電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システム
【課題】 電動シリンダのロッドと被加圧部材が予期しない衝突を起こすことで生じるオーバーロードにより、電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができる電動シリンダの制御方法及び制御システムを実現する。
【解決手段】サーボコントローラ17は、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pc以上であるか否かを判定し、加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pc以上であると判定した場合に、更に、衝突時停止フラグがONであるか否か、ロッド11の駆動速度Smが衝突許可速度Sc以上であるか否か、を判定し、衝突時停止フラグがONである、または、駆動速度Smが衝突許可速度Sc以上であると判定した場合に、サーボアンプ16に逆方向位置指令パルス信号を出力し、サーボアンプ16に蓄積されている溜りパルスを強制的に減少させてロッド11を停止させる。
【解決手段】サーボコントローラ17は、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pc以上であるか否かを判定し、加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pc以上であると判定した場合に、更に、衝突時停止フラグがONであるか否か、ロッド11の駆動速度Smが衝突許可速度Sc以上であるか否か、を判定し、衝突時停止フラグがONである、または、駆動速度Smが衝突許可速度Sc以上であると判定した場合に、サーボアンプ16に逆方向位置指令パルス信号を出力し、サーボアンプ16に蓄積されている溜りパルスを強制的に減少させてロッド11を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータで駆動される電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加圧部材を目標荷重で加圧処理するため、サーボモータ及び荷重検出器を使用し、荷重検出器で検出された荷重をサーボモータにフィードバックして加圧荷重をコントロールする機構の加圧装置が知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかし、特許文献1、2に記載のような加圧装置では電動シリンダロッドを駆動する際、操作ミスやプログラム入力ミスにより、電動シリンダのロッドと被加圧部材が予期しない衝突を起こすことがあり、異常衝突によって生じる過負荷(オーバーロード)により、電動シリンダや、ロッドに連結された荷重検出器が、破損してしまうなどの問題があった。
【0004】
そこで、サーボモータを駆動源とするトグル式パンチプレス装置において、予期しない異常荷重をサーボモータのトルク値によって検出し、異常衝突によって生じるオーバーロードを防ぐ目的として、異常衝突時に異常警告信号を出力するトグル式パンチプレスの異常検出装置などが提案されている(例えば、特許文献3)。
【0005】
また、サーボモータ指令演算手段(サーボコントローラ)からサーボモータ指令出力手段(サーボアンプ)への信号出力にアナログ電圧を用いる速度制御モードを採用したサーボプレス装置において、予期しない異常荷重を荷重検出手段により検出し、異常衝突によって生じるオーバーロードを防ぐため異常警告信号を出力した上で、プレス手段を加圧加工時と反対方向に駆動する方法が提案されている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−138110号公報
【特許文献2】特開2009−101419号公報
【特許文献3】特開平8−103898号公報
【特許文献4】特開平11−58099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3に記載の技術では、制御装置(サーボコントローラ)からサーボアンプへの信号出力にパルス信号を用いる位置制御モードが採用されている。位置制御モードは、電動シリンダを適切な速度で駆動させ、位置精度良く停止させることが可能であり、電動シリンダの制御モードとして広く採用されているが、位置制御モードを使用した場合、サーボモータを駆動するサーボアンプにおいて生じる溜りパルスがオーバーロードの原因となっていた。
【0008】
溜りパルスとは、サーボアンプにおけるフィードパルスとフィードバックパルスの差のパルスである。サーボ機構の駆動系においては、加圧装置などの機械系に慣性があるため、サーボコントローラの位置指令パルス信号をサーボモータにそのまま出力すると機械に遅れが生じて追従できない。そこで、位置指令パルスをサーボアンプの偏差カウンタに溜めて、溜りパルスに応じてサーボモータの回転を制御する制御方法が採用されている。
ここで、サーボモータを停止させるためにサーボコントローラから位置指令パルスの出力を停止しても、サーボアンプの偏差カウンタにおいて溜りパルスが減少して0になるまで、溜りパルスのパルス数に応じてサーボモータが回転を継続してしまう。これにより、ロッドが移動してしまい、オーバーロードが発生する。
【0009】
従って、位置制御モードで加圧装置を制御する場合には、溜りパルスの問題を解決しない限り、特許文献3に記載された制御方法だけでは不十分であり、電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器の破損を十分に防止できないという問題があった。
【0010】
特許文献3、特許文献4に記載の技術においては、ラム(スライド)がある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行っている。したがって、繰り返しプレス作業を行う場合において、板金プレス用途のように均一厚さのワークに対するプレス装置の制御方法としては良いが、圧入用途、粉体成型用途、搬送用途向けのプレス装置のように、プレス軸方向に対しワークの高さ、位置が毎回異なるプレス装置の制御方法には適用が難しい問題があった。
【0011】
更に、特許文献3、特許文献4に記載の技術においては、ワークが変わるたびに作業者がラム(スライド)位置に対する加圧荷重の許容範囲を設定記憶させる必要が有り、汎用性が無く作業が煩雑になり生産効率が悪い問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、サーボモータで駆動される電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムにおいて、電動シリンダロッドを駆動する際、操作ミスやプログラム入力ミスにより、電動シリンダのロッドと被加圧部材が予期しない衝突を起こすことで生じるオーバーロードにより、電動シリンダや、ロッドに連結された荷重検出器が、破損してしまうことを防ぎ、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレスにも対応できる電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御方法であって、前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定し、前記サーボコントローラに入力された駆動速度に基づいて前記ロッドを駆動し、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重に応じた加圧荷重信号を前記荷重検出器から前記サーボコントローラに出力する駆動制御ステップと、前記サーボコントローラにおいて、前記加圧荷重信号に基づいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定する衝突検知荷重判定ステップと、前記サーボコントローラにおいて、衝突時停止フラグがONであるか否かを判定する衝突時停止フラグ判定ステップと、前記衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがOFFである場合に、前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否かを判定する衝突許可速度判定ステップと、衝突検知荷重判定ステップにおいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定され、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがONであると判定された、または、衝突許可速度判定ステップにおいてロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であると判定された場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動する急制動ステップと、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、駆動制御ステップにより、サーボコントローラに入力された駆動速度に基づいてロッドを駆動し、荷重検出器によって検出された加圧荷重に応じた加圧荷重信号を荷重検出器からサーボコントローラに出力し、衝突検知荷重判定ステップにより、サーボコントローラにおいて、加圧荷重信号に基づいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定し、衝突時停止フラグ判定ステップにより、サーボコントローラにおいて、衝突時停止フラグがONであるか否かを判定し、衝突許可速度判定ステップにより、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがOFFである場合に、サーボコントローラにおいて、ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否かを判定し、急制動ステップにより、衝突検知荷重判定ステップにおいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定され、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがONであると判定された、または、衝突許可速度判定ステップにおいてロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であると判定された場合に、ロッドを急停止または反転駆動により急制動することができる。
これにより、ロッドと被加圧部材との衝突を検知した後に、ロッドの衝突速度が衝突許可速度以上である場合に、ロッドを急停止または反転駆動により急制動することができるため、オーバーロードにより電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器を破損することを防ぐことができる。
また、ロッドと被加圧部材との衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、衝突時停止フラグをONに設定しておくことにより、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
更に、ロッドがある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行う方法をとっていないため、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレス加工にも対応できる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラにおいて前記衝突時停止フラグ判定ステップまたは前記衝突許可速度判定ステップの判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算する溜りパルス計算ステップと、前記溜りパルス計算ステップで計算された溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力する逆方向位置指令パルス信号出力ステップと、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0016】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項2に記載の発明のように、急制動ステップを溜りパルス計算ステップと、逆方向位置指令パルス信号出力ステップと、を備えたものとすることができる。
これにより、溜りパルス計算ステップにより、溜りパルスを計算し、逆方向位置指令パルス信号出力ステップにより、溜りパルス計算ステップで計算された溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラからサーボアンプに出力して、ロッドを急停止させることができる。
このように、サーボアンプに逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電動シリンダの制御方法において、前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上である、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、溜りパルスのパルス数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させて0とすることができる。また、逆方向位置指令パルス信号のパルス数の方が多い場合には、サーボモータの逆転駆動が生じて被加圧部材に対する加圧荷重を急速に減少させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の電動シリンダの制御方法において、前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上である、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号の周波数は、位置指令パルスの周波数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させてロッドを停止させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止する位置指令パルス信号出力停止ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0022】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項5に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、位置指令パルス信号出力停止ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止する速度指令信号出力停止ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0024】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項6に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、速度指令信号出力停止ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへの速度指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0026】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項7に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、反転信号出力ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止するトルク指令信号出力停止ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0028】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項8に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、トルク指令信号出力停止ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0030】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項9に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、反転信号出力ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明では、ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御システムであって、前記サーボコントローラは、前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定可能に構成されており、前記ロッドの駆動速度に基づいて前記ロッドの位置制御による駆動を行い、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定し、加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定した場合に、更に、衝突時停止フラグがONであるか否か、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否か、を判定し、衝突時停止フラグがONである、または、駆動速度が衝突許可速度以上であると判定した場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動する、という技術的手段を用いる。
【0032】
請求項10に記載の発明によれば、サーボコントローラは、ロッドと被加圧部材との衝突を検知した後に、ロッドの衝突速度が衝突許可速度以上である場合に、ロッドを急停止または反転駆動により急制動するため、オーバーロードにより電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器を破損することを防ぐことができる。
また、衝突時停止フラグを設けることにより、ロッドと被加圧部材との衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
更に、ロッドがある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行う方法をとっていないため、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレス加工にも対応できる。
【0033】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラにおいて衝突時停止フラグの判定時または衝突許可速度の判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算し、前記溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力し、前記サーボアンプに蓄積されている溜りパルスを強制的に減少させて前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0034】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項11に記載の発明のように、サーボコントローラにおいて衝突時停止フラグの判定時または衝突許可速度の判定時の溜りパルスを計算し、溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラからサーボアンプに出力して、ロッドを急停止させることができる。
このように、サーボアンプに逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0035】
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上である、という技術的手段を用いる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、溜りパルスのパルス数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させて0とすることができる。また、逆方向位置指令パルス信号のパルス数の方が多い場合には、サーボモータの逆転駆動が生じて被加圧部材に対する加圧荷重を急速に減少させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0037】
請求項13に記載の発明では、請求項11または請求項12に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上である、という技術的手段を用いる。
【0038】
請求項13に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号の周波数は、位置指令パルスの周波数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させてロッドを停止させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0039】
請求項14に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0040】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項14に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることにより急制動を行うことができる。
【0041】
請求項15に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0042】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項15に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへの速度指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることにより急制動を行うことができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0043】
請求項16に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0044】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項16に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0045】
請求項17に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0046】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項17に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることにより急制動を行うことができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0047】
請求項18に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0048】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項18に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の電動シリンダの制御システムを備えたプレス加工装置の概略図である。
【図2】本発明の電動シリンダの制御方法を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の駆動制御ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図6】第2実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図8】第3実施形態の駆動制御ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図11】第4実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図12】第4実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図13】第5実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図14】第6実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態について、電動シリンダ装置としてプレス加工装置を例に、電動シリンダの制御システム及び制御方法を、図を参照して説明する。
【0051】
図1に示すように、プレス加工装置1は、被加工部材Mをプレス加工するロッド11を軸方向に移動させる電動シリンダ12と、ロッド11に連結され被加工部材Mに負荷される荷重を検出する荷重検出器13と、電動シリンダ12を駆動させるサーボモータ14と、サーボアンプ16と接続され、サーボモータ14に設けられたエンコーダに代表される位置検出器15と、サーボモータ14及びサーボコントローラ17に電気的に接続され、サーボモータ14の駆動を制御するサーボアンプ16と、荷重検出器13及びサーボアンプ16に電気的に接続され、サーボモータ14の制御指令をサーボアンプ16に出力するいわゆる位置決めユニットであるサーボコントローラ17と、を備えている。
【0052】
サーボコントローラ17の制御指令はサーボモータ14の駆動制御モードによって異なり、位置制御モードでは位置制御指令が、速度制御モードでは速度制御指令が、トルク制御モードではトルク制御指令が、サーボアンプ16に出力される。
位置制御モードは被加圧部材の所定の厚さに成型する場合に好適に用いることができる。速度制御モードは位置制御モードに比べて指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能である。トルク制御モードは更に指令信号に対する応答速度が速いので、より高速制御が可能であり、圧入工程などに好適に用いることができる。
【0053】
電動シリンダの制御システムとして作動する制御ユニット20は、荷重検出器13、サーボモータ14、位置検出器15、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17から構成される。
【0054】
[第1実施形態]
本実施形態では、サーボモータ14は位置制御モードで駆動制御される。サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動を位置制御モードで制御可能に構成されている。速度制御モード、トルク制御モードの切り替えが可能な構成でもよい。
【0055】
本発明の制御方法について図2を参照して説明する。まず、サーボコントローラ17における制御モードとして位置制御モードを選択し、図示しない入力装置により、サーボコントローラ17にロッド11の駆動速度Smと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を検知するための衝突検知荷重Pcと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突が検知された場合にその後のロッド11の駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、ロッド11の急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度Scと、を入力する。
【0056】
プレス加工を行う被加工部材Mをプレス加工装置1の所定の位置にセットした後に、運転を開始すると、サーボコントローラ17に入力された駆動速度に基づいてロッド11を駆動し、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する駆動制御ステップS1が実行される。
【0057】
図3に示すように、ステップS11では、入力されたロッド11の駆動速度に基づいてサーボコントローラ17がサーボアンプ16に位置指令パルス信号を出力する。
【0058】
続くステップS12では、サーボアンプ16は、ステップS11でサーボコントローラ17から入力された位置指令パルス信号に基づいて、内蔵する偏差カウンタにより位置指令パルス信号のパルス数を計数し、パルス周波数及びパルス数に応じたモータ駆動電流をサーボモータ14へ出力する。
【0059】
続くステップS13では、サーボアンプ16から入力されたモータ駆動電流によりサーボモータ14が回転駆動される。サーボモータ14の回転運動は、電動シリンダ12に内蔵されたボールねじ機構によって直線運動に変換され、ロッド11を駆動する。これにより、ロッド11が前方へ押し出され、ロッド11が被加圧部材Mを加圧する。加圧荷重Pmは荷重検出器13によって検出される。
【0060】
サーボモータ14の回転に伴い、サーボモータ14に設けられた位置検出器15がサーボアンプ16に対し、サーボモータ14の回転数に応じた絶対位置信号を出力する。サーボアンプ16は、絶対位置信号情報を帰還パルス信号に変換してサーボコントローラ17に出力する。更に、サーボアンプ16は、位置指令パルス信号のパルス数と帰還パルス信号のパルス数との差、つまり、溜りパルスに応じてサーボモータ14の回転を制御する。ここで、位置指令パルス信号のパルス数は、サーボモータ14の回転角と比例関係にあり、位置指令パルス信号のパルス周波数によりサーボモータ14の駆動速度が制御され、パルス数によりロッド11の移動距離が定まる。
【0061】
続くステップS14では、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を、荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する。
【0062】
続く衝突検知荷重判定ステップS21では、サーボコントローラ17において、加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pcに達したか否か、つまり、加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pc以上であるか否かを判定する。Pm≧Pc(ステップS21:YES)の場合にはステップS22に進む。
【0063】
Pm<Pc(ステップS21:NO)の場合には駆動制御ステップS1に戻る。荷重検出器13からサーボコントローラ17に加圧荷重信号が出力され、加圧荷重Pmが停止荷重Pcに達するまでの間、駆動速度でロッド11が押し出されるように、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ各制御モードに応じた指令信号が出力され続ける。
【0064】
続く衝突時停止フラグ判定ステップS22では、サーボコントローラ17において、衝突時停止フラグがONであるか否か、つまり、衝突が検知された後にロッド11の駆動を許可するか否かを判定する。衝突時停止フラグがON(ステップS22:YES)の場合には急制動ステップS3に進み、衝突時停止フラグがOFF(ステップS22:NO)の場合にはステップS23に進む。
【0065】
また、ロッドと被加圧部材との衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、衝突時停止フラグをONに設定しておくことにより、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
【0066】
衝突許可速度判定ステップS23では、サーボコントローラ17において、駆動速度Smが衝突許可速度Scに達したか否か、つまり、駆動速度Smが衝突許可速度Sc以上であるか否かを判定する。Sm≧Sc(ステップS23:YES)の場合にはステップS3に進む。
Sm<Sc(ステップS7:NO)の場合には、ステップS4に進んで、サーボコントローラ17において最初に設定した駆動条件に基づいた駆動を継続する。
【0067】
急制動ステップS3では、図4に示すように、溜りパルス計算ステップS31において、サーボコントローラ17が衝突時停止フラグ判定ステップS22または衝突許可速度判定ステップS23の判定時の位置指令パルス信号のパルス数と帰還パルス信号のパルス数との差、つまり、溜りパルスを計算する。
ここで、溜りパルスの計算を衝突時停止フラグ判定ステップS22の判定時に行うのは、
衝突時停止フラグがON(ステップS22:YES)の場合である。
【0068】
続く逆方向位置指令パルス信号出力ステップS32では、溜りパルス計算ステップS31で計算された溜りパルスに基づいて、サーボコントローラ17からサーボアンプ16に、ロッド11を加圧方向と逆方向へ駆動させる、つまり、サーボモータを逆回転させるための位置制御パルス信号であって、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を出力する。
【0069】
ここで、逆方向位置指令パルスは、溜りパルスと逆方向の位置指令パルスであり、正転パルスである溜りパルスのパルス列の符号を逆転させる逆転パルス列として構成することができる。
【0070】
続くステップS33では、サーボアンプ16は、ステップS31でサーボコントローラ17から入力された逆方向位置指令パルス信号に基づいて、溜りパルスを減少させて、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
【0071】
このように、急制動ステップS3では、溜りパルス計算ステップS31により、溜りパルスを計算し、逆方向位置指令パルス信号出力ステップS32により、溜りパルス計算ステップS31で計算された溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16に出力して、ロッド11を急停止させることができる。
また、サーボアンプ16に逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0072】
衝突検知荷重Pcは荷重検出器13の荷重分解能以上で定格荷重の10%以下に設定することが好ましい。衝突検知荷重Pcは荷重検出器13の定格荷重の10%を超えると、ロッド11の急制動を行うタイミングに遅れが生じてしまい、オーバーロードする可能性が高くなるため好ましくない。
【0073】
衝突許可速度Scはプレス加工装置系の剛性や慣性などを考慮して、ロッド11が被加圧部材Mに衝突した後に、荷重検出器13の破損限界荷重を超えないように適宜設定することができる。
【0074】
逆方向位置指令パルスのパルス数は、加圧荷重Pmがロッド11に連結された荷重検出器13を破損してしまう値まで上昇することなくロッド11を停止させることができる範囲で任意に設定することができる。溜りパルスを速やかに減少させて0とするために、溜りパルスのパルス数以上とすることが好ましく、特に、逆方向位置指令パルスのパルス数の方が多い場合には、サーボモータ14の逆転駆動が生じて被加圧部材Mに対する加圧荷重を急速に減少させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0075】
また、逆方向位置指令パルスの周波数は、溜りパルスを速やかに減少させてロッドを停止させるために、位置指令パルスの周波数以上とすることが好ましい。
【0076】
(実施例1)
本実施形態の効果を、従来の電動シリンダの制御方法を比較例として確認した。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
図5に、第1実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示す。なお、本実施例において使用した荷重検出器(ロードセル)の定格荷重値は12.0kNであり、破損限界荷重は18.0kNである。
【0078】
衝突条件は、第1実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では、衝突時の駆動速度を5.0mm/sから45.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.003kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
比較例は、加圧荷重が荷重検出器の定格荷重値を超えた時点でオーバーロードとして、サーボコントローラからサーボアンプへの位置指令パルス信号出力を停止することで、ロッドの駆動を停止する従来の制御方法を適用した。比較例では、衝突時の駆動速度を1.0mm/sから8.0mm/sまで1.0mm/s刻みで変化させた。
【0079】
図5に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第1実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が45.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は17.546kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第1実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0080】
[第1実施形態の効果]
(1)本発明の電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムによれば、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を検知した後に、ロッド11の衝突速度が衝突許可速度以上である場合に、ロッド11を急停止または反転駆動により急制動することができるため、オーバーロードにより電動シリンダ12やロッド11に連結された荷重検出器13を破損することを防ぐことができる。
また、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、衝突時停止フラグをONに設定しておくことにより、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
更に、ロッド11がある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行う方法をとっていないため、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレス加工にも対応できる。
【0081】
(2)サーボモータ14が位置制御モードで駆動制御される場合に、急制動ステップS3では、溜りパルス計算ステップS31により、溜りパルスを計算し、逆方向位置指令パルス信号出力ステップS32により、溜りパルス計算ステップS31で計算された溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16に出力して、ロッド11を急停止させることができる。
また、サーボアンプ16に逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0082】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態同様に、サーボモータ14は位置制御モードで駆動制御される。第2実施形態は第1実施形態とは急制動ステップS3において異なっている。
【0083】
駆動制御ステップS1で第1実施形態と同様の処理が実行され、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3が実行される。
【0084】
図6に示すように、急制動ステップS3では、位置指令パルス信号出力停止ステップS34により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていた位置指令パルス信号の出力を直ちに停止する。
【0085】
続くステップS35では、サーボアンプ16は、位置指令パルス信号出力停止ステップS34で位置指令パルス信号が停止されたことに基づいて、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
これにより、ロッド11の急制動が実行され、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
【0086】
(実施例2)
第2実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)及び比較例は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0087】
衝突条件は、第2実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では衝突開始時の駆動速度を5.0mm/sから30.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.050kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
【0088】
図7に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第2実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が30.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.861kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第2実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0089】
[第2実施形態の効果]
サーボモータ14が位置制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、位置指令パルス信号出力停止ステップS34により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていた位置指令パルス信号の出力を停止して、ロッド11を急停止させることができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
また、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0090】
[第3実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動を速度制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14は速度制御モードで駆動制御される。
【0091】
本実施形態の制御方法について図を参照して説明する。まず、サーボコントローラ17における制御モードとして速度制御モードを選択し、図示しない入力装置により、サーボコントローラ17にロッド11の駆動速度Smと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を検知するための衝突検知荷重Pcと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突が検知された場合にその後のロッド11の駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、ロッド11の急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度Scと、を入力する。
【0092】
プレス加工を行う被加工部材Mをプレス加工装置1の所定の位置にセットした後に、運転を開始すると、サーボコントローラ17に入力された駆動速度に基づいてロッド11を駆動し、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する駆動制御ステップS1が実行される。
【0093】
図8に示すように、ステップS15では、入力されたロッド11の駆動速度に基づいてサーボコントローラ17がサーボアンプ16に速度指令信号を出力する。
【0094】
続くステップS16では、サーボアンプ16は、ステップS1でサーボコントローラ17から入力された速度指令信号に基づいて、モータ駆動電流をサーボモータ14へ出力する。
【0095】
続くステップS17では、サーボアンプ16から入力されたモータ駆動電流によりサーボモータ14が回転駆動される。サーボモータ14の回転運動は、電動シリンダ12に内蔵されたボールねじ機構によって直線運動に変換され、ロッド11を駆動する。これにより、ロッド11が前方へ押し出され、ロッド11が被加圧部材Mを加圧する。加圧荷重Pmは荷重検出器13によって検出される。
【0096】
続くステップS18では、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を、荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する。
【0097】
衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23における急制動ステップS3に進む急制動条件は、位置制御モードと同様である。
【0098】
図9に示すように、急制動ステップS3では、速度指令信号出力停止ステップS36により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16への速度指令信号の出力を停止(零に)する。
【0099】
続くステップS37では、サーボアンプ16は、速度指令信号出力停止ステップS36でサーボコントローラ17からの速度指令信号出力が停止されたことに基づいて、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
これにより、ロッド11の急制動が実行され、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
ここで、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能である。
【0100】
(実施例3)
第3実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)及び比較例は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0101】
衝突条件は、第2実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では衝突開始時の駆動速度を5.0mm/sから50.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.003kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
【0102】
図10に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第3実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が50.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.861kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第3実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0103】
[第3実施形態の効果]
サーボモータ14が速度制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、速度指令信号出力停止ステップS36により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていた速度指令信号の出力を停止して、ロッド11を急停止させることができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
ここで、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能である。
【0104】
[第4実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動を速度制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14は速度制御モードで駆動制御される。第4実施形態は第3実施形態とは急制動ステップS3において異なっている。
【0105】
駆動制御ステップS1で第3実施形態と同様の処理が実行され、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3が実行される。
【0106】
図11に示すように、急制動ステップS3では、反転信号出力ステップS38により、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力する。
【0107】
続くステップS39では、サーボアンプ16は、反転信号出力ステップS38でのサーボコントローラ17からの速度指令の反転信号に基づいて、サーボモータ14へロッド11を加圧方向と逆方向に移動させるモータ駆動電流を出力する。
【0108】
続くステップS40では、サーボコントローラ17からサーボアンプ16への速度指令信号の出力を停止(零に)し、ステップS41では、サーボアンプ16は、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
【0109】
これにより、ロッド11の反転駆動による急制動が実行され、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
【0110】
(実施例4)
第4実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)、比較例及び衝突条件は、第3実施形態の実施例3と同様とした。
【0111】
図12に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第4実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が50.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.302kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第4実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0112】
[第4実施形態の効果]
サーボモータ14が速度制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、反転信号出力ステップS38により、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力し、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
また、反転駆動によりロッド11の急制動を行うため、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを防止することができる。
更に、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0113】
[第5実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動をトルク制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14はトルク制御モードで駆動制御される。
【0114】
第5実施形態では、第3実施形態の「速度指令信号」による制御を「トルク指令信号」により行う。トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、より高速制御が可能である。
【0115】
(実施例5)
第5実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)、比較例及び衝突条件は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0116】
図13に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第5実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が45.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.508kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第5実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0117】
[第5実施形態の効果]
サーボモータ14がトルク制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていたトルク指令信号の出力を停止して、ロッド11を急停止させることができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
ここで、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0118】
[第6実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動をトルク制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14はトルク制御モードで駆動制御される。
【0119】
第6実施形態では、第4実施形態の「速度指令信号」による制御を「トルク指令信号」により行う。トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、より高速制御が可能である。
【0120】
(実施例6)
第6実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)及び比較例は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0121】
衝突条件は、第6実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では衝突開始時の駆動速度を5.0mm/sから60.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.003kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
【0122】
図14に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第6実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が60.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は17.076kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第6実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
本実施例は、最も高速な制御が可能なトルク制御モードを採用し、反転駆動によりロッドの急制動を行ったため、実施例1〜6のうち、最も効果的にロッドの急制動を行うことができた。
【0123】
[第6実施形態の効果]
サーボモータ14がトルク制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力し、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
また、反転駆動によりロッド11の急制動を行うため、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを防止することができる。
更に、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0124】
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、電動シリンダ12の制御方法、制御システムをプレス加工装置1に適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プレス加工装置以外にも電動シリンダを用いる各種装置、工程に適用可能である。
例えば、本発明を圧入工程に適用すると、圧入品の圧入方向高さが異常に高く、かつ圧入部品がかじっているような異常が生じていた場合、従来制御手法であればオーバーロードによりロッドに連結された荷重検出器が破損する可能性があったが、より効果的にオーバーロードを防ぐことができ、ロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができる利点がある。
また、本発明を電動シリンダのロッドによって被搬送物を搬送する搬送工程に適用すると、被搬送物が予期しない位置に存在し、ロッドと被搬送物が予期しない異常衝突したような場合においてもより効果的にオーバーロードを防ぐことができ、ロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができる利点がある。
更に、本発明において、ロッド11の進行方向は押し出し方向のみに限らず、引き入れ方向であっても良い。これにより、加圧工程のみならず引っ張り工程にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 プレス加工装置(電動シリンダ装置)
11 ロッド
12 電動シリンダ
13 荷重検出器
14 サーボモータ
15 位置検出器
16 サーボアンプ
17 サーボコントローラ
20 制御ユニット
M 被加圧部材
Pm 加圧荷重
Pc 衝突検知荷重
Sm 駆動速度
Sc 衝突許可速度
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータで駆動される電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加圧部材を目標荷重で加圧処理するため、サーボモータ及び荷重検出器を使用し、荷重検出器で検出された荷重をサーボモータにフィードバックして加圧荷重をコントロールする機構の加圧装置が知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかし、特許文献1、2に記載のような加圧装置では電動シリンダロッドを駆動する際、操作ミスやプログラム入力ミスにより、電動シリンダのロッドと被加圧部材が予期しない衝突を起こすことがあり、異常衝突によって生じる過負荷(オーバーロード)により、電動シリンダや、ロッドに連結された荷重検出器が、破損してしまうなどの問題があった。
【0004】
そこで、サーボモータを駆動源とするトグル式パンチプレス装置において、予期しない異常荷重をサーボモータのトルク値によって検出し、異常衝突によって生じるオーバーロードを防ぐ目的として、異常衝突時に異常警告信号を出力するトグル式パンチプレスの異常検出装置などが提案されている(例えば、特許文献3)。
【0005】
また、サーボモータ指令演算手段(サーボコントローラ)からサーボモータ指令出力手段(サーボアンプ)への信号出力にアナログ電圧を用いる速度制御モードを採用したサーボプレス装置において、予期しない異常荷重を荷重検出手段により検出し、異常衝突によって生じるオーバーロードを防ぐため異常警告信号を出力した上で、プレス手段を加圧加工時と反対方向に駆動する方法が提案されている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−138110号公報
【特許文献2】特開2009−101419号公報
【特許文献3】特開平8−103898号公報
【特許文献4】特開平11−58099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3に記載の技術では、制御装置(サーボコントローラ)からサーボアンプへの信号出力にパルス信号を用いる位置制御モードが採用されている。位置制御モードは、電動シリンダを適切な速度で駆動させ、位置精度良く停止させることが可能であり、電動シリンダの制御モードとして広く採用されているが、位置制御モードを使用した場合、サーボモータを駆動するサーボアンプにおいて生じる溜りパルスがオーバーロードの原因となっていた。
【0008】
溜りパルスとは、サーボアンプにおけるフィードパルスとフィードバックパルスの差のパルスである。サーボ機構の駆動系においては、加圧装置などの機械系に慣性があるため、サーボコントローラの位置指令パルス信号をサーボモータにそのまま出力すると機械に遅れが生じて追従できない。そこで、位置指令パルスをサーボアンプの偏差カウンタに溜めて、溜りパルスに応じてサーボモータの回転を制御する制御方法が採用されている。
ここで、サーボモータを停止させるためにサーボコントローラから位置指令パルスの出力を停止しても、サーボアンプの偏差カウンタにおいて溜りパルスが減少して0になるまで、溜りパルスのパルス数に応じてサーボモータが回転を継続してしまう。これにより、ロッドが移動してしまい、オーバーロードが発生する。
【0009】
従って、位置制御モードで加圧装置を制御する場合には、溜りパルスの問題を解決しない限り、特許文献3に記載された制御方法だけでは不十分であり、電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器の破損を十分に防止できないという問題があった。
【0010】
特許文献3、特許文献4に記載の技術においては、ラム(スライド)がある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行っている。したがって、繰り返しプレス作業を行う場合において、板金プレス用途のように均一厚さのワークに対するプレス装置の制御方法としては良いが、圧入用途、粉体成型用途、搬送用途向けのプレス装置のように、プレス軸方向に対しワークの高さ、位置が毎回異なるプレス装置の制御方法には適用が難しい問題があった。
【0011】
更に、特許文献3、特許文献4に記載の技術においては、ワークが変わるたびに作業者がラム(スライド)位置に対する加圧荷重の許容範囲を設定記憶させる必要が有り、汎用性が無く作業が煩雑になり生産効率が悪い問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、サーボモータで駆動される電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムにおいて、電動シリンダロッドを駆動する際、操作ミスやプログラム入力ミスにより、電動シリンダのロッドと被加圧部材が予期しない衝突を起こすことで生じるオーバーロードにより、電動シリンダや、ロッドに連結された荷重検出器が、破損してしまうことを防ぎ、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレスにも対応できる電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御方法であって、前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定し、前記サーボコントローラに入力された駆動速度に基づいて前記ロッドを駆動し、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重に応じた加圧荷重信号を前記荷重検出器から前記サーボコントローラに出力する駆動制御ステップと、前記サーボコントローラにおいて、前記加圧荷重信号に基づいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定する衝突検知荷重判定ステップと、前記サーボコントローラにおいて、衝突時停止フラグがONであるか否かを判定する衝突時停止フラグ判定ステップと、前記衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがOFFである場合に、前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否かを判定する衝突許可速度判定ステップと、衝突検知荷重判定ステップにおいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定され、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがONであると判定された、または、衝突許可速度判定ステップにおいてロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であると判定された場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動する急制動ステップと、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、駆動制御ステップにより、サーボコントローラに入力された駆動速度に基づいてロッドを駆動し、荷重検出器によって検出された加圧荷重に応じた加圧荷重信号を荷重検出器からサーボコントローラに出力し、衝突検知荷重判定ステップにより、サーボコントローラにおいて、加圧荷重信号に基づいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定し、衝突時停止フラグ判定ステップにより、サーボコントローラにおいて、衝突時停止フラグがONであるか否かを判定し、衝突許可速度判定ステップにより、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがOFFである場合に、サーボコントローラにおいて、ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否かを判定し、急制動ステップにより、衝突検知荷重判定ステップにおいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定され、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがONであると判定された、または、衝突許可速度判定ステップにおいてロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であると判定された場合に、ロッドを急停止または反転駆動により急制動することができる。
これにより、ロッドと被加圧部材との衝突を検知した後に、ロッドの衝突速度が衝突許可速度以上である場合に、ロッドを急停止または反転駆動により急制動することができるため、オーバーロードにより電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器を破損することを防ぐことができる。
また、ロッドと被加圧部材との衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、衝突時停止フラグをONに設定しておくことにより、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
更に、ロッドがある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行う方法をとっていないため、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレス加工にも対応できる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラにおいて前記衝突時停止フラグ判定ステップまたは前記衝突許可速度判定ステップの判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算する溜りパルス計算ステップと、前記溜りパルス計算ステップで計算された溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力する逆方向位置指令パルス信号出力ステップと、を備えた、という技術的手段を用いる。
【0016】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項2に記載の発明のように、急制動ステップを溜りパルス計算ステップと、逆方向位置指令パルス信号出力ステップと、を備えたものとすることができる。
これにより、溜りパルス計算ステップにより、溜りパルスを計算し、逆方向位置指令パルス信号出力ステップにより、溜りパルス計算ステップで計算された溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラからサーボアンプに出力して、ロッドを急停止させることができる。
このように、サーボアンプに逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電動シリンダの制御方法において、前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上である、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、溜りパルスのパルス数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させて0とすることができる。また、逆方向位置指令パルス信号のパルス数の方が多い場合には、サーボモータの逆転駆動が生じて被加圧部材に対する加圧荷重を急速に減少させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項2または請求項3に記載の電動シリンダの制御方法において、前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上である、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号の周波数は、位置指令パルスの周波数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させてロッドを停止させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止する位置指令パルス信号出力停止ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0022】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項5に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、位置指令パルス信号出力停止ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止する速度指令信号出力停止ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0024】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項6に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、速度指令信号出力停止ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへの速度指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0026】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項7に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、反転信号出力ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止するトルク指令信号出力停止ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0028】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項8に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、トルク指令信号出力停止ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明では、請求項1に記載の電動シリンダの制御方法において、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記急制動ステップは、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えた、という技術的手段を用いる。
【0030】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項9に記載の発明のように、急制動ステップにおいて、反転信号出力ステップにより、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明では、ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御システムであって、前記サーボコントローラは、前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定可能に構成されており、前記ロッドの駆動速度に基づいて前記ロッドの位置制御による駆動を行い、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定し、加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定した場合に、更に、衝突時停止フラグがONであるか否か、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否か、を判定し、衝突時停止フラグがONである、または、駆動速度が衝突許可速度以上であると判定した場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動する、という技術的手段を用いる。
【0032】
請求項10に記載の発明によれば、サーボコントローラは、ロッドと被加圧部材との衝突を検知した後に、ロッドの衝突速度が衝突許可速度以上である場合に、ロッドを急停止または反転駆動により急制動するため、オーバーロードにより電動シリンダやロッドに連結された荷重検出器を破損することを防ぐことができる。
また、衝突時停止フラグを設けることにより、ロッドと被加圧部材との衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
更に、ロッドがある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行う方法をとっていないため、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレス加工にも対応できる。
【0033】
請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラにおいて衝突時停止フラグの判定時または衝突許可速度の判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算し、前記溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力し、前記サーボアンプに蓄積されている溜りパルスを強制的に減少させて前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0034】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項11に記載の発明のように、サーボコントローラにおいて衝突時停止フラグの判定時または衝突許可速度の判定時の溜りパルスを計算し、溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラからサーボアンプに出力して、ロッドを急停止させることができる。
このように、サーボアンプに逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0035】
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上である、という技術的手段を用いる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、溜りパルスのパルス数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させて0とすることができる。また、逆方向位置指令パルス信号のパルス数の方が多い場合には、サーボモータの逆転駆動が生じて被加圧部材に対する加圧荷重を急速に減少させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0037】
請求項13に記載の発明では、請求項11または請求項12に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上である、という技術的手段を用いる。
【0038】
請求項13に記載の発明によれば、逆方向位置指令パルス信号の周波数は、位置指令パルスの周波数以上であるため、溜りパルスを速やかに減少させてロッドを停止させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0039】
請求項14に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0040】
サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合には、請求項14に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることにより急制動を行うことができる。
【0041】
請求項15に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0042】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項15に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへの速度指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることにより急制動を行うことができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0043】
請求項16に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0044】
サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合には、請求項16に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0045】
請求項17に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0046】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項17に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止して、ロッドを急停止させることにより急制動を行うことができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0047】
請求項18に記載の発明では、請求項10に記載の電動シリンダの制御システムにおいて、前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、前記ロッドの急制動は、前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行う、という技術的手段を用いる。
【0048】
サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合には、請求項18に記載の発明のように、サーボコントローラからサーボアンプへロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、ロッドを加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。反転駆動によりロッドの急制動を行うため、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを防止することができる。
また、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッドを制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の電動シリンダの制御システムを備えたプレス加工装置の概略図である。
【図2】本発明の電動シリンダの制御方法を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の駆動制御ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図6】第2実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図8】第3実施形態の駆動制御ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図11】第4実施形態の急制動ステップにおける制御方法を示すフローチャートである。
【図12】第4実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図13】第5実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【図14】第6実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態について、電動シリンダ装置としてプレス加工装置を例に、電動シリンダの制御システム及び制御方法を、図を参照して説明する。
【0051】
図1に示すように、プレス加工装置1は、被加工部材Mをプレス加工するロッド11を軸方向に移動させる電動シリンダ12と、ロッド11に連結され被加工部材Mに負荷される荷重を検出する荷重検出器13と、電動シリンダ12を駆動させるサーボモータ14と、サーボアンプ16と接続され、サーボモータ14に設けられたエンコーダに代表される位置検出器15と、サーボモータ14及びサーボコントローラ17に電気的に接続され、サーボモータ14の駆動を制御するサーボアンプ16と、荷重検出器13及びサーボアンプ16に電気的に接続され、サーボモータ14の制御指令をサーボアンプ16に出力するいわゆる位置決めユニットであるサーボコントローラ17と、を備えている。
【0052】
サーボコントローラ17の制御指令はサーボモータ14の駆動制御モードによって異なり、位置制御モードでは位置制御指令が、速度制御モードでは速度制御指令が、トルク制御モードではトルク制御指令が、サーボアンプ16に出力される。
位置制御モードは被加圧部材の所定の厚さに成型する場合に好適に用いることができる。速度制御モードは位置制御モードに比べて指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能である。トルク制御モードは更に指令信号に対する応答速度が速いので、より高速制御が可能であり、圧入工程などに好適に用いることができる。
【0053】
電動シリンダの制御システムとして作動する制御ユニット20は、荷重検出器13、サーボモータ14、位置検出器15、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17から構成される。
【0054】
[第1実施形態]
本実施形態では、サーボモータ14は位置制御モードで駆動制御される。サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動を位置制御モードで制御可能に構成されている。速度制御モード、トルク制御モードの切り替えが可能な構成でもよい。
【0055】
本発明の制御方法について図2を参照して説明する。まず、サーボコントローラ17における制御モードとして位置制御モードを選択し、図示しない入力装置により、サーボコントローラ17にロッド11の駆動速度Smと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を検知するための衝突検知荷重Pcと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突が検知された場合にその後のロッド11の駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、ロッド11の急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度Scと、を入力する。
【0056】
プレス加工を行う被加工部材Mをプレス加工装置1の所定の位置にセットした後に、運転を開始すると、サーボコントローラ17に入力された駆動速度に基づいてロッド11を駆動し、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する駆動制御ステップS1が実行される。
【0057】
図3に示すように、ステップS11では、入力されたロッド11の駆動速度に基づいてサーボコントローラ17がサーボアンプ16に位置指令パルス信号を出力する。
【0058】
続くステップS12では、サーボアンプ16は、ステップS11でサーボコントローラ17から入力された位置指令パルス信号に基づいて、内蔵する偏差カウンタにより位置指令パルス信号のパルス数を計数し、パルス周波数及びパルス数に応じたモータ駆動電流をサーボモータ14へ出力する。
【0059】
続くステップS13では、サーボアンプ16から入力されたモータ駆動電流によりサーボモータ14が回転駆動される。サーボモータ14の回転運動は、電動シリンダ12に内蔵されたボールねじ機構によって直線運動に変換され、ロッド11を駆動する。これにより、ロッド11が前方へ押し出され、ロッド11が被加圧部材Mを加圧する。加圧荷重Pmは荷重検出器13によって検出される。
【0060】
サーボモータ14の回転に伴い、サーボモータ14に設けられた位置検出器15がサーボアンプ16に対し、サーボモータ14の回転数に応じた絶対位置信号を出力する。サーボアンプ16は、絶対位置信号情報を帰還パルス信号に変換してサーボコントローラ17に出力する。更に、サーボアンプ16は、位置指令パルス信号のパルス数と帰還パルス信号のパルス数との差、つまり、溜りパルスに応じてサーボモータ14の回転を制御する。ここで、位置指令パルス信号のパルス数は、サーボモータ14の回転角と比例関係にあり、位置指令パルス信号のパルス周波数によりサーボモータ14の駆動速度が制御され、パルス数によりロッド11の移動距離が定まる。
【0061】
続くステップS14では、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を、荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する。
【0062】
続く衝突検知荷重判定ステップS21では、サーボコントローラ17において、加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pcに達したか否か、つまり、加圧荷重Pmが衝突検知荷重Pc以上であるか否かを判定する。Pm≧Pc(ステップS21:YES)の場合にはステップS22に進む。
【0063】
Pm<Pc(ステップS21:NO)の場合には駆動制御ステップS1に戻る。荷重検出器13からサーボコントローラ17に加圧荷重信号が出力され、加圧荷重Pmが停止荷重Pcに達するまでの間、駆動速度でロッド11が押し出されるように、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ各制御モードに応じた指令信号が出力され続ける。
【0064】
続く衝突時停止フラグ判定ステップS22では、サーボコントローラ17において、衝突時停止フラグがONであるか否か、つまり、衝突が検知された後にロッド11の駆動を許可するか否かを判定する。衝突時停止フラグがON(ステップS22:YES)の場合には急制動ステップS3に進み、衝突時停止フラグがOFF(ステップS22:NO)の場合にはステップS23に進む。
【0065】
また、ロッドと被加圧部材との衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、衝突時停止フラグをONに設定しておくことにより、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
【0066】
衝突許可速度判定ステップS23では、サーボコントローラ17において、駆動速度Smが衝突許可速度Scに達したか否か、つまり、駆動速度Smが衝突許可速度Sc以上であるか否かを判定する。Sm≧Sc(ステップS23:YES)の場合にはステップS3に進む。
Sm<Sc(ステップS7:NO)の場合には、ステップS4に進んで、サーボコントローラ17において最初に設定した駆動条件に基づいた駆動を継続する。
【0067】
急制動ステップS3では、図4に示すように、溜りパルス計算ステップS31において、サーボコントローラ17が衝突時停止フラグ判定ステップS22または衝突許可速度判定ステップS23の判定時の位置指令パルス信号のパルス数と帰還パルス信号のパルス数との差、つまり、溜りパルスを計算する。
ここで、溜りパルスの計算を衝突時停止フラグ判定ステップS22の判定時に行うのは、
衝突時停止フラグがON(ステップS22:YES)の場合である。
【0068】
続く逆方向位置指令パルス信号出力ステップS32では、溜りパルス計算ステップS31で計算された溜りパルスに基づいて、サーボコントローラ17からサーボアンプ16に、ロッド11を加圧方向と逆方向へ駆動させる、つまり、サーボモータを逆回転させるための位置制御パルス信号であって、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を出力する。
【0069】
ここで、逆方向位置指令パルスは、溜りパルスと逆方向の位置指令パルスであり、正転パルスである溜りパルスのパルス列の符号を逆転させる逆転パルス列として構成することができる。
【0070】
続くステップS33では、サーボアンプ16は、ステップS31でサーボコントローラ17から入力された逆方向位置指令パルス信号に基づいて、溜りパルスを減少させて、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
【0071】
このように、急制動ステップS3では、溜りパルス計算ステップS31により、溜りパルスを計算し、逆方向位置指令パルス信号出力ステップS32により、溜りパルス計算ステップS31で計算された溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16に出力して、ロッド11を急停止させることができる。
また、サーボアンプ16に逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0072】
衝突検知荷重Pcは荷重検出器13の荷重分解能以上で定格荷重の10%以下に設定することが好ましい。衝突検知荷重Pcは荷重検出器13の定格荷重の10%を超えると、ロッド11の急制動を行うタイミングに遅れが生じてしまい、オーバーロードする可能性が高くなるため好ましくない。
【0073】
衝突許可速度Scはプレス加工装置系の剛性や慣性などを考慮して、ロッド11が被加圧部材Mに衝突した後に、荷重検出器13の破損限界荷重を超えないように適宜設定することができる。
【0074】
逆方向位置指令パルスのパルス数は、加圧荷重Pmがロッド11に連結された荷重検出器13を破損してしまう値まで上昇することなくロッド11を停止させることができる範囲で任意に設定することができる。溜りパルスを速やかに減少させて0とするために、溜りパルスのパルス数以上とすることが好ましく、特に、逆方向位置指令パルスのパルス数の方が多い場合には、サーボモータ14の逆転駆動が生じて被加圧部材Mに対する加圧荷重を急速に減少させることができるので、より効果的にオーバーロードを防ぐことができる。
【0075】
また、逆方向位置指令パルスの周波数は、溜りパルスを速やかに減少させてロッドを停止させるために、位置指令パルスの周波数以上とすることが好ましい。
【0076】
(実施例1)
本実施形態の効果を、従来の電動シリンダの制御方法を比較例として確認した。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
図5に、第1実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合と、従来の制御方法を適用した場合との、駆動速度と最大加圧荷重の関係を比較して示す。なお、本実施例において使用した荷重検出器(ロードセル)の定格荷重値は12.0kNであり、破損限界荷重は18.0kNである。
【0078】
衝突条件は、第1実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では、衝突時の駆動速度を5.0mm/sから45.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.003kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
比較例は、加圧荷重が荷重検出器の定格荷重値を超えた時点でオーバーロードとして、サーボコントローラからサーボアンプへの位置指令パルス信号出力を停止することで、ロッドの駆動を停止する従来の制御方法を適用した。比較例では、衝突時の駆動速度を1.0mm/sから8.0mm/sまで1.0mm/s刻みで変化させた。
【0079】
図5に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第1実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が45.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は17.546kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第1実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0080】
[第1実施形態の効果]
(1)本発明の電動シリンダの制御方法及び電動シリンダの制御システムによれば、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を検知した後に、ロッド11の衝突速度が衝突許可速度以上である場合に、ロッド11を急停止または反転駆動により急制動することができるため、オーバーロードにより電動シリンダ12やロッド11に連結された荷重検出器13を破損することを防ぐことができる。
また、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を想定していない、ロッド位置移動工程やジョグ運転工程など、衝突検知荷重以上の荷重がロッドにかかる状態が明らかに異常状態であると判定される工程において、衝突時停止フラグをONに設定しておくことにより、速やかにオーバーロードを防ぐ急制動を行うことができる。
更に、ロッド11がある所定位置において、位置に対して予め設定記憶させた許容プレス荷重値を超過した時点で、異常判定を行う方法をとっていないため、加圧軸方向の高さが各々異なるような被加圧部材のプレス加工にも対応できる。
【0081】
(2)サーボモータ14が位置制御モードで駆動制御される場合に、急制動ステップS3では、溜りパルス計算ステップS31により、溜りパルスを計算し、逆方向位置指令パルス信号出力ステップS32により、溜りパルス計算ステップS31で計算された溜りパルスに基づいて、溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16に出力して、ロッド11を急停止させることができる。
また、サーボアンプ16に逆方向位置指令パルス信号を出力する方法を採用することにより、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0082】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態同様に、サーボモータ14は位置制御モードで駆動制御される。第2実施形態は第1実施形態とは急制動ステップS3において異なっている。
【0083】
駆動制御ステップS1で第1実施形態と同様の処理が実行され、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3が実行される。
【0084】
図6に示すように、急制動ステップS3では、位置指令パルス信号出力停止ステップS34により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていた位置指令パルス信号の出力を直ちに停止する。
【0085】
続くステップS35では、サーボアンプ16は、位置指令パルス信号出力停止ステップS34で位置指令パルス信号が停止されたことに基づいて、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
これにより、ロッド11の急制動が実行され、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
【0086】
(実施例2)
第2実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)及び比較例は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0087】
衝突条件は、第2実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では衝突開始時の駆動速度を5.0mm/sから30.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.050kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
【0088】
図7に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第2実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が30.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.861kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第2実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0089】
[第2実施形態の効果]
サーボモータ14が位置制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、位置指令パルス信号出力停止ステップS34により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていた位置指令パルス信号の出力を停止して、ロッド11を急停止させることができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
また、位置制御モードを採用しても溜りパルスの影響を排除することができる。
【0090】
[第3実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動を速度制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14は速度制御モードで駆動制御される。
【0091】
本実施形態の制御方法について図を参照して説明する。まず、サーボコントローラ17における制御モードとして速度制御モードを選択し、図示しない入力装置により、サーボコントローラ17にロッド11の駆動速度Smと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突を検知するための衝突検知荷重Pcと、ロッド11と被加圧部材Mとの衝突が検知された場合にその後のロッド11の駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、ロッド11の急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度Scと、を入力する。
【0092】
プレス加工を行う被加工部材Mをプレス加工装置1の所定の位置にセットした後に、運転を開始すると、サーボコントローラ17に入力された駆動速度に基づいてロッド11を駆動し、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する駆動制御ステップS1が実行される。
【0093】
図8に示すように、ステップS15では、入力されたロッド11の駆動速度に基づいてサーボコントローラ17がサーボアンプ16に速度指令信号を出力する。
【0094】
続くステップS16では、サーボアンプ16は、ステップS1でサーボコントローラ17から入力された速度指令信号に基づいて、モータ駆動電流をサーボモータ14へ出力する。
【0095】
続くステップS17では、サーボアンプ16から入力されたモータ駆動電流によりサーボモータ14が回転駆動される。サーボモータ14の回転運動は、電動シリンダ12に内蔵されたボールねじ機構によって直線運動に変換され、ロッド11を駆動する。これにより、ロッド11が前方へ押し出され、ロッド11が被加圧部材Mを加圧する。加圧荷重Pmは荷重検出器13によって検出される。
【0096】
続くステップS18では、荷重検出器13によって検出された加圧荷重Pmに応じた加圧荷重信号を、荷重検出器13からサーボコントローラ17に出力する。
【0097】
衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23における急制動ステップS3に進む急制動条件は、位置制御モードと同様である。
【0098】
図9に示すように、急制動ステップS3では、速度指令信号出力停止ステップS36により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16への速度指令信号の出力を停止(零に)する。
【0099】
続くステップS37では、サーボアンプ16は、速度指令信号出力停止ステップS36でサーボコントローラ17からの速度指令信号出力が停止されたことに基づいて、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
これにより、ロッド11の急制動が実行され、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
ここで、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能である。
【0100】
(実施例3)
第3実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)及び比較例は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0101】
衝突条件は、第2実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では衝突開始時の駆動速度を5.0mm/sから50.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.003kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
【0102】
図10に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第3実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が50.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.861kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第3実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0103】
[第3実施形態の効果]
サーボモータ14が速度制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、速度指令信号出力停止ステップS36により、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていた速度指令信号の出力を停止して、ロッド11を急停止させることができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
ここで、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能である。
【0104】
[第4実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動を速度制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14は速度制御モードで駆動制御される。第4実施形態は第3実施形態とは急制動ステップS3において異なっている。
【0105】
駆動制御ステップS1で第3実施形態と同様の処理が実行され、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3が実行される。
【0106】
図11に示すように、急制動ステップS3では、反転信号出力ステップS38により、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力する。
【0107】
続くステップS39では、サーボアンプ16は、反転信号出力ステップS38でのサーボコントローラ17からの速度指令の反転信号に基づいて、サーボモータ14へロッド11を加圧方向と逆方向に移動させるモータ駆動電流を出力する。
【0108】
続くステップS40では、サーボコントローラ17からサーボアンプ16への速度指令信号の出力を停止(零に)し、ステップS41では、サーボアンプ16は、サーボモータ14へのモータ駆動電流の出力を停止する。
【0109】
これにより、ロッド11の反転駆動による急制動が実行され、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
【0110】
(実施例4)
第4実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)、比較例及び衝突条件は、第3実施形態の実施例3と同様とした。
【0111】
図12に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第4実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が50.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.302kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第4実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0112】
[第4実施形態の効果]
サーボモータ14が速度制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、反転信号出力ステップS38により、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力し、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
また、反転駆動によりロッド11の急制動を行うため、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを防止することができる。
更に、速度制御モードは位置制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0113】
[第5実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動をトルク制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14はトルク制御モードで駆動制御される。
【0114】
第5実施形態では、第3実施形態の「速度指令信号」による制御を「トルク指令信号」により行う。トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、より高速制御が可能である。
【0115】
(実施例5)
第5実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)、比較例及び衝突条件は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0116】
図13に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第5実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が45.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は16.508kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第5実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
【0117】
[第5実施形態の効果]
サーボモータ14がトルク制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、サーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力されていたトルク指令信号の出力を停止して、ロッド11を急停止させることができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
ここで、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0118】
[第6実施形態]
本実施形態では、サーボアンプ16及びサーボコントローラ17は少なくともサーボモータ14の駆動をトルク制御モードで制御可能に構成されており、サーボモータ14はトルク制御モードで駆動制御される。
【0119】
第6実施形態では、第4実施形態の「速度指令信号」による制御を「トルク指令信号」により行う。トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、より高速制御が可能である。
【0120】
(実施例6)
第6実施形態の効果を確認した。使用した荷重検出器(ロードセル)及び比較例は、第1実施形態の実施例1と同様とした。
【0121】
衝突条件は、第6実施形態の電動シリンダの制御方法を適用した場合では衝突開始時の駆動速度を5.0mm/sから60.0mm/sまで5.0mm/s刻みで変化させた。いずれの場合も衝突検知荷重Pcを0.003kNとした。衝突時停止フラグはOFFとし、衝突許可速度Scは4mm/sとした。
【0122】
図14に示すように、比較例では、衝突時の駆動速度が8.0mm/sのとき加圧荷重が荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kN近くの17.861kNに達して停止した。
一方、第6実施形態の実施例では、衝突時の駆動速度が60.0mm/sと高速である場合にも、加圧荷重は17.076kNで停止し、荷重検出器(ロードセル)の破損限界荷重である18.0kNを超えることがなかった。
これにより、第6実施形態の電動シリンダの制御方法では比較例よりも効果的にオーバーロードを防ぐことができ、高速度のロッド駆動速度で異常衝突が発生してもロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができることが確認された。
本実施例は、最も高速な制御が可能なトルク制御モードを採用し、反転駆動によりロッドの急制動を行ったため、実施例1〜6のうち、最も効果的にロッドの急制動を行うことができた。
【0123】
[第6実施形態の効果]
サーボモータ14がトルク制御モードで駆動制御されており、衝突検知荷重判定ステップS21、衝突時停止フラグ判定ステップS22、衝突許可速度判定ステップS23において急制動ステップS3に進む急制動条件を満足した場合に、急制動ステップS3において、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号をサーボコントローラ17からサーボアンプ16へ出力し、ロッド11を加圧方向と逆方向に移動させ反転駆動による急制動を行うことができる。これにより、第1実施形態の効果(1)と同様の効果を奏することができる。
また、反転駆動によりロッド11の急制動を行うため、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを防止することができる。
更に、トルク制御モードは位置制御モード及び速度制御モードよりも指令信号に対する応答速度が速いので、高速制御が可能であり、より迅速にロッド11を制動してオーバーロードを効果的に防止することができる。
【0124】
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、電動シリンダ12の制御方法、制御システムをプレス加工装置1に適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、プレス加工装置以外にも電動シリンダを用いる各種装置、工程に適用可能である。
例えば、本発明を圧入工程に適用すると、圧入品の圧入方向高さが異常に高く、かつ圧入部品がかじっているような異常が生じていた場合、従来制御手法であればオーバーロードによりロッドに連結された荷重検出器が破損する可能性があったが、より効果的にオーバーロードを防ぐことができ、ロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができる利点がある。
また、本発明を電動シリンダのロッドによって被搬送物を搬送する搬送工程に適用すると、被搬送物が予期しない位置に存在し、ロッドと被搬送物が予期しない異常衝突したような場合においてもより効果的にオーバーロードを防ぐことができ、ロッドに連結された荷重検出器が破損することを防ぐことができる利点がある。
更に、本発明において、ロッド11の進行方向は押し出し方向のみに限らず、引き入れ方向であっても良い。これにより、加圧工程のみならず引っ張り工程にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 プレス加工装置(電動シリンダ装置)
11 ロッド
12 電動シリンダ
13 荷重検出器
14 サーボモータ
15 位置検出器
16 サーボアンプ
17 サーボコントローラ
20 制御ユニット
M 被加圧部材
Pm 加圧荷重
Pc 衝突検知荷重
Sm 駆動速度
Sc 衝突許可速度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御方法であって、
前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定し、
前記サーボコントローラに入力された駆動速度に基づいて前記ロッドを駆動し、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重に応じた加圧荷重信号を前記荷重検出器から前記サーボコントローラに出力する駆動制御ステップと、
前記サーボコントローラにおいて、前記加圧荷重信号に基づいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定する衝突検知荷重判定ステップと、
前記サーボコントローラにおいて、衝突時停止フラグがONであるか否かを判定する衝突時停止フラグ判定ステップと、
前記衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがOFFである場合に、前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否かを判定する衝突許可速度判定ステップと、
衝突検知荷重判定ステップにおいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定され、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがONであると判定された、または、衝突許可速度判定ステップにおいてロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であると判定された場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動する急制動ステップと、
を備えたことを特徴とする電動シリンダの制御方法。
【請求項2】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラにおいて前記衝突時停止フラグ判定ステップまたは前記衝突許可速度判定ステップの判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算する溜りパルス計算ステップと、
前記溜りパルス計算ステップで計算された溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力する逆方向位置指令パルス信号出力ステップと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項3】
前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上であることを特徴とする請求項2に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項4】
前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項5】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止する位置指令パルス信号出力停止ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項6】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止する速度指令信号出力停止ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項7】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項8】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止するトルク指令信号出力停止ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項9】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項10】
ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御システムであって、
前記サーボコントローラは、
前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定可能に構成されており、
前記ロッドの駆動速度に基づいて前記ロッドの位置制御による駆動を行い、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定し、加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定した場合に、更に、衝突時停止フラグがONであるか否か、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否か、を判定し、衝突時停止フラグがONである、または、駆動速度が衝突許可速度以上であると判定した場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動することを特徴とする電動シリンダの制御システム。
【請求項11】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラにおいて衝突時停止フラグの判定時または衝突許可速度の判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算し、
前記溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力し、
前記サーボアンプに蓄積されている溜りパルスを強制的に減少させて前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項12】
前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上であることを特徴とする請求項11に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項13】
前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項14】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項15】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項16】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項17】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項18】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項1】
ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御方法であって、
前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定し、
前記サーボコントローラに入力された駆動速度に基づいて前記ロッドを駆動し、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重に応じた加圧荷重信号を前記荷重検出器から前記サーボコントローラに出力する駆動制御ステップと、
前記サーボコントローラにおいて、前記加圧荷重信号に基づいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定する衝突検知荷重判定ステップと、
前記サーボコントローラにおいて、衝突時停止フラグがONであるか否かを判定する衝突時停止フラグ判定ステップと、
前記衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがOFFである場合に、前記サーボコントローラにおいて、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否かを判定する衝突許可速度判定ステップと、
衝突検知荷重判定ステップにおいて加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定され、衝突時停止フラグ判定ステップにおいて衝突時停止フラグがONであると判定された、または、衝突許可速度判定ステップにおいてロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であると判定された場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動する急制動ステップと、
を備えたことを特徴とする電動シリンダの制御方法。
【請求項2】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラにおいて前記衝突時停止フラグ判定ステップまたは前記衝突許可速度判定ステップの判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算する溜りパルス計算ステップと、
前記溜りパルス計算ステップで計算された溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力する逆方向位置指令パルス信号出力ステップと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項3】
前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上であることを特徴とする請求項2に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項4】
前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項5】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止する位置指令パルス信号出力停止ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項6】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止する速度指令信号出力停止ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項7】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項8】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止するトルク指令信号出力停止ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項9】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記急制動ステップは、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力する反転信号出力ステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダの制御方法。
【請求項10】
ロッドを軸方向に移動させる電動シリンダと、ロッドに連結され被加圧部材に負荷される加圧荷重を検出する荷重検出器と、電動シリンダを駆動させるサーボモータと、サーボモータに設けられ、サーボアンプに電気的に接続された位置検出器と、サーボモータ及びサーボコントローラに電気的に接続され、サーボモータの駆動を制御するサーボアンプと、荷重検出器及びサーボアンプに電気的に接続され、サーボモータの制御指令をサーボアンプに出力するサーボコントローラと、を備えた電動シリンダ装置における電動シリンダの制御システムであって、
前記サーボコントローラは、
前記ロッドの駆動速度と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突を検知するための衝突検知荷重と、前記ロッドと前記被加圧部材との衝突が検知された場合にその後の前記ロッドの駆動を許可するか否かの判定を行うための衝突時停止フラグと、前記ロッドの急制動を行うか否かの判定を行うためのロッド駆動速度である衝突許可速度と、を設定可能に構成されており、
前記ロッドの駆動速度に基づいて前記ロッドの位置制御による駆動を行い、前記荷重検出器によって検出された加圧荷重が衝突検知荷重以上であるか否かを判定し、加圧荷重が衝突検知荷重以上であると判定した場合に、更に、衝突時停止フラグがONであるか否か、前記ロッドの駆動速度が衝突許可速度以上であるか否か、を判定し、衝突時停止フラグがONである、または、駆動速度が衝突許可速度以上であると判定した場合に、前記ロッドを急停止または反転駆動により急制動することを特徴とする電動シリンダの制御システム。
【請求項11】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラにおいて衝突時停止フラグの判定時または衝突許可速度の判定時の位置指令パルス信号のパルス数と、前記サーボモータの回転数に応じて前記位置検出器から前記サーボアンプに対し出力される絶対位置信号に基づいて前記サーボアンプから前記サーボコントローラに出力される帰還パルス信号のパルス数との差である溜りパルスを計算し、
前記溜りパルスに基づいて、前記溜りパルスを減少させる位置制御パルス信号である逆方向位置指令パルス信号を前記サーボコントローラから前記サーボアンプに出力し、
前記サーボアンプに蓄積されている溜りパルスを強制的に減少させて前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項12】
前記逆方向位置指令パルス信号のパルス数は、前記溜りパルスのパルス数以上であることを特徴とする請求項11に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項13】
前記逆方向位置指令パルス信号の周波数は、前記位置指令パルスの周波数以上であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項14】
前記サーボモータが位置制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの位置指令パルス信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項15】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへの速度指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項16】
前記サーボモータが速度制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させる速度指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項17】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへのトルク指令信号の出力を停止し、前記ロッドを停止させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【請求項18】
前記サーボモータがトルク制御モードで駆動制御される場合に、
前記ロッドの急制動は、
前記サーボコントローラから前記サーボアンプへ、前記ロッドを加圧方向と逆方向に移動させるトルク指令の反転信号を出力し、前記ロッドを反転駆動させることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の電動シリンダの制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−6048(P2012−6048A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144831(P2010−144831)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
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