説明

電子キーシステム、及び携帯機

【課題】より簡単な構成で確実に、利用者に車両の位置を想起(特定)させることのできる電子キーシステムを提供する。
【解決手段】電子キーシステムは、車両に搭載される車載装置と携帯機とから構成され、車載装置は、利用者が車両を離れる際(例えばエンジンスイッチのオフ時)に、車両とその車両周辺の目標物との相対位置情報をナビゲーション装置に要求する(S110)。ナビゲーション装置が相対位置情報を生成して返信し、車載装置が相対位置情報を受信したと判定すると(S120:YES)、車載装置はその受信した相対位置情報を携帯機に送信する(S130)。携帯機は、受信した相対位置情報を記憶し(S160)、利用者の操作に基づいてその記憶した相対位置情報を読み出して報知する(S170:YES→S180)。このため、利用者は、簡単かつ確実に車両の位置を想起(特定)できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載装置と車両の利用者が所持する携帯機とが認証のための無線通信を行う電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車関連技術の分野においては、車両に搭載される車載装置と、車両の利用者が所持する携帯機とで構成される電子キーシステムが実用化されている。この種の電子キーシステムは、車載装置と携帯機との間で無線通信による認証が成立すれば、機械式キーでの操作を行わなくても、ドアのロック/アンロックやエンジン始動等の制御を実行できる仕組みになっている。このため、利用者の利便性の向上に大いに寄与している。
【0003】
一方、近年、大型ショッピングセンター、テーマパーク、スキー場、或いは空港等のような大規模商業施設の周辺では、より大型の駐車場が設けられるようになっており、利用者が自分の車両を即座に見つけることは難しくなっている。
【0004】
車両の場所がおおよそ把握できていたとしても、駐車場が大型であるが故に、例えば駐車場内を多少歩いた程度では周囲の景観(目印の位置等)がさほど変わらなかったり、自分の車両が多くの車両の中に紛れてしまったりして、車両の場所の正確な特定が難しくなるのである。特に、上記のような大規模商業施設に訪れるお客の中には、訪れるのが初めて、或いはせいぜい2〜3回目という人も少なくなく、このような人は周辺環境に不慣れなため、なおさら難しくなる。
【0005】
また、スキー場等で、車両が雪で覆われてしまったような場合に車両の発見が難しくなってしまうことは、容易に想像できる。
さらに言えば、車両から降りる際や離れる際に、自分の車両の位置を覚えておこうという意識がそもそも欠如してしまっているような場合には、利用者は自分の車両のおおよその位置さえも見当がつかなくなってしまう。
【0006】
この点、車両の位置を容易に知ることができるようにする車両探索装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1の車両探索装置は、車両に搭載される送受信ユニットと、利用者が携帯する携帯端末機とからなり、以下の(A)、(B)のような機能を有している。
(A)利用者が携帯端末機を操作することで、その携帯端末機が送受信ユニットと通信を行い、その送受信ユニットから車両の位置情報を受信する。この位置情報は、利用者の現在の場所(携帯端末機の場所)から車両までの方向及び距離を表すものであり、携帯端末機は、その受信した位置情報を表示する。
(B)携帯端末機及び送受信ユニットがそれぞれGPS機能を備えており、それぞれ自己の現在位置を算出してサーバに送信すると共に、携帯端末機が、その携帯端末機の現在位置及び送受信ユニット(車両)の現在位置をサーバから受信して同時に表示する。
【特許文献1】特開2003−319441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の車両探索装置を用いたとしても、利用者が車両のおおよその位置さえも把握しておらず、利用者が車両からかけ離れた位置に居て携帯端末機と送受信ユニットとの無線通信が成立しないような場合には、携帯端末機と送受信ユニットとが無線通信できなくなって上記(A)の機能は使えず、利用者は車両の位置を特定できなくなってしまう。
【0008】
例えば、施設(建物)の四方に駐車場があり、利用者が車両の場所を全く勘違いして、車両をとめている駐車場に対して建物を挟んだ対面側の駐車場にいるような場面では、上記(A)の機能はその役割を果たさないと思われる。
【0009】
一方、上記(B)の機能によれば、携帯端末機と送受信ユニットとの無線通信が成立しなくても、利用者は車両の位置を特定することができると言える。しかしこの場合、GPS機能やサーバが必要となるため、携帯端末機及び送受信ユニット、ひいてはシステム全体が複雑化・大型化してしまい好ましくない。
【0010】
例えば、車両探索装置の携帯端末機が大きくなってしまった場合、多くの人が、その大きい携帯端末機を所持することは負担である、或いは所持したくない、と思うであろう。
さらに、上記(A)、(B)に共通の問題として、携帯端末機自体の位置が特定されなくてはいけない、という点がある。すると、携帯端末機自体の位置が特定されるようにするための構成が必要となり、上記のような大型化・複雑化、といった問題を招いてしまう。
【0011】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたものであり、車両の電子キーシステムにおいて、より簡単な構成で確実に、利用者に車両の位置を想起させ、ひいては利用者が車両の位置を特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両に搭載される車載装置と利用者が携帯する携帯機とが、認証のための無線通信を行う電子キーシステムであって、車載装置は、車両と、該車両周辺の目標物との相対位置の情報を無線送信可能な位置情報送信手段を備え、携帯機は、車載装置から相対位置情報が送信されてきた場合に、その相対位置情報を受信する位置情報受信手段と、位置情報受信手段により受信された相対位置情報が表す車両と目標物との相対位置を、周囲に報知する報知手段とを備えている。
【0013】
尚、目標物としては、車両周辺の建物、交差点など、位置が変化しないものであればどのようなものでもよい。また、目標物は例えば所定の地図情報等から取得してもよいし、車外の撮影データ(画像データ)等から取得してもよい。また、報知手段としては、利用者が相対位置を認識できるような方法での報知ができれば、どのような手段を採用してもよく、例えば、利用者が聴覚、視覚、触覚等の少なくとも何れかで相対位置を認識できるような手段を採用すればよい。さらに言えば、味覚、嗅覚で認識できるような手段も採用し得る。
【0014】
そして、請求項1の電子キーシステムでは、携帯機において、車両と目標物との相対位置情報が報知されるため、利用者は、目標物の位置さえ把握できれば、その目標物の位置から車両の位置を想起、あるいは特定できるようになる。言い換えれば、本請求項1の電子キーシステムでは、携帯機自体の位置を算出しなくても(利用者の現在の位置が分からなくても)、利用者は、今いる場所から車両に辿り着くことができるようになるのである。
【0015】
このように、携帯機の位置を算出する構成を設けなくてもよく、車載装置、携帯機、ひいてはシステム全体の構成を簡素化できる一方、利用者は、確実かつ容易に、車両の位置を想起(特定)できるようになる。
【0016】
ところで、例えば車両の運転中に相対位置情報が送受信されても意味がない。利用者が車両を探索する必要がそもそもないからである。言い換えれば、利用者が車両を探索しなくてはいけなくなるかもしれない、という場合に、相対位置情報が送受信されるようにすることが好ましい。
【0017】
この点、請求項2の電子キーシステムでは、車載装置は、利用者により車両の所定箇所が操作された際に、相対位置情報を送信すべきと判断する送信タイミング決定手段を備え、位置情報送信手段は、送信タイミング決定手段により相対位置情報を送信すべきと判断された際、相対位置情報を送信するようになっており、さらにその相対位置情報が携帯機に保存されるようになっている。
【0018】
ここで、利用者が車両を探索しなくてはいけなくなるかもしれない場合とは、例えば利用者が車両から降りる際や離れる際、或いは降りる可能性、離れる可能性が高いと判断できる場合である。より具体的には、利用者がブレーキを操作した際(ブレーキを操作して停車させた際)、シフトをパーキングにセットした際、パーキングブレーキをセットした際、エンジンスイッチ15をオフした際、ドアを開けた際、ドアを開けてその後閉じた際、ドアをロックした際などが考えられる。
【0019】
この点、請求項2の電子キーシステムによれば、上述したような操作がなされた場合に相対位置情報が送受信されるようにすることができる。つまり、携帯機に相対位置情報を送っておいたほうがよいという場合に初めて、相対位置情報の送受信がなされるようにできるのである。逆に言えば、不要に相対位置情報の送受信がなされることを防止することができ、このため、処理負荷や消費電力を抑えることができる。
【0020】
しかも、請求項2の電子キーシステムでは、相対位置情報が携帯機に保存されるため、例えば利用者がまさに車両に戻ろうというときにその利用者は相対位置情報を参照できるようになり、利用者にとって都合がよい。
【0021】
ところで、利用者が、聴覚、視覚、触覚(さらに味覚、嗅覚)等の少なくとも何れかで相対位置情報を認識できればよい旨を既に述べたが、より好ましくは、請求項3のようにするとよい。
【0022】
請求項3の電子キーシステムでは、携帯機は、情報を表示する表示手段を備え、報知手段は、位置情報受信手段により受信された相対位置情報が表す車両と目標物との相対位置を示す画像を、表示手段に表示させるようになっている。
【0023】
尚、画像としては、絵の画像でもよいし、文字の画像でもよい。
画像によれば、利用者は視覚で相対位置情報を認識できるようになり、このため容易かつ速やかに相対位置情報を理解できるようになる。
【0024】
ここで、車載装置から携帯機に送信されるデータのデータ量は、なるべく小さいほうが好ましい。通信が完了するまでの時間を短縮できたり、携帯機に大容量のメモリを設けなくてもよくなったりするといったメリットがあるためである。
【0025】
そこで、請求項4の電子キーシステムでは、請求項3の電子キーシステムにおいて、報知手段は、位置情報受信手段により受信された相対位置情報から、その相対位置情報が表す車両と目標物との相対位置を示す絵を生成し、該生成した絵を、表示手段に表示させるようになっている。
【0026】
これによれば、車載装置から携帯機に、データ容量の少ない例えば文字データなどを送信するだけで、携帯機においてその文字データが表す絵が表示されるようにすることができる。このため、車載装置から携帯機に送信するデータ量を抑えつつ、携帯機において、利用者がより認識しやすい絵の画像が表示されるという二重の効果を得ることができる。尚、携帯機は、例えば文字を解釈(理解)することで、文字が説明している絵を生成するようにしてもよい。また、例えば予め文字とイラストとを対応付けておき、文字に対応したイラストを読み出してそれらを組み合わせて絵を生成するようにしてもよい。
【0027】
ところで、携帯機から車載装置に要求を出すことで車載装置から携帯機に相対位置情報が送信されると、より使い勝手が向上する。
そこで、請求項5の電子キーシステムでは、携帯機は、相対位置情報を要求する旨を表す要求情報を送信する要求情報送信手段を備え、車載装置は、携帯機から要求情報が送信されてきた場合に、その要求情報を受信する要求情報受信手段を備え、位置情報送信手段は、要求情報受信手段により要求情報が受信された場合に、相対位置情報を送信するようになっている。
【0028】
尚、要求情報送信手段は、自動で要求情報を送信してもよいし、利用者の操作に基づき要求情報を送信するようにしてもよい。
この請求項5の電子キーシステムによれば、次のような場面で有効である。例えば、利用者が車両から離れた後に、車両のスペアキーを所持した身内や友人等が車両を移動させたような場面である。この場合、携帯機に送信されている(そして記憶されている)相対位置情報が表す車両の位置は、車両の実際の現在位置と食い違ってしまうこととなる。しかし、請求項5の電子キーシステムによれば、携帯機から要求情報を送信することで、改めて相対位置情報が車載装置から送信されることとなるため、利用者は正しい相対位置情報(最新の相対位置情報)を取得することができるようになる。
【0029】
また、仮に、何らかの原因で携帯機に相対位置情報が送信されていなかった、或いは携帯機に送信されていたはずの相対位置情報が消えてしまっていた、というような場合でも、利用者は容易に相対位置情報を取得できるようになって便利である。
【0030】
次に、請求項6の電子キーシステムでは、車載装置は、第1周波数帯の電波にて携帯機との通信を行うための第1車載装置側通信手段と、第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波にて携帯機との通信を行うための第2車載装置側通信手段とを備えている。
【0031】
また、携帯機は、第1周波数帯の電波にて車載装置との通信を行うための第1携帯機側通信手段と、第2周波数帯の電波にて車載装置との通信を行うための第2携帯機側通信手段とを備えている。
【0032】
そして、位置情報送信手段は、第1車載装置側通信手段および第2車載装置側通信手段の少なくとも何れかを利用して、相対位置情報を送信し、位置情報受信手段は、第1周波数帯の電波にて相対位置情報が送信されてきた場合には、第1携帯機側通信手段を利用して相対位置情報を受信する一方、第2周波数帯の電波にて相対位置情報が送信されてきた場合には、第2携帯機側通信手段を利用して相対位置情報を受信するようになっている。
【0033】
このような請求項6の電子キーシステムでは、例えば第1周波数帯として、無線通信エリアを車両周辺に制限する周波数帯を選択し、一方で、第2周波数帯として、通信可能距離の大きい周波数帯を選択するようにすることができる。
【0034】
すると、例えば車両周辺では、通信可能距離の短い例えば第1周波数帯の電波で通信を行うことで消費電力を節約し、一方、携帯機が車両から離れている場合には通信可能距離の大きい例えば第2周波数帯の電波で通信を行うことで、通信の確実性を向上させることができる。つまり、消費電力の節約と、通信の確実性の向上という2つの点を両立させることができる。尚、第1周波数帯及び第2周波数帯は、車載装置と携帯機とが通信を行う上で想定される通信距離や通信時に必要となる出力レベル等を考慮して、それぞれ適切な周波数帯が選択されていればよく、その組み合わせは自由である。
【0035】
ここで、請求項6に記載のように、第1周波数帯、第2周波数帯は、具体的には、LF帯、UHF帯であるとよい。
LF帯(例えば100kHz帯)ならば、通信可能距離が車両周辺から3m程度の範囲になり、UHF帯(例えば300MHz〜400MHz帯)ならば、車両周辺から20m程度、さらに、出力レベルによっては、数百〜千m程度の通信距離を確保できる。このような組み合わせならば、通信可能距離を所望の範囲に容易に設定することができる。
【0036】
次に、請求項8の発明は、車両に搭載される車載装置と利用者が携帯する携帯機とが、認証のための無線通信を行う電子キーシステムであって、車載装置は、車両と、該車両周辺の目標物との相対位置の情報を無線送信可能な位置情報送信手段と、利用者により車両の所定箇所が操作された際に、相対位置情報を送信すべきと判断する送信タイミング決定手段と、相対位置情報を要求する旨を表す要求情報を受信する要求情報受信手段とを備えている。
【0037】
携帯機は、車載装置からの相対位置情報を受信する位置情報受信手段と、要求情報を送信する要求情報送信手段と、位置情報受信手段により受信された相対位置情報が表す車両と目標物との相対位置を、周囲に報知する報知手段とを備えている。
【0038】
そして、車載装置と携帯機とは、第1周波数帯と、該第1周波数帯よりは通信可能距離が長い第2周波数帯との2種類の周波数帯で無線通信可能である。
特に、要求情報受信手段と要求情報送信手段とは、要求情報を、第2周波数帯の電波で送受信する。一方、位置情報送信手段は、送信タイミング決定手段により相対位置情報を送信すべきと判断された場合には、第1周波数帯の電波で相対位置情報を送信し、要求情報受信手段により要求情報が受信された場合には、第2周波数帯の電波で相対位置情報を送信するようになっている。
【0039】
尚、送信タイミング決定手段の趣旨は、請求項2の部分で述べた通りであり、要求情報送信手段、要求情報受信手段の趣旨は、請求項4の部分で述べた通りである。
つまり、請求項8の電子キーシステムでは、利用者が車両から降りる際や離れる際、或いは降りる可能性、離れる可能性が高い、という場合には、第1周波数帯の電波で相対位置情報を送受信し、要求情報の送受信がなされた際は、第1周波数帯よりも通信可能距離が長い第2周波数帯で相対位置情報を送受信する。
【0040】
このため、携帯機が車両周辺にある場合は、例えば通信可能距離が短い周波数帯で通信を行って消費電力を節約し、携帯機が車載装置から離れているような場合には、通信可能距離が長い周波数帯で通信を行って通信の確実性を向上させる、という二重の効果を得ることができる。
【0041】
ところで、請求項1〜8の電子キーシステムでは、請求項9のような相対位置情報とするとよい。
請求項9の電子キーシステムでは、相対位置情報は、車両から目標物までの方向及び距離を表す情報であると共に、車両から目標物までの方向は、車両のフロント部を「前」として表される。
【0042】
例えば、利用者は、車両から降りる際などは、自分の車両を中心として周囲を把握するはずである。車両にいながら、車両とは別の場所にある目標物を中心に周囲を把握することはしない(そもそもできない)。
【0043】
そこで、請求項9のように、相対位置情報を、車両から目標物までの方向及び距離を表す情報とすれば、利用者はより簡単に車両の位置を想起(或いは特定)できる。しかも、車両のフロント部を「前」として方向を表せばなおさらである。利用者の視点(例えば停車時の視点)と合致するからである。
【0044】
またさらに、請求項10のように、車両周辺に存在する建築物のうち、車両から最も近い建築物を目標物とすれば、利用者は、目標物を見つけることができさえすれば、より簡単に車両の位置を想起(或いは特定)できるようになる。
【0045】
次に、請求項11の発明は、車両に搭載される車載装置と利用者が携帯する携帯機とが、認証のための無線通信を行うと共に、車載装置は、車両と該車両周辺の目標物との相対位置の情報を送信するようになっている電子キーシステムに用いられる携帯機である。
【0046】
そして、この携帯機は、車載装置から相対位置情報が送信されてきた場合に、その相対位置情報を受信する位置情報受信手段と、位置情報受信手段が受信した相対位置情報が表す車両と目標物との相対位置を、周囲に報知する報知手段とを備えている。
【0047】
このような携帯機を電子キーシステムに用いれば、より簡単な構成で、利用者が車両の位置を想起(或いは特定)できるようになるという請求項1で述べたような効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
〈電子キーシステムの構成〉
以下に説明する電子キーシステムは、車両の正規利用者が所持する特定の携帯機が車両周囲の無線通信エリア内に入ったときにドアのアンロック等の制御を実行する機能(いわゆるスマートエントリー機能)と、携帯機でのボタン操作に応じてドアのロック/アンロック等の制御を実行する機能(いわゆるリモートキーレスエントリー機能)とを兼ね備えたものである。
【0049】
図1は、電子キーシステムの構成を表すブロック図である。この電子キーシステムは、車両に搭載される車載装置1と、携帯機2とによって構成される。
これらの内、車載装置1は、マイコン10、LF送信部11、UHF受信部12、ナビゲーション装置13、エンジンスイッチ15、ドアアンテナ16、室内アンテナ17、トランク内アンテナ18、トランク外アンテナ19などを備えている。
【0050】
LF送信部11は、携帯機2に対し、LF帯の電波にて無線信号を送信する手段で、LF送信部11から送信される無線信号は、4箇所にあるドアアンテナ16、室内アンテナ17、トランク内アンテナ18、およびトランク外アンテナ19を介して、それぞれ限られた通信エリア内に対してのみ到達するようになっている。UHF受信部12は、携帯機2からUHF帯の電波にて送信されてくる無線信号を受信する手段である。
【0051】
ナビゲーション装置13は、周知のGPSを利用して、車両の現在位置、車両の進行方向、および目標地点までの距離や道のりなどを算出する。
本第1実施形態では、ナビゲーション装置13が車両の現在位置を表す情報(本例では特に、後述するように車両と目標物との相対位置を表す情報であり、以下相対位置情報と記載する)を生成すると共に、その相対位置情報を表す信号が、LF送信部11から送信される。また、目標物について、車両から最も近い建物が自動的に目標物として設定されるようになっている。
【0052】
エンジンスイッチ15は、エンジンを始動する際に利用者が操作するスイッチで、利用者がエンジンスイッチ15を操作したことが、エンジンスイッチ15からの信号によって検知された場合、マイコン10はエンジン始動が許可される状態にあるか否かを判断し、エンジン始動が許可される状態にあれば、マイコン10からエンジン制御系へエンジン始動信号が伝達されるようになっている。
【0053】
次に、携帯機2は、制御IC20、LF受信部21、UHF送信部22、プッシュスイッチ25、26、表示器27、スピーカ28などを備えている。
LF受信部21は、車載装置1からLF帯の電波にて送信されてくる無線信号を受信する手段で、UHF送信部22は、車載装置1に対し、UHF帯の電波にて無線信号を送信する手段である。
【0054】
プッシュスイッチ25、26は、主にリモートキーレスエントリー機能を利用するためのトリガーとなるキーとして用意されたもので、ワンプッシュ操作をした場合、プッシュスイッチ25の方はドアのロックが行われ、プッシュスイッチ26の方はドアのアンロックが行われるようになっている。
【0055】
表示器27は、LEDおよびLCDによって構成される。詳しくは後述するが、車載装置1の位置(つまり、車両の位置)を報知する場合に、LCDに画像を表示したりLEDを点滅させたりすることで車両の位置を報知する報知手段として機能するようになっている。
【0056】
スピーカ28は、車両の位置を音で報知する報知手段として機能するものである。すなわち、本第1実施形態において、報知手段としては、上記表示器27とスピーカ28の双方が採用されている。
〈スマートエントリー機能の概要〉
次に、スマートエントリー機能の概要を説明する。
【0057】
車載装置1の各部は、マイコン10に制御されて作動し、その制御下で、LF送信部11は定期的に送信要求信号を発信する。また、携帯機2の各部は、制御IC20に制御されて作動し、携帯機2がLF送信部11からの送信要求信号を受信可能な無線通信エリア内に入った場合、その送信要求信号をLF受信部21が受信する。
【0058】
LF送信部11とLF受信部21との間では、LF帯の電波を利用した信号伝送が行われる。これは、車載装置1と携帯機2との通信エリアを車両周辺に制限するためである。特に、ドアアンテナ16、室内アンテナ17、トランク内アンテナ18、トランク外アンテナ19などからの信号送信を行うことにより、通信エリアをドア近傍、室内、トランク内、トランク外に制限できるので、これにより、携帯機2が例えば他の車両の車載装置からの送信要求信号を受信してしまう可能性を低くすることができる。
【0059】
LF受信部21が車載装置1からの送信要求信号を受信した場合、UHF送信部22は、携帯機2に対応する車両に固有のコードを含んだ応答信号を発信する。そして、車載装置1側では、携帯機2からの応答信号をUHF受信部12が受信する。
【0060】
UHF送信部22とUHF受信部12との間では、UHF帯の電波を利用した信号伝送が行われる。これは、携帯機2の出力レベルが比較的微弱でも相応に通信距離が得られ、車載装置1側へより確実に応答信号を伝達できるからである。
【0061】
UHF受信部12が携帯機2からの応答信号を受信した場合、車載装置1側のマイコン10は、応答信号に含まれていたコードがマイコン10に記憶されているコードと一致しているか否かの認証判定を行い、一致していれば、ドアのアンロックを許可した状態となる。
【0062】
なお、以降は、この種の電子キーシステムにおける周知の制御が実行されることになる。例えば、上記アンロック許可状態で、運転席ドアの外側のドアノブに設けられているタッチセンサ(図示略)からの信号により、人がそのドアノブを触ったことを検知すると、マイコン10は、ドア制御系へアンロック信号を伝送し、その結果、ドアロックモーター(図示略)が駆動され全ドアがアンロック状態になる。また、この他にも、エンジン始動が許可される状態になるなど、様々な制御が行われるが、これらの制御そのものは、本発明の要部とは直接関連しない事項になるので、これ以上の説明は省略する。
〈相対位置情報を携帯機に送信する具体例〉
次に、車載装置1から携帯機2に車両の相対位置情報を送信する具体例について、図2及び図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0063】
まず、相対位置情報の提供側である車載装置1において実行される相対位置情報送信処理について、図2(a)のフローチャートに基づいて説明する。この相対位置情報送信処理は、具体的にはマイコン10が実行し、次のようなタイミングで開始される。利用者が車両から降りるタイミングや車両から離れるタイミング、或いは利用者が車両から降りる・離れる可能性が高いと判断されたタイミングである。尚、そのようなタイミングに該当するか否かの判断も、車載装置1のマイコン10が行う。
【0064】
具体例を挙げると、エンジンスイッチ15がオフされたタイミング、車両が停止したタイミング、車両のシフト位置がパーキングに遷移したタイミング、パーキングブレーキがセットされたタイミング、車両のドアが開いたタイミング、車両のドアが開き(利用者が車から降りて)、ドアが閉じたタイミング、ドアが閉じてさらにロックされたタイミングなどである。また、他には、エンジンスイッチ15がオフされるか、シフト位置がパーキングに遷移するか、パーキングブレーキがセットされた後、更に、車両のドアが開くか、ドアが開いた後(利用者が車から降りて)ドアが閉じるか、ドアが閉じてさらにロックされたタイミング等が考えられる。
【0065】
図2(a)の相対位置情報送信処理で、例えば車両のエンジンスイッチ15がオフされると、マイコン10は、まずS110で、ナビゲーション装置13に、車両の相対位置情報の要求を出力する。すると、ナビゲーション装置13は、後述する図3のS220で相対位置情報を生成し、S230でその相対位置情報をマイコン10に出力する。
【0066】
次に、S120に進み、ナビゲーション装置13から相対位置情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定すると(S120:YES)、S130に移行する。尚、S120で相対位置情報を受信していないと判定すると、再びS120の処理を繰り返す(受信待機)。
【0067】
S130では、ナビゲーション装置13から受信した相対位置情報を、LF送信部11を介して携帯機2に送信する。そしてその後、当該処理を終了する。尚、S130では、正確には、相対位置情報を表す信号を送信するが、以降の説明では、相対位置情報を送受信する、と記載する。
【0068】
上記で幾つか例を挙げたタイミングでは、ほぼ間違いなく利用者は車両周辺にいるため、携帯機2は確実に相対位置情報を受信できる。そして例えば、利用者が車両を降りる際・離れる際において、車両の位置を覚えておこうという意識が欠如していた場合でも、携帯機2には車両の相対位置情報が送信されることとなり安心である。
【0069】
次に、携帯機2において実行される処理について、図2(b)、(c)のフローチャートに基づいて説明する。図2(b)は、相対位置情報の受信に係る処理であり、図2(c)は、相対位置情報の報知に係る処理である。尚、これらの処理は、具体的には、制御IC20が実行する。
【0070】
図2(b)の相対位置情報受信処理において、携帯機2は、車載装置1からの相対位置情報を待ち受けており、まず、S150で、車載装置1からの相対位置情報を受信する。
次に、S160に進み、受信した相対位置情報を携帯機2の図示しないメモリに記憶する。そしてその後、当該処理を終了する。
【0071】
次に、図2(c)の相対位置情報報知処理であるが、この処理は定期的に実行され、携帯機2は、S170で、利用者により当該携帯機2の所定のスイッチ(相対位置情報を携帯機2から報知させるためのスイッチ)が操作されたか否かを判定する。S170で所定のスイッチが操作されていないと判定すると(S170:NO)、そのまま当該処理を終了する。
【0072】
一方、S170で所定のスイッチが操作されたと判定すると(S170:YES)、S180に移行し、前述のS160でメモリに記憶した相対位置情報を読み出して周囲に報知する。そしてその後、当該処理を終了する。尚、報知の方法としては、表示器27のLCDに画像を表示したり、LEDを点滅させたり、スピーカ28から音を発したり、携帯機2を振動させたりするなど、種々の方法が考えられる。この点については後述する。
【0073】
次に、ナビゲーション装置13において実行される処理について、図3を用いて説明する。
ナビゲーション装置13は、マイコン10から出力される相対位置情報の要求を待ち受けており、マイコン10から相対位置情報の要求が出力されると(前述のS110)、まずS210で、その相対位置情報の要求を受信する。尚、前述のように、相対位置情報の要求が例えばエンジンスイッチ15がオフされたタイミングで出力されている場合には、エンジンスイッチ15のオフによりナビゲーション装置13はスリープ状態になっている。スリープ状態とは、所定の起動信号を監視するための必要最低限の機能のみが動作している状態である。本例では、ナビゲーション装置13は、スリープ状態で、相対位置情報の要求を監視できるようになっており、相対位置情報の要求の受信により起動することとなる。ただし、相対位置情報の要求を受信した場合には、相対位置情報を生成するための最小限の機能のみが起動する。
【0074】
次に、S220に進み、車両の相対位置情報を生成する。
ところで、一般的なナビゲーション装置が、車両の現在位置を算出してその現在位置を地図と共に例えば液晶ディスプレイに表示したり、音声にて周囲に通知したりすることはよく知られているところである。本第1実施形態でも、ナビゲーション装置13は、従来のように車両の現在位置を算出する。しかし、そのような従来手法で算出された大容量のデータ(例えば詳細地図を含むデータ、カラーのデータ等)を携帯機2に送信することは現実的でない。通信が完了するまでの時間が長くなってしまうからである。また、携帯機2に大容量のメモリが必要となり、携帯機2の小型化が図れなくなってしまうからである。
【0075】
そこで、ナビゲーション装置13は、S220で、携帯機2への送信用として、データ量の少ない相対位置情報を生成する。尚、相対位置情報の具体的内容については、後ほど詳述する。
【0076】
S220の後は、S230に進み、マイコン10に、S220で生成した相対位置情報を出力する。そしてその後、当該処理を終了する。
ここで、S220の相対位置情報について詳しく説明する。相対位置情報としては、画像データやテキストデータ等が考えられる。ここで、テキストデータとは、文字(記号・符号等も含む)のみを表すデータのことであり、データ形式は問わない趣旨である。
【0077】
画像データとしては、イラスト(絵)を表すデータや、文字画像データがある。
本第1実施形態では、画像データを採用している。尚、テキストデータを採用してもよいことは勿論であり、この場合の例は変形例1として後述する。
【0078】
図4は、画像データを採用した場合の表示器27における表示例である。画像データを用いるメリットとしては、利用者が車両の位置を視覚的に認識しやすい点が挙げられる。
また、本第1実施形態では、以下に例示するような手法で、画像データのデータ量を抑えるようにしている。尚、以下に挙げる手法は一例であり、どのような手法を用いてもよい。
(1)白黒の画像にする。
(2)画像を縮小する(画素データを間引く)。
(3)建物を表すイラストを単純化する(例えば単なる四角にする)。
(4)建物のイラストのみとする(建物の名称などは省略する)。
(5)逆に、建物の名称のみとする(建物の図などは省略する)。
(6)目標物と車両との位置関係を表すのみのイラストとする(道路地図等は省略する)。
(7)車両のイラストを省略する。この場合、「画像の中心を車両の現在位置とする」と
いうようなルールを決めておくことで、車両の画像がなくても、利用者は車両と目標物との相対位置が分かるようになる。
【0079】
ここで、図4(a)は、車両および目標物のイラストを、地図と共に表示するようにした例であり、例えば上記(1)、(2)を適用している。図4(a)のように、地図が表示されるようにすれば、車両と目標物との方向及び距離を具体的に表示しなくても、利用者は車両の位置を想起し、ひいては特定することができる。尚、図4(a)において、建物の形を単なる四角にしてもよい(上記(3)を適用)し、「XX商店」の文字データを省略してもよい(上記(4)を適用)。
【0080】
次に、図4(b)は、建物のイラストを単純化し(上記(3)を適用)、地図を省略した例である(上記(6)を適用)。この場合、図4(b)のように、例えば目標物から車両までの方向及び距離を表示するようにすることが好ましい。
【0081】
次に、図4(c)は、図4(b)と同じく上記(6)を適用した例であるが、特に、車両を中心として、車両から目標物までの方向及び距離を表示するようにした例である。方向は、車両のフロント部を「前」として表している。利用者は、車両を駐車場にとめた際にはその車両を中心として周囲を把握するのであるから、図4(c)のような例によれば、利用者は車両の位置を想起或いは特定しやすくなる。またこの例では、目標物として、XX商店と、YY百貨店との2つを設定している。このため、利用者にとってより分かりやすくなる。
【0082】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、利用者が車両から降りる際、或いは離れる際、さらには、車両から降りる可能性、離れる可能性が高いという場合に、車載装置1で車両とその車両周辺の目標物との相対位置を表す相対位置情報が生成され、その相対位置情報が利用者の所持する携帯機2に送信される。このため、利用者が例えば車両から降りる際・離れる際にうっかり車両の位置を覚えておくことを忘れていた場合、或いは覚えた位置を失念した場合でも、利用者は、携帯機2に表示される相対位置情報を参照することで、車両の位置を容易に想起でき、難なく車両に辿り着けるようになる。
【0083】
特に、本第1実施形態では、車両と目標物との相対位置情報を生成するようにしており、携帯機2自体の位置は分からなくてもよいため、携帯機2の位置を算出するための構成を設けなくてもよくなる。よって、車載装置1および携帯機2の大きさが大きくなってしまうことを防止できる。換言すれば、携帯機2の小型化を図ることができ、利用者の使い勝手が向上する。
【0084】
また、相対位置情報がイラストで表示されるため、利用者は車両の位置を視覚的に容易に認識することができるようになり、車両の位置を容易に理解できる。
尚、本実施形態において、S130の処理が位置情報送信手段に相当し、S150の処理が位置情報受信手段に相当し、S180の処理、表示器27、およびスピーカ28が報知手段に相当し、表示器27の特にLCDが表示手段に相当し、マイコン10が送信タイミング決定手段に相当している。
〈変形例1〉
ここで、上記第1実施形態において、テキストデータを採用した変形例1について説明する。
【0085】
図5に、テキストデータを採用した場合の表示器27における表示例を示す。テキストデータを用いるメリットとしては、画像データと比較してデータ量を抑えることができる、という点が挙げられる。
【0086】
テキストデータを用いる場合、少なくとも、車両と目標物との位置関係を表す方向及び距離が分かればよい。例えば、例1:「目標物より西南西100m」、という例が考えられる。
【0087】
ところで、テキストデータの場合、情報が文字のみであるので、目標物の名称を表示することが好ましい。また、複数の目標物を設定した場合には、目標物毎の名称が必要である。
【0088】
そこで、図5(a)のように、目標物の名称が含まれるようにするとよい。つまり、例2:「XX商店より西南西100m」というテキストデータを生成するとよい。複数の目標物を設定した場合は、その例2に加え、さらに、例3:「YY百貨店より北150m」というテキストデータを付与することが考えられる。
【0089】
さらに、前述のように、車両のフロント部分を「前」として、車両からみた目標物に対する方向及び距離を表すテキストデータでもよい。
例えば、例4:「右斜め後方100m目標物」、というテキストデータが考えられる。例4において建物名称を付与すれば、例5:「右斜め後方100mXX商店」となり、さらに複数の目標物がある場合は、例5にさらに、例6:「左方向150mYY百貨店」というテキストデータを付与すればよい。例5および例6を表示するようにした例が、図5(b)である。
【0090】
テキストデータのみの場合でも、利用者は、目標物は比較的容易に把握できると思われる。例えば、利用者が駐車場周辺の環境をよく知っていれば、その利用者にとって目標物の位置は簡単に分かる。また、利用者が周辺をよく知らない場合でも、看板や外観(具体的に、例えばサービスマークやイメージカラー)等から、所望の建物を見つけることはさほど難しくないと思われる。そうすると、テキストデータのみでも、利用者が車両の位置を想起するには充分であると考えられる。
【0091】
このような本変形例1によれば、車載装置1から携帯機2に送信されるデータ量を抑えることができ、例えば携帯機2に大容量のメモリを設けたりする必要がなくなって有利である。また、データの送受信もすぐ終わるため、確実にデータが送受信されるようにすることができる。
【0092】
またここで、上記第1実施形態(変形例1を含む)においては、以下に説明する変形例2のように構成することができる。
〈変形例2〉
変形例2では、携帯機2は、相対位置情報を、さらに音、光、振動でも報知する。
【0093】
例えば、表示器27が備えるLEDを点灯させると共にその点滅パターンを変化させたり、スピーカ28から音を発したり、図示しない振動機構で携帯機2全体を振動させると共にその振動パターンを変化させたりすることで、車両と目標物との相対位置を表す方向及び距離を報知する。
【0094】
例えば音としては、声を表す音(音声)やメロディーなどがある。音声の例では、具体的には、上記のようなテキストデータが読み上げられる。メロディーの例では、メロディーパターンにより方向や距離を表す。
【0095】
また、光・振動の例では、例えば、0.5秒間の点灯・振動が1回なら北、2回なら南、1秒間の点灯・振動が1回なら東、2回なら西、というようにして、東西南北を報知する。以下、特に例示しないが、同様にして距離も報知することができる。尚、細かい方角や距離を全て表す場合には、点灯・振動パターンが多数種類必要となるため、その点灯・振動パターンの種類を抑えるために、おおまかな方角及び距離を報知する趣旨でもよい。また、例えばモールス信号のルールに従い、点灯・振動させるようにしてもよい。
【0096】
本変形例2によれば、利用者は、わざわざ携帯機2を取り出して表示器27(LCD)を参照しなくても、相対位置情報が分かるようになる。例えば、携帯機2をズボンのポケットに入れておくなどしておけば、両手が荷物でふさがったとしても、携帯機2からの音(音声)を聞いたり振動パターンを感じとったりして、相対位置情報を認識し、車両の位置を容易に想起できるようになる。このため、利便性が格段に向上する。
【0097】
また、暗い場所でLCDの表示画像が分からない場合でも、利用者は、音(音声)や、点灯・振動パターンにより相対位置情報を認識して、車両の位置を想起できるようになる。よって、暗がりで車両が発見できなくなってしまうこともない。またこのため、敢えてLCDのバックライトを設けないようにして、携帯機2のコストや大きさを抑えることもできるであろう。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0098】
ただし、第2実施形態は、上記第1実施形態の一部を別の構成に変更したものなので、以下の説明においては、第1実施形態との相違点に相当する部分を中心に説明し、同等な構成となる部分に関しては、その説明を省略する。
〈電子キーシステムの構成〉
図6は、第2実施形態の電子キーシステムの構成を表すブロック図である。
【0099】
本第2実施形態の電子キーシステムは、第1実施形態の電子キーシステムと比較して、制御IC20がマップ生成部24を備えている点が異なっている。
このマップ生成部24は、LF受信部21により受信された相対位置情報から、車両の位置を表すマップ(イラスト)を生成する手段である。
【0100】
ここで、第1実施形態では、画像データ及びテキストデータの何れを採用してもよい旨を記載した。
一方、本第2実施形態では、携帯機2がマップ生成部24を備えているため、車載装置1から携帯機2に例えばテキストデータが送信されるようにしておけば充分である。マップ生成部24は、テキストデータからマップ(画像)を生成できるためである。このため、本第2実施形態では、テキストデータを採用している。
【0101】
具体的に、マップ生成部24は、図5(b)のようなテキストデータから、図4(c)のようなマップ(画像)を生成する。つまり、マップ生成部24は、テキストデータから車両と目標物との相対位置関係を認識し、その相対位置関係を表すイラストを生成する。
【0102】
本第2実施形態によれば、車載装置1から携帯機2に例えばテキストデータを送信するのみで、携帯機2においてイラストが表示されるようにすることができる。よって、車載装置1と携帯機2との通信に要する時間を短縮させたり、携帯機2のメモリ容量を抑えたりすることができるという利益を享受しつつ、携帯機2にイラストが表示されるようにして利用者の利便性を向上させることができるという二重の効果を得ることができる。
【0103】
尚、本第2実施形態において、上記第1実施形態の報知手段の構成にマップ生成部24を加えた構成が、請求項4の報知手段に相当している。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0104】
ただし、第3実施形態は、上記第1実施形態の一部を別の構成に変更したものなので、以下の説明においては、第1実施形態との相違点に相当する部分を中心に説明し、同等な構成となる部分に関しては、その説明を省略する。
〈電子キーシステムの構成〉
図7は、第3実施形態の電子キーシステムの構成を表すブロック図である。
【0105】
本第3実施形態の電子キーシステムは、第1実施形態の電子キーシステムと比較して、車載装置1がUHF送信部14を備えている点、および、携帯機2がUHF受信部23と送受信切り替えスイッチ29とを備えている点が異なっている。
【0106】
また、車載装置1が図2(a)の処理に加え図8(a)の処理を実行し、携帯機2が図2(b)、(c)の処理に加え図8(b)の処理を実行する点が異なっている。
UHF送信部14は、LF送信部11の代替手段ではなく、LF送信部11およびUHF送信部14の何れかが、携帯機2に対して相対位置情報を送信する手段として機能する。
【0107】
UHF受信部23は、車載装置1からUHF帯の電波で送信されてくる相対位置情報を受信するために設けられたものである。上述の通り、本第3実施形態において、相対位置情報は、LF送信部11或いはUHF送信部14の何れかから送信されてくるので、これに対応して、携帯機2側では、LF受信部21およびUHF受信部23の双方が、相対位置情報を受信する手段として機能する。
【0108】
送受信切り替えスイッチ29は、制御IC20によって切り替え制御が行われるスイッチで、この送受信切り替えスイッチ29で、UHF送信部22による送信を行うかUHF受信部23による受信を行うかが切り替えられるようになっている。
〈相対位置情報を携帯機に送信する具体例〉
次に、車載装置1から携帯機2に相対位置情報を送信する具体例について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0109】
まず、車載装置1において実行される要求情報受信処理について、図8(a)のフローチャートに基づき説明する。尚、この処理は、具体的には、マイコン10が実行する。
車載装置1は、携帯機2から送信される相対位置情報の要求(図8(b)のS360)を待ち受けており、携帯機2から相対位置情報の要求が送信されると、まず、S310で、その携帯機2から送信された相対位置情報の要求を受信する。尚、利用者が携帯機2の図示しない所定のスイッチ(要求が送信されるようにするためのスイッチ)を操作することで、相対位置情報の要求が送信されるようになっている。
【0110】
次に、S320に移行し、ナビゲーション装置13に、相対位置情報の要求を送信する。尚、ナビゲーション装置13は、図3と同じ処理を実行するようになっている。つまり、ナビゲーション装置13で相対位置情報が生成され(S220)、マイコン10に送信されるようになっている(S230)。
【0111】
マイコン10は、S320の処理の後S330に進み、ナビゲーション装置13から相対位置情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定すると(S330:YES)、S340に移行する。一方、S330でナビゲーション装置13から相対位置情報を受信していないと判定すると(S330:NO)、再びS330の処理を繰り返す(受信待機)。
【0112】
S340では、相対位置情報を携帯機2に送信する。この際、UHF送信部14を介して、つまりUHF帯の電波を利用して送信する。携帯機2から相対位置情報の要求が送信される場合とは、前述のように利用者が携帯機2を操作した場合であり、このような場合、携帯機2が車両から離れた場所にある可能性が高いためである。そこで、確実に通信が成立するように、UHF帯の電波を利用する。そして、S340の処理の後、当該処理を終了する。
【0113】
次に、携帯機2において実行される要求情報送信処理について、図8(b)のフローチャートに基づき説明する。尚、この処理は、具体的には、制御IC20が定期的に実行する。
【0114】
携帯機2は、まず、S350で、利用者により所定のスイッチ(要求が送信されるようにするためのスイッチ)が操作されたか否かを判定し、操作されていないと判定すると(S350:NO)、そのまま当該処理を終了する。
【0115】
一方、S350で所定のスイッチが操作されたと判定すると、S360に移行し、相対位置情報の要求を送信する。
次に、S370に進み、車載装置1から相対位置情報を受信したか否かを判定し、受信していないと判定すると(S370:NO)、再びS370の処理を繰り返す(受信待機)。
【0116】
一方、S370で相対位置情報を受信したと判定すると(S370:YES)、S380に移行し、相対位置情報を周囲に報知する。そしてその後、当該処理を終了する。
つまり、本第3実施形態では、相対位置情報の報知に関し、以下の2パターンがある。
【0117】
第1に、携帯機2から相対位置情報を要求せず、車載装置1から携帯機2に自動的に相対位置情報が送信された場合(例えば利用者が車両から降りる際や離れる際)には、携帯機2はその相対位置情報を一旦メモリに記憶しておき、その後、その記憶しておいた相対位置情報を利用者の操作に基づき読み出して周囲に報知する。尚、これは、第1実施形態の内容に相当する。
【0118】
第2に、携帯機2から車載装置1に要求を送信することで、携帯機2が車載装置1から相対位置情報を受信した場合(例えば利用者が車両を探索している際)には、その受信した相対位置情報を、特にメモリに保存することなく速やかに報知する。
【0119】
ところで、上記第1のパターンのように、本第3実施形態においても、例えば利用者が車両から離れる際に、車載装置1から携帯機2に相対位置情報が自動的に送信されるため、上記第2のパターンの場合のようにわざわざ利用者が携帯機2を操作して、車載装置1に相対位置情報を要求する必要はないと思われるかもしれない。
【0120】
しかし、例えばスペアキーを所持した身内や友人等が、車両を移動させる場合もある。また、駐車場によっては、管理人が適宜車両の場所を移動させる場合もある。つまり、利用者が車両をとめた後、その車両の位置が変化してしまう場合も想定される。
【0121】
そこで、本第3実施形態のように、利用者からの要求(携帯機2からの要求)に応じて、相対位置情報が車載装置1から携帯機2に送信されるように構成しておけば、車両の位置が変化してしまった場合でも、利用者は問題なく車両の位置が分かるようになる。
【0122】
また、本第3実施形態では、車載装置1はUHF送信部14を有しているが、このUHF送信部14は車載装置1の既存の構成に追加するだけでよくなっており、車載装置1の構成や配線を変更しなくてもよい。
【0123】
尚、本第3実施形態において、S310の処理が要求情報受信手段に相当し、S360の処理が要求情報送信手段に相当し、LF送信部11が第1車載装置側通信手段に相当し、UHF受信部12、およびUHF送信部14が第2車載装置側通信手段に相当し、LF受信部21が第1携帯機側通信手段に相当し、UHF送信部22、およびUHF受信部23が第2携帯機側通信手段に相当している。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
【0124】
ただし、第4実施形態は、上記第3実施形態の一部を別の構成に変更したものなので、以下の説明においては、第3実施形態との相違点に相当する部分のみ説明する。
上記第3実施形態では、既存のUHF受信部12に加え、新たにUHF送信部14を設ける旨を説明した。
【0125】
一方、第4実施形態では、これらUHF受信部12およびUHF送信部14に代えて、図9(a)に示す車載装置1のように、UHF送受信部31を設けている。
このUHF送受信部31は、図9(b)に示すように、内部的にUHF受信部32とUHF送信部33とを備えた構造になっていて、UHF受信部32による受信を行うかUHF送信部33による送信を行うかが、送受信切り替えスイッチ34で切り替えられるようになっている。
【0126】
このようなUHF送受信部31の構成によれば、UHF帯の電波を送信する場合と受信する場合とで、アンテナを共用することができる。また、UHF受信部32とUHF送信部33とを一体化することで、ユニット(UHF送受信部31)の大きさを抑えることができる。よって、車載装置1全体の大きさを抑えることができ有利である。
【0127】
尚、本第4実施形態において、UHF送受信部31が第2車載装置側通信手段に相当している。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
【0128】
例えば、上記実施形態では、車両周辺の建物のうち、車両から最も近い建物が自動的に目標物として選択されるようになっているが、選択の基準は問わない。例えば最も大きい(敷地面積が大きい)建物が目標物として選択されても良いし、最も高さが高い建物が目標物として選択されてもよい。さらに、利用者がナビゲーション装置13を操作することで、その利用者が所望の建物等を目標物として設定できるようにしてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、目標物が1つ又は2つである場合の例を示しているが、目標物は3つ以上選択されてもよい。
また、上記実施形態では、ナビゲーション装置13がデータ量の少ない画像データを生成する(S220)ようにしているが、車載装置1のマイコン10が生成するようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施形態において、画像データ及びテキストデータの両方ともが生成され、その画像データ及びテキストデータの両方ともが、携帯機2の表示器27に表示されるようにしてもよい。この場合、具体的に、画像データとテキストデータとが交互に表示器27に表示されるようにすればよい。
【0131】
また、上記実施形態では、ナビゲーション装置13は、マイコン10から相対位置情報の要求を受信すると、相対位置情報を生成するようになっているが、相対位置情報を生成するタイミングは、どのようなタイミングでもよい。例えば、定期的に相対位置情報を生成してメモリに格納しておくようにしておき、マイコン10から相対位置情報の要求を受信した際に、そのメモリから相対位置情報を読み出してマイコン10に送信するような構成でもよい。
【0132】
また、上記変形例2では、イラストやテキストの表示に加え、さらに音、光、振動で相対位置情報を報知する旨を述べたが、音、光、振動の何れか(或いは複数)のみを用いて、相対位置情報を報知するようにしてもよい。
【0133】
また、上記第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせてもよい。つまり、携帯機2が、マップ生成部24と、UHF受信部23と、送受信切り替えスイッチ29とを有し、車載装置が、UHF送信部14を有している構成でもよい。
【0134】
また、例えば上記第3実施形態において、相対位置情報の要求は、利用者がプッシュスイッチ25、26を操作した際の指令信号(例えば、ドアのロックやアンロックを指令するための信号)、或いはエンジン始動を指令するための指令信号等に乗せて送信されるようにしてもよい。また、車載装置1からの相対位置情報は、携帯機2からの指令信号に対する応答信号に乗せて送信されるようにしてもよい。
【0135】
携帯機2から指令信号が送信される場合というのは、利用者がまさに車両に搭乗しようとしている場合と考えられ、少なくとも利用者は車両に向かっているはずである。このような場合に、車載装置1からの応答信号に相対位置情報を含ませることで、利用者は速やかに車両の位置が分かるようになり、ひいてはすぐに車両に搭乗して次の目的地に向かうことができる。
【0136】
尚、利用者が携帯機2を操作して上記のような指令信号を送信する場合においては、利用者は車両の位置を把握しているものである、と思われるかもしれないが、一概にそうでもない。例えば、エンジン始動を指令するための指令信号をとりあげると、冬季で暖気運転が必要な場合、或いは冬季でなくても暖気運転を重用視するような利用者は、車両の位置を把握できていなくてもとりあえずエンジンを始動しようとするであろう。このような場合、応答信号に相対位置情報を含ませることは非常に有効である。
【0137】
また、上記第3実施形態において、S340では、さらにLF帯の電波も利用して、相対位置情報を送信するようにしてもよい。具体的に、UHF帯とLF帯とで交互に相対位置情報を送信する構成が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】第1実施形態の電子キーシステムの構成図である。
【図2】車載装置のマイコンが実行する処理と、携帯機の制御ICが実行する処理のフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置が実行する処理のフローチャートである。
【図4】携帯機の表示器に表示される画像(イラスト)の例である。
【図5】携帯機の表示器に表示されるテキストの例である。
【図6】第2実施形態の電子キーシステムの構成図である。
【図7】第3実施形態の電子キーシステムの構成図である。
【図8】第3実施形態の車載装置のマイコンが実行する処理と、携帯機の制御ICが実行する処理のフローチャートである。
【図9】第4実施形態の電子キーシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0139】
1…車載装置、2…携帯機、10…マイコン、11…LF送信部、12…UHF受信部、13…ナビゲーション装置、14…UHF送信部、15…エンジンスイッチ、16…ドアアンテナ、17…室内アンテナ、18…トランク内アンテナ、19…トランク外アンテナ、21…LF受信部、22…UHF送信部、23…UHF受信部、24…マップ生成部、25,26…プッシュスイッチ、27…表示器、28…スピーカ、29…送受信切り替えスイッチ、31…UHF送受信部、32…UHF受信部、33…UHF送信部、34…送受信切り替えスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置と利用者が携帯する携帯機とが、認証のための無線通信を行う電子キーシステムであって、
前記車載装置は、
前記車両と、該車両周辺の目標物との相対位置の情報を無線送信可能な位置情報送信手段を備え、
前記携帯機は、
前記車載装置から前記相対位置情報が送信されてきた場合に、その相対位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報受信手段により受信された相対位置情報が表す前記車両と前記目標物との相対位置を、周囲に報知する報知手段と
を備えていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、
前記車載装置は、
利用者により前記車両の所定箇所が操作された際に、前記相対位置情報を送信すべきと判断する送信タイミング決定手段を備え、
前記位置情報送信手段は、前記送信タイミング決定手段により前記相対位置情報を送信すべきと判断された際、前記相対位置情報を送信するようになっており、さらにその相対位置情報が前記携帯機に保存されるようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子キーシステムにおいて、
前記携帯機は、
情報を表示する表示手段を備え、
前記報知手段は、前記位置情報受信手段により受信された相対位置情報が表す前記車両と前記目標物との相対位置を示す画像を、前記表示手段に表示させるようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の電子キーシステムにおいて、
前記報知手段は、前記位置情報受信手段により受信された相対位置情報から、その相対位置情報が表す前記車両と前記目標物との相対位置を示す絵を生成し、該生成した絵を、前記表示手段に表示させるようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の電子キーシステムにおいて、
前記携帯機は、
前記相対位置情報を要求する旨を表す要求情報を送信する要求情報送信手段を備え、
前記車載装置は、
前記携帯機から前記要求情報が送信されてきた場合に、その要求情報を受信する要求情報受信手段を備え、
前記位置情報送信手段は、前記要求情報受信手段により前記要求情報が受信された場合に、前記相対位置情報を送信するようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の電子キーシステムにおいて、
前記車載装置は、
第1周波数帯の電波にて前記携帯機との通信を行うための第1車載装置側通信手段と、
前記第1周波数帯とは異なる第2周波数帯の電波にて前記携帯機との通信を行うための第2車載装置側通信手段とを備え、
前記携帯機は、
前記第1周波数帯の電波にて前記車載装置との通信を行うための第1携帯機側通信手段と、
前記第2周波数帯の電波にて前記車載装置との通信を行うための第2携帯機側通信手段とを備え、
前記位置情報送信手段は、前記第1車載装置側通信手段および前記第2車載装置側通信手段の少なくとも何れかを利用して、前記相対位置情報を送信し、
前記位置情報受信手段は、前記第1周波数帯の電波にて前記相対位置情報が送信されてきた場合には、前記第1携帯機側通信手段を利用して前記相対位置情報を受信する一方、前記第2周波数帯の電波にて前記相対位置情報が送信されてきた場合には、前記第2携帯機側通信手段を利用して前記相対位置情報を受信するようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の電子キーシステムにおいて、
前記第1周波数帯は、LF帯及びUHF帯のうちの何れか一方であり、
前記第2周波数帯は、LF帯及びUHF帯のうち、前記第1周波数帯とは異なる方であることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項8】
車両に搭載される車載装置と利用者が携帯する携帯機とが、認証のための無線通信を行う電子キーシステムであって、
前記車載装置は、
前記車両と、該車両周辺の目標物との相対位置の情報を無線送信可能な位置情報送信手段と、
利用者により前記車両の所定箇所が操作された際に、前記相対位置情報を送信すべきと判断する送信タイミング決定手段と、
前記相対位置情報を要求する旨を表す要求情報を受信する要求情報受信手段とを備え、
前記携帯機は、
前記車載装置からの前記相対位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記要求情報を送信する要求情報送信手段と、
前記位置情報受信手段により受信された相対位置情報が表す前記車両と前記目標物との相対位置を、周囲に報知する報知手段とを備え、
前記車載装置と前記携帯機とは、第1周波数帯と、該第1周波数帯よりは通信可能距離が長い第2周波数帯との2種類の周波数帯で無線通信可能であり、
前記要求情報受信手段と前記要求情報送信手段とは、前記要求情報を、前記第2周波数帯の電波で送受信し、
前記位置情報送信手段は、前記送信タイミング決定手段により前記相対位置情報を送信すべきと判断された場合には、前記第1周波数帯の電波で前記相対位置情報を送信し、前記要求情報受信手段により前記要求情報が受信された場合には、前記第2周波数帯の電波で前記相対位置情報を送信するようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の電子キーシステムにおいて、
前記相対位置情報は、前記車両から前記目標物までの方向及び距離を表す情報であると共に、車両から目標物までの方向は、前記車両のフロント部を「前」として表されることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の電子キーシステムにおいて、
前記相対位置情報送信手段は、前記車両周辺に存在する建築物のうち、車両から最も近い建築物を前記目標物として選択するようになっていることを特徴とする電子キーシステム。
【請求項11】
車両に搭載される車載装置と利用者が携帯する携帯機とが、認証のための無線通信を行うと共に、前記車載装置は、前記車両と該車両周辺の目標物との相対位置の情報を送信するようになっている電子キーシステムに用いられる前記携帯機であって、
前記車載装置から前記相対位置情報が送信されてきた場合に、その相対位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報受信手段が受信した相対位置情報が表す前記車両と前記目標物との相対位置を、周囲に報知する報知手段と
を備えていることを特徴とする携帯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−213514(P2008−213514A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49558(P2007−49558)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】