説明

電子デバイスの製造方法

【課題】電子部品と外部電極との導通を安定して保ち、且つ、容易に貫通電極を形成可能な電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】電子デバイスの製造方法において、ベース材9の上下何れか一方の面に窪みを形成する工程(a)と、窪みに金属粒子21を充填する工程(b)と、ガラスよりも融点の低い金属粒子21を加熱して溶融させる工程(c)と、少なくとも窪みの底面が外部へ露出するようにベース材9を研磨することにより、研磨後のベース材9に金属粒子21に基づく貫通電極20を備えたベース10を形成する工程(d)と、を含むように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子や圧電素子に代表される電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は周波数特性に優れているため、デバイス、具体的にプリント基板実装部品の一つとして多用されている。ここで、上記水晶振動子の特性を安定させるには、外気の影響を遮断する必要があるので、密封容器に入れることが望ましい。このようなパッケージ構造の例としては、後述の「ガラス−セラミック複合体およびそれを用いたフラットパッケージ型圧電部品」などが知られている(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載のパッケージは、ベースに水晶振動子片を納め、キャップを被せてなる電子デバイスにおいて、水晶振動子片とほぼ同じ熱膨張率の材料であるセラミックとガラス粉末とを混合したものを用いて、パッケージが構成されることを特徴とする。しかし、このパッケージは、ガラス−セラミック複合体であるため、1個のベースに水晶振動子片を載せ、キャップを被せることによる単品生産によってなるため、生産性が著しく低い。加えて、このパッケージは、ガラス−セラミック複合体の加工が難しいため、生産コストが嵩む。
【0004】
これらの欠点を解消するべく、パッケージを加工容易なガラスで製造する方法が提案されており、一例として、後述の「電子部品パッケージ」などが知られている(特許文献2)。
【0005】
図6を用いて特許文献2記載の電子部品パッケージの概要を説明する。当該電子部品パッケージでは、ベース110に貫通孔を作製する工程(a)、貫通孔に低融点ガラスを流し込み、金属ピン120をはめ込む工程(b)、金属ピン120を押し込むと共に、ガラス板を凹状に加工する工程(c)、電極130を印刷によって形成する工程(d)、水晶振動子等の部品140を金属ピン120に搭載する工程(e)、封止材150を介してキャップ160とベース110を封止接合する工程(f)を経て、電子デバイス100が製造されている。ここで、(c)の工程において、加熱温度をガラスの軟化点温度(約1000℃)以上にしてガラスを溶着させることで、ベース110に密着固定した金属ピン120を得ることができるため、(f)の工程で確実に機密性を保つことが可能となり、低コストで電子デバイス100を製造できるというものである。
【0006】
また、パッケージを加工容易なガラスで製造する他の例として、後述の「電子デバイスおよび製造方法」が知られている(特許文献3)。
【0007】
図7を用いて特許文献3記載の電子デバイスの概要を説明する。当該電子デバイス200では、絶縁基板208a,208bの貫通孔203a,203bに形成する貫通電極206a,206bとして、金属と無機材料からなる混合部材204a,204bと、金錫からなる合金部材205a,205bとから構成し、混合部材204a,204bを合金部材205a,205bにより蓋をするように構成した。これにより、貫通電極206a,206bの密閉性が向上するとともに、混合部材204a,204bと貫通孔203a,203bの側壁との間の接合性が向上し、かつ、混合部材204a,204bの空孔が充足されて外部からの不純物や水分の浸入が防止されるので密閉性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−302034号公報
【特許文献2】特開2003−209198号公報
【特許文献3】特開2011−40499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のパッケージには、以下の問題がある。まず、特許文献2記載のパッケージにおいて、金属ピン120が短い場合や、または、押し込み量が少ない場合には、金属ピン120が低融点ガラスに包まれてしまう。このため、工程(d)で形成する電極130と金属ピン120との電気的接続が十分に確保できないという問題がある。また、仮に設計通りに金属ピン120を押し込めたとしても、ベース110がガラスの軟化点以上の温度にさらされているため、ガラスが金属ピン120の先端をカバーする可能性がある。さらには、金属ピン120が約1000℃の温度にさらされる結果、金属ピン120の周囲で酸化膜が成長し、電極130と電子部品140とが導通しなくなるという課題もある。また、特許文献3記載のパッケージでは、金属と無機材料からなる混合部材204a,204bを貫通電極206a,206bに用いているため、抵抗が高くなるという問題がある。そこで、本発明の課題は、これらの問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、電子デバイスの製造方法であって、ガラス製のベース材の上下何れか一方の面に窪みを形成する工程と、前記窪みに金属粒子を充填する工程と、前記ガラスよりも融点の低い金属粒子を加熱して溶融させる工程と、少なくとも前記窪みの底面が外部へ露出するように前記ベース材を研磨することにより、研磨後のベース材に前記金属粒子に基づく貫通電極を備えたベースを形成する工程と、前記ベースの上下何れか一方の面に、前記貫通電極の一端と当接するように内部配線を形成する工程と、前記内部配線と電気的に導通するように前記ベースに電子部品を実装する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法であって、前記金属粒子は複数種類の金属から構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子デバイスの製造であって、前記金属粒子は複数種類の粒子径からなる粒子が混在してなることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電子デバイスの製造方法であって、前記金属粒子は直径1〜100ナノメートルの粒子径からなる粒子を含み、当該金属粒子を構成する金属は、前記ガラスよりも融点が高いことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法であって、1つの前記ベース上に複数の電子デバイスを一括形成した後、前記電子デバイスを個片化する工程を備えることを特徴とする。これにより、本発明に係る電子デバイスを一括で製造することができ、電子デバイスの大量生産における製造時間及び工程の短縮及び低コスト化が図れる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法であって、前記ベースと接合可能であり、接合した状態で前記ベースとともに外気と遮断された空洞部を形成するカバーを、前記ベースに接合して前記電子部品を前記空洞部に密封する工程と、前記ベースの前記内部配線が形成された面と対向する面に、前記貫通電極の他端と当接するように外部電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、貫通電極を形成する上で、ベース材に形成された窪みに金属粒子を充填した後、その金属粒子を加熱して溶融させる工程を用いており、金属ピンをはめ込む/押し込む工程を用いない。そのため、本発明では、金属ピンが低融点ガラスに包まれる事態や金属ピンの周囲に酸化膜が形成されるなどの事態を避けることができるので、電子部品と外部電極との電気的導通を安定して保つことができる。さらに、本発明では、金属粒子としてガラスよりも融点の低いものを用いているので、ガラス製のベース材がガラスの軟化点以上の温度にさらされることもない。加えて、本発明では、窪みに金属粒子を充填して溶融し、ベース材を研磨するだけで容易に貫通電極を形成することができる。
【0017】
したがって、本発明は、電子部品と外部電極との導通を安定して保ち、且つ、容易に貫通電極を形成できる電子デバイスの製造方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る電子デバイスの断面図である。
【図2】本発明に係る電子デバイスの製造工程を示す図である。
【図3】本発明に係る電子デバイスの貫通電極部分の拡大断面図である。
【図4】本発明に係る電子デバイスの貫通電極部分の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電子デバイスの別の製造工程を示す図である。
【図6】従来例の電子デバイスの製造工程を示す図である。
【図7】従来例の電子デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電子デバイスの製造方法の第1の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る電子デバイスの断面図である。電子デバイス1は、ガラス製のベース10及びカバー60で囲まれた、外気と遮断された空洞部に電子部品50が搭載されている。そして、電子部品50は、実装部40、内部配線30、貫通電極20を介して、基板に実装される端子である外部電極70と電気的に接続されている。ここで、カバー60としては、ガラス製に限らず、例えば、電子デバイス1が圧力センサなどのMEMSデバイスの場合はシリコン製のもの等を用いることができる。また、カバー60はアルミ製のものを用いることもできる。
【0020】
図1に示す電子デバイス1は、電子部品50として音叉型の水晶振動子片を搭載した水振動子、圧電素子、半導体回路、LED、各種センサなど、ベース10上に搭載可能な各種の電子部品を搭載したものを含む。また、電子デバイス1は、電子部品としてLEDなどを搭載する場合、カバー60を有しなくてもよい。
【0021】
貫通電極20は、例えば、AuSnなどの合金である。当該貫通電極20は、ベース10の高さ方向に亘って当該ベース10を上下に貫くように設けられ、両端部に連接された内部配線30と外部電極70とを電気的に接続する。
【0022】
内部配線30、外部電極70は、それぞれ金属膜で形成され、最表面が金、銀、白金等の貴金属を使用した層状からなる。ここで、貴金属は、イオン化傾向が小さく、耐腐食性があるため、内部配線30、外部電極70の長期的劣化を抑えることができるので、本願発明を用いた電子デバイス1の信頼性を向上させることができる。当該内部配線30、外部電極70は、各々ベース10(及び貫通電極20)の上下端部に配設される。なお、金属拡散を防ぐための拡散防止層として、貴金属で形成された表面層の下地にニッケル等の金属層を形成しても良い。また、内部配線30、外部電極70は、同一の材料を用いて形成することもできるが、異なる材料を用いて形成してもよい。
【0023】
ところで、内部配線30、外部電極70の形成方法には、スパッタ法が一般的である。ただし、内部配線30、外部電極70は、めっき法を用いて形成してもよい。
【0024】
また、内部配線30の上面に形成した、内部配線30と電子部品50とを接続する実装部40は、例えば銀ペースト等の導電接着剤を用いることができる。その場合、内部配線30と電子部品50とは、接続部である銀ペースト等の導電接着剤(実装部40)を焼成して接合される。しかし、電子部品50の構成によっては、接続部として導電接着剤を用いなくても良い。例えば、内部配線30の最表面に金の膜(金膜)を形成した場合、電子部品50上に形成した金バンプ(図示しない)を実装部40として用いることができる。その場合、電子部品50上に形成した金バンプと内部配線30の金膜とを熱圧着によって接合する金−金接合などを導電接着剤の代わりに用いて接合することができる。
【0025】
また、外部電極70は、基板実装時の応力を緩和する銀ペースト等の導電性接着剤で形成することもできる。
【0026】
(電子デバイスの製造方法)
次に、本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法を図2から図4を用いて説明する。図2から図4は、ウェハーレベルで作製され、最後にダイシング等で切断されて得られる電子デバイスの製造方法を示す図である。なお、本実施形態に係る電子デバイス1は、これに限定されず、はじめから個別パッケージで形成されてもよい。
【0027】
図2は、本実施形態に係る電子デバイス1の製造工程を示す図である。
図2(a)は、ベース材9に凹形状の窪みを形成する工程を説明するための図である。当該窪みは、サンドブラスト、レーザー加工、ドリル加工、熱プレス加工等で製造する。
【0028】
図2(b)は、上記凹形状の窪みに金属粒子21を充填する工程を説明するための図である。本工程では、金属粒子21として、AuとSnの2種の粒子を充填する。金属粒子21に使用する金属の種類としては、Au、Snに限らなく、例えば、Zn、In,Pb、Ge,Siなども用いることができる。また、充填する金属粒子21は2種に限らず3種以上であってもよい。また、金属粒子のサイズ(粒子径)は単一である必要は無く、複数サイズのものを用いてもよい。この場合、窪みは最密充填に近い構造をとれるので、次工程での金属粒子21の溶融時における体積減少を防ぐことができる。また、1〜100nmサイズの金属粒子21を混在させることで、高融点金属からなる金属粒子21を用いた場合であっても、サイズ効果により金属粒子21が低融点化するため、窪みの充填に使用できる。
【0029】
図2(c)は、金属粒子21を加熱させて、合金22を得る工程を説明するための図である。本工程では、金属粒子21としてガラスの融点より低い金属を溶融することで合金22を得ている。この合金22は電子デバイス1の実装時の温度より高い融点であればよく、例として、AuSn合金があげられる。
【0030】
図2(d)は、ベース材9の研磨工程を説明するための図である。少なくとも窪みの底面が外部へ露出するように(具体的には、ベース材9の上下の面と合金22の上下端面とが同じ高さ位置で且つ平行な面となるように)ベース材9を研磨することにより、窪みに充填された合金22が、貫通電極20として機能する。また、貫通電極20を備えた研磨後のベース材9がベース10となる。ここで、図3、図4は、図2(c)の状態での貫通電極20となる部分を拡大した図である。具体的には、図3は、窪みに充填された合金22の一部がベース材9の上面よりも上方に突出した状態を示す図である。一方、図4は、窪みに充填された合金22の上端面がベース材9の上面に対して凹状に形成された状態を示す図である。そして、この図3又は図4に示す状態において、ベース材9の上下の面と合金22の上下端面とが同じ高さ位置で且つ平行な面となるように、図3又は図4に示す破線位置までベース材9を上下面から研磨することにより、合金22の状態(窪みへの形成のされ方)によらず、良好な貫通電極20を形成できる。
【0031】
図2(e)は、内部配線30を貫通電極20のベース10の一の面(上下何れか一方の面であり、ここでは図2(d)に示すベース10を上下反転させた状態での上面)側の端面上と、ベース10の上記一の面上とにスパッタ法を用いて形成し、電子部品50を設置し、内部配線30と電子部品50とを実装部40を介して接続する電子部品接続工程を説明するための図である。ここで、内部配線30と電子部品50とを接続する実装部40は、例えば銀ペースト等の導電接着剤を用いることができる。その場合、内部配線30と電子部品50とは、接続部である銀ペースト等の導電接着剤を焼成して接合される。また、電子部品50の構成によっては、接続部として導電接着剤を用いなくても良い。例えば、内部配線30の最表面に金を使用した場合、電子部品50上に形成した金バンプを実装部40として用いることができる。その場合、電子部品40上に形成した金バンプと内部配線30の金膜とを熱圧着によって接合する金−金接合などを導電接着剤の代わりに用いて接合することができる。
【0032】
図2(f)は、ベース10に搭載された電子部品50を保護するため、凹状に加工したカバー60をベース10と接合するキャップ接合工程を説明するための図である。この工程において、ベース10の上記一の面とカバー60の凹状箇所とで外気と遮断された空洞部を形成する。これにより、空洞部に電子部品を密封した状態で配設できる。また、カバー60の材質は、接合方法や、真空度やコスト等などの電子部品50に要求される仕様を考慮して、例えば、シリコン、ガラス、アルミニウム等を、適宜に選択すればよい。例えば、電子部品50が水晶振動子片であり、ベース10とカバー60との接合後に周波数調整をする場合には、カバー60にはガラス製の部材を選択することが望ましい。また、カバー60とベース10との接合方法としては、例えば、接着や陽極接合、金−金接合等を用いることができる。なお、ベース10が凹状に加工されている場合、カバー60は凹状に形成される必要はない。この場合、ベース10の凹状箇所とカバー60の一方の面(下面)とで空洞部が形成されるので、電子部品は当該空洞部に設けられていればよい。
【0033】
図2(g)は、外部配線70を貫通電極21のベース10の上記一の面側の端面と反対の端面上と、ベース10の一の面と反対の面(下面)上とにスパッタ法を用いて形成する工程を説明するための図である。ここで、内部配線30、外部電極70はそれぞれスパッタ法、蒸着法とフォトリソ法を組み合わせて形成してもよい。
【0034】
図2(h)は、パッケージを個片化する工程を説明するための図である。すなわち、図2(h)が示唆する工程は、1つのベース10上に複数の電子デバイスを一括形成した後、電子デバイスを個片化する工程である。この工程において、カバー60の材質によって.個片化する方法は変わるが、一例として、ダイシング、またはレーザーカットによって電子デバイスの個片化を行うことができる。
【0035】
以上により、本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法によると、貫通電極20を形成する上で、ベース材9に形成された窪みに金属粒子21を充填した後、その金属粒子21を加熱して溶融させる工程を用いており、金属ピンをはめ込む/押し込む工程を用いない。そのため、電子デバイス1では、金属ピンが低融点ガラスに包まれる事態や金属ピンの周囲に酸化膜が形成されるなどの事態を避けることができるので、電子部品50と外部電極70との電気的導通を安定して保つことができる。さらに、電子デバイス1では、金属粒子21としてガラスよりも融点の低いものを用いているので、ガラス製のベース材9がガラスの軟化点以上の温度にさらされていることもない。さらに、電子デバイス1では、窪みに金属粒子21を充填して溶融し、ベース材9を研磨するだけで容易に貫通電極20を形成することができる。
【0036】
したがって、本発明は、電子部品と外部電極との導通を安定して保ち、且つ、容易に貫通電極を形成可能な電子デバイスの製造方法といえる。
【0037】
また、本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法によると、金属粒子21はAuとSnのように複数種類の金属から構成できる。つまり、金の融点は1064℃であるため、ベース材の融点より高く、金単体を溶融して使用することは難しいが、例えば、金80wt%錫20wt%の共晶温度は約280℃であり、電子デバイス1の基板への実装時のリフロー温度(約260℃)よりも高く、ベース材の融点よりも低い温度で溶融できるものとなるので、実用可能な電子デバイスを製造できる。また金錫の割合は金80wt%錫20wt%に限定されるものでなく、例えば、金50wt%錫50wt%でもよい。
【0038】
また、電子デバイス1において、金属粒子21は複数種類の粒子径からなるものを混在させることができる。この場合、窪みは最密充填に近い構造をとれるので、次工程での金属粒子21の溶融時における体積減少を防ぐことができる。
【0039】
また、本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法によると、金属粒子は直径1〜100ナノメートルの粒子径からなる粒子を含み、当該金属粒子21を構成する金属は、ガラスよりも融点が高いものを用いる。つまり、高融点金属からなる金属粒子21を用いた場合であっても、サイズ効果により金属粒子21が低融点化するため、窪みの充填に使用できる。
【0040】
また、本実施形態に係る電子デバイス1の製造方法によると、図2(h)に示したように、1つのベース10上に複数の電子デバイス1を一括形成した後、電子デバイス1を個片化することができる。そのため、本発明に係る電子デバイスを一括で製造することができ、電子デバイスの大量生産における製造時間及び工程の短縮及び低コスト化が図れる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る電子デバイスの製造方法の第2の実施形態を図5を用いて説明する。なお、図5(e)以外の工程は、図2で述べた各工程と同一工程のため、以下ではその説明を省略し、図2と異なる工程のみを説明する。図5は、本実施形態に係る電子デバイスの製造工程を示す図である。
【0042】
図5(e)は、内部配線30を貫通電極20のベース10の一の面(図2(e)と上下反対の面)側の端面上と、ベース10の当該一の面上とにスパッタ法を用いて形成し、電子部品50を設置し、内部配線30と電子部品50とを実装部40を介して、接続する電子部品接続工程を説明するための図である。図5(e)が図2(e)と異なる点は、内部配線30を形成する面が相違すること(上下逆転していること)である。レイアウトや特性の関係から、内部配線30を形成する面は、図2(e)及び図5(e)のどちらの構成にしてもよい。
【0043】
本発明の電子デバイスは、例えば、本発明の電子デバイスを発振子として用いた発振器又は時計、本発明の電子デバイスを計時部に備えた携帯情報機器、本発明の電子デバイスを時刻情報などの電波を受信部に備えた電波時計等の電子機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 電子デバイス
9 ベース材
10 ベース
11 犠牲材
20 貫通電極
21 金属粒子
22 合金
30 内部配線
40 実装部
50 電子部品
60 カバー
70 外部電極
100 電子デバイス
110 ベース
120 金属ピン
130 電極
140 電子部品
150 封止材
160 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製のベース材の上下何れか一方の面に窪みを形成する工程と、
前記窪みに金属粒子を充填する工程と、
前記ガラスよりも融点の低い金属粒子を加熱して溶融させる工程と、
少なくとも前記窪みの底面が外部へ露出するように前記ベース材を研磨することにより、研磨後のベース材に前記金属粒子に基づく貫通電極を備えたベースを形成する工程と、
前記ベースの上下何れか一方の面に、前記貫通電極の一端と当接するように内部配線を形成する工程と、
前記内部配線と電気的に導通するように前記ベースに電子部品を実装する工程と、
を備えることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記金属粒子は複数種類の金属から構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記金属粒子は複数種類の粒子径からなる粒子が混在してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記金属粒子は直径1〜100ナノメートルの粒子径からなる粒子を含み、当該金属粒子を構成する金属は、前記ガラスよりも融点が高いことを特徴とする請求項3に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
1つの前記ベース上に複数の電子デバイスを一括形成した後、前記電子デバイスを個片化する工程を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記ベースと接合可能であり、接合した状態で前記ベースとともに外気と遮断された空洞部を形成するカバーを、前記ベースに接合して前記電子部品を前記空洞部に密封する工程と、
前記ベースの前記内部配線が形成された面と対向する面に、前記貫通電極の他端と当接するように外部電極を形成する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−45880(P2013−45880A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182440(P2011−182440)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】