説明

電圧制御発振器およびPLL回路

【課題】 電圧制御発振器の発振周波数範囲を広くし、かつ制御電圧のみにより発振周波数を調整する。
【解決手段】 電圧比較回路は、制御電圧が第1参照電圧より低いときに第1電圧比較信号を活性化させ、制御電圧が第2参照電圧より高いときに第2電圧比較信号を活性化させる。カウンタは、カウントクロックに同期して、第1比較結果信号の活性化中にカウンタ値を減少させ、第2比較結果信号の活性化中にカウンタ値を増加させる。発振回路は、複数の発振周波数帯域のいずれかをカウンタ値に応じて選択するとともに、選択した発振周波数帯域において制御電圧に応じて発振周波数を調整して出力クロックを出力する。これにより、動作条件の変動あるいは制御電圧の設定範囲の縮小に対して広い発振周波数範囲を確保でき、かつ電圧制御発振器の発振周波数を制御電圧のみにより調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御発振器(VCO:Voltage Control Oscillator)およびPLL(Phase Locked Loop)回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、クロック同期型の半導体装置は、外部端子を介して供給される外部クロックに同期した内部クロック(内部回路で使用されるクロック)を生成するためのPLL回路を有している。PLL回路は、内部クロックを生成する電圧制御発振器を有し、内部クロックを外部クロックに同期させるために、外部クロックおよび内部クロックの位相を比較し、位相比較結果に応じて電圧制御発振器の制御電圧を調整する。
【0003】
PLL回路のロックレンジ(PLL回路により生成されるクロックの周波数範囲)は、出来るだけ広いほうがよい。しかしながら、PLL回路のロックレンジは、半導体素子の製造ばらつき、動作温度の変動、電源電圧の変動等に伴う電圧制御発振器の発振周波数の低下、あるいは電源電圧の低電圧化に伴う制御電圧の設定範囲の縮小に起因して狭くなる。このため、例えば、特許文献1では、互いに異なる発振周波数帯域を有する複数の電圧制御発振器を備え、外部クロックの周波数に応じて電圧制御発振器により生成されるクロックのいずれかを内部クロックとして出力するPLL回路が開示されている。また、特許文献2では、複数のインバータを有するリングオシレータを備え、リングオシレータ内で内部クロックを生成するためにループ接続されるインバータの数を、半導体記憶装置の動作周波数に関連する情報(動作周波数関連情報)に基づいて変更するPLL回路が開示されている。
【特許文献1】特開平9−284130号公報
【特許文献2】特開平8−180676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の電圧制御発振器は、PLL回路に適用することを想定して構成されているため、電圧制御発振器の発振周波数帯域を切り替えるためには、外部クロックの周波数や動作周波数関連情報が必要となる。すなわち、特許文献1、2の電圧制御発振器では、制御電圧のみにより発振周波数を調整することはできず、適用対象が限定されてしまう。
【0005】
また、特許文献1のPLL回路は、周波数カウンタを用いて外部クロックの周波数を電圧制御発振器に直接伝達するため、外部クロックのゆらぎが電圧制御発振器における発振周波数帯域の切替動作に与える影響が大きい。特許文献1のPLL回路では、この問題を解決するために、周波数カウンタのカウンタ値を保持するレジスタ等を設けているが、レジスタ等を形成することでPLL回路の回路規模が増大してしまう。さらに、特許文献2のPLL回路は、半導体記憶装置の外部制御信号(モード信号、アドレス信号など)を直接的または間接的に利用して動作周波数関連情報を示す信号を生成するため、所定仕様の外部制御信号を有する半導体記憶装置にしか用いることができない。
【0006】
本発明の目的は、発振周波数範囲を広くでき、かつ制御電圧のみにより発振周波数を調整できる電圧制御発振器を提供することにある。本発明の別の目的は、回路規模を増大させることなく、ロックレンジを広くできるPLL回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電圧制御発振器の一形態では、電圧比較回路は、制御電圧、第1および第2参照電圧を受け、制御電圧が第1参照電圧より低いときに第1電圧比較信号を活性化させ、制御電圧が第2参照電圧より高いときに第2電圧比較信号を活性化させる。第2参照電圧は、第1参照電圧より高く設定されている。カウンタは、カウントクロックに同期して、第1電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を減少させ、第2電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を増加させる。発振回路は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有し、カウンタ値に応じて発振周波数帯域のいずれかを選択するとともに、選択した発振周波数帯域において制御電圧に応じて発振周波数を調整して出力クロックを出力する。
【0008】
以上のような構成の電圧制御発振器では、発振回路は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有し、カウンタ値に基づいて発振周波数帯域を切り替える。カウンタ値は、制御電圧と第1および第2参照電圧との大小関係に応じて変更される。従って、電圧制御発振器の発振周波数を制御電圧のみにより調整でき、電圧制御発振器の適用対象を拡大できる。また、発振回路は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有しているため、動作条件の変動(半導体素子の製造ばらつき、動作温度の変動、電源電圧の変動等)に対して、あるいは電源電圧の低電圧化に伴う制御電圧の設定範囲の縮小に対して、広い発振周波数範囲を確保できる。
【0009】
本発明の電圧制御発振器の前記一形態の好ましい例では、発振回路の内部発振回路は、互いに異なる発振周波数帯域を有している。内部発振回路の反転回路は、環状に接続されている。内部発振回路の可変抵抗は、電源線および反転回路の電源端子の間にそれぞれ接続され、制御電圧に応じて抵抗値が変化する。このため、各反転回路の遅延時間は、制御電圧に応じて変化する。この結果、内部発振回路により生成されるクロックの周波数は、制御電圧に応じて変化する。発振回路のセレクタ回路は、内部発振回路により生成されるクロックのいずれかをカウンタ値に応じて選択して出力クロックとして出力する。このため、複数の発振周波数帯域を有する発振回路を容易に構成できる。
【0010】
本発明の電圧制御発振器の前記一形態の好ましい例では、カウンタは、リセット信号に応答して、出力クロックの目標周波数を含む発振周波数帯域を有する内部発振回路を示すカウンタ値に初期化される。このため、出力クロックの周波数は、目標周波数の近傍に初期化される。この結果、出力クロックの周波数が目標周波数に到達するまでの時間を短縮できる。従って、電圧制御発振器から出力される出力クロックを使用するシステム回路を短時間で安定させることができる。
【0011】
本発明の電圧制御発振器の前記一形態の好ましい例では、発振回路の反転回路は、直列に接続されている。発振回路の可変抵抗は、電源線および反転回路の電源端子の間にそれぞれ接続され、制御電圧に応じて抵抗値が変化する。発振回路のスイッチ回路は、初段の反転回路の入力に供給される信号を出力クロックとして出力するために、奇数番目の反転回路の出力のいずれかをカウンタ値に応じて初段の反転回路の入力に接続する。このため、出力クロックを生成するための反転回路の一部を複数の発振周波数帯域に対して共通化できる。この結果、発振回路の回路規模を低減でき、すなわち電圧制御発振器の回路規模を低減できる。
【0012】
本発明の電圧制御発振器の前記一形態の好ましい例では、カウンタは、リセット信号に応答して、出力クロックの目標周波数を含む発振周波数帯域に対応する反転回路の出力を示すカウンタ値に初期化される。このため、出力クロックの周波数は、目標周波数の近傍に初期化される。この結果、出力クロックの周波数が目標周波数に到達するまでの時間を短縮でき、出力クロックを使用するシステム回路を短時間で安定させることができる。
【0013】
本発明の電圧制御発振器の前記一形態の好ましい例では、発振回路の反転回路は、環状に接続されている。発振回路のスイッチ回路は、電源線および各反転回路の電源端子の間に並列に接続された複数のスイッチを有し、カウンタ値に応じてオン状態のスイッチ数が変化する。発振回路の可変抵抗は、電源線および反転回路の電源端子の間でスイッチ回路と直列にそれぞれ接続され、制御電圧に応じて抵抗値が変化する。このため、出力クロックを生成するための反転回路の全てを複数の発振周波数帯域に対して共通化できる。この結果、発振回路の回路規模を低減でき、すなわち電圧制御発振器の回路規模を低減できる。
【0014】
本発明の電圧制御発振器の前記一形態の好ましい例では、カウンタは、リセット信号に応答して、出力クロックの目標周波数を含む発振周波数帯域に対応するオン状態のスイッチ数を示すカウンタ値に初期化される。このため、出力クロックの周波数は、目標周波数の近傍に初期化される。この結果、出力クロックの周波数が目標周波数に到達するまでの時間を短縮でき、出力クロックを使用するシステム回路を短時間で安定させることができる。
【0015】
本発明のPLL回路の一形態では、位相比較器は、参照クロックおよび参照クロックに基づいて生成される出力クロックの位相を比較する。電圧調整回路は、位相比較器の位相比較結果に応じて出力電圧を調整する。電圧制御発振器は、電圧調整回路から供給される出力電圧を制御電圧として受け、制御電圧に応じて出力クロックの周波数を変更する。電圧制御発振器の電圧比較回路は、制御電圧、第1および第2参照電圧を受け、制御電圧が第1参照電圧より低いときに第1電圧比較信号を活性化させ、制御電圧が第2参照電圧より高いときに第2電圧比較信号を活性化させる。第2参照電圧は、第1参照電圧より高く設定されている。電圧制御発振器のカウンタは、カウントクロックに同期して、第1電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を減少させ、第2電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を増加させる。電圧制御発振器の発振回路は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有し、カウンタ値に応じて発振周波数帯域のいずれかを選択するとともに、選択した発振周波数帯域において制御電圧に応じて発振周波数を調整して出力クロックを出力する。
【0016】
以上のような構成のPLL回路では、参照クロックの周波数を電圧調整回路から供給される制御電圧により間接的に電圧制御発振器に伝達するため、参照クロックのゆらぎが発振回路における発振周波数帯域の切替動作に与える影響を小さくできる。このため、参照クロックの周波数を保持するためのレジスタ等を不要にでき、PLL回路の回路規模を低減できる。また、電圧制御発振器(発振回路)は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有しているため、動作条件の変動(半導体素子の製造ばらつき、動作温度の変動、電源電圧の変動等)に対して、あるいは電源電圧の低電圧化に伴う制御電圧の設定範囲の縮小に対して、広いロックレンジを確保できる。
【0017】
本発明のPLL回路の前記一形態の好ましい例では、分周器は、電圧制御発振器および位相比較器の間に接続されている。分周器は、電圧制御発振器(発振回路)から出力される出力クロックを分周した分周クロックを出力クロックとして位相比較器に出力する。このため、PLL回路は、分周クロックを参照クロックに同期させる閉ループ機構として機能する。この結果、分周クロックが参照クロックに同期した状態で、参照クロックに対して所定の逓倍比を有する出力クロックが得られる。従って、分周器を設けることで、参照クロックの周波数を上昇させることなく、高い周波数の出力クロックを容易に得ることができる。
【0018】
本発明のPLL回路の前記一形態の好ましい例では、電圧制御発振器のカウンタに供給されるカウントクロックは、電圧制御発振器の発振回路から出力される出力クロックである。電圧制御発振器のカウンタは、位相比較器における位相比較タイミングとして使用される出力クロックの遷移エッジとは反対の遷移エッジに同期してカウンタ値を更新する。このため、カウンタのカウンタ値の更新、すなわち発振回路の発振周波数帯域の変更に伴う出力クロックの周波数変動が位相比較器の位相比較動作に与える影響を軽減できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電圧制御発振器では、電圧制御発振器の発振周波数を制御電圧のみにより調整でき、電圧制御発振器の適用対象を拡大できる。また、動作条件の変動に対して、あるいは電源電圧の低電圧化に伴う制御電圧の設定範囲の縮小に対して、広い発振周波数範囲を確保できる。
本発明のPLL回路では、参照クロックのゆらぎに起因して、電圧制御発振器の発振周波数帯域が切り替わることはないため、参照クロックの周波数を保持するためのレジスタ等を不要にでき、PLL回路の回路規模を低減できる。また、動作条件の変動に対して、あるいは電源電圧の低電圧化に伴う制御電圧の設定範囲の縮小に対して、広いロックレンジを確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図中、太線で示す信号は、複数ビットで構成されている。
図1は、本発明の第1の実施形態を示している。PLL回路100は、例えば、クロック同期型の通信用LSIに搭載されており、位相比較器102、チャージポンプ104、ローパスフィルタ106、インバータ108および電圧制御発振器110を有している。
【0021】
位相比較器102は、参照クロックCKRおよび電圧制御発振器110から出力される出力クロックCKOとの位相を比較し、比較結果を示す位相比較信号/UP、DOWNをチャージポンプ104に出力する。参照クロックCKRは、例えば、通信用LSIの外部端子を介して供給されるクロックであり、いわゆる外部クロックである。出力クロックCKOは、例えば、通信用LSIの内部回路に供給されるクロックであり、いわゆる内部クロックである。
【0022】
位相比較器102は、参照クロックCKRおよび出力クロックCKOの立ち上がりエッジを位相比較タイミングとして使用する。位相比較器102は、出力クロックCKOが参照クロックCKRより遅れている場合、参照クロックCKRの立ち上がりエッジから出力クロックCKOの立ち上がりエッジまでの期間、位相比較信号/UPを”0”に活性化させる。位相比較器102は、出力クロックCKOが参照クロックCKRより進んでいる場合、出力クロックCKOの立ち上がりエッジから参照クロックCKRの立ち上がりエッジまでの期間、位相比較信号DOWNを”1”に活性化させる。従って、位相比較器102は、出力クロックCKOおよび参照クロックCKRの位相が一致している場合、位相比較信号/UP、DOWNを、それぞれ”1”、”0”(非活性化状態)に設定する。
【0023】
チャージポンプ104は、位相比較信号/UPが”0”であるとき、ローパスフィルタ106内のコンデンサを充電する。チャージポンプ104は、位相比較信号DOWNが”1”であるとき、ローパスフィルタ106内のコンデンサを放電する。ローパスフィルタ106は、チャージポンプ104により得られる電圧を平滑化して制御電圧VCとして電圧制御発振器110に供給する。すなわち、チャージポンプ104およびローパスフィルタ106は、位相比較器102の位相比較結果に応じて出力電圧を調整する電圧調整回路として機能する。従って、制御電圧VCは、出力クロックCKOが参照クロックCKRより遅れているときに上昇し、出力クロックCKOが参照クロックCKRより進んでいるときに下降する。制御電VCは、接地電圧VSSから電源電圧VDDまでの間で設定される。インバータ108は、電圧制御発振器110から出力される出力クロックCKOを反転させてカウントクロックCKCとして電圧制御発振器110に出力する。
【0024】
電圧制御発振器110は、電圧比較回路112、選択信号生成回路114および発振回路116を有している。電圧比較回路112は、ローパスフィルタ106から供給される制御電圧VCを第1参照電圧VR1および第2参照電圧VR2と比較し、比較結果を示す第1電圧比較信号R1および第2電圧比較信号R2を選択信号生成回路114に出力する。第1参照電圧VR1および第2参照電圧VR2は、例えば、通信用LSIに搭載された参照電圧生成回路(図示せず)から供給される。第2参照電圧VR2は、第1参照電圧VR1より高く設定されている。
【0025】
選択信号生成回路114は、インバータ108から出力されるカウントクロックCKCに同期して、第1電圧比較信号R1および第2電圧比較信号R2に応じて3ビットの選択信号S[2:0](選択信号S2、S1、S0)を活性化または非活性化させる。選択信号生成回路114は、パワーオンリセット信号RSTに応答して、選択信号S[2:0]を初期化する。パワーオンリセット信号RSTは、例えば、通信用LSIに搭載されたパワーオンリセット回路(図示せず)から出力され、通信用LSIの電源投入時に”1”に活性化される。電圧比較回路112および選択信号生成回路114の詳細については、図2R>2で説明する。発振回路116は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有し、選択信号S[2:0]に応じて発振周波数帯域のいずれかを選択するとともに、選択した発振周波数帯域において制御電圧VCに応じて発振周波数を調整して出力クロックCKOを出力する。なお、発振回路116の詳細については、図3で説明する。
【0026】
図2は、図1の電圧比較回路112および選択信号生成回路114の詳細を示している。電圧比較回路112は、例えば、差動増幅器でそれぞれ構成された電圧比較器CMP1、CMP2を有している。電圧比較器CMP1は、ローパスフィルタ106(図1)から供給される制御電圧VCを第1参照電圧VR1と比較し、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より低いとき、第1電圧比較信号R1を”1”に活性化させる。電圧比較器CMP2は、制御電圧VCを第2参照電圧VR2と比較し、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高いとき、第2電圧比較信号R2を”1”に活性化させる。このため、第1電圧比較信号R1および第2電圧比較信号R2は、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より低いとき(VC<VR1<VR2)、それぞれ”1”、”0”に設定され、制御電圧VCが第1参照電圧VR1以上かつ第2参照電圧VR2以下であるとき(VR1≦VC≦VR2)、共に”0”に設定され、制御電圧VCが第2参照電圧VRより高いとき(VR1<VR2<VC)、それぞれ”0”、”1”に設定される。従って、第1電圧比較信号R1および第2電圧比較信号R2が共に”1”に設定されることはない。
【0027】
選択信号生成回路114は、2ビットのカウンタCNT1およびデコーダDEC1を有している。カウンタCNT1は、加算器ADD、減算器SUB、ゲート回路G1〜G4、セレクタ回路SC1、フリップフロップFF10、FF11を有している。加算器ADDは、電圧比較回路112の電圧比較器CMP2から出力される第2電圧比較信号R2およびフリップフロップFF11、FF10から出力される2ビットのカウンタ値信号Q[1:0](カウンタ値信号Q1、Q0)を受けている。加算器ADDは、第2電圧比較信号R2が”1”であるとき、すなわち、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高いとき、カウンタ値信号Q[1:0]が示す値に”1”を加算し、加算結果を2ビットの加算値信号A[1:0](加算値信号A1、A0)として出力する。加算器ADDは、第2電圧比較信号R2が”0”であるとき、すなわち、制御電圧VCが第2参照電圧VR1以下であるとき、カウンタ値信号Q[1:0]を加算値信号A[1:0]として出力する。
【0028】
ゲート回路G1は、第2電圧比較信号R2が”1”であるとき、カウンタ値信号Q[1:0]の論理積信号を出力信号として出力する。ゲート回路G1は、第2電圧比較信号R2が”0”であるとき、出力信号を”0”に設定する。従って、ゲート回路G1の出力信号は、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高いとき、かつカウンタ値信号Q[1:0]が”11”であるとき、”1”に設定される。
【0029】
ゲート回路G2は、ゲート回路G1の出力信号が”1”であるとき、出力信号B0を”1”に設定する。ゲート回路G2は、ゲート回路G1の出力信号が”0”であるとき、加算値信号A0を出力信号B0として出力する。ゲート回路G3は、ゲート回路G1の出力信号が”1”であるとき、出力信号B1を”1”に設定する。ゲート回路G3は、ゲート回路G1の出力信号が”0”であるとき、加算値信号A1を出力信号B1として出力する。
【0030】
減算器SUBは、電圧比較回路112の電圧比較器CMP1から出力される第1電圧比較信号R1およびゲート回路G3、G2からそれぞれ出力される出力信号B1、B0を受けている。減算器SUBは、第1電圧比較信号R1が”1”であるとき、すなわち、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より低いとき、ゲート回路G3、G2の出力信号B1、B1が示す値から”1”を減算し、減算結果を2ビットの減算値信号C[1:0](減算値信号C1、C0)として出力する。減算器SUBは、第1電圧比較信号R1が”0”であるとき、すなわち、制御電圧VCが第2参照電圧VR1以上であるとき、ゲート回路G3、G2の出力信号B1、B0を減算値信号C[1:0]として出力する。
【0031】
ゲート回路G4は、第1電圧比較信号R1が”1”であるとき、ゲート回路G2の出力信号B0とゲート回路G3の出力信号B1の反転信号との論理積信号を出力信号として出力する。ゲート回路G4は、第1電圧比較信号R1が”0”であるとき、出力信号を”0”に設定する。従って、ゲート回路G4の出力信号は、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より高いとき、かつカウンタ値信号Q[1:0]が”01”であるとき、”1”に設定される。セレクタ回路SC1は、ゲート回路G4の出力信号が”1”であるとき、減算値信号C[1:0]を2ビットの出力信号D[1:0](出力信号D1、D0)として出力する。セレクタ回路SC1は、ゲート回路G4の出力信号が”0”であるとき、出力信号D[1:0]を”01”に設定する。
【0032】
フリップフロップFF11、FF10は、インバータ108(図1)から出力されるカウントクロックCKCの立ち上がりエッジ(すなわち、発振回路116から出力される出力クロックCKOの立ち下がりエッジ)に同期して、セレクタ回路SC1の出力信号D[1:0]を取り込みカウンタ値信号Q[1:0]として出力する。例えば、フリップフロップFF10は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して活性化される。フリップフロップFF11は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して非活性化される。すなわち、カウンタ値信号Q[1:0]は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して”01”に初期化される。
【0033】
以上のような構成のカウンタCNT1では、カウンタ値信号Q[1:0]が示す値(カウンタCNT1のカウンタ値)は、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より低いとき(VC<VR1<VR2)、かつカウンタ値信号Q[1:0]が”01”ではないとき、カウントクロックCKCの立ち上がりエッジに同期して単調減少する。カウンタ値信号Q[1:0]が示す値は、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より低いとき(VC<VR1<VR2)、かつカウンタ値信号Q[1:0]が”01”であるとき、ゲート回路G4およびセレクタ回路SC1によるアンダーフロー処理により、変化しない。
【0034】
カウンタ値信号Q[1:0]が示す値は、制御電圧VCが第1参照電圧VR1以上かつ第2参照電圧VR2以下であるとき(VR1≦VC≦VR2)、変化しない。カウンタ値信号Q[1:0]が示す値は、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高いとき(VR1<VR2<VC)、かつカウンタ値信号Q[1:0]が”11”ではないとき、カウントクロックCKCの立ち上がりエッジに同期して単調増加する。カウンタ値信号Q[1:0]が示す値は、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高いとき(VR1<VR2<VC)、かつカウンタ値信号Q[1:0]が”11”であるとき、ゲート回路G1〜G3によるオーバーフロー処理により、変化しない。
【0035】
デコーダDEC1は、カウンタ値信号Q[1:0]が”01”であるとき、選択信号S[2:0]を”001”に設定する。デコーダDEC1は、カウンタ値信号Q[1:0]が”10”であるとき、選択信号S[2:0]を”010”に設定する。デコーダDEC1は、カウンタ値信号Q[1:0]が”11”であるとき、選択信号S[2:0]を”100”に設定する。
【0036】
図3は、図1の発振回路116の詳細を示している。発振回路116は、互いに異なる発振周波数帯域を有する内部発振回路OSC0〜OSC2およびセレクタ回路SC2を有している。内部発振回路OSC0は、環状に接続されたインバータIV0〜IV6と、接地電源線VSSおよびインバータIV0〜IV6の電源端子の間にそれぞれ設けられたnMOSトランジスタNR0〜VR6とを有している。内部発振回路OSC0は、リングオシレータとして機能するインバータIV0〜IV6により生成されるクロックCKS0をセレクタ回路SC2に出力する。ローパスフィルタ106(図1)から供給される制御電圧VCは、nMOSトランジスタNR0〜NR6のゲートに共通して印可されている。nMOSトランジスタNR0〜NR6は、制御電圧VCに応じてオン抵抗が変化するため、可変抵抗として機能する。このため、各インバータIV0〜IV6の遅延時間は、制御電圧VCに応じて変化する。すなわち、内部発振回路OSC0の発振周波数(クロックCKS0の周波数)は、制御電圧VCに応じて変化する。
【0037】
内部発振回路OSC1は、インバータIV0〜IV4およびnMOSトランジスタNR0〜NR4を有し、内部発振回路OSC0と同様に構成されている。内部発振回路OSC2は、インバータIV0〜IV2およびnMOSトランジスタNR0〜NR2を有し、内部発振回路OSC0と同様に構成されている。内部発振回路OSC1、OSC2は、クロックCKS1、CKS2をセレクタ回路SC2にそれぞれ出力する。従って、内部発振回路OSC0〜OSC2において、内部発振回路OSC0の発振周波数帯域が一番低く、内部発振回路OSC2の発振周波数帯域が一番高い。
【0038】
セレクタ回路SC2は、内部発振回路OSC0〜OSC2から出力されるクロックCKS0〜CKS2のいずれかを、選択信号生成回路114(図2)から出力される選択信号S[2:0](選択信号S2、S1、S0)に応じて選択して出力クロックCKOとして出力する。具体的には、セレクタ回路SC2は、選択信号S[2:0]が”001”であるとき、内部発振回路OSC0から供給されるクロックCKS0を出力クロックCKOとして出力する。セレクタ回路SC2は、選択信号S[2:0]が”010”であるとき、内部発振回路OSC1から供給されるクロックCKS1を出力クロックCKOとして出力する。セレクタ回路SC2は、選択信号S[2:0]が”100”であるとき、内部発振回路OSC2から供給されるクロックCKS2を出力クロックCKOとして出力する。
【0039】
以上のような構成の電圧制御発振器110では、通信用LSIの電源投入時に、パワーオンリセット信号RSTが”1”に活性化されると、カウンタCNT1から出力されるカウンタ値Q[1:0]は、”01”に初期化される。従って、デコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]は、”001”に初期化される。このため、セレクタ回路SC2は、内部発振回路OSC0から出力されるクロックCKS0を出力クロックCKOとして出力する。すなわち、出力クロックCKOは、発振回路116における一番低い発振周波数帯域に含まれる周波数に初期化される。
【0040】
図4は、図1のPLL回路100のロックアップ動作(出力クロックCKOが参照クロックCKRより遅れている場合)を示している。この例では、ロックアップ動作開始時点でカウンタCNT1から出力されるカウンタ値信号Q[1:0]が”01”である場合、すなわちデコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]が”001”である場合について説明する。
【0041】
出力クロックCKOが参照クロックCKRより遅れているため、参照クロックCKRの立ち上エッジに同期して、位相比較器102から出力される位相比較信号/UPが”0”に活性化される(図4(a))。このため、ローパスフィルタ106から電圧制御発振器110に供給される制御電圧VCは、位相比較信号/UPの立ち下がりエッジ(活性化)に同期して上昇を開始する(図4(b))。参照クロックCKRより遅れている出力クロックCKOに立ち上がり変化が生じると、出力クロックCKOの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号/UPが”1”に非活性化される(図4(c))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号/UPの立ち上がりエッジ(非活性化)に同期して上昇を停止する(図4(d))。
【0042】
参照クロックCKRに次の立ち上がり変化が生じると、参照クロックCKRの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号/UPが再び”0”に活性化される(図4(e))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号/UPの立ち下がりエッジに同期して、再び上昇を開始する(図4(f))。この後、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高くなると、電圧比較回路112の電圧比較器CMP2から出力される第2電圧比較信号R2が”1”に活性化される(図4(g))。そして、出力クロックCKOに次の立ち上がり変化が生じると、出力クロックCKOの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号/UPが”1”に非活性化される(図4(h))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号/UPの立ち上がりエッジに同期して上昇を停止する(図4(i))。この後、出力クロックCKOに立ち下がり変化が生じると、第2電圧比較信号R2が”1”であるため、出力クロックの立ち下がりエッジ(すなわち、カウントクロックCKCの立ち上がりエッジ)に同期して、カウンタ値信号Q[1:0]が”01”から”10”に更新される(図4(j))。すなわち、選択信号S[2:0]が”001”から”010”に更新される(図4(k))。このため、発振回路116の内部発振回路OSC1から出力されるクロックCKS1がセレクタ回路SC2により出力クロックCKOとして出力される。すなわち、発振回路116の発振周波数帯域が切り替えられる。なお、カウンタ値信号Q[1:0]は、位相比較器102における位相比較タイミングとして使用される出力クロックCKOの遷移エッジ(立ち上がりエッジ)とは反対の遷移エッジ(立ち下がりエッジ)に同期して更新されるため、カウンタ値信号Q[1:0]の更新、すなわち発振回路116の発振周波数帯域の変更に伴う出力クロックCKOの周波数変動が位相比較器102の位相比較動作に与える影響が軽減される。
【0043】
発振回路116の発振周波数帯域の変更に伴って、出力クロックCKOが参照クロックより進んでいるため、出力クロックCKOに次の立ち上がり変化が生じると、出力クロックCKOの立ち上がりエッジに同期して、位相比較器102から出力される位相比較信号DOWNが”1”に活性化される(図4(l))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号DOWNの立ち上がりエッジ(活性化)に同期して下降を開始する(図4(m))。この後、制御電圧VCが第2参照電圧VR2以下になると、第2電圧比較信号R2が”0”に非活性化される(図4(n))。そして、参照クロックCKRに次の立ち上がり変化が生じると、参照クロックCKRの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号DOWNが”0”に非活性化される(図4(o))。このため、制御信号VCは、位相比較信号DOWNの立ち下がりエッジ(非活性化)に同期して下降を停止する(図4(p))。これにより、出力クロックCKOの位相は、参照クロックCKRの位相に一致する(図4(q))。すなわち、PLL回路100のロックアップ動作は完了する。
【0044】
図5は、図1のPLL回路100のロックアップ動作(出力クロックCKOが参照クロックCKRより進んでいる場合)を示している。この例では、ロックアップ動作開始時点でカウンタCNT1から出力されるカウンタ値信号Q[1:0]が”10”である場合、すなわちデコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]が”010”である場合について説明する。
【0045】
出力クロックCKOが参照クロックCKRより進んでいるため、出力クロックCKOの立ち上エッジに同期して、位相比較器102から出力される位相比較信号DOWNが”1”に活性化される(図5(a))。このため、ローパスフィルタ106から電圧制御発振器110に供給される制御電圧VCは、位相比較信号DOWNの立ち上がりエッジ(活性化)に同期して下降を開始する(図5(b))。出力クロックCKOより遅れている参照クロックCKRに立ち上がり変化が生じると、参照クロックCKRの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号DOWNが”0”に非活性化される(図5(c))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号DOWNの立ち下がりエッジ(非活性化)に同期して下降を停止する(図5(d))。
【0046】
出力クロックCKOに次の立ち上がり変化が生じると、出力クロックCKOの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号DOWNが再び”1”に活性化される(図5(e))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号DOWNの立ち上がりエッジに同期して、再び下降を開始する(図5(f))。この後、制御電圧VCが第1参照電圧VR1より低くなると、電圧比較回路112の電圧比較器CMP1から出力される第1電圧比較信号R1が”1”に活性化される(図5(g))。そして、参照クロックCKRに次の立ち上がり変化が生じると、参照クロックCKRの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号DOWNが”0”に非活性化される(図5(h))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号DOWNの立ち下がりエッジに同期して下降を停止する(図5(i))。この後、出力クロックCKOに立ち下がり変化が生じると、第1電圧比較信号R1が”1”であるため、出力クロックCKOの立ち下がりエッジに同期して、カウンタ値信号Q[1:0]が”10”から”01”に更新される(図5(j))。すなわち、選択信号S[2:0]が”010”から”001”に更新される(図5(k))。このため、発振回路116の内部発振回路OSC0から出力されるクロックCKS0がセレクタ回路SC2により出力クロックCKOとして出力される。すなわち、発振回路116の発振周波数帯域が切り替えられる。
【0047】
発振回路116の発振周波数帯域の変更に伴って、出力クロックCKOが参照クロックより遅れているため、参照クロックCKRに次の立ち上がり変化が生じると、参照クロックCKRの立ち上がりエッジに同期して、位相比較器102から出力される位相比較信号/UPが”0”に活性化される(図5(l))。このため、制御電圧VCは、位相比較信号/UPの立ち下がりエッジ(活性化)に同期して上昇を開始する(図5(m))。この後、制御電圧VCが第1参照電圧VR1以上になると、第1電圧比較信号R1が”0”に非活性化される(図5(n))。そして、出力クロックCKOに次の立ち上がり変化が生じると、出力クロックCKOの立ち上がりエッジに同期して、位相比較信号/UPが”1”に非活性化される(図5(o))。このため、制御信号VCは、位相比較信号/UPの立ち上がりエッジ(非活性化)に同期して上昇を停止する(図5(p))。これにより、出力クロックCKOの位相は、参照クロックCKRの位相に一致する(図5(q))。すなわち、PLL回路100のロックアップ動作は完了する。
【0048】
図6は、図1のPLL回路100のロックアップ動作の概要を示している。図中、縦軸は出力クロックCKOの周波数(発振回路116の発振周波数)を示し、横軸は制御電圧VCを示している。特性曲線FV0〜FV2は、内部発振回路OSC0〜OSC2の発振周波数特性をそれぞれ示している。第1参照電圧VR1および第2参照電圧VR2は、隣接する特性曲線が互いに重なり合う周波数範囲を有するように設定されている。これにより、PLL回路100のロックレンジの連続性が確保される。また、X点は、ロックアップ動作開始時点の出力クロックCKOの周波数およびこれに対応する制御電圧を示している。すなわち、ロックアップ動作開始時点では、一番低い発振周波数帯域を有する内部発振回路OSC0から出力されるクロックCKS0が出力クロックCKOとして出力されている。従って、カウンタCNT1から出力されるカウンタ値信号Q[1:0]は”01”に設定されており、デコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]は”001”に設定されている。Y点は、出力クロックCKOの目標周波数(すなわち、参照クロックCKRの周波数)およびこれに対応する制御電圧を示している。
【0049】
ロックアップ動作開始時点の出力クロックCKOの周波数(X点の周波数)は、参照クロックCKRの周波数(Y点の周波数)より低いため、ローパスフィルタ106から供給される制御電圧VCは上昇する。これに伴い、内部発振回路OSC0から出力されるクロックCKS0の周波数は上昇を開始し、すなわち、出力クロックCKOの周波数は上昇を開始する(図6(a))。
【0050】
そして、制御電圧VCが第2参照電圧VR2より高くなると、カウンタCNT1から出力されるカウンタ値信号Q[1:0]が”01”から”10”に更新される。このため、デコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]は、”001”から”010”に更新される。この結果、セレクタ回路SC2は、内部周波数発振回路OSC0より高い発振周波数帯域を有する内部発振回路OSC1から出力されるクロックCKS1を選択して出力クロックCKOとして出力する。これにより、出力クロックCKOの周波数特性は、特性曲線FV0から特性曲線FV1に切り替わる。(図6(b))。
【0051】
出力クロックCKOの周波数特性が特性曲線FV0から特性曲線FV1に切り替わると、出力クロックCKOの周波数は、参照クロックCKRの周波数より高くなるため、ローパスフィルタ106から供給される制御電圧VCは下降する。そして、制御電圧VCが参照クロックCKRの周波数に対応する制御電圧(Y点の制御電圧)に到達すると、出力クロックCKOの周波数は、参照クロックCKRの周波数(Y点の周波数)と一致する(図6R>6(c))。これにより、出力クロックCKOの位相が参照クロックCKRの位相に一致し、PLL回路100のロックアップ動作は完了する。
【0052】
以上、第1の実施形態では、参照クロックCKRの周波数(出力クロックCKOの目標周波数)を制御電圧VCにより間接的に電圧制御発振器110に伝達するため、参照クロックCKRのゆらぎが電圧制御発振器110(発振回路116)における発振周波数帯域の切替動作に与える影響を小さくできる。このため、参照クロックCKRの周波数を保持するためのレジスタ等を不要にでき、PLL回路100の回路規模を低減できる。また、電圧制御発振器110(発振回路116)は、互いに異なる複数の発振周波数帯域を有しているため、動作条件の変動(半導体素子の製造ばらつき、動作温度の変動、電源電圧の変動等)に対して、あるいは電源電圧の低電圧化に伴う制御電圧VCの設定範囲の縮小に対して、広いロックレンジを確保できる。
【0053】
カウンタ値信号Q[1:0](カウンタCNT1のカウンタ値)は、位相比較器102における位相比較タイミングとして使用される出力クロックCKOの遷移エッジ(立ち上がりエッジ)とは反対の遷移エッジ(立ち下がりエッジ)に同期して更新されるため、カウンタ値信号Q[1:0]の更新、すなわち発振回路116の発振周波数帯域の変更に伴う出力クロックCKOの周波数変動が位相比較器102の位相比較動作に与える影響を軽減できる。
【0054】
図7は、本発明の第2の実施形態を示している。第1の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。PLL回路200は、第1の実施形態のPLL回路100(図1)と同様に、クロック同期型の通信用LSIに搭載されており、第1の実施形態の電圧制御発振器110に代えて電圧制御発振器210を有している。PLL回路200のその他の構成は、第1の実施形態のPLL回路100と同一である。なお、通信用LSIに供給される外部クロック(すなわち、参照クロックCKR)の周波数は、例えば、図6のY点の周波数に限定されている。電圧制御発振器210は、第1の実施形態の選択信号生成回路114(図2)に代えて、選択信号生成回路214を有している。電圧制御発振器210のその他の構成は、第1の実施形態の電圧制御発振器110と同一である。
【0055】
図8は、図7の電圧比較回路112および選択信号生成回路214の詳細を示している。選択信号生成回路214は、第1の実施形態のカウンタCNT1(図2)に代えてカウンタCNT2を有している。選択信号生成回路214のその他の構成は、第1の実施形態の選択信号生成回路114と同一である。カウンタCNT2は、第1の実施形態のフリップフロップFF10、FF11(図2)に代えてフリップフロップFF20、FF21を有している。フリップフロップFF20は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して非活性化される。フリップフロップFF21は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して活性化される。すなわち、カウンタ値信号Q[1:0]は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して”10”に初期化される。カウンタCNT2のその他の構成は、第1の実施形態のカウンタCNT1と同一である。
【0056】
以上のような構成の電圧制御発振器210では、通信用LSIの電源投入時に、パワーオンリセット信号RSTが”1”に活性化されると、カウンタCNT2から出力されるカウンタ値Q[1:0]は、”10”に初期化される。従って、デコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]は、”010”に初期化される。このため、セレクタ回路SC2は、内部発振回路OSC1から出力されるクロックCKS1を出力クロックCKOとして出力する。従って、出力クロックCKOは、発振回路116における中間の発振周波数帯域に含まれる周波数に初期化される。出力クロックCKOの目標周波数(参照クロックCKRの周波数)は、図6のY点の周波数に限定されているため、出力クロックCKOを、発振回路116における中間の発振周波数帯域(図6の特性曲線FV1に対応)に含まれる周波数に初期化することで、PLL回路200のロックアップタイム(出力クロックCKOが参照クロックCKRに同期するまでの時間)が短縮される。このように、カウンタCNT2は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して、出力クロックCKOの目標周波数を含む発振周波数帯域を有する内部発振回路OSC1を示すカウンタ値に初期化される。
【0057】
以上、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、カウンタCNT2は、出力クロックCKOの目標周波数を含む発振周波数帯域を有する内部発振回路OSC1を示すカウンタ値に初期化されるため、PLL回路200のロックアップタイムを短縮できる。
図9は、本発明の第3の実施形態を示している。第1の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。PLL回路300は、第1の実施形態のPLL回路100(図1)に分周器318を加えて構成され、第1の実施形態の電圧制御発振器110に代えて電圧制御発振器310を有している。PLL回路300は、第1の実施形態と同様に、クロック同期型の通信用LSIに搭載されている。
【0058】
分周器318は、電圧制御発振器310の発振回路316から出力される出力クロックCKOを所定の分周比1/N(例えば、1/2)で分周して分周クロックCKDとして出力する。位相比較器102およびインバータ108は、出力クロックCKOに代えて分周クロックCKDを受けている。このため、PLL回路300は、分周クロックCKDを参照クロックCKRに同期させる閉ループ機構として機能する。この結果、参照クロックCKRおよび分周クロックCKDが同期した状態で、参照クロックCKRに対して所定の逓倍比Nを有する出力クロックCKOが得られる。電圧制御発振器310は、第1の実施形態の発振回路116(図3)に代えて、発振回路316を有している。電圧制御発振器310のその他の構成は、第1の実施形態の電圧制御発振器110と同一である。
【0059】
図10は、図9の発振回路316の詳細を示している。発振回路316は、第1の実施形態の内部発振回路OSC0(図3)にスイッチSW0〜SW2を加えて構成されている。スイッチSW0〜SW2は、例えば、CMOSスイッチで構成されている。スイッチSW0は、7段目のインバータIV6の出力と1段目のインバータIV0(図中、一番左のインバータ)の入力との間に接続されている。スイッチSW0は、選択信号生成回路114(図9)から供給される選択信号S0が”1”であるときにオンする。スイッチSW1は、5段目のインバータIV4の出力と1段目のインバータIV0の入力との間に接続されている。スイッチSW1は、選択信号S1が”1”であるときにオンする。スイッチSW2は、3段目のインバータIV2の出力と1段目のインバータIV0の入力との間に接続されている。スイッチSW2は、選択信号S2が”1”であるときにオンする。すなわち、スイッチSW0〜SW2は、1段目のインバータIV0から数えて奇数番目のインバータIV2、IV4、IV6の出力のいずれかを、選択信号S[2:0]に応じて初段のインバータIV0の入力に接続するスイッチ回路として機能する。また、発振回路316は、1段目のインバータIV0の入力に供給される信号を出力クロックCKOとして出力する。
【0060】
以上のような構成の発振回路316は、選択信号S0が”1”であるとき、第1の実施形態の内部発振回路OSC0と同様に動作する。発振回路316は、選択信号S1が”1”であるとき、第1の実施形態の内部発振回路OSC1と同様に動作する。発振回路316は、選択信号S2が”1”であるとき、第1の実施形態の内部発振回路OSC2と同様に動作する。従って、発振回路316は、第1の実施形態の発振回路116と同様に、複数の発振周波数帯域のいずれかを選択信号S[2:0](すなわち、カウンタ値信号Q[1:0])に応じて選択し、選択した発振周波数帯域において制御電圧VCに応じて発振周波数を調整して出力クロックCKOを出力する。
【0061】
以上、第3の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、出力クロックCKOを生成するためのインバータIV0〜IV6の一部を複数の発振周波数帯域に対して共通化できるため、発振回路316の回路規模を低減できる。従って、PLL回路300が搭載される通信用LSIの高集積化に寄与できる。また、分周回路318を設けることで、参照クロックCKRの周波数を上昇させることなく、高い周波数の出力クロックCKOを得ることができる。
【0062】
図11は、本発明の第4の実施形態を示している。第1〜第3の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。PLL回路400は、第3の実施形態のPLL回路300(図9)と同様に、クロック同期型の通信用LSIに搭載されており、第3の実施形態の電圧制御発振器310に代えて電圧制御発振器410を有している。PLL回路300のその他の構成は、第3の実施形態のPLL回路300と同一である。なお、通信用LSIに供給される外部クロック(すなわち、参照クロックCKR)の周波数は、例えば、図6におけるY点の周波数の1/2の周波数に限定されている。分周器318の分周比は1/2であるため、出力クロックCKOの目標周波数は、図6のY点の周波数に限定されている。電圧制御発振器410は、第1の実施形態の選択信号生成回路114(図2)に代えて、第2の実施形態の選択信号生成回路214(図8)を有している。電圧制御発振器410のその他の構成は、第3の実施形態の電圧制御発振器310(図9)と同一である。
【0063】
以上のような構成の電圧制御発振器410では、第2の実施形態と同様に、通信用LSIの電源投入時に、パワーオンリセット信号RSTが”1”に活性化されると、カウンタCNT2から出力されるカウンタ値Q[1:0]は、”10”に初期化される。従って、デコーダDEC1から出力される選択信号S[2:0]は、”010”に初期化される。このため、発振回路316において、スイッチSW1がオンし、5段目のインバータIV4の出力が初段のインバータIV0の入力に接続される。すなわち、出力クロックCKOは、発振回路316における中間の発振周波数帯域に含まれる周波数に初期化される。出力クロックCKOの目標周波数(参照クロックCKRの2倍の周波数)は、図6のY点の周波数に限定されているため、出力クロックCKOを、発振回路316における中間の発振周波数帯域(図6の特性曲線FV1に対応)に含まれる周波数に初期化することで、PLL回路400のロックアップタイム(分周クロックCKDが参照クロックCKRに同期するまでの時間)が短縮される。このように、カウンタCNT2は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して、出力クロックCKOの目標周波数を含む発振周波数帯域に対応する反転回路IV4の出力(すなわち、スイッチSW1)を示すカウンタ値に初期化される。
【0064】
以上、第4の実施形態でも、第1〜3の実施形態と同様の効果が得られる。
図12は、本発明の第5の実施形態を示している。第1の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。PLL回路500は、第1の実施形態の電圧制御発振器110(図1)に代えて電圧制御発振器510を有している。PLL回路500のその他の構成は、第1の実施形態のPLL回路100と同一である。PLL回路500は、第1の実施形態と同様に、クロック同期型の通信用LSIに搭載されている。電圧制御発振器510は、第1の実施形態の選択信号生成回路114(図2)および発回路116(図3)に代えて、選択信号生成回路514および発振回路516を有している。電圧制御発振器510のその他の構成は、第1の実施形態の電圧制御発振器110と同一である。
【0065】
図13は、図12の電圧比較回路112および選択信号生成回路514の詳細を示している。選択信号生成回路514は、第1の実施形態のデコーダDEC1(図2)に代えて、デコーダDEC2を有している。選択信号生成回路514のその他の構成は、第1の実施形態の選択信号生成回路114と同一である。デコーダDEC2は、カウンタCNT1から出力されるカウンタ値信号Q[1:0]が”01”であるとき、選択信号S[2:0]を”001”に設定する。デコーダDEC2は、カウンタ値信号Q[1:0]が”10”であるとき、選択信号S[2:0]を”011”に設定する。デコーダDEC2は、カウンタ値信号Q[1:0]が”11”であるとき、選択信号S[2:0]を”111”に設定する。
【0066】
図14は、図12の発振回路516の詳細を示している。発振回路516は、環状に接続されたインバータIV0〜IV2、可変抵抗として機能するnMOSトランジスタNR00〜NR02、NR10〜NR12、NR20〜NR22、スイッチとして機能するnMOSトランジスタNS00〜NS02、NS10〜NS12、NS20〜NS22を有している。発振回路516は、リングオシレータとして機能するインバータIV0〜IV2により生成されるクロックを出力クロックCKOとして出力する。
【0067】
nMOSトランジスタNS00〜NS02は、接地電源線VSSおよびインバータIV0の電源端子の間で並列に接続されている。nMOSトランジスタNS10〜NS12は、接地電源線VSSおよびインバータIV1の電源端子の間で並列に接続されている。nMOSトランジスタNS20〜NS22は、接地電源線VSSおよびインバータIV2の電源端子の間で並列に接続されている。
【0068】
nMOSトランジスタNR00〜NR02は、接地電源線VSSおよびインバータIV0の電源端子の間で、nMOSトランジスタNS00〜NS02と直列にそれぞれ接続されている。nMOSトランジスタNR10〜NR12は、接地電源線VSSおよびインバータIV1の電源端子の間で、nMOSトランジスタNS10〜NS12と直列にそれぞれ接続されている。nMOSトランジスタNR10〜NR12は、接地電源線VSSおよびインバータIV2の電源端子の間で、nMOSトランジスタNS20〜NS22と直列にそれぞれ接続されている。
【0069】
ローパスフィルタ106(図12)から供給される制御電圧VCは、nMOSトランジスタNR00〜NR02、NR10〜NR12、NR20〜NR22のゲートに共通して印可されている。nMOSトランジスタNR00〜NR02、NR10〜NR12、NR20〜NR22は、制御電圧VCに応じてオン抵抗が変化するため、可変抵抗として機能する。このため、各インバータIV0〜IV2の遅延時間は、制御電圧VCに応じて変化する。すなわち、発振回路516の発振周波数(出力クロックCKOの周波数)は、制御電圧VCに応じて変化する。
【0070】
nMOSトランジスタNS00、NS10、NS20のゲートは、選択信号生成回路514(図13)から出力される選択信号S0を受けている。従って、nMOSトランジスタNS00、NS10、NS20は、選択信号S0が”1”であるときにオンする。nMOSトランジスタNS01、NS11、NS21のゲートは、選択信号S1を受けている。従って、nMOSトランジスタNS00、NS10、NS20は、選択信号S1が”1”であるときにオンする。nMOSトランジスタNS02、NS12、NS22のゲートは、選択信号S1を受けている。従って、nMOSトランジスタNS00、NS10、NS20は、選択信号S2が”1”であるときにオンする。すなわち、nMOSトランジスタNSn0、NSn1、NSn2(n=0,1,2)は、選択信号S[2:0]に応じてオン状態のスイッチ数が変化するスイッチ回路として機能する。従って、3ビットの選択信号S[2:0]における”1”に活性化したビット数に応じて、nMOSトランジスタNRn0〜NRn2の抵抗値の設定範囲(すなわち、インバータIVnの遅延時間の設定範囲)が変更される。すなわち、発振回路516の発振周波数帯域は、選択信号S[2:0]における”1”に活性化したビット数に応じて変更される。このように、発振回路516は、第1の実施形態の発振回路116と同様に、複数の発振周波数帯域のいずれかを選択信号S[2:0](すなわち、カウンタ値信号Q[1:0])に応じて選択し、選択した発振周波数帯域において制御電圧VCに応じて発振周波数を調整して出力クロックCKOを出力する。
【0071】
以上、第5の実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、出力クロックCKOを生成するためのインバータIV0〜IV2の全てを複数の発振周波数帯域に対して共通化できるため、発振回路516の回路規模を低減できる。従って、PLL回路500が搭載される通信用LSIの高集積化に寄与できる。
図15は、本発明の第6の実施形態を示している。第1、第2および第5の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。PLL回路600は、第5の実施形態のPLL回路500(図12)と同様に、クロック同期型の通信用LSIに搭載されており、第5の実施形態の電圧制御発振器510に代えて電圧制御発振器610を有している。PLL回路600のその他の構成は、第5の実施形態のPLL回路500と同一である。なお、通信用LSIに供給される外部クロック(すなわち、参照クロックCKR)の周波数は、第2の実施形態と同様に、例えば、図6のY点の周波数に限定されている。電圧制御発振器610は、第5の実施形態の選択信号生成回路514に代えて、選択信号生成回路614を有している。電圧制御発振器610のその他の構成は、第5の実施形態の電圧制御発振器510と同一である。
【0072】
図16は、図15の電圧比較回路112および選択信号生成回路214の詳細を示している。選択信号生成回路614は、第2の実施形態の選択信号生成回路214(図8)におけるデコーダDEC1に代えて、第5の実施形態のデコーダDEC2(図13)を有している。選択信号生成回路614のその他の構成は、第2の実施形態の選択信号生成回路214と同一である。
【0073】
以上のような構成の電圧制御発振器610では、通信用LSIの電源投入時に、パワーオンリセット信号RSTが”1”に活性化されると、カウンタCNT2から出力されるカウンタ値Q[1:0]は、”10”に初期化される。従って、デコーダDEC2から出力される選択信号S[2:0]は、”011”に初期化される。このため、発振回路516において、nMOSトランジスタNSn0、NSn1(n=0,1,2)がオンする。すなわち、出力クロックCKOは、発振回路516における中間の発振周波数帯域に含まれる周波数に初期化される。出力クロックCKOの目標周波数(参照クロックCKRの周波数)は、図6のY点の周波数に限定されているため、出力クロックCKOを、発振回路516における中間の発振周波数帯域(図6の特性曲線FV1に対応)に含まれる周波数に初期化することで、PLL回路600のロックアップタイム(出力クロックCKOが参照クロックCKRに同期するまでの時間)が短縮される。
【0074】
このように、カウンタCNT2は、パワーオンリセット信号RSTの立ち上がりエッジに応答して、出力クロックCKOの目標周波数を含む発振周波数帯域に対応するオン状態のnMOSトランジスタ数(すなわち、オン状態のスイッチ数)を示すカウンタ値に初期化される。
以上、第6の実施形態でも、第1、第2および第5の実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
なお、第1〜第6の実施形態では、本発明の電圧制御発振器をPLL回路に適用した例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の電圧制御発振器を、電圧制御発振器を利用するその他の回路に適用してもよい。
第1、第3および第5の実施形態では、通信用LSIの電源投入時に、カウンタ値信号Q[1:0]が”01”に初期化され、発振回路の一番低い発振周波数帯域が選択される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、通信用LSIの電源投入時に、カウンタ値信号Q[1:0]が”11”に初期化され、発振回路の一番高い発振周波数帯域が選択されるようにしてもよい。図17に示すように、選択される発振周波数帯域が高いほど、発振回路のゲイン(制御電圧の変化量に対する出力クロックの周波数の変化量)は大きくなるため、通信用LSIの電源投入時に、発振回路の一番低い発振周波数帯域が選択される場合に比べて、PLL回路のロックアップタイムを短縮できる。従って、PLL回路が搭載される通信用LSIを短時間で安定させることができる。
【0076】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、前述の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1の電圧比較回路および選択信号生成回路の詳細を示すブロック図である。
【図3】図1の発振回路の詳細を示すブロック図である。
【図4】図1のPLL回路のロックアップ動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図1のPLL回路のロックアップ動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図1のPLL回路のロックアップ動作の概要を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図8】図7の電圧比較回路および選択信号生成回路の詳細を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図10】図9の発振回路の詳細を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図12】本発明の第5の実施形態を示すブロック図である。
【図13】図12の電圧比較回路および選択信号生成回路の詳細を示すブロック図である。
【図14】図12の発振回路の詳細を示すブロック図である。
【図15】本発明の第6の実施形態を示すブロック図である。
【図16】図15の電圧比較回路および選択信号生成回路の詳細を示すブロック図である。
【図17】PLL回路のロックアップ動作の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0078】
100、200、300、400、500、600 PLL回路
102 位相比較器
104 チャージポンプ
106 ローパスフィルタ
108 インバータ
110、210、310、410、510、610 電圧制御発振器
112 電圧比較回路
114、214、514、614 選択信号生成回路
116、316、516 発振回路
318 分周器
ADD 加算器
CKD 分周クロック
CKO 出力クロック
CKR 参照クロック
CKC カウントクロック
CMP1、CMP2 電圧比較器
CNT1、CNT2 カウンタ
DEC1、DEC2 デコーダ
FF10、FF11、FF20、FF21 フリップフロップ
G1〜G4 ゲート回路
IV0〜IV6 インバータ
NR0〜6、NR00〜02、NR10〜12、NR20〜22 nMOSトランジスタ
NS00〜02、NS10〜12、NS20〜22 nMOSトランジスタ
Q0、Q1 カウンタ値信号
R1 第1電圧比較信号
R2 第2電圧比較信号
S0〜S2 選択信号
SC1、SC2 セレクタ回路
SUB 減算器
SW0〜SW3 スイッチ
/UP、DOWN 位相比較信号
VR1 第1参照電圧
VR2 第2参照電圧
VC 制御電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御電圧と第1参照電圧と前記第1参照電圧より高い第2参照電圧とを受け、前記制御電圧が前記第1参照電圧より低いときに第1電圧比較信号を活性化させ、前記制御電圧が前記第2参照電圧より高いときに第2電圧比較信号を活性化させる電圧比較回路と、
カウントクロックに同期して、前記第1電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を減少させ、前記第2電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を増加させるカウンタと、
互いに異なる複数の発振周波数帯域を有し、前記カウンタ値に応じて前記発振周波数帯域のいずれかを選択するとともに、選択した発振周波数帯域において前記制御電圧に応じて発振周波数を調整して出力クロックを出力する発振回路とを備えていることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項2】
請求項1記載の電圧制御発振器において、
前記発振回路は、
互いに異なる発振周波数帯域を有する複数の内部発振回路と、
前記内部発振回路により生成されるクロックのいずれかを前記カウンタ値に応じて選択して前記出力クロックとして出力するセレクタ回路とを備え、
前記内部発振回路は、
環状に接続された複数の反転回路と、
電源線および前記反転回路の電源端子の間にそれぞれ接続され、前記制御電圧に応じて抵抗値が変化する複数の可変抵抗とを備えていることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項3】
請求項2記載の電圧制御発振器において、
前記カウンタは、リセット信号に応答して、前記出力クロックの目標周波数を含む発振周波数帯域を有する内部発振回路を示すカウンタ値に初期化されることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項4】
請求項1記載の電圧制御発振器において、
前記発振回路は、
直列に接続された複数の反転回路と、
電源線および前記反転回路の電源端子の間にそれぞれ接続され、前記制御電圧に応じて抵抗値が変化する複数の可変抵抗と、
初段の反転回路の入力に供給される信号を前記出力クロックとして出力するために、奇数番目の反転回路の出力のいずれかを前記カウンタ値に応じて初段の反転回路の入力に接続するスイッチ回路とを備えていることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項5】
請求項4記載の電圧制御発振器において、
前記カウンタは、リセット信号に応答して、前記出力クロックの目標周波数を含む発振周波数帯域に対応する反転回路の出力を示すカウンタ値に初期化されることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項6】
請求項1記載の電圧制御発振器において、
前記発振回路は、
環状に接続された複数の反転回路と、
電源線および前記各反転回路の電源端子の間に並列に接続された複数のスイッチを有し、前記カウンタ値に応じてオン状態のスイッチ数が変化する複数のスイッチ回路と、
前記電源線および前記反転回路の電源端子の間に前記スイッチ回路と直列にそれぞれ接続され、前記制御電圧に応じて抵抗値が変化する複数の可変抵抗とを備えていることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項7】
請求項6記載の電圧制御発振器において、
前記カウンタは、リセット信号に応答して、前記出力クロックの目標周波数を含む発振周波数帯域に対応するオン状態のスイッチ数を示すカウンタ値に初期化されることを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項8】
参照クロックおよび前記参照クロックに基づいて生成される出力クロックの位相を比較する位相比較器と、
前記位相比較器の位相比較結果に応じて出力電圧を調整する電圧調整回路と、
前記出力電圧を制御電圧として受け、前記制御電圧に応じて前記出力クロックの周波数を変更する電圧制御発振器とを備え、
前記電圧制御発振器は、
前記制御電圧と第1参照電圧と前記第1参照電圧より高い第2参照電圧とを受け、前記制御電圧が前記第1参照電圧より低いときに第1電圧比較信号を活性化させ、前記制御電圧が前記第2参照電圧より高いときに第2電圧比較信号を活性化させる電圧比較回路と、
カウントクロックに同期して、前記第1電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を減少させ、前記第2電圧比較信号の活性化中にカウンタ値を増加させるカウンタと、
互いに異なる複数の発振周波数帯域を有し、前記カウンタ値に応じて前記発振周波数帯域のいずれかを選択するとともに、選択した発振周波数帯域において前記制御電圧に応じて発振周波数を調整して前記出力クロックを出力する発振回路とを備えていることを特徴とするPLL回路。
【請求項9】
請求項8記載のPLL回路において、
前記電圧制御発振器および前記位相比較器の間に接続され、前記出力クロックを分周した分周クロックを前記出力クロックとして前記位相比較器に出力する分周器を備えていることを特徴とするPLL回路。
【請求項10】
請求項8記載のPLL回路において、
前記カウントクロックは、前記出力クロックであり、
前記カウンタは、前記位相比較器の位相比較タイミングとして使用される前記出力クロックの遷移エッジとは反対の遷移エッジに同期してカウンタ値を更新することを特徴とするPLL回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2005−303709(P2005−303709A)
【公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−117833(P2004−117833)
【出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】