値の収集方法。
【請求項3】
請求項2に記載の検針値の収集方法であって、
第1の前記検針端末が前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置と通信可能であり、
第2の前記検針端末が、前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置と通信できないが、前記第1無線通信網を介して前記第1の検針端末と通信可能である場合に、
前記第2の検針端末が前記第1無線通信網を介して前記第1の検針端末に検針値を送信し、
前記第1の検針端末が、前記第2の検針端末から受信した前記検針値を前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置に送信する
ことを特徴とする検針値の収集方法。
【請求項4】
需要家における使用電力量の検針値の収集に用いられる検針端末であって、
第1無線通信網を介して通信を行う第1無線通信装置と、
前記第1無線通信網とは通信可能範囲が異なる第2無線通信網を介して通信を行う第2無線通信装置とを備え、
前記第1無線通信網は、当該検針端末が他の検針端末と通信することにより構成されるアドホック通信網を介して前記サーバ装置と通信する通信網であり、
前記第2無線通信装置は、当該検針端末が特定の基地局と直接通信することにより前記サーバ装置と通信する通信網であり、
前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置と通信可能な場合は前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置に前記検針値を送信し、
前記第1無線通信網を介して前記サーバ装置と通信できない場合は前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置に前記検針値を送信する
ことを特徴とする検針端末。
【請求項5】
請求項4に記載の検針端末であって、
前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置と通信できないが、前記第1無線通信網を介して他の検針端末と通信可能である場合に、前記第1無線通信網を介して前記他の検針端末に検針値を送信する機能と、
他の検針端末から前記第1無線通信網を介して検針値を受信した場合に、受信した前記検針値を前記第2無線通信網を介して前記サーバ装置に送信する機能と
を備えることを特徴とする検針端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−105010(P2012−105010A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251117(P2010−251117)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】