電子内視鏡システム
【課題】撮像対象の明るさに柔軟に対応して鮮明な画像を撮像することができ、かつ撮像対象が異なる場合であっても当該撮像対象に好適な明るさを持つ鮮明な画像を撮像することができる電子内視鏡システムを提供すること。
【解決手段】電子内視鏡システムは、対物光学系、複数の撮像素子、光束分岐手段、を可撓管の先端部に有する電子内視鏡を少なくとも一つと、電子内視鏡が択一的に接続され、接続された電子内視鏡の仕様に基づき画像生成に必要な閾値を決定する閾値決定手段、および、第一の電圧信号レベルが閾値に達するまでは、該第一の電圧信号に基づいて、明るさが加工された画像に対応する加工信号を生成し、第一の電圧信号レベルが閾値以上になると、第二の電圧信号に基づいて加工信号を生成する画像処理手段、を有するプロセッサと、を有する構成にした。
【解決手段】電子内視鏡システムは、対物光学系、複数の撮像素子、光束分岐手段、を可撓管の先端部に有する電子内視鏡を少なくとも一つと、電子内視鏡が択一的に接続され、接続された電子内視鏡の仕様に基づき画像生成に必要な閾値を決定する閾値決定手段、および、第一の電圧信号レベルが閾値に達するまでは、該第一の電圧信号に基づいて、明るさが加工された画像に対応する加工信号を生成し、第一の電圧信号レベルが閾値以上になると、第二の電圧信号に基づいて加工信号を生成する画像処理手段、を有するプロセッサと、を有する構成にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体腔内を観察する際に用いられる電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の体腔内の部位を観察、治療するため、電子内視鏡システムが広く知られ実用に供されている。このような電子内視鏡システムは、例えば、体腔内を撮像するための電子内視鏡、電子内視鏡により取得された撮像信号に画像処理を施すプロセッサ、プロセッサにより処理され生成されたビデオ信号を表示するモニタ等から構成されている。このような電子内視鏡システムは、例えば、下記の特許文献1に開示される。
【0003】
【特許文献1】特開平8−214290号公報
【0004】
このような従来の電子内視鏡システムは、単一の撮像素子によって撮像を行う。そのため、撮像画像は該単一の撮像素子の性能に大きく依存してしまう。従って、同一の撮像対象に関する画像内であっても、明るさが異なる、つまり特定の撮像領域内において明暗の差が大きい)と、一部が白飛びしてしまうあるいは暗転しまう等の現象がおきる。該現象は、精密な観察に耐えうる十分な画質の画像の撮像を困難にするという問題を招く。
【0005】
また、撮像対象が異なる、換言すれば使用する電子内視鏡が異なると、上記のような撮像画像における白飛びや暗く潰れると言った現象の発生具合も異なる。例えば、胃や十二指腸といった照明光が比較的広範にわたって届きやすい部位を撮像対象とする場合、暗転よりも白飛びがおきやすい。これに対して、大腸等の細い長尺状の部位を撮像対象とする場合、照明光が十分に行き届かず、より暗転しやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、撮像対象の明暗の差が大きい場合であっても白飛びや暗転を生じることなく鮮明な画像を撮像することができ、かつ撮像対象が異なる場合であっても当該撮像対象に好適な明るさを持つ鮮明な画像を撮像することができる電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の電子内視鏡システムは、対物光学系、第一の撮像素子、第一の撮像素子よりも低い感度を有する第二の撮像素子、および、対物光学系から射出された光束が各撮像素子に略同一の光量で入射するように、光束を分岐し各撮像素子に導く光束分岐手段、を可撓管の先端部に有する電子内視鏡を少なくとも一つと、電子内視鏡が択一的に接続され、接続された電子内視鏡の仕様に基づき第一の撮像素子から出力される第一の電圧信号と第二の撮像素子から出力される第二の電圧信号とのいずれに基づき画像を生成するかを判断するための閾値を決定する閾値決定手段、および、第一の電圧信号レベルが閾値に達するまでは、該第一の電圧信号に基づいて、明るさが加工された画像に対応する加工信号を生成し、第一の電圧信号レベルが閾値以上になると、第二の電圧信号に基づいて加工信号を生成する画像処理手段、を有するプロセッサと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の電子内視鏡によれば、互いに感度が異なる複数の撮像素子によって体腔内を撮像することができる。従って、各撮像素子から出力される電圧信号を用いることにより、単一の撮像素子で撮像した場合に比べて、同一撮像対象内において明暗の差が大きくても鮮明な画像を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の電子内視鏡システムによれば、電子内視鏡は、さらに該電子内視鏡固有の情報を記憶する記憶手段を有し、閾値決定手段は、接続された電子内視鏡の記憶手段から情報を読み出して、該情報に基づき閾値を決定することが望ましい。
【0010】
請求項2に記載の電子内視鏡システムによれば、各電子内視鏡が各々固有の情報を持っており、該情報に基づき生成される閾値を利用して加工画像を生成するため、常に撮像対象に好適な明るさの鮮明な画像が提供される。
【0011】
請求項3に記載の電子内視鏡システムによれば、上記電子内視鏡固有の情報は、閾値そのものの情報を含んでいても良い。
【0012】
請求項4に記載の電子内視鏡システムによれば、複数の前記電子内視鏡を有し、各電子内視鏡は、それぞれの撮像対象に応じた閾値情報を持つことができる。
【0013】
請求項5に記載の電子内視鏡システムによれば、画像処理手段は、1フレームを複数領域に分割し、分割された領域ごとに加工信号を生成し、生成された全ての加工信号に基づき1フレーム分の画像を生成することが望ましい。これにより、1フレーム内で大きな明暗差があっても鮮明な画像を提供することができる。
【0014】
請求項6に記載の電子内視鏡システムによれば、画像処理手段は、第一の電圧信号レベルが閾値以上の場合、該第一の電圧信号が閾値レベルであるときの電子内視鏡への入射光量に対応する第二の電圧信号レベルが閾値と同一になるように、第二の信号に補正値を加算する。該補正値は、閾値同様、電子内視鏡の仕様に基づいて設定される。
【0015】
請求項7に記載の電子内視鏡システムによれば、光束分岐手段は、光束の一部を偏向して第一の撮像素子に導き、光束の残りを透過するハーフミラーを有することができる。
【0016】
請求項8に記載の電子内視鏡システムによれば、第一の撮像素子およびハーフミラーは、駆動機構に一体に取り付けられており、駆動機構によって第一の撮像素子とハーフミラーを対物光学系の光軸方向にスライドさせることによりフォーカシングを行うことができる。
【0017】
また、請求項9に記載の電子内視鏡システムによれば、画像処理手段は、さらに、電子内視鏡から送信される第一の電圧信号のみに基づいて第一の画像信号を生成し、電子内視鏡から送信される第二の電圧信号のみに基づいて第二の画像信号を生成することができる。
【0018】
さらに請求項10に記載の電子内視鏡システムによれば、プロセッサから出力された画像信号に対応する画像を表示する表示手段を有し、表示手段は、複数の表示態様によって、加工信号、第一の画像信号、第二の画像信号に対応する各画像のうち少なくとも二種類を一画面中に表示可能に構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子内視鏡および該電子内視鏡を有する電子内視鏡システムによれば、互いに感度が異なる複数の撮像素子から出力される複数の電圧信号を用いて画像を生成するように構成することにより、撮像対象の明暗差が大きい場合であっても白飛び等を起こすことなく鮮明な画像が提供される。加えて、撮像対象が異なる場合であっても当該撮像対象に好適な明るさを持つ鮮明な画像を提供することもできる。これにより術者等は、より精細な内視鏡観察が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本実施形態の電子内視鏡システムの構成および作用について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム100の概略構成を表す図である。電子内視鏡システム100は、プロセッサ10、複数種類の電子内視鏡30、モニタ50を有する。図1では、複数種類の電子内視鏡30のうち任意の一つをプロセッサ10に接続した状態を示す。
【0022】
上記複数種類の電子内視鏡30は、それぞれ撮像対象に応じて最適な設計がなされている。従って、以下の電子内視鏡30に関する説明は、主として、本発明の特徴に関連し、かつ各電子内視鏡30に共通の構成についてのみ行う。電子内視鏡30はコネクタ部30aと先端に撮像系を持つ可撓管30bと図示しない操作部(把持部)からなる。電子内視鏡30は、コネクタ部30aを介してプロセッサ30に光学的かつ電気的に接続される。モニタ50は、プロセッサ10に接続され所定の情報を適宜表示する。
【0023】
プロセッサ10は、上記複数種類の電子内視鏡30のいずれに対しても互換性を有する。より具体的には、プロセッサ10は、いずれの電子内視鏡30も接続可能に構成されている。プロセッサ10は、システムコントローラ1、光源部2、撮像素子駆動部4、タイミングコントローラ5、画像処理部6、フロントパネル7、を有する。
【0024】
電子内視鏡30は、ライトガイド31、配光レンズ32、対物レンズ33、撮像部8、鉗子口34、ROM35を有する。配光レンズ32、対物レンズ33、撮像部8は可撓管30bの先端近傍に位置している。なお、実際の電子内視鏡では、配光レンズ32や対物レンズ33は、複数枚のレンズを有するレンズ群として構成されるが、各図では便宜上単レンズとして示している。
【0025】
図2は可撓管30bの先端における撮像部8近傍に関する、対物レンズ33の光軸を含む面での拡大断面図である。図2に示すように、可撓管30b先端には、撮像部8のほかに、カバーガラス33aや対物レンズ33が配設されている。カバーガラス33a、対物レンズ33、撮像部8は、円筒状のハウジングHの内周に取り付けられている。図2に示すように、撮像部8は、第一の撮像素子81、ハーフミラー82、第二の撮像素子83、支持部材84を有する。第一の撮像素子81とハーフミラー82は支持部材84に固定されている。
【0026】
第一の撮像素子81と第二の撮像素子83は、互いの受光面が略直交するような位置関係にある。また、ハーフミラー82は、各受光面に対して略45度の角度をなすように配設されている。従って、対物レンズ33を介した体腔内からの光は、ハーフミラー82で分岐され、漏れなく各撮像素子81、83に導かれる。なお、本実施形態ではハーフミラー82は、透過(反射)特性が約50%に設定されている。従って、各撮像素子81、83に入射する光束の光量は略均一である。
【0027】
第一の撮像素子81とハーフミラー82を支持する支持部材84は、対物レンズ33の光軸を含む面での断面がL字となるような形状を呈している。支持部材84は、ハウジングHの内周を対物レンズ33の光軸に沿って微小に移動自在に構成されている。そして組み付け時において、支持部材84を微小移動させることにより、第一の撮像素子81に関するフォーカシングが行われる。なお、第二の撮像素子83は、ハウジングH内部において予め受光面が焦点位置となるような位置で固定されるため、フォーカシングの必要はない。
【0028】
各撮像素子81、83は、感度が互いに異なるカラーCCDである。従って、各撮像素子81、83に関する入射光量−出力信号レベル特性は、互いに異なる。図3は第一の撮像素子81の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。図4は、第二の撮像素子83の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。図3、図4に示すように、第一の撮像素子81は、光量が一定である場合、第二の撮像素子83よりも高い感度を有する。
【0029】
電子内視鏡システム100を用いて撮像対象の撮像を行う場合、まず予め術者が電子内視鏡30の先端、より詳しくは可撓管30bの先端を撮像対象の近傍に配設する。例えば、撮像対象が体腔内の生体組織である場合には、可撓管30bの先端を被検者の体腔内における該生体組織がある位置まで挿入して撮像する。
【0030】
可撓管30bの先端が撮像対象近傍に位置した状態で、術者が電子内視鏡30の図示しない操作部を操作すると、プロセッサ10は所定の各制御処理を行う。
【0031】
プロセッサ10において撮像動作を制御するシステムコントローラ1は、プロセッサ10のみならず電子内視鏡システム100の各部位で実行される種々の処理を統括して制御する。本実施形態のシステムコントローラ1は、電子内視鏡30が接続されると、ROM35から電子内視鏡30固有のID(例えば機種名や型番等)や具体的仕様(例えば撮像素子の方式や画素数、γ特性、さらには上記の入射光量−出力信号レベル特性等)等の内視鏡識別データを読み出す。そして、該内視鏡識別データに対応した制御を適時行う。このように、本実施形態のプロセッサ10は、接続された電子内視鏡自体から制御に好適なデータを入手するように構成される。よって、本発明に係る電子内視鏡30のみならず、既存の電子内視鏡にも互換性を有する。
【0032】
ここで、上記内視鏡識別データには、画像処理部6が撮像対象の明るさに対応した鮮明な画像を生成するために用いられる閾値の情報も含まれる。この点については後に詳述する。
【0033】
電子内視鏡30のコネクタ部30aを介して内視鏡識別データの信号を受信するとともに、システムコントローラ1は、光源部2を発光制御する。光源部2は、光源21、絞り22、絞り駆動機構23、集光レンズ24を有する。システムコントローラ1からの制御信号を受信すると、光源21から光が照射される。本実施形態では、光源21は周知の白色光源、例えばメタルハライドランプや、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を使用する。
【0034】
光源21から照射された光は、絞り22、集光レンズ24を介して電子内視鏡30のライトガイド31、より詳しくはライトガイド31の入射端31aに入射する。ライトガイド31は光ファイバ束である。よって、入射光は、ライトガイド31内を伝送し、射出端31bから射出される。射出光は、配光レンズ32を介して可撓管30bの先端から照射され、撮像対象を照明する。照明された撮像対象からの反射光は、図2に示すカバーガラス33a、対物レンズ33を介して撮像部8に入射する。
【0035】
撮像部8に入射した光束は、ハーフミラー82によって分岐され、各撮像素子81、83に略均一な光量で入射し、各撮像素子の受光面で光学像を結ぶ。各撮像素子81、83は、図1に示すプロセッサ10の撮像素子駆動部4によって駆動制御される。詳しくは、撮像素子駆動部4は、システムコントローラ1の制御下、タイミングコントローラ5により規定される所定のタイミングで、各撮像素子81、83に駆動信号を送信する。各撮像素子81、83は、撮像素子駆動部4から送信される駆動信号に同期して、各撮像素子81、83の受光面に結像した光学像に基づく電圧信号を生成し、プロセッサ10の画像処理部6に定期的に送信する。なお、図の簡略化のため、図1では、撮像素子駆動部4、撮像部8間および撮像部8、画像処理部6間の信号線は一本のみ示すが、実際は撮像部8に配設される各撮像素子の駆動に必要な本数存在する。本実施形態では、各撮像素子81、83に対する入力用信号線と出力用信号線の合計4本存在する。
【0036】
画像処理部6は、前段信号処理部61、画像メモリ62、後段信号処理部63、信号選択回路64、加工信号生成回路65を有する。前段信号処理部61は、各撮像素子81、83から出力された各電圧信号にA/D変換をはじめ、ゲイン調整や解像度調整等を施す。前段信号処理部61から出力された各電圧信号は、各撮像素子の感度に関連づけられた1フレーム分の各画像データとしてそれぞれ画像メモリ62の独立した領域に格納される。別個に格納された各画像データは、タイミングコントローラ5から送信されるタイミング信号に同期して信号選択回路64に一斉に1フレーム分の各画像信号として出力される。該タイミング信号は、例えばモニタ50の周期に対応して送信される。なお、以下では、説明の便宜上、信号選択回路64に出力される画像信号のうち、高感度である第一の撮像素子81に対応する画像信号を第一の画像信号、低感度である第二の撮像素子83に対応する画像信号を第二の画像信号という。
【0037】
信号選択回路64は、システムコントローラ1の制御下、所定の画像がモニタ50に表示されるように後段信号処理部63に出力する画像信号を選択する処理回路である。本実施形態では、モニタ50に表示させる画像を選択するための操作部がフロントパネル7に設けられている。そして、術者等がフロントパネル7の該操作部を操作して表示させたい画像の選択を行うと、該操作に対応した指示信号がシステムコントローラ1に入力される。システムコントローラ1は、該指示信号に対応して、信号選択回路64を駆動制御する。
【0038】
ここで、術者等が撮像対象の明るさに対応しうる鮮明な画像(以下、便宜上加工画像という)を選択した場合、信号選択回路64は、入力する全ての画像信号(つまり、第一の画像信号および第二の画像信号)を後段の加工信号生成回路65に出力する。第一の画像信号および第二の画像信号は、加工信号生成回路65のメモリ65aに一時的に格納される。
【0039】
加工信号生成回路65は、加工画像に対応する加工信号を生成するための処理回路である。図5は、加工信号生成回路65の信号生成に関する処理を説明するための図である。図5は、横軸が各撮像素子81、83に入射する光量を、縦軸が各撮像素子81、83から出力される信号レベルを示す。また、実線が第一の画像信号、一点鎖線が第二の画像信号(より正確には図4に示す特性を持つ第二の画像信号に所定の補正値が加算された信号)を表す。
【0040】
図6は、プロセッサ10によって実行される加工信号の生成処理(換言すれば加工画像の生成処理)に関する一連の流れを説明するためのフローチャートである。プロセッサ10のシステムコントローラ1は、加工信号の生成処理を実行するにあたり、まず接続された電子内視鏡30のROM35から内視鏡識別データを読み出す(S1)。そして、読み出した内視鏡識別データ、特に閾値情報等から加工信号生成時に利用される閾値LVおよび補正値mを決定する(S3)。この閾値LVは、電子内視鏡30ごと換言すれば各内視鏡に好適な撮像対象ごとに決定された値であり、各撮像素子81、83から出力される電圧信号を使い分けるための指標である。決定された閾値LVは、加工信号生成回路65に送信され、設定される。
【0041】
閾値を加工信号生成回路65に設定すると、システムコントローラ1は、電子内視鏡30に1フレーム分の撮像処理を実行させる(S5)。撮像処理については既述してあるためここでの説明は省略する。S5に示す撮像処理によって、加工信号生成回路65のメモリ65aに1フレーム分の第一と第二の各画像信号が格納されると、次いでシステムコントローラ1は、S7以降の処理を加工信号生成回路65に実行させる。
【0042】
すなわち、まずS7において、加工信号生成回路65は、メモリ65aから第一の画像信号を読み出す。ここで、本実施形態の加工信号生成回路65は、1フレーム分の加工画像を生成するにあたり、該1フレームを複数領域に分割し、分割した各領域が観察に最適な明るさを有するように、領域ごとに画像信号の選別、加工を行う。これにより、該1フレームの全ての領域において白飛びや暗転のないより鮮明な状態が確保された加工画像が生成される。
【0043】
本実施形態の加工信号生成回路65は、R、G×2、Bの組からなる4画素を一領域として扱う。従って、S7では、加工信号生成回路65は、該4画素分の第一の画像信号をメモリ65aから読み出す。次いで、加工信号生成回路65は、読み出した第一の画像信号の平均出力レベルがS3により決定された閾値LV以下であるかどうか判断する(S9)。なお、S9での判断対象は、第一の画像信号の平均出力レベルに限定されるものではない。例えば、該第一の画像信号をYC変換する場合には、その変換処理後の輝度YレベルをS9での判断対象として用いることが可能である。
【0044】
ここで、メモリ65aから読み出される第一の画像信号は、正確には撮像素子81から出力された電圧信号に所定の画像処理を施すことにより生成される信号である。そのため、正確には両信号は異なる。しかし、信号レベルは上記画像処理によっても大きく変化することはないため、実質同一とみなせる。つまり、S9における、第一の画像信号のレベルと閾値LVとの比較は、撮像素子81から出力された電圧信号のレベル(つまり撮像素子81への入射光量)と閾値LVとの比較と実質的に同一である。
【0045】
第一の画像信号の平均出力レベルが閾値LVよりも大きいということは、該当領域が比較的明るい領域、つまり、第一の画像信号に基づき画像生成すると白飛びするおそれがある領域であることを意味する。そこで、S9において、加工信号生成回路65は、第一の画像信号の平均出力レベルが閾値LVよりも大きいと判断する(S9:NO)と、該当領域に対応する第二の画像信号をメモリ65aから読み出す(S11)。つまり、低感度な第二の撮像素子83からの画像信号を用いることで、該当領域での白飛びを有効に防止している。そして、S13の処理に移る。
【0046】
S13では、加工信号生成回路65は、図4に示す特性を持つ第二の画像信号に、S3で決定した補正値mを加算するオフセット処理を行う。補正値mは、第一の画像信号が閾値LVと同一レベルであるときの前記電子内視鏡への入射光量に対応する前記第二の電圧信号レベルが前記閾値と同一になるような値に設定される。つまり、加工画像生成に使用する画像信号が領域によって異なったとしても、該加工画像の明るさに違和感を生じさせないようにする、例えば明らかに明るい部位であるにも拘わらず相対的に暗く表示されるといった現象を回避するため、第二の画像信号にオフセット処理を行う。
【0047】
S9において、第一の画像信号が閾値LV以下である(S9:YES)、あるいはS13のオフセット処理が完了すると、加工信号生成回路65は、S15の合成処理に移る。具体的には、加工信号生成回路65は、S9でYESと判断した場合には第一の画像信号を、S9でNOと判断した場合にはS13でオフセット処理した第二の画像信号を、対象となる領域を生成するための画像信号として採用する。そして採用した画像信号を、他の領域に対応する画像信号と合成し加工信号を生成する(S15)。
【0048】
S17において、1フレーム内における全ての領域に対する上記一連の処理が完了したかどうかが判断される。まだ、未処理の領域が残存している場合(S17:NO)には、S7からの処理を繰り返す。全領域に対する上記一連の処理が完了したと判断する(S17:YES)と、加工信号生成回路65は、生成された1フレームの加工画像に対応する加工信号を後段信号処理部63に出力する。なお、S19では、術者が電子内視鏡システム100を用いた内視鏡観察を終了するための操作を行ったかどうかを判断する。該操作が行われ、観察を終了すると判断した場合(S19:YES)、加工信号生成回路65は、上記一連の処理を終了させる。また、上記操作が行われていない、つまり内視鏡観察が終了していない場合(S19:NO)、加工信号生成回路65は、観察は継続すると判断し、S5からの処理を繰り返す。
【0049】
後段信号処理部63は、入力する加工信号にD/A変換を施し、モニタ50の受信規格に適合する映像信号(ビデオ信号)を生成する。モニタ50は、後段信号処理部63から出力される映像信号を受信すると該信号に対応する画像を表示する。
【0050】
図7は、加工信号生成回路65により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。図7に示すように、加工信号は、各撮像素子81、83に入射する光束の光量に応じて、第一の画像信号と第二の画像信号双方の特性を併せ持っている。従って、モニタ50に表示される画像(加工画像)は、撮像対象の全域にわたって白飛びや暗転のない鮮明な画像になっている。
【0051】
ここで、上記の通り、本実施形態の電子内視鏡システム100は、複数種類の電子内視鏡30を使用することができる。各電子内視鏡30は、それぞれに適した撮像対象に対応した閾値情報等を保有している。つまり、接続される(使用される)電子内視鏡が異なれば、加工信号生成回路65に設定される閾値LVや補正値mが異なる。図8は、互いに異なる撮像対象用の3種類の電子内視鏡使用時に生成される加工信号の光量−信号レベル特性を表すグラフである。図8に示す、特性P1は、比較的暗い部位が多い被写体(例えば大腸)を撮像対象とする電子内視鏡使用時に得られる加工信号の特性である。特性P3は、比較的明るい部位が多い被写体(例えば胃)を撮像対象とする電子内視鏡使用時に得られる加工信号の特性である。特性P2は、P1とP2の中間の明るさを持つ被写体(例えば肺)を撮像対象とする電子内視鏡使用時に得られる加工信号の特性である。
【0052】
図8に示すように、各特性に対応する閾値LVP1〜LVP3には以下の関係がある。
LVP3<LVP2<LVP1
つまり、被写体が明るい傾向にあればあるほど閾値は低く設定され、白飛びを防止しつつ明るい部位であってもより鮮明に表示するように構成される。逆に、被写体が暗い傾向にあればあるほど閾値は高く設定され、暗転を防止しつつ暗い部位であってもより鮮明に表示するように構成される。
【0053】
なお、図8では、説明を簡略化するために、各特性P1〜P3を概略的に示している。例えば、光量が最大レベル(256階調における255)における出力信号レベルが特性P1〜P3ごと換言すれば使用する電子内視鏡ごとに異なっている。しかし、実際の電子内視鏡システム100では、後段信号処理部63等が行うガンマ補正処理によって、出力レベルは、適正に補正され、いずれの電子内視鏡を使用した場合であっても、個体差のない画像が提供される。例えば、光量が最大レベル時には出力信号レベルも最大になる。
【0054】
なお、術者等はフロントパネル7の操作部を操作することにより、各撮像素子81、83それぞれで撮像された画像のうち少なくとも一つをモニタ50に表示させることも可能である。該画像は、加工画像と共にあるいは加工画像を表示させず該画像単独で表示させることができる。この場合、信号選択回路64は、システムコントローラ1からの指示に従い、第一の画像信号あるいは第二の画像信号のうち、術者等によって設定された画像に対応する画像信号のみを後段信号処理部63に出力する。
【0055】
以上が本発明の実施形態である。なお、本発明に係る電子内視鏡や電子内視鏡システムは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形を行うことができる。
【0056】
上記実施形態では、感度が異なる二種類の撮像素子に略同一の光量の光を入射させる構成を用いている。本発明では、同一感度の撮像素子に異なる割合の光量の光を入射させてこの構成の代替とすることもできる。
【0057】
上記実施形態では、撮像部8には感度が異なる撮像素子を2つ配設しているが、本発明は、感度が異なる撮像素子を3つ以上備える構成にすることもできる。撮像素子の個数は、加工画像生成の処理にかかる負担と画像の鮮明度とのバランスにより決定するのが好ましい。
【0058】
図9は、撮像部8に感度が異なる撮像素子を3つ配設した変形例を示す図である。変形例において、上記実施形態と同一部材には同一符号を付しここでの説明は省略する。図9に示す撮像部8は、上記実施形態と同一部材である第一の撮像素子81、第二の撮像素子83のほか、光束分岐用プリズム82’、第三の撮像素子85を有する。第三の撮像素子85は、図10に示すように、第一の撮像素子81と第二の撮像素子83のちょうど中間の入射光量−出力信号レベル特性を持つ。なお、このような変形例を採用する場合、図1に示す撮像素子駆動部4、撮像部8間および撮像部8、画像処理部6間には、3本の信号線が配設されることになる。
【0059】
光束分岐用プリズム82’は、4つの直角プリズムを接合して構成される略立方体形状を有している。また光束分岐用プリズム82’において、X字状を呈する各直角プリズムの接合面82a、82bには所定の割合で入射光束を透過(反射)させるような光学膜が施されている。本変形例では、光束分岐用プリズム82’の接合面82a、82bは、各撮像素子81、83、85に入射する光束の光量が略均一になるような反射(透過)特性を有する。具体的には、対物レンズ33に近い接合面82aは、反射光量と透過光量の比が約1:2になるように設定されており、対物レンズ33から離れた位置にある接合面82bは反射光量と透過光量の比が約1:1になるように設定されている。なお、本変形例においては、各接合面で一度反射した光束が再度内部反射するケースは考慮しないものとする。
【0060】
図11は、変形例において、加工信号生成回路65が行う信号生成に関する処理を説明するための図である。図11は、横軸が各撮像素子81、83、85に入射する光量を、縦軸が各撮像素子81、83、85から出力される信号レベルを示す。また、実線が第一の画像信号、一点鎖線が第二の画像信号(より正確には図4に示す特性を持つ第二の画像信号に所定の補正値mが加算された信号)、破線が第三の撮像素子85から出力される第三の画像信号(より正確には図10に示す特性を持つ第三の画像信号に所定の補正値nが加算された信号)を表す。
【0061】
変形例のプロセッサ10によって実行される加工信号の生成処理(換言すれば加工画像の生成処理)に関する一連の流れは、上述した実施形態の処理とほぼ同様であるため、図6および関連記載を参照し、ここでの説明は省略する。図12は、加工信号生成回路65により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。図12に示すように、変形例の構成により生成される加工信号は、各撮像素子81、83、85に入射する光束の光量に応じて、第一から第三の各画像信号の特性を併せ持っている。また、図7に示す特性と比較すれば分かるように、本変形例においては、光量の変化により細かく対応した加工信号の生成が可能になっている。つまり、本変形例では、モニタ50に表示される画像(加工画像)は、上記実施形態よりも一層、撮像対象の明るさに柔軟に対応した白飛びや暗転のない鮮明な画像になっている。
【0062】
なお、加工信号生成回路65が1フレーム分を複数領域に分割する際、必ずしも上記の4画素を一領域として規定する必要はない。例えば、1フレームにおける一走査ラインを一領域として規定することもできる。さらに、本発明に係る電子内視鏡システム100では、プロセッサ10の処理速度の向上をより重視するのであれば、1フレームを複数領域に分割せずに加工信号を生成することも可能である。この場合、1フレームに相当する第一の画像信号全ての平均出力レベルが閾値LVとの比較対象になる。
【0063】
以上のように、本発明に係る電子内視鏡システム100は、上記のようにプロセッサ10に接続される電子内視鏡30ごとに適切な閾値が設定されることを一つの特徴としている。但し、より術者の好みやニーズに柔軟に応えるという観点からは、設定された閾値をフロントパネル7等を操作することによって微調整できるように構成することが可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、互いに異なる感度を持つ撮像素子81、83を使用していると説明した。本発明に係る電子内視鏡システムは、電子内視鏡先端に配設される複数の撮像素子に関し、入射光量−出力信号レベル特性が結果的に異なっていれば、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、以下のような構成であっても本発明に係る電子内視鏡システムに適用することができる。すなわち、撮像素子81、83として、互いに略同一の感度を持つものを採用する。そして、システムコントローラ1の制御下、撮像素子駆動部4が、各撮像素子81、83に対して互いに異なるゲイン調整またはシャッタ速度調整を行う。これにより、結果として、各撮像素子81、83に関する入射光量−出力信号レベル特性は異ならせることができる。
【0065】
加えて、上記実施形態では、複数の撮像素子を利用しているが、本発明に係る電子内視鏡システムは、このような構成に限定されるものではない。例えば、単一の撮像素子を用いて、該撮像素子から出力される信号に、複数種類の異なる画像処理(例えばレベルの異なるゲイン調整等)を施し、明るさに対する出力レベルが異なる複数種類の画像信号を生成する。そして、各画像信号を用いて加工信号を生成する構成であっても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、閾値や補正値は、電子内視鏡30のROM35に予め記憶された内視鏡固有の情報に基づいて決定されると説明した。本発明に係る電子内視鏡システムは、このような構成に限定されるものではない。例えば、予めプロセッサ10に接続する電子内視鏡30の具体的仕様が分かっているのであれば、外部入力機器(例えばキーボード等)を用いて、術者が個別具体的に当該仕様を直接入力する。そして、プロセッサ30は、入力された仕様に基づいて閾値や補正値を決定するように変形することができる。このような変形は、例えば、電子内視鏡30がROM35を有していない場合等に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態の電子内視鏡システムの外観を概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態の電子内視鏡の可撓管の先端近傍を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態の第一の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。
【図4】本発明の実施形態の第二の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。
【図5】本発明の実施形態の第一及び第二の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を同時に表すグラフである。
【図6】本発明の実施形態のプロセッサによって実行される加工信号生成処理に関するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の加工信号生成回路により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。
【図8】互いに異なる撮像対象用の3種類の電子内視鏡使用時に生成される加工信号の光量−信号レベル特性を表すグラフである。
【図9】撮像部に感度が異なる撮像素子を3つ配設した変形例の電子内視鏡の可撓管の先端近傍を示す図である。
【図10】変形例において、第三の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。
【図11】変形例において、加工信号生成回路が行う信号生成に関する処理を説明するための図である。
【図12】変形例において、加工信号生成回路により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。
【符号の説明】
【0068】
1 システムコントローラ
2 光源部
6 画像処理部
61 前段信号処理部
62 画像メモリ
63 後段信号処理部
64 信号選択回路
65 加工信号生成回路
65a メモリ
7 フロントパネル
8 撮像部
81、83、85 撮像素子
82 ハーフミラー
82’ プリズム
10 プロセッサ
30 電子内視鏡
50 モニタ
100 電子内視鏡システム
【技術分野】
【0001】
この発明は、体腔内を観察する際に用いられる電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の体腔内の部位を観察、治療するため、電子内視鏡システムが広く知られ実用に供されている。このような電子内視鏡システムは、例えば、体腔内を撮像するための電子内視鏡、電子内視鏡により取得された撮像信号に画像処理を施すプロセッサ、プロセッサにより処理され生成されたビデオ信号を表示するモニタ等から構成されている。このような電子内視鏡システムは、例えば、下記の特許文献1に開示される。
【0003】
【特許文献1】特開平8−214290号公報
【0004】
このような従来の電子内視鏡システムは、単一の撮像素子によって撮像を行う。そのため、撮像画像は該単一の撮像素子の性能に大きく依存してしまう。従って、同一の撮像対象に関する画像内であっても、明るさが異なる、つまり特定の撮像領域内において明暗の差が大きい)と、一部が白飛びしてしまうあるいは暗転しまう等の現象がおきる。該現象は、精密な観察に耐えうる十分な画質の画像の撮像を困難にするという問題を招く。
【0005】
また、撮像対象が異なる、換言すれば使用する電子内視鏡が異なると、上記のような撮像画像における白飛びや暗く潰れると言った現象の発生具合も異なる。例えば、胃や十二指腸といった照明光が比較的広範にわたって届きやすい部位を撮像対象とする場合、暗転よりも白飛びがおきやすい。これに対して、大腸等の細い長尺状の部位を撮像対象とする場合、照明光が十分に行き届かず、より暗転しやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、撮像対象の明暗の差が大きい場合であっても白飛びや暗転を生じることなく鮮明な画像を撮像することができ、かつ撮像対象が異なる場合であっても当該撮像対象に好適な明るさを持つ鮮明な画像を撮像することができる電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の電子内視鏡システムは、対物光学系、第一の撮像素子、第一の撮像素子よりも低い感度を有する第二の撮像素子、および、対物光学系から射出された光束が各撮像素子に略同一の光量で入射するように、光束を分岐し各撮像素子に導く光束分岐手段、を可撓管の先端部に有する電子内視鏡を少なくとも一つと、電子内視鏡が択一的に接続され、接続された電子内視鏡の仕様に基づき第一の撮像素子から出力される第一の電圧信号と第二の撮像素子から出力される第二の電圧信号とのいずれに基づき画像を生成するかを判断するための閾値を決定する閾値決定手段、および、第一の電圧信号レベルが閾値に達するまでは、該第一の電圧信号に基づいて、明るさが加工された画像に対応する加工信号を生成し、第一の電圧信号レベルが閾値以上になると、第二の電圧信号に基づいて加工信号を生成する画像処理手段、を有するプロセッサと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の電子内視鏡によれば、互いに感度が異なる複数の撮像素子によって体腔内を撮像することができる。従って、各撮像素子から出力される電圧信号を用いることにより、単一の撮像素子で撮像した場合に比べて、同一撮像対象内において明暗の差が大きくても鮮明な画像を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の電子内視鏡システムによれば、電子内視鏡は、さらに該電子内視鏡固有の情報を記憶する記憶手段を有し、閾値決定手段は、接続された電子内視鏡の記憶手段から情報を読み出して、該情報に基づき閾値を決定することが望ましい。
【0010】
請求項2に記載の電子内視鏡システムによれば、各電子内視鏡が各々固有の情報を持っており、該情報に基づき生成される閾値を利用して加工画像を生成するため、常に撮像対象に好適な明るさの鮮明な画像が提供される。
【0011】
請求項3に記載の電子内視鏡システムによれば、上記電子内視鏡固有の情報は、閾値そのものの情報を含んでいても良い。
【0012】
請求項4に記載の電子内視鏡システムによれば、複数の前記電子内視鏡を有し、各電子内視鏡は、それぞれの撮像対象に応じた閾値情報を持つことができる。
【0013】
請求項5に記載の電子内視鏡システムによれば、画像処理手段は、1フレームを複数領域に分割し、分割された領域ごとに加工信号を生成し、生成された全ての加工信号に基づき1フレーム分の画像を生成することが望ましい。これにより、1フレーム内で大きな明暗差があっても鮮明な画像を提供することができる。
【0014】
請求項6に記載の電子内視鏡システムによれば、画像処理手段は、第一の電圧信号レベルが閾値以上の場合、該第一の電圧信号が閾値レベルであるときの電子内視鏡への入射光量に対応する第二の電圧信号レベルが閾値と同一になるように、第二の信号に補正値を加算する。該補正値は、閾値同様、電子内視鏡の仕様に基づいて設定される。
【0015】
請求項7に記載の電子内視鏡システムによれば、光束分岐手段は、光束の一部を偏向して第一の撮像素子に導き、光束の残りを透過するハーフミラーを有することができる。
【0016】
請求項8に記載の電子内視鏡システムによれば、第一の撮像素子およびハーフミラーは、駆動機構に一体に取り付けられており、駆動機構によって第一の撮像素子とハーフミラーを対物光学系の光軸方向にスライドさせることによりフォーカシングを行うことができる。
【0017】
また、請求項9に記載の電子内視鏡システムによれば、画像処理手段は、さらに、電子内視鏡から送信される第一の電圧信号のみに基づいて第一の画像信号を生成し、電子内視鏡から送信される第二の電圧信号のみに基づいて第二の画像信号を生成することができる。
【0018】
さらに請求項10に記載の電子内視鏡システムによれば、プロセッサから出力された画像信号に対応する画像を表示する表示手段を有し、表示手段は、複数の表示態様によって、加工信号、第一の画像信号、第二の画像信号に対応する各画像のうち少なくとも二種類を一画面中に表示可能に構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子内視鏡および該電子内視鏡を有する電子内視鏡システムによれば、互いに感度が異なる複数の撮像素子から出力される複数の電圧信号を用いて画像を生成するように構成することにより、撮像対象の明暗差が大きい場合であっても白飛び等を起こすことなく鮮明な画像が提供される。加えて、撮像対象が異なる場合であっても当該撮像対象に好適な明るさを持つ鮮明な画像を提供することもできる。これにより術者等は、より精細な内視鏡観察が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本実施形態の電子内視鏡システムの構成および作用について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム100の概略構成を表す図である。電子内視鏡システム100は、プロセッサ10、複数種類の電子内視鏡30、モニタ50を有する。図1では、複数種類の電子内視鏡30のうち任意の一つをプロセッサ10に接続した状態を示す。
【0022】
上記複数種類の電子内視鏡30は、それぞれ撮像対象に応じて最適な設計がなされている。従って、以下の電子内視鏡30に関する説明は、主として、本発明の特徴に関連し、かつ各電子内視鏡30に共通の構成についてのみ行う。電子内視鏡30はコネクタ部30aと先端に撮像系を持つ可撓管30bと図示しない操作部(把持部)からなる。電子内視鏡30は、コネクタ部30aを介してプロセッサ30に光学的かつ電気的に接続される。モニタ50は、プロセッサ10に接続され所定の情報を適宜表示する。
【0023】
プロセッサ10は、上記複数種類の電子内視鏡30のいずれに対しても互換性を有する。より具体的には、プロセッサ10は、いずれの電子内視鏡30も接続可能に構成されている。プロセッサ10は、システムコントローラ1、光源部2、撮像素子駆動部4、タイミングコントローラ5、画像処理部6、フロントパネル7、を有する。
【0024】
電子内視鏡30は、ライトガイド31、配光レンズ32、対物レンズ33、撮像部8、鉗子口34、ROM35を有する。配光レンズ32、対物レンズ33、撮像部8は可撓管30bの先端近傍に位置している。なお、実際の電子内視鏡では、配光レンズ32や対物レンズ33は、複数枚のレンズを有するレンズ群として構成されるが、各図では便宜上単レンズとして示している。
【0025】
図2は可撓管30bの先端における撮像部8近傍に関する、対物レンズ33の光軸を含む面での拡大断面図である。図2に示すように、可撓管30b先端には、撮像部8のほかに、カバーガラス33aや対物レンズ33が配設されている。カバーガラス33a、対物レンズ33、撮像部8は、円筒状のハウジングHの内周に取り付けられている。図2に示すように、撮像部8は、第一の撮像素子81、ハーフミラー82、第二の撮像素子83、支持部材84を有する。第一の撮像素子81とハーフミラー82は支持部材84に固定されている。
【0026】
第一の撮像素子81と第二の撮像素子83は、互いの受光面が略直交するような位置関係にある。また、ハーフミラー82は、各受光面に対して略45度の角度をなすように配設されている。従って、対物レンズ33を介した体腔内からの光は、ハーフミラー82で分岐され、漏れなく各撮像素子81、83に導かれる。なお、本実施形態ではハーフミラー82は、透過(反射)特性が約50%に設定されている。従って、各撮像素子81、83に入射する光束の光量は略均一である。
【0027】
第一の撮像素子81とハーフミラー82を支持する支持部材84は、対物レンズ33の光軸を含む面での断面がL字となるような形状を呈している。支持部材84は、ハウジングHの内周を対物レンズ33の光軸に沿って微小に移動自在に構成されている。そして組み付け時において、支持部材84を微小移動させることにより、第一の撮像素子81に関するフォーカシングが行われる。なお、第二の撮像素子83は、ハウジングH内部において予め受光面が焦点位置となるような位置で固定されるため、フォーカシングの必要はない。
【0028】
各撮像素子81、83は、感度が互いに異なるカラーCCDである。従って、各撮像素子81、83に関する入射光量−出力信号レベル特性は、互いに異なる。図3は第一の撮像素子81の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。図4は、第二の撮像素子83の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。図3、図4に示すように、第一の撮像素子81は、光量が一定である場合、第二の撮像素子83よりも高い感度を有する。
【0029】
電子内視鏡システム100を用いて撮像対象の撮像を行う場合、まず予め術者が電子内視鏡30の先端、より詳しくは可撓管30bの先端を撮像対象の近傍に配設する。例えば、撮像対象が体腔内の生体組織である場合には、可撓管30bの先端を被検者の体腔内における該生体組織がある位置まで挿入して撮像する。
【0030】
可撓管30bの先端が撮像対象近傍に位置した状態で、術者が電子内視鏡30の図示しない操作部を操作すると、プロセッサ10は所定の各制御処理を行う。
【0031】
プロセッサ10において撮像動作を制御するシステムコントローラ1は、プロセッサ10のみならず電子内視鏡システム100の各部位で実行される種々の処理を統括して制御する。本実施形態のシステムコントローラ1は、電子内視鏡30が接続されると、ROM35から電子内視鏡30固有のID(例えば機種名や型番等)や具体的仕様(例えば撮像素子の方式や画素数、γ特性、さらには上記の入射光量−出力信号レベル特性等)等の内視鏡識別データを読み出す。そして、該内視鏡識別データに対応した制御を適時行う。このように、本実施形態のプロセッサ10は、接続された電子内視鏡自体から制御に好適なデータを入手するように構成される。よって、本発明に係る電子内視鏡30のみならず、既存の電子内視鏡にも互換性を有する。
【0032】
ここで、上記内視鏡識別データには、画像処理部6が撮像対象の明るさに対応した鮮明な画像を生成するために用いられる閾値の情報も含まれる。この点については後に詳述する。
【0033】
電子内視鏡30のコネクタ部30aを介して内視鏡識別データの信号を受信するとともに、システムコントローラ1は、光源部2を発光制御する。光源部2は、光源21、絞り22、絞り駆動機構23、集光レンズ24を有する。システムコントローラ1からの制御信号を受信すると、光源21から光が照射される。本実施形態では、光源21は周知の白色光源、例えばメタルハライドランプや、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を使用する。
【0034】
光源21から照射された光は、絞り22、集光レンズ24を介して電子内視鏡30のライトガイド31、より詳しくはライトガイド31の入射端31aに入射する。ライトガイド31は光ファイバ束である。よって、入射光は、ライトガイド31内を伝送し、射出端31bから射出される。射出光は、配光レンズ32を介して可撓管30bの先端から照射され、撮像対象を照明する。照明された撮像対象からの反射光は、図2に示すカバーガラス33a、対物レンズ33を介して撮像部8に入射する。
【0035】
撮像部8に入射した光束は、ハーフミラー82によって分岐され、各撮像素子81、83に略均一な光量で入射し、各撮像素子の受光面で光学像を結ぶ。各撮像素子81、83は、図1に示すプロセッサ10の撮像素子駆動部4によって駆動制御される。詳しくは、撮像素子駆動部4は、システムコントローラ1の制御下、タイミングコントローラ5により規定される所定のタイミングで、各撮像素子81、83に駆動信号を送信する。各撮像素子81、83は、撮像素子駆動部4から送信される駆動信号に同期して、各撮像素子81、83の受光面に結像した光学像に基づく電圧信号を生成し、プロセッサ10の画像処理部6に定期的に送信する。なお、図の簡略化のため、図1では、撮像素子駆動部4、撮像部8間および撮像部8、画像処理部6間の信号線は一本のみ示すが、実際は撮像部8に配設される各撮像素子の駆動に必要な本数存在する。本実施形態では、各撮像素子81、83に対する入力用信号線と出力用信号線の合計4本存在する。
【0036】
画像処理部6は、前段信号処理部61、画像メモリ62、後段信号処理部63、信号選択回路64、加工信号生成回路65を有する。前段信号処理部61は、各撮像素子81、83から出力された各電圧信号にA/D変換をはじめ、ゲイン調整や解像度調整等を施す。前段信号処理部61から出力された各電圧信号は、各撮像素子の感度に関連づけられた1フレーム分の各画像データとしてそれぞれ画像メモリ62の独立した領域に格納される。別個に格納された各画像データは、タイミングコントローラ5から送信されるタイミング信号に同期して信号選択回路64に一斉に1フレーム分の各画像信号として出力される。該タイミング信号は、例えばモニタ50の周期に対応して送信される。なお、以下では、説明の便宜上、信号選択回路64に出力される画像信号のうち、高感度である第一の撮像素子81に対応する画像信号を第一の画像信号、低感度である第二の撮像素子83に対応する画像信号を第二の画像信号という。
【0037】
信号選択回路64は、システムコントローラ1の制御下、所定の画像がモニタ50に表示されるように後段信号処理部63に出力する画像信号を選択する処理回路である。本実施形態では、モニタ50に表示させる画像を選択するための操作部がフロントパネル7に設けられている。そして、術者等がフロントパネル7の該操作部を操作して表示させたい画像の選択を行うと、該操作に対応した指示信号がシステムコントローラ1に入力される。システムコントローラ1は、該指示信号に対応して、信号選択回路64を駆動制御する。
【0038】
ここで、術者等が撮像対象の明るさに対応しうる鮮明な画像(以下、便宜上加工画像という)を選択した場合、信号選択回路64は、入力する全ての画像信号(つまり、第一の画像信号および第二の画像信号)を後段の加工信号生成回路65に出力する。第一の画像信号および第二の画像信号は、加工信号生成回路65のメモリ65aに一時的に格納される。
【0039】
加工信号生成回路65は、加工画像に対応する加工信号を生成するための処理回路である。図5は、加工信号生成回路65の信号生成に関する処理を説明するための図である。図5は、横軸が各撮像素子81、83に入射する光量を、縦軸が各撮像素子81、83から出力される信号レベルを示す。また、実線が第一の画像信号、一点鎖線が第二の画像信号(より正確には図4に示す特性を持つ第二の画像信号に所定の補正値が加算された信号)を表す。
【0040】
図6は、プロセッサ10によって実行される加工信号の生成処理(換言すれば加工画像の生成処理)に関する一連の流れを説明するためのフローチャートである。プロセッサ10のシステムコントローラ1は、加工信号の生成処理を実行するにあたり、まず接続された電子内視鏡30のROM35から内視鏡識別データを読み出す(S1)。そして、読み出した内視鏡識別データ、特に閾値情報等から加工信号生成時に利用される閾値LVおよび補正値mを決定する(S3)。この閾値LVは、電子内視鏡30ごと換言すれば各内視鏡に好適な撮像対象ごとに決定された値であり、各撮像素子81、83から出力される電圧信号を使い分けるための指標である。決定された閾値LVは、加工信号生成回路65に送信され、設定される。
【0041】
閾値を加工信号生成回路65に設定すると、システムコントローラ1は、電子内視鏡30に1フレーム分の撮像処理を実行させる(S5)。撮像処理については既述してあるためここでの説明は省略する。S5に示す撮像処理によって、加工信号生成回路65のメモリ65aに1フレーム分の第一と第二の各画像信号が格納されると、次いでシステムコントローラ1は、S7以降の処理を加工信号生成回路65に実行させる。
【0042】
すなわち、まずS7において、加工信号生成回路65は、メモリ65aから第一の画像信号を読み出す。ここで、本実施形態の加工信号生成回路65は、1フレーム分の加工画像を生成するにあたり、該1フレームを複数領域に分割し、分割した各領域が観察に最適な明るさを有するように、領域ごとに画像信号の選別、加工を行う。これにより、該1フレームの全ての領域において白飛びや暗転のないより鮮明な状態が確保された加工画像が生成される。
【0043】
本実施形態の加工信号生成回路65は、R、G×2、Bの組からなる4画素を一領域として扱う。従って、S7では、加工信号生成回路65は、該4画素分の第一の画像信号をメモリ65aから読み出す。次いで、加工信号生成回路65は、読み出した第一の画像信号の平均出力レベルがS3により決定された閾値LV以下であるかどうか判断する(S9)。なお、S9での判断対象は、第一の画像信号の平均出力レベルに限定されるものではない。例えば、該第一の画像信号をYC変換する場合には、その変換処理後の輝度YレベルをS9での判断対象として用いることが可能である。
【0044】
ここで、メモリ65aから読み出される第一の画像信号は、正確には撮像素子81から出力された電圧信号に所定の画像処理を施すことにより生成される信号である。そのため、正確には両信号は異なる。しかし、信号レベルは上記画像処理によっても大きく変化することはないため、実質同一とみなせる。つまり、S9における、第一の画像信号のレベルと閾値LVとの比較は、撮像素子81から出力された電圧信号のレベル(つまり撮像素子81への入射光量)と閾値LVとの比較と実質的に同一である。
【0045】
第一の画像信号の平均出力レベルが閾値LVよりも大きいということは、該当領域が比較的明るい領域、つまり、第一の画像信号に基づき画像生成すると白飛びするおそれがある領域であることを意味する。そこで、S9において、加工信号生成回路65は、第一の画像信号の平均出力レベルが閾値LVよりも大きいと判断する(S9:NO)と、該当領域に対応する第二の画像信号をメモリ65aから読み出す(S11)。つまり、低感度な第二の撮像素子83からの画像信号を用いることで、該当領域での白飛びを有効に防止している。そして、S13の処理に移る。
【0046】
S13では、加工信号生成回路65は、図4に示す特性を持つ第二の画像信号に、S3で決定した補正値mを加算するオフセット処理を行う。補正値mは、第一の画像信号が閾値LVと同一レベルであるときの前記電子内視鏡への入射光量に対応する前記第二の電圧信号レベルが前記閾値と同一になるような値に設定される。つまり、加工画像生成に使用する画像信号が領域によって異なったとしても、該加工画像の明るさに違和感を生じさせないようにする、例えば明らかに明るい部位であるにも拘わらず相対的に暗く表示されるといった現象を回避するため、第二の画像信号にオフセット処理を行う。
【0047】
S9において、第一の画像信号が閾値LV以下である(S9:YES)、あるいはS13のオフセット処理が完了すると、加工信号生成回路65は、S15の合成処理に移る。具体的には、加工信号生成回路65は、S9でYESと判断した場合には第一の画像信号を、S9でNOと判断した場合にはS13でオフセット処理した第二の画像信号を、対象となる領域を生成するための画像信号として採用する。そして採用した画像信号を、他の領域に対応する画像信号と合成し加工信号を生成する(S15)。
【0048】
S17において、1フレーム内における全ての領域に対する上記一連の処理が完了したかどうかが判断される。まだ、未処理の領域が残存している場合(S17:NO)には、S7からの処理を繰り返す。全領域に対する上記一連の処理が完了したと判断する(S17:YES)と、加工信号生成回路65は、生成された1フレームの加工画像に対応する加工信号を後段信号処理部63に出力する。なお、S19では、術者が電子内視鏡システム100を用いた内視鏡観察を終了するための操作を行ったかどうかを判断する。該操作が行われ、観察を終了すると判断した場合(S19:YES)、加工信号生成回路65は、上記一連の処理を終了させる。また、上記操作が行われていない、つまり内視鏡観察が終了していない場合(S19:NO)、加工信号生成回路65は、観察は継続すると判断し、S5からの処理を繰り返す。
【0049】
後段信号処理部63は、入力する加工信号にD/A変換を施し、モニタ50の受信規格に適合する映像信号(ビデオ信号)を生成する。モニタ50は、後段信号処理部63から出力される映像信号を受信すると該信号に対応する画像を表示する。
【0050】
図7は、加工信号生成回路65により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。図7に示すように、加工信号は、各撮像素子81、83に入射する光束の光量に応じて、第一の画像信号と第二の画像信号双方の特性を併せ持っている。従って、モニタ50に表示される画像(加工画像)は、撮像対象の全域にわたって白飛びや暗転のない鮮明な画像になっている。
【0051】
ここで、上記の通り、本実施形態の電子内視鏡システム100は、複数種類の電子内視鏡30を使用することができる。各電子内視鏡30は、それぞれに適した撮像対象に対応した閾値情報等を保有している。つまり、接続される(使用される)電子内視鏡が異なれば、加工信号生成回路65に設定される閾値LVや補正値mが異なる。図8は、互いに異なる撮像対象用の3種類の電子内視鏡使用時に生成される加工信号の光量−信号レベル特性を表すグラフである。図8に示す、特性P1は、比較的暗い部位が多い被写体(例えば大腸)を撮像対象とする電子内視鏡使用時に得られる加工信号の特性である。特性P3は、比較的明るい部位が多い被写体(例えば胃)を撮像対象とする電子内視鏡使用時に得られる加工信号の特性である。特性P2は、P1とP2の中間の明るさを持つ被写体(例えば肺)を撮像対象とする電子内視鏡使用時に得られる加工信号の特性である。
【0052】
図8に示すように、各特性に対応する閾値LVP1〜LVP3には以下の関係がある。
LVP3<LVP2<LVP1
つまり、被写体が明るい傾向にあればあるほど閾値は低く設定され、白飛びを防止しつつ明るい部位であってもより鮮明に表示するように構成される。逆に、被写体が暗い傾向にあればあるほど閾値は高く設定され、暗転を防止しつつ暗い部位であってもより鮮明に表示するように構成される。
【0053】
なお、図8では、説明を簡略化するために、各特性P1〜P3を概略的に示している。例えば、光量が最大レベル(256階調における255)における出力信号レベルが特性P1〜P3ごと換言すれば使用する電子内視鏡ごとに異なっている。しかし、実際の電子内視鏡システム100では、後段信号処理部63等が行うガンマ補正処理によって、出力レベルは、適正に補正され、いずれの電子内視鏡を使用した場合であっても、個体差のない画像が提供される。例えば、光量が最大レベル時には出力信号レベルも最大になる。
【0054】
なお、術者等はフロントパネル7の操作部を操作することにより、各撮像素子81、83それぞれで撮像された画像のうち少なくとも一つをモニタ50に表示させることも可能である。該画像は、加工画像と共にあるいは加工画像を表示させず該画像単独で表示させることができる。この場合、信号選択回路64は、システムコントローラ1からの指示に従い、第一の画像信号あるいは第二の画像信号のうち、術者等によって設定された画像に対応する画像信号のみを後段信号処理部63に出力する。
【0055】
以上が本発明の実施形態である。なお、本発明に係る電子内視鏡や電子内視鏡システムは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形を行うことができる。
【0056】
上記実施形態では、感度が異なる二種類の撮像素子に略同一の光量の光を入射させる構成を用いている。本発明では、同一感度の撮像素子に異なる割合の光量の光を入射させてこの構成の代替とすることもできる。
【0057】
上記実施形態では、撮像部8には感度が異なる撮像素子を2つ配設しているが、本発明は、感度が異なる撮像素子を3つ以上備える構成にすることもできる。撮像素子の個数は、加工画像生成の処理にかかる負担と画像の鮮明度とのバランスにより決定するのが好ましい。
【0058】
図9は、撮像部8に感度が異なる撮像素子を3つ配設した変形例を示す図である。変形例において、上記実施形態と同一部材には同一符号を付しここでの説明は省略する。図9に示す撮像部8は、上記実施形態と同一部材である第一の撮像素子81、第二の撮像素子83のほか、光束分岐用プリズム82’、第三の撮像素子85を有する。第三の撮像素子85は、図10に示すように、第一の撮像素子81と第二の撮像素子83のちょうど中間の入射光量−出力信号レベル特性を持つ。なお、このような変形例を採用する場合、図1に示す撮像素子駆動部4、撮像部8間および撮像部8、画像処理部6間には、3本の信号線が配設されることになる。
【0059】
光束分岐用プリズム82’は、4つの直角プリズムを接合して構成される略立方体形状を有している。また光束分岐用プリズム82’において、X字状を呈する各直角プリズムの接合面82a、82bには所定の割合で入射光束を透過(反射)させるような光学膜が施されている。本変形例では、光束分岐用プリズム82’の接合面82a、82bは、各撮像素子81、83、85に入射する光束の光量が略均一になるような反射(透過)特性を有する。具体的には、対物レンズ33に近い接合面82aは、反射光量と透過光量の比が約1:2になるように設定されており、対物レンズ33から離れた位置にある接合面82bは反射光量と透過光量の比が約1:1になるように設定されている。なお、本変形例においては、各接合面で一度反射した光束が再度内部反射するケースは考慮しないものとする。
【0060】
図11は、変形例において、加工信号生成回路65が行う信号生成に関する処理を説明するための図である。図11は、横軸が各撮像素子81、83、85に入射する光量を、縦軸が各撮像素子81、83、85から出力される信号レベルを示す。また、実線が第一の画像信号、一点鎖線が第二の画像信号(より正確には図4に示す特性を持つ第二の画像信号に所定の補正値mが加算された信号)、破線が第三の撮像素子85から出力される第三の画像信号(より正確には図10に示す特性を持つ第三の画像信号に所定の補正値nが加算された信号)を表す。
【0061】
変形例のプロセッサ10によって実行される加工信号の生成処理(換言すれば加工画像の生成処理)に関する一連の流れは、上述した実施形態の処理とほぼ同様であるため、図6および関連記載を参照し、ここでの説明は省略する。図12は、加工信号生成回路65により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。図12に示すように、変形例の構成により生成される加工信号は、各撮像素子81、83、85に入射する光束の光量に応じて、第一から第三の各画像信号の特性を併せ持っている。また、図7に示す特性と比較すれば分かるように、本変形例においては、光量の変化により細かく対応した加工信号の生成が可能になっている。つまり、本変形例では、モニタ50に表示される画像(加工画像)は、上記実施形態よりも一層、撮像対象の明るさに柔軟に対応した白飛びや暗転のない鮮明な画像になっている。
【0062】
なお、加工信号生成回路65が1フレーム分を複数領域に分割する際、必ずしも上記の4画素を一領域として規定する必要はない。例えば、1フレームにおける一走査ラインを一領域として規定することもできる。さらに、本発明に係る電子内視鏡システム100では、プロセッサ10の処理速度の向上をより重視するのであれば、1フレームを複数領域に分割せずに加工信号を生成することも可能である。この場合、1フレームに相当する第一の画像信号全ての平均出力レベルが閾値LVとの比較対象になる。
【0063】
以上のように、本発明に係る電子内視鏡システム100は、上記のようにプロセッサ10に接続される電子内視鏡30ごとに適切な閾値が設定されることを一つの特徴としている。但し、より術者の好みやニーズに柔軟に応えるという観点からは、設定された閾値をフロントパネル7等を操作することによって微調整できるように構成することが可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、互いに異なる感度を持つ撮像素子81、83を使用していると説明した。本発明に係る電子内視鏡システムは、電子内視鏡先端に配設される複数の撮像素子に関し、入射光量−出力信号レベル特性が結果的に異なっていれば、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、以下のような構成であっても本発明に係る電子内視鏡システムに適用することができる。すなわち、撮像素子81、83として、互いに略同一の感度を持つものを採用する。そして、システムコントローラ1の制御下、撮像素子駆動部4が、各撮像素子81、83に対して互いに異なるゲイン調整またはシャッタ速度調整を行う。これにより、結果として、各撮像素子81、83に関する入射光量−出力信号レベル特性は異ならせることができる。
【0065】
加えて、上記実施形態では、複数の撮像素子を利用しているが、本発明に係る電子内視鏡システムは、このような構成に限定されるものではない。例えば、単一の撮像素子を用いて、該撮像素子から出力される信号に、複数種類の異なる画像処理(例えばレベルの異なるゲイン調整等)を施し、明るさに対する出力レベルが異なる複数種類の画像信号を生成する。そして、各画像信号を用いて加工信号を生成する構成であっても良い。
【0066】
また、上記実施形態では、閾値や補正値は、電子内視鏡30のROM35に予め記憶された内視鏡固有の情報に基づいて決定されると説明した。本発明に係る電子内視鏡システムは、このような構成に限定されるものではない。例えば、予めプロセッサ10に接続する電子内視鏡30の具体的仕様が分かっているのであれば、外部入力機器(例えばキーボード等)を用いて、術者が個別具体的に当該仕様を直接入力する。そして、プロセッサ30は、入力された仕様に基づいて閾値や補正値を決定するように変形することができる。このような変形は、例えば、電子内視鏡30がROM35を有していない場合等に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態の電子内視鏡システムの外観を概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態の電子内視鏡の可撓管の先端近傍を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態の第一の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。
【図4】本発明の実施形態の第二の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。
【図5】本発明の実施形態の第一及び第二の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を同時に表すグラフである。
【図6】本発明の実施形態のプロセッサによって実行される加工信号生成処理に関するフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の加工信号生成回路により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。
【図8】互いに異なる撮像対象用の3種類の電子内視鏡使用時に生成される加工信号の光量−信号レベル特性を表すグラフである。
【図9】撮像部に感度が異なる撮像素子を3つ配設した変形例の電子内視鏡の可撓管の先端近傍を示す図である。
【図10】変形例において、第三の撮像素子の入射光量−出力信号レベル特性を表すグラフである。
【図11】変形例において、加工信号生成回路が行う信号生成に関する処理を説明するための図である。
【図12】変形例において、加工信号生成回路により生成される加工信号の、光量−信号レベル特性を表すグラフである。
【符号の説明】
【0068】
1 システムコントローラ
2 光源部
6 画像処理部
61 前段信号処理部
62 画像メモリ
63 後段信号処理部
64 信号選択回路
65 加工信号生成回路
65a メモリ
7 フロントパネル
8 撮像部
81、83、85 撮像素子
82 ハーフミラー
82’ プリズム
10 プロセッサ
30 電子内視鏡
50 モニタ
100 電子内視鏡システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の撮像素子、および前記第一の撮像素子よりも低い感度を有する第二の撮像素子、を可撓管の先端部に有する電子内視鏡を少なくとも一つと、
前記電子内視鏡が択一的に接続され、
接続された前記電子内視鏡の仕様に基づき前記第一の撮像素子から出力される第一の電圧信号と前記第二の撮像素子から出力される第二の電圧信号とのいずれに基づき画像を生成するかを判断するための閾値を決定する閾値決定手段、および、
前記第一の電圧信号レベルが前記閾値に達するまでは、該第一の電圧信号に基づいて、明るさが加工された画像に対応する加工信号を生成し、前記第一の電圧信号レベルが前記閾値以上になると、前記第二の電圧信号に基づいて前記加工信号を生成する画像処理手段、を有するプロセッサと、を有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、さらに該電子内視鏡固有の情報を記憶する記憶手段を有し、
前記閾値決定手段は、接続された前記電子内視鏡の前記記憶手段から前記情報を読み出して、該情報に基づき前記閾値を決定することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡固有の情報は、前記閾値そのものの情報を含むことを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項4】
複数の前記電子内視鏡を有し、
各電子内視鏡は、それぞれの撮像対象に応じた前記閾値情報を持つことを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記画像処理手段は、1フレームを複数領域に分割し、分割された領域ごとに加工信号を生成し、生成された全ての加工信号に基づき1フレーム分の画像を生成することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記画像処理手段は、前記第一の電圧信号レベルが閾値以上の場合、前記第一の電圧信号が前記閾値レベルであるときの前記電子内視鏡への入射光量に対応する前記第二の電圧信号レベルが前記閾値と同一になるように、前記第二の信号に補正値を加算し、
前記補正値は、前記仕様に基づき設定されることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、対物光学系と、該対物光学系から射出された光束が各撮像素子に略同一の光量で入射するように、前記光束を分岐し各撮像素子に導く光束分岐手段と、をさらに有し、
前記光束分岐手段は、前記光束の一部を偏向して前記第一の撮像素子に導き、前記光束の残りを透過するハーフミラーを有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記第一の撮像素子および前記ハーフミラーは、駆動機構に一体に取り付けられており、
前記駆動機構によって前記第一の撮像素子と前記ハーフミラーを前記対物光学系の光軸方向にスライドさせることにより、フォーカシングを行うことを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記画像処理手段は、さらに、前記電子内視鏡から送信される第一の電圧信号のみに基づいて第一の画像信号を生成し、前記電子内視鏡から送信される第二の電圧信号のみに基づいて第二の画像信号を生成することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサから出力された画像信号に対応する画像を表示する表示手段を有し、
前記表示手段は、複数の表示態様によって、前記加工信号、前記第一の画像信号、前記第二の画像信号に対応する各画像のうち少なくとも二種類を一画面中に表示可能に構成されていることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項1】
第一の撮像素子、および前記第一の撮像素子よりも低い感度を有する第二の撮像素子、を可撓管の先端部に有する電子内視鏡を少なくとも一つと、
前記電子内視鏡が択一的に接続され、
接続された前記電子内視鏡の仕様に基づき前記第一の撮像素子から出力される第一の電圧信号と前記第二の撮像素子から出力される第二の電圧信号とのいずれに基づき画像を生成するかを判断するための閾値を決定する閾値決定手段、および、
前記第一の電圧信号レベルが前記閾値に達するまでは、該第一の電圧信号に基づいて、明るさが加工された画像に対応する加工信号を生成し、前記第一の電圧信号レベルが前記閾値以上になると、前記第二の電圧信号に基づいて前記加工信号を生成する画像処理手段、を有するプロセッサと、を有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、さらに該電子内視鏡固有の情報を記憶する記憶手段を有し、
前記閾値決定手段は、接続された前記電子内視鏡の前記記憶手段から前記情報を読み出して、該情報に基づき前記閾値を決定することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡固有の情報は、前記閾値そのものの情報を含むことを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項4】
複数の前記電子内視鏡を有し、
各電子内視鏡は、それぞれの撮像対象に応じた前記閾値情報を持つことを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記画像処理手段は、1フレームを複数領域に分割し、分割された領域ごとに加工信号を生成し、生成された全ての加工信号に基づき1フレーム分の画像を生成することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記画像処理手段は、前記第一の電圧信号レベルが閾値以上の場合、前記第一の電圧信号が前記閾値レベルであるときの前記電子内視鏡への入射光量に対応する前記第二の電圧信号レベルが前記閾値と同一になるように、前記第二の信号に補正値を加算し、
前記補正値は、前記仕様に基づき設定されることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記電子内視鏡は、対物光学系と、該対物光学系から射出された光束が各撮像素子に略同一の光量で入射するように、前記光束を分岐し各撮像素子に導く光束分岐手段と、をさらに有し、
前記光束分岐手段は、前記光束の一部を偏向して前記第一の撮像素子に導き、前記光束の残りを透過するハーフミラーを有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記第一の撮像素子および前記ハーフミラーは、駆動機構に一体に取り付けられており、
前記駆動機構によって前記第一の撮像素子と前記ハーフミラーを前記対物光学系の光軸方向にスライドさせることにより、フォーカシングを行うことを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記画像処理手段は、さらに、前記電子内視鏡から送信される第一の電圧信号のみに基づいて第一の画像信号を生成し、前記電子内視鏡から送信される第二の電圧信号のみに基づいて第二の画像信号を生成することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記プロセッサから出力された画像信号に対応する画像を表示する表示手段を有し、
前記表示手段は、複数の表示態様によって、前記加工信号、前記第一の画像信号、前記第二の画像信号に対応する各画像のうち少なくとも二種類を一画面中に表示可能に構成されていることを特徴とする電子内視鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−43742(P2008−43742A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186827(P2007−186827)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
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