説明

電動車両

【課題】外部充電可能な電動車両の電気システムの構成および配置レイアウトを、外部充電時の動作および設計汎用性の面から適切化する。
【解決手段】メインバッテリ10およびPCU20の間の電源配線153pに介挿接続された、システムメインリレーSMR1〜SMR3は、外部充電時にはオフされる。電源配線155pとは別個に設けられた電源配線153pは、補機リレーRL1,RL2を介してメインバッテリ10と接続される。充電器110は、外部電源400からの電力をメインバッテリ10の充電電力に変換して、電源配線152pへ出力する。DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92は、PCU20に近接にて配置され、かつ、システムメインリレーSMR1〜SMR3のオフ時にも、補機リレーRL1,RL2のオンまたは充電器110の作動によって、電源配線153pからの電力により駆動可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動車両に関し、より特定的には、車両外部の電源によって充電可能な蓄電装置を搭載した電動車両の電気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池に代表される蓄電装置からの電力によって車両駆動用モータを駆動する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両では、車両外部の電源(以下、単に「外部電源」とも称する)によってこの充電装置を充電する構成が提案されている。なお、以下では外部電源による蓄電装置の充電を「外部充電」とも称する。
【0003】
特開2009−225587号公報(特許文献1)には、外部充電可能な電動車両の電気システムの構成が記載される。この電気システムでは、外部充電によるメインバッテリの充電経路は、メインリレーのオンによって形成される、車両駆動力発生用のモータジェネレータおよびメインバッテリの間の通電経路から独立するように設けられる。さらに、補機バッテリを含む補機負荷系は、メインリレーをオフしても動作可能なように、上記通電経路とは別の電源配線から電力が供給されるように構成されている。
【0004】
これにより、外部充電時には、電力消費が大きいメインリレーをオフすることが可能となるとともに、補機負荷系の動作電力を供給することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−225587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような外部充電可能な電動車両の開発によって、電動車両には、外部充電機構を具備しない従来車種と、外部充電機構を具備する新車種とが混在することになる。ここで、新車種では、従来車種では想定されなかった外部充電時における補機の動作を確保することが必要となる。
【0007】
しかしながら、この際に補機系を含めた機器配置については、車種間で大きく変更しないようにすることが、設計汎用性の観点から好ましい。
【0008】
ここで、特許文献1に記載された電動車両の電気システムは、外部充電の効率向上と、補機系の動作確保とを両立するためのシステム構成については記載するものの、電気システムの構成要素の配置レイアウトについては何ら言及していない。
【0009】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、外部充電可能な電動車両の電気システムの構成および配置レイアウトを、外部充電時の動作および設計汎用性の面から適切にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面では、車両駆動パワーを発生するモータを搭載した電動車両は、蓄電装置と、外部充電機構と、第1および第2の電力変換器、第1および第2の電源配線と、第1および第2の開閉器と、電圧変換器とを備える。蓄電装置は、車両後方領域に搭載されて、モータに対して入出力される電力を蓄積するように構成される。外部充電機構は、外部電源によって蓄電装置を充電するための外部充電モードにおいて、外部電源からの電力を蓄電装置の充電電力に変換するとともに、該充電電力を蓄電装置へ供給するように構成される。第1の電力変換器は、車両前方領域に搭載されて、車両走行モードにおいて蓄電装置およびモータの間で電力変換を行うように構成される。第1の電源配線は、蓄電装置および第1の電力変換器の間を接続するために設けられる。第1の開閉器は、第1の電源配線および蓄電装置の間に接続されて、車両走行モードでオンする一方で外部充電モードでオフする。電圧変換器は、蓄電装置の出力電圧を補機の駆動電圧に降圧するように構成される。第2の電源配線は、蓄電装置および電圧変換器の間を接続するために設けられる。第2の開閉器は、蓄電装置に対して第1の開閉器と並列に設けられて、第2の電源配線および蓄電装置の間に接続される。空調機器は、第2の電源配線と電気的に接続された第2の電力変換器を含んで構成される。外部充電機構は、第1の電力変換器よりも蓄電装置に近接して配置される一方で、電圧変換器および空調機器は、蓄電装置よりも第1の電力変換器に近接して配置される。
【0011】
好ましくは、電動車両は、車両走行モードおよび外部充電モードの両方で動作する、蓄電装置を監視するための第1の制御ユニットと、電動車両の走行を制御するための第2の制御ユニットとをさらに備える。第2の制御ユニットは、車両走行モードで動作する一方で、外部充電モードでは停止される。そして、電圧変換器、第2の電力変換器、および第2の開閉器は、第1の制御ユニットによって制御される。
【0012】
また好ましくは、外部充電機構は、外部電源からの電力を蓄電装置の充電電力に変換するための充電器と、充電器の出力電力を伝達するための第3の電源配線とを含む。第3の電源配線は、第2の開閉器を介することなく第2の電源配線と接続される。第2の開閉器は、車両走行モードおよび外部充電モードの両方でオンする。
【0013】
さらに好ましくは、蓄電装置の非充電時であって、かつ、外部電源および外部充電機構が電気的に接続されている状態である場合には、空調機器が作動する電源ポジションが選択されているときには、第2の開閉器がオフされるとともに充電器が作動する。
【0014】
あるいは好ましくは、外部充電機構は、外部電源からの電力を蓄電装置の充電電力に変換するための充電器と、充電器の出力電力を伝達するための第3の電源配線と、外部電源による蓄電装置の充電を制御するための第3の制御ユニットとを含む。電動車両は、第3の電源配線および蓄電装置の間に接続された、第3の制御ユニットによってオンオフを制御される第3の開閉器をさらに備える。第3の開閉器は、車両走行モードではオフされる一方で、外部充電モードではオンされる。
【0015】
好ましくは、空調機器は、補機の一部を駆動するための第2の電源ポジションで作動するように構成される。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、外部充電可能な電動車両の電気システムの構成および配置レイアウトを、外部充電時の動作および設計汎用性の面から適切なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【図2】比較例として示される外部充電機構を具備しないハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示したハイブリッド車の各動作状態での制御を示す図表である。
【図4】図1に示したハイブリッド車の各動作状態での制御を示す図表である。
【図5】本発明の実施の形態1の変形例による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示したハイブリッド車の各動作状態での制御を示す図表である。
【図7】本発明の実施の形態2による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態2の変形例による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車5の構成を示すブロック図である。図1には、主に、ハイブリッド車5の電気システム構成およびその配置レイアウトが示される。
【0020】
図1を参照して、実施の形態1によるハイブリッド車5は、メインバッテリ10と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)20と、エンジン30と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力伝達ギヤ40と、駆動軸45と、駆動輪である前輪50aと、後輪50bとを備える。
【0021】
メインバッテリ10は、「蓄電装置」に対応し、代表的にはリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池により構成される。たとえば、メインバッテリ10の出力電圧は200V程度である。あるいは、電気二重層キャパシタによって、あるいは二次電池とキャパシタとの組合せによって、蓄電装置を構成してもよい。
【0022】
PCU20は、メインバッテリ10の蓄積電力を、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するための電力に変換するための「第1の電力変換器」である、インバータ21,22およびコンバータ23を含む。モータジェネレータMG1,MG2は、永久磁石型の三相同期電動機で構成される。
【0023】
動力伝達ギヤ40は、モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン30の各出力軸と駆動軸45との間を連結する。動力伝達ギヤ40は、減速機や動力分割機構によって構成される。この結果、エンジン30の出力および/またはモータジェネレータMG2の出力が、駆動軸45を介して駆動輪(たとえば、前輪50a)に伝達されることによって、ハイブリッド車5は走行する。すなわち、エンジン30およびモータジェネレータMG1,MG2を協調的に動作させることによって、必要なハイブリッド車5の車両駆動力が発生される。
【0024】
なお、エンジン30の出力をモータジェネレータMG1に伝達することによって、モータジェネレータMG1は発電することができる。あるいは、モータジェネレータMG1の出力によって、エンジン30を始動することもできる。
【0025】
モータジェネレータMG2は、ハイブリッド車5の回生制動時には、駆動輪(たとえば、前輪50a)の回転力によって発電することができる。そしてその発電電力は、PCU20によってメインバッテリ10の充電電力に変換される。
【0026】
なお、ハイブリッド車の駆動系の構成は、図1の例示に限定されない点について確認的に記載する。たとえば、1個のモータジェレータおよびエンジンを駆動力源として、駆動系を構成することも可能である。
【0027】
ハイブリッド車5には、複数の電子制御ユニット(ECU)が搭載される。各ECUは、図示しないCPU(Central Processing Unit)およびメモリを内蔵して構成されて、当該メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、各センサによる検出値を用いた演算処理を行なうように構成される。なお、各ECUは、あるいは、各ECUの少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
【0028】
電池監視ユニット12は、メインバッテリ10に設けられたセンサ群の出力に基づいて、メインバッテリ10の状態を監視する。電池監視ユニット12は、たとえば、電池パック15に内蔵される。そして、電池監視ユニット12は、センサ出力に基づくメインバッテリ10の状態値(電圧、電流、温度等)を、後述するHV−ECU80へ送出する。また、メインバッテリ10の異常検知時には、異常検知を知らせる信号が、電池監視ユニット12からHV−ECU80へ送出される。
【0029】
HV−ECU80は、ハイブリッド車5の全体動作を制御する。代表的には、HV−ECU80は、車両状態および運転者操作(アクセル操作、ブレーキ操作)等に基づいて、ハイブリッド車5全体での要求駆動力や要求制動力を算出するとともに、この駆動力あるいは制動力を発生するための制御指示を発生する。
【0030】
この際には、HV−ECU80は、電池監視ユニット12からのメインバッテリ10の状態値に基づいて、メインバッテリ10について、SOC(State of Charge)の推定や充電電力および放電電力の上限値の設定を行なう。そして、HV−ECU80は、メインバッテリ10のSOCおよび充放電電力の上限値を考慮して、メインバッテリ10が過放電あるいは過充電とならないように制限した上で、エンジン30およびモータジェネレータMG1,MG2の間での出力配分を決定する。
【0031】
エンジンECU35は、HV−ECU80からの制御指示に従って、エンジン30の出力を制御する。具体的には、エンジン30での燃料噴射、点火時期、バルブタイミング当が制御される。MG−ECU81は、PM−ECU80からの制御指示に従って、モータジェネレータMG1,MG2の出力を制御する。具体的には、モータジェネレータMG1,MG2の出力トルクがトルク指令値に一致するように、インバータ21,22を制御する。また、電源配線154pの直流電圧VHが電圧指令値に一致するように、コンバータ23を制御する。
【0032】
電子制御ブレーキ部82は、車両制動時に、モータジェネレータMG2による回生制動力と、図示しない油圧ブレーキによる制動力とを協調的に制御することによって、ハイブリッド車5全体での要求制動力を確保する。
【0033】
次に、ハイブリッド車5の電源システムの構成を詳細に説明する。
メインバッテリ10の正極端子および負極端子は、システムメインリレーSMR1〜SMR3を介して、電源配線153pおよび接地配線153gと接続される。システムメインリレーSMR1〜SMR3は、「第1の開閉器」に対応し、電源配線153pは、「第1の電源配線」に対応する。
【0034】
以下では、システムメインリレーSMR1〜SMR3を包括して、単に「SMR」とも称する。SMRオン時には、SMR1と、SMR2またはSMR3とがオンされる。SMR3は、起動時に突入電流を抑制するための抵抗素子と接続されている。このため、起動から所定時間が経過すると、SMR3に代えてSMR2がオンされるようになる。
【0035】
SMRオン時には、メインバッテリ10の電圧が、電源配線153pを介して、PCU20等の構成部品に印加される。一方、SMRオフ時には、システムメインリレーSMR1〜SMR3のすべてがオフされて、メインバッテリ10と電源配線153pおよびPCU20とは、電気的に切離される。
【0036】
なお、システムメインリレーSMR1〜SMR3を始めとする、本実施の形態で用いられる各リレーは、代表的には、図示しない励磁回路による励磁電流の供給時に閉成(オン)する一方で、励磁電流の非供給時には開放(オフ)される電磁リレーにより構成される。但し、通電経路の導通(オン)/遮断(オフ)を制御可能な開閉器であれば、任意の回路要素を各リレーとして使用することができる。システムメインリレーSMR1〜SMR3のオンオフは、HV−ECU80によって制御される。
【0037】
コンバータ23は、電源配線153pの直流電圧VLと、電源配線154pの直流電圧VHとの間で双方向に直流電圧変換を行なうように構成される。直流電圧VLは、メインバッテリ10の出力電圧に対応する。コンバータ23としては、直流電圧変換機能を有する任意の電力変換回路を適用できる。なお、コンバータ23の配置を省略して、PCU20(第1の電力変換器)を構成することも可能である。この場合には、メインバッテリ10の出力電圧がそのままインバータ21,22の直流側電圧となる。
【0038】
インバータ21,22は、たとえば、一般的な三相インバータにより構成される。たとえば、各相に上アーム素子および下アーム素子を配置するとともに、各相での上下アーム素子の接続点がモータジェネレータMG1,MG2の対応相の固定子コイル巻線と接続されるように、インバータ21,22は構成される。
【0039】
ハイブリッド車5の走行時には、インバータ21,22は、各スイッチング素子がMG−ECU81によってオンオフ制御されることによって、電源配線154pの直流電圧を三相交流電圧に変換してモータジェネレータMG1,MG2へ供給する。あるいは、ハイブリッド車5の回生制動動作時には、インバータ22は、モータジェネレータMG2からの交流電圧を直流電圧に変換して、電源配線154pへ出力するように、各スイッチング素子がMG−ECU81によってオンオフ制御される。
【0040】
ハイブリッド車5は、さらに、補機系として、DCDCコンバータ60と、補機バッテリ70と、空調機器90と、電源配線155pおよび接地配線155gとを含む。空調機器90は、図示しないコンプレッサを駆動するためのインバータ(以下、「A/Cインバータ」とも称する)92を含む。A/Cインバータ92は「第2の電力変換器」に対応し、電源配線155pは、「第2の電源配線」に対応する。空調機器90の駆動時には、A/Cインバータ92は、HV−ECU80からの制御指令に従って動作する。
【0041】
電源配線153pおよび接地配線153gは、補機リレーRL1,RL2をそれぞれ介して、メインバッテリ10の正極端子および負極端子と接続される。なお、以下では、RL1,RL2を包括して、単に「RL」とも称する。補機リレーRLは、「第2の開閉器」に対応する。補機リレーRLのオンオフは、HV−ECU80によって制御される。
【0042】
RLオン時には、メインバッテリ10の電圧が電源配線155pへ伝達される。一方、RLオフ時には、メインバッテリ10と電源配線155pとは電気的に切離される。
【0043】
補機リレーRLは、メインバッテリ10に対しては、SMRと並列に接続されている。すなわち、メインバッテリ10の出力電圧(直流電圧VL)は、SMRおよび電源配線153pの経路と、補機リレーRLおよび電源配線155pの経路とに分岐されて、PCU20および補機系へそれぞれ伝達される。
【0044】
DCDCコンバータ60は、電源配線155pの電圧VL(メインバッテリ10の出力電圧に相当)を、補機バッテリ70の出力電圧レベルの直流電圧Viに降圧する。DCDCコンバータ60は、代表的には、半導体スイッチング素子(図示せず)を含むスイッチングレギュレータであり、公知の任意の回路構成を適用することができる。DCDCコンバータ60は、HV−ECU80からの制御指令に従って動作する。
【0045】
補機バッテリ70は、たとえば、鉛蓄電池によって構成され、DCDCコンバータ60の出力電圧によって充電される。補機バッテリ70の電圧は、メインバッテリ10の出力電圧よりも低く、たとえば12V程度である。
【0046】
補機バッテリ70には、図示しない低電圧系補機負荷が接続されている。これらの補機負荷は、ユーザ操作に応じて動作することによって電力を消費する。補機負荷は、たとえば、オーディオ機器、ナビゲーション機器、照明機器(ハザードランプ、室内灯、ヘッドランプ等)等を含む。さらに、低電圧系補機負荷は、電動パワーステアリング機構、電動オイルポンプ、電子制御用の小型モータ等の車両走行に直接用いられる走行系補機を含む。
【0047】
ハイブリッド車5は、メインバッテリ10の外部充電のための「外部充電機構」として、充電用のインレット105と、充電器110と、電源配線152pおよび接地配線152gとをさらに含む。電源配線152pは、「第3の電源配線」に対応する。
【0048】
インレット105は、充電ケーブル410によって、外部電源400と接続される。充電ケーブル410は、外部電源400と接続するためのACコンセント412と、CCID(Charging Circuit Interrupt Device)ボックス414と、インレット105と接続するためのコネクタ416とを有する。一般的には、外部電源400は商用交流電源で構成される。
【0049】
CCIDボックス414は、図示しないリレーおよび信号発生回路を含む。信号発生回路は、充電ケーブル410および外部電源400の接続状態や、充電ケーブル410の電流容量を示す信号を、ハイブリッド車5へ出力する。また、CCIDボックス414のリレーにより、充電ケーブル410によって外部電源400およびインレット105が接続された状態であっても、外部充電経路を遮断することができる。
【0050】
充電器110は、インレット105へ伝達された、外部電源400からの交流電圧を、メインバッテリ10を充電するための直流電圧VLに変換する。変換された直流電圧は、電源配線152pおよび接地配線152gの間へ出力される。
【0051】
PLG−ECU115は、外部充電時の充電器110の動作を制御する。この結果、充電器110は、外部充電を制御するためのPLG−ECU115からの制御指令に従って、出力電圧および/または出力電流のフィードバック制御により、メインバッテリ10を充電する。当該充電指令は、HV−ECU80から通知されるメインバッテリ10の状態、たとえば、SOCや温度に応じて設定される。
【0052】
なお、図1に示す構成に代えて、外部電源400と電動車両100とを非接触のまま電磁的に結合して電力を供給する構成、具体的には外部電源側に一次コイルを設けるとともに、車両側に二次コイルを設け、一次コイルと二次コイルとの間の相互インダクタンスを利用して、外部電源400から電動車両100へ電力を供給してもよい。このような外部充電を行なう場合でも、外部電源400からの供給電力を変換する充電器110以降の構成は共通化できる。
【0053】
電源配線152pおよび接地配線152gは、補機リレーRL1,RL2を介することなく、補機系の電源配線155pおよび接地配線155gと電気的に接続される。したがって、補機リレーRLをオンしなくても、外部電源400からの電力による直流電圧VLを、補機系の電源配線155pとに供給することができる。一方、外部電源400からの電力による直流電圧VLを、メインバッテリ10へ供給するためには、補機リレーRLをオンする必要がある。
【0054】
ここで、比較例として、外部充電機構を具備しないハイブリッド車5♯の構成を説明する。
【0055】
図2を参照して、ハイブリッド車5♯は、図1に示したハイブリッド車5の構成と比較して、メインバッテリ10を外部充電するための外部充電機構、すなわち、インレット105と、充電器110と、電源配線152pおよび接地配線152gとを具備しない点で異なる。
【0056】
さらに、ハイブリッド車5♯では、図1のような補機系の電源ライン155p,155gは配置されていない。このため、DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92は、SMRを介してメインバッテリ10と接続される電源ライン153p,153gに接続されている。これに伴い、補機リレーRL1,RL2も配置されていない。
【0057】
この結果、A/Cインバータ92を動作させて空調機器90を駆動するためには、SMRをオンすることが必要である。また、DCDCコンバータ60も、SMRオン時に動作するように制御される。このため、DCDCコンバータ60は、PCU20に近接して、あるいは、図示するようにPCU20に内蔵させるように配置される。
【0058】
また、電池パック15は、車両後方領域(たとえば、図示しないリヤシートの後方領域)に配置される。PCU20は、エンジン30と動力伝達ギヤ40を介して連結されるモータジェネレータMG1,MG2と近接させるために、車両前方領域に配置される。A/Cインバータ92についても、PCU20からバスバーによって直流電圧VLを分岐させるため、PCU20に近接して配置される。すなわち、DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92(空調機器90)は、メインバッテリ10よりもPCU20に近接して配置される。
【0059】
図2のハイブリッド車5♯のその他の構成は、図1に示したハイブリッド車5と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0060】
図3は、図2に示したハイブリッド車5♯の各動作状態での制御を示す図表である。図3中のIGおよびACCは、ユーザ操作によって選択される電源ポジションである。通常、IGオンがユーザ操作によって選択されている場合には、ACCもオンされる。
【0061】
図3を参照して、ハイブリッド車5♯は、IGオンが選択された状態で、システム起動の要求操作(たとえば、ブレーキペダルを踏みながらパワースイッチを押す操作)行われると、走行可能状態(車両走行モード)となる。車両走行モードでは、SMRオンによって、メインバッテリ10およびPCU20の間が、電源配線153pを経由して接続される。これにより、モータジェネレータMG1,MG2の出力を用いたハイブリッド走行が可能となる。車両走行モードでは、電源配線153pが伝達する直流電圧VLを受けることによって、A/Cインバータ92も駆動することができる。また、IGオンでは、走行系補機を含む全ての補機負荷を駆動可能である。DCDCコンバータ60は、電源配線153pが伝達する直流電圧VLを降圧することによって、補機バッテリ70の充電電圧(あるいは、低電圧系補機負荷の電源電圧)を供給する。
【0062】
ハイブリッド車5♯では、非走行時には、(i)ACCオンとすることによって、オーディオ機器およびナビゲーション機器等の一部補機を駆動できるとともに、(ii)IGオンとすることによって、走行系補機を含む全ての低電圧系補機を駆動することができる。ただし、上記(i),(ii)の状態では、SMRはオフに維持されるため、電源配線153pにメインバッテリ10からの直流電圧VLが供給されない。したがって、A/Cインバータ92は起動することができない。すなわち、空調機器90(A/Cインバータ92)を起動する際には、SMRをオンするために、システム起動の要求操作によって走行可能状態(車両走行モード)とする必要がある。さらに、DCDCコンバータ60も停止されるので、補機バッテリ70によって補機負荷の駆動電力が賄われる。
【0063】
一方で、上記(i),(ii)とは切離した特別な電源モードとして、非走行時のハイブリッド車5♯に対して、車外から空調機器90を駆動するために、(iii)プレ空調モードが設けられてもよい。たとえば、全ドアが閉状態のハイブリッド車5♯に対して、リモートコントロールキーの操作によって、プレ空調モードが開始される。
【0064】
プレ空調モードでは、自動的にIGオンおよびSMRオンとされるので、空調機器90(A/Cインバータ92)を駆動して、車室内の温度を調整することができる。なお、盗難防止等の観点から、ドア開等の何らかの操作がハイブリッド車両5♯になされた場合には、自動的にプレ空調モードがキャンセルされて、SMRがオフされるとともに、IGオフとされる。
【0065】
外部充電機構を具備した、図1のハイブリッド車5では、非走行時に、図2のハイブリッド車5♯では想定されなかった「外部充電モード」が存在することになる。そして、外部充電モードでも、ユーザ操作に応答して、空調機器90を含む補機系を駆動させる必要がある。
【0066】
このため、図1に示したハイブリッド車5は、各動作状態において図4に示すように制御される。
【0067】
図4を参照して、ハイブリッド車5では、電源ポジションとして、IGおよびACCに加えて、IGPが設けられる。IGPは、少なくとも、充電ケーブル410の接続により外部電源400からの電力によってメインバッテリ10が充電されている期間にオンされる。なお、IGおよびIGPは排他的にオンされる。すなわち、IGオンのときには、充電ケーブル410が接続されてもIGPがオフからオンに遷移することはない。同様に、IGPオンのときには、ユーザがIGスイッチを操作しても、IGがオフからオンに遷移することはない。
【0068】
ハイブリッド車5では、走行時(車両走行モード)には、IGPがオフされる一方で、IGがオンされる。IGオンに伴って、ACCも自動的にオンされた状態となる。車両走行モードでは、SMRおよびRLともオンされる。これにより、メインバッテリ10の出力電圧は、電源配線153pおよび155pの両方へ伝達される。この結果、ハイブリッド走行が可能になるとともに、低電圧系補機負荷および空調機器90を含む全ての補機系を駆動することができる。
【0069】
IGPがオンされた状態(外部充電モード)での動作は、メインバッテリ10の外部充電のみを行なう場合と、外部充電中に、IGオンによって作動可能となる走行系補機を除く補機系(空調機器90含む)を駆動する場合とに分けられる。
【0070】
外部充電のみを行なう場合、すなわち、空調機器90を含む補機系を駆動しない場合には、ACCオフかつIGオフとされる。また、SMRオフとなる一方で、外部充電のために補機リレーRLはオンされる。
【0071】
SMRオフとされることによって、PCU20へは電圧が印加されない。また、PCU20の動作についても停止することができる。
【0072】
一方で、補機リレーRLがオンされることによって、外部電源400からの電力を源とする充電器110の出力電力(直流電圧VL)が、電源配線152pおよび補機リレーRLを経由してメインバッテリ10を充電する。充電器110またはメインバッテリ10の出力電力が電源配線155pに供給されているが、ACCオフのため、DCDCコンバータ60および空調機器90(A/Cインバータ92)は、起動されず動作しない。
【0073】
外部充電中に走行系補機を除く補機系(空調機器90含む)を駆動する場合には、ユーザ操作によってACCオンとされる。すなわち、ハイブリッド車5では、図2のハイブリッド車5♯とは異なり、IGオフであってもACCオンによって空調機器90が駆動可能となる。これに応答して、HV−ECU80は、DCDCコンバータ60および空調機器90(A/Cインバータ92)を起動する。これにより、DCDCコンバータ60および空調機器90(A/Cインバータ92)は、電源配線155pに供給されている電力(直流電圧VL)によって動作する。この結果、外部充電中に空調機器90を含む補機系を駆動することができる。
【0074】
外部充電中には、HV−ECU80は、PLG−ECU115と協調して、補機リレーRLのオンオフを制御する。HV−ECU80は、外部充電中に、メインバッテリ10のSOCを監視する。メインバッテリ10が満充電状態となったり、予め指示された充電時間が経過すると、補機リレーRLがオフされて、充電器110からメインバッテリ10への充電経路が遮断される。
【0075】
ハイブリッド車5の非走行時かつ非充電時には、図3と同様に、(i)ACCオン、(ii)IGオン、および(iii)プレ空調モードの3つのモードが存在する。上述のように、ハイブリッド車5では、(i)ACCオンでは、オーディオ機器およびナビゲーション機器等の一部補機に加えて、空調機器90を駆動することができる。したがって、SMRがオフされる一方で、補機リレーRLがオンされる。
【0076】
(ii)IGオンのときにも、SMRがオフされる一方で補機リレーRLがオンされて、走行系補機を含む全ての低電圧系補機を駆動することができる。また、(iii)プレ空調モードでは、図3の場合とは異なり、ACCオンの一方でIGオフとされる。ハイブリッド車5では、ACCオンにより、空調機器90が駆動可能となるからである。プレ空調モードでも、SMRがオフされる一方で補機リレーRLがオンされる。
【0077】
このように、ハイブリッド車5の非走行時かつ非充電時には、補機を駆動する場合には、(i)〜(iii)を通じて、SMRがオフされる一方で補機リレーRLがオンされる。補機リレーRLがオンされることによって、メインバッテリ10からの電力によって、空調機器90を含む補機が駆動できる。すなわち、本実施の形態でのIGおよびACCは「第1の電源ポジション」および「第2の電源ポジション」にそれぞれ対応する。
【0078】
なお、非走行時かつ非充電時であっても、充電ケーブル410の接続により外部電源400からハイブリッド車5への電力が可能である場合には、補機リレーRLをオフしても、充電器110の出力電力(直流電圧VL)が電源配線155pに供給可能である。たとえば、メインバッテリ10の充電終了後に充電ケーブル410の接続が維持されている状態では、ACCオンに応答して充電器110を動作させることによって、メインバッテリ10の電力を使用することなく、充電器110から空調機器90を含む補機系の動作電力を供給することができる。
【0079】
以上説明したように、実施の形態1によるハイブリッド車5は、外部充電モードでは、SMRをオフすることによって、PCU20を始めとする車両走行用のシステムを、メインバッテリ10から完全に切離すことができる。すなわち、外部充電時に、車両走行ステムの構成部品にメインバッテリ10の出力電圧(直流電圧VL)が印加されないので、構成部品の耐久性および寿命が外部充電の影響によって低下することを防止できる。
【0080】
さらに、電源配線155pが、電源配線153pとは別個に設けられて、SMRよりも上流側で補機リレーRLを介してメインバッテリ10と接続される構成となっている。このため、DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92を、ハイブリッド車5♯と同様に、メインバッテリ10よりもPCU20に近接するように配置した上で、SMRオフのままで空調機器90を含む補機を駆動できるようにしている。また、外部充電機構(インレット105および充電器110)は、メインバッテリ10(電池パック15)に近接して配置している。このため、ハイブリッド車5は、ハイブリッド車5♯からのレイアウト変更が小さくて済む。
【0081】
さらに、充電ケーブル410が接続された、メインバッテリ10の非充電時には、補機リレーRLをオフしてメインバッテリ10を不使用としても、外部電源400からの電力を用いてDCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92を駆動することができる。
【0082】
このように本実施の形態によるハイブリッド車5は、外部充電に対応する電気システムの構成および配置レイアウトを、外部充電時の動作および設計汎用性の面か適切なものとすることができる。
【0083】
[実施の形態1の変形例]
図5は、本発明の実施の形態1の変形例による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【0084】
図5を図1と比較して、実施の形態1の変形例によるハイブリッド車5′は、図1に示したハイブリッド車5と比較して、補機リレーRL1,RL2に加えて、外部充電リレーCHR1,CHR2(以下、包括的に外部充電リレーCHRとも称する)が新たに設けられる点で異なる。そして、ハイブリッド車5′では、充電器110とメインバッテリ10との間の電気的な接続経路が、ハイブリッド車5とは異なる。外部充電リレーCHRは、「第3の開閉器」に対応する。
【0085】
具体的には、充電器110の出力電力を伝達するための電源配線152pおよび接地配線152gは、外部充電リレーCHR1,CHR2を介して、メインバッテリ10の正極端子および負極端子にそれぞれ電気的に接続される。この結果、電源配線155pおよび接地配線155gは、電源配線152pおよび接地配線152gと直接接続されなくなり、補機リレーRL1,RL2を介してメインバッテリ10と接続される。外部充電リレーCHR1,CHR2のオンオフは、補機リレーRLと同様に、HV−ECU80によって制御される。
【0086】
図6には、図5に示したハイブリッド車5′の各動作状態での制御が示される。図6には、図4と同様の4つのケースが示される。ハイブリッド車5′においても、各ケースにおける電源ポジションの選択は、図4と同様であるので説明は繰返さない。
【0087】
図6を参照して、ハイブリッド車5′では、走行時(車両走行モード)では、SMRおよび補機リレーRLがオンされる一方で、外部充電リレーCHRはオフされる。これにより、メインバッテリ10の出力電圧は、電源配線153pおよび155pの両方へ伝達されるので、ハイブリッド車5と同様に、ハイブリッド走行が可能になるとともに、空調機器90を含む補機系を駆動することができる。
【0088】
さらに、車両走行モードでは、外部充電リレーCHRのオフにより、外部充電機構(充電器110等)が、メインバッテリ10および車両走行システムから完全に切離される。この結果、万一、外部充電機構に漏電等の故障が生じた場合にも、故障の影響を排除して、補機の動作および車両走行が可能である。
【0089】
外部充電モードでは、ハイブリッド車5と同様に、SMRオフとされる。すなわち、PCU20を始めとする車両走行用のシステムを、メインバッテリ10から完全に切離すことができる。
【0090】
外部充電モードで外部充電のみを行なう場合、すなわち、空調機器90を含む補機系を駆動しない場合(ACCオフ)には、SMRオフの一方で、外部充電リレーCHRおよび補機リレーRLをオンする。ACCオフであっても、外部充電に関連する補機が動作する必要があるからである。すなわち、ACCオフのためA/Cインバータ92が停止される一方で、DCDCコンバータ60は動作する。
【0091】
また、外部充電中に補機系(空調機器90含む)を駆動する場合(ACCオン)にも、SMRオフの一方で、外部充電リレーCHRおよび補機リレーRLをオンする。そして、これにより、DCDCコンバータ60および空調機器90(A/Cインバータ92)は、電源配線155pに供給される電力(直流電圧VL)によって動作できるようになる。この結果、外部充電中に空調機器90を含む補機系を駆動することができる。
【0092】
ハイブリッド車5′では、メインバッテリ10が満充電状態となったり、予め指示された充電時間が経過すると、外部充電リレーCHRがオフされる。これにより、充電器110からメインバッテリ10への充電経路が遮断される。
【0093】
ハイブリッド車5の非走行時かつ非充電時には、図3,4と同様に、(i)ACCオン、(ii)IGオン、および(iii)プレ空調モードの3つのモードが存在する。ハイブリッド車5′では、(i)〜(iii)を通じて、空調機器90および/または低電圧系負荷を駆動するために、補機リレーRLがオンされる。一方、非走行時のためSMRオフとされるとともに、非充電時のため外部充電リレーCHRがオフされる。そして、(i)〜(iii)のモードのそれぞれにおいて、給電対象となる補機が切換えられる。
【0094】
以上説明したように、実施の形態1の変形例によるハイブリッド車5′によれば、ハイブリッド車5(図1)の効果に加えて、外部充電機構に発生した異常や故障の影響を排除して、補機系の動作および車両走行を可能とするように、電気システムを構成することができる。
【0095】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【0096】
図7を図1と比較して、実施の形態2によるハイブリッド車5は、図1に示したハイブリッド車5(実施の形態1)と比較して、ECUの配置および役割が異なる。具体的には、図1のHV−ECU80およびMG−ECU81を統合したHV−ECU80♯が設けられるとともに、図1の電池監視ユニット12に代えてBAT−ECU13が設けられる。
【0097】
BAT−ECU13は、電池監視ユニット12(図1)の機能に加えて、HV−ECU80(図1)の機能のうちの、SMRオフでの制御機能を有するように構成される。したがって、BAT−ECU13は、PLG−ECU115との間で信号やデータを通信できるように構成されるとともに、補機リレーRLのオンオフを制御する。さらに、DCDCコンバータ60および空調機器90(A/Cインバータ92)は、BAT−ECU13からの制御指令に従って動作する。すなわち、BAT−ECU13は、「第1の制御ユニット」に対応する。
【0098】
さらに、BAT−ECU13は、HV−ECU80(図1)に代わって、メインバッテリ10について、SOC(State of Charge)の推定や充電電力および放電電力の上限値の設定を行なう。これにより、外部充電時に、HVMG−ECU80♯が停止していても、メインバッテリ10の充電状態(SOC)を把握できる。一方、車両走行時には、BAT−ECU13は、メインバッテリ10のSOCおよび充放電電力の上限値を、HVMG−ECU80♯へ送出する。
【0099】
HV−ECU80♯は、MG−ECU81(図1)の機能に加えて、HV−ECU80(図1)の機能のうちの、車両走行モードでの制御機能を有するように構成される。たとえば、HVMG−ECU80♯は、BAT−ECU13からのメインバッテリ10のSOCおよび充放電電力の上限値に基づいて、図1のHV−ECU80と同様に、メインバッテリ10が過放電あるいは過充電とならないように制限した上で、エンジン30およびモータジェネレータMG1,MG2の間での出力配分を決定することができる。すなわち、HV−ECU80♯は、「第2の制御ユニット」に対応する。
【0100】
実施の形態2によるハイブリッド車5のその他の部分の構成および動作は、実施の形態2によるハイブリッド車5(図1)と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。また、実施の形態2によるハイブリッド車5における各動作状態での制御(電源モードおよびリレー)についても、実施の形態1(図4)と同様とすることができる。
【0101】
実施の形態2によるハイブリッド車5では、車両走行システムの停止時(SMRオフ)にも、BAT−ECU13によって、DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92を制御することができる。すなわち、車両走行モード以外での車両制御である、外部充電制御および補機制御について、HVMG−ECU80♯を停止させても、BAT−ECU13によって実行することができる。このため、実施の形態1によるハイブリッド車5による効果に加えて、外部充電時ならびに非走行時の補機駆動時に、HVMG−ECU80♯を停止することができるので消費電力を削減できる。
【0102】
[実施の形態2の変形例]
図8は、本発明の実施の形態2の変形例による電動車両の代表例として示されるハイブリッド車の構成を示すブロック図である。
【0103】
図8を図7と比較して、実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′は、図7に示したハイブリッド車5と比較して、補機リレーRL1,RL2に加えて、外部充電リレーCHR1,CHR2(以下、包括的に外部充電リレーCHRとも称する)が新たに設けられる点で異なる。そして、実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′では、充電器110とメインバッテリ10との間の電気的な接続経路が、実施の形態2によるハイブリッド車5とは異なる。すなわち、実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′(図8)と実施の形態2によるハイブリッド車5(図7)との相違点は、既に説明した、実施の形態1の変形例によるハイブリッド車5′(図5)と実施の形態1によるハイブリッド車5(図1)との相違点と同等である。
【0104】
したがって、実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′は、実施の形態1の変形例によるハイブリッド車5′に対して、実施の形態2によるハイブリッド車両5と同様のECUの配置および役割の変更を加えたものに相当する。
【0105】
BAT−ECU13およびHV−ECU80♯の機能については、図7で説明したのと同様である。すなわち、車両走行システムの停止時(SMRオフ)にも、BAT−ECU13によって、DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92を制御することができる。さらに、外部充電リレーCHRのオンオフは、PLG−ECU115によって制御される。したがって、実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′においても、車両走行モード以外での車両制御である、外部充電制御および補機制御について、HVMG−ECU80♯を停止させても、BAT−ECU13およびPLG−ECU115によって実行することができる。このため、HV−ECU80♯は、車両走行モードで動作する一方で、非走行時および外部充電時には停止することができる。
【0106】
また、実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′における各動作状態での制御(電源モードおよびリレー)についても、実施の形態1の変形例(図6)と同様とすることができる。
【0107】
実施の形態2の変形例によるハイブリッド車5′では、実施の形態1の変形例によるハイブリッド車5′による効果に加えて、車両非走行時および外部充電時には、HVMG−ECU80♯を停止することができるので消費電力を削減できる。
【0108】
なお、以上本実施の形態およびその変形例では電動車両の代表例としてハイブリッド車を例示したが、エンジンを搭載しない電気自動車や、燃料電池を搭載する燃料電池自動車であっても、DCDCコンバータ60およびA/Cインバータ92を含む電気システムの構成および配置レイアウトを、ハイブリッド車5または5′と同様とすることができる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、車両外部の電源によって充電可能な蓄電装置を搭載した電動車両に適用できる。
【符号の説明】
【0111】
5,5♯,5′ ハイブリッド車、10 メインバッテリ、12 電池監視ユニット、13 BAT−ECU、15 電池パック、21,22,22 インバータ、23 コンバータ、30 エンジン、35 エンジンECU、40 動力伝達ギヤ、45 駆動軸、50a 前輪、50b 後輪、60 DCDCコンバータ、70 補機バッテリ、80 HV−ECU、80♯ HVMG−ECU、81 MG−ECU、82 電子制御ブレーキ部、90 空調機器、92 A/Cインバータ、100 電動車両、105 インレット、110 充電器、115 PLG−ECU、152g,153g,155g 接地配線、152p,153p,154p,155p 電源配線、400 外部電源、410 充電ケーブル、412 コンセント、414 CCIDボックス、416 コネクタ、CHR1,CHR2 外部充電リレー、MG1,MG2 モータジェネレータ、RL1,RL2 補機リレー、SMR1〜SMR3 システムメインリレー、VH,VL,Vi 直流電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動パワーを発生するモータを搭載した電動車両であって、
車両後方領域に搭載されて、前記モータに対して入出力される電力を蓄積するための蓄電装置と、
外部電源によって前記蓄電装置を充電するための外部充電モードにおいて、前記外部電源からの電力を前記蓄電装置の充電電力に変換するとともに、該充電電力を前記蓄電装置へ供給するための外部充電機構と、
車両前方領域に搭載されて、車両走行モードにおいて前記蓄電装置および前記モータの間で電力変換を行うための第1の電力変換器と、
前記蓄電装置および前記第1の電力変換器の間を接続するための第1の電源配線と、
前記第1の電源配線および前記蓄電装置の間に接続されて、前記車両走行モードでオンされる一方で、前記外部充電モードでオフされる第1の開閉器と、
前記蓄電装置の出力電圧を補機の駆動電圧に降圧するための電圧変換器と、
前記蓄電装置および前記電圧変換器の間を接続するための第2の電源配線と、
前記蓄電装置に対して前記第1の開閉器と並列に設けられた、前記第2の電源配線および前記蓄電装置の間に接続された第2の開閉器と、
前記第2の電源配線と電気的に接続された第2の電力変換器を含む空調機器とを備え、
前記外部充電機構は、前記第1の電力変換器よりも前記蓄電装置に近接して配置される一方で、前記電圧変換器および前記空調機器は、前記蓄電装置よりも前記第1の電力変換器に近接して配置される、電動車両。
【請求項2】
前記電動車両は、
前記車両走行モードおよび前記外部充電モードの両方で動作する、前記蓄電装置を監視するための第1の制御ユニットと、
前記電動車両の走行を制御するための第2の制御ユニットとをさらに備え、
前記第2の制御ユニットは、前記車両走行モードで動作する一方で、前記外部充電モードでは停止され、
前記電圧変換器、前記第2の電力変換器、および前記第2の開閉器は、前記第1の制御ユニットによって制御される、請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記外部充電機構は、
前記外部電源からの電力を前記蓄電装置の充電電力に変換するための充電器と、
前記充電器の出力電力を伝達するための第3の電源配線とを含み、
前記第3の電源配線は、前記第2の開閉器を介することなく前記第2の電源配線と接続され、
前記第2の開閉器は、前記車両走行モードおよび前記外部充電モードの両方でオンする、請求項1または2記載の電動車両。
【請求項4】
前記蓄電装置の非充電時であって、かつ、前記外部電源および前記外部充電機構が電気的に接続されている状態である場合には、前記空調機器が作動する電源ポジションが選択されているときには、前記第2の開閉器がオフされるとともに前記充電器が作動する、請求項3記載の電動車両。
【請求項5】
前記外部充電機構は、
前記外部電源からの電力を前記蓄電装置の充電電力に変換するための充電器と、
前記充電器の出力電力を伝達するための第3の電源配線と、
前記外部電源による前記蓄電装置の充電を制御するための第3の制御ユニットとを含み、
前記電動車両は、
前記第3の電源配線および前記蓄電装置の間に接続された、前記第3の制御ユニットによってオンオフを制御される第3の開閉器をさらに備え、
前記第3の開閉器は、前記車両走行モードではオフされる一方で、前記外部充電モードではオンされる、請求項1または2記載の電動車両。
【請求項6】
前記空調機器は、前記補機の一部を駆動するための第2の電源ポジションで作動するように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−85481(P2012−85481A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231289(P2010−231289)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】