説明

電動車両駆動制御装置

【課題】バッテリの寿命を長くすることができ、耐久性を向上させることができるようにする。
【解決手段】電動機械と、第1の電源と、エネルギー密度が低く、残量が高い領域で入力密度が高く、残量が低い領域で出力密度が高い特性を有する第2の電源と、第1、第2の電源の残量を検出する第1、第2の残量検出部と、電動車両の加速指標を検出する加速指標検出部と、電動車両の減速指標を検出する減速指標検出部と、電動車両の要求入出力を算出する要求入出力算出処理手段と、第1の電源の残量を判定する第1の残量判定処理手段と、第2の電源の残量を判定する第2の残量判定処理手段と、第2の電源に対する電力の入出力を第1の電源に対する入出力より優先して行う入出力制御処理手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両駆動制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車両には、ハイブリッド型車両、電気自動車等があり、例えば、ハイブリッド型車両においては、エンジン及び駆動モータを備え、市街地においては、駆動モータを駆動し、郊外においては、エンジンを駆動し、必要に応じて駆動モータを駆動することによって走行させられるようになっている。また、電気自動車においては、駆動モータを備え、該駆動モータを駆動することによって走行させられる。
【0003】
ところで、前記電動車両において、電源として、二次電池から成る第1の電源としてのバッテリが使用される。そして、電動車両を加速したり、定常走行(定地走行)させたりする際に、駆動モータは、バッテリから出力(力行出力)された電力を受けて駆動され、電動車両を減速する際に、前記駆動モータで電力が回生され、バッテリに入力(回生入力)される。
【0004】
すなわち、バッテリから電力が出力されるのに伴って、バッテリは放電され、バッテリに電力が入力されるのに伴って、バッテリは充電される。
【0005】
したがって、電動車両の走行中、充放電が繰り返されることになり、バッテリの寿命が短くなってしまう。
【0006】
そこで、前記バッテリのほかに第2の電源としてのキャパシタを配設し、電力が回生される際にはキャパシタだけに電力が入力され、定常走行時に、キャパシタからバッテリに電力を供給してバッテリに入力するようにした電動車両が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−113407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の電動車両においては、バッテリ内の電気量、すなわち、バッテリ残量が変化するが、該バッテリ残量にかかわらず、所定の量でバッテリが充放電されるので、バッテリが劣化し、寿命を十分に長くすることができない。
【0008】
すなわち、バッテリ残量が高いときに、回生され、バッテリに入力される電力が大きい場合、及びバッテリ残量が低いときに、バッテリから出力される電力が大きい場合に、バッテリに大きな負荷が加わり、バッテリが劣化してしまう。したがって、バッテリの寿命を十分に長くすることができず、耐久性が低下してしまう。
【0009】
本発明は、前記従来の電動車両の問題点を解決して、バッテリの寿命を長くすることができ、耐久性を向上させることができる電動車両駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明の電動車両駆動制御装置においては、駆動輪と連結され、力行時に電力が供給されて、回生時に電力を回生する電動機械と、該電動機械と接続された第1の電源と、該第1の電源よりエネルギー密度が低く、第1の電源より残量が高い領域で入力密度が高く、第1の電源より残量が低い領域で出力密度が高い特性を有する第2の電源と、前記第1の電源の残量を検出する第1の残量検出部と、前記第2の電源の残量を検出する第2の残量検出部と、アクセルペダルの操作に基づいて電動車両の加速指標を検出する加速指標検出部と、アクセルペダルの操作及びブレーキ踏込み操作のうちの少なくとも一方に基づいて、前記電動車両の減速指標を検出する減速指標検出部と、前記加速指標及び減速指標のうちのいずれか一方に基づいて電動車両の要求入出力を算出する要求入出力算出処理手段と、前記第1の電源の残量を判定する第1の残量判定処理手段と、前記第2の電源の残量を判定する第2の残量判定処理手段と、前記要求入出力、及び第1、第2の電源の各残量に基づいて、第2の電源に対する電力の入出力を第1の電源に対する入出力より優先して行う入出力制御処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動車両駆動制御装置においては、駆動輪と連結され、力行時に電力が供給されて、回生時に電力を回生する電動機械と、該電動機械と接続された第1の電源と、該第1の電源よりエネルギー密度が低く、第1の電源より残量が高い領域で入力密度が高く、第1の電源より残量が低い領域で出力密度が高い特性を有する第2の電源と、前記第1の電源の残量を検出する第1の残量検出部と、前記第2の電源の残量を検出する第2の残量検出部と、アクセルペダルの操作に基づいて電動車両の加速指標を検出する加速指標検出部と、アクセルペダルの操作及びブレーキ踏込み操作のうちの少なくとも一方に基づいて、前記電動車両の減速指標を検出する減速指標検出部と、前記加速指標及び減速指標のうちのいずれか一方に基づいて電動車両の要求入出力を算出する要求入出力算出処理手段と、前記第1の電源の残量を判定する第1の残量判定処理手段と、前記第2の電源の残量を判定する第2の残量判定処理手段と、前記要求入出力、及び第1、第2の電源の各残量に基づいて、第2の電源に対する電力の入出力を第1の電源に対する入出力より優先して行う入出力制御処理手段とを有する。
【0012】
この場合、高容量型の第1の電源、例えば、電池に対して、走行中の回生入力を禁止し、パワー型の第2の電源、例えば、キャパシタに対してだけ回生入力が行われる。なお、第1の電源が技術進歩によって入出力に十分耐えられるようになる場合には、第2の電源に対する電力の入出力が第1の電源に対する入出力(回生入力、放電出力等)より優先して行われるので、第1の電源の使用頻度を低くすることができる。したがって、第1の電源の寿命を長くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態における電動車両駆動制御装置のブロック図である。
【0015】
図において、11はエンジン、12は図示されないクランクシャフトと接続され、前記エンジン11を駆動することによって発生させられた回転が出力される出力軸、13は該出力軸12を介して入力された回転に対して変速を行う差動装置としてのプラネタリギヤユニット、14は該プラネタリギヤユニット13における変速後の回転が出力される出力軸、16は、伝達軸17を介して前記プラネタリギヤユニット13と連結され、更にエンジン11と差動回転自在に、かつ、機械的に連結された第1の電動機械としての発電機(G)である。該発電機16は、車輪としての駆動輪37と機械的に連結される。
【0016】
また、25は前記エンジン11及び発電機16と差動回転自在に、かつ、機械的に連結された第2の電動機械としての駆動モータ(M)である。
【0017】
そして、前記プラネタリギヤユニット13は、少なくとも、第1の差動要素としての図示されないサンギヤ、該サンギヤと噛(し)合する図示されないピニオン、該ピニオンと噛合する第2の差動要素としての図示されないリングギヤ、及び前記ピニオンを回転自在に支持する第3の差動要素としての図示されないキャリヤを備え、前記サンギヤは前記伝達軸17を介して発電機16と、リングギヤは、出力軸14及び所定のギヤ列を介して駆動モータ25と、キャリヤは出力軸12を介してエンジン11と連結される。
【0018】
前記駆動モータ25は、出力軸18を介して駆動輪37と機械的に連結され、力行時に電力が供給されて駆動され、駆動モータ25のトルク、すなわち、駆動モータトルクを発生させて駆動輪37に送り、回生時に駆動輪37からの回転を受けて電力を回生する。また、前記キャリヤと図示されないケースとの間に図示されないワンウェイクラッチが配設され、該ワンウェイクラッチは、エンジン11から正方向の回転がキャリヤに伝達されたときにフリーになり、発電機16又は駆動モータ25から逆方向の回転がキャリヤに伝達されたときにロックされ、エンジン11の回転を停止させ、逆方向の回転がエンジン11に伝達されないようにする。
【0019】
前記発電機16は発電機インバータとしてのインバータ28に、駆動モータ25は駆動モータインバータとしてのインバータ29に接続され、各インバータ28、29は、いずれも、複数の、例えば、6個のスイッチング素子としてのトランジスタを備え、該各トランジスタは、一対ずつユニット化されて各相のトランジスタモジュール(IGBT)を構成する。また、前記インバータ28、29は、DC/DCコンバータ48に接続されるとともに、第1の電源としての高容量型の二次電池から成るバッテリ43、及び第2の電源としてのパワー型のキャパシタ(コンデンサ)44と選択的に接続される。
【0020】
本実施の形態においては、バッテリ43としてLiイオン電池が使用され、出力が15〔kW〕に、容量(エネルギー)が5〔kWh〕にされる。また、キャパシタ44として、電気化学キャパシタが使用され、出力が35〔kW〕に、容量が0.3〔kWh〕にされる。なお、前記電気化学キャパシタに代えて電気二重層キャパシタを使用することができる。
【0021】
そして、発電機16及び駆動モータ25の制御を行うために第1の制御装置としての駆動部制御装置49が、前記エンジン11の制御を行うために第2の制御装置としてのエンジン制御装置46が配設される。前記エンジン制御装置46及び駆動部制御装置49は、いずれも、図示されないCPU、記録装置等から成り、所定のプログラム、データ等に基づいて各種の演算を行い、コンピュータとして機能する。
【0022】
前記駆動部制御装置49は、発電機16を駆動するための駆動信号をインバータ28に、駆動モータ25を駆動するための駆動信号をインバータ29にそれぞれ送る。
【0023】
前記インバータ28は、駆動信号に従って駆動され、発電機16の力行時にバッテリ43又はキャパシタ44から直流の電流を受けて、各相の電流を発生させ、各相の電流を発電機16に供給し、発電機16の発電時に発電機16から各相の電流を受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43又はキャパシタ44に供給する。なお、本実施の形態においては、発電機16による発電を回生として説明する。
【0024】
また、前記インバータ29は、駆動信号に従って駆動され、駆動モータ25の力行時にバッテリ43又はキャパシタ44から直流の電流を受けて、各相の電流を発生させ、各相の電流を駆動モータ25に供給し、駆動モータ25の回生時に発電機16から各相の電流を受けて、直流の電流を発生させ、バッテリ43又はキャパシタ44に供給する。
【0025】
そして、53はバッテリ残量SOCbを検出する第1の残量検出部としてのバッテリ残量検出部、54は前記キャパシタ44内の電気量、すなわち、キャパシタ残量SOCcを検出する第2の残量検出部としてのキャパシタ残量検出部であり、前記バッテリ残量検出部53はバッテリ残量SOCbを、前記キャパシタ残量検出部54はキャパシタ残量SOCcを駆動部制御装置49に送る。なお、前記バッテリ残量SOCbは、バッテリ43の容量(電池容量)に対する充電された電気量を百分率で表し、第1の残量を構成し、キャパシタ残量SOCcは、キャパシタ44の容量(キャパシタ容量)に対する充電された電気量を百分率で表し、第2の残量を構成する。
【0026】
また、55は、加速指標としての、かつ、第1の減速指標としての図示されないアクセルペダルの操作を表すアクセルペダルの位置(踏込量)、すなわち、アクセル開度を検出する加速指標検出部としての、第1の減速指標検出部としての、かつ、アクセル操作検出部としてのアクセル開度センサ、56は、第2の減速指標としての図示されないブレーキペダルの操作を表すブレーキペダルの位置(踏込量)、すなわち、ブレーキ踏込量を検出する第2の減速指標検出部としての、かつ、ブレーキ操作検出部としてのブレーキセンサ、57は車速vを検出する車速検出部としての車速センサである。なお、車両が加速させられる際には、アクセル開度だけが検出されるのに対し、車両が減速させられる際には、アクセル開度及びブレーキ踏込量のうちの少なくとも一方が検出される。
【0027】
そして、前記バッテリ43の充放電を切り換えるために、第1の切換要素としての電源スイッチ61が、前記キャパシタ44の充放電を切り換えるために、第2の切換要素としての電源スイッチ62が配設される。前記電源スイッチ61、62によって、バッテリ43及びキャパシタ44と発電機16及び駆動モータ25とを選択的に接続する切換部が構成される。
【0028】
前記電源スイッチ61は、端子a〜dを備え、端子aにバッテリ43の正極側が接続される。そして、駆動部制御装置49からの指示に従って、端子a、b間が接続されると、家庭、オフィス等のようにバッテリ43を充電することができる箇所、すなわち、充電場所に配設された第3の電源としての100〔V〕の商用電源(交流電源AC)64とバッテリ43とが充電回路65を介して接続され、商用電源64の電力をバッテリ43に入力することができる。そのために、前記商用電源64と充電回路65との間に、図示されないAC−DCコンバータが配設され、交流の電流が直流の電流に変換される。
【0029】
また、端子a、c間が接続されると、インバータ28、29とバッテリ43とが充電回路66を介して接続され、発電機16によって発電された電力及び駆動モータ25によって回生された電力をバッテリ43に入力することができる。さらに、端子a、d間が接続されると、インバータ28、29とバッテリ43とがダイオードD1を介して接続され、バッテリ43を放電させ、発電機16及び駆動モータ25を駆動するのに必要な電力をバッテリ43から出力し、発電機16及び駆動モータ25に供給することができる。
【0030】
また、前記電源スイッチ62は、端子e〜gを備え、端子eにキャパシタ44の正極側が接続される。そして、駆動部制御装置49からの指示に従って、端子e、f間が接続されると、インバータ28、29とキャパシタ44とが充電回路67を介して接続され、発電機16の発電及び駆動モータ25の回生によって発生させられた電力をキャパシタ44に入力することができる。さらに、端子e、g間が接続されると、インバータ28、29とキャパシタ44とがダイオードD2を介して接続され、キャパシタ44を放電させ、発電機16及び駆動モータ25を駆動するのに必要な電力をキャパシタ44から出力することができる。
【0031】
ところで、バッテリ43として使用されるLiイオン電池は、単位重量当たりの容量を表すエネルギー密度が高いので、バッテリ43から出力された電力を使用して電動車両を走行させた場合、航続距離を長くすることができる。
【0032】
ところが、Liイオン電池においては、バッテリ残量SOCbが高くなるほど単位重量当たりの入力することができる電力を表す入力密度が低くなり、バッテリ残量SOCbが低くなるほど単位重量当たりの出力することができる電力を表す出力密度が低くなってしまう。したがって、バッテリ残量SOCbが高い領域で大きい電力を入力したり、バッテリ残量SOCbが低い領域で大きい電力を出力したりするためには、バッテリ43の容量を大きくする必要があり、バッテリ43が大型化、更には電動車両自体が大型化してしまう。
【0033】
また、Liイオン電池は、二次電池であるので、充放電効率が低く、しかも、バッテリ残量SOCbが高い領域で電力を出力したり、バッテリ残量SOCbが低い領域で電力を入力したりすると、バッテリ43に大きな負荷が加わり、バッテリ43が劣化してしまう。したがって、バッテリ43の寿命を十分に長くすることができず、耐久性が低下してしまう。
【0034】
これに対して、キャパシタ44は、エネルギー密度が低いので、キャパシタ44から出力された電力を使用して電動車両を走行させた場合、航続距離が短くなるが、広範囲のキャパシタ残量SOCcにおける入力密度及び出力密度が高く、バッテリ43よりキャパシタ残量SOCcが高い領域で入力密度が高く、大きい電力を入力したり、バッテリ43よりキャパシタ残量SOCcが低い領域で出力密度が高く、大きい電力を出力したりする場合でも、キャパシタ44が劣化することがない。
【0035】
そこで、本実施の形態においては、バッテリ43を電気自動車的に使用し、キャパシタ44をハイブリッド型車両的に使用するようになっている。そのために、バッテリ43においては、電動車両を走行させている間、専ら電力を出力し、夜間等に家庭において電動車両を所定の時間以上停止させている間、充電場所で外部充電によって専ら電力が入力される。また、キャパシタ44においては、電動車両を走行させている間、加速時のように、電動車両を走行させるのに必要な出力、すなわち、要求出力の急激な変化に対応させて、キャパシタ44から電力を出力し、減速時のように、電動車両を制動するのに必要な回生力、すなわち、要求回生力に対応させて、駆動モータ25において電力を回生し、回生した電力をキャパシタ44に入力する。
【0036】
そして、バッテリ43として、サイクル寿命が長いものが使用される場合、減速時において、キャパシタ残量SOCcが閾(しきい)値(上限値)である管理上の満充電になったときに、バッテリ43に電力を入力することができる。この場合、バッテリ残量SOCbに応じてバッテリ43への充電量を制限することができる。
【0037】
また、回生された電力のすべてを、キャパシタ44及びバッテリ43に入力することができない場合に、入力することができなかった電力を、ブレーキによって発生させられる熱エネルギーとして捨てる必要がなくなるので、エネルギー効率を高くすることができる。
【0038】
次に、前記構成の電動車両駆動制御装置の動作について説明する。
【0039】
図2は本発明の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示すタイムチャート、図3は本発明の実施の形態におけるバッテリ残量のタイムチャート、図4は本発明の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示すメインフローチャート、図5は本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第1の図、図6は本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第2の図、図7は本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第3の図、図8は本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第4の図、図9は本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第1の図、図10は本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第2の図、図11は本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第3の図、図12は本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第4の図である。
【0040】
まず、図2に基づいて、電動車両の走行パターンの例について説明する。
【0041】
すなわち、タイミングt1で電動車両は停止させられていて、タイミングt2で加速が開始され、タイミングt3で加速が終了し、高速で定常走行が開始される。
【0042】
次に、タイミングt4で定常走行が終了され、減速が開始され、タイミングt5で減速が終了し、低速で定常走行が開始される。
【0043】
そして、タイミングt6で定常走行が終了され、加速が開始され、タイミングt7で加速度が大きくなり、急加速が開始される。
【0044】
続いて、タイミングt8で急加速が終了され、高速で定常走行が開始され、タイミングt9で定常走行が終了され、減速が開始され、タイミングt10で減速が終了され、停止させられる。
【0045】
このような走行パターンで電動車両が走行させられると、図3の線L1で示されるように、バッテリ43(図1)において、電力の出力が開始され、時間tが経過するのに伴ってバッテリ残量SOCbは、満充電の状態の90〔%〕から徐々に小さくなる(バッテリ43の放電量が所定の範囲に制御されて減少する)。この間、キャパシタ44において、電力の出力及び入力が繰り返されるので、キャパシタ残量SOCcは、線L2で示されるように、ジグザグ状に変化して徐々に小さくなる。そして、バッテリ残量SOCbが10〔%〕になると、エンジン11が駆動され、エンジン11の駆動によって電動車両は走行させられ、その間、バッテリ43における電力の出力はなく、キャパシタ44において、電力の出力及び入力が繰り返され、キャパシタ残量SOCcは、ジグザグ状に変化してほぼ一定の値を採る。そして、電動車両が停止させられると、運転者が図示されないコンセント等を使用して外部電力と接続することによって、バッテリ43の充電が開始される。本実施の形態においては、例えば、10〔A〕の電流、100〔V〕の電圧で3時間の充電が行われる。
【0046】
次に、図4〜12のフローチャートに従って、電動車両駆動制御装置の動作について説明する。
【0047】
まず、駆動部制御装置49の図示されない残量取得処理手段は、電源積算、電圧計測等による残量取得処理を行い、バッテリ残量SOCb及びキャパシタ残量SOCcを読み込むことによって取得する。次に、駆動部制御装置49の図示されない車速取得処理手段は、車速取得処理を行い、車速vを読み込むことによって取得する。
【0048】
続いて、駆動部制御装置49の図示されない状態判定処理手段は、状態判定処理を行い、電動車両駆動制御装置の状態を判定する。すなわち、駆動モータ25の回生時(発電機16の発電時も含む。)に電力が発生させられ、回生されているか、駆動モータ25の駆動時(発電機16の駆動時も含む。)に電力が消費されているかを判断する。
【0049】
この場合、説明を簡素化するために、発電機16の発電に伴い発生させられる電力、発電機16の駆動に伴い消費される電力については、無視する。したがって、状態判定処理手段は、アクセル開度を読み込み、アクセルペダルが踏み込まれているかどうか、すなわち、アクセルオンであるかどうかを判断する。
【0050】
アクセルオンである場合、駆動部制御装置49の図示されない出力制御処理手段は、出力制御処理を行い、バッテリ43及びキャパシタ44から出力される電力を制御する。また、アクセルオンでない場合、駆動部制御装置49の図示されない入力制御処理手段は、入力制御処理を行い、バッテリ43及びキャパシタ44に入力される電力を制御する。
【0051】
なお、図2のタイムチャートにおいては、タイミングt2〜t4、t5〜t9で出力制御処理が、タイミングt4〜t5、t9〜t10で入力制御処理が行われる。また、前記出力制御処理手段によって第1の入出力制御処理手段が構成され、該第1の入出力制御処理手段は、第1の入出力制御処理を行い、前記入力制御処理手段によって第2の入出力制御処理手段が構成され、該第2の入出力制御処理手段は、第2の入出力制御処理を行う。
【0052】
次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS1 バッテリ残量SOCb及びキャパシタ残量SOCcを読み込む。
ステップS2 車速vを読み込む。
ステップS3 アクセルオンであるかどうかを判断する。アクセルオンである場合はステップS4に、アクセルオンでない場合はステップS5に進む。
ステップS4 出力制御処理を行い、リターンする。
ステップS5 入力制御処理を行い、リターンする。
【0053】
次に、図4のステップS4における出力制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0054】
まず、出力制御処理手段の要求出力算出処理手段は、要求出力算出処理を行い、アクセル開度及び車速vを読み込み、記録装置の要求出力マップを参照し、アクセル開度及び車速vに対応する要求出力P* を読み出すことによって算出する。
【0055】
続いて、前記出力制御処理手段の要求出力判定処理手段は、要求出力判定処理を行い、電動車両が低速で定常走行しているかどうかを、要求出力P* が零(0)より大きく、かつ、第1の閾値Pth1* である15〔kW〕以下(第1の所定の範囲)であるかどうかによって判断する。例えば、図2におけるタイミングt5〜t6のように、電動車両が低速で定常走行をしていて、要求出力P* が零より大きく、かつ、15〔kW〕以下である場合は、前記出力制御処理手段の第1の残量判定処理手段としてのキャパシタ残量判定処理手段は、第1の残量判定処理としてのキャパシタ残量判定処理を行い、キャパシタ残量SOCcが第1の閾値SOCcth1である20〔%〕より高いかどうかを判断する。なお、前記要求出力算出処理手段によって第1の要求入出力算出処理手段が構成され、該第1の要求入出力算出処理手段によって第1の要求入出力算出処理が行われる。また、前記要求出力判定処理手段によって第1の要求入出力判定処理手段が構成され、該第1の要求入出力判定処理手段によって第1の要求入出力判定処理が行われる。
【0056】
そして、キャパシタ残量SOCcが20〔%〕より高い場合、前記出力制御処理手段の第1の入出力制御処理手段としてのキャパシタ出力・EV駆動制御処理手段は、第1の入出力制御処理としてのキャパシタ出力・EV駆動制御処理を行い、キャパシタ44から電力を出力し、駆動モータ25を駆動する。
【0057】
また、キャパシタ残量SOCcが20〔%〕以下である場合、前記出力制御処理手段の第1の残量判定処理手段としてのバッテリ残量判定処理手段は、第1の残量判定処理としてのバッテリ残量判定処理を行い、バッテリ残量SOCbが、第1の閾値SOCbth1である20〔%〕より高いかどうかを判断する。
【0058】
そして、バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合、前記出力制御処理手段の第2の入出力制御処理手段としてのバッテリ出力・EV駆動制御処理手段は、第2の入出力制御処理としてのバッテリ出力・EV駆動制御処理を行い、バッテリ43から電力を出力し、駆動モータ25を駆動する。
【0059】
また、バッテリ残量SOCbが20〔%〕以下である場合、前記出力制御処理手段の第3の入出力制御処理手段としてのエンジン駆動制御処理手段は、第3の入出力制御処理としてのエンジン駆動制御処理を行い、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、エンジン制御装置46の図示されないエンジン駆動処理手段は、エンジン駆動処理を行い、エンジン11を駆動する。
【0060】
このように、要求出力P* が15〔kW〕以下である場合、キャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbが低くても、20〔%〕より高い場合には、キャパシタ44又はバッテリ43から電力が出力される。
【0061】
したがって、車速vが80〔km/h〕以下の低速で定常走行している場合は、キャパシタ44の残量が20〔%〕を超えていれば電力のみで走行できるので、電動車両を静かに、かつ、クリーンに走行させることができる。
【0062】
また、キャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbがいずれも20〔%〕以下である場合は、エンジン11が駆動され、キャパシタ44及びバッテリ43から電力が出力されないので、キャパシタ44及びバッテリ43の耐久性を高くすることができる。
【0063】
なお、要求出力P* が15〔kW〕以下、例えば、3〔kW〕である場合に、キャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbの下限値を20〔%〕より低くすることができる。
【0064】
次に、前記要求出力判定処理手段は、電動車両が加速しているかどうかを、要求出力P* が15〔kW〕より大きく、かつ、第2の閾値Pth2* である35〔kW〕以下(第2の所定の範囲)であるかどうかによって判断する。要求出力P* が15〔kW〕より大きく、かつ、35〔kW〕以下である場合、電動車両は、図2のタイミングt2〜t3、t6〜t7のように加速していると想定される。
【0065】
この場合、出力制御処理手段の車速判定処理手段は、車速判定処理を行い、電動車両が低速で加速しているかどうかを、車速vが閾値である80〔km/h〕以下であるかどうかによって判断する。そして、車速vが80〔km/h〕以下であり、電動車両が低速で加速している場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが第2の閾値SOCcth2である30〔%〕より高いかどうかを判断する。
【0066】
そして、キャパシタ残量SOCcが30〔%〕より高い場合、前記キャパシタ出力・EV駆動制御処理手段は、キャパシタ44から電力を出力し、駆動モータ25を駆動する。
【0067】
キャパシタ残量SOCcが30〔%〕以下である場合、第2の残量判定処理手段としてのバッテリ残量判定処理手段は、第2の残量判定処理としてのバッテリ残量判定処理を行い、バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高いかどうかを判断する。
【0068】
バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合、前記出力制御処理手段の分担決定処理手段は、分担決定処理を行い、要求出力に対応してバッテリ43とエンジン11との分担を決定し、出力制御処理手段の第4の入出力制御処理手段としてのバッテリ出力・EV・エンジン駆動制御処理手段は、第4の入出力制御処理としてのバッテリ出力・EV・エンジン駆動制御処理を行い、バッテリ43から電力を出力し、駆動モータ25を駆動するとともに、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0069】
そして、キャパシタ残量SOCcが30〔%〕以下であり、バッテリ残量SOCbが20〔%〕以下である場合、前記エンジン駆動制御処理手段は、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0070】
このように、電動車両が低速で走行している場合においては、電動車両をできる限り静かに、かつ、クリーンに走行させたいが、要求出力P* が15〔kW〕より大きい場合、前述されたように、電動車両を加速をしていると想定される。そこで、キャパシタ残量SOCcが30〔%〕より高い場合に、キャパシタ44から電力を出力し、キャパシタ残量SOCcが30〔%〕以下である場合、バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高くても、エンジン11を駆動し、バッテリ43から出力された電力、及びエンジン11によって発生させられたトルクを使用するようにしている。
【0071】
さらに、バッテリ残量SOCbが20〔%〕以下である場合、モータでの走行を停止し、エンジン11のみを駆動して走行する。
【0072】
なお、車速vが80〔km/h〕より高く、電動車両が高速走行をしている場合、出力制御処理手段の出力変化率判定処理手段は、出力変化率判定処理を行い、出力pの時間による変化、すなわち、出力変化率dp/dtが正の所定の値αより大きいかどうかを判断する。
【0073】
そして、車速vが80〔km/h〕より高くても、出力変化率dp/dtが正の所定の値αより大きい場合、電力を使用することが可能であると判断されるので、同様に、キャパシタ残量SOCcが30〔%〕より高い場合、キャパシタ44から、バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合、バッテリ43から電力を出力するのが許可される。
【0074】
これに対して、車速vが80〔km/h〕より高く、しかも、出力変化率dp/dtが前記値α以下である場合、図2のタイミングt3〜t4のように、電動車両を高速で定常走行させていると想定される。この場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが第3の閾値SOCcth3である50〔%〕以下であるかどうかを判断する。そして、キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下である場合、前記出力制御処理手段の第5の入出力制御処理手段としてのエンジン駆動・キャパシタ入力制御処理手段は、第5の入出力制御処理としてのエンジン駆動・キャパシタ入力制御処理を行い、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示するとともに、エンジン11の駆動に伴って発生する余剰の電力をキャパシタ44に入力する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0075】
また、キャパシタ残量SOCcが50〔%〕より高い場合、前記エンジン駆動制御処理手段は、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0076】
このように、車速vが80〔km/h〕より高い場合、多少騒音が発生するが、エンジン11の駆動を主体とする。なお、エンジン11を駆動しながらキャパシタ44への入力が不可能な電動車両の場合、エンジン駆動制御処理手段は、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0077】
そして、要求出力P* が15〔kW〕以上で、かつ、35〔kW〕より大きい(第3の所定の範囲)場合、図2のタイミングt7〜t8に示されるように、電動車両は急加速していることが想定される。その場合、前記車速判定処理手段は、車速vが80〔km/h〕以下であるかどうかを判断する。そして、車速vが80〔km/h〕以下である場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが第4の閾値SOCcth4である40〔%〕より高いかどうかを判断する。
【0078】
キャパシタ残量SOCcが40〔%〕より高い場合、前記分担決定処理手段は、キャパシタ44とエンジン11との分担を決定し、出力制御処理手段の第5の入出力制御処理手段としてのキャパシタ出力・EV・エンジン駆動制御処理手段は、第5の入出力制御処理としてのキャパシタ出力・EV・エンジン駆動制御処理を行い、キャパシタ44から電力を出力し、駆動モータ25を駆動するとともに、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0079】
そして、キャパシタ残量SOCcが40〔%〕以下である場合、バッテリ残量判定処理手段は、バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高いかどうかを判断する。
【0080】
バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合、前記分担決定処理手段は、バッテリ43とエンジン11との分担を決定し、前記バッテリ出力・EV・エンジン駆動制御処理手段は、バッテリ43から電力を出力し、駆動モータ25を駆動するとともに、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0081】
また、バッテリ残量SOCbが20〔%〕以下である場合、前記分担決定処理手段は、エンジン11の駆動を決定し、前記エンジン駆動制御処理手段は、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0082】
そして、車速vが80〔km/h〕より高い場合、前記出力変化率判定処理手段は、出力変化率dp/dtが正の所定の値αより大きいかどうかを判断する。
【0083】
そして、車速vが80〔km/h〕より高くても、出力変化率dp/dtが正の所定の値αより大きい場合、電力を使用することが可能であると判断されるので、同様に、キャパシタ残量SOCcが40〔%〕より高い場合、及びバッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合、キャパシタ44及びバッテリ43から電力を出力するのが許可される。
【0084】
これに対して、車速vが80〔km/h〕より高く、しかも、出力変化率dp/dtが前記値α以下である場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下である場合、前記エンジン駆動・キャパシタ入力制御処理手段は、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示し、エンジン11を駆動するのに伴って発生する余剰の電力をキャパシタ44に入力する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0085】
また、キャパシタ残量SOCcが50〔%〕より高い場合、前記エンジン駆動制御処理手段は、エンジン11を駆動するようにエンジン制御装置46に指示する。そして、前記エンジン駆動処理手段は、エンジン11を駆動する。
【0086】
次に、図5〜8のフローチャートについて説明する。
ステップS4−1 アクセル開度及び車速vを読み込む。
ステップS4−2 要求出力P* を算出する。
ステップS4−3 要求出力P* が零より大きく、かつ、15〔kW〕以下であるかどうかを判断する。要求出力P* が零より大きく、かつ、15〔kW〕以下である場合はステップS4−4に、要求出力P* が零以下で、かつ、15〔kW〕より大きい場合はステップS4−9に進む。
ステップS4−4 キャパシタ残量SOCcが20〔%〕より低いかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが20〔%〕より低い場合はステップS4−5に、キャパシタ残量SOCcが20〔%〕以上である場合はステップS4−6に進む。
ステップS4−5 キャパシタ出力・EV駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−6 バッテリ残量SOCbが20〔%〕より低いかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが20〔%〕より低い場合はステップS4−7に、バッテリ残量SOCcが20〔%〕以上である場合はリターンする。
ステップS4−7 バッテリ出力・EV駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−8 エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−9 要求出力P* が15〔kW〕より大きく、かつ、35〔kW〕以下であるかどうかを判断する。要求出力P* が15〔kW〕より大きく、かつ、35〔kW〕以下である場合はステップS4−10に、要求出力P* が15〔kW〕以下で、かつ、35〔kW〕より大きい場合はステップS4−21に進む。
ステップS4−10 車速vが80〔km/h〕以下であるかどうかを判断する。車速vが80〔km/h〕以下である場合はステップS4−12に、車速vが80〔km/h〕より高い場合はステップS4−11に進む。
ステップS4−11 出力変化率dp/dtが値αより大きいかどうかを判断する。出力変化率dp/dtが値αより大きい場合はステップS4−12に、出力変化率dp/dtが値α以下である場合はステップS4−18に進む。
ステップS4−12 キャパシタ残量SOCcが30〔%〕より高いかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが30〔%〕より高い場合はステップS4−13に、キャパシタ残量SOCcが30〔%〕以下である場合はステップS4−14に進む。
ステップS4−13 キャパシタ出力・EV駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−14 バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高いかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合はステップS4−15に、バッテリ残量SOCbが20〔%〕以下である場合はステップS4−17に進む。
ステップS4−15 バッテリ43とエンジン11との分担を決定する。
ステップS4−16 バッテリ出力・EV・エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−17 エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−18 キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下である場合はステップS4−19に、キャパシタ残量SOCcが50〔%〕より高い場合はステップS4−20に進む。
ステップS4−19 エンジン駆動・キャパシタ入力制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−20 エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−21 車速vが80〔km/h〕以下であるかどうかを判断する。車速vが80〔km/h〕以下である場合はステップS4−23に、車速vが80〔km/h〕より高い場合はステップS4−22に進む。
ステップS4−22 出力変化率dp/dtが値αより高いかどうかを判断する。出力変化率dp/dtが値αより高い場合はステップS4−23に、出力変化率dp/dtが値α以下である場合はステップS4−31に進む。
ステップS4−23 キャパシタ残量SOCcが40〔%〕より高いかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが40〔%〕より高い場合はステップS4−24に、キャパシタ残量SOCcが40〔%〕以下である場合はステップS4−26に進む。
ステップS4−24 キャパシタ44とエンジン11との分担を決定する。
ステップS4−25 キャパシタ出力・EV・エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−26 バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高いかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが20〔%〕より高い場合はステップS4−27に、バッテリ残量SOCbが20〔%〕以下である場合はステップS4−29に進む。
ステップS4−27 バッテリ43とエンジン11との分担を決定する。
ステップS4−28 バッテリ出力・EV・エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−29 エンジン11の駆動を決定する。
ステップS4−30 エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−31 キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが50〔%〕以下である場合はステップS4−32に、キャパシタ残量SOCcが50〔%〕より高い場合はステップS4−33に進む。
ステップS4−32 エンジン駆動・キャパシタ入力制御処理を行い、リターンする。
ステップS4−33 エンジン駆動制御処理を行い、リターンする。
【0087】
次に、図4のステップS5における入力制御処理のサブルーチンについて説明する。
【0088】
まず、入力制御処理手段の要求回生力算出処理手段は、要求回生力算出処理を行い、ブレーキ踏込量及び車速vを読み込み、記録装置の要求回生力マップを参照し、ブレーキ踏込量及び車速vに対応する要求回生力Q* を読み出すことによって算出する。
【0089】
続いて、前記入力制御処理手段の要求回生力判定処理手段は、要求回生力判定処理を行い、要求回生力Q* が零より大きく、かつ、第1の閾値Qth11* である5〔kW〕以下(第1の所定の範囲)であるかどうかを判断する。要求回生力Q* が零より大きく、かつ、5〔kW〕以下である場合、前記入力制御処理手段の第1の残量判定処理手段としてのキャパシタ残量判定処理手段は、第1の残量判定処理としてのキャパシタ残量判定処理を行い、キャパシタ残量SOCcが第1の閾値SOCcth11である90〔%〕以下であるかどうかを判断する。なお、前記要求回生力算出処理手段によって第2の要求入出力算出処理手段が構成され、該第2の要求入出力算出処理手段によって第2の要求入出力算出処理が行われる。また、前記要求回生力判定処理手段によって第2の要求入出力判定処理手段が構成され、該第2の要求入出力判定処理手段によって第2の要求入出力判定処理が行われる。
【0090】
そして、キャパシタ残量SOCcが90〔%〕以下である場合、前記入力制御処理手段の第1の電源入力制御処理手段としてのキャパシタ入力制御処理手段は、第1の電源入力制御処理としてのキャパシタ入力制御処理を行い、入力先をキャパシタ44(図1)に切り替え、駆動モータ25で回生された電力をキャパシタ44に入力する。
【0091】
キャパシタ残量SOCcが90〔%〕より高い場合、前記入力制御処理手段の第2の残量判定処理手段としてのバッテリ残量判定処理手段は、第2の残量判定処理としてのバッテリ残量判定処理を行い、バッテリ残量SOCbが、第1の閾値SOCbth11である90〔%〕以下であるかどうかを判断する。
【0092】
そして、バッテリ残量SOCbが90〔%〕以下である場合、前記入力制御処理手段の第2の電源入力制御処理手段としてのバッテリ入力制御処理手段は、第2の電源入力制御処理としてのバッテリ入力制御処理を行い、入力先をバッテリ43に切り替え、駆動モータ25で回生された電力をバッテリ43に入力する。なお、本実施の形態において、バッテリ43としてサイクル寿命が短いものを使用する場合、バッテリ43には電力を入力しない。
【0093】
また、キャパシタ残量SOCcが90〔%〕より高く、バッテリ残量SOCbが90〔%〕より高い場合、入力制御処理手段は、駆動モータ25において電力を回生しない。
【0094】
このように、要求回生力Q* が5〔kW〕以下である場合、キャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbが高くても、90〔%〕以下である場合には、キャパシタ44又はバッテリ43に電力が入力される。また、キャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbがいずれも90〔%〕より高い場合は、電力が回生されないので、キャパシタ44及びバッテリ43の耐久性を高くすることができる。
【0095】
次に、前記要求回生力判定処理手段は、要求回生力Q* が5〔kW〕より大きく、かつ、第2の閾値Qth12* である15〔kW〕以下(第2の所定の範囲)であるかどうかを判断する。要求回生力Q* が5〔kW〕より大きく、かつ、15〔kW〕以下である場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが第2の閾値SOCcth12である85〔%〕以下であるかどうかを判断する。
【0096】
そして、キャパシタ残量SOCcが85〔%〕以下である場合、前記キャパシタ入力制御処理手段は、入力先をキャパシタ44に切り替え、駆動モータ25で回生された電力をキャパシタ44に入力する。
【0097】
また、キャパシタ残量SOCcが85〔%〕より高い場合、前記バッテリ残量判定処理手段は、バッテリ残量SOCbが、第2の閾値SOCbth12である70〔%〕以下であるかどうかを判断する。
【0098】
そして、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合、前記バッテリ入力制御処理手段は、入力先をバッテリ43に切り替え、駆動モータ25で回生された電力をバッテリ43に入力する。
【0099】
また、キャパシタ残量SOCcが85〔%〕より高く、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合、入力制御処理手段は、駆動モータ25において電力を回生しない。
【0100】
このように、要求回生力Q* が小さく15〔kW〕以下である場合、キャパシタ44に電力を入力し、キャパシタ残量SOCcが85〔%〕を超えると、バッテリ43にも電力を入力するが、そのときのバッテリ残量SOCbの管理上の満充電が低くされ、70〔%〕にされる。
【0101】
次に、前記要求回生力判定処理手段は、要求回生力Q* が15〔kW〕より大きく、かつ、第3の閾値Qth13* である35〔kW〕以下(第3の所定の範囲)であるかどうかを判断する。要求回生力Q* が15〔kW〕より大きく、かつ、35〔kW〕以下である場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが第3の閾値SOCcth13である80〔%〕以下であるかどうかを判断する。
【0102】
そして、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下である場合、前記キャパシタ入力制御処理手段は、入力先をキャパシタ44に切り替え、駆動モータ25で回生された電力をキャパシタ44に入力する。
【0103】
また、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕より高い場合、前記バッテリ残量判定処理手段は、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。
【0104】
そして、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合、前記バッテリ入力制御処理手段は、駆動モータ25で回生された電力を、バッテリ43の出力である15〔kW〕以下の分だけ分離し、入力先をバッテリ43に切り替え、バッテリ43に入力する。
【0105】
また、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕より高く、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合、入力制御処理手段は、駆動モータ25において電力を回生しない。
【0106】
このように、要求回生力Q* が15〔kW〕より大きい場合は、キャパシタ44に電力を入力し、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕を超えると、バッテリ43の出力である15〔kW〕以下の分だけバッテリ43にも電力を入力する。
【0107】
また、要求回生力Q* が35〔kW〕より大きい場合、前記キャパシタ残量判定処理手段は、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下であるかどうかを判断する。
【0108】
そして、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下である場合、前記キャパシタ入力制御処理手段は、駆動モータ25で回生された電力を、キャパシタ44の出力である35〔kW〕以下の分だけ分離する。
【0109】
続いて、前記入力制御処理手段の余剰回生電力判定処理手段は、余剰回生電力判定処理を行い、回生された電力に余剰の電力(以下「余剰回生電力」という。)Qrがあるかどうかを判断し、余剰回生電力Qrがある場合、余剰回生電力Qrが、バッテリ43の出力である15〔kW〕以下であるかどうかを判断する。
【0110】
余剰回生電力Qrが、バッテリ43の出力である15〔kW〕以下である場合、前記バッテリ残量判定処理手段は、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。そして、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合、前記入力制御処理手段の第3の電源入力制御処理手段としてのキャパシタ・バッテリ入力制御処理手段は、第3の電源入力制御処理としてのキャパシタ・バッテリ入力制御処理を行い、キャパシタ44及びバッテリ43を並立に接続し、駆動モータ25で回生された電力を、キャパシタ44及びバッテリ43に入力し、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合、入力制御処理手段は、駆動モータ25において電力を回生しない。
【0111】
また、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕より高い場合、及び余剰回生電力Qrが、バッテリ43の出力である15〔kW〕より大きい場合、前記バッテリ残量判定処理手段は、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。そして、バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合、前記バッテリ入力制御処理手段は、駆動モータ25で回生された電力を、バッテリ43の出力である15〔kW〕以下の分だけ分離し、入力先をバッテリ43に切り替え、バッテリ43に入力する。また、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合、入力制御処理手段は、駆動モータ25において電力を回生しない。
【0112】
また、余剰回生電力Qrがない場合、前記キャパシタ入力制御処理手段は、入力先をキャパシタ44に切り替え、駆動モータ25で回生された電力をキャパシタ44に入力する。
【0113】
次に、図9〜12のフローチャートについて説明する。
ステップS5−1 ブレーキ踏込量及び車速vを読み込む。
ステップS5−2 要求回生力Q* を算出する。
ステップS5−3 要求回生力Q* が零より大きく、かつ、5〔kW〕以下であるかどうかを判断する。要求回生力Q* が零より大きく、かつ、5〔kW〕以下である場合はステップS5−4に、要求出力P* が零以下で、かつ、5〔kW〕より大きい場合はステップS5−11に進む。
ステップS5−4 キャパシタ残量SOCcが90〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが90〔%〕以下である場合はステップS5−5に、キャパシタ残量SOCcが90〔%〕より高い場合はステップS5−7に進む。
ステップS5−5 キャパシタ44に切り替える。
ステップS5−6 キャパシタ44に入力し、リターンする。
ステップS5−7 バッテリ残量SOCbが90〔%〕以下であるかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが90〔%〕以下である場合はステップS5−8に、バッテリ残量SOCbが90〔%〕より高い場合はステップS5−10に進む。
ステップS5−8 バッテリ43に切り替える。
ステップS5−9 バッテリ43に入力し、リターンする。
ステップS5−10 回生せず、リターンする。
ステップS5−11 要求回生力Q* が5〔kW〕より大きく、かつ、15〔kW〕以下であるかどうかを判断する。要求回生力Q* が5〔kW〕より大きく、かつ、15〔kW〕以下である場合はステップS5−12に、要求回生力Q* が5〔kW〕以下で、かつ、15〔kW〕より大きい場合はステップS5−19に進む。
ステップS5−12 キャパシタ残量SOCcが85〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが85〔%〕以下である場合はステップS5−13に、キャパシタ残量SOCcが85〔%〕より高い場合はステップS5−15に進む。
ステップS5−13 キャパシタ44に切り替える。
ステップS5−14 キャパシタ44に入力し、リターンする。
ステップS5−15 バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合はステップS5−16に、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合はステップS5−18に進む。
ステップS5−16 バッテリ43に切り替える。
ステップS5−17 バッテリ43に入力し、リターンする。
ステップS5−18 回生せず、リターンする。
ステップS5−19 要求回生力Q* が15〔kW〕より大きく、かつ、35〔kW〕以下であるかどうかを判断する。要求回生力Q* が15〔kW〕より大きく、かつ、35〔kW〕以下である場合はステップS5−20に、要求回生力Q* が15〔kW〕以下で、かつ、35〔kW〕より大きい場合はステップS5−28に進む。
ステップS5−20 キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下である場合はステップS5−21に、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕より高い場合はステップS5−23に進む。
ステップS5−21 キャパシタ44に切り替える。
ステップS5−22 キャパシタ44に入力し、リターンする。
ステップS5−23 バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合はステップS5−24に、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合はステップS5−27に進む。
ステップS5−24 15〔kW〕以下の分だけ分離する。
ステップS5−25 バッテリ43に切り替える。
ステップS5−26 バッテリ43に入力し、リターンする。
ステップS5−27 回生せず、リターンする。
ステップS5−28 キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下であるかどうかを判断する。キャパシタ残量SOCcが80〔%〕以下である場合はステップS5−29に、キャパシタ残量SOCcが80〔%〕より高い場合はステップS5−38に進む。
ステップS5−29 35〔kW〕以下の分だけ分離する。
ステップS5−30 余剰回生電力Qrがあるかどうかを判断する。余剰回生電力Qrがある場合はステップS5−31に、ない場合はステップS5−36に進む。
ステップS5−31 余剰回生電力Qrが15〔kW〕以下であるかどうかを判断する。余剰回生電力Qrが15〔kW〕以下である場合はステップS5−32に、余剰回生電力Qrが15〔kW〕より大きい場合はステップS5−38に進む。
ステップS5−32 バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合はステップS5−33に、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合はステップS5−35に進む。
ステップS5−33 キャパシタ44及びバッテリ43を並列に接続する。
ステップS5−34 キャパシタ44及びバッテリ43に入力し、リターンする。
ステップS5−35 回生せず、リターンする。
ステップS5−36 キャパシタ44に切り替える。
ステップS5−37 キャパシタ44に入力し、リターンする。
ステップS5−38 バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下であるかどうかを判断する。バッテリ残量SOCbが70〔%〕以下である場合はステップS5−39に、バッテリ残量SOCbが70〔%〕より高い場合はステップS5−42に進む。
ステップS5−39 15〔kW〕以下の分だけ分離する。
ステップS5−40 バッテリ43に切り替える。
ステップS5−41 バッテリ43に入力し、リターンする。
ステップS5−42 回生せず、リターンする。
【0114】
このように、本実施の形態においては、キャパシタ44及びバッテリ43のうちのキャパシタ44に対する入出力が優先して行われ、例えば、キャパシタ44に優先して電力が入力され、キャパシタ44に対してだけ回生入力が行われ、バッテリ43に対する回生入力が禁止される。しかも、キャパシタ44から優先して電力が出力(放電出力)される。したがって、バッテリ43の使用頻度を低くすることができるので、バッテリ43の寿命を長くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0115】
また、前記出力制御処理においては、要求出力P* が小さいほど、電力を出力する際に許容されるキャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbが高くされ、要求出力P* が大きいほど、電力を出力する際に許容されるキャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbが低くされる。
【0116】
そして、前記入力制御処理においては、要求回生力Q* が小さいほど、電力を入力する際に許容されるキャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbが高くされ、要求回生力Q* が大きいほど、電力を出力する際に許容されるキャパシタ残量SOCc及びバッテリ残量SOCbが低くされる。
【0117】
したがって、キャパシタ44及びバッテリ43に大きな負荷が加わることがなく、キャパシタ44及びバッテリ43が劣化するのを抑制することができる。したがって、キャパシタ44及びバッテリ43の寿命を十分に長くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0118】
特に、キャパシタ44は、エネルギー密度が低いので、キャパシタ44から出力された電力を使用して電動車両を走行させた場合、広範囲のキャパシタ残量SOCcにおける入力密度及び出力密度が高く、キャパシタ残量SOCcが高い領域で大きい電力を入力したり、キャパシタ残量SOCcが低い領域で大きい電力を出力したりする場合でも、キャパシタ44が劣化することがない。
【0119】
本実施の形態においては、バッテリ43を電気自動車的に使用し、キャパシタ44をハイブリッド型車両的に使用することによって、設計上の選択の範囲が広がり、小型化、軽量化した蓄電システムを形成することができる。
【0120】
また、キャパシタ44とバッテリ43とを直列に接続することによって、昇圧用コンバータを不要にするか、又は昇圧の倍率を小さくすることができるので、出力の際の効率を向上させることができる。
【0121】
前記実施の形態とは別に、以下のような実施の形態が考えられる。
【0122】
(1) 駆動輪と連結され、力行時に電力が供給されて、回生時に電力を回生する電動機械と、動力が駆動輪に伝達可能に連結されたエンジンと、前記電動機械と接続された第1の電源と、該第1の電源よりエネルギー密度が低く、第1の電源より残量が高い領域で入力密度が高く、第1の電源より残量が低い領域で出力密度が高い特性を有する第2の電源と、前記第1の電源の残量を検出する第1の残量検出部と、前記第2の電源の残量を検出する第2の残量検出部と、アクセルペダルの操作に基づいて電動車両の加速指標を検出する加速指標検出部と、アクセルペダルの操作、又はブレーキ踏込み操作の少なくとも一方に基づいて、前記電動車両の減速指標を検出する減速指標検出部と、前記加速指標及び減速指標のうちのいずれか一方に基づいて電動車両の要求入出力を算出する要求入出力算出処理手段と、前記第1の電源の残量を判定する第1の残量判定処理手段と、前記第2の電源の残量を判定する第2の残量判定処理手段と、前記要求入出力、及び第1、第2の電源の各残量に基づいて、第1の電源に対する入出力量、第2の電源に対する入出力量及びエンジンの駆動量を制御する入出力制御処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御装置。
【0123】
(2) 前記要求入出力は要求出力であり、要求出力値が所定の範囲(0<P* ≦15〔kW〕)にあり、第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値(SOCc>20〔%〕)より大きいと判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第1の電源からの出力を禁止し、要求出力に応じて決められた電力の出力量を第2の電源から出力するよう制御する(1)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0124】
(3) 前記第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値(SOCc≦20〔%〕)以下であり、かつ、第1の残量判定処理手段によって第1の電源の残量が閾値(SOCb>20〔%〕)より大きいと判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第2の電源からの出力を禁止し、要求出力に応じて決められた電力の出力量を第1の電源から出力するよう制御する(1)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0125】
(4) 前記出力要求値が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第1の電源の閾値(SOCb)及び第2の電源の閾値(SOCc)を大きくする(2)又は(3)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0126】
(5) 前記要求入出力は要求回生力であり、該要求回生力が所定の範囲(0<Q* ≦5〔kW〕)にあり、第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値(SOCc≦90〔%〕)以下であると判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第1の電源への回生入力を禁止し、要求回生力に応じて決められた電力量を第2の電源へ回生入力するように制御する(1)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0127】
(6) 前記第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値(SOCc>90〔%〕)より大きく、かつ、第1の残量判定処理手段によって第1の電源の残量が閾値(SOCb≦90〔%〕)以下であると判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第2の電源への回生入力を禁止し、要求回生力に応じて決められた電力量を第1の電源へ回生入力するように制御する(5)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0128】
(7) 前記要求回生力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第1の電源の閾値(SOCb)及び第2の電源の閾値(SOCc)を小さくする(5)又は(6)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0129】
(8) 前記第1、第2の電源と電動機械とを選択的に接続する切換部を有する(1)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0130】
(9) 前記第1の電源は、外部から電力供給を受けるために電動車両に配設された接続端子から第1の電源を充電する外部充電手段を有する(1)又は(8)に記載の電動車両駆動制御装置。
【0131】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の実施の形態における電動車両駆動制御装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるバッテリ残量のタイムチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示すメインフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第1の図である。
【図6】本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第2の図である。
【図7】本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第3の図である。
【図8】本発明の実施の形態における出力制御処理のサブルーチンを示す第4の図である。
【図9】本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第1の図である。
【図10】本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第2の図である。
【図11】本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第3の図である。
【図12】本発明の実施の形態における入力制御処理のサブルーチンを示す第4の図である。
【符号の説明】
【0133】
16 発電機
25 駆動モータ
37 駆動輪
43 バッテリ
44 キャパシタ
49 駆動部制御装置
53 バッテリ残量検出部
54 キャパシタ残量検出部
55 アクセル開度センサ
56 ブレーキセンサ
61、62 電源スイッチ
64 商用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪と連結され、力行時に電力が供給されて、回生時に電力を回生する電動機械と、該電動機械と接続された第1の電源と、該第1の電源よりエネルギー密度が低く、第1の電源より残量が高い領域で入力密度が高く、第1の電源より残量が低い領域で出力密度が高い特性を有する第2の電源と、前記第1の電源の残量を検出する第1の残量検出部と、前記第2の電源の残量を検出する第2の残量検出部と、アクセルペダルの操作に基づいて電動車両の加速指標を検出する加速指標検出部と、アクセルペダルの操作及びブレーキ踏込み操作のうちの少なくとも一方に基づいて、前記電動車両の減速指標を検出する減速指標検出部と、前記加速指標及び減速指標のうちのいずれか一方に基づいて電動車両の要求入出力を算出する要求入出力算出処理手段と、前記第1の電源の残量を判定する第1の残量判定処理手段と、前記第2の電源の残量を判定する第2の残量判定処理手段と、前記要求入出力、及び第1、第2の電源の各残量に基づいて、第2の電源に対する電力の入出力を第1の電源に対する入出力より優先して行う入出力制御処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御装置。
【請求項2】
前記要求入出力は要求出力であり、該要求出力が所定の範囲にあり、前記第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値より大きいと判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第1の電源からの出力を禁止し、要求出力に応じて決められた電力量を第2の電源から出力するよう制御する請求項1に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項3】
前記第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値以下であると判断され、かつ、第1の残量判定処理手段によって第1の電源の残量が閾値より大きいと判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第2の電源からの出力を禁止し、要求出力に応じて決められた電力量を第1の電源から出力するよう制御する請求項1に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項4】
前記要求出力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第1の電源の閾値及び第2の電源の閾値を大きくする請求項2又は3に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項5】
前記要求入出力は要求回生力であり、該要求回生力が所定の範囲にあり、第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値以下であると判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第1の電源への回生入力を禁止し、要求回生力に応じて決められた電力量を第2の電源へ回生入力するように制御する請求項1に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項6】
前記第2の残量判定処理手段によって第2の電源の残量が閾値より大きいと判断され、かつ、第1の残量判定処理手段によって第1の電源の残量が閾値以下であると判断された場合、前記入出力制御処理手段は、第2の電源への回生入力を禁止し、要求回生力に応じて決められた電力量を第1の電源へ回生入力するように制御する請求項5に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項7】
前記要求回生力が所定の範囲を超えて大きくなるほど、第1の電源の閾値及び第2の電源の閾値を小さくする請求項5又は6に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項8】
前記第1、第2の電源と電動機械とを選択的に接続する切換部を有する請求項1に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項9】
駆動輪と連結され、力行時に電力が供給されて、回生時に電力を回生する電動機械と、該電動機械と接続された第1の電源と、該第1の電源よりエネルギー密度が低く、第1の電源より残量が高い領域で入力密度が高く、第1の電源より残量が低い領域で出力密度が高い特性を有する第2の電源と、前記第1の電源の残量を検出する第1の残量検出部と、前記第2の電源の残量を検出する第2の残量検出部と、アクセルペダルの操作及びブレーキ踏込み操作のうちの少なくとも一方に基づいて、前記電動車両の減速指標を検出する減速指標検出部と、前記減速指標に基づいて電動車両の要求入出力を算出する要求入出力算出処理手段と、前記第1の電源の残量を判定する第1の残量判定処理手段と、前記第2の電源の残量を判定する第2の残量判定処理手段と、前記第1、第2の電源と電動機械とを選択的に接続する切換部と、前記減速指標が検出された場合、第1の電源と電動機械との接続を遮断するように切換部を制御するとともに、要求入出力に対応する電力量を第2の電源に入力する入出力制御処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御装置。
【請求項10】
前記第1の電源は、外部から電力供給を受けるために電動車両に配設された接続端子から第1の電源を充電する外部充電手段を有する請求項1又は9に記載の電動車両駆動制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−61405(P2008−61405A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236243(P2006−236243)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】