説明

電子放出源、電子放出源形成用組成物、電子放出源の製造方法、および電子放出源を備えた電子放出素子

【課題】電子放出源、電子放出源形成用組成物、前記電子放出源の製造方法、および前記電子放出源を備えた電子放出素子を提供する。
【解決手段】炭素系物質と、下記化学式(1)等で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質を、硬化および熱処理した後の結果物と、を含む電子放出源、電子放出源形成用組成物、前記電子放出源の製造方法、および該電子放出源を備えた電子放出素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子放出源、電子放出源形成用組成物、前記電子放出源の製造方法、および前記電子放出源を備えた電子放出素子に関し、さらに詳細には、炭素系物質およびシリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物を含むことにより基板との接着性が改良された電子放出源、電子放出源形成用組成物、前記電子放出源の製造方法、および前記電子放出源を備えた電子放出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子放出素子は、電子放出源として熱カソード、または冷カソードを利用する。冷カソードを利用する電子放出素子の例としては、FEA(Field Emitter Arrays)型電子放出素子、SCE(Surface−Conduction Electron−emitter)型電子放出素子、MIM(Metal Insulator Metal)型電子放出素子、MIS(Metal Insulator Semiconductor)型電子放出素子、およびBSE(Ballistic electron Surface Emitting)型電子放出素子が知られている。
【0003】
前記FEA型電子放出素子は、仕事関数が小さいかまたはβ関数が高い物質が電子放出源として使用されると、電界の差異のため容易に電子が放出される原理を利用したものである。モリブデン(Mo)やシリコン(Si)など主に含み先端がとがっている構造を有するチップ構造物、および電子放出源としてグラファイトやDLC(Diamond Like Carbon)などの炭素系物質を含む素子が開発されている。最近、ナノチューブやナノワイヤーなどのナノ物質を電子放出源として用いた素子が開発されている。
【0004】
前記SCE型電子放出素子は、第1基板上に、互いに対向するように配置された第1電極と第2電極との間に導電性薄膜を挿入し、前記導電性薄膜に微細亀裂を形成させることによって形成される。前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加し、前記導電性薄膜の表面に沿って電流を流すと、電子放出源の構成要素である微細亀裂から電子が放出される。
【0005】
前記MIM型電子放出素子および前記MIS型電子放出素子は、それぞれ金属−絶縁体−金属(MIM)構造の電子放出源および金属−絶縁体−半導体(MIS)構造の電子放出源を含む。MIM型の2つの金属、またはMIS型の金属および半導体に電圧が印加されると、高い電子ポテンシャルを有する金属または半導体から、低い電子ポテンシャルを有する金属のほうへ電子が移動および加速されつつ放出される。
【0006】
前記BSE型電子放出素子は、半導体のサイズが、半導体中の電子の平均自由行程より小さなサイズまで減少されると、電子が散乱せずに進む原理を利用している。オーム電極上に金属または半導体を含む電子供給層が形成され、電子供給層上に絶縁層および金属薄膜が形成される。オーム電極および金属薄膜に電圧が印加されると、電子が放出される。
【0007】
FEA型電子放出素子は、カソード電極およびゲート電極の配置によって、トップゲート型とボトムゲート型とに分けられ、使用される電極の数によって二極管、三極管、または四極管などに分けられる。
【0008】
前述のような電子放出素子の電子放出源は、カーボンナノチューブなどの炭素系物質を含む。前記カーボンナノチューブは、優れた導電性および電界集中効果を有し、仕事関数が小さく、優れた電界放出特性を有する。それゆえ、低電圧駆動で機能し、広面積のディスプレイに用いられうる。したがって、カーボンナノチューブは、電子放出素子の理想的な電子放出源として期待されている。
【0009】
カーボンナノチューブを含む電子放出源の製造方法は、例えば、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法などを利用するカーボンナノチューブ成長法、カーボンナノチューブおよびビヒクルを含む電子放出源形成用組成物を利用するペースト法(例えば、特許文献1参照)などを含む。前記ペースト法を利用すれば、製造コストを低減でき、広面積の電子放出源が得られる。
【特許文献1】米国特許第6,436,221号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来のペースト法を利用して電子放出源が形成される場合、電子放出源形成用組成物を現像する工程の間、または電子放出源の炭素系物質を垂直配向させる工程の間に、電子放出源が基板から剥離する問題があり、改良が必要とされている。
【0011】
そこで、本発明は、電子放出源の基板からの剥離を防止できる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような課題を解決するために、本発明は、炭素系物質と、下記化学式(1)で表されるシリコン系物質、下記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および下記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物と、を含む電子放出源を提供する。
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
前記化学式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、およびR22は、互いに独立して、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはメルカプト基であり、mおよびnは、互いに独立して、0〜1,000の整数である。
【0017】
また、本発明は、炭素系物質と、下記化学式(1)で表されるシリコン系物質、下記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および下記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質と、ビヒクルと、を含む電子放出源形成用組成物を提供する。
【0018】
【化4】

【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
前記化学式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、およびR22は、互いに独立して、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはメルカプト基であり、mおよびnは、互いに独立して、0〜1,000の整数である。
【0022】
さらに、本発明は、電子放出源形成用組成物を調製する工程と、前記電子放出源形成用組成物を基板上に印刷する工程と、基板上に印刷された前記電子放出源形成用の組成物を熱処理する工程と、を含む電子放出源の製造方法を提供する。
【0023】
さらに、本発明は、第1基板と、前記第1基板上に配置されるカソード電極および電子放出源と、前記カソード電極と電気的に絶縁されるように配置されるゲート電極と、前記カソード電極と前記ゲート電極との間に配置され、前記カソード電極と前記ゲート電極とを絶縁する絶縁層と、を備え、前記電子放出源は、本発明の電子放出源である電子放出素子を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板との接着性が改良された電子放出源が提供されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
本発明による電子放出源は、炭素系物質と、前記化学式(1)で表されるシリコン系物質、前記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および前記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物と、を含む。
【0027】
優れた導電性および電子放出特性を有する前記炭素系物質は、電子放出素子の作動時に、蛍光体層へ電子を放出して蛍光体を励起させる。前記炭素系物質の例としては、カーボンナノチューブ、グラファイト、ダイアモンド、フラーレン、または炭化ケイ素(SiC)などが好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、カーボンナノチューブがより好ましい。
【0028】
カーボンナノチューブは、グラファイトシートをナノサイズの直径に丸く巻いてチューブを形成させることによって得られる炭素同素体である。本発明では、シングルウォールカーボンナノチューブおよびマルチウォールカーボンナノチューブの両方が使用されうる。本発明に用いられるカーボンナノチューブは、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD、以下「CVD法」とも称す)、DCプラズマCVD法、RFプラズマCVD法、またはマイクロ波プラズマCVD法などのCVD法を利用して製造されうる。
【0029】
一方、本発明による電子放出源は、下記化学式(1)で表されるシリコン系物質、下記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および下記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物を含む。
【0030】
【化7】

【0031】
【化8】

【0032】
【化9】

【0033】
前記化学式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、およびR22は、互いに独立して、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはメルカプト基であり、mおよびnは、互いに独立して、0〜1,000の整数である。
【0034】
前述のようなシリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物は、電子放出源と基板、例えば、ITOカソード電極との間の接着力を向上させる役割を果たす。したがって、硬化および熱処理した後の結果物は、本発明による電子放出源が、基板から剥離されることを防止しこれにより電子放出素子の耐久性が改良されうる。
【0035】
本明細書において、前記シリコン系物質の「硬化および熱処理した後の結果物」とは、後述する本発明の一実施形態による電子放出源形成用組成物、および電子放出源の製造方法と関連して理解されるものである。より具体的には、前記のシリコン系物質の「硬化および熱処理した後の結果物」は、シリコン系物質をUV光または熱により硬化させた後、これを400〜500℃の温度下で熱処理した後の結果物であることが好ましい。
【0036】
前記化学式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、およびR22は、互いに独立して、置換されていてもよいC〜C20直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはメルカプト基である。
【0037】
前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、n−ドデシル基、1−メチルウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、またはn−エイコシル基などが挙げられる。
【0038】
前記アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−へキシルオキシ基、3−メチルペンタン−2−イルオキシ基、3−メチルペンタン−3−イルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンタン−2−イルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブタン−2−イルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、4−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、1−(n−プロピル)ブチルオキシ基、1,1−ジメチルペンチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、1,1−ジエチルプロピルオキシ基、1,3,3−トリメチルブチルオキシ基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−メチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,4−ジメチルペンタン−3−イルオキシ基、1,1−ジメチルペンタン−1−イルオキシ基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イルオキシオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプチルオキシ基、5−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプタン−2−イルオキシ基、3−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−4−イルオキシ基、1−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−プロピルペンチルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルヘキシルオキシ基、1,4−ジメチルヘキシルオキシ基、1,5−ジメチルヘキシルオキシ基、1−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、1,1,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1,1,3,3−テトラメチルブチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、6−メチルオクチルオキシ基、1−エチルヘプチルオキシ基、1−(n−ブチル)ペンチルオキシ基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチルオキシ基、1,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1,1,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクタン−3−イルオキシ基、n−デシルオキシ基、1−メチルノニルオキシ基、1−エチルオクチルオキシ基、1−(n−ブチル)ヘキシルオキシ基、1,1−ジメチルオクチルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−エチルノニルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、1−メチルウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、1−メチルトリデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、またはn−エイコシルオキシ基などが挙げられる。
【0039】
前記アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、1−メチルブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1−(n−ブチル)−2−プロペニル基、1−(2−プロペニル)−3−ブテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、5−オクテニル基、7−オクテニル基、1−メチル−2−ヘプテニル基、2,7−オクタジエニル基、1,1−ジ(2−プロペニル)エチル基、2−ノネニル基、2,6−ノナジエニル基、3,7−ジメチル−6−オクテニル基、2−デセニル基、9−デセニル基、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル基、2−ウンデセニル基、2,4−ウンデカジエニル基、7−テトラデセニル基、3,7,11−トリメチルー2,6,10−ドデカトリエニル基、1,5,9−トリメチル1−ビニル−4,8−デカジエニル基、3,7,11,15−テトラメチル−2−ヘキサデセニル基、または3,7,11,15−テトラメチル−2,6,10,14−ヘキサドデカテトラエニル基などが挙げられる。
【0040】
前記ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0041】
これらの基の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、もしくは3,7−ジメチルオクチル基などの置換されていてもよいC〜C10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−へキシルオキシ基、3−メチルペンタン−2−イルオキシ基、3−メチルペンタン−3−イルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンタン−2−イルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブタン−2−イルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、4−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、1−(n−プロピル)ブチルオキシ基、1,1−ジメチルペンチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、1,1−ジエチルプロピルオキシ基、1,3,3−トリメチルブチルオキシ基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−メチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,4−ジメチルペンタン−3−イルオキシ基、1,1−ジメチルペンタン−1−イルオキシ基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イルオキシオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプチルオキシ基、5−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプタン−2−イルオキシ基、3−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−4−イルオキシ基、1−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−プロピルペンチルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルヘキシルオキシ基、1,4−ジメチルヘキシルオキシ基、1,5−ジメチルヘキシルオキシ基、1−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、1,1,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1,1,3,3−テトラメチルブチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、6−メチルオクチルオキシ基、1−エチルヘプチルオキシ基、1−(n−ブチル)ペンチルオキシ基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチルオキシ基、1,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1,1,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクタン−3−イルオキシ基、n−デシルオキシ基、1−メチルノニルオキシ基、1−エチルオクチルオキシ基、1−(n−ブチル)ヘキシルオキシ基、1,1−ジメチルオクチルオキシ基、もしくは3,7−ジメチルオクチルオキシ基などの、置換されていてもよいC〜C10の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−エチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、1−メチルブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−エチル−2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、4−ヘプテニル基、1−(n−ブチル)−2−プロペニル基、1−(2−プロペニル)−3−ブテニル基、2−オクテニル基、3−オクテニル基、5−オクテニル基、7−オクテニル基、1−メチル−2−ヘプテニル基、2,7−オクタジエニル基、1,1−ジ(2−プロペニル)エチル基、2−ノネニル基、2,6−ノナジエニル基、3,7−ジメチル−6−オクテニル基、2−デセニル基、9−デセニル基、もしくは3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル基などの置換されていてもよいC〜C10の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、もしくはヨウ素原子などのハロゲン原子が好ましい。
【0042】
前記アルキル基、前記アルコキシ基、または前記アルケニル基は、置換されていなくてもよいし置換されていてもよい。置換される場合、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子などのハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−へキシルオキシ基、3−メチルペンタン−2−イルオキシ基、3−メチルペンタン−3−イルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンタン−2−イルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブタン−2−イルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、4−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、1−(n−プロピル)ブチルオキシ基、1,1−ジメチルペンチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、1,1−ジエチルプロピルオキシ基、1,3,3−トリメチルブチルオキシ基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−メチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,4−ジメチルペンタン−3−イルオキシ基、1,1−ジメチルペンタン−1−イルオキシ基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イルオキシオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプチルオキシ基、5−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプタン−2−イルオキシ基、3−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−4−イルオキシ基、1−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−プロピルペンチルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルヘキシルオキシ基、1,4−ジメチルヘキシルオキシ基、1,5−ジメチルヘキシルオキシ基、1−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、1,1,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1,1,3,3−テトラメチルブチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、6−メチルオクチルオキシ基、1−エチルヘプチルオキシ基、1−(n−ブチル)ペンチルオキシ基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチルオキシ基、1,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1,1,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクタン−3−イルオキシ基、n−デシルオキシ基、1−メチルノニルオキシ基、1−エチルオクチルオキシ基、1−(n−ブチル)ヘキシルオキシ基、1,1−ジメチルオクチルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−エチルノニルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、1−メチルウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、1−メチルトリデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、またはn−エイコシルオキシ基などのC〜C20の直鎖状または分岐状のアルコキシ基、およびシクロへキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、またはシクロエイコシル基などのC〜C20のシクロアルキル基、カルボキシル基、およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基で置換されることが好ましい。しかし、これらに限定されるものではない。
【0043】
mおよびnは、互いに独立して、0〜1,000の整数、好ましくは0〜50の整数である。なお、mおよびnが0であるときは、繰り返し単位の数がmまたはnである繰り返し単位が存在せず、分子の両末端のシリコン原子(Si)が直接(化学式(1)参照)、または酸素原子を介して(化学式(2)参照)結合している構造を意味する。また、mおよび/またはnが2以上の整数である場合、各繰り返し単位は同一であってもまたは異なるものであってもよい。
【0044】
前記シリコン系物質の重量平均分子量は、好ましくは100〜100,000、より好ましくは、100〜10,000である。前記重量平均分子量が100未満であると、電子放出源の接着力の改良効果が十分でない場合があり、前記重量平均分子量が100,000を超えると、電子放出源形成用組成物中にシリコン系物質が効果的に分散され難い場合がある。
【0045】
より具体的には、前記化学式(1)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(4)で表される化合物であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】
【化10】

【0047】
前記化学式(2)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(5)で表される化合物であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
【化11】

【0049】
前記化学式(3)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(6)で表される化合物であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0050】
【化12】

【0051】
これ以外にも、前記化学式(1)〜(3)で表されるシリコン系物質は、前述したような範囲を逸脱することなしに変更可能である。
【0052】
本発明の電子放出源における、炭素系物質とシリコン系物質との混合比は、前記炭素系物質100質量部を基準として好ましくは20〜400質量部、より好ましくは、33〜330質量部である。前記シリコン系物質の含有量が炭素系物質100質量部を基準として20質量部未満である場合、電子放出源の接着力の改良効果が十分でない場合があり、前記シリコン系物質の含有量が炭素系物質100質量部を基準として400質量部を超える場合、相対的に炭素系物質の含有量が減少して、電子放出源の電界放出特性が低下し、露光感度が低下して、電子放出源パターンの解像度が不良になる場合がある。
【0053】
本発明による電子放出源の製造方法は、例えば、炭素系物質前述したようなシリコン系物質、およびビヒクルを含む電子放出源形成用組成物を調製する工程と、前記電子放出源形成用組成物を基板上に印刷する工程と、基板上に印刷された前記電子放出源形成用組成物を熱処理する工程と、を含む。
【0054】
以下、本発明の一実施形態による電子放出源の製造方法について、詳細に説明する。
【0055】
まず、炭素系物質と、前記化学式(1)で表されるシリコン系物質、前記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および前記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質と、ビヒクルと、を含む、電子放出源形成用組成物を調製する。これらのうち、炭素系物質およびシリコン系物質については、前述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
組成物の調製方法は、特に制限されるものではなく、例えば、前記炭素系物質、前記シリコン系物質、および前記ビヒクルを、容器内で攪拌混合して調製する方法などが採用されうる。
【0057】
前記シリコン系物質の含有量は、前記炭素系物質100質量部を基準として好ましくは20〜400質量部、より好ましくは、33〜330質量部である。前記シリコン系物質の含有量が炭素系物質100質量部を基準として20質量部未満である場合、電子放出源の接着力の改良効果が十分でない場合があり、前記シリコン系物質の含有量が炭素系物質100質量部を基準として400質量部を超える場合、相対的に炭素系物質の含有量が減少して、電子放出源の電界放出特性が低下し、露光感度が低下して、電子放出源パターンの解像度が不良になる場合がある。
【0058】
前記電子放出源組成物に含まれるビヒクルは、電子放出源形成用組成物の印刷性および組成物の粘度を調節し、前記炭素系物質および光電素子を運搬する役割を果たす。前記ビヒクルは、樹脂成分および溶媒成分を含みうる。
【0059】
前記樹脂成分は、例えば、エチルセルロースまたはニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、またはウレタンアクリレート樹脂などのアクリル系樹脂、およびポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、またはポリビニルエーテルなどのビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。前記樹脂成分のいくつかは、後述するような感光性樹脂としての役割を果たすこともできる。
【0060】
前記溶媒成分は、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール(Butyl Carbitol:BC)、ブチルカルビトールアセテート(Butyl Carbitol Acetate:BCA)、トルエン、およびテキサノールからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、テルピネオールを含むことがより好ましい。
【0061】
前記樹脂成分の含有量は、炭素系物質100重量部を基準として好ましくは100〜500質量部、より好ましくは、200〜300質量部である。一方、前記溶媒成分の含有量は、炭素系物質100質量部を基準として好ましくは500〜1500質量部、より好ましくは、800〜1200質量部である。前記ビヒクルの含有量が前記範囲を外れる場合には、電子放出源形成用組成物の印刷性および流動性が低下する場合がある。特に、ビヒクルの含有量が炭素系物質100質量部を基準として1500質量部を超える場合には、乾燥時間が過度に長くなる場合がある。
【0062】
また、本発明の電子放出源形成用の組成物は、必要に応じて、感光性樹脂、光開始剤、接着成分、またはフィラーなどをさらに含むことができる。
【0063】
前記感光性樹脂は、電子放出源の形成時にパターニングに使われる物質であり、例えば、アクリレート系モノマー、ベンゾフェノン系モノマー、アセトフェノン系モノマー、またはチオキサントン系モノマーなどが使われうる。より具体的には、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,4−ジエチルオキサントン、または2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどが使われうる。
【0064】
前記感光性樹脂の含有量は、炭素系物質100質量部を基準として好ましくは300〜1000質量部、より好ましくは500〜800質量部である。感光性樹脂の含有量が、炭素系物質100質量部を基準として300質量部未満である場合、露光感度が低下する場合があり、炭素系物質100質量部を基準として1000質量部を超える場合、電子放出源用組成物が十分に現像されない場合がある。
【0065】
本発明による電子放出源形成用の組成物は、光開始剤をさらに含むことができる。前記光開始剤は、前記感光性物質が露光される時、感光性物質の架橋結合を開始する役割を行うものであり、公知の物質のうちで選択されうる。例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタールなどが使われうる。
【0066】
前記光開始剤の含有量は、炭素系物質100質量部を基準として好ましくは300〜1000質量部、より好ましくは、500〜800質量部である。光開始剤の含有量が炭素系物質100質量部を基準として300質量部未満である場合には、効率的な架橋結合がなされずパターン形成に問題が生じる場合があり、炭素系物質100質量部を基準に1000質量部を超えると、製造コスト上昇に繋がる場合がある。
【0067】
前記接着成分は、電子放出源を基板に接着させる役割を果たすものであり、例えば、無機バインダーなどでありうる。このような無機バインダーの例としては、ガラスフリット、シラン、または水ガラスなどが好ましく挙げられ、これらは単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。前記無機バインダーの中でも、ガラスフリットがより好ましい。前記ガラスフリットは、例えば、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化ホウ素(B)を含みうる。
【0068】
前記接着成分の含有量は、炭素系物質100質量部を基準として好ましくは10〜50質量部、より好ましくは、15〜35質量部である。接着成分の含有量が炭素系物質100質量部を基準として10質量部未満である場合には、満足すべき接着力が得られない場合があり、50質量部を超えると、前記電子放出源用組成物の印刷性が低下する場合がある。
【0069】
前記フィラーは、基板と十分に接着できない炭素系物質の導電性を向上させる役割を果たす物質であり、その具体的な例としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、または鉛(Pd)などが好ましく挙げられる。
【0070】
前述したような物質を含む本発明の電子放出源形成用組成物は、好ましくは3〜50Pa・s(3,000〜50,000cps)、より好ましくは、5〜30Pa・s(5,000〜30,000cps)の粘度を有する。前記粘度が前記範囲を外れる場合、作業性が不良になる場合がある。
【0071】
電子放出源形成用組成物を調製した後、前記電子放出源形成用組成物を基板に印刷する。電子放出源が形成される基板は、当業者にも明らかであるように、形成しようとする電子放出素子のタイプによって変わりうる。例えば、カソード電極とアノード電極との間にゲート電極を有する形態の電子放出素子を製造する場合には、基板はカソード電極になりうる。
【0072】
電子放出源形成用組成物を印刷する工程は、感光性樹脂が含まれる場合と感光性樹脂が含まれない場合とによって異なりうる。まず、電子放出源形成用組成物が感光性樹脂を含む場合には、別途のフォトレジストパターンが不要である。すなわち、基板上に感光性樹脂を含む電子放出源形成用組成物を塗布した後、露光(例えば、UV露光)、硬化、および現像し、目的の電子放出源領域を決める。
【0073】
一方、電子放出源形成用組成物が感光性樹脂を含まない場合には、別途のフォトレジストパターンを利用したフォトリソグラフィ工程が必要である。すなわち、フォトレジスト膜を利用して、基板上にフォトレジストパターンを形成させた後、前記フォトレジストパターンを利用して電子放出源形成用組成物を基板に印刷する。次に、電子放出源形成用組成物を熱または光を利用して硬化させ、所望の電子放出源領域を決める。
【0074】
現像工程において、前述のようなシリコン系物質を含む電子放出源形成用組成物は、電子放出源パターンによって、硬化された電子放出源形成用組成物部分(すなわち、電子放出源になる部分)が基板から剥離することを防止しうる。前記現像工程において、未硬化の電子放出源形成用組成物が除去される。この時、電子放出源形成領域に残るべき硬化された電子放出源形成用組成物部分まで除去される場合がある。しかし、本発明の一実施形態による電子放出源形成用組成物は、前述したようなシリコン系物質を含むため、前記現像工程中においても、硬化された電子放出源形成用組成物の部分は、除去されずに基板に堅く接着されている。
【0075】
前述のように基板上に印刷された電子放出源形成用組成物は、熱処理される。前記電子放出源形成用組成物中の炭素系物質と基板との間の接着力は熱処理によって向上する。熱処理によって、多くのビヒクルは揮発され、他の無機バインダーなどが溶融および凝固して、電子放出源の耐久性を高める。熱処理温度は、電子放出源形成用組成物中のビヒクルの揮発温度および揮発時間を考慮して決定されなければならない。一般的な熱処理温度は、好ましくは400〜500℃、より好ましくは450℃である。熱処理温度が400℃未満であれば、ビヒクルなどの揮発が十分になされない場合があり、熱処理温度が500℃を超えると、製造コストが上昇する場合があり、基板が損傷する場合がある。
【0076】
熱処理工程は、炭素系物質の劣化を防止するために、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。前記不活性ガスは、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、キセノンガス、またはこれらの混合ガスでありうる。
【0077】
このように、本発明による電子放出源は、硬化工程および熱処理工程を経る。したがって、本発明の電子放出源形成用組成物に含まれるシリコン系物質は、硬化工程および熱処理工程によって物理的および化学的に変形される。よって、前記シリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物が、本発明による電子放出源に含まれうる。
【0078】
熱処理した後の結果物の表面は、炭素系物質の垂直配向および表面露出などのために、選択的に活性化される。本発明の一実施形態によれば、熱処理工程を通じてフィルム形態に硬化されうる溶液、例えば、ポリイミド系ポリマーを含む電子放出源表面処理剤が、前記の熱処理した後の結果物上に塗布された後、熱処理される。その後、熱処理されたフィルムが剥がされる。本発明の他の実施形態によれば、接着部は、所定の駆動源として駆動されるローラの表面に形成される。また、前記の熱処理した後の結果物の表面に所定の圧力を加圧することによっても活性化の工程が行われうる。このような活性化工程を通じて、炭素系物質が、電子放出源の表面に露出されるかまたは垂直配向されるように制御されうる。
【0079】
前述のような活性化工程において、熱処理した後の結果物が、基板から剥がれる場合がある。しかし、本発明の電子放出源形成用組成物は、前述のようなシリコン系物質を含むため、活性化工程においても、実際には基板から剥がれない。
【0080】
したがって、本発明による電子放出源形成用組成物が用いられると、活性化工程中の基板からの剥離などの、電子放出源の形成に伴って起こる好ましくない現象が最小化されうる。それゆえ、製品不良率を著しく低減させることができ、材料の損失も防止することができる。
【0081】
本発明の一実施形態による電子放出源は、本発明による電子放出源の製造方法によって製造された電子放出源であることが好ましい。
【0082】
本発明の一実施形態による電子放出素子は、第1基板と、前記第1基板上に配置されるカソード電極および電子放出源と、前記カソード電極と電気的に絶縁されるように配置されるゲート電極と、前記カソード電極と前記ゲート電極との間に配置され、前記カソード電極と前記ゲート電極とを絶縁する絶縁層と、を備える。この時、前記電子放出源は、前述のような炭素系物質と、前述のようなシリコン系物質を硬化および熱処理した後の結果物とを含む。前記電子放出源は、前述のような、本発明による電子放出源の製造方法によって製造された電子放出源であることが好ましい。
【0083】
前記電子放出素子は、前記ゲート電極の上面に形成される第2絶縁層をさらに備えることができる。また、例えば、前記第2絶縁層によって前記ゲート電極と絶縁され、前記ゲート電極と平行方向に配置される集束電極をさらに備えることができるなど、多様な変形が可能である。
【0084】
前記電子放出素子は、様々な電子素子、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などのバックライトユニットとして用いられるか、または電子放出ディスプレイ素子に用いられる。前記電子放出素子は、電子放出ディスプレイ素子であることがより好ましい。
【0085】
これらの中で、前記の電子放出ディスプレイ素子は、第1基板と、前記第1基板上に配置される複数のカソード電極と、前記カソード電極と交差するように配置される複数のゲート電極と、前記カソード電極と前記ゲート電極との間に配置され、前記カソード電極と前記ゲート電極とを絶縁する絶縁層と、前記カソード電極と前記ゲート電極とが互いに交差する領域に形成される電子放出源ホールと、前記電子放出源ホール内に配置される電子放出源と、前記第1基板と平行して配置される第2基板と、前記第2基板上に配置されるアノード電極と、前記アノード電極上に配置される蛍光体層と、を備えることができる。この時、前記電子放出源は、前述のような炭素系物質と、前述のようなシリコン系物質の硬化および熱処理した後の結果物とを含む。一方、前記電子放出源は、前述のような本発明の一実施形態による電子放出源の製造方法によって製造された電子放出源でありうる。
【0086】
図1は、トップゲート型電子放出ディスプレイ素子100の概略的な構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿って切り取った断面概略図である。
【0087】
図1および図2に示されたように、トップゲート型電子放出ディスプレイ素子100は、平行して配置され所定の間隔で互いに離れて配置される電子放出素子101および前面パネル102を備える。真空の発光スペース103は、前記電子放出素子101と前記前面パネル102との間に形成され、スペーサ60は、前記電子放出素子101と前記前面パネル102との間の所定の間隔を維持する。
【0088】
前記電子放出素子101は、第1基板110、前記第1基板110上に、互いに交差して配置されるゲート電極140およびカソード電極120、ならびに前記ゲート電極140と前記カソード電極120との間に配置され前記ゲート電極140と前記カソード電極120とを電気的に絶縁する絶縁層130を備える。
【0089】
前記ゲート電極140と前記カソード電極120とが互いに交差する領域には、電子放出源ホール131が形成され、電子放出源ホール131の内部に電子放出源150が配置されている。
【0090】
前記前面パネル102は、第2基板90、前記第2基板90の底面に配置されるアノード電極80、前記アノード電極80の底面に配置される蛍光体層70を備える。
【0091】
本発明を、前記図1および図2に示したトップゲート型電子放出ディスプレイ素子を例として説明したが、本発明はまた、例えば、追加の絶縁層および/または集束電極をさらに備える電子放出ディスプレイ素子などの異なる構造を有する電子放出ディスプレイ素子も含みうる。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を、下記実施例によりさらに詳細に説明する。下記実施例は、例示するためだけのものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0093】
<実施例1>
まず、テルピネオール10gを投入し、さらに、カーボンナノチューブ粉末(CNI社製)1g、ガラスフリット(8000L、新興窯業株式会社製)0.2g、ジクロロオクタメチルテトラシロキサン(重量平均分子量:351、前記化学式(5)参照)0.5g、ポリエステルアクリレート樹脂としてLucit社製のElvacite(登録商標)2045を5g、およびベンゾフェノン5gを添加した後に攪拌して、30Pa・s(30,000cps)の粘度を有する電子放出源形成用組成物を調製した。得られた電子放出源形成用組成物を、Crゲート電極、絶縁層、およびITOカソード電極が備わった基板上に塗布した後、2000mJ/cm露光エネルギーで、平行露光機を用いて光を照射して、電子放出源形成用組成物が塗布された電子放出源形成領域を硬化させた。その後、アセトンを用いて現像し、電子放出源形成領域に電子放出源形成用組成物を印刷した。その後、450℃の温度で、窒素ガス雰囲気下で熱処理し、その結果物の表面に3M社製のテープフィルムを貼り付けた。その後、テープフィルムを剥離し、再度前記のような活性化(熱処理)を行い、電子放出源を形成した。図3は、本実施例で形成した電子放出源の光学顕微鏡写真である。図3を参照すれば、すべての電子放出源が、活性化工程の後でも、基板から剥がれずに残っていることが確認できる。
【0094】
<実施例2>
ジクロロオクタメチルテトラシロキサンの代わりにヘキサメチルジシラザン(重量平均分子量:161、前記化学式(6)参照)を用いたという点を除いては、実施例1と同様の方法で電子放出源を形成した。図4は、本実施例で形成した電子放出源の光学顕微鏡写真である。図4を参照すれば、すべての電子放出源が、活性化工程の後でも、基板から剥がれずに残っていることが確認できる。
【0095】
<比較例>
ジクロロオクタメチルテトラシロキサンを添加しなかったという点を除いては、実施例1と同様の方法で電子放出源を形成した。図5は、本比較例で形成した電子放出源の光学顕微鏡写真である。図5を参照すれば、活性化工程後に、いくつかの電子放出源が基板から剥がれていることが確認できる。
【0096】
以上、本発明を、望ましい実施例を参照しながらさらに詳細に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲で定義された本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本発明が多様に変更されうるということが理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、電子放出素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態による電子放出素子(トップゲート型電子放出ディスプレイ素子)の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切り取った断面概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による電子放出源の光学顕微鏡写真である。
【図4】本発明の一実施形態による電子放出源の光学顕微鏡写真である。
【図5】比較例の電子放出源の光学顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0099】
60 スペーサ、
70 蛍光体層、
80 アノード電極、
90 第2基板、
100 トップゲート型電子放出ディスプレイ素子、
101 電子放出素子、
102 前面パネル、
103 発光空間、
110 第1基板、
120 カソード電極、
130 絶縁層、
131 電子放出源ホール、
140 ゲート電極、
150 電子放出源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素系物質と、
下記化学式(1)で表されるシリコン系物質、下記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および下記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質を、硬化および熱処理した後の結果物と、
を含む電子放出源:
【化1】

【化2】

【化3】

前記化学式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、およびR22は、互いに独立して、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはメルカプト基であり、
mおよびnは、互いに独立して、0〜1,000の整数である。
【請求項2】
前記シリコン系物質の重量平均分子量が、100〜100,000であることを特徴とする、請求項1に記載の電子放出源。
【請求項3】
前記アルキル基、前記アルコキシ基、および前記アルケニル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、エポキシ基、C〜C20の直鎖状または分岐状のアルコキシ基、C〜C20のシクロアルキル基、カルボキシル基、およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子放出源。
【請求項4】
前記化学式(1)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(4)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の電子放出源。
【化4】

【請求項5】
前記化学式(2)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(5)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の電子放出源。
【化5】

【請求項6】
前記化学式(3)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(6)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の電子放出源。
【化6】

【請求項7】
炭素系物質と、
下記化学式(1)で表されるシリコン系物質、下記化学式(2)で表されるシリコン系物質、および下記化学式(3)で表されるシリコン系物質からなる群より選択される少なくとも1種のシリコン系物質と、
ビヒクルと、
を含む電子放出源形成用組成物:
【化7】

【化8】

【化9】

前記化学式(1)〜(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、およびR22は、互いに独立して、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基、置換されていてもよいC〜C20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、またはメルカプト基であり、
mおよびnは、互いに独立して、0〜1,000の整数である。
【請求項8】
前記シリコン系物質の重量平均分子量が、100〜100,000であることを特徴とする、請求項7に記載の電子放出源形成用組成物。
【請求項9】
前記アルキル基、前記アルコキシ基、および前記アルケニル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、C〜C20の直鎖状または分岐状のアルコキシ基、C〜C20のシクロアルキル基、カルボキシル基、およびエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されていることを特徴とする、請求項7または8に記載の電子放出源形成用組成物。
【請求項10】
前記化学式(1)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(4)で表される化合物であることを特徴とする、請求項7に記載の電子放出源形成用組成物。
【化10】

【請求項11】
前記化学式(2)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(5)で表される化合物であることを特徴とする、請求項7に記載の電子放出源形成用組成物。
【化11】

【請求項12】
前記化学式(3)で表されるシリコン系物質は、下記化学式(6)で表される化合物であることを特徴とする、請求項7に記載の電子放出源形成用組成物。
【化12】

【請求項13】
前記シリコン系物質の含有量が、前記炭素系物質100質量部を基準として20〜400質量部であることを特徴とする、請求項7〜12のいずれか1項に記載の電子放出源形成用組成物。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれか1項に記載の電子放出源形成用組成物を調製する工程と、
前記電子放出源形成用組成物を基板上に印刷する工程と、
基板上に印刷された前記電子放出源形成用組成物を熱処理する工程と、
を含む電子放出源の製造方法。
【請求項15】
前記電子放出源形成用組成物を基板に印刷する工程は、前記電子放出源形成用組成物を基板に塗布した後、基板上の電子放出源形成領域を露光し、現像することによって行われることを特徴とする、請求項14に記載の電子放出源の製造方法。
【請求項16】
第1基板と、
前記第1基板上に配置されるカソード電極および電子放出源と、
前記カソード電極と電気的に絶縁されるように配置されるゲート電極と、
前記カソード電極と前記ゲート電極との間に配置され、前記カソード電極と前記ゲート電極とを絶縁する絶縁層と、
を備え、
前記電子放出源は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子放出源であることを特徴とする、電子放出素子。
【請求項17】
前記ゲート電極の上面を覆う第2絶縁層と、
前記第2絶縁層によって前記ゲート電極と絶縁され、前記ゲート電極と平行方向に配置される集束電極と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載の電子放出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−294449(P2007−294449A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102034(P2007−102034)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】