説明

電動機及び換気装置

【課題】電線接合部が外れ難く、製造コストが低く、配線作業の容易な電動機及び換気装置を得ること。
【解決手段】電動機10のリード線接合部に接合された複数本のリード線5、5を、該リード線接合部を覆うカバー6に突出形成されたリード線引出部6aを通して電動機10の外部に引出し、引出されたリード線5、5を保護チューブ7に挿通し、該保護チューブ7の端部を前記リード線引出部6aに挿入して前記リード線5、5を保護するようにした電動機10において、前記保護チューブ7の端部7aを前記リード線引出部6aに挿入するとき、該保護チューブ7の端部7aが前記リード線接合部近傍の位置Pへ進入するのを阻止するストッパ4dを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機及び電動機で羽根車を駆動する換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動機として、フレームに装備された電装品と、この電装品に配線された電装品用電線と、上記フレームに設けられた端子台と、端子が設けられて上記端子台に装着されたコネクタと、上記端子に配線された駆動用電線と、上記端子台及びコネクタに嵌合すると共に上記駆動用電線が挿通される嵌合空所を形成した枠状部、この枠状部が一側へ延長されて形成され上記電装品用電線が挿通される配線空所を構成した第一保持部及びコ字状をなしこのコ字の開口部が上記枠状部の上下の縁部に係止されて上記嵌合空所の上記第一保持部寄りの縁部に配置され上記第一保持部に挿通された上記電装品用電線が挿通される配線空所を構成した第二保持部からなる配線保持具とを備え、配線保持具により駆動用電線及び電装品用電線を保持・固定し、電線に外力が作用しても端子、コネクタ等の電線接合部に外力が作用しないようにし、電線接合部が外れないようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−336948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、配線保持具のような電動機を構成する部品点数が増加し、製造コストの増大を招くという問題があった。また、電線を配線保持具に引き回す必要があり、配線作業に手間と時間を要するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電線接合部が外れ難く、製造コストが低く、配線作業の容易な電動機及び換気装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電動機のリード線接合部に接合された複数本のリード線を、該リード線接合部を覆うカバーに突出形成されたリード線引出部を通して電動機の外部に引出し、引出されたリード線を保護チューブに挿通し、該保護チューブの端部を前記リード線引出部に挿入して前記リード線を保護するようにした電動機において、前記保護チューブの端部を前記リード線引出部に挿入するとき、該保護チューブの端部が前記リード線接合部近傍の位置へ進入するのを阻止するストッパを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電動機を構成する部品点数が少なく、配線作業が容易で、リード線接合部の品質の安定した電動機が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる電動機及び換気装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
実施の形態.
図1は、本発明に係る電動機の実施の形態を示す一部破断側面図であり、図2は、カバーの平面図であり、図3は、端子台の斜視図であり、図4は、保護チューブ挿入前を示す図1のA部拡大図であり、図5は、保護チューブ挿入後を示す図1のA部拡大図であり、図6は、本発明に係る換気装置の実施の形態を示す側断面図である。
【0010】
図1に示すように、実施の形態の電動機10は、底板を有する円筒状の後フレーム3aと、底板を有する円筒状の前フレーム3bと、前、後フレーム3a、3b内に収容され固定子コイル1aが巻装された固定子1と、軸受2c、2dを介して前、後フレーム3a、3bに回転可能に支持された回転軸2aと、回転軸2aに装着され固定子1内に挿入され駆動される回転子2と、を備えている。前、後フレーム3a、3bは、フランジ部3c、3dで締結されてフレーム3を構成している。
【0011】
フレーム3の一端側としての後フレーム3aの後端側には、図3に全体を示す円盤状の端子台4が設置されている。端子台4の中央凹部4aには、コンデンサー等を実装し、配端子台4上の端子に固定子コイル1a、1aが接続される。この端子に電源線としての複数本(2本)のリード線5、5がハンダ付け等で接合されている。
【0012】
2本のリード線5、5は、端子台4に設けられた仕切板(絶縁板)4bで仕切られた2本の配線通路4c、4c(図3参照)を別々に通って電動機10の外部へ引き出される(図1参照)。リード線5、5が接合された端子台4は、リード線引出部6a及び底板を有する円筒状のカバー6で覆われ、カバー6のフランジ部6bが、前、後フレーム3a、3bのフランジ部3c、3dに締結される。
【0013】
図2に示すように、リード線引出部6aは、カバー6の外周部を、外方へ半円筒状に突出させて形成している。図3に示すように、仕切板4bの外端部として形成されているストッパ4dは、端子台4の外周部よりも外側へ2mm程度突出してリード線引出部6a内へ進入し、後述する保護チューブ7のストッパ4dとなる。言い換えれば、ストッパ4dが仕切板としても機能していると言える。
【0014】
図4に示すように、リード線引出部6aを通して電動機10の外部に引出したリード線5、5を、柔軟な樹脂製の保護チューブ7に挿通し、保護チューブ7を摺動させて端部7aをカバー6のリード線引出部6aの入口まで近づける。続いて図5に示すように、端部7aをリード線引出部6a内に挿入し、ストッパ4dに当接させる。保護チューブ7は、ストッパ4dによりリード線接合部近傍の位置(図5に示す位置P)への進入を阻止される。
【0015】
保護チューブ7のリード線引出部6a内への進入距離は、4mm程度とされている。保護チューブ7の外径寸法とリード線引出部6aの内径寸法とは締り嵌め寸法とされていて、保護チューブ7をストッパ4d位置まで挿入すれば、摩擦抵抗により、保護チューブ7が抜け落ちることはない。また、締り嵌め寸法とすることにより、保護チューブ7とリード線引出部6aとの間から埃等の異物が進入するのを防止する。
【0016】
保護チューブ7が、リード線接合部近傍の位置Pまで進入してしまうと、リード線5、5に図4の上方方向の力が働き、リード線接合部を剥がすように作用して接合部の品質を劣化させるが、実施の形態の電動機10では、ストッパ4dにより、保護チューブ7がリード線接合部近傍の位置Pまで進入することはないので、接合部の品質が安定する。また、配線保持具のような部品を必要とせず、リード線を配線保持具に引き回す必要もない。
【0017】
図6に示すように、実施の形態の電動機10の回転軸に羽根車20を装着し、電動機10を換気装置としての換気扇のフレーム30に取付け、電動機10により羽根車20を駆動するようにすると、実施の形態の換気装置50となる。換気装置50は、部品点数が少なく、配線作業が容易で、電動機10のリード線接合部の品質が安定している。
【0018】
なお、実施の形態の電動機10では、ストッパ4dを端子台4に設けているが、ストッパは、リード線引出部6aの壁の一部を内側に突出させて形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明に係る電動機は、電動機を構成する部品点数が少なく、配線作業が容易で、リード線接合部の品質が安定しているので、換気装置用の電動機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る電動機の実施の形態を示す一部破断側面図である。
【図2】カバーの平面図である。
【図3】端子台の斜視図である。
【図4】保護チューブ挿入前を示す図1のA部拡大図である。
【図5】保護チューブ挿入後を示す図1のA部拡大図である。
【図6】本発明に係る換気装置の実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 固定子
2 回転子
3 フレーム
3a 後フレーム
3b 前フレーム
4 端子台
4b 仕切板
4d ストッパ
5 リード線
6 カバー
6a リード線引出部
7 保護チューブ
7a 端部
P リード線接合部近傍の位置
10 電動機
20 羽根車
30 換気扇のフレーム
50 換気扇(換気装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機のリード線接合部に接合された複数本のリード線を、該リード線接合部を覆うカバーに突出形成されたリード線引出部を通して電動機の外部に引出し、引出されたリード線を保護チューブに挿通し、該保護チューブの端部を前記リード線引出部に挿入して前記リード線を保護するようにした電動機において、
前記保護チューブの端部を前記リード線引出部に挿入するとき、該保護チューブの端部が前記リード線接合部近傍の位置へ進入するのを阻止するストッパを設けたことを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記リード線接合部は、前記電動機のフレームの一端側に設置された端子台に設けられ、前記ストッパは、前記端子台の外周部から前記リード線引出部内にその先端部を突出させるように前記端子台に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
前記ストッパは、前記カバー内で前記複数本のリード線を分離、絶縁する仕切板としても機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動機。
【請求項4】
前記ストッパは、前記リード線引出部の壁の一部を内側に突出させて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項5】
前記保護チューブの外径寸法と前記リード線引出部の内径寸法とは締り嵌め寸法とされ、前記保護チューブと前記リード線引出部との間から電動機内部へ異物が進入するのを防止することを特徴とする請求項1に記載の電動機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の電動機により羽根車を駆動させるようにしたことを特徴とする換気装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−228733(P2007−228733A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47307(P2006−47307)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】