説明

電動式パーキングブレーキ用のアクチュエータおよびそれを用いた電動式パーキングブレーキ

【課題】省スペースで、かつブレーキを引き操作するための所定のトルクを得ることができ、再びブレーキ操作位置に自然に戻ることのできるアクチュエータおよびそれを用いた電動式ブレーキを提供する。
【解決手段】駆動シャフト12を回転させるモータMと、駆動シャフトに固定された太陽ギヤ21と、その周囲に配置され、かつそれと噛合うように配置された1つ以上の遊星ギヤ22と、それを回転自在に保持するキャリア25と、前記遊星ギヤの外側に配置され、かつそれと噛合うように配置されたリングギヤ23と、前記キャリアと共に回転し、第1インナーケーブル5を巻き取る第1プーリ28と、前記リングギヤと共に回転し、第2インナーケーブル6を巻き取る第2プーリ29と、前記駆動シャフトのモータからの回転を許し、ギヤ側からの回転を妨げるストッパ機構13とからなるアクチュエータ1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動式パーキングブレーキ用のアクチュエータ(以下、アクチュエータ)およびそれを用いた電動式パーキングブレーキに関する。さらに詳しくは、簡易な構造であるアクチュエータおよびそれを用いた電動式パーキングブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
図6に特許文献1のアクチュエータを示す。そのアクチュエータ100は、動力源によって回転駆動するクランク軸101と、そのクランクのピン101aに並列に枢支されている2枚の小径のギヤ102a、102bとを備えている。それらの小径のギヤ102、103の外側には、小径のギヤ102a、102bと噛合する内歯が形成された第1リングギヤ103a、第2リングギヤ103bがそれぞれクランク軸101と同心状に回転自在に配置されている。第1リングギヤ103a、第2リングギヤ103bには、それぞれ引っ張り部材104、105の一端が連結されており、それらの他端がブレーキを作動させる部材に連結されている。また、第1リングギヤ103a、第2リングギヤ103bとこれに対応する前記小径のギヤ102a、102bの歯数の比率とが異なるように形成されている。そのため、クランク軸101が一方向に回転すると、前記歯数の比率の差に応じて第1リングギヤ103aと第2リングギヤ103bの間に相対的な角度差が生じ、それにより前記引張り部材104、105がそれぞれ反対向きに巻き取られる。
【0003】
また、図7に特許文献2の減速装置を示す。この減速装置110は入力軸111に固定された入力側ブラケット112の回転中心を挟んで対称に配置されたシャフト113、113と、それらのシャフト113に回転自在に取り付けられた遊星歯車114、114とを有している。そして、その遊星歯車114、114の外側には、それと噛合する回転リングギヤ115が配置されている。その回転リングギヤ115は出力軸116と連結されており、前記入力軸111からの回転が遊星ギヤ114を介して出力軸116に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 2006/066295
【特許文献2】特開平7−332448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、別途第1リングおよび第2リングの回転を支持する機構が必要である(例えばリングの外側に)。そのため、機構が複雑になるし、省スペースにするのが困難である。また、自己拘束力がないので、ブレーキが緩む可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は遊星ギヤ減速機構を用い、省スペースで、かつブレーキが緩みにくいアクチュエータおよびそれを用いた電動式ブレーキを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアクチュエータは、2本のインナーケーブルを引き操作することにより、左右のパーキングブレーキを作動させる電動式のパーキングブレーキ用のアクチュエータであって、車体に固定され、かつ駆動シャフトを回転させるモータと、その駆動シャフトに固定された太陽ギヤと、その太陽ギヤの周囲に配置され、かつそれと噛合うように配置された1つ以上の遊星ギヤと、その遊星ギヤを回転自在に保持すると共に、太陽ギヤと同心状に回転自在に設けられるキャリアと、前記遊星ギヤの外側に配置され、かつそれと噛合うように配置され、太陽ギヤと同心状に回転自在に設けられたリングギヤと、前記キャリアと共に回転し、第1インナーケーブルを一方の方向に巻き取る第1プーリと、前記リングギヤと共に回転し、第2インナーケーブルを他方の方向に巻き取る第2プーリと、前記駆動シャフトのモータからの回転を許し、ギヤ側からの回転を妨げるストッパ機構とからなることを特徴としている。
【0008】
本発明の電動式パーキングブレーキは、ブレーキの操作部材と、そのブレーキ操作部材を操作することにより作動する前述のいずれかに記載のアクチュエータと、そのアクチュエータの第1プーリおよび第2プーリにそれぞれ一端が係止された第1インナーケーブルおよび第2インナーケーブルと、それら第1インナーケーブルおよび第2インナーケーブルの他端側がそれぞれ連結される左右のパーキングブレーキとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(1)本発明のアクチュエータは、遊星ギヤ減速機構を用いているので、リングギヤと、遊星ギヤが枢支されているキャリアとで、二つの回転方向の異なる動力を得ることができる。そして、それらの動力がモータの駆動シャフトと同軸であるので、省スペースである。また、駆動シャフトのモータからの回転を許し、ギヤ側からの回転を妨げるストッパ機構を備えているので、ブレーキが緩まないように維持することができる。
【0010】
(2)このようなアクチュエータとして、前記モータの回転を駆動シャフトに伝える駆動ギヤと、その駆動ギヤと駆動シャフトとの間に介在されるブレーキスプリングと、そのブレーキスプリングの周囲に配置された筒状のブレーキドラムと備えており、前記駆動ギヤにブレーキスプリングの端部をスプリング径を小さくする方向に押動する押動部材が形成され、前記駆動シャフトにブレーキスプリングの端部をスプリング径を大きくする方向に押動する腕部材が形成され、前記駆動シャフトが回転しようとするとブレーキスプリングの径が大きくなり、ブレーキドラムの内面に当接し、その回転が妨げられ、前記駆動ギヤが回転しようとするとブレーキスプリングの径が小さくなり、ブレーキスプリングがブレーキドラムの内面に接しない場合は、ブレーキスプリングにより駆動シャフトが逆回転しないので、より一層安全な機構である。
【0011】
(3)また、前記第1プーリおよび第2プーリのそれぞれの直径を調整することにより、前記キャリアとリングギヤの減速比により生じる前記第1インナーケーブルと第2インナーケーブルの巻き取にかかるトルクの差を同じにする場合は、イコライザーとしての役割を兼ね備えることができる。
【0012】
(4)本発明の電動パーキングブレーキは、省スペースなシステムであり、組み付けのスペースも小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明のアクチュエータの分解斜視図である。
【図2】図2は本発明の電動式パーキングブレーキの概略図である。
【図3】図3は図1のアクチュエータの伝達機構を示す部分拡大図である。
【図4】図4はストッパ機構の動作する様子を示す模式図である。
【図5】図5は図1のアクチュエータの遊星ギヤ減速機を示す部分拡大図である。
【図6】図6は従来の技術を示す断面図である。
【図7】図7は従来の技術を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに図面を参照しながら本発明のアクチュエータおよび電動式パーキングブレーキの実施の形態を説明する。まず、図2を用いて本発明の電動式パーキングブレーキ(以下、ブレーキ装置)を説明する。図2に示すブレーキ装置2は、車内などに配置された操作ボタンあるいは操作レバー3(ブレーキの操作部材)を操作することにより車体の左右のパーキングブレーキ4、4を操作するものである。例えば前記操作ボタン3を押すと、本発明のアクチュエータ1が作動し、インナーケーブル5、6が引き操作され、それによりパーキングブレーキ4、4が作動する。なお、前記操作ボタンあるいは操作レバー3は電線や通信ケーブル7によりアクチュエータ1に連結されている。
【0015】
前記パーキングブレーキ4、4は従来公知のドラムを備えているものであり、インナーケーブル5、6の引き操作により制動する。そのブレーキはリターンススプリング4aを備えており、常時ブレーキを解除する方向に、すなわちインナーケーブル5、6を引張る方向に付勢している。一方、ブレーキをかけるときは、その付勢力に抗してインナーケーブル5、6を引き操作される。
【0016】
前記インナーケーブル5、6は、金属素線を複数本撚り合わせた従来公知のものである。そのインナーケーブル5、6の先端には、それぞれケーブルエンド5a、6aが設けられている(図1参照)。そのケーブルエンド5a、6aは、鋳型により金属を流しこんで形成したり、あるいはカシメにより固着することによりインナーケーブル5、6にそれぞれ結合されている。そのケーブルエンド5a、6aは円柱状に形成されており、その円柱状の部材の外周の中間付近からインナーケーブル5、6が延びている。
【0017】
前記操作レバー3は手動のパーキングブレーキの操作レバーと兼用してもよい。その場合にはブレーキ装置2は手動用のブレーキ操作のインナーケーブルに破断などの不具合が発生した際に用いられ、操作レバー3の引き操作をリミットスイッチなどの検出器が検出し、その検出した信号がアクチュエータ1に送信される。
【0018】
なお、このようなブレーキ装置2は、自動車、特殊車両あるいは建設機械に用いられる。
【0019】
図1に示すように、前記アクチュエータ1は、出力ギヤ8aを備えたモータ8と、そのモータ8の出力ギヤ8aの回転を伝達する伝達機構10と、その伝達機構の駆動シャフト12の先端に、同軸状に回動自在に配置された遊星ギヤ減速機20とからなる。なお、前記モータ8は車体のフレーム(図示していない)などに固定されている。また、これ以後、説明を簡易にするため図面の左右をそれぞれ前後と呼ぶ。
【0020】
図3に示すように、前記伝達機構10は、モータの出力ギヤ8aの回転が伝達される駆動ギヤ11と、その駆動ギヤ11に後端付近が支持されて、共に回転する駆動シャフト12と、その駆動シャフト12が回転により駆動ギヤ11側にその回転運動が伝達されるのを防止するストッパ機構13(図1参照)とからなる。また、出力ギヤ8aおよび駆動ギヤ11は、はすば歯車に形成されているので、噛み合い状態が歯幅全体に渡って同時に始まり同時に終わる。そのため、動力の伝達を連続的に行うことができ、振動、騒音の発生が軽減できるほか、かみ合い率も増大し、平歯車に比べて。より大きなトルク伝達が可能になる。なお、前記出力ギヤ8aをウォームとし、駆動ギヤ11を前記ウォームと噛み合うウォームホイールとすることもできる。さらに、前記駆動シャフト12の先端には、その先端の円柱状の一部に水平な面が形成された嵌合部12bとされている。
【0021】
前記ストッパ機構13は駆動シャフト12の外周に配置されるスプリング状のブレーキスプリング14と、そのブレーキスプリング14の外周に配置される筒状のブレーキドラム15とからなる。そのブレーキドラム15はモータなどのハウジング(図示してない)に固定されている。
【0022】
前記ブレーキスプリング14のスプリングの両端部はそれぞれスプリング(コイル状の部分)の内側に折り曲げられている。図中では、それらスプリング端部を符号14a、14aで示している。それらスプリング端部14a、14aはスプリングの軸方向にはスプリングの巻かれている高さの分だけ前後に離れて配置されているが、その周方向には、一方の側において互いに近接するように配置されている(両スプリング端部の内側)。その接近している側に後述する駆動ギヤ11の押動部材11aが配置される(図4a参照)。
【0023】
前記駆動ギヤ11は、その前面で半径方向の中間付近から前方に向けて押動部材11aを突出させている。その押動部材11aは駆動ギヤ11の円周に沿うように若干湾曲しており、全体として中央付近が湾曲した略小判状に形成されている。そして、その押動部材11aは、前記スプリング端部14a、14aの間に配置され、前後のスプリング端部14a、14aの両方を押動できる長さで突出している。
【0024】
また、駆動シャフト12の中間付近には伝達部材12a、12aが設けられている。その伝達部材12a、12aは、駆動シャフト12の径方向外向きに2本突出している腕部材(伝達部材)である。それら腕部材12a、12aはV字状に両腕を延ばした形状であり、前記スプリング端部14a、14aの外側、すなわち駆動ギヤ11の押動部材11aと反対側(両スプリング端部の外側)に配置されている(図4b参照)。
【0025】
図4には、前記ストッパ機構13が作動する様子を示している。図4aは駆動ギヤ11が回転する様子を表わしており、このとき押動部材11aは正逆どちらの方向(符号L1、R1参照)に回転してもブレーキスプリング14のスプリング端部14a、14aの内側に当接し、ブレーキスプリング14のスプリング径を小さくする(符号r1参照)。一方、図4bに示すように、駆動シャフト12の伝達部材12aはブレーキスプリング14のスプリング端部14a、14aの外側から当接し、スプリング端部14aを符号L2、R2の方向に押動する。すると、スプリング径は大きくなる(符号r2参照)。スプリング径が大きくなると、ブレーキスプリング14はブレーキドラム15の内周面に当接し、それ以上径を大きくすることができない。そのため、駆動シャフト12の回転が妨げられる。
【0026】
次に図5を用いて遊星ギヤ減速機20を説明する。図5に示すように、前記遊星ギヤ減速機20は、前記駆動シャフト12の前端付近に嵌合され、その部分で固定された太陽ギヤ21と、その太陽ギヤ21の周囲に等間隔で配置され、その太陽ギヤ21と噛合する1つ以上の遊星ギヤ22と、それら遊星ギヤ22を囲むように配置され、その遊星ギヤ22と噛合するリングギヤ23とを有している。そのリングギヤ23は遊星ギヤ22の外周に回転自在に配置されている。前記太陽ギヤの中央には駆動シャフト12の嵌合部12b(図3参照)とほぼ同じ断面形状に形成された嵌合孔21aが形成されている。
【0027】
前記遊星ギヤ22は、本実施例ではリングギヤ23内に等間隔で4つ配置されているが、1つ以上、好ましくは3〜4つ程度配置されるのがよい。また、遊星ギヤ22の中心には大径の遊星ギヤ孔22aが形成され、その内部に円柱状のカラー24、24が前後から嵌合し、回動自在に枢支している。そのカラー24は、遊星ギヤ孔22aに通される円柱状の部位24aと、その円柱状の部位24aの下端から外向きに延び、遊星ギヤ22とほぼ同径の鍔状の部位24bとからなる。その鍔状の部位24b、24aは前後から遊星ギヤ22を挟むように配置される。また、前記カラー24の中心には軸方向にカラー孔24cが貫通している。
【0028】
前記カラー24の鍔状の部位24bの前後の面のさらに前後には、それぞれキャリア25とベース26とが配置されている。それらキャリア25およびベース26の板面にはそれぞれ等間隔に4つの孔25a、26aが形成されている。それら孔25a、26aは前記カラー24のカラー孔24cと対応しており、軸27が貫通する。そして、その軸端はそれぞれキャリア25とベース26とにより支持され、カラー24、24が回転自在に枢支されている。
【0029】
前記キャリア25には、前記孔25a、25a、25a、25aの間の位置に盛り上げ部25b、25b、25b、25bが内側(後方)に突出するように設けられている。また、ベース26にも同様に前記孔26aの間に盛り上げ部26bが内側(前方)に突出して設けられている。それら盛り上げ部25b、26bはそれらの先端面を当接させると、ちょうどリングギア23あるいは遊星ギヤ22の軸方向の厚みと同程度の厚みとなるように形成されている。また、前記キャリア25の盛り上げ部25bからは後方にピン25cが延びている。一方、ベース26の盛り上げ部26bには、前記ピン25cを挿入することのできるピン孔26cが形成されている。それらピン25cとピン孔26cにより、間に遊星ギヤ22を挟んでキャリア25と、ベース26とが一体にされている。
【0030】
なお、前記キャリア25の回転中心に軸孔を形成し、その軸孔に車体のフレームなどから延びる軸部材などを挿通してもよい。そうすることにより、遊星減速機20のモータ8と反対側からも回転自在に枢支できる。
【0031】
前記キャリア26の前面には、共通の回転中心を備えた第1プーリ28が枢支されている。その第1プーリ28の外周にはケーブル係止部28aが形成されており、前記第1インナーケーブル5のケーブルエンド5aが係止されている。そのケーブルエンド5aは円柱状の部材であり、その円柱状の部材の中心軸がアクチュエータ1の軸方向とほぼ平行になるように係止されている。そのため、第1インナーケーブル5は、ケーブルエンド5aの軸を回動の中心として第1プーリ28の外周に接近したり離れたりする方向に回動自在である。一方、リングギヤ23の外周を内径とするように、その外周に第2プーリ29が配置されている。この第2プーリ29には第2インナーケーブル6が第1インナーケーブル5と反対の方向に延びている。なお、図では第2インナーケーブル6のケーブルエンドは符号6aで、第2プーリ29のケーブル係止部は符号29aで示している。
それら第2ケーブルエンド6aおよびケーブル係止部29aは、それぞれ第1ケーブルエンド5aおよびケーブル係止部28aと同じ構成なので、詳細な説明は省略する。
【0032】
また、前記第1インナーケーブル5および第2インナーケーブル6のそれぞれの巻き取り時の荷重が同じになるように第1プーリ28および第2プーリ29のそれぞれの直径が調整されている。そうすると、イコライザーの働きを兼ねることができ、省スペースである。
【符号の説明】
【0033】
1 電動式ブレーキ装置のアクチュエータ(アクチュエータ)
2 電動式ブレーキ装置(ブレーキ装置)
3 操作レバー(操作ボタン)
4 パーキングブレーキ
5 第1インナーケーブル
5a ケーブルエンド
6 第2インナーケーブル
6a ケーブルエンド
7 通信ケーブル
8 モータ
8a 出力ギヤ
10 伝達機構
11 駆動ギヤ
11a 押動部材
12 駆動シャフト
12a 伝達部材(腕部材)
12b 嵌合部
13 ストッパ機構
14 ブレーキスプリング
14a スプリング端部
15 ブレーキドラム
20 遊星ギヤ減速機
21 太陽ギヤ
21a 嵌合孔
22 遊星ギヤ
22a 遊星ギヤ孔
23 リングギヤ
24 カラー
24a 円柱状の部位
24b 鍔状の部位
24c カラー孔
25 キャリア
25a 軸孔
25b 盛り上げ部
25c ピン
26 ベース
26a 軸孔
26b 盛り上げ部
26c ピン孔
27 軸
28 第1プーリ
28a ケーブル係止部
29 第2プーリ
29a ケーブル係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のインナーケーブルを引き操作することにより、左右のパーキングブレーキを作動させる電動式のパーキングブレーキ用のアクチュエータであって、
車体に固定され、かつ駆動シャフトを回転させるモータと、
その駆動シャフトに固定された太陽ギヤと、
その太陽ギヤの周囲に配置され、かつそれと噛合うように配置された1つ以上の遊星ギヤと、
その遊星ギヤを回転自在に保持すると共に、太陽ギヤと同心状に回転自在に設けられるキャリアと、
前記遊星ギヤの外側に配置され、かつそれと噛合うように配置され、太陽ギヤと同心状に回転自在に設けられたリングギヤと、
前記キャリアと共に回転し、第1インナーケーブルを一方の方向に巻き取る第1プーリと、
前記リングギヤと共に回転し、第2インナーケーブルを他方の方向に巻き取る第2プーリと、
前記駆動シャフトのモータからの回転を許し、ギヤ側からの回転を妨げるストッパ機構とからなるアクチュエータ。
【請求項2】
前記ストッパ機構が、
前記モータの回転を駆動シャフトに伝える駆動ギヤと、
その駆動ギヤと駆動シャフトとの間に介在されるブレーキスプリングと、
そのブレーキスプリングの周囲に配置された筒状のブレーキドラムと備えており、
前記駆動ギヤにブレーキスプリングの端部をスプリング径を小さくする方向に押動する押動部材が形成され、
前記駆動シャフトにブレーキスプリングの端部をスプリング径を大きくする方向に押動する腕部材が形成され、
前記駆動シャフトが回転しようとするとブレーキスプリングの径が大きくなり、ブレーキドラムの内面に当接し、その回転が妨げられ、
前記駆動ギヤが回転しようとするとブレーキスプリングの径が小さくなり、ブレーキスプリングがブレーキドラムの内面に接しない請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1プーリおよび第2プーリのそれぞれの直径を調整することにより、前記キャリアとリングギヤの減速比により生じる前記第1インナーケーブルと第2インナーケーブルの回転トルクの差を同じにする請求項1または2記載の電動式のアクチュエータ。
【請求項4】
ブレーキの操作部材と、
そのブレーキ操作部材を操作することにより作動する請求項1〜3のいずれかに記載のアクチュエータと、
そのアクチュエータの第1プーリおよび第2プーリにそれぞれ一端が係止された第1インナーケーブルおよび第2インナーケーブルと、
それら第1インナーケーブルおよび第2インナーケーブルの他端側がそれぞれ連結される左右のパーキングブレーキとを備えている電動式パーキングブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−27219(P2011−27219A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175386(P2009−175386)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】