説明

電動ブレーキ制御装置及び電動ブレーキ制御方法

【課題】本発明は、ブレーキパッドの使用環境が変化しても、ブレーキパッドとディスクロータとの引きずりの発生を低減し、またブレーキ指令に対する応答性低下の防止を図ることを目的とする。
【解決手段】ブレーキ摩擦体があらかじめ設定した条件を満たしたとき、電動モータへの通電量を予め定めた第1通電量と第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御し、この漸減制御時における電動モータの回転速度に基づいて、ブレーキ摩擦体の待機位置を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータによって制動力を発生する電動ブレーキ装置を制御する電動ブレーキ制御装置及び電動ブレーキ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ装置のブレーキパッドは、ディスクロータとの摩擦による磨耗もしくは摩擦熱に応じた膨張により、その厚みが変動する。ブレーキパッドの厚みの変動は、ブレーキ装置の非制動時(ブレーキ装置は起動しているが、制動力が作用していない状態)における、ブレーキパッドとディスクロータとの間隔(以下、パッドクリアランス)を変化させる。
【0003】
パッドクリアランスが全く無い場合、ブレーキ装置は、ブレーキパッドとディスクロータとの間で引きずりを発生する。一方、パッドクリアランスが大きくなりすぎた場合、ブレーキパッドがディスクロータに接触するまでの時間が長くなり、制動力の応答性低下を招くおそれがある。
【0004】
従来の油圧ブレーキ装置は、パッドクリアランス調整機構を備えている。パッドクリアランス調整機構は、パッド磨耗若しくは連続制動時のパッドの熱膨張時において、自動的にピストンを所定量戻し、非制動時にパッドクリアランスを一定とするものであり、例えば、キャリパ内にある油圧ピストンを液密に保持するシールや、クリップ等である。
【0005】
しかし、近年開発されている電動ブレーキ装置は、制御機器からの指令信号に基づいてのみピストンを動かす構造となっている。そのため、電動ブレーキ装置において、上述のようなパッドクリアランス調整機構を実現することは、油圧ブレーキ装置に比較して困難である。
【0006】
特許文献1は、電動ブレーキ装置においてもパッドクリアランス量を確保するために、パッドクリアランス制御に関する技術を開示している。具体的には、電動ブレーキ装置内のモータへ一定電流出力指令を出力し、この一定電流出力されたことを検出したときのピストン位置を算出する。そのピストン位置を初期位置として、あらかじめ定めたパッドクリアランス分だけピストンを戻し、その戻された位置をピストン原点位置として設定して、パッドクリアランスを確保する。
【0007】
【特許文献1】特開平10−181579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電動ブレーキ装置は、上述のようにあらかじめ定めたパッドクリアランス分だけピストンを戻す場合、このピストン戻し量を最大バラツキ値以上に設定されなければならない。電動ブレーキ装置における最大バラツキ値とは、電動ブレーキ装置に内蔵されたピストン稼動機構の剛性及びブレーキパッドの厚みが、熱膨張等の環境変化に応じて変位する最大値のことである。
【0009】
電動ブレーキ装置のピストン戻し量が最大バラツキ値よりも小さく設定された電動ブレーキ装置は、使用時にピストン稼動機構やブレーキパッドが最大バラツキ値になると、ブレーキパッドとディスクロータは引きずりを発生するおそれがある。この引きずりによって、電動ブレーキ装置が高温状態となり、電動ブレーキ装置の内部機器の故障を引き起こすおそれがある。さらに、ブレーキ操作のフィーリングの悪化を招くおそれがある。
【0010】
一方、ピストン戻し量が最大バラツキ値に設定された電動ブレーキ装置は、使用時にピストン稼動機構及びブレーキパッドが最大バラツキ値以下のバラツキ値になると、パッドクリアランスが大きくなってしまい、次回の制動時の応答性低下を招くおそれがある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ブレーキパッドの使用環境が変化しても、ブレーキパッドとディスクロータとの引きずりの発生を低減し、またブレーキ指令に対する応答性低下の防止を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ブレーキ摩擦体の位置があらかじめ設定した条件を満たしたとき、電動モータへの通電量を予め定めた第1通電量と第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御し、この漸減制御時における電動モータの回転速度に基づいて、ブレーキ摩擦体の待機位置を設定する。
【発明の効果】
【0013】
ブレーキパッドの使用環境が変化しても、ブレーキパッドとディスクロータとの引きずりの発生を低減し、ブレーキ指令に対する応答性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施例)
図2は、本発明の一実施例をなす電動ブレーキ装置を搭載した車両のブレーキシステムの概略構成図である。なお、走行のための駆動機構の説明は省略する。
【0015】
第1電動ブレーキ装置1201は、右側の前輪1211側に、車軸1221に近接して搭載される。第2電動ブレーキ装置1202は、左側の前輪1212側に、車軸1221に近接して搭載される。第3電動ブレーキ装置1203は、右側の後輪1213側に、車軸1222に近接して搭載される。第4ブレーキ装置1204は、左側の後輪1214側に、車軸1222に近接して搭載される。
【0016】
各電動ブレーキ装置1201〜1204は基本的な構造は同じであるが、前輪側に対応する第1電動ブレーキ装置1201及び第2電動ブレーキ装置1202は、後輪側に対応する第3ブレーキ装置1203及び第4電動ブレーキ1204より大きな制動力を発生するように構成されることが好ましい。
【0017】
前輪の車軸1221および後輪の車軸1222には、それぞれの車軸に固定されたディスクロータ1231〜1234が設けられる。図2では図示されていないが、各電動ブレーキ装置の機構部1241〜1244は、ディスクロータ1231〜1234の各面側に対向する一対のブレーキパッドを備える。さらに、機構部1241〜1244に備えられた電動モータは回転トルクを発生し、回転トルクに基づきブレーキパッドで各ディスクロータ1231〜1234を挟むように押圧することによって制動力を発生させる。
【0018】
各電動ブレーキ装置1201〜1204において、各電動モータを駆動するための電流を制御する電気回路部1251〜1254は、それぞれの機構部1241〜1244に固定される一体構造になっている。電気回路部1251〜1254は、車軸方向において、機構部1241〜1244に備えられたブレーキパッドとは反対側の面に取り付けられる。
【0019】
前輪側の第1電動ブレーキ装置1201および第2電動ブレーキ装置1202には、第1バッテリ1261から第1電源ライン1271を介して電力が供給される。後輪側の第3電動ブレーキ装置1203および第4電動ブレーキ装置1204には、第2バッテリ1262から第2電源ライン1272を介して電力が供給される。
【0020】
なお、右前輪の第1電動ブレーキ装置1201および左後輪の第4電動ブレーキ装置1204には第1バッテリ1261から電力が供給され、左前輪の第2電動ブレーキ装置1202および右後輪の第3電動ブレーキ装置1203には第2バッテリ1262から電力が供給されるようにしてもよい。電源ラインを2系統にすることで一方の電源ラインに異常が発生しても他方の電源ラインによる制動が可能で、安全性が向上する。
【0021】
図2に示した車両のブレーキシステムにおいて、ブレーキペダル1281のストロークまたはペダル踏力に関する情報は、ペダル操作量検出器1282により検出され、データ信号線1290を介して制御回路1299に入力される。制御回路1299は、例えば車室内に配置され、各電動ブレーキの電気回路部に対し、ブレーキシステムとして上位の制御処理を行う(以下「上位制御回路」と記す)。上位制御回路1299は、第1〜第4電動ブレーキ装置1201〜1204から、それぞれデータ信号線1291〜1294を介して、第1〜第4電動ブレーキ装置1201〜1204の状態、たとえば押し付け力の現在値、動作モード現在値の情報等を受信する。さらに電動モータの状態を監視しながら、ブレーキペダル1281のストロークまたはペダル踏力に関する情報に応じた制御信号をデータ信号線1291〜1294を介して、各電動ブレーキ装置1201〜1204に送信し、各電動ブレーキ装置1201〜1204を制御する。
【0022】
また、上位制御回路1299は、ストロークまたはペダル踏力の情報を含む信号以外に、車体制御コントロールユニット1297によって算出されたブレーキ指令信号なども取得する。車体制御コントロールユニット1297は、車両の走行挙動を安定化させるための制御、たとえばABS(Anti lock Brake System)やVDC(Vehicle Dynamics Control)を実行するために、各輪のブレーキ力を算出し、必要に応じて上位制御回路1299にブレーキ指令信号を出力する。
【0023】
上述のように、電動ブレーキ装置は、発生させるべきブレーキ力を電気信号として取得し、その信号変化に応じてブレーキ力を制御できる。この電気信号は、アナログ信号や通信化された信号など、どのような形態でも実現することが可能である。
【0024】
なお、上位制御回路1299は、各電動ブレーキ装置1201〜1204をそれぞれ単独に制御したり、前輪側の第1電動ブレーキ装置1201と第2ブレーキ装置1202を一グループとするとともに後輪側の第3電動ブレーキ装置1203と第4ブレーキ装置1204を他のグループとして各グループを制御したり、あるいは、前輪側の第1電動ブレーキ装置1201と後輪側の第4電動ブレーキ装置1204を一グループとするとともに前輪側の第2電動ブレーキ装置1202と後輪側の第3電動ブレーキ装置1203を他のグループとして各グループを制御したりしてもよい。グループ分けして制御することで、制御の応答性の改善、制御回路の処理負荷低減、フェールセーフの処理機能の増大といった効果が得られる。
【0025】
図3は、図2の電動ブレーキ装置の概念図である。以下、第1電動ブレーキ装置1201を代表例として、電動ブレーキ装置を説明する。
【0026】
電動ブレーキ装置1201は、互いに対向して配置される一対のブレーキパッド1306、1307を備える。車軸の回転に伴って回転するディスクロータ1231の一部が、各ブレーキパッド1306、1307の間に配置される。
【0027】
電動ブレーキ装置1201は、機構部1241と電気回路部1251とが互いに一体化されて構成される。
【0028】
機構部1241は、筐体1301内に、たとえば三相ブラシレスモータからなる電動モータ1311と、電動モータ1311の回転を減速する減速機1321と、減速機1321によって減速された電動モータ1311の回転運動を直線運動に変換してピストン1331を進退動させる回転直動変換機構1326を備える。
【0029】
回転直動変換機構1326は、機械的な弾性部材によってブレーキパッド1306及び1307をディスクロータ1231から離れる方向に付勢され、電動ブレーキ装置の故障時において異常なブレーキ力を解除するためのフェールオープン機構を備える。通常のブレーキ力制御においては、電動モータ1311に対して、弾性部材の弾性力に打ち勝つ分のモータ回転トルクを発生するための電流を通電する。フェールオープン機構は、本実施例の様に弾性部材、例えばバネを用いたものや、ボールねじのような機械的な傾斜による自己反力を用いたものであってもよい。
【0030】
ブレーキパッド1307は、ピストン1331に取り付けられ、ピストン1331の推力によりディスクロータ1231を一方の面側から押圧する。この際に、ディスクロータ1231の一方の面側からの押圧力を反力として電動ブレーキ装置1201が図中矢印α方向に移動することにより、ブレーキパッド1306がディスクロータ1231を他方の面側から押圧する。
【0031】
機構部1241は、パーキングブレーキ(PKB)機構1341を備える。パーキングブレーキ機構1341は、ピストン1331がディスクロータ1231に推力を発生している状態のまま電動モータ1311の回転を止めることにより、電動モータ1311に電力を供給することなく、制動力を保持することができる(以下、駐車ブレーキ機能)。
【0032】
電動モータ1311の近傍には、電動モータ1311の回転角を検出する回転角検出センサ1351及び電動モータ1311の温度を検出するモータ温度センサ1355が配置される。回転角検出センサ1351及びモータ温度センサ1355の出力信号は、電気回路部1251内に配置される下位制御回路1399に出力される。
【0033】
電気回路部1251は、車体側に配置されるバッテリ1261から電力供給を受ける。また、エンジンコントロールユニット1381、ATコントロールユニット1383、ペダル操作量検出器1282等が接続されたLAN(Local Area Network)を介して、あるいは該LANから上位制御回路1299を介して、種々の制御信号を取得する。
【0034】
電気回路部1251は、インバータ回路1391及び下位制御装置1399を備える。インバータ回路1391は、電動モータ1311に印加する電圧を制御するための回路である。下位制御回路1399は、LAN経由により制御信号を取得し、さらに機構部1241側からの回転角検出センサ1351及びモータ温度センサ1355等の出力情報信号を取得し、これらの信号に基づいてインバータ回路1391を制御する。
【0035】
電動モータ1311は、インバータ回路1391からの出力を取得し、ピストン1331に所定の推力を発生させるように回転トルクを発生する。なお、図中符号1395は車両側の構造物を示している。
【0036】
図4は、図3の電気回路部1251の回路構成図である。
【0037】
図中太線枠1251は図3に示された電気回路部1251に相当し、さらに一点鎖線枠1391は図3に示されたインバータ回路1391に相当する。図中点線枠1503は、機構部1241内の回路に相当する。
【0038】
図4に示された機構部1241内回路及び電気回路部1251は、図示されていないが、金属製の筐体で被われているため、飛び石等の外的傷害の要因から保護される。また、伝熱性の高い金属製の筐体を用いることにより、各回路等から発生する熱の放熱を図ることができる。さらに、遮蔽性の高い金属製の筐体を用いることにより、電磁波等に対するシールド効果を備える。
【0039】
まず、電気回路部1251の回路において、車両内の電源ラインを介して供給される電力が、電源回路1511に供給される。電源回路1511により安定化された電力(Vcc、Vdd)は、中央制御回路(CPU)1599に供給される。なお、電源回路1511からの電源(Vcc)は、VCC高電圧検知回路1513によって検知される。VCC高電圧検知回路1513が高電圧を検知した場合には、フェールセーフ回路1515を動作させる。
【0040】
フェールセーフ回路1515は、後述の三相モータインバータ回路1517に供給する電力をスイッチングするリレー1519を動作させる。VCC高電圧検知回路1513によって高電圧が検知された場合、電力の供給をOFF状態にする。
【0041】
フィルタ回路1521は、リレー1519を介して電気回路部1251内に供給される電力のノイズを除去し、ノイズが除去された電力を三相モータインバータ回路1517に供給する。
【0042】
中央制御回路1599は、上位制御回路1299からの制御信号を、CAN通信インターフェース回路1523を介して取得し、また機構部1241側に配置された回転角検出センサ1351及びモータ温度センサ1355からの出力信号を、それぞれ、回転角検出センサインターフェース回路1527及びモータ温度センサインターフェース回路1529を介して取得する。現時点における電動モータ1311の状況等に関する情報を取得し、上位制御回路1299からの制御信号に基づきフィードバック制御をすることにより、電動モータ1311に適切な回転トルクを発生させる。すなわち、中央制御回路1599は、上位制御回路1299からの制御信号及び各センサの検出値に基づいて、三相モータプリドライバ回路1531に適切な信号を出力させる。
【0043】
三相モータインバータ回路1517には、相電流モニタ回路1533および相電圧モニタ回路1535が具備される。相電流モニタ回路1533および相電圧モニタ回路1535は、それぞれ相電流および相電圧を監視し、監視結果を中央制御回路1599に出力する。中央制御回路1599は、監視結果に応じて、三相モータプリドライバ回路1531を適切に動作させる。
【0044】
三相モータインバータ回路1517は、機構部1241内の電動モータ1311と接続され、中央制御回路1599による制御に応じて、電動モータ1311を駆動制御する。
【0045】
また、中央制御回路1599は、上位制御回路1299からの制御信号及び各センサの検出値に基づいてPKB(パーキングブレーキ)ソレノイドドライバ回路1537を制御する。PKBソレノイドドライバ回路1537は、中央制御回路1599からの制御信号に基づいて機構部1241内のPKBソレノイド1342を動作させ、パーキングブレーキを作用させる。
【0046】
また、電気回路部1251は、中央制御回路1599との間で信号の送受がなされる監視用制御回路1539、たとえば故障情報等が格納されたEEPROMからなる記憶回路1541を備える。中央制御回路1599は、これら監視用制御回路1539および記憶回路1541からの情報に基づき電動モータ1311の駆動において適切な推力を得るための制御を行う。
【0047】
図5は、本実施例で使用される電動ブレーキ装置のブレーキ力特性を示す。図5において、縦軸は発生するブレーキ力を示し、横軸は電動モータ1311の回転角度変位に相当するモータ変位Xを示す。
【0048】
中央制御回路1599は、ブレーキ力指令値に応じたモータ変位指令値Xが設定し、モータ変位指令値に応じた駆動制御信号を出力し、制動力を発生させる。一回の制動力動作の終了毎に、ブレーキパッド1306、1307は、ディスクロータ1231から離間する方向に戻され、ブレーキパッド1306及び1307とディスクロータ1231との間にはクリアランスが設定される。
【0049】
しかしながら、クリアランスの大きさは、ブレーキパッド1306、1307の摩耗により大きくなったり、ブレーキパッド1306、1307の熱膨張により小さくなったりする。さらに、ブレーキパッド1306、1307をディスクロータ1231に押圧させる場合、電動ブレーキ装置には、モータ変位Xとブレーキ力との間に機械的な剛性が存在する。そのため、電動モータが駆動してからブレーキ力が発生し始めるまでの空走区間が変化する。
【0050】
図6は、本実施例で使用される電動ブレーキ装置におけるモータ変位とモータ実効電流値との関係を示す。
【0051】
電動ブレーキ装置の制御モードは、大きく4つの領域に分けられる。まず、図6におけるA領域は、電動モータが空走して、ブレーキパッド1306及び1307がディスクロータ1231に接触するまでの領域である。B領域は、ブレーキパッド1306及び1307がディスクロータ1231に接触して、ブレーキ力が発生している領域である。なお、A領域とB領域の境目のモータ変位X1は、ブレーキパッド1306及び1307とディスクロータ1231の接触開始位置を示す。
【0052】
C領域は、一度発生させたブレーキ力を保持する領域である。C領域でブレーキ力を保持するのに費やす実効電流は、ブレーキ力を保持すべきブレーキ力値まで増加させるための電流より少ない実効電流となる。D領域は、実効電流を更に減少させ、ブレーキ力を減少させる制御を実行する領域である。E領域は、ブレーキ力が0となり、電動モータ1311の空走領域である。
【0053】
図6に示されるように、ブレーキパッド1306、1307とディスクロータ1231とが接触しはじめる実効電流Iaと、ブレーキパッド1306と1307とディスクロータ1231が離間しはじめる電流Ibが異なる。実効電流Iaと実効電流Ibとが異なる原因は、制動力を発生させようとする場合、電動モータ1311はブレーキパッド1306、1307をディスクロータ1231からの反力に抗する回転トルクを発生させる必要があるからである。さらに、ブレーキ力発生時のブレーキパッド1306、1307の磨耗やブレーキパッド1306及び1307とディスクロータ1231間の摩擦熱によるブレーキパッド1306及び1307自体の熱膨張も原因として挙げられる。
【0054】
図1は、本実施例における中央制御回路1599の制御ブロック図である。
【0055】
ブレーキパッド1307の推力を制御する推力制御を実行する際には、スイッチ102は閉状態となり、スイッチ105はaの位置となる。
【0056】
指令変換部100は、上位制御回路1299から送信される推力指令信号、及び回転角検出センサ1351から送信されるモータ回転角信号を取得し、これらの信号に応じて、推力指令信号をモータ位置指令信号に変換する。モータ位置制御部101は、モータ位置指令信号に基づいて、電動モータ1311に通電する電流量を演算し、演算結果である電流指令値を出力する。電流制御部103は、電流指令値、及び相電流モニタ1533からの電流値を取得し、電動モータ1311に通電される電流値が該電流指令値となるようにフィードバック制御を実行する。
【0057】
パッドクリアランス要求がある場合は、スイッチ102は開状態となり、スイッチ105はbの位置となる。パッドクリアランス要求が出力される条件は、ブレーキシステム起動直後や、前述の推力制御実行中を除いたブレーキシステム稼動中や、推力が発生している状態から完全に推力を抜くような推力制御を実行中等が挙げられる。なお、推力制御実行中を除いたブレーキシステム稼動中におけるパッドクリアランス要求は、所定時間毎に定期的に出力したり、車両が所定距離走行後に出力したり、運転者により所定回数ブレーキ操作が行われた時に出力したりしてもよい。また、機構部1301に設置されたモータ温度センサ1355からの出力信号の変化に基づいて、パッドクリアランス要求を出力するようにしてもよい。
【0058】
パッドクリアランス要求が発生した場合、ピストン(モータ)待機位置設定部106は、後述するピストン待機位置設定制御を実行することにより、パッドクリアランスを設定する。
【0059】
ピストン待機位置設定部106に備えられたモータ位置演算部104は、電動モータ1311に通電される電流値や回転角信号を取得し、それらの取得値に基づいて、ブレーキパッド1307とディスクロータ1231との接触開始位置を検出する機能を備える。さらに、モータ位置演算部104は、最適なパッドクリアランスを設定するための電流指令値を出力する機能を備える。これらの機能については、図7にて詳述する。
【0060】
図7は、ピストン待機位置設定制御のフローチャートを示す。
【0061】
ステップ701において、パッドクリアランス要求の有無が判断される。パッドクリアランス要求が無い場合は、ルーチンを抜けて処理は終了する。
【0062】
パッドクリアランス要求がある場合は、ステップ702において、ピストン待機位置設定部106は、推力指令値F、モータ回転角値X、モータ実効電流値Iを取得する。モータ回転角値Xは、図4に示される回転角検出センサ1351からのモータ回転角検出信号から生成される値であり、モータ実効電流値Iは、相電流モニタ1533で検知される相電流とモータ回転角値Xから中央制御回路1599内で演算される値である。
【0063】
ステップ703において、電動モータ1311の回転方向が正方向か否かを判定し、電動モータ1311の回転方向が正方向と判定されるとステップ704に移行する。ここで、電動モータ1311の回転方向が正方向であるということは、ピストン1331が推力を発生する方向に推進するように電動モータ1311が回転していることを示す。また、ピストン待機位置設定部106が、モータ回転角値Xの変化量を演算し、この演算結果に基づいて電動モータ1311の回転方向が正方向である否かを判定する。本実施例のブレーキシステムにおいて、電動モータ1311の回転方向が正方向となる状況は、主に、ブレーキシステム起動直後または非制動時における、定期的なブレーキパッド1307とディスクロータ1231との接触開始位置の検出時である。
【0064】
図8は、電動モータ1311が正回転方向における、モータ回転角値X及びモータ実効電流値Iの時間変化を示す。図8において、縦軸はモータ回転角値X及びモータの実効電流値Iを示し、横軸は時間を示す。曲線800は、モータの実効電流値Iを示し、曲線801は、モータ回転角値Xを示す。
【0065】
前述の接触開始位置の検出を実行する場合、モータ位置演算部104は、電動モータ1311を一定速度で回転させるように、モータ回転角値X及びモータ実効電流値Iに基づいて電流指令値を設定し、電流制御部103に出力する(S704)。モータ起動時においては、電動モータ1311には、時刻t1において起動電流が流れるが、モータ回転が一定速度に達する時刻t2においては、ほぼ一定電流に落ち着く(t2〜t3)。この一定回転速度は、本実施例で使用される電動ブレーキ装置において、その回転速度を十分検知可能かつ電動モータ1311の性能から勘案して最大の速度に設定される。
【0066】
ステップ705において、モータ位置演算部104は、モータ実効電流値Iが予め定めた電流値I0より大きくなるまでは、モータ回転の一定速度制御を継続する。モータ実効電流値Iが電流値I0より大きくなったときは、ステップ706に移行する。
【0067】
ステップ706において、モータ位置演算部104は、モータ実効電流値Iが電流値I0より大きくなったときのモータ回転角X0で、電動モータ1311の回転を停止させる。この時のモータ回転角X0が、ブレーキパッド1307がディスクロータ1231に接触するモータ回転角である。
【0068】
ステップ705からステップ706は、図8において時刻t3からt4の区間に該当する。ピストン空走区間(0〜t3)を過ぎ、さらに時刻t3を過ぎると、ブレーキパッド1307はディスクロータ1231に接触し、モータ実効電流値は増加し始める。予め設定した実効電流値I0に達したとき(t4)、モータ回転角の位置制御を実行し、その時のモータ回転角X0で電動モータ1311を停止させる。
【0069】
ステップ707において、モータ位置演算部104は、モータ回転角位置X0で停止させた時の実効電流値I0を電流指令値とする電流制御処理を実行する。この時の電流指令値は、ブレーキパッド1307がディスクロータ1231から受ける反力、及び回転直動変換機構1326に設置されたフェールオープン機構の弾性力にうちかち、電動モータ1311を停止させるための電流値である。
【0070】
ステップ708において、モータ位置演算部104は、実効電流値I0が漸減電流値Idずつ減少するような電流指令値を電流制御部103に出力する。漸減電流値Idは、電動モータ1311からブレーキパッド1307までの伝達効率を若干上回るような回転トルクを発生する電流値に設定する。ここで、伝達効率とは、減速機1321や回転直動変換機構1326等の駆動による摩擦損失や機械損失を考慮した時の、電動モータ1311が発生する機械エネルギーの伝達効率を示す。
【0071】
ステップ708において、実効電流値Iを減少させていくと、ディスクロータ1231からの反力及びフェールオープン機構の弾性力によって、電動モータ1311は負の方向に回転し、ブレーキパッド1307が押し戻される。
【0072】
ステップ709において、モータ位置演算部104は、ブレーキパッド1307が押し戻されるときの、モータの回転角を検出する。そして、ブレーキパッド1307が押し戻されると、ディスクロータ1231からの反力は減少し、電動モータ1311の回転は停止する(図8において、t5)。
【0073】
ステップ710において、モータ位置演算部104は、実効電流値Iを減少させても、電動モータ1311の回転が止まった位置X1をブレーキパッド待機位置とし、処理を終了する。
【0074】
以上のようなパッドクリアランス制御により、ブレーキパッドの使用環境が変化しても、パッドクリアランスを適切に設定し、引きずりが無く、応答性の高いブレーキ力制御を実現する。
【0075】
なお、漸減電流値Idを小さく設定すると、パッドクリアランスの設定精度が向上するが、パッドクリアランスを設定するまでの時間が長くなる。一方、漸減電流値Idを大きく設定すると、パッドクリアランスの設定精度は低下するが、パッドクリアランスを設定するまでの時間が短くなる。漸減電流値Idは、ブレーキパッド1307やディスクロータ1231の特性、電動ブレーキ装置を構成する各部品の機械的特性を考慮して、設定される。
【0076】
次に、ステップ703において、電動モータ1311の回転方向が負方向と判定されるとステップ711に移行する。ここで、電動モータ1311の回転方向が負方向であるということは、ピストン1331がディスクロータ1231から離間する方向に移動するように電動モータ1311が回転していることを示す。本実施例のブレーキシステムにおいて、電動モータ1311の回転方向が負方向となる状況は、主に、推力が0より大きくなる推力制御を実行した後に、推力指令値が0となるような状況である。
【0077】
図9は、電動モータ1311が負回転方向における、推力指令値、モータ回転角値X及びモータ実効電流値Iの時間変化を示す。図9において、縦軸は推力指令値、モータ回転角値X及びモータの実効電流値Iを示し、横軸は時間を示す。曲線900は推力指令値を示し、曲線901はモータ実効電流値Iを示し、曲線902はモータ回転角値Xを示す。
【0078】
モータ位置演算部104は、推力が0より大きくなる推力制御を実行した後に、推力が0となる推力指令値を受信したとき(t10)、電動モータ1311を一定速度で回転させるように、モータ回転角値X及びモータ実効電流値Iに基づいて電流指令値を設定し、電流制御部103に出力する(S711)。この一定回転速度は、本実施例で使用される電動ブレーキ装置において、その回転速度を十分検知可能かつ電動モータ1311の性能から勘案して最大の速度に設定される。
【0079】
ステップ712において、モータ位置演算部104は、モータ実効電流値Iが予め定めた電流値I2より小さくなるまでは、モータ回転の一定速度制御を継続する。モータ実効電流値Iが電流値I2より小さくなったときは、ステップ713に移行する。
【0080】
ステップ713において、モータ位置演算部104は、モータ実効電流値Iが電流値I2より小さくなったときのモータ回転角X0で、電動モータ1311の回転を停止させる。この時のモータ回転角X0は、ブレーキパッド1307とディスクロータ1231と依然として接触状態にあるモータ回転角である。
【0081】
ステップ712からステップ713は、図9において時刻t10からt11の区間に該当する。予め設定した実効電流値I2に達したとき(t11)、モータ回転角の位置制御を実行し、その時のモータ回転角X0で電動モータ1311を停止させる。
【0082】
ステップ714において、モータ位置演算部104は、モータ回転角位置X0で停止させた時の実効電流値I2を電流指令値とする電流制御処理を実行する。この時の電流指令値は、ブレーキパッド1307がディスクロータ1231から受ける反力、及び回転直動変換機構1326に設置されたフェールオープン機構の弾性力にうちかち、電動モータ1311を停止させるための電流値である。
【0083】
ステップ715において、モータ位置演算部104は、実効電流値I2が漸減電流値Idずつ減少するような電流指令値を電流制御部103に出力する。実効電流値Iを減少させていくと、ディスクロータ1231からの反力及びフェールオープン機構の弾性力によって、電動モータ1311は負の方向に回転し、ブレーキパッド1307が押し戻される。
【0084】
ステップ716において、モータ位置演算部104は、ブレーキパッド1307が押し戻されるときの、モータの回転角を検出する。そして、ブレーキパッド1307が押し戻されると、ディスクロータ1231からの反力は減少し、電動モータ1311の回転は停止する(図9において、t12)。
【0085】
ステップ717において、モータ位置演算部104は、実効電流値Iを減少させても、電動モータ1311の回転が止まった位置X1をパッドクリアランスの0とし、処理を終了する。
【0086】
以上のようなパッドクリアランス制御により、推力が0より大きくなる推力制御を実行した後に推力指令値が0となるような、頻繁に行われる推力制御においても、パッドクリアランスを適切に設定し、引きずりが無く、応答性の高いブレーキ力制御を実現する。
【0087】
一般に、前述の駐車ブレーキ機能を作用させ、車両を長時間放置すると、ブレーキパッド1307は、冷めて熱収縮し、厚みが変化する。この厚みの変化は、駐車ブレーキ機能の解除直後における制動力制御の応答性を低下させる。そこで、車両に作用している駐車ブレーキ機能が解除するときに、上述のステップ711からステップ717を実行することにより、ブレーキパッド1307の厚みに応じたパッドクリアランスを設定し、駐車ブレーキ機能の解除直後における制動力制御の応答性を高めることができる。
【0088】
また、図7に示されたピストン待機位置設定制御を実行中に、中央制御回路1599が上位制御回路1299等から推力を発生させるための指令を受信したときは、ピストン待機位置設定制御を中断し、指令に応じた推力を発生させる制御に移行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施例における中央制御回路1599の制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例をなす電動ブレーキ装置を搭載した車両のブレーキシステムの概略構成図である。
【図3】図2の電動ブレーキ装置の概念図である。
【図4】図3の電気回路部1251の回路構成図である。
【図5】本実施例で使用される電動ブレーキ装置のブレーキ力特性を示す。
【図6】本実施例で使用される電動ブレーキ装置におけるモータ変位とモータ実効電流値との関係を示す。
【図7】ピストン待機位置設定制御のフローチャートを示す。
【図8】電動モータ1311が正回転方向における、モータ回転角値X及びモータ実効電流値Iの時間変化を示す。
【図9】電動モータ1311が負回転方向における、推力指令値、モータ回転角値X及びモータ実効電流値Iの時間変化を示す。
【符号の説明】
【0090】
1231…ディスクロータ、1251…電気回路部、1307,1308…ブレーキパッド、1311…電動モータ、1399…中央制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪とともに回転するブレーキ回転体を押圧するブレーキ摩擦体と、前記ブレーキ摩擦体を前記ブレーキ回転体に押圧または離間させる力を発生する電動モータと、を備えた電動ブレーキ装置を制御する電動ブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキ摩擦体の位置があらかじめ設定した条件を満たしたとき、前記電動モータへの通電量を予め定めた第1通電量と該第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御し、該漸減制御時における前記電動モータの回転速度に基づいて前記ブレーキ摩擦体の待機位置を設定する待機位置制御部を備える電動ブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
前記あらかじめ設定した条件とは、前記ブレーキ摩擦体と前記ブレーキ回転体とが非接触状態から接触状態になったときである電動ブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
前記あらかじめ設定した条件とは、前記ブレーキ摩擦体が、前記ブレーキ回転体と離間する方向に移動され、前記ブレーキ回転体に対する前記ブレーキ摩擦体の押圧力が減少するときである電動ブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
該電動ブレーキ制御装置に送信される押圧力指令値が、0より大きい値から0になったとき、前記電動モータが前記ブレーキ摩擦体を前記ブレーキ回転体から離間させる方向に回転するように、前記電動モータへの通電量を制御する回転速度制御部と、
前記電動モータへの前記通電量があらかじめ定めた第1通電量となったとき、前記待機位置制御部は前記電動モータへの通電量を該第1通電量と該第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御する電動ブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
前記電動モータの回転速度が所定の速度となるように前記電動モータへの通電量を制御する回転速度制御部と、
前記ブレーキ摩擦体と前記ブレーキ回転体とが非接触状態において、前記回転速度制御部が前記ブレーキ摩擦体を前記ブレーキ回転体と接触させる方向に前記電動モータを制御中に、前記電動モータへの通電量があらかじめ定めた第1通電量より大きくなったとき、前記ブレーキ摩擦体と前記ブレーキ回転体との接触を検知する接触位置検出部とを備え、
前記接触位置検出部により接触位置を検知したとき、前記待機位置制御部は前記電動モータへの通電量を前記第1通電量と該第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御する電動ブレーキ制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
前記待機位置制御部は、車両の走行距離が所定値以上となったときに実行する電動ブレーキ制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
前記待機位置制御部は、ブレーキ操作部材が所定回数以上操作されたときに実行する電動ブレーキ制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電動ブレーキ制御装置であって、
前記待機位置制御部により前記ブレーキ摩擦体を制御中に、該電動ブレーキ制御装置が押圧力指令値を受信したとき、該待機位置制御部による制御を停止し、該押圧力指令値に応じた押圧力制御を実行する電動ブレーキ制御装置。
【請求項9】
車輪とともに回転するブレーキ回転体を押圧するブレーキ摩擦体と、前記ブレーキ摩擦体を前記ブレーキ回転体に押圧または離間させる力を発生する電動モータと、前記ブレーキ摩擦体が前記ブレーキ回転体に押圧している状態で、前記電動モータの回転を停止させ、車両の制動力を保持する駐車ブレーキ機構と、を備えた電動ブレーキ装置を制御する電動ブレーキ制御装置であって、
該電動ブレーキ制御装置が、前記駐車ブレーキ機構による制動力保持を解除する解除指令を受信したとき、前記電動モータが前記ブレーキ摩擦体を前記ブレーキ回転体から離間させる方向に回転するように、前記電動モータへの通電量を制御する回転速度制御部と、
前記電動モータへの前記通電量が第1通電量となったとき、該第1通電量と該第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御し、該漸減制御時における前記電動モータの回転速度に基づいて前記ブレーキ摩擦体の待機位置を設定する待機位置制御部を備える電動ブレーキ制御装置。
【請求項10】
車輪とともに回転するブレーキ回転体を押圧するブレーキ摩擦体と、前記ブレーキ摩擦体を前記ブレーキ回転体に押圧または離間させる力を発生する電動モータと、を備えた電動ブレーキ装置を制御する電動ブレーキ制御方法であって、
前記ブレーキ摩擦体の位置があらかじめ設定した条件を満たしたとき、前記電動モータへの通電量を予め定めた第1通電量と該第1通電量より小さい第2通電量との間で漸減制御し、該漸減制御時における前記電動モータの回転速度に基づいて前記ブレーキ摩擦体の待機位置を設定する電動ブレーキ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−57642(P2008−57642A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234837(P2006−234837)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】