説明

電子回路基板

【課題】半田等の流動性導電材料により隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
【解決手段】本発明に係る高周波装置用基板10は、半田等の流動可能な導電性材料を用いて、電子部品または他の電子回路基板と接続される複数の電極端子11、12a〜12hを有し、電極端子11内に形成され、半田等の流動可能な導電材料を蓄積する溝111a、111bを備えている。
詳しくは、高周波装置用基板10の表面上には高周波部品が実装され、複数の電極端子11、12a〜12hは高周波装置用基板10の裏面上に形成されている。複数の電極端子11、12a〜12hのうち、グランド電極端子11は、高周波装置用基板10の裏面の中央部に形成され接地電位に接続されている。半田等を蓄積する溝111a、111bはグランド電極端子11内に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子回路基板に関し、特に流動可能な導電性材料を用いて、電子部品や他の電子回路基板と接続される複数の電極端子を有する電子回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる電気製品では、実装基板上にトランジスタやIC等の半導体装置やコンデンサやフィルタなどの電気部品が表面実装されている。
特に、携帯電話機や携帯デジタルカメラのような小型携帯電子機器の分野では、機器本体の軽薄短小化が著しく進んできている。また、これに伴って、電子機器に搭載される電子部品の小型化、高機能化、高密度実装化が急速に図られてきている。
電子部品の小型化、高機能化により、電子部品に設けられる電極端子のピッチも狭くなる。これに合わせて、電子部品が実装される実装基板上に形成された電極端子のピッチも狭くなる。また、実装基板上の電子部品の高密度実装化により各電子部品間の距離も狭くなる。
【0003】
参考技術として、基板上のパッド内に4本のスリット状の溝が形成された基板が開示されている。4本のスリット状の溝は、パッド中央部からパッドの4辺の中央部へ向けて開放されるように延びている。そして、この基板上のパッドに回路素子を実装したときに、4本のスリット状の溝に半田に含まれるフラックスを集合させて、回路素子とパッドとの間にフラックスの集合部が形成されるのを防止している(特許文献1)。
また、別の参考技術として、半導体チップの裏面に複数個のパッドが形成され、これら複数個のパッドの外周およびこのパッドの外周の一部から半導体チップの外端縁にて、端部が外向きに開放する溝が、形成された技術が開示されている。半導体チップを実装基板に実装したとき、溶融された半田の余剰分を半導体チップの裏面上に設けられた溝に流し込むことにより、半導体装置の薄型化を図っている(特許文献2)。
【0004】
電子部品の小型化、高機能化、高密度実装化により、電子部品が実装される基板上に形成された電極端子のピッチも狭くなり、また、電子部品間の距離も狭くなると、電子部品を基板上に表面実装するときに、半田等の流動性導電材料により隣接する電極端子間が短絡されてしまう場合があった。
特に、高周波特性を有する高周波装置を実装基板に表面実装する場合に、電極端子間での短絡が起こりやすい。この点について、以下に具体的に説明する。
高周波装置は、例えば複数の高周波電子部品を高周波装置用基板の表面上に実装した後、複数の高周波電子部品を樹脂によってパッケージすることにより構成されている。また、高周波装置用基板の裏面には複数の電極端子が形成されており、これら複数の電極端子が実装基板上の電極端子と、半田等の流動性導電材料により接続される。
【0005】
高周波装置は、半導体チップ、トランジスタ、IC、ダイオード、チップコンデンサ、チップ抵抗、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、インダクタ等の高周波電子部品およびこれらを組み合わせたモジュール等により構成されている。このうち、半導体チップ、トランジスタ、IC、ダイオードは半導体装置を構成する。また、チップコンデンサ、チップ抵抗、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、インダクタは、受動回路装置を構成する。
高周波は、各種移動体通信や衛星放送やWLAN(Wireless LAN)で用いられる通信波、マイクロ波、準ミリ波、ミリ波等をいう。
【0006】
ここで、高周波装置が高周波特性を得るためには、グランド電極端子を、高周波装置用基板の裏面上の中央部から端部近傍にわたって略全面に設ける必要がある。なお、複数の高周波電子部品等が高周波装置用基板の表面上に実装される。
これは、高周波電子部品のグランド電極端子(高周波装置用基板の表面に形成)と高周波装置用基板のグランド電極端子(高周波装置用基板の裏面に形成)との間の接続を最短とし、リアクタンス成分を最小とし、高周波電子部品の高周波特性を維持するためによる。
【0007】
また、高周波装置用基板の裏面上のグランド電極端子を、高周波装置用基板の表面上に形成されたストリップ線路の直下の領域を含むようにその周囲に広範囲に設け、当該ストリップ線路の特性インピーダンスに変化が生じるのを防止することにより、高周波電子部品の高周波特性を維持するためによる。
特に、高周波装置内部において、分布定数回路を形成しているような場合に、高周波装置用基板の裏面上のグランド電極端子を、高周波装置用基板の表面上に形成されたストリップ線路の直下の領域を含むようにその周囲に広範囲に設けると効果的であることが知られている。
【0008】
また、高周波電子部品が高周波装置の端部に設けられたことにより、ストリップ線路が高周波装置用基板の端部にまで引き回す必要がある場合には、高周波用基板の裏面上に形成するグランド電極端子を、高周波装置用基板の中央部から端部近傍にわたって更に広範囲に形成する必要がある。
このように、高周波装置が高周波特性を得るためには、高周波電子部品が実装される高周波装置用基板の裏面上の中央部から端部近傍にわたって略全面に、グランド電極端子を設ける必要があった。
このため、グランド電極端子と、このグランド電極端子に隣接して形成された電極端子との間が狭くなり、高周波装置を電子回路基板上に表面実装するときに、半田ブリッジが発生し易く、電極端子間で短絡が起こりやすかった。
【特許文献1】特開2004−47781号公報(図1(B)、段落0021)
【特許文献2】特開2003−347356号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子部品の小型化、高機能化、高密度実装化により、電子部品が実装される基板上に形成された電極端子のピッチも狭くなり、半田等の流動性導電材料により隣接する電極端子間が短絡されてしまう場合があった。また、電子部品間の距離も狭くなると、電子部品を基板上に表面実装するときに、半田等の流動性導電材料により隣接する電極端子間が短絡されてしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子回路基板は、流動可能な材料を用いて、電子部品または他の基板と接続される複数の電極端子を有する電子回路基板であって、上記電極端子内に形成され、上記流動可能な材料を蓄積する溝を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
このように、電極端子内に形成され、上記流動可能な材料を蓄積する溝を備えたので、電子部品等を電子回路基板上に実装するときに、半田等の流動性材料により隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、半田等の流動性材料により隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る高周波装置用基板の構成について、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る高周波装置用基板の裏面を示す図である。
図1において、電子回路基板としての高周波装置用基板10の表面上には、高周波電子部品(不図示)が実装される。
また、高周波装置用基板10の裏面上は、流動可能な導電性材料としての半田を用いて、他の電子回路基板(不図示)と接続される複数の電極端子11、12a〜12hが形成されている。
また、複数の電極端子に含まれるグランド電極端子11は、接地電位に接続されており、高周波装置用基板10の裏面の中央部から端部近傍にかけて広く形成されている。
【0014】
グランド電極端子11内には、半田を蓄積する溝111a、111bが形成されている。溝111a、111bは、底面および4枚の側面に囲われて形成されており、スリット形状に形成されている。また、この溝111a、111bは、グランド電極端子11の外にまで連通されていない。ただし、連通箇所の近傍に他の電極端子がなければ、溝111a、111bがグランド電極端子11の外にまで連通されてもよい。
高周波装置用基板10は銅張り両面基板となっており、エッチングにより銅を剥離して溝111a、111bが形成されている。また、好ましくは溝111a、111bの底面は絶縁材料により形成されている。更に、図1に示されるように、溝111a、111bはグランド電極端子11内であって互いに隣接して設けられた機能電極端子12a〜12h側に近い位置に形成されている。なお、機能電極端子12a〜12hは、例えば、信号入出力用電極端子や電源供給用電極端子が含まれている。
機能電極端子12a〜12hは、図1に示されるように、高周波装置用基板10の裏面の両端部に配列されて形成されている。
なお、後述する図2の説明の通り、高周波装置用基板10の表面には高周波電子部品(不図示)が実装される。
【0015】
次に、高周波装置の実装例を説明する。
図2は、高周波装置の実装例を示す模式的な断面図である。
図2に示される高周波装置用基板10は、図1に示されたA−A線における断面を示している。
高周波装置1000は、高周波装置用基板10と、この高周波装置用基板10の表面上に実装された半導体チップ20を備えている。なお、半導体チップ20は高周波電子部品のひとつを例示したに過ぎず、半導体チップに代えて、トランジスタ、IC、ダイオード、チップコンデンサ、チップ抵抗、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、インダクタ、これらの組合せモジュールであってもよい。
高周波装置用基板10の表面上には、電極端子(マウントパッド)13、複数の電極端子(ボンディングパッド)14a〜14cが形成されている。また、高周波装置用基板10の裏面には、中央部から端部近傍にかけて、グランド電極端子11が形成され、両端部に機能電極端子12a、12bが形成されている。
【0016】
図2に示されるように、グランド電極端子11の内側には、溝111a、111bが機能電極端子12a、12b側に近い位置に形成されている。
図2に示されるように、半導体チップ20は、高周波装置用基板10上の電極端子13上に、半田60aにより取り付けられる。
半導体チップ20の表面上に形成された電極パッド(不図示)と高周波装置用基板10の表面上に形成された電極端子14a、14bとが、金ワイヤ30a、30bにより接続されている。
【0017】
高周波装置1000の半導体チップ20、電極端子14a〜14c等は、エポキシ樹脂40により被覆されている。
たとえばガラスエポキシ材により形成された実装基板50の表面上には、複数の電極端子51、52a、51bおよび複数本の配線パターン(不図示)がエッチィングにより形成されている。
電極端子51は、高周波装置用基板10上のグランド電極端子11の大きさおよび位置に対応するように実装基板50上に形成されている。
また、同様に、電極端子52a、52bも、高周波装置用基板10上の機能電極端子12a、12bの大きさおよび位置に対応するように実装基板50上に形成されている。
【0018】
高周波装置1000は、図2に示されるように、実装基板50の表面上に実装されている。また、高周波装置1000の高周波装置用基板10の裏面上に形成された各電極端子11、12a、12bは、半田60b、60c、60dにより、実装基板50の表面上に形成された各電極端子51、52a、52bと接続されている。
なお、図2では各構造について模式的に示しているため、グランド電極端子11内に形成された溝111a、111bに、半田60cが流れ込んでいない図となっているが、図3を用いて後述するように、実際には半田60cは溝111a、111bに流れ込んでいる。
【0019】
次に、高周波装置1000を実装基板50上に実装する過程について、図に基づいて説明する。
図3は、高周波装置を実装基板上に実装する過程を説明する断面図である。
ここでは、高周波装置1000を半田60b〜60dにより実装基板50上に実装する際に、半田60cが高周波装置用基板10のグランド電極端子11内の溝111a、111bに流れ込む過程について、図3を用いて詳しく説明する。
なお、図3では、図2で示された高周波装置1000および実装基板50の右半分の構成を拡大して示している。また、図3では高周波装置1000内部の詳細構造(例えば半導体チップ20、各電極端子13、14a、14b)については記載を省略している。
【0020】
まず、実装基板50上に形成された各電極端子51、52a上に、クリーム状の半田60b、60cを、メタルマスクを用いてマスキングしながら塗布する(図3(a))。
次に、例えば、画像認識処理を用いて、実装基板50の各電極端子51、52a上に高周波装置1000の各電極端子11、12aが配置されるように、高周波装置1000を実装基板50上に載置する(図3(b))。
次に、例えばリフロー装置(不図示)を用いて、実装基板50に熱を加え、半田60b、60cを溶融させる。
このとき、図3(c)に示されるように、半田60b、60cは、高周波装置1000の各電極端子11、12aと実装基板50の各電極端子51、52a、52bとの間で、実装基板50の電極端子51、52aの表面に対して平行な方向に広がる。
【0021】
図3(c)の矢印で示されたように、半田60cは加熱により溶融されて、グランド電極端子11内に形成された溝111aの中に流れ込んでいく。このとき、半田60cに含まれるフラックスがまず溝111aの中に流れ、フラックスの流れに追従して半田60cに含まれる錫や鉛の成分が溝111aに流れ込む。ここで、溝111aの底面(紙面上方の面)は絶縁材料で形成されているので、半田60cが溝111aの底面に付着し難い。このため、半田60cは溝111aの底面を滑るようにして流れ出るようなことなく、底面および4枚の側面に囲われた溝111aの内側に徐々に蓄積されていく。
【0022】
次に、溝111aの内側を一杯に満たすほどに半田60cが蓄積されると、更にグランド電極端子11の端部にまで半田60cが流れる。最終的には図3(d)に示されるような形状のフィレットが、高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部に形成される。そして、実装基板50を冷却すると、高周波装置1000が半田60b、60cにより、実装基板50の表面上に固定される(図3(d))。
【0023】
このように、高周波装置1000のグランド電極端子11内に半田60cを蓄積する溝111aを備えたので、半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側にはみ出すのを制限でき、半田60cにより隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
また、特に、高周波装置1000のグランド電極端子11の溝111aの底面を絶縁材料で形成したことにより、半田60cを溝111aの底面に付着させることなく、半田60cを溝11aの内側に蓄積させることができる。この結果、更に効果的に、半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側に、はみ出すのを制限でき、半田60cにより隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
【0024】
また、このように、半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側にはみ出すのを制限できたことにより、図1に示された各電極端子11および12a〜12h間のピッチを更に狭くすることができ、更に高周波装置1000内部の各高周波電気部品間の距離を狭くすることができる。
【0025】
また、高周波装置1000が高周波特性を得るためには、一般的にグランド電極端子11を高周波装置用基板10の裏面上の中央部から端部近傍にわたって広範囲に形成する必要がある。従って、特に、図1に示されたグランド電極端子11と機能電極端子12a〜12hとの間が狭くなるが、高周波装置1000のグランド電極端子11内に半田60cを蓄積する溝111a、111bを備えたので、このような場合であっても半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側に、はみ出すのを効果的に制限でき、半田60cにより隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
例えば、図1に示された高周波装置用基板10のグランド電極端子の面積を4mmとし、スリット状に形成された溝111a、111bの幅を約0.1mm、深さを約0.03mm〜約0.06mmとし、0.08mm厚のメタルマスクを用いて半田印刷のマスキングを行ったとき、半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側にはみ出すのを制限できた。
【0026】
その結果、図1に示されたグランド電極端子11および機能電極端子12a〜12h間の最短距離を、約0.1mmとすることができた。グランド電極端子の面積を4mmとした構成において、隣接する電極端子間で半田ブリッジが生じないようにするのに、グランド電極端子11内に溝111a、111bを設けていなかった従来ではグランド電極端子11および機能電極端子12a〜12h間の最短距離を約0.3mm〜約0.5mmとする必要があった。
なお、半田60cを蓄積するための溝111a、111bは、高周波装置用基板10の裏面上のグランド電極端子11の内部に形成される実施態様を説明したが、高周波装置用基板10の裏面上のグランド電極端子11の内部に代えて、実装基板50の表面上のグランド電極端子51の内部に形成されてもよい。
【0027】
次に、本発明の実施の形態1に係る高周波装置用基板の変形例の構成について、図に基づいて説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る高周波装置用基板の裏面を示す図である。
図4において、図1に示された高周波装置用基板10との相違点は、各電極端子71、72a〜72dの形状および配置が異なっている点である。
グランド電極端子71は、接地電位に接続されており、図4に示されるように高周波装置用基板70の裏面の中央部から高周波装置用基板70の各辺の中央部にかけて広く形成されている。
【0028】
また、グランド電極端子71以外の電極端子72a〜72dは、高周波装置用基板70の四隅にそれぞれ形成されている。
グランド電極端子71内には、流動可能な導電材料である半田を蓄積する溝711a〜711hが形成されている。溝711a〜711hは、底面および4枚の側面に囲われて形成されており、スリット形状に形成されている。高周波装置用基板70は銅張り両面基板となっており、エッチィングにより銅を剥離して溝711a〜711hが形成されている。また、好ましくは、溝711a〜711hの底面は絶縁材料により形成されている。
更に、図4に示されるように、溝711a〜711hの各々はグランド電極端子71内であって互いに隣接して設けられた電極端子72a〜72d側に近い位置に形成されている。
【0029】
図4に示されるような構成であっても、グランド電極端子71内に半田を蓄積する溝71a〜72hを備えているので、半田がグランド電極端子71の端部から外側に、はみ出すのを制限でき、半田により隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。また、例えば、高周波電子部品の電極端子間の距離を狭くでき、この結果、高周波装置全体を小型化することができる。
【0030】
発明の実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る実装基板の構成について、図に基づいて説明する。
図5は、本発明の実施の形態2に係る実装基板の表面を示す図である。
図6は、本発明の実施の形態2に係る実装基板上に電子部品を実装した斜視図である。
図5において、電子回路基板としての実装基板80の表面上は、複数の電極端子81a〜81fが形成されている。
図6に示されるように、複数の電極端子81a〜81f上には、抵抗90が実装される。複数の電極端子81a〜81fと、抵抗90の電極端子とが半田(不図示)により接続される。なお、図6では、便宜上、抵抗90が電極端子81eおよび81fにのみに接続された状態を示している。
【0031】
図5に示されるように、実装基板80は銅張り両面基板となっており、エッチィングにより銅を剥離して溝811a〜811fが形成されている。溝811a〜811fは、底面および円筒内側面に囲われて形成されており、抵抗90を実装した時には、溝811a〜811fの内側に半田が蓄積される。更に、図5に示されるように、各電極端子81a〜81fは互いに隣接されて形成されている。
【0032】
次に、本発明の実施の形態2に係る実装基板を用いた実装例を説明する。
図7は、本発明の実施の形態2に係る実装基板上に抵抗を実装した例を示す模式的な断面図である。
図7に示される実装基板80は、図6に示されたB−B線における断面を示している。
実装基板80の表面上には、電極端子81a、81fが形成されている。なお、図7に示された実装基板80の表面を図に示した場合、図5のようになる。
【0033】
抵抗90は図7に示されるように、実装基板80の表面上に実装されている。また、抵抗90の両端に設けられた電極端子91a、91bは、半田110a、110bにより、実装基板80の表面上に形成された電極端子81e、81fと接続されている。
このとき、図7に示されるように、半田110a、110bは電極端子81e、81f内に形成された溝811e、811fに流れ込んでいる。
ここで、好ましくは、溝811a〜811fの底面は、絶縁材料により形成されていない方がよい。すなわち、溝811a、811bの底面が絶縁材料により形成されていなければ、半田110a、110bが溝811a、811bの底面に付着し易い。この結果、半田110a、110bは溝811a、811bの底面を滑るようにして流れ込み、底面および円筒内側面に囲われた溝811a、811bの内側に深く蓄積されている。
【0034】
このように、実装基板80上の電極端子81a〜81f内に、半田を蓄積する溝811a〜811fを設けたので、例えば、実装基板80の電極端子81e、81fの端部からの半田110a、110bの出っ張り量を制限でき、半田110a、110bが隣接する電極端子間で短絡するのを低減できる。
また、このように、実装基板80の電極端子81e、81fの端部からの半田110a、110bの出っ張り量を制限できたことにより、図5に示された各電極端子81a〜81f間のピッチを更に狭くすることができ、その結果、例えば実装基板80を搭載する電気機器を更に小型化することができる。
【0035】
なお、本発明の実施の形態1および2において、流動可能な導電性材料として半田を例に説明したが、これに限らず、銀ペースト等を用いても同等の効果を奏する。
また、流動性のものであれば、接着剤等の非導電性材料であってもよい。この場合には、接着剤により隣接する電極端子間が接続されてしまうのを防止でき、電気特性の劣化を低減できる。
発明の実施の形態2において、電子部品として抵抗を例に説明したが、抵抗に限らず、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ等のチップ部品でもよい。また、受動回路部品、トランジスタ、IC等の半導体装置にも適用できる。
【0036】
また、発明の実施の形態2では、電極端子81a〜81fの内部に形成された溝811a〜811fの形状を円形状のものとして説明したが多角形状であってもよい。
発明の実施の形態1および2では、高周波装置用基板10、70および実装基板50は、それぞれ単層の両面基板であるものとして説明したが、多層基板にも適用することができる。
また、発明の実施の形態1では、半田を蓄積する溝が高周波装置用基板10、70の裏面上のグランド電極端子11、71の内部に形成される態様で説明したが、半田を蓄積する溝は、実装基板50の表面上のグランド電極端子51の内部に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1に係る高周波装置用基板の裏面を示す図である。
【図2】高周波装置の実装例を示す模式的な断面図である。
【図3】高周波装置を実装基板上に実装する過程を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る高周波装置用基板の変形例の裏面を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る実装基板の表面を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る実装基板上に電子部品を実装した斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る実装基板上に抵抗を実装した例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10、70 高周波装置用基板
11、71 グランド電極端子
111a、111b、711a〜711h 溝
12a〜12h、72a〜72d 機能電極端子
13、14a〜14c 電極端子
20 半導体チップ
30a、30b 金ワイヤ
40 パッケージ
50 実装基板
51 グランド電極端子
52a、52b 電極端子
60a〜60d 半田
80 実装基板
81a〜81f 電極端子
811a〜811f 溝
90 抵抗
91a、91b 電極端子
110a、110b 半田
1000 高周波装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に高周波部品が実装され、裏面に流動可能な材料を用いて他の電子回路基板と接続される複数の電極端子を有し、
上記複数の電極端子のうち、上記電子回路基板の裏面の中央部に形成され、接地電位に接続されたグランド電極端子を備えた電子回路基板であって、
上記グランド電極端子内に形成され、上記流動可能な材料を蓄積する溝を備えたことを特徴とする電子回路基板。
【請求項2】
上記複数の電極端子のうち、上記グランド電極端子以外の残余の電極端子は、上記電子回路基板の端部に形成され、
上記溝は、上記グランド電極端子内であって上記残余の電極端子側に近い位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電子回路基板。
【請求項3】
上記溝は、上記流動可能な材料が上記他の電子回路基板に塗布される領域よりも、上記
残余の電極端子側に近い位置に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の電子回路基板。
【請求項4】
上記溝は、スリット形状、円形状または多角形状に形成されたことを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の電子回路基板。
【請求項5】
上記溝の底面は、絶縁材料で形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1
項に記載の電子回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−171441(P2010−171441A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60295(P2010−60295)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2005−18006(P2005−18006)の分割
【原出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】