説明

電子デバイス製造装置および電子デバイスの製造方法

【課題】電子デバイス製造装置の占有スペースの増大や基板を流動させる際のロスタイム
を発生させることなく、蒸着マスクをクリーニングすることのできる電子デバイス製造装
置および電子デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】電子デバイス製造装置10では、有機膜蒸着室66R、66G、66Bでの
マスク蒸着に用いた蒸着マスクについては、蒸着マスク返却路75を介して、最下流側の
有機膜蒸着室66Bから最上流側の有機膜蒸着室66Rに戻す。蒸着マスク返却路75に
はプラズマ処理装置が設けられており、蒸着マスク返却路75において蒸着マスク40に
プラズマを照射することにより、蒸着マスク40に付着した有機物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子などを基板上に備えた電子デバイスの製
造装置、および当該電子デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光素子などの電光変換素子や、受光素子や太陽電池などの光電変換素子を備えた電子
デバイスでは、使用した有機材料が大気中の酸素や水分によって劣化する場合があり、こ
のような場合、電子デバイスの製造工程では、大気とは異なる雰囲気中で基板に対して連
続して行なう複数の処理工程が行なわれる。
【0003】
例えば、基板上に電光変換素子として有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機
EL素子という)を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置とい
う)を製造する場合には、基板上にITO(Indium Tin Oxide)膜などの透明導電膜から
なる陽極層を形成した後、発光層などの有機機能層(有機膜)は真空雰囲気中でマスク蒸
着により形成される(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献1に記載の製造装置では、複数の有機膜蒸着室を結ぶ基板搬送経路と、
最下流側の有機膜蒸着室から最上流側の有機膜蒸着室に向けて蒸着マスクを戻す蒸着マス
ク返却経路とによって構成された循環路に対して、蒸着マスクを洗浄するための洗浄室が
外付けされている。このため、蒸着マスクを製造装置から外部に取り出さなくても、蒸着
マスクに付着した有機物を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−332052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の製造装置では、基板搬送経路と蒸着マスク返却経路
とによって構成された循環路に対して洗浄室が外付けされているため、洗浄室が外付けさ
れている分だけ、製造装置の占有スペースが広いという問題点がある。また、特許文献1
に記載の製造装置では、循環路に対して洗浄室が外付けされているため、蒸着マスクを洗
浄する際には、循環路から蒸着マスクを洗浄室に移動させた後、洗浄済みの蒸着マスクを
循環路に戻す必要がある。このため、循環路と洗浄室とが接続しているエリアでは、基板
を流すタイミングと、蒸着マスクが出入りするタイミングとを調整する必要があるため、
ロスタイムが発生しやすいという問題点もある。
【0007】
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、電子デバイス製造装置の占有スペースの増大や
基板を流動させる際のロスタイムを発生させることなく、蒸着マスクをクリーニングする
ことのできる電子デバイス製造装置および電子デバイスの製造方法を提供することにある

【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、基板の搬送方向の上流側から下流側に向かって
、当該基板に対して大気と異なる雰囲気でのマスク蒸着により有機膜を形成する複数の有
機膜蒸着室を有する電子デバイス製造装置であって、前記複数の有機膜蒸着室のうち、最
下流側の有機膜蒸着室から最上流側の有機膜蒸着室に向けて大気と異なる雰囲気中で蒸着
マスクを搬送するための蒸着マスク返却路を有し、当該蒸着マスク返却路には、前記蒸着
マスクを搬送する蒸着マスク搬送機構と、前記蒸着マスクにプラズマを照射して当該蒸着
マスクに付着した有機物を除去するプラズマ処理装置と、が設けられていることを特徴と
する。
【0009】
また、本発明は、基板の搬送方向の上流側から下流側に向かって設けられた複数の有機
膜蒸着室において大気と異なる雰囲気でのマスク蒸着により前記基板上に有機膜を形成す
る電子デバイスの製造方法であって、前記複数の有機膜蒸着室のうち、最下流側の有機膜
蒸着室から最上流側の有機膜蒸着室に向けて大気と異なる雰囲気中で蒸着マスクを搬送す
るための蒸着マスク返却路を設け、当該蒸着マスク返却路において、前記蒸着マスクにプ
ラズマを照射して当該蒸着マスクに付着した有機物を除去することを特徴とする。
【0010】
本発明では、有機膜蒸着室でのマスク蒸着に用いた蒸着マスクについては、蒸着マスク
返却路を介して最下流側の有機膜蒸着室から最上流側の有機膜蒸着室に戻す。このため、
基板の搬送方向と逆行させずに、蒸着マスクを戻すことができる。また、本発明では、蒸
着マスク返却路にプラズマ処理装置を設け、蒸着マスク返却路において、蒸着マスクにプ
ラズマを照射することにより、蒸着マスクに付着した有機物を除去する。このため、蒸着
マスクに付着した有機物によって蒸着精度が低下することがない。さらに、蒸着マスク返
却路自身を蒸着マスクに対するクリーニング室として利用するため、クリーニング室を別
途、設ける必要がない。それ故、発明の課題は、電子デバイス製造装置の占有スペースが
増大することもない。また、蒸着マスクは、基板の搬送経路から完全に分かれた蒸着マス
ク返却路を通過する際に蒸着マスクがクリーニングされるため、クリーニングしようとす
る蒸着マスクと、クリーニング済みの蒸着マスクが基板の搬送経路の同一個所に出入りす
ることがないので、蒸着マスクを頻繁にクリーニングする場合でも、基板の流動にロスタ
イムが発生しない。
【0011】
本発明において、前記蒸着マスク返却路では、前記蒸着マスクの搬送方向の下流側から
プロセスガスを供給することが好ましい。かかる構成を採用すると、蒸着マスク返却路で
は、蒸着マスクの搬送方向の下流にいくほどガス中の反応生成物が少ない。従って、高い
クリーニング能力を得ることができるとともに、反応生成物によって蒸着マスクが汚染さ
れることもない。
【0012】
本発明において、前記蒸着マスク返却路では、前記蒸着マスクの搬送方向の上流側から
排気を行なうことが好ましい。かかる構成を採用すると、蒸着マスク返却路では、蒸着マ
スクの搬送方向の下流にいくほどガス中の反応生成物が少ない。従って、高いクリーニン
グ能力を得ることができるとともに、反応生成物によって蒸着マスクが汚染されることも
ない。
【0013】
本発明において、前記プラズマ処理装置は、プロセスガスとして酸素を含有するガスを
用いることが好ましい。かかる構成によれば、有機物を効率よく除去することができる。
【0014】
本発明において、前記プラズマ処理装置は、高周波放電を用いてプラズマを発生させる
ことが好ましい。かかる構成によれば、プラズマ処理装置の電極構成を簡素化するこがで
きる。例えば、前記蒸着マスク搬送機構が、前記蒸着マスクをベルト面上に搭載する金属
製の搬送ベルトを備えている場合、前記プラズマ処理装置においては、前記搬送ベルトに
高周波電圧を印加する構成を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記プラズマ処理装置は、搬送されていく前記蒸着マスクの位置に応
じてプラズマの発生位置を変化させることが好ましい。かかる構成によれば、基板にプラ
ズマを集中して照射することができるので、パワーが比較的小さなプラズマ処理装置であ
っても、有機物を効率よく除去することができる。
【0016】
本発明において、前記蒸着マスク搬送機構は、前記蒸着マスクがベルト面上に搭載され
る搬送ベルトを備えている場合、前記蒸着マスクは、マスク蒸着の際に蒸着源と対向する
面側を上向きにして前記ベルト面上に搭載されることが好ましい。かかる構成によれば、
有機物を効率よく除去することができる。
【0017】
本発明において、前記有機膜は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成す
る有機機能膜である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)、(b)は各々本発明を適用した有機EL装置の平面的な構成を各構成要素と共に第2基板側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である。
【図2】本発明を適用した有機EL装置の細部の断面構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明を適用した電子デバイス製造装置の有機膜蒸着室で行なうマスク蒸着の方法を示す説明図である。本発明を適用した電子デバイス製造装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明を適用した電子デバイス製造装置の平面構成を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明を適用した有機EL装置用の電子デバイス製造装置の蒸着マスク返却路の構成を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した有機EL装置用の電子デバイス製造装置の蒸着マスク返却路の別の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用した電子デバイス、その製造方法、並びに製造装置につ
いて説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各部材を図面上で認識可能な
程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせてある。また、以下の実施の形態で
は、本発明が適用される電子デバイスとして有機EL装置を例示する。
【0020】
[有機EL装置の構成]
(有機EL装置の全体構成)
図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した有機EL装置(電子デバイス)の平面的
な構成を各構成要素と共に第2基板側から見た平面図、およびそのJ−J′断面図である
。図1(a)、(b)において、本形態の有機EL装置100では、素子基板としての第
1基板110と、封止基板としての機能を担う第2基板120とを備えており、第1基板
110において、複数の有機EL素子180が形成されている面側に第2基板120が重
ねて配置されている。
【0021】
第1基板110と第2基板120とは、第1シール材層191および第2シール材層1
92によって貼り合わされている。かかる第1シール材層191および第2シール材層1
92の詳細な構成は後述するが、第1シール材層191は、図1(a)にドットを密に付
した領域で示してあるように、画素領域110aの周りを囲む周辺領域110cに沿って
枠状に形成されている。これに対して、第2シール材層192は、図1(a)にドットを
疎に付した領域で示してあるように、第1シール材層191で囲まれた領域の全体にわた
って形成されている。なお、第1基板110において、第2基板120からの張り出し領
域には端子102が形成されている。また、第1基板110において、周辺領域110c
や、画素領域110aと周辺領域110cとに挟まれた領域を利用してデータ線駆動回路
や走査線駆動回路(図示せず)が形成されている。
【0022】
(有機EL素子の構成)
図2は、本発明を適用した有機EL装置の細部の断面構成を模式的に示す断面図である
。なお、図2には、有機EL素子として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応す
る有機EL素子を1つずつ示してある。
【0023】
図2に示すように、第1基板110は、石英基板、ガラス基板、セラミック基板、金属
基板などからなる支持基板110dを備えている。支持基板110dの表面には、絶縁膜
111、112、113、114、115が形成され、絶縁膜115の上層に赤色(R)
、緑色(G)、青色(B)の光を出射する有機EL素子180(R)、(G)、(B)が
形成されている。本形態において、絶縁膜111、112、113、115は、CVD(
Chemical Vapor Deposition)法などにより形成された酸化シリコン膜や窒化シリコン膜
などから形成され、絶縁膜114は、厚さが1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からな
る平坦化膜として形成されている。絶縁膜111は下地絶縁層であり、図示を省略するが
、絶縁膜111、112、113、114の層間などを利用して、有機EL素子180(
R)、(G)、(B)に対する通電を制御する薄膜トランジスターや配線が形成されてい
る。
【0024】
本形態の有機EL装置100は、トップエミッション型であり、矢印L1で示すように
、支持基板110dからみて有機EL素子180(R)、(G)、(B)が形成されてい
る側から光を取り出すので、支持基板110dとしては、アルミナなどのセラミックス、
ステンレススチールなどといった不透明な基板を用いることができる。また、絶縁膜11
4、115の層間には、真空蒸着法などにより形成されたアルミニウム、銀、それらの合
金からなる光反射層131が形成されており、有機EL素子180(R)、(G)、(B
)から支持基板110dに向けて出射された光を光反射層131で反射することにより、
光を出射可能である。なお、有機EL装置100をボトムエミッション型で構成した場合
、支持基板110dの側から光を取り出すので、支持基板110dとしては、ガラスなど
の透明基板が用いられる。
【0025】
第1基板110では、絶縁膜115の上層にITO膜などからなる陽極層140(画素
電極)が島状に形成されており、陽極層140の上層には、発光領域を規定するための開
口部を備えた感光性樹脂などからなる厚い隔壁151が形成されている。
【0026】
陽極層140の上層には、正孔注入層181(R)、(G)、(B)、正孔輸送層18
2(R)、(G)、(B)、発光層183(R)、(G)、(B)などの有機機能層が形
成され、かかる有機機能層の上層に、LiFなどからなる電子注入層170と、AlやM
g、Agなどの薄膜金属からなる陰極層171とが積層されている。このようにして、本
形態では、陽極層140、正孔注入層181(R)、(G)、(B)、正孔輸送層182
(R)、(G)、(B)、発光層183(R)、(G)、(B)、電子注入層170、お
よび陰極層171によって、有機EL素子180(R)、(G)、(B)が構成されてい
る。発光層183(R)、(G)、(B)と陰極層171との層間には、Alq3などか
らなる電子輸送層が形成されることもある。さらに、陰極層171の上層あるいは下層に
は、Alなどからなる補助陰極線がストライプ状に形成されることもある。
【0027】
正孔注入層181は、トリアリールアミン(ATP)多量体などからなり、正孔輸送層
182は、TPD(トリフェニルジアミン)などからなる。発光層183(R)、(G)
、(B)は、アントラセン系ドーパントやルブレン系ドーパントなどを含むスチリルアミ
ン系材料(ホスト)などからなる。
【0028】
ここで、正孔注入層181(R)、(G)、(B)、正孔輸送層182(R)、(G)
、(B)、発光層183(R)、(G)、(B)などの有機機能層は、画素毎に所定のパ
ターンをもって形成されている一方、電子注入層170および陰極層171は、画素が配
列された領域全体に跨る広い領域に形成されている。
【0029】
また、正孔注入層181(R)、(G)、(B)と、正孔輸送層182(R)、(G)
、(B)と、発光層183(R)、(G)、(B)とは同一形状に形成されている。また
、有機EL素子180(R)、(G)、(B)は互いに同一形状をもって形成されている
。但し、有機EL素子180(R)、(G)、(B)では、有機機能層の組成や厚さが相
違する。
【0030】
なお、有機EL素子が白色光、または赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の混合色光
を出射するように構成する場合があり、このような場合、第2基板120において、有機
EL素子と対向する位置に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルター層を
形成して色変換を行なえば、フルカラー表示を行なうができる。
【0031】
このように構成した有機EL装置100において、有機機能層(正孔注入層181、正
孔輸送層182、発光層183(R)、(G)、(B))や陰極層171は、水分により
劣化しやすく、かかる劣化は、電子注入効果の劣化などを惹き起こし、ダークスポットと
呼ばれる非発光部分を発生させてしまう。従って、本形態では、有機機能層(正孔注入層
181、正孔輸送層182、発光層183(R)、(G)、(B))や陰極層171につ
いては、後述するマスク蒸着法によって形成する。
【0032】
(封止のための構成)
本形態では、第2基板120を封止基板として第1基板110と貼り合せた構成が採用
されている。より具体的には、図1(a)、(b)および図2に示すように、第1基板1
10と第2基板120との間では、周辺領域110cに沿って第1シール材層191が矩
形枠状に形成されている。また、第1シール材層191で囲まれた領域の全体にわたって
透光性の第2シール材層192が形成され、第1基板110と第2基板120とは、第1
シール材層191および第2シール材層192によって貼り合わされている。本形態にお
いて、第1シール材層191(第1シール材191a)には、紫外線によって硬化するエ
ポキシ系接着剤が用いられている。第2シール材層192(第2シール材192a)には
、熱によって硬化するエポキシ系接着剤が用いられている。なお、第1基板110に対し
て、陰極層171の上層に、窒化シリコン(SiNx)膜や酸窒化シリコン(SiOxy
)膜からなる第1層、樹脂層からなる第2層(有機緩衝層)および窒化シリコン膜や酸窒
化シリコン膜からなる第3層を備えた積層膜を封止膜として形成することもある。
【0033】
[有機EL装置の製造方法および製造装置]
図3、図4および図5を参照して、本発明を適用した有機EL装置の製造方法(電子デ
バイスの製造方法)、および電子デバイス製造装置を説明する。なお、本発明の有機EL
装置の製造方法は、本発明を適用した電子デバイス製造装置によって実現されるので、以
下併せて説明する。
【0034】
(マスク蒸着の方法)
図3は、本発明を適用した電子デバイス製造装置の有機膜蒸着室で行なうマスク蒸着の
方法を示す説明図である。本発明を適用した電子デバイス製造装置10において、図3(
a)に示す有機膜蒸着室66では、図3(b)に示す蒸着マスク40を用いて第1基板1
10に有機膜を形成する。蒸着マスク40は、例えば、厚みが約20μm程度の鉄(Fe
)またはニッケル(Ni)等の磁性体41を備えており、かかる磁性体41には、有機膜
の形成位置に対応した複数の開口42が形成されている。図3(a)に示す結合治具45
は、永久磁石を備えており、蒸着マスク40を第1基板110に吸着させるために用いら
れる。かかる結合治具45は、有機膜蒸着室66の治具ホルダ662に保持される。有機
膜蒸着室66では、治具ホルダ662に対向するように3つの蒸着源666、667、6
68が設けられている。
【0035】
かかる有機膜蒸着室66は、図2に示す有機EL素子180(R)、(G)、(B)の
各々に対して設けられる。すなわち、有機EL素子180(R)を形成するための有機膜
蒸着室66Rでは、蒸着源666、667、668に正孔注入層181(R)の形成材料
、正孔輸送層182(R)、発光層183(R)の形成材料が用いられる。また、有機E
L素子180(G)を形成するための有機膜蒸着室66Gでは、蒸着源666、667、
668に正孔注入層181(G)の形成材料、正孔輸送層182(G)、発光層183(
G)の形成材料が用いられる。同様に、有機EL素子180(B)を形成するための有機
膜蒸着室66Bでは、蒸着源666、667、668に正孔注入層181(B)の形成材
料、正孔輸送層182(B)、発光層183(B)の形成材料が用いられる。
【0036】
治具ホルダ662は駆動機構661に接続されており、この駆動機構661によって、
治具ホルダ662は、蒸着マスク40および第1基板110とともに、矢印Aで示すよう
に回転可能であると共に、矢印B方向に移動して所定の蒸着源666、667、668と
対応する位置に移動する。従って、治具ホルダ662の移動、蒸着源666、667、6
68でのシャッターの開閉、治具ホルダ662の回転を利用すれば、第1基板110上の
所定位置に所定の有機膜を形成することができる。
【0037】
ここで、有機EL素子180(R)、(G)、(B)は同一形状をもって形成されてい
る。従って、本形態では、後述する有機膜蒸着室66R、有機膜蒸着室66G、および有
機膜蒸着室66Bでは、共通の蒸着マスク40を第1基板110にずらして蒸着を行なう

【0038】
(電子デバイス製造装置10の全体構成)
図4は、本発明を適用した電子デバイス製造装置の平面構成を模式的に示す説明図であ
る。なお、図4では、ゲートバルブについては右上がりの斜線を付した領域で示してある

【0039】
図4に示すように、本形態の電子デバイス製造装置10は、準備部11と、この準備部
11に接続された有機膜形成部12と、この有機膜形成部12に接続された無機膜形成部
13とを有しており、有機膜形成部12および無機膜形成部13は、真空状態あるいは窒
素雰囲気等、大気と異なる状態にある。本形態において、有機膜形成部12および無機膜
形成部13は真空雰囲気になっている。
【0040】
準備部11は、成膜対象としての基板(図1および図2に示す第1基板110)を製造
装置内に導入する部分であり、導入室52と、この導入室52に接続されたロード室54
と、ロード室54に接続された搬送作業室53と、この搬送作業室53に接続された2つ
の前処理室55、56とを備えている。導入室52は、その内部に搬送ロボット(図示せ
ず)を備えている。かかる導入室52には、図2に示す隔壁151までが形成された第1
基板110が投入される。搬送作業室53は、準備部11から有機膜形成部12に第1基
板110を搬送するためのものであり、有機膜形成部12の位置合わせ室62Rに接続さ
れている。搬送作業室53は、搬送ロボット(図示せず)を備えており、かかる搬送ロボ
ットは、ロード室54から位置合わせ室62Rに第1基板110を搬送する動作、ロード
室54から前処理室55、56に第1基板110を搬送する動作、および前処理室55、
56から位置合わせ室62Rに第1基板110を搬送する動作を行なう。前処理室55、
56は、例えば、酸素プラズマまたはUVオゾンの発生装置を備えており、陽極層140
の活性化を行う。
【0041】
有機膜形成部12は、略四角形の3つの頂点に相当する位置に搬送作業室63R、63
G、63Bを備え、残る1つの頂点に相当する位置に脱着室70を備えている。また、有
機膜形成部12は、搬送作業室63R、63Gの間にロード室65R、67Rおよび有機
膜蒸着室66Rを備え、搬送作業室63G、63Bの間にロード室65G、67Gおよび
有機膜蒸着室66Gを備え、搬送作業室63B、81の間にロード室65B、67Bおよ
び有機膜蒸着室66Bを備えている。従って、有機膜形成部12では、第1基板110の
搬送方向(矢印Sで示す方向)の上流側から下流側に向けて3つの有機膜蒸着室66R、
66B、66Gが配列されている。
【0042】
さらに、有機膜形成部12は、搬送作業室63Rに接続された位置合わせ室62Rおよ
び治具搬入室64Rと、搬送作業室63Gに接続された位置合わせ室62Gおよび非常搬
出室64Gと、搬送作業室63Bに接続された位置合わせ室62Bおよび非常搬出室64
Bとを備えている。
【0043】
治具搬入室64Rは、成膜工程において利用する蒸着マスク40や結合治具45を製造
装置内に新規にあるいは追加用に導入するためのものである。搬送作業室63Rは搬送ロ
ボット(図示せず)を備えており、かかる搬送ロボットは、位置合わせ室62Rから有機
膜蒸着室66Rに第1基板110を搬送する動作、治具搬入室64Rに投入された蒸着マ
スク40や結合治具45を位置合わせ室62Rに搬送する動作、および蒸着マスク返却路
75から蒸着マスク40を結合治具45と共に位置合わせ室62Rに搬送する動作を行な
う。位置合わせ室62Rでは、第1基板110に蒸着マスク40を位置合わせし、結合治
具45によって蒸着マスク40を第1基板110に装着する動作が行なわれる。位置合わ
せ室62G、62Bも、位置合わせ室62Rと同様の構成を有する。
【0044】
搬送作業室63Gは搬送ロボット(図示せず)を備えており、かかる搬送ロボットは、
有機膜蒸着室66Rから位置合わせ室62Gに第1基板110を搬送する動作、位置合わ
せ室62Gから有機膜蒸着室66Gに第1基板110を搬送する動作、および非常排出室
64Gに第1基板110を搬送する動作を行なう。
【0045】
搬送作業室63Bは搬送ロボット(図示せず)を備えており、かかる搬送ロボットは、
有機膜蒸着室66Gから位置合わせ室62Bに第1基板110を搬送する動作、位置合わ
せ室62Bから有機膜蒸着室66Bに第1基板110を搬送する動作、非常排出室64B
に第1基板110を搬送する動作などを行なう。
【0046】
非常搬出室64G、64Bは、一時的に第1基板110を待機させる目的や、製造装置
内から第1基板110を排出するために用いられる。
【0047】
ここで、有機膜形成部12には、最下流の有機膜蒸着室66Bから最上流の有機膜蒸着
室66Rに向けて蒸着マスクを返却するための蒸着マスク返却路75が構成されており、
本形態では、脱着室70と搬送作業室63Rとが蒸着マスク返却路75によって直線的に
接続されている。かかる蒸着マスク返却路75および脱着室70も、有機膜蒸着室66R
、有機膜蒸着室66Gおよび有機膜蒸着室66Bと同様、真空雰囲気になっている。
【0048】
脱着室70は搬送ロボットを備えており、かかる搬送ロボットは、有機膜蒸着室66B
から第1基板110を脱着室70に搬送する動作、成膜処理済の第1基板110から結合
治具45や蒸着マスク40を外す動作、および第1基板110から外した結合治具45や
蒸着マスク40を蒸着マスク返却路75に搬出する動作などを行なう。
【0049】
脱着室70には搬送作業室81が接続されており、搬送作業室81は搬送ロボット(図
示せず)を備えている。かかる搬送ロボットは、脱着室70において脱着された第1基板
110を、後述する無機膜形成部13のロード室92に搬送する動作などを行なう。
【0050】
次に無機膜形成部13の構成について説明する。無機膜形成部13は、搬送作業室81
にロード室92を介して接続された搬送作業室91と、この搬送作業室91に接続された
2つの電極形成室93、94と、基板搬出室95とを備えている。搬送作業室91は搬送
ロボット(図示せず)を備えており、かかる搬送ロボットは、ロード室92から電極形成
室93、94に第1基板110を搬送する動作、および電極形成室93、94から基板搬
出室95に第1基板110を搬送する動作などを行なう。電極形成室93は、マスク蒸着
により電子注入層170を形成するためのものであり、電極形成室94は、マスク蒸着に
より陰極層171を形成するためのものである。基板搬出室95は、例えば、陰極層17
1を形成し終えた第1基板110をこの製造装置から外部に搬出するためのものである。
【0051】
なお、本形態では、図1および図2を参照して説明したように、第1基板110に対し
て封止用の第2基板120を貼り合せた構成を採用している。かかる第2基板120の貼
り合せ工程も電子デバイス製造装置10で行う場合には、基板搬出室95に対して封止部
を接続すればよい。
【0052】
(蒸着マスク40に対するクリーニングの目的)
本形態の電子デバイス製造装置10において、蒸着マスク40や結合治具45は、第1
基板110とともに、有機膜蒸着室66R、有機膜蒸着室66Gおよび有機膜蒸着室66
Bを移動した後、脱着室70において第1基板110から外され、蒸着マスク返却路75
を介して搬送作業室63Rに返却される。その間に、有機膜蒸着室66R、有機膜蒸着室
66Gおよび有機膜蒸着室66Bでは、正孔注入層181(R)、(G)、(B)、正孔
輸送層182(R)、(G)、(B)、発光層183(R)、(G)、(B)などの有機
機能層が形成される。その結果、蒸着マスク40および結合治具45には有機物が付着す
る。特に、蒸着マスク40において、蒸着源666、667、668と対向する面側は有
機物が付着しやすい。その結果、蒸着マスク40の厚みが実質的に増加した状態や、開口
42が目詰まりした状態になると、有機機能層の形状や位置、厚さが変動してしまう。そ
こで、本形態では、図5を参照して説明するように、蒸着マスク返却路75をクリーニン
グ室として構成してある。
【0053】
(蒸着マスク返却路75の構成)
図5は、本発明を適用した有機EL装置用の電子デバイス製造装置10の蒸着マスク返
却路75の構成を示す説明図である。
【0054】
図5に示すように、本形態の有機EL装置用の電子デバイス製造装置10において、蒸
着マスク返却路75には、脱着室70から搬送作業室63Rに向かって蒸着マスク40お
よび結合治具45(図5には図示せず)を搬送する搬送ベルト21およびローラー23を
備えたベルト式の蒸着マスク搬送機構20が設けられている。従って、脱着室70の搬送
ロボットが、第1基板110から外した蒸着マスク40を搬送ベルト21上に搭載すると
、蒸着マスク40によって搬送作業室63Rに向けて搬送され、搬送作業室63Rの搬送
ロボットは、搬送ベルト21上の蒸着マスク40を搬送作業室63Rに搬入する。
【0055】
ここで、蒸着マスク40は、脱着室70に到達するまでは、マスク蒸着の際に蒸着源と
対向する面側を下向きにして搬送されてくる。従って、脱着室70の搬送ロボットは、蒸
着マスク40を反転させ、マスク蒸着の際に蒸着源と対向する面側を上向きにして搬送ベ
ルト21上に搭載する。
【0056】
また、蒸着マスク返却路75では、蒸着マスク40の搬送方向(矢印Tで示す)の下流
側にプロセスガス供給用のガス導入口751が形成され、蒸着マスク40の搬送方向の上
流側に排気口752が形成されている。また、蒸着マスク返却路75に対してはプラズマ
発生装置30が設けられている。ここで、搬送ベルト21は、ステンレスなどの金属から
なる。そこで、本形態では、プラズマ発生装置30の高周波電源装置38は、搬送ベルト
21に高周波電圧を印加し、蒸着マスク返却路75にプラズマを発生させる。また、本形
態では、ガス導入口751から蒸着マスク返却路75にプロセスガスとして、02、ある
いは02+CF4など、酸素を含有するガスを供給する。
【0057】
このため、蒸着マスク返却路75では、酸素ラジカルによって、蒸着マスク40および
結合治具45に付着した有機物を除去することができる。しかも、蒸着マスク返却路75
では、蒸着マスク40および結合治具45が搬送される時には常時プラズマが発生してい
るため、蒸着マスク40は蒸着マスク返却路75を通過するたびにクリーニングされる。
それ故、搬送作業室63Rには常にクリーニング済みの蒸着マスク40が戻るため、常に
クリーニング済みの蒸着マスク40を用いて、有機膜の形成を行なることになる。
【0058】
また、本形態では、図5には図示を省略したが、蒸着マスク40に加えて、結合治具4
5も第1基板110から外されて蒸着マスク返却路75を経由して有機膜蒸着室66Rに
戻す。このため、蒸着マスク返却路75では結合治具45もクリーニングされる。
【0059】
なお、陰極層171や電子注入層170などを形成する無機膜形成部13で用いた蒸着
マスクにも成膜に使用するたびに無機膜が付着することになるが、陰極層171や電子注
入層170は広い範囲にわたって形成されるため、付着した無機物によって開口部が目詰
まりするという事態は発生しない。それ故、本形態では、有機膜形成部12で用いる蒸着
マスク40のみ対してクリーニングを行なう構成を採用している。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、有機膜蒸着室66R、66G、66Bでのマスク蒸
着に用いた蒸着マスクについては、蒸着マスク返却路75を介して複数の有機膜蒸着室6
6R、66G、66Bのうち、最下流側の有機膜蒸着室66Bから最上流側の有機膜蒸着
室66Rに戻す。このため、第1基板110の搬送方向と逆行させずに、蒸着マスク40
を有機膜蒸着室66Bに戻すことができる。また、蒸着マスク40を有機膜蒸着室66B
に戻す際、蒸着マスク40をデバイス製造装置10の外部に一切、出さないため、デバイ
ス製造装置10内への水分や酸素ガスなどの侵入を確実に防止することができる。
【0061】
また、本形態では、蒸着マスク返却路75にプラズマ処理装置30を設け、蒸着マスク
返却路75において、蒸着マスク40にプラズマを照射することにより、蒸着マスク40
に付着した有機物を除去する。このため、蒸着マスク40に付着した有機物によって蒸着
精度が低下することを防止することができる。しかも、蒸着マスク返却路75自身を蒸着
マスク40に対するクリーニング室として利用するため、蒸着マスク40は、1回の成膜
に使用されるたびにクリーニングされる。従って、搬送作業室63Rには常にクリーニン
グ済みの蒸着マスク40が戻るため、常にクリーニング済みの蒸着マスク40を用いて、
有機膜の形成を行なうことができる。それ故、高い精度をもって、有機機能層(正孔注入
層181(R)、(G)、(B)、正孔輸送層182(R)、(G)、(B)、発光層1
83(R)、(G)、(B))を形成することができる。
【0062】
さらに、蒸着マスク返却路75自身を蒸着マスク40に対するクリーニング室として利
用するため、クリーニング室を別途、設ける必要がない。それ故、電子デバイス製造装置
10の占有スペースが増大することもない。しかも、蒸着マスク返却路75は直線的に延
びている。このため、ベルト式の蒸着マスク搬送機構20など、簡素な構成の搬送機構を
採用することができるとともに、蒸着マスク返却路75の全体にプラズマを発生させるの
が容易である。
【0063】
また、蒸着マスク40は、第1基板110の搬送経路から完全に分かれた蒸着マスク返
却路75を通過する際にクリーニングされるため、クリーニングしようとする蒸着マスク
40と、クリーニング済みの蒸着マスク40が第1基板110の搬送経路の同一個所に出
入りすることがない。従って、蒸着マスク40を頻繁にクリーニングする場合でも、第1
基板110の流動にロスタイムが発生しない。また、クリーニング室で蒸着マスク40が
滞留することがないので、蒸着マスク40の数が少なく済む。
【0064】
また、本形態では、蒸着マスク返却路75において、蒸着マスク40の搬送方向の下流
側からプロセスガスを供給し、蒸着マスク40の搬送方向の上流側から排気を行なう。こ
のため、蒸着マスク返却路75では、蒸着マスク40の搬送方向の下流にいくほど、ガス
中の反応生成物が少ない。従って、高いクリーニング能力を得ることができるとともに、
反応生成物によって蒸着マスク40が汚染されることもない。
【0065】
さらに、本形態では、蒸着マスク搬送機構20の金属製の搬送ベルト21に高周波電圧
を印加して高周波放電を発生させ、プラズマを生成する。このため、簡素な構成でプラズ
マを生成することができる。
【0066】
また、蒸着マスク40は、マスク蒸着の際に蒸着源と対向する面側を上向きにして搬送
ベルト21上に搭載されているので、蒸着マスク40から有機物を効率よく除去すること
ができる。
【0067】
[蒸着マスク40に対するクリーニングのための別の構成]
図6は、本発明を適用した有機EL装置用の電子デバイス製造装置10の蒸着マスク返
却路75の別の構成例を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、図5を参照
して説明した構成と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それ
らの詳細な説明は省略する。
【0068】
上記実施の形態では、蒸着マスク返却路75の全体にわたってプラズマを発生させたが
、図6に示す電子デバイス製造装置10において、プラズマ処理装置30は、搬送されて
いく蒸着マスク40の位置に応じてプラズマの発生位置を変化させる。すなわち、プラズ
マ処理装置30は、蒸着マスク40の搬送方向(矢印Tで示す)に複数の電極36を備え
ており、複数の電極36と高周波電源装置38との間にはスイッチ回路37が設けられて
いる。従って、蒸着マスク40が到達した位置の電極(実線で示す)については、高周波
電圧を印加し、蒸着マスク40が到達した後あるいは到達する前の電極(点線で示す)に
ついては、高周波電圧の印加を停止する。このため、蒸着マスク40が位置する領域のみ
にプラズマが発生する。従って、パワーが比較的小さなプラズマ処理装置30であっても
、蒸着マスク40から有機物を効率よく除去することができる。
【0069】
なお、本形態でも、図5を参照して説明した構成と同様、蒸着マスク返却路75におい
て、蒸着マスク40の搬送方向の下流側からプロセスガスを供給し、蒸着マスク40の搬
送方向の上流側から排気を行なう。このため、蒸着マスク返却路75では、蒸着マスク4
0の搬送方向の下流にいくほど、ガス中の反応生成物が少ない。従って、高いクリーニン
グ能力を得ることができるとともに、反応生成物によって蒸着マスク40が汚染されるこ
ともない。また、蒸着マスク40は、マスク蒸着の際に蒸着源と対向する面側を上向きに
して搬送ベルト21上に搭載されているので、蒸着マスク40から有機物を効率よく除去
することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
上記形態においては、電子デバイス装置として有機EL装置100を例示したが、有機
EL素子180(R)、(G)、(B)以外の電光変換素子や、受光素子や太陽電池など
の光電変換素子、さらには有機機能膜を用いた有機半導体素子を備えた電子デバイス装置
の製造に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10・・電子デバイス製造装置、20・・蒸着マスク搬送機構、21・・搬送ベルト、3
0・・プラズマ発生装置、40・・蒸着マスク、66R、66G、66B・・有機膜蒸着
室、100・・有機EL装置(電子デバイス装置)、110・・第1基板、170・・電
子注入層、171・・陰極層、180(R)、(G)、(B)・・有機EL素子(電子デ
バイス)、181・・正孔注入層(有機機能層)、182・・正孔輸送層(有機機能層)
、183(R)、(G)、(B)・・発光層(有機機能層)、751・・ガス導入口、7
52・・排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送方向の上流側から下流側に向かって、当該基板に対して大気と異なる雰囲気
でのマスク蒸着により有機膜を形成する複数の有機膜蒸着室を有する電子デバイス製造装
置であって、
前記複数の有機膜蒸着室のうち、最下流側の有機膜蒸着室から最上流側の有機膜蒸着室
に向けて大気と異なる雰囲気中で蒸着マスクを搬送するための蒸着マスク返却路を有し、
当該蒸着マスク返却路には、前記蒸着マスクを搬送する蒸着マスク搬送機構と、前記蒸
着マスクにプラズマを照射して当該蒸着マスクに付着した有機物を除去するプラズマ処理
装置と、が設けられていることを特徴とする電子デバイス製造装置。
【請求項2】
前記蒸着マスク返却路では、前記蒸着マスクの搬送方向の下流側からプロセスガスを供
給することを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス製造装置。
【請求項3】
前記蒸着マスク返却路では、前記蒸着マスクの搬送方向の上流側から排気を行なうこと
を特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイス製造装置。
【請求項4】
前記プラズマ処理装置は、プロセスガスとして酸素を含有するガスを用いることを特徴
とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子デバイス製造装置。
【請求項5】
前記プラズマ処理装置は、高周波放電を用いてプラズマを発生させることを特徴とする
請求項1乃至4の何れか一項に記載の電子デバイス製造装置。
【請求項6】
前記蒸着マスク搬送機構は、前記蒸着マスクがベルト面上に搭載される金属製の搬送ベ
ルトを備え、
前記プラズマ処理装置は、前記搬送ベルトに高周波電圧を印加することを特徴とする請
求項5に記載の電子デバイス製造装置。
【請求項7】
前記プラズマ処理装置は、搬送されていく前記蒸着マスクの位置に応じてプラズマの発
生位置を変化させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電子デバイス
製造装置。
【請求項8】
前記蒸着マスク搬送機構は、前記蒸着マスクがベルト面上に搭載される搬送ベルトを備
え、
前記蒸着マスクは、マスク蒸着の際に蒸着源と対向する面側を上向きにして前記ベルト
面上に搭載されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電子デバイス製
造装置。
【請求項9】
前記有機膜は、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機機能膜であることを
特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電子デバイス製造装置。
【請求項10】
基板の搬送方向の上流側から下流側に向かって設けられた複数の有機膜蒸着室において
大気と異なる雰囲気でのマスク蒸着により前記基板上に有機膜を形成する電子デバイスの
製造方法であって、
前記複数の有機膜蒸着室のうち、最下流側の有機膜蒸着室から最上流側の有機膜蒸着室
に向けて大気と異なる雰囲気中で蒸着マスクを搬送するための蒸着マスク返却路を設け、
当該蒸着マスク返却路において、前記蒸着マスクにプラズマを照射して当該蒸着マスク
に付着した有機物を除去することを特徴とする電子デバイスの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−225353(P2010−225353A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69616(P2009−69616)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】