説明

電子メディア露出測定システムの精度および到達率を向上させるための方法および装置

電子メディア露出測定システムの精度および到達率を向上させるための方法および装置が開示されている。開示されている方法は、電子デバイスによって記録された場所を表すデータを当該データの完全性または精度のうちの少なくとも1つを向上させるべく処理すること、処理されたデータから位置決定を導出すること、および、導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、『メソッズ・アンド・アパレイタス・フォア・プロセッシング・データ・コレクテッド・バイ・ア・GPS‐イネーブルド・メディア・メジャメント・システム(Methods and Apparatus for Processing Data Collected by a GPS‐enabled Media Measurement System)』と題して2004年7月30日に出願された米国特許仮出願第60/592,554号の恩典を主張する。米国特許仮出願第60/592,554号、および米国特許出願第10/686,872号ならびに同第10/318,422号は、参照によりその全体がこれに援用される。
【0002】
この開示は、概してメディア露出測定システムに関し、より詳細に述べれば、電子メディア露出測定システムの精度および到達率を向上させるための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
過去においては、屋外メディアのためのメディア露出測定システムが、たとえば自動車交通量調査(たとえば、所定の日の道路を移動する車両の数の計数)に頼るか、または想起(たとえば、調査を通じて消費者が屋外広告を見たことを思い出す能力)を要求し、達成されたメディア露出の数を決定していた。
【0004】
より最近では、メディア露出を測定し、クレジット(credit)するための電子システムが開発され、屋外広告主が、科学的かつ検証可能な精度をもって広告主自身の屋外メディア・サイトの到達率を測定し、設置することを可能にしている。図1は、衛星ポジショニング・システム(SPS)(たとえば、米国のグローバル・ポジショニング・システム(GPS)およびヨーロッパのガリレオ・システム(現在建設中))テクノロジを使用して自動車運転者および/または通行人の屋外メディア・サイトに対する露出を追跡する従来技術の電子メディア露出測定システム100を例示している。参与者または回答者102の露出を追跡するために、回答者102がSPS利用可能モニタリング・デバイス110(たとえば、ニールセン(Nielsen(登録商標))パーソナル・アウトドア・デバイス(Npod(商標)))を携帯(または装着)する。デバイス110は、周期的(たとえば4〜5秒ごと)に複数のSPS衛星105A〜Cによって送信される複数の信号を捕捉して受信し、それらの複数の受信した信号を使用してデバイス110についての現在の地理的場所(すなわち位置決定)および現在の時刻を計算する。通常、デバイス110は、デバイス110の、したがって回答者102の現在の地理的な場所を決定するために最小数のSPS衛星105A〜Cからの信号の受信を必要とする(たとえば、GPSシステムにおいては、デバイス110が、少なくとも3または4のGPS衛星からの送信信号を必要とする)。デバイス110は、各位置決定の結果(たとえば、ジオコードの場所データおよび時刻、および望ましい場合には日付)を、コンピューティング・デバイス125によるその後の処理のために連続的にストアする。
【0005】
記録された位置決定データのシーケンス(たとえば、対応するジオコード・ロケーション・データおよび時刻および/または日付の値の集合)は、デバイス110からダウンロード・サーバ120へ随時に、周期的に、またはリアルタイム・ベースでダウンロードされる。ダウンロード・サーバ120は、回答者のパーソナル・コンピュータ(PC)または電子測定システム100に関連付けされたコンピュータのいずれとすることもできる。ダウンロード・サーバ120もまた、ダウンロードされた移動経路データ(すなわち、記録された位置決定データのシーケンス)をコンピューティング・デバイス125に提供する。デバイス110からダウンロード・サーバ120へデータをダウンロードするため、およびダウンロード・サーバ120からコンピューティング・デバイス125へデータを転送するための種々の周知のテクニックのいずれを使用することも可能である。たとえば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)接続を使用してデバイス110をダウンロード・サーバ120に取り付け、デバイス110およびダウンロード・サーバ120上で実行しているリムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライバを使用することができる。
【0006】
メディア・サイト115に対する露出を決定するためにコンピューティング・デバイス125は、デバイス110によって記録された位置決定のそれぞれの場所と、メディア・サイト115の場所を比較する。メディア・サイト115の場所はデータベース130内に用意されており、特にデータまたは情報の中でも複数のメディア・サイトについてのジオコード・ロケーション・データを収めている。図1の例のシステム100においては、回答者の場所がメディア・サイト115に「充分に近い」(たとえば、あらかじめ決定済みの距離内である)とき、メディア・サイト115にメディア露出がクレジットされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
種々の理由のため、デバイス110が位置決定の試行を完成できないことがある。たとえばデバイス110が、たとえばSPS衛星105A〜Cとデバイス110の間の通信路を妨害する人工的もしくは自然に生じた厚い群葉または構造によって引き起こされた信号減衰に起因して、必要な数の衛星105A〜Cからの信号の捕捉および受信ができないことがあり得る。さらに、成功した位置決定が、近隣の物体(たとえば、繁華街エリアの高い建物)によって引き起こされるマルチパスひずみに起因して、またはクロック(すなわち、タイミング)のずれまたは誤差に起因して精度を欠くこともある。その種の状況においては、デバイス110によって記録され、その後に続いてコンピューティング・デバイス125によって処理される位置決定のシーケンスが、回答者102によって通り抜けられた移動経路内のギャップを含むか、既知の移動コース(たとえば、街路、道路、車線、高速道路、州際道、橋、歩道、歩行者用通路、トレイル、トンネル等)を追随しない、通り抜けられた経路を表すことがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで述べる例示の装置は、多くのコンポーネントの中でも特にハードウエア上において実行されるソフトウエアを含むが、その種の装置は単に例示に過ぎず、限定と考えるべきではない。たとえば、開示されているいずれかまたはすべてのハードウエアおよびソフトウエア・コンポーネントが、専用ハードウエア内において排他的に、ソフトウエア内において排他的に、ファームウエア内において排他的に、またはハードウエア、ファームウエア、および/またはソフトウエアの何らかの組み合わせにおいて具体化され得ることは企図されている。
【0009】
それに加えて、以下の開示が例示的なSPSベースの電子メディア測定システムに関してなされているが、開示されている装置は、このほかの多くの電子メディア測定システムに容易に適用できることが理解される必要がある。したがって、以下は例示的な装置、方法、および製品について述べているが、当業者であれば、開示された例がその種のシステムを実装するための唯一の手段でないことを容易に認識することになろう。
【0010】
概して言えば、ここで述べられている例の装置、方法、および製品は、回答者によって通り抜けられた複数の場所を指定するデータの処理に使用することができる。不正確な、または欠落した(たとえば、記録された位置決定のシーケンス内、またはメディア・サイトの場所の情報内における)データは、メディア露出計算デバイスによって決定されるメディア露出クレジットの精度に有害な影響を与え得る。電子メディア露出測定の精度および信頼性を実質的に向上させるために、記録された移動経路データを、ここに述べられている例示的な方法および装置を使用して処理し、上記の欠陥を克服することができる。ここで述べている特定の例においては、データ内に存在する不完全を解消し、その結果、処理後のデータが既知の移動コース(たとえば、街路、道路、車線、高速道路、州際道、橋、歩道、歩行者用通路、トレイル、トンネル等)に沿った移動経路をより良好に表すようにデータが処理される。結果としてここに述べられている例を使用して電子メディア測定システムの精度および到達率を向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2は、図1のモニタリング・デバイス110の実装に使用することのできる一例のSPS利用可能デバイス200を例示している。複数のSPS衛星105A〜Cによって送信された信号(すなわちSPS信号)を受信し、デコードするためにデバイス200は、SPS信号受信機205、SPS信号デコーダ210、およびアンテナ215を含んでいる。種々のテクニックのいずれかを使用し、SPS信号受信機205は、アンテナ215によって受信した無線周波数(RF)アナログ信号をSPS信号デコーダ210による処理および/またはデコードに適したディジタル・ベースバンド信号(すなわち、受信された信号)に変換する。たとえばSPS信号受信機205は、復調器、ダウン‐コンバータ、フィルタ、および/またはアナログ‐ディジタル(A/D)コンバータを使用して実装することができる。種々の周知のテクニックのいずれかを使用し、SPS信号デコーダ210は受信信号を処理し、可能であれば(すなわち、最小数のSPS衛星105A〜Cが利用可能であれば(たとえばGPSシステムにおいては、SPS信号デコーダ210が少なくとも3または4の衛星から受信した信号を使用する))デバイス200の現在の場所を決定する(すなわち、位置決定を実行する)。SPS信号デコーダ210は、受信した信号はもとより、決定した場合にはデバイス200の現在の地理的な場所をプロセッサ220に提供する。プロセッサ220は、位置決定および受信された信号の両方(すなわち擬似距離データ)をストレージ・メモリ225内に記録する。上記の方法を周期的に実行することによって、記録されたデータが回答者102(図1)によって通り抜けられた移動経路を表す。
【0012】
図2の例のデバイス200は、さらにインターフェース230を含み、デバイス200が図1のダウンロード・サーバ120と通信することを可能にする。デバイス200は、メディア露出計算デバイス(MECD)300(図3に関連して後述)に、記録済みの移動経路データ305(すなわち、位置決定のシーケンスおよびデバイス200によって記録された受信信号)をダウンロード・サーバ120経由で提供する。
【0013】
当業者には容易に明らかとなろうが、図2のプロセッサ220は、デバイス200の動作、状態等に関する追加のデータを監視し、ストレージ・メモリ225内に記録することができる。たとえばプロセッサ220は、バッテリの使用、デバイスの電源オンおよび電源オフ時間、ソフトウエア障害等を監視することができる。
【0014】
MECD300によるメディア露出クレジットの、一貫性があり、かつ信頼できる決定を促進するために、回答者102によって通り抜けられた移動経路が好ましくは正確であり(すなわち、回答者102によって通り抜けられた実際の場所を反映し)、1ないしは複数の既知の移動コース(たとえば、街路、道路、車線、高速道路、州際道、橋、歩道、歩行者用通路、トレイル、トンネル等)を追従し、かつ互いに充分に近い位置決定を含む。しかしながら、前述したとおり、デバイス200によって記録される位置決定のシーケンス(すなわち、記録された移動経路データ305)は、必ずしも常にこれらの要件を満たさないことがある。
【0015】
図3は、本発明の教示に従って組み立てられた一例のMECD300を例示した概略図であり、図1のコンピューティング・デバイス125の実装に使用することができる。記録された移動経路データ305およびメディア・サイト情報(データベース130内に収められている)の後処理を行うために、図3のMECD300は、記録された移動経路データ305(デバイス200によって記録され、ダウンロード・サーバ120経由で提供される、決定された地理的な場所および受信された信号(すなわち、擬似距離データ)の両方を含む)を操作し、向上された移動経路データ315を生成する移動経路プロセッサ310を含む。例示されている例においては、記録された移動経路データ305および向上された移動経路データ315が、MECD300の部品として実装される1ないしは複数のメモリおよび/またはストレージ・デバイス内にストアされる。当業者には容易に明らかになろうが、記録された移動経路データ305および向上された移動経路データ315は、このほかの態様において実装することもできる。たとえば、MECD300に取り付けられ、それと通信するべく構成されたメモリまたはストレージ・デバイスの使用がある。
【0016】
移動経路プロセッサ310は、記録された移動経路データ305を処理し、位置決定の完全性および精度を向上させる。たとえば移動経路プロセッサ310には、記録された受信済みSPS信号を使用して位置決定(たとえば、デバイス200が地理的な場所を決定できなかった場所において)を導くこと、デバイス200によって決定された位置決定の精度を向上させることなどが可能である。移動経路プロセッサ310は、ほかの既知のSPSの制限、たとえばクロックのドリフトおよびマルチパス信号ひずみ等を補償する追加のアルゴリズムを含むこともできる。
【0017】
図4Aは、図3の例の移動経路プロセッサ310を実装する一例の態様を例示している。記録された移動経路データ305を処理するために、図3の例の移動経路プロセッサ310は、記録された移動経路データ305を操作する処理エンジン405を含む。たとえば処理エンジン405は、記録された移動経路データ305を連続的に、および/または並列的に操作する1ないしは複数のフィルタとして実装することができる。図4Aに例示されている例においては、処理エンジン405が、データ転送ユニット415によってストレージ・メモリ410に転送された移動経路の全部または部分を表すデータ・ポイントのセットを処理する(たとえば、フィルタのセットを適用する)。処理エンジン405は、データ・ポイントのセットを操作して、中間値(たとえば、いずれかのフィルタの出力として生成され、その後に続くフィルタへの入力として使用される修正された、および/または追加のデータ・ポイント)がある場合にはそれを配置し、ストレージ・メモリ410に戻す。最終的な出力データ・ポイントが、処理エンジン405によって向上された移動経路データ315内に配置される。
【0018】
図3および4Aに例示されているとおり、また一例の精密エフェメリスフィルタ442(図4B)に関連して後述するとおり、図4Aの処理エンジン405は、インターネット接続390を経由して国際地理学会(International Geological Society)(IGS)によって提供されるデータ395にアクセスすることができる。たとえばデータ395は、既知の時間的瞬間におけるSPS衛星105A〜Cの場所を正確に指定するデータを含む。
【0019】
図4Aに例示されている例においては、ストレージ・メモリ410が、記録された受信済みSPS信号、デバイス200によって決定された位置決定、および移動経路プロセッサ310によって導出された位置決定をすべて含む。ストレージ・メモリ410内にストアされているデータのストアには、種々の適切なテクニックいずれを使用してもよい。たとえば、オブジェクト指向データ・ストレージ・テクニックの使用、データ構造の配列の使用等がある。
【0020】
例示の処理エンジン405の実装には、種々のテクニックのいずれを使用してもよい。たとえば処理エンジン405は、汎用処理デバイスおよび/または専用処理デバイス(たとえばディジタル信号処理デバイス)上で実行するソフトウエアおよび/またはファームウエアとして、ハードウエアを使用して、またはソフトウエア、ファームウエア、および/またはハードウエアの任意の組み合わせを使用して実装することができる。
【0021】
これも当業者には容易に明らかになろうが、ストレージ・メモリ410は、種々のテクニックのいずれを使用して実装してもよい。たとえば、記録された移動経路データ305の実装に使用されるメモリまたはストレージ・デバイスの1ないしは複数の部分、または独立のメモリ、ストレージ・デバイス、および/または移動経路プロセッサ310と直接関連付けされるハードウエア・レジスタの使用がある。さらに、これも当業者には容易に明らかとなろうが、データ転送ユニット415は削除することができる。たとえば処理エンジン405は、記録された移動経路データ305から初期データ・ポイントを直接読み出すべく構成することができる。
【0022】
図4Bは、図4Aの例の処理エンジン405の実装に使用することのできるフィルタの一例のシーケンスを例示している。図4Bに例示されている例においては、フィルタがオブジェクト指向プログラミング・テクニックを使用して実装されており、それによってフィルタの数、型、シーケンス、構成、相互接続等における柔軟性を促進している。
【0023】
図4Bに例示されている例のフィルタ・シーケンスは、デバイス200によって決定された位置決定のセットを使用し、導出された位置決定の初期セットを作成するNAV評価フィルタ440を伴って開始する。種々の周知のテクニックのいずれかを使用して、精密エフェメリスフィルタ442は、インターネット390経由でIGSから精密SPS衛星ロケーション・データ395(つまりエフェメリスデータ395)を獲得し、このエフェメリスデータ395を使用して、デバイス200によって記録された擬似距離データ(すなわち受信されたSPS信号)の精度を向上させる。たとえば、精密エフェメリスフィルタ442は、擬似距離データ内の各データ・ポイントにおいてデバイス200によって記録された各タイムスタンプを使用して既知の時刻におけるSPS衛星105A〜Cの既知の位置(すなわちエフェメリスデータ395)の間を補間し、記録されたタイムスタンプの瞬時における衛星の精密な場所を決定する。次に高度フィルタ444が、衛星のエフェメリスデータ395を基礎とし、標準軌道幾何学的原理を使用して、各擬似距離または位置決定データ・ポイントに関連付けされるSPS衛星105A〜Cのそれぞれについて水平線からの仰角を計算する。擬似距離データから導出された位置決定の精度を向上させるために高度フィルタ444は、SPS衛星105A〜Cのうちの水平線に対して低いものに対応する擬似距離データを破棄する。
【0024】
次に、非同時擬似距離(NSPR)フィルタ446が、欠落している位置決定データ・ポイント(たとえば、デバイス200が位置決定を決定できなかった場所を表す)を探し出し、追加の位置決定を導出する。一例においてNSPRフィルタ446は、欠落している位置決定データ・ポイント周りに中心を置く擬似距離データ・ポイントのセット、および欠落している位置決定データ・ポイントに関連付けされる擬似距離データおよびもっとも近い位置決定データ・ポイントから計算された補間済みクロック・ドリフト値を使用して欠落している位置決定データ・ポイントを導出する。
【0025】
受信機自律完全性モニタ(RAIM)フィルタ448は、移動経路を処理してマルチパスひずみによって引き起こされた誤差を除去する。マルチパスひずみは、1ないしは複数のSPS衛星105A〜Cとデバイス200の間に位置する複数の表面から反射されたSPS送信信号の受信によって引き起こされる。したがってデバイス200は、それぞれが異なる時間遅延および位相特性を有する複数バージョンのSPS送信信号を受信する。擬似距離データ・ポイントが4もしくはそれを超える数のSPS衛星からの信号を含む例においては、RAIMフィルタ448が、それらのSPS衛星のうちの3つの各順列を使用して位置決定を導く。より詳細には、4つの衛星(すなわち、#1、#2、#3、および#4)が利用可能であるとすると、衛星(#1 #2 #3)、(#1 #2 #4)、(#1 #3 #4)、および(#2 #3 #4)の組み合わせについて4つの位置決定が導かれる。擬似距離データ・ポイントが3つのSPS衛星(たとえば衛星105A〜C)からの信号を含む別の例においては、RAIMフィルタ448が、3つのSPS衛星105A〜Cおよび4番目のSPS衛星(図示せず)の最後に既知の位置のうちの各順列を使用して位置決定を導く。上記の例のいずれにおいてもRAIMフィルタ448が、導出された位置決定を互いに比較する。導出された位置決定が実質的に一致する場合には、その位置決定が移動経路内に含められる。一致しなければマルチパスひずみが生じていると見なされ、その位置決定が移動経路データから除去される。
【0026】
追加の位置決定の導出または既存の位置決定の精度の向上を行った後は、街路制約フィルタ450(図6A〜C、7A〜C、および8A〜Gに関連して後述する)が、移動経路内に含まれている各位置決定を整列して既知の移動コースの中心線に対応させる。たとえば街路制約フィルタ450は、導出された位置決定を、既知の移動コースに一致するもっとも近いポイント(たとえばもっとも近い道路の中心線、歩道等)に対して修正(すなわち、整列)するが、このもっとも近いポイントは、最短ユークリッド距離を基礎として決定することができる。しかしながらその種の修正が、結果として不規則な、または不合理な態様で方々にスキップまたはジャンプする移動経路(たとえば、通りの両側に位置する2つの歩道の間を往来する移動経路)をもたらすことがある。この問題を緩和するために、街路制約フィルタ450による追加の処理を実行することができる。また街路制約フィルタ450は、動きの一貫性を確保するべく移動経路データを処理することができる。たとえば街路制約フィルタ450は、回答者102が乗り物に乗っていることを移動速度が示しているか否かを決定し、それが示されるときには、移動経路が直接的な環境(たとえば、橋、オーバーパス、アンダーパス、一方通行路等)によって許される動きと矛盾しないことを確保する。
【0027】
ギャップ・フィルタ452は、向上された移動経路データ315が位置決定のシーケンスから構成され、かつそれにおいて各位置決定が先行および後続の位置決定からあらかじめ決定済みの距離(たとえば50フィート)を超えないように追加の位置決定を導出する。追加の位置決定は、直線および曲線の移動経路を説明し、かつその追加的に導出された位置決定が既知の移動コースの中心線に整列することを確保する、種々のいずれかの幾何学的または三角法テクニックを使用して導出される。最後に米国海洋電子機器協会(NMEA)フィルタ454が、標準データ・フォーマット(たとえば、周知のNMEA‐0183フォーマット)を使用して向上された移動経路データ315を出力する。
【0028】
当業者には容易に明らかとなろうが、図4Aの処理エンジン405の実装に使用されるフィルタの数、シーケンス、型、構成等は図4Bに示されているものと異なることが可能である。たとえば、移動平均フィルタを使用して位置決定のシーケンスの移動平均を計算し、ノイズの多いデータのスムージングを行うことができる。より詳細には、最新のn個の緯度および最新のn個の経度、すなわち最新のn個の位置決定の座標に対応する緯度および経度のそれぞれの移動平均を計算する。別の例においては、クロック・ドリフト補間フィルタが、デバイス200によって使用されるクロック内のドリフトのモデリングを行い、擬似距離データに対して時間補正を適用する。さらに別の例においては、推測フィルタが、以前の位置決定および評価済みの回答者の移動方向ならびに速度を使用して位置決定を評価する。
【0029】
さらに別の例においては、フィルタが2つの並列パス内に配置される。たとえば、移動経路データ305がデータ並べ替えフィルタによって2つのセットに分割される。第1のセットは、大きな建物を含む地理的領域(たとえば、繁華街エリア)の内側で生じた回答者102の場所を表すデータ・ポイントを含み、第2のセットはより郊外のエリア内のデータ・ポイントを含む。続いてそれぞれのデータのセットが1ないしは複数のフィルタに通されるが、それにおいてそれぞれのデータのセットに適用されるフィルタは、異なるとすることも可能であり、同一とすることも可能である。さらに、これら2つのフィルタのセットの間においてデータを交換することも可能である(たとえば、2つのフィルタ・パスを交差結合することができる)。その後、2つのパスの出力の結合に解選択フィルタが適用されて回答者102についての全体的な移動経路が作られる。
【0030】
図6Aおよび6Bは、図3の例の移動経路プロセッサ310を実装するべくプロセッサ(たとえば、図9のプロセッサ2305A〜Cの1つ)によって実行できる例示的な機械可読インストラクションのフローチャート表現を図示している。図6A〜Bの機械可読インストラクションおよび/または例示的な移動経路プロセッサ310は、プロセッサ、コントローラ、および/またはそのほかの任意の適切な処理デバイスによって実行することができる。たとえば、図6A〜Bの機械可読インストラクションおよび/または例示的な移動経路プロセッサ310は、例示的なプロセッサ・プラットフォーム2300内に示され、かつ図9に関連して後述するプロセッサ2305A〜Cに関連付けされたフラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等の有体メディア上にストアされるコード化されたインストラクションとして具体化できる。それに代えて、図6A〜Bの例の機械可読インストラクションおよび/または例示的な移動経路プロセッサ310のいくつかまたは全部を特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、現場プログラマブル・ロジック・デバイス(FPLD)、離散的ロジック、ハードウエア、ソフトウエア、および/またはファームウエアを使用して実装することもできる。また、図6A〜Bの機械可読インストラクションおよび/または例示的な移動経路プロセッサ310のいくつかまたは全部をマニュアルで、または上記のテクニックの任意の組み合わせとして実装することもできる。さらに、図6A〜Bの例の機械可読インストラクションは、図6A〜Bのフローチャートを参照して説明されているが、当業者であれば容易に認識するとおり、例示的な移動経路プロセッサ310を実装する多くのほかの方法を採用することができる。たとえば、ブロックの実行順序の変更、および/または記述されているブロックのいくつかの変更、削除、または結合を行うことができる。
【0031】
図5Aの例の機械可読インストラクションは、移動経路プロセッサ310が、いずれのフィルタおよびフィルタ構成(1ないしは複数)が移動経路プロセッサ310によって実装されるべきかを識別する構成ファイルを読み取ることを伴って開始する(ブロック604)。一例においては、この構成ファイルが、フィルタの型、順序、シーケンス、構成、相互接続、および数を識別するXMLファイルになる。しかしながら、このほかのフィルタの型および/または数を代わりに使用することも可能である。
【0032】
次に移動経路プロセッサ310は、図5Bの例の機械可読インストラクションを使用して各回答者について(ブロック606)移動経路データを処理する(ブロック608)。すべての回答者について移動経路データの処理が完了すると(ブロック610)、移動経路プロセッサ310は、図5Aの例の機械可読インストラクションの実行を終了する。完了していなければ移動経路プロセッサ310はブロック606に戻り、次の回答者について移動経路を処理する。
【0033】
図5Bの例の機械可読インストラクションは、移動経路プロセッサ310によるフィルタ構成ファイル(前述)内に指定されているフィルタのそれぞれの操作を伴って開始する(ブロック660)。続いて移動経路プロセッサ310は、それらのフィルタの1つを操作する(ブロック662)。すべてのフィルタの操作が完了すると(ブロック664)、メディア・サイト・プロセッサ320は、図5Bの例の機械可読インストラクションの実行を終了する。すべてのフィルタの操作が完了していなければ(ブロック664)、移動経路プロセッサ310はブロック660に戻って次のフィルタを操作する。
【0034】
図4Bの街路制約フィルタ450に戻るが、結果として得られる向上された移動経路データ315が既知の移動コースに沿った一貫性がある合理的な移動経路を表すように、移動経路内のそれぞれの導出された(または決定された)位置決定が既知の移動コースの中心線に対応するべく整列される(すなわち、修正、操作等がなされる)。街路制約フィルタ450は、履歴および将来の移動を基礎として適切かつもっとも有望な位置決定の場所を決定する。一例においては、街路制約フィルタ450の実装が人工知能(AI)アルゴリズムおよびテクニック(適切に選択された損失および重みとともに)を使用して種々の移動経路操作を実行する。たとえば、位置決定のそれぞれを近隣の既知の移動コースに対応する複数のポイントにマップし、マップしたそれらの位置決定を接続する複数の可能移動経路を表すベイズ・ツリーを作成することができる。その後、それぞれのポイントに対して(たとえば、実際の位置決定からそのポイントまでのユークリッド距離を基礎として)値を適用することができる。経路を構成するマップ済みのポイントのそれぞれについての値を合計することによって各経路に関連付けされるコストを決定し、最小コストを伴う経路を選択する。
【0035】
図3および4Bの例においては、移動経路プロセッサ310が既知の移動コースの場所を指定するジオコード・データにアクセスできる。さらに移動経路プロセッサ310は、地理的または人口統計学的領域を定義する街路地図ファイルを使用することができ、その上で街路制約フィルタ450が動作することになる。したがって、その領域内またはその領域を通り抜ける移動経路の部分が街路制約フィルタ450によって処理されることになる。図3および4Bの例においては、街路地図ファイルが、4ペアの緯度および経度によって確定される単純な境界矩形を確定する構成可能なXMLファイルになる。移動経路プロセッサ310は、この境界矩形を使用してその領域内に含まれるそれぞれの既知の移動コースのセグメント(たとえば、長さ50フィート)を決定する。移動経路プロセッサ310は、その領域内に含まれるセグメントの1つの中心線と整列するように位置決定を拘束するべく動作する。
【0036】
図6Aは、導出された20の位置決定(円1〜20として示されている)を含む一例の移動経路の部分を例示している。この例の街路制約フィルタ450内においては、移動セグメントが特定の既知の移動コースに関連付けされた連続するデータ・ポイントの順序集合になる。たとえば図6Aにおいては、パイン通りが、それに関連付けされた3つの移動セグメント:すなわち、(1,2,3,4,5)、(13,14,15,16)、および(19,20)を有する。
【0037】
各位置決定が、既知の移動コースの1つのセグメントだけに関連付けされるように強制することによって決定論的経路が組み立てられる。図6Bは、図6Aに例示されている例の移動経路から組み立てられた一例の決定論的経路を例示しており、それにおいてはこの例の決定論的経路内の各ノードが1つの移動セグメントに対応する。街路制約フィルタ450が決定論的経路の考慮だけを行うとした場合には、あるポイントがもっとも近くに現れた既知の移動コースと、回答者102が実際に沿って移動した既知の移動コースとの異なる実質的な可能性が存在する。たとえば図6Aの例においては、位置決定17を2番街またはパインのいずれにも関連付けすることができる。
【0038】
決定論的経路に頼ることに代えて、この例の街路制約フィルタ450は、可能な既知の移動コースに対する複数の位置決定のマッピングを含む決定ツリーを組み立てる。したがって決定ツリーは、位置決定に対応する可能移動経路からなり、それにおいてツリーの複雑性は位置決定における曖昧性の量(たとえば、曖昧なポイントの数またはパーセンテージ)に依存する。決定ツリー内の各ノードは、候補移動経路の移動セグメントを表す(すなわち候補セグメント)。図6Cは、図6Aに例示されている例の移動経路データから組み立てられた2つの枝を含む決定ツリーを例示している。図6Cの例の決定ツリーは、移動経路データが有する曖昧性の量が比較的低いことから比較的小さい。
【0039】
決定ツリーを組み立てることによって街路制約フィルタ450は、決定ツリーを構成する候補移動経路のそれぞれが回答者102によって選択された実際の移動経路であった確率を決定する規則のセットを適用することによりファジィ・ロジックを採用することができる。詳細には、各候補移動経路にスコアが割り当てられ、もっとも高いスコアを伴う候補移動経路が回答者102によって選択されたもっとも有望な移動経路となる。
【0040】
この例の街路制約フィルタ450においては、現在のポジションが、もっとも近い近隣のポジションによってもっとも重い影響を受けることが認識される。たとえば図6Aの例において、位置決定17がパインまたは2番街のいずれの上にあるべきかは、位置決定16および18によってもっとも影響を受ける。したがって、この例の街路制約フィルタ450は、予測子‐修正子法のアルゴリズムを使用する。たとえば、位置決定をマップする最良の既知の移動コースを決定するためにこの例の街路制約フィルタ450は、あらかじめ決定済みの深さ(たとえば4)の決定ツリーが組み立てられるまで移動経路データを通じて反復する。その後この例の街路制約フィルタ450は、有限深度のツリー内においてそれぞれの枝についてスコアを決定し、もっとも高いスコアを伴う枝を選択する。1つの位置決定(または候補セグメント)に関する決定が完了すると、この例の街路制約フィルタ450は、次の位置決定(または候補セグメント)についてこの処理を反復する。
【0041】
有限深度の決定ツリーの各枝のスコア付けには、種々の方法(すなわち測定基準)を使用することができる。たとえば、候補セグメントに対する位置決定の近接、候補セグメントに関する位置決定の見かけの整列等がある。図7Aは、追加の例の位置決定を例示している。一例の測定基準は、たとえば候補セグメントに関して取られるデータのモーメント等のデータ・モーメントを基礎とする。図7Bおよび7Cは、それぞれ1番街および2番街について取られた図7Aの例の位置決定の2つのモーメントを例示している。より小さい平均距離またはモーメントを有する候補セグメントは、より大きな平均距離またはモーメントを有する候補セグメントより高く評価される。この例の街路制約フィルタ450においては、候補セグメント(すなわち、決定ツリーのノード)に対して割り当てられる初期スコアとしてデータ・モーメントが使用される。
【0042】
別の例の測定基準は内積であり、候補セグメントが対応する位置決定とどの程度良好に整列するかを測定する。候補セグメントと位置決定の内積は、その位置決定と候補セグメントの間の角度を決定する。この例においては、その角度が0または180度に近いときには移動セグメント(すなわち、決定ツリーのノード)がより高く評価され(すなわち、ボーナスを受け取り)、その角度が90または270に近いときには移動セグメントがペナルティを受け取る。
【0043】
さらに別の例の測定基準は、候補セグメントを基礎とする文脈分析を使用する。たとえばここで、候補セグメントs[n]を考える。図8Aは、候補セグメントs[n]に与えられるいくつかの例の文脈分析のボーナスをリストしている。より詳細には、s[n]が5を超える数の連続するポイント(すなわち位置決定)を有している場合に、その候補セグメントs[n]に40%のボーナスが与えられる(すなわち、そのスコアが40%増加される)。手前の候補セグメントs[n‐1]のスコアがあらかじめ決定済みの値(たとえば60)より大きいときには、その候補セグメントs[n]に10%のボーナスが与えられる。
【0044】
図8B〜Gは、それぞれの結果として15%の文脈分析ペナルティがもたらされるいくつかの例の候補セグメント構成を例示している。たとえば図8Cに例示されているとおり、候補セグメントs[n]とs[n+1]が接続されない場合には、15%のペナルティが候補セグメントs[n]に適用される。
【0045】
図3に戻るが、メディア・サイト115に対する回答者102の露出が生じたか否かを決定するために図3のMECD300は、通行プロセッサ328を含む。図3に例示されている例の通行プロセッサ328は、向上された移動経路データ315およびデータベース130内に含まれているメディア・サイト・ロケーション情報を使用し、回答者102がメディア・サイト115(図1)を、その回答者102がそのメディア・サイト115を見る機会を有するような態様で通過したか否かを決定する。図3に例示されている例においてメディア・サイト115にメディア露出がクレジットされるためには、回答者102が、メディア・サイト115の「充分に近くを」(たとえば、あらかじめ決定済みの距離内を)通り抜けなければならない。メディア・サイト115にクレジットされる各露出は、通行プロセッサ328によってデータベース130内に記録される。
【0046】
図9は、ここに開示されている方法および装置を実装できる一例のプロセッサ・システム2300を例示している。このプロセッサ・システム2300は、関連システム・メモリを有する1ないしは複数のプロセッサ2305A〜Cを含む。システム・メモリは、1ないしは複数のランダム・アクセス・メモリ(RAM)2315および読み出し専用メモリ(ROM)2317を含むことができる。
【0047】
図9の例において複数のプロセッサ2305A〜Cは、入力/出力コントローラ・ハブ(ICH)2325に結合されており、そこにほかの周辺装置およびデバイスがインターフェースされている。例示されている例においては、ICH2325にインターフェースされている周辺装置に入力デバイス2327、大容量ストレージ・デバイス2340(たとえばハードディスク・ドライブ)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)2345、USBデバイス2350、さらにネットワーク2360に結合されるネットワーク・ポート2355、および/またはリムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライブ2357が含まれる。リムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライブ2357は、磁気または光学メディア等の関連リムーバブル・ストレージ・メディア2358を含むことができる。1ないしは複数の周辺装置は、ダウンロード・サーバ120によって記録された位置決定データ305の提供を実装できる。大容量ストレージ・デバイス2340は、図5Aおよび5Bに示されている例示的な機械可読インストラクションのストアに使用できる。
【0048】
また図9の例のプロセッサ・システム2300は、メモリ・コントローラ・ハブ(MCH)2310に結合された周辺装置であるビデオ・グラフィック・アダプタ・カード2320を含み、さらにそれが表示デバイス2322に結合される。
【0049】
この例のプロセッサ・システム2300は、たとえば従来的なデスクトップ・パーソナル・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、ワークステーション、ネットワーク・サーバ、またはそのほかの任意のコンピューティング・デバイスとすることができる。プロセッサ2305A〜Cは、任意の型の処理ユニット、たとえばインテル(Intel(登録商標))ペンティアム(Pentium(登録商標))ファミリのマイクロプロセッサ、インテル(Intel(登録商標))アイタニウム(Itanium(登録商標))ファミリのマイクロプロセッサ、インテル(Intel)エックススケール(XScale(登録商標))ファミリのプロセッサ、AMD(登録商標)アスロン(Athlon(商標))ファミリのプロセッサ、および/またはAMD(登録商標)オプテロン(Opteron(商標))ファミリまたはプロセッサ等からのマイクロプロセッサとすることができる。プロセッサ2305A〜Cは、図5Aおよび5Bの例示的な機械可読インストラクションを実行して移動経路プロセッサ310を実装することができる。
【0050】
システム・メモリのいくつかまたは全部を構成するメモリ2315および2317は、任意の適切なメモリまたはメモリ・デバイスとすることができ、システム2300のストレージ需要に適合するべくサイズ設定することができる。それに加えて大容量ストレージ・デバイス2340を、たとえばプロセッサ2305A〜Cによって読み取ることの可能な任意の磁気または光学メディアとすることができる。システム・メモリは、記録された移動経路データ305、向上された移動経路データ315、および/またはデータベース130のストアに使用することができる。またシステム・メモリは、図5Aおよび5Bに例示されている例の機械可読インストラクションのストアに使用することもできる。
【0051】
入力デバイス2327は、キーボード、マウス、タッチ・スクリーン、トラック・パッド、またはそのほかの任意の、ユーザによるプロセッサ2305A〜Cへの情報の提供を可能にするデバイスによって実装することができる。
【0052】
表示デバイス2322は、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)モニタ、陰極線管(CRT)モニタ、またはそのほかの任意の、プロセッサ2305A〜Cとユーザの間のビデオ・グラフィック・アダプタ2320を介したインターフェースとして作用する適切なデバイスとすることができる。ビデオ・グラフィック・アダプタ2320は、表示デバイス2322とMCH2310をインターフェースするために使用される任意のデバイスである。その種のカードは、現在たとえばクリエーティブ・ラブズ(Creative Labs)およびそのほかの類似のベンダーから市販されている。
【0053】
リムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライブ2357は、たとえばコンパクト・ディスク‐レコーダブル(CD‐R)ドライブ、コンパクト・ディスク‐リライタブル(CD‐RW)ドライブ、ディジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ等の光学ドライブまたはそのほかの光学ドライブとすることができる。それに代えて、磁気メディア・ドライブとしてもよい。リムーバブル・ストレージ・メディア2358は、メディア2358がドライブ2357を伴って機能するべく選択されることからリムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライブ2357と相補的である。たとえばリムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライブ2357が光学ドライブであれば、リムーバブル・ストレージ・メディア2358をCD‐Rディスク、CD‐RWディスク、DVDディスク、またはそのほかの任意の適切な光学ディスクとすることができる。これに対してリムーバブル・ストレージ・デバイス・ドライブ2357が磁気メディア・デバイスであれば、リムーバブル・ストレージ・メディア2358を、たとえばディスケットまたはそのほかの任意の適切な磁気ストレージ・メディアとすることができる。リムーバブル・ストレージ・メディア2358は、ダウンロード・サーバ120によって記録される位置決定の提供のため、またはデータベース130のストアのために使用することもできる。
【0054】
この例のプロセッサ・システム2300は、たとえばイーサネット(登録商標)・カードまたはそのほかの有線または無線とすることのできるカード等のネットワーク・ポート2355(たとえば、プロセッサ周辺装置)も含む。ネットワーク・ポート2355は、プロセッサ2305A〜Cとネットワーク2360の間のネットワーク接続性を提供し、それをローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、またはそのほかの任意の適切なネットワークとすることができる。またネットワーク・ポート2355およびネットワーク2360は、ダウンロード・サーバ120によって記録される位置決定の提供のために使用することもできる。
【0055】
当然のことながら、当業者は認識することになろうが、この例のシステムに例示されているメモリの順序、サイズ、および比率は変化し得る。それに加えて、この特許は、特にコンポーネント、ハードウエア上において実行されるソフトウエアまたはファームウエアを含む例示的なシステムを開示しているが、その種のシステムが単なる例示に過ぎず、限定と考えるべきでないことに注意する必要がある。たとえば、これらのハードウエアおよびソフトウエア・コンポーネントのいずれかまたは全部がハードウエア内において排他的に、ソフトウエア内において排他的に、ファームウエア内において排他的に、またはハードウエア、ファームウエア、および/またはソフトウエアの何らかの組み合わせにおいて具体化され得ることは企図されている。したがって当業者は、上記の例がこの種のシステムを実装する唯一の方法でないことを容易に認識することになろう。
【0056】
上記の例の方法、機械可読インストラクション、および/または装置のうちの少なくともいくつかは、コンピュータ・プロセッサ上で実行する1ないしは複数のソフトウエアおよび/またはファームウエア・プログラムによって実装される。しかしながら、限定する意図はないが、特定用途向け集積回路、プログラマブル・ロジック・アレイ、およびそのほかのハードウエア・デバイスを含む専用ハードウエア実装も同様に、ここに述べられている例の方法および/または装置のいくつかまたは全部を、全体としてまたは部分的に実装するべく構成可能である。さらに、限定する意図はないが、分散処理またはコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理、仮想マシン処理を含む代替ソフトウエア実装もまた、ここに述べられている例の方法および/または装置を実装するべく構成可能である。
【0057】
また、ここに述べられている例のソフトウエアおよび/またはファームウエア実装がオプションとして:磁気メディア(たとえば、ディスクまたはテープ);ディスク等の光磁気または光学メディア;またはメモリ・カードまたはそのほかの、1ないしは複数の読み出し専用(不揮発性)メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、またはそのほかの再書き込み可能(揮発性)メモリを収容しているパッケージ等のソリッド・ステート・メディアといった有体ストレージ・メディア上;またはコンピュータ・インストラクションを含む信号にストアされることにも注意が必要である。電子メールに対するディジタル・ファイルの添付またはそのほかの自己内蔵情報アーカイブまたはアーカイブのセットは、有体ストレージ・メディアに均等の配信メディアと考えられる。したがって、ここに述べられている例のソフトウエアおよび/またはファームウエアは、上記の有体ストレージ・メディアまたは配布メディアまたはそれらの均等物およびそれに代わるメディア上にストアすることが可能である。
【0058】
上記の明細が特定の標準およびプロトコルを参照して例示的なコンポーネントおよび機能を記述している点では、この開示の教示がその種の標準およびプロトコルに限定されないことが理解される。たとえば、インターネットおよびそのほかのパケット交換ネットワーク伝送(たとえば、伝送制御プロトコル(TCP)/IP、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)/IP、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、ハイパーテキスト・トランスファ・プロトコル(HTTP));およびコンピュータ間およびデバイス間通信(たとえばUSB)のための標準のそれぞれは、現在の最先端技術の例を代表している。その種の標準は、定期的に、同一の汎用機能を有するより高速またはより効率的な均等物に取って代わられる。したがって同じ機能を有する置換標準およびプロトコルは、この開示の教示によって企図される均等物であり、付随する特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0059】
この開示の教示は、インストラクションが収められている1ないしは複数の機械可読メディア、または伝播される信号からのインストラクションの受信および実行を企図しており、その結果、たとえばネットワーク環境に接続されたデバイスは、ネットワークを介し、そのインストラクションを使用して音声、ビデオまたはデータを送信または受信し、かつ通信することができる。その種のデバイスは、音声、ビデオまたはデータ通信を提供する電話、コードレス電話、移動電話、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、セットトップ・ボックス、コンピュータ、および/またはサーバ等の任意の電子デバイスによって実装可能である。
【0060】
ここには特定の例の方法、装置、および製品が述べられているが、この特許の適用範囲はそれらに限定されない。その逆にこの特許は、付随する特許請求の範囲内に含まれるあらゆる方法、装置、および製品を字義どおりに、または均等論の下に保護する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】周知の電子メディア露出測定システムの例を示した説明図である。
【図2】SPS利用可能デバイスの実装の一例の態様を略図的に例示した説明図である。
【図3】本発明の教示に従って組み立てられた一例のメディア露出計算デバイスを略図的に例示した説明図である。
【図4A】図3の移動経路プロセッサを実装する一例の態様を例示した説明図である。
【図4B】図4Aの例の処理エンジンの実装に使用される一例のフィルタ構成を例示した説明図である。
【図5A】図3の移動経路プロセッサを実装するべく実行できる例示的な機械可読インストラクションを表したフローチャートである。
【図5B】図3の移動経路プロセッサを実装するべく実行できる例示的な機械可読インストラクションを表したフローチャートである。
【図6A】一例の移動経路の部分を例示した説明図である。
【図6B】図6Aの例の移動経路から組み立てられる一例の決定論的経路を例示した説明図である。
【図6C】図6Aの例の移動経路から組み立てられる一例の決定ツリーを例示した説明図である。
【図7A】一例の記録される移動経路データを例示した説明図である。
【図7B】図7Aの例の移動経路データを使用する2つのデータ・モーメントの計算を例示した説明図である。
【図7C】図7Aの例の移動経路データを使用する2つのデータ・モーメントの計算を例示した説明図である。
【図8A】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のボーナスを例示した説明図である。
【図8B】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のペナルティを例示した説明図である。
【図8C】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のペナルティを例示した説明図である。
【図8D】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のペナルティを例示した説明図である。
【図8E】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のペナルティを例示した説明図である。
【図8F】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のペナルティを例示した説明図である。
【図8G】図4Bの例の街路制約フィルタ内において使用できるいくつかの例の文脈分析のペナルティを例示した説明図である。
【図9】図5Aおよび5Bによって表される例示的な機械可読インストラクションを実行することのできる一例のプロセッサ・プラットフォームを例示した概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスによって記録された場所を表すデータを前記データの完全性または精度のうちの少なくとも1つを向上させるべく処理すること;
前記処理されたデータから位置決定を導出すること;および、
前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正すること;
を包含する方法。
【請求項2】
前記データを処理することは、前記データをフィルタリングすることを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データをフィルタリングすることは、複数のフィルタを使用することを包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データを処理することは、正確な衛星の位置を導出すること、衛星の高度を計算すること、前記データ内に含まれる評価済みの位置決定を基礎として初期位置決定を設定すること、または受信機自律完全性管理を実行することのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記処理されたデータから位置決定を導出することは、前記処理されたデータをフィルタリングすることを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記処理されたデータから位置決定を導出することは、導出された正確な衛星の位置および受信された信号を使用して位置決定を導出すること、複数の受信された信号および補間されたクロック・ドリフトを使用して位置決定を導出すること、既知の位置および回答者の移動速度を使用して位置決定を導出すること、または決定された、もしくは導出された位置決定をマルチパス干渉が検出された場合に取り除くことのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正することは、人工知能テクニックを使用することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正することは、可能移動経路を表す決定ツリーを組み立てること、前記決定ツリーのノードに尤度値を割り当てること、およびもっとも高い結合した尤度を有する前記決定ツリーの枝に対応する移動経路を選択することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記尤度値は、データ・モーメント、データ・ライン・ドット積、または文脈分析のうちの少なくとも1つを基礎とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
メモリに結合され、かつ:
電子デバイスによって記録された場所を表すデータを前記データの完全性または精度のうちの少なくとも1つを向上させるべく処理し;
前記処理されたデータから位置決定を導出し;かつ、
既知の移動コースと整列させるべく前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを修正するべくプログラムされるプロセッサを包含する装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、少なくとも1つのフィルタを使用して前記データのフィルタリングを行うことによって前記データを処理するべくプログラムされる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、導出された正確な衛星の位置、計算された衛星の高度、前記データ内に含まれる評価済みの位置決定、または受信機自律完全性管理の結果のうちの少なくとも1つを使用することによって前記データを処理するべくプログラムされる、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、導出された正確な衛星の位置および受信された信号のうちの少なくとも1つを使用して位置決定を導出すること、複数の受信された信号および補間されたクロック・ドリフトを使用して位置決定を導出すること、既知の位置および回答者の移動速度を使用して位置決定を導出すること、または決定された、もしくは導出された位置決定をマルチパス干渉が検出された場合に取り除くことによって前記処理されたデータから前記位置決定を導出するべくプログラムされる、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、人工知能テクニックを使用することによって既知の移動コースと整列させるべく前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを修正するべくプログラムされる、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、可能移動経路を表す決定ツリーを組み立てること、前記決定ツリーのノードに尤度値を割り当てること、およびもっとも高い結合した尤度を有する前記決定ツリーの枝に対応する移動経路を選択することによって既知の移動コースと整列させるべく前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを修正するべくプログラムされる、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記尤度値は、データ・モーメント、データ・ライン・ドット積、または文脈分析のうちの少なくとも1つを基礎とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
機械可読メディアであって、実行されると機械に:
電子デバイスによって記録された場所を表すデータを前記データの完全性または精度のうちの少なくとも1つを向上させるべく処理させ;
前記処理されたデータから位置決定を導出させ;かつ、
前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正させるインストラクションがストアされた機械可読メディア。
【請求項18】
前記インストラクションは、実行されると前記機械に、少なくとも1つのフィルタを使用して前記データのフィルタリングを行うことによって前記データを処理させる、請求項17に記載の機械可読メディア。
【請求項19】
前記インストラクションは、実行されると前記機械に、導出された正確な衛星の位置、計算された衛星の高度、前記データ内に含まれる評価済みの位置決定、または受信機自律完全性管理の結果のうちの少なくとも1つを使用することによって前記データを処理させる、請求項17に記載の機械可読メディア。
【請求項20】
前記インストラクションは、実行されると前記機械に、導出された正確な衛星の位置および受信された信号のうちの少なくとも1つを使用して位置決定を導出すること、複数の受信された信号および補間されたクロック・ドリフトを使用して位置決定を導出すること、既知の位置および回答者の移動速度を使用して位置決定を導出すること、または決定された、もしくは導出された位置決定をマルチパス干渉が検出された場合に取り除くことによって前記処理されたデータから前記位置決定を導出させる、請求項17に記載の機械可読メディア。
【請求項21】
前記インストラクションは、実行されると前記機械に、人工知能テクニックを使用することによって前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正させる、請求項17に記載の機械可読メディア。
【請求項22】
前記インストラクションは、実行されると前記機械に、可能移動経路を表す決定ツリーを組み立てること、前記決定ツリーのノードに尤度値を割り当てること、およびもっとも高い結合した尤度を有する前記決定ツリーの枝に対応する移動経路を選択することによって前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正させる、請求項17に記載の機械可読メディア。
【請求項23】
前記尤度値は、データ・モーメント、データ・ライン・ドット積、または文脈分析のうちの少なくとも1つを基礎とする、請求項22に記載の機械可読メディア。
【請求項24】
回答者の場所を表す記録されたデータを読み出すべく構成されたファイル・リーダ;
データをストアするべく構成されたメモリ;および
処理エンジンであって:
前記記録されたデータを前記データの完全性または精度のうちの少なくとも1つを向上させるべく処理するフィルタ;
前記処理されたデータから位置決定を導出するフィルタ;および、
前記導出された位置決定のうちの少なくとも1つを既知の移動コースと整列するべく修正するフィルタ;
を適用するべく構成された処理エンジン;
を包含する装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図8E】
image rotate

【図8F】
image rotate

【図8G】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2008−508529(P2008−508529A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523834(P2007−523834)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/026921
【国際公開番号】WO2006/015188
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(597114498)ニールセン メディア リサーチ インコーポレイテッド (4)
【出願人】(504252732)アールディーピー・アソシエイツ、インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】