説明

電動モータの電力供給装置の異常診断装置

【課題】車両用電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、診断のためのリレーの作動を排除しながら、各部への損傷等を招くことなくリレーの異常の有無を安全性高く診断する。
【解決手段】異常診断装置は、バッテリ200の負極にプリチャージ抵抗Rと共に直列接続される第1のリレーSMR1と、バッテリ200の正極に直列接続される第2のリレーSMR2と、第1のリレーSMR1と並列接続される第3のリレーSMR3と、を備え、電動モータ400を駆動制御するインバータ310がコンデンサCと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、コンデンサCをプリチャージする際に、第2のリレーSMR2をオンした後、第1のリレーSMR1をオンするまでの遅れ期間におけるコンデンサCの両端電圧を観察して、第1のリレーSMR1或いは第3のリレーSMR3の少なくとも一方の異常の有無を診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)に利用される電動モータの電力供給装置の異常診断技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等の燃焼機関(エンジン)と電動モータとを組み合わせた動力源を備えるハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)は、環境に優しい車両として注目されている。
【0003】
ハイブリッド自動車に備えられる電動モータは、例えば、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、この変換した交流電圧によって回転駆動されるように構成されている。なお、電気自動車も、同様に、直流電圧をインバータによって交流電圧に変換して電動モータを回転駆動するように構成されている。
【0004】
ところで、このようなハイブリッド自動車や電気自動車では、直流電圧をインバータに供給するために、コンデンサがインバータの入力側に設けられている。また、直流電源とインバータとの間には、電力供給を制御するためのシステムリレーが配設されて構成されている。
【0005】
このようなハイブリッド自動車や電気自動車用の電動モータの電力供給装置としては、例えば特許文献1などに記載されているものがあり、このものは、図6に示すように、直流電源の正極に直列接続されたプリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1と、直流電源の負極に接続される第2のシステムメインリレーSMR2と、直流電源の正極に前記プリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1と並列に接続される第3のシステムメインリレーSMR3と、を含んで構成されている。
【0006】
ここで、上述した第1のシステムメインリレーSMR1、第2のシステムメインリレーSMR2、第3のシステムメインリレーSMR3は機械的に断接動作される電気接点を有して構成されているため、その断接の際に、接点間にアーク等が発生して接点が溶着するといったおそれがある。
【0007】
このため、特許文献1のものでは、イグニッションがオンされる毎に、正常であればそれまでキーオフ状態であって全てのシステムメインリレーSMR1〜SMR3はオフされているはずの状態において、第1のシステムメインリレーSMR1をオンして、コンデンサの電圧を観察し、コンデンサの電圧が上昇した場合には、第2のシステムメインリレーSMR2が溶着等していると判断する。
【0008】
次に、第2のシステムメインリレーSMR2をオンして、第1のシステムメインリレーSMR1をオフにしても、コンデンサの電圧が低下しない場合には、第1のシステムメインリレーSMR1或いは第3のシステムメインリレーSMR3の少なくとも一方が溶着等していると判断する。
【0009】
これらにより、第1のシステムメインリレーSMR1、第2のシステムメインリレーSMR2、第3のシステムメインリレーSMR3が正常であると判断された場合に、オン状態の第2のシステムメインリレーSMR2に加えて、第1のシステムメインリレーSMR1をオンした後に、第3のシステムメインリレーSMR3をオンとし、その後に第1のシステムメインリレーSMR1をオフすることにより、電動モータの電力供給装置を起動させるようになっている。
【0010】
なお、上記において、一旦、第1のシステムメインリレーSMR1をオンした後に、第3のシステムメインリレーSMR3をオンとし、その後に第1のシステムメインリレーSMR1をオフして起動する手順を踏む理由は、例えば第1のシステムメインリレーSMR1を備えず第3のシステムメインリレーSMR3を先にオンにした場合には、その起動時に高電圧のバッテリから大電流が回路に突入することになり回路保護のためのヒューズ等を溶損してしまうといった事態が生じるおそれがあるが、先にプリチャージ抵抗Rが接続された第1のシステムメインリレーSMR1をオンとすることで、プリチャージ抵抗Rにより起動時における大きな突入電流の流れ込みを抑制することができ、その後において、第3のシステムメインリレーSMR3をオンとすることで、大きな突入電流の流れ込みのない安全な起動を可能とすることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−134707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、イグニッション(運転スイッチ)がオンされてからの所定期間において、第1のシステムメインリレーSMR1を異常診断のためにオンオフ動作させる必要があるため、第1のシステムメインリレーSMR1の接点摩耗等を促進するため、通常の始動に必要なオンオフ動作以外にシステムメインリレーを作動させたくないといった実情がある。特に、宅配便車両などのように1日に数十回以上も始動と停止を繰り返すような場合には、システムメインリレーの摩耗等は大きくなるものと想定される。
【0013】
なお、従来において、インバータ回路(コンデンサ)のディスチャージ期間に、第2のシステムメインリレーSMR2(負極側接点)と、第3のシステムメインリレーSMR3(正極側接点)と、を入れ替えてオン動作させることで、オン動作に応じたコンデンサの両端電圧度合いを観察することにより、負極側接点の異常と正極側接点の異常を診断するような方法も行われている。
【0014】
しかし、このようなディスチャージ期間において、第2のシステムメインリレーSMR2(負極側接点)をオン動作させたときに、仮に、第1のシステムメインリレーSMR1の接点が溶着等していた場合には、第2のシステムメインリレーSMR2と、第1のシステムメインリレーSMR1と、高電圧のバッテリやインバータと、の間で閉回路が形成されてしまうこととなって、第1のシステムメインリレーSMR1に直列接続されているプリチャージ抵抗に、ディスチャージ制御において回転機(電動モータ)において消費される分の電力が通電され、プリチャージ抵抗が損傷等を受けるおそれがある。
【0015】
また、かかる方法においても、特許文献1のものと同様に、システムメインリレーの異常診断のためにオンオフ動作させる必要があるため、システムメインリレーの接点摩耗等を促進するおそれがある。
【0016】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、バッテリとインバータ間にリレーを備えた電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、簡単かつ安価な構成で、診断のためのリレーの作動を排除しながら、各部への損傷等を招くことなくリレーの異常の有無を安全性高く診断することができる電動モータの電力供給装置の異常診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明は、
動力源として電動モータを備えた車両の電動モータの電力供給装置であって、
バッテリと、
バッテリの正極或いは負極の一方に直列接続され、プリチャージ抵抗と直列接続される第1のリレーと、
バッテリの正極或いは負極の他方に直列接続される第2のリレーと、
前記第1のリレーと並列接続される第3のリレーと、
を備え、
前記第1のリレー及び前記第3のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の一方が接続されると共に、
前記第2のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の他方が接続され、
バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータを駆動制御するインバータが、前記コンデンサと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、
電力供給開始に伴いコンデンサをプリチャージする際に、第2のリレーをオン動作させた後、第1のリレーをオン動作させるまでの遅れ期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第1のリレー或いは第3のリレーの少なくとも一方の異常の有無を診断することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、
動力源として電動モータを備えた車両の電動モータの電力供給装置であって、
バッテリと、
バッテリの正極或いは負極の一方に直列接続され、プリチャージ抵抗と直列接続される第1のリレーと、
バッテリの正極或いは負極の他方に直列接続される第2のリレーと、
前記第1のリレーと並列接続される第3のリレーと、
を備え、
前記第1のリレー及び前記第3のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の一方が接続されると共に、
前記第2のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の他方が接続され、
バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータを駆動制御するインバータが、前記コンデンサと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、
電力供給停止に伴い第3のリレーのみオン動作の状態でコンデンサをディスチャージする際に、ディスチャージ開始後の所定期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第2のリレーの異常の有無を診断することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、
動力源として電動モータを備えた車両の電動モータの電力供給装置であって、
バッテリと、
バッテリの正極或いは負極の一方に直列接続され、プリチャージ抵抗と直列接続される第1のリレーと、
バッテリの正極或いは負極の他方に直列接続される第2のリレーと、
前記第1のリレーと並列接続される第3のリレーと、
を備え、
前記第1のリレー及び前記第3のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の一方が接続されると共に、
前記第2のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の他方が接続され、
バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータを駆動制御するインバータが、前記コンデンサと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、
電力供給開始に伴いコンデンサをプリチャージする際に、第2のリレーをオン動作させた後、第1のリレーをオン動作させるまでの遅れ期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第1のリレー或いは第3のリレーの少なくとも一方の異常の有無を診断すると共に、
電力供給停止に伴い第3のリレーのみオン動作の状態でコンデンサをディスチャージする際に、ディスチャージ開始後の所定期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第2のリレーの異常の有無を診断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バッテリとインバータ間にリレーを備えた電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、簡単かつ安価な構成で、診断のためのリレーの作動を排除しながら、各部への損傷等を招くことなくリレーの異常の有無を安全性高く診断することができる電動モータの電力供給装置の異常診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るハイブリッド自動車(HV)の電動モータの電力供給装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】同上実施の形態に係る電動モータの電力供給装置のプリチャージ時における異常診断を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】同上実施の形態に係る電動モータの電力供給装置のプリチャージ時における異常診断を説明するためのフローチャートである。
【図4】同上実施の形態に係る電動モータの電力供給装置のディスチャージ時における異常診断を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】同上実施の形態に係る電動モータの電力供給装置のディスチャージ時における異常診断を説明するためのフローチャートである。
【図6】従来の電動モータの電力供給装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係るハイブリッド自動車(HV)或いは電気自動車(EV)における電動モータの電力供給装置の異常診断装置の一実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0023】
本実施の形態に係るハイブリッド自動車(HV)或いは電気自動車(EV)における電動モータの電力供給装置100は、図1に示すように、大容量の高電圧バッテリ(直流電源)200からの電力を、電動モータ400の駆動制御を行う駆動制御回路300を介して、電動モータ400の回転機に電力を供給することができるように構成されている。
【0024】
すなわち、高電圧バッテリ200の負極(−極)にプリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1が直列接続されると共に、前記プリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1と並列に第3のシステムメインリレーSMR3が接続され、更に、高電圧バッテリ200の正極(+極)に第2のシステムメインリレーSMR2が直列接続されている。
【0025】
プリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1と第3のシステムメインリレーSMR3とは、高電圧バッテリ200の反対側においてコンデンサCの負極側に接続され、第2のシステムメインリレーSMR2は高電圧バッテリ200の反対側においてコンデンサCの正極側に接続されている。
【0026】
駆動制御回路300において、コンデンサCにはインバータ310が並列接続され、直流電圧がインバータ(INV)310に供給され、インバータ310では安定した直流電圧を、例えば三相変換して電動モータ400の回転機を回転駆動するようになっている。
【0027】
なお、第1のシステムメインリレーSMR1、第2のシステムメインリレーSMR2、第3のシステムメインリレーSMR3は、SMR駆動回路320により、その機械的に断接される接点が開閉制御されるようになっている。
【0028】
このような構成の本実施の形態に係る電動モータの電力供給装置100では、以下のようにして、第1のシステムメインリレーSMR1、第2のシステムメインリレーSMR2、第3のシステムメインリレーSMR3の接点溶着などの異常の有無を診断するようになっている。
【0029】
<負極(−)側接点の溶着等の異常の有無の判定>
図2のタイミングチャート及び図3のフローチャートに示すように、コンデンサCのプリチャージ時に、第2のシステムメインリレーSMR2をオン作動させた後、第1のシステムメインリレーSMR1をオン動作させるまでの遅れ期間(最短50msec:MIN50msec)におけるコンデンサCの両端電圧を観察することで、負極(−)側(第1のシステムメインリレーSMR1、第3のシステムメインリレーSMR3)の接点溶着等の異常の有無を判定(診断)する。
【0030】
判定条件としては、コンデンサCの両端電圧変化が30V以下の場合には、第1のシステムメインリレーSMR1及び第3のシステムメインリレーSMR3に接点溶着は無いと判定し、コンデンサCの両端電圧変化が30Vより大きい場合には、第1のシステムメインリレーSMR1或いは第3のシステムメインリレーSMR3の少なくとも一方には接点溶着等の異常が発生していると判定する。但し、ある時間におけるコンデンサCの両端電圧値に基づいて異常の発生の有無を診断する構成とすることもできる。
【0031】
なお、本実施の形態においても、図2に示したように、コンデンサCのプリチャージ時には、第2のシステムメインリレーSMR2をオン作動させた後、第1のシステムメインリレーSMR1をオンし、その後に第3のシステムメインリレーSMR3をオンとし、その後に第1のシステムメインリレーSMR1をオフして起動する手順を踏むようになっている。これは、起動時に高電圧バッテリ200から大電流がインバータ310などを含む駆動制御回路300に突入することにより、回路保護のためのヒューズ等を溶損してしまうといった事態が生じるおそれを回避するために、先にプリチャージ抵抗Rが接続された第1のシステムメインリレーSMR1をオンとすることで、プリチャージ抵抗Rにより起動時における大きな突入電流の流れ込みを抑制し、その後において、第3のシステムメインリレーSMR3をオンとすることで、大きな突入電流の流れ込みのない安全な起動を可能としている。
【0032】
上述したような判定方法により、本実施の形態では、第1のシステムメインリレーSMR1、第3のシステムメインリレーSMR3の溶着等の異常の有無を診断するために、特別に各システムメインリレーSMR1〜SMR3をオンオフ動作させることがないので、各システムメインリレーSMR1〜SMR3の摩耗等を抑制しながら、第1のシステムメインリレーSMR1、第3のシステムメインリレーSMR3の溶着等の異常の有無を診断することができる。
【0033】
<正極(+)側接点の溶着等の異常の有無の判定>
図4のタイミングチャート及び図5のフローチャートに示すように、コンデンサCのディスチャージ開始後の最大1秒(MAX1sec)間のコンデンサCの両端電圧を観察することで、正極(+)側(第2のシステムメインリレーSMR2)の接点溶着等の異常の有無を判定(診断)する。
【0034】
判定条件としては、コンデンサCの両端電圧が100Vより小さい場合には、第2のシステムメインリレーSMR2に接点溶着は無いと判定し、コンデンサCの両端電圧が100V以上の場合には、第2のシステムメインリレーSMR2に接点溶着等の異常が発生していると判定する。但し、コンデンサCの両端電圧の時間変化度合いなどに基づいて異常の発生の有無を診断する構成とすることもできる。
【0035】
なお、図4に示したように、コンデンサCのディスチャージ期間において、第2のシステムメインリレーSMR2(負極側接点)をオフして、第3のシステムメインリレーSMR3だけをオンとしてコンデンサCを放電させるが、その際に、本実施の形態では、コンデンサCの両端電圧を観察し、ある時間における電圧値或いは電圧値の時間変化度合いに基づいて、異常の有無を診断するようにしたので、診断のために特別に各システムメインリレーSMR1〜SMR3をオンオフ動作させることがないので、各システムメインリレーSMR1〜SMR3の摩耗等を抑制しながら、第2のシステムメインリレーSMR2の溶着等の異常の有無を診断することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、コンデンサCのディスチャージ期間において、第2のシステムメインリレーSMR2(負極側接点)を診断のためにオンさせることがないので、第1のシステムメインリレーSMR1の接点が溶着等していた場合に、第2のシステムメインリレーSMR2と、第1のシステムメインリレーSMR1と、高電圧バッテリ200やインバータ310と、の間で閉回路が形成されてしまうこととなって、第1のシステムメインリレーSMR1に直列接続されているプリチャージ抵抗Rに、ディスチャージ制御において回転機(電動モータ400)において消費される分の電力が流れ、プリチャージ抵抗Rが損傷等を受けるといったおそれを回避することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、バッテリとインバータ間にシステムメインリレーを備えた電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、簡単かつ安価な構成で、診断のためのシステムメインリレーの作動を排除しながら、各部への損傷等を招くことなくシステムメインリレーの異常の有無を安全性高く診断することができる電動モータの電力供給装置の異常診断装置を提供することができる。
【0038】
ところで、本実施の形態では、高電圧バッテリ200の負極(−極)にプリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1を直列接続すると共に前記プリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1と並列に第3のシステムメインリレーSMR3を接続し、更に高電圧バッテリ200の正極(+極)に第2のシステムメインリレーSMR2を直列接続した構成例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、高電圧バッテリ200の正極(+極)にプリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1を直列接続すると共に前記プリチャージ抵抗R及び第1のシステムメインリレーSMR1と並列に第3のシステムメインリレーSMR3を接続し、更に高電圧バッテリ200の負極(−極)に第2のシステムメインリレーSMR2を直列接続した構成例につても適用可能である。
【0039】
以上で説明した本実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
100 電力供給装置
200 高電圧バッテリ
300 駆動制御回路
310 インバータ
320 SMR駆動回路
400 電動モータ
C コンデンサ
R プリチャージ抵抗
SMR1 第1のシステムメインリレー
SMR2 第2のシステムメインリレー
SMR3 第3のシステムメインリレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源として電動モータを備えた車両の電動モータの電力供給装置であって、
バッテリと、
バッテリの正極或いは負極の一方に直列接続され、プリチャージ抵抗と直列接続される第1のリレーと、
バッテリの正極或いは負極の他方に直列接続される第2のリレーと、
前記第1のリレーと並列接続される第3のリレーと、
を備え、
前記第1のリレー及び前記第3のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の一方が接続されると共に、
前記第2のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の他方が接続され、
バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータを駆動制御するインバータが、前記コンデンサと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、
電力供給開始に伴いコンデンサをプリチャージする際に、第2のリレーをオン動作させた後、第1のリレーをオン動作させるまでの遅れ期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第1のリレー或いは第3のリレーの少なくとも一方の異常の有無を診断することを特徴とする電動モータの電力供給装置の異常診断装置。
【請求項2】
動力源として電動モータを備えた車両の電動モータの電力供給装置であって、
バッテリと、
バッテリの正極或いは負極の一方に直列接続され、プリチャージ抵抗と直列接続される第1のリレーと、
バッテリの正極或いは負極の他方に直列接続される第2のリレーと、
前記第1のリレーと並列接続される第3のリレーと、
を備え、
前記第1のリレー及び前記第3のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の一方が接続されると共に、
前記第2のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の他方が接続され、
バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータを駆動制御するインバータが、前記コンデンサと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、
電力供給停止に伴い第3のリレーのみオン動作の状態でコンデンサをディスチャージする際に、ディスチャージ開始後の所定期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第2のリレーの異常の有無を診断することを特徴とする電動モータの電力供給装置の異常診断装置。
【請求項3】
動力源として電動モータを備えた車両の電動モータの電力供給装置であって、
バッテリと、
バッテリの正極或いは負極の一方に直列接続され、プリチャージ抵抗と直列接続される第1のリレーと、
バッテリの正極或いは負極の他方に直列接続される第2のリレーと、
前記第1のリレーと並列接続される第3のリレーと、
を備え、
前記第1のリレー及び前記第3のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の一方が接続されると共に、
前記第2のリレーのバッテリと反対側の端子に、コンデンサの正極或いは負極の他方が接続され、
バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータを駆動制御するインバータが、前記コンデンサと並列接続された電動モータの電力供給装置の異常診断装置であって、
電力供給開始に伴いコンデンサをプリチャージする際に、第2のリレーをオン動作させた後、第1のリレーをオン動作させるまでの遅れ期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第1のリレー或いは第3のリレーの少なくとも一方の異常の有無を診断すると共に、
電力供給停止に伴い第3のリレーのみオン動作の状態でコンデンサをディスチャージする際に、ディスチャージ開始後の所定期間におけるコンデンサの両端電圧を観察することで、第2のリレーの異常の有無を診断することを特徴とする電動モータの電力供給装置の異常診断装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−178895(P2012−178895A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39126(P2011−39126)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】