説明

電動式動力補助操向装置の減速機

【課題】本発明は、電動式動力補助操向装置の減速機を提供するためのものである。
【解決手段】本発明は、自動車の電動式動力補助操向装置において、ウォームとウォームホイールとの摩耗による遊隔を防ぎ、バックラッシュによるラトルノイズの発生を防ぐようになり、回転トルクの変化に従う遊隔変化量を最小化することによって、運転者の操向ホイール操作力を正確に補助できるようになる電動式動力補助操向装置の減速機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式動力補助操向装置の減速機に関し、より詳しくは、電動式動力補助操向装置の減速機において、ウォームとウォームホイールの摩耗による遊隔を防ぎ、バックラッシュによるラトルノイズの発生を防ぐようになり、回転トルクの変化に従う遊隔変化量を最小化することによって、運転者の操向ホイール操作力を正確に補助できる電動式動力補助操向装置の減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の電動式動力補助操向装置の構成図であって、図1に示すように、電動式動力補助操向装置100は、操向ホイール102から両側輪126までつながる操向システム130及び操向システム130に操向補助動力を提供する補助動力機構140を含んで構成される。
【0003】
操向システム130は、一側が操向ホイール102に連結されて操向ホイール102と一緒に回転し、他側は一対のユニバーサルジョイント104を媒介にピニオン軸108に連結される操向軸106を含んで構成される。また、ピニオン軸108は、ラック−ピニオン機構部110を通じてラックバー112に連結され、ラックバー112の両端はタイロッド122とナックルアーム124を通じて車両の輪126に連結される。
【0004】
補助動力機構140は、運転者が操向ホイール102に加えるトルクを感知し、感知されたトルクに比例する電気信号を出力するトルクセンサ142、トルクセンサ142から伝えられる電気信号に基づいて制御信号を発生する電子制御装置144、電子制御装置144から伝えられる制御信号に基づいて補助動力を発生させるモータ146、及びモータ146で発生した補助動力を操向軸106に伝達するためにウォーム152及びウォームホイール156を備えた減速機150を含んで構成される。
【0005】
したがって、電動式動力補助操向装置は、操向ホイール102の回転により発生したトルクがラック−ピニオン機構部110を経てラックバー112に伝達され、発生されたトルクに従いモータ146で発生した補助動力がラックバー112に伝えられるように構成される。
【0006】
即ち、操向ホイール102の回転により発生したトルクとモータ146で発生した補助動力とが合わせられてラックバー112を軸方向に運動するようにする。
【0007】
図2は従来の電動式動力補助操向装置の減速機を示す断面図であって、図2に示すように、減速機150はウォーム152が形成されたウォーム軸254が備えられ、ウォーム軸254の両端にはウォーム軸ベアリング257が各々設けられてウォーム軸254を支持し、ウォーム軸ベアリング257がウォーム軸254の軸方向に遊隔されることを防ぐためにプラグボルト210がダンピングカプラ240とウォーム軸ベアリング257との間に締結され、プラグボルト210はプラグナット220により固定される。
【0008】
ウォーム軸254は、モータ146とダンピングカプラ240とを媒介に連結されてモータ146の駆動によりウォーム軸254が回転する構造となっている。
【0009】
そして、ウォーム軸254の上に形成されたウォーム152と歯合できるように、ウォーム152の外径の一側にはウォームホイール156が備えられ、ウォームホイール156は運転者が操作する操向ホイール102の回転力を伝達する操向軸106に取り付けられてモータ146の駆動によるウォーム軸254の回転力が操向軸106に伝達される構造である。
【0010】
ギアハウジング260には、ウォーム152、ウォームホイール156などが内走し、ギアハウジング260の一側にウォーム軸254に駆動力を提供するモータ146が備えられ、ギアハウジング260とモータ146とはモータカバー230でボルト250により結合される。
【0011】
ウォーム軸ベアリング257は、内輪280と外輪270との間にボール258が結合されているので、ギアハウジング260の端部でモータ150と連結されたウォーム軸254の回転を支持するようになる。
【0012】
このような構造からなる電動式動力補助操向装置の減速機は、車両の運行条件に従い車両に備えられた電子制御装置によりモータの駆動を制御し、モータの駆動によるウォーム軸の回転力が運転者が操作する操向ホイールの回転力に付加して操向軸に伝えられることによって、運転者の操向運転状態を柔らかく、かつ安定的に維持できるようにしたものである。
【0013】
ところが、従来の電動式動力補助操向装置の減速機は、モータの駆動により回転するウォームとウォームホイールの耐久が進行されれば、摩耗により発生する遊隔とバックラッシュによるラトルノイズが発生する問題点があった。
【0014】
また、これによって運転者の操向ホイール操作力を補助する操向補助力を正確に提供できなくなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出したものであって、電動式動力補助操向装置の減速機において、ウォームとウォームホイールの摩耗による遊隔を防ぎ、バックラッシュによるラトルノイズの発生を防ぐようになり、回転トルクの変化に従う遊隔変化量を最小化することによって、運転者の操向ホイール操作力を正確に補助できる電動式動力補助操向装置の減速機を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明はウォームホイールと歯合されるウォームが形成されているウォーム軸のモータ軸結合部位の反対側の端部を支持するウォーム軸ベアリング、上記ウォーム軸ベアリングの外輪を覆いかぶせながら一定の遊隔を維持して結合される中空形状のベアリングホルダー、上記ベアリングホルダーの外周を覆いかぶせながらギアハウジングの内側端部に結合されるホルダーハウジング、上記ホルダーハウジングの内周面とウォームホイール方向に遊隔を形成し、ウォーム軸の端部と結合されるウォーム軸ホルダー、及び上記ホルダーハウジングのウォームホイールの反対方向の内周面と上記ウォーム軸ホルダーの間に結合されて上記ウォーム軸ホルダーを上記ウォームホイール方向に支持する弾性支持体を含んで構成されることを特徴とする電動式動力補助操向装置の減速機を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電動式動力補助操向装置の減速機において、ウォームとウォームホイールの摩耗による遊隔を防ぎ、バックラッシュによるラトルノイズの発生を防ぐようになり、回転トルクの変化に従う遊隔変化量を最小化することによって、運転者の操向ホイール操作力が正確に補助できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の電動式動力補助操向装置の構成図である。
【図2】従来の電動式動力補助操向装置の減速機を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機を示す断面図である。
【図9】図8のA方向から見たベアリングホルダーの断面図である。
【図10】本発明の実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの異形コイルばねの力と変位特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付された図面を参照しつつ詳細に説明する。まず各図面の構成要素に参照符号を付加するに当たって、同一な構成要素に対してはたとえ他の図面上に表示されても、できる限り同一な符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するに当たって、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることができると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0020】
また、本発明の構成要素を説明するに当たって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。どの構成要素が他の構成要素に“連結”、“結合”、または“接続”されると記載された場合、その構成要素は他の構成要素に直接的に連結または接続できるが、各構成要素の間に更に他の構成要素が“連結”、“結合”、または“接続”されることもできると理解されるべきである。
【0021】
図3及び図4は本発明の第1実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す斜視図及び断面図であり、図5及び図6は本発明の第2実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す斜視図及び断面図である。
【0022】
図3及び図4に示すように、本発明の第1実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機300は、ウォームホイール156と歯合されるウォーム152が形成されているウォーム軸254のモータ軸結合部位の反対側の端部を支持するウォーム軸ベアリング257、上記ウォーム軸ベアリング257の外輪270を覆いかぶせながら一定の遊隔を維持して結合される中空形状のベアリングホルダー310、上記ベアリングホルダー310の外周を覆いかぶせながらギアハウジング260の内側端部に結合されるホルダーハウジング330、上記ホルダーハウジング330の内周面とウォームホイール156方向に遊隔370を形成し、ウォーム軸254の端部と結合されるウォーム軸ホルダー320、及び上記ホルダーハウジング330のウォームホイール156反対方向の内周面と上記ウォーム軸ホルダー320との間に結合されて上記ウォーム軸ホルダー320を上記ウォームホイール156方向に支持する弾性支持体340を含んで構成される。
【0023】
また、本発明の第2実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機400は、図5及び図6に示すように、ウォーム軸ホルダー320とウォーム軸254の端部との間にウォーム軸254との回転摩擦を減らすようにフッ素樹脂コーティングされているブシュ(図示せず、図7の380参照)やホルダーベアリング360が挿入結合されるが、ブシュやホルダーベアリング360等を除いては本発明の第1実施形態と同一であるので、以下、本発明の第2実施形態は第1実施形態を基準に説明するようにする。
【0024】
本発明の減速機300、400は、ギアハウジング260の内部で弾性支持体340、または支持部材350がウォーム軸254をウォームホイール156方向に支持する構造となっているので、ウォーム152とウォームホイール156の回転耐久時、バックラッシュとノイズがなくなり、ラトルノイズを予防するようになることに特徴がある。
【0025】
減速機はモータ146の駆動力によりウォーム152とウォームホイール156とが連動しながら操向軸106を回転させて運転者の操向力を補助するようになるが、モータ146の駆動時、モータ146の軸と連動するウォーム軸254の両端にはウォーム軸ベアリング257が締結されてウォーム軸254の回転を支持し、操向軸106と連動するウォームホイール156とウォーム152はギアハウジング260に組み込まれている。
【0026】
一方、モータ146の反対方向には内輪280と外輪270との間にボール258が結合されているウォーム軸ベアリング257がギアハウジング260の端部でウォーム軸254の回転を支持するようになるが、ウォーム軸ベアリング257の外輪270にはベアリングホルダー310が挿入され、ベアリングホルダー310の外側にはホルダーハウジング330がベアリングホルダー310を結合させながらギアハウジング260に設けられ、ホルダーハウジング330の内側には弾性支持体340がウォーム軸ホルダー320を媒介にウォーム軸254の端部をウォームホイール156方向に支持してウォーム152とウォームホイール156の摩耗などにより発生するバックラッシュとノイズを防止するようになっている。
【0027】
ウォーム軸ベアリング257はウォーム軸254の端部に取り付けられ、ウォーム軸254の両端でウォーム軸254の回転を支持するが、ボール258がベアリングの内輪280と外輪270との間で回転しながらウォーム軸254の回転抵抗を減らしてくれる。
【0028】
このようなウォーム軸254の回転耐久が進行されれば、ウォーム152とウォームホイール156との摩耗による遊隔によりノイズとバックラッシュが発生するが、このような遊隔を補償できるようにウォーム軸254のモータ軸結合部の反対側にはウォーム軸254をウォームホイール156の方に押して遊隔をなくす弾性支持体340が取り付けられている。
【0029】
ベアリングホルダー310は中空形状でウォーム軸ベアリング257の外輪270を覆いかぶせながら、これと一定の遊隔を維持して結合されるが、中心部にウォーム軸254の端部が貫通されてウォーム軸ベアリング257に結合され、ウォーム軸ベアリング257の外輪270を覆いかぶせながら圧入結合されてウォーム軸ベアリング257の離脱を防止しながらウォーム軸ベアリング257と一定の遊隔を持つようになっている。
【0030】
また、ベアリングホルダー310はアセタル(POM)のようなエンジニアリングプラスチック、ゴム、またはウレタンのような弾性材質で形成できるが、モータ146の正方向と逆方向の駆動時、ウォーム軸254で発生する衝撃ノイズを防止するようになる。
【0031】
ホルダーハウジング330はこのようなベアリングホルダー310の外周を覆いかぶせながらギアハウジング260の内側端部に結合されてウォーム軸254を支持するようになる。
【0032】
即ち、ホルダーハウジング330はベアリングホルダー310の外周を覆いかぶせながらギアハウジング260の内側端部に結合されて内部に後述するウォーム軸ホルダー320が挿入されるホルダー溝333と、弾性支持体340が結合される支持体溝335が形成されているので、弾性支持体340がホルダーハウジング330に支持されてウォーム軸と結合されたウォーム軸ホルダー320をウォームホイール156の方に支持するようになる。
【0033】
ここで、弾性支持体340は、後述するウォーム軸ホルダー320の外周面と密着する支持部345が中心に形成されており、この支持部345から両側を折曲した両端部343はホルダーハウジング330の支持体溝335に結合される板ばねで形成される。
【0034】
そして、ホルダー溝333はウォーム軸ホルダー320とウォームホイール156側に一定の遊隔370が備えられるように形成されているので、ウォーム軸254と結合されたウォーム軸ホルダー320をウォームホイール156の方に支持できるようになっている。
【0035】
一方、ホルダーハウジング330には支持体溝335に結合されて弾性支持体340をウォーム軸ホルダー320の方に支持する支持部材350が結合できるが、上記支持部材350は、中心が弾性支持体340の支持部345と密着しながらベンディングされて端部がホルダーハウジング330の支持体溝335に結合される板ばねで形成できる。
【0036】
但し、必ずこれに限定されるのではなく、場合によって弾性支持体340と支持部材350は、ホルダーハウジング330の内側に結合されてウォーム軸ホルダー320をウォームホイール156の方に支持できる限り、コイルばねをはじめとする如何なる形状の弾性体も可能である。
【0037】
また、支持部材350は弾性支持体340よりばね常数が大きい材質で形成され、ウォーム軸254の回転による小振動やたが摩耗などによる遊隔補償は弾性支持体340が吸収し、自動車がオフロードを走行する時に発生する大振動や逆入力による衝撃などは支持部材350が吸収するようになる。
【0038】
ウォーム軸ホルダー320はベアリングホルダー310の外側でウォーム軸254と結合され、ウォーム軸254の端部が貫通される軸ホール325が形成されたブロック形状で形成されるが、ウォームホイール156方向にはホルダーハウジング330のホルダー溝333と遊隔370が形成され、ウォーム軸254の端部と結合される。
【0039】
上記ウォーム軸ホルダー320とウォーム軸254の端部との間にはホルダーベアリング360が挿入結合されることもでき、ウォーム軸ホルダー320はウォーム軸254の端部との回転摩擦抵抗を減らすようにフッ素樹脂コーティングできる。
【0040】
また、上記ウォーム軸254の端部と上記ウォーム軸ホルダー320との間に圧入結合されるブシュ380を更に含んで構成されることもでき、ここで、ブシュ380は上記ウォーム軸254の端部との回転摩擦抵抗を減らすようにフッ素樹脂コーティングできる。
【0041】
したがって、弾性支持体340が弾性力によりウォーム軸254が結合されたウォーム軸ホルダー320をウォームホイール156の方に支持するようになれば、ウォーム軸ホルダー320がホルダーハウジング330との遊隔370範囲内でウォームホイール156の方に支持しながら遊隔を補償してノイズとバックラッシュをなくすことになる。
【0042】
一方、ウォーム軸254はホルダーハウジング330の内側で弾性支持体340によりウォームホイール156との遊隔を補償するようになるが、ここで、弾性支持体340はホルダーハウジング330のウォームホイール156の反対方向に形成されている支持体溝335に結合されてウォーム軸254の端部をウォームホイール156の方に支持してウォームホイール156との遊隔を補償するようになる。
【0043】
図7は本発明の第3実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの一部を示す分解斜視図であり、図8は本発明の第3実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機を示す断面図であり、図9は図8のA方向から見たベアリングホルダーの断面図である。
【0044】
これら図面に示すように、本発明の第3実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機700は、ウォーム軸ホルダー320とウォーム軸254の端部との間にウォーム軸254との回転摩擦を減らすようにフッ素樹脂コーティングされているブシュ380、突起部327が形成されたウォーム軸ホルダー320、ベアリング支持体390、及び異形コイルばね375等を除いては、本発明の第1実施形態及び第2実施形態と同一であるので、以下、同一な部分は詳細な説明を省略し、第3実施形態を中心に説明するようにする。
【0045】
ベアリングホルダー310は、アセタル(POM)のようなエンジニアリングプラスチック、ゴム、またはウレタンのような弾性材質で形成され、中心部にウォーム軸254の端部が貫通されてウォーム軸ベアリング257に結合されるが、ウォーム軸ベアリング257の外輪270を覆いかぶせながら一定の遊隔を維持しながら圧入結合されてウォーム軸ベアリング257の離脱を防止するようになっている。
【0046】
また、ベアリングホルダー310はウォームホイールの反対方向の内周面の端部に切欠溝397を形成してベアリング支持体390と結合できるが、ベアリング支持体390によりモータ146の正方向と逆方向の駆動時、ウォーム軸254で発生する衝撃ノイズとラトルノイズを防止するようになる。
【0047】
ここで、ベアリング支持体390はゴムまたはウレタンのような弾性材質で形成されてウォーム軸ベアリング257とのノイズを防止するようになるが、別途に製作して切欠溝397に挿入して結合されるか、ベアリングホルダー310の切欠溝397に一体で射出して製作されることもできる。
【0048】
また、ベアリング支持体390にはウォーム軸ベアリング257との接触面に1つ以上の突出部395を形成してウォーム軸ベアリングの外輪270に弾性変形されながら組み立てられて、弾性変形によりウォーム軸ベアリング257を支持するようにすることができる。
【0049】
そして、ベアリングホルダー310はウォームホイール156の反対側の内側面に弾性支持体375が結合される挿入溝385が形成されているので、組立時、弾性支持体375の離脱を防止するようになっている。
【0050】
ウォーム軸ホルダー320はベアリングホルダー310の外側でウォーム軸254の端部に結合されるように軸ホール325が形成されたブロック形状で形成されるが、ホルダーハウジング330の内周面とウォームホイール156方向に遊隔370を形成しながらウォーム軸254の端部と結合される。
【0051】
ホルダーハウジング330は、ウォームホイール156の反対側の内側面に上記弾性支持体375が支持される挿入溝385が形成される。
【0052】
ここで、ウォーム軸ホルダー320はウォームホイール156の反対側の外側面に弾性支持体375が挿入される突起部327が形成されているが、ウォーム軸254の端部との回転摩擦抵抗を減らすようにフッ素樹脂コーティングできる。
【0053】
したがって、弾性支持体375が弾性力によりウォーム軸ホルダー320をウォームホイール156の方に支持するようになれば、ウォーム軸ホルダー320がホルダーハウジング330との遊隔370の範囲内でウォームホイールの方に支持するようになるが、ここで、弾性支持体375は一般的な円形コイルばねとは異なり、コイルの中心形状がスロットまたは楕円形状で形成される異形コイルばねとなっている特徴がある。
【0054】
図10は本発明の実施形態による電動式動力補助操向装置の減速機のうちの異形コイルばねの力と変位特性を示すグラフである。
【0055】
図10に示すように、一般的な円形コイルばねは荷重と変位が線形的に変わるので、荷重が作用した時、変位が小さいが、異形コイルばねの場合、荷重と変位が非線形的に変わるようになって、同一な荷重が作用されても変位が大きくなる。
【0056】
即ち、同一な荷重F1が作用した時、一般的な円形コイルばねの変位はx1となるが、異形コイルばねの変位はx2となって、一般的な円形コイルばねに比べて変位が大きくなって、それだけ荷重を吸収する範囲が広くなる。
【0057】
したがって、同一な変位では一般的な円形コイルばねに比べて異形コイルばねが吸収する荷重が格段に大きくなり、ホルダーハウジングとウォーム軸端部との間のような狭い空間で異形コイルばねの支持力がより大きくなる。
【0058】
このような形状と構造を持つ本発明によれば、電動式動力補助操向装置の減速機において、ウォームとウォームホイールの摩耗による遊隔を防ぎ、バックラッシュによるラトルノイズの発生を防ぐようになり、回転トルクの変化に従う遊隔変化量を最小化することによって、運転者の操向ホイール操作力を正確に補助できるようになる効果がある。
【0059】
以上、本発明の実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合されるか、結合されて動作することと説明されたとして、本発明が必ずこのような実施形態に限定されるのではない。即ち、本発明の目的範囲内であれば、その全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作することもできる。
【0060】
また、以上で記載された“含む”、“構成する”、または“持つ”などの用語は、特別に反対になる記載がない限り、該当構成要素が内在できることを意味するので、他の構成要素を除外するものでなく、他の構成要素を更に含むことができることと解釈されるべきである。
【0061】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
146 モータ
152 ウォーム
156 ウォームホイール
254 ウォーム軸
257 ウォーム軸ベアリング
258 ボール
270 外輪
310 ベアリングホルダー
320 ウォーム軸ホルダー
325 軸ホール
327 突起部
330 ホルダーハウジング
333 ホルダー溝
335 支持体溝
340 弾性支持体
350 支持部材
360 ホルダーベアリング
380 ブシュ
385 挿入溝
390 ベアリング支持体
397 切欠溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームホイールと歯合されるウォームが形成されているウォーム軸のモータ軸結合部位の反対側の端部を支持するウォーム軸ベアリングと、
前記ウォーム軸ベアリングの外輪を覆いかぶせながら一定の遊隔を維持しながら結合される中空形状のベアリングホルダーと、
前記ベアリングホルダーの外周を覆いかぶせながらギアハウジングの内側端部に結合されるホルダーハウジングと、
前記ホルダーハウジングの内周面とウォームホイール方向に遊隔を形成し、ウォーム軸の端部と結合されるウォーム軸ホルダーと、
前記ホルダーハウジングのウォームホイールの反対方向の内周面と前記ウォーム軸ホルダーとの間に結合されて前記ウォーム軸ホルダーを前記ウォームホイール方向に支持する弾性支持体と、
を含んで構成されることを特徴とする電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項2】
前記ホルダーハウジングには、内部に前記ウォーム軸ホルダーが挿入されるホルダー溝と、前記弾性支持体が結合される支持体溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項3】
前記弾性支持体は、前記ウォーム軸ホルダーの外周面と密着する支持部が中心に形成されており、この支持部から両側を折曲した両端部は前記ホルダーハウジングの支持体溝に結合される板ばねであることを特徴とする請求項2に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項4】
前記ホルダー溝は、前記ウォーム軸ホルダーと前記ウォームホイールの方に一定の遊隔が備えられるように形成されることを特徴とする請求項2に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項5】
前記ホルダーハウジングには前記支持体溝に結合されて前記弾性支持体をウォーム軸ホルダーの方に支持する支持部材が結合されることを特徴とする請求項2に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項6】
前記支持部材は、中心が前記弾性支持体と密着してベンディングされて端部が前記ホルダーハウジングの支持体溝に結合される板ばねであることを特徴とする請求項5に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項7】
前記ウォーム軸ホルダーはフッ素樹脂コーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項8】
前記ウォーム軸ホルダーとウォーム軸の端部との間にはフッ素樹脂コーティングされているブシュが挿入結合されることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項9】
前記ウォーム軸ホルダーとウォーム軸の端部との間にはホルダーベアリングが挿入結合されることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項10】
前記ウォーム軸ホルダーにはウォームホイールの反対側の外側面に前記弾性支持体が挿入される突起部が形成され、前記弾性支持体はコイルの中心形状がスロットまたは楕円形状で形成されて前記突起部に外挿される異形コイルばねであることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項11】
前記ホルダーハウジングにはウォームホイールの反対側の内側面に前記弾性支持体が支持される挿入溝が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項12】
前記ベアリングホルダーにはウォームホイールの反対方向の内周面の端部に切欠溝が形成され、前記切欠溝には前記ウォーム軸ベアリングを支持するベアリング支持体が挿入結合されるか、一体形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。
【請求項13】
前記ベアリング支持体はプラスチックまたは弾性材質で形成され、前記ウォーム軸ベアリングとの接触面に1つ以上の突出部が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の電動式動力補助操向装置の減速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−116150(P2010−116150A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258427(P2009−258427)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(505468174)マンド株式会社 (43)
【Fターム(参考)】