説明

電子機器、および、プログラム

【課題】電子機器で種々のアプリケーションを利用可能とする。
【解決手段】移動体通信端末1は、記憶部50の第1のOS格納領域52に第1のOSを格納し、第2のOS格納領域53に第2のOSを格納する。また、記憶部50のアプリケーション格納領域51にアプリケーションプログラムを格納する。ユーザが操作部30を操作することで、アプリケーションの実行が指示されると、制御部100は当該アプリケーションを使用するOSがいずれであるかを判別する。判別されたOSが現在起動中のOSと異なる場合、制御部100は、起動するOSがいずれであるかを示す情報と、実行が指示されたアプリケーションを示す情報とを設定し、移動体通信端末1を再起動させる。再起動時に、起動プログラム格納領域54の起動プログラムが実行され、設定されたOSを起動することでOSが切り替えられる。そして、設定されたアプリケーションを自動的に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、および、プログラムに関し、特に、種々のアプリケーションの実行に好適な電子機器、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信端末においては、多機能化が進展しており、基本機能である通信機能以外の機能が多く搭載されている。
【0003】
従来の移動体通信端末においては、通信機能にかかる動作を制御するためのOS(Operating System:基本ソフトウェア)のみを搭載しているのが一般的である。これにより、音声通話またはデータ通信にかかる動作を効率よく処理することができる。
【0004】
また、受信部のみを稼働させるOSとすべてのハードウェアを稼働させるOSとを切り替えることで、消費電力の低減と装置全体の性能向上を図る手法なども提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−236889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような多機能化に伴い、種々のアプリケーションを移動体通信端末で実行できることが望まれているが、アプリケーションにはそれぞれ好適なOSがあるため、通信用のOSのみを搭載した移動体通信端末で種々のアプリケーションを実行する場合、各アプリケーションの動作が移動体通信端末に搭載されたOSに依存することになり、アプリケーションのもつ本来の性能が発揮できない。つまり、実質的には実行可能なアプリケーションが制限されることになり、移動体通信端末の拡張性を阻害するものであった。
【0006】
また、特許文献1に開示された手法は、受信部のみを稼働させるOSと装置全体を稼働させるOSとを切り替えているものであるので、このような手法を用いてもアプリケーションに応じたOSの切り替えをおこなうことはできず、上記のような不都合を解消することができない。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、種々のアプリケーションを使用可能な電子機器およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電子機器は、
複数種類のOSを格納するOS格納手段と、
アプリケーションプログラムを格納するアプリケーション格納手段と、
指定されたアプリケーションで使用するOSを判別する使用OS判別手段と、
前記使用OS判別手段が判別したOSが実行中のOSと異なる場合、OSを切り替えるOS切替手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記電子機器は、
前記OS切替手段によるOS切替後に、前記指定されたアプリケーションを実行するアプリケーション実行手段をさらに備えることが望ましい。
【0010】
上記電子機器において、
前記OS格納手段および前記アプリケーション格納手段は、前記電子機器に着脱可能な外部メモリに構成されていてもよく、この場合、
前記OS切替手段は、前記外部メモリが前記電子機器に装着されたことを契機に、前記外部メモリのOS格納手段に格納されたOSに切り替えることが望ましい。
【0011】
この場合、
前記OS切替手段は、前記電子機器に装着された前記外部メモリに、前記OS格納手段及び前記アプリケーション格納手段、或いは、前記OS格納手段又は前記アプリケーション格納手段が構成されているか否かを判別し、前記OS格納手段及び前記アプリケーション格納手段、或いは、前記OS格納手段又は前記アプリケーション格納手段が構成されている場合に前記OS切替動作を実行することが望ましい。
【0012】
前記電子機器は、移動体通信端末とすることができ、この場合、
該移動体通信端末の通信動作が実行中であるか否かを判別する通信状態判別手段をさらに備えていることが望ましく、
前記OS切替手段は、前記通信状態判別手段によって通信動作が実行中でないと判別された場合に、前記OS切替動作を実行することが望ましい。
【0013】
上記電子機器は、
前記移動体通信端末が通信可能圏外であるか否かを判別する通信可能状態判別手段をさらに備えていてもよく、この場合、
前記OS切替手段は、前記通信可能状態判別手段によって通信可能圏外であると判別されたことを契機に前記OS切替動作を実行することが望ましい。
【0014】
上記電子機器において、
前記OS切替手段は、前記移動体通信端末の通信動作をおこなうための第1のOSから、前記アプリケーションを利用するための第2のOSへの切替をおこなうものとすることができる。
【0015】
この場合、
前記OS切替手段は、前記移動体通信端末の使用者による操作に基づいて、切り替えた前記第2のOSから前記第1のOSへの切替をおこなうことが望ましい。
【0016】
また、
前記OS切替手段は、前記移動体通信端末の使用者による操作により、該移動体通信端末の通信機能が停止されたことを契機に、前記第1のOSから前記第2のOSへの切替をおこなってもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるプログラムは、
電子機器を制御するコンピュータに、
複数種類のOSを格納する機能と、
アプリケーションプログラムを格納する機能と、
指定されたアプリケーションで使用するOSを判別する機能と、
前記使用OS判別手段が判別したOSが実行中のOSと異なる場合、OSを切り替える機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のOSを切り替えるので、移動体通信端末などの電子機器で種々のアプリケーションを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、本発明にかかる実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態では、移動体通信端末によって本発明にかかる電子機器を実現した場合を例示する。本実施形態にかかる移動体通信端末1は、例えば、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)等といった移動体通信用の端末装置(電話機)である。
【0020】
本実施形態にかかる移動体通信端末1の構成を、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る移動体通信端末1の構成例を示すブロック図である。図示するように、本実施形態にかかる移動体通信端末1は、無線通信部10、音声処理部20、操作部30、表示部40、記憶部50、制御部100、などから構成されている。
【0021】
無線通信部10は、移動体通信端末1の基本機能である通信機能にかかる動作をおこなうものであり、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多重接続)方式などの通信方式を用いた通信装置などで構成され、当該通信方式に対応した通信アンテナ11による無線送受信をおこなうことで、近傍の基地局と無線通信をおこなう。
【0022】
音声処理部20は、例えば、音声処理をおこなうコーデック回路などを備え、音声通話にかかる音声処理をおこなう。すなわち、受信した音声データをアナログ信号に変換してスピーカ21から出力する他、マイクロフォン22から入力された送話音声をデジタルデータに変換して送信に供する。
【0023】
操作部30は、例えば十字カーソルキーや、数字や文字を入力するための英数字キー、機能などを指定するためのキー等から構成され、移動体通信端末1のユーザによって操作されるものである。操作部30は、これらのキーが操作されることに応じた入力信号を生成して制御部100に入力する。
【0024】
表示部40は、例えば、液晶表示装置などから構成され、種々の画像を表示出力する。
【0025】
記憶部50は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどから構成され、制御部100などがおこなう処理に必要なデータやこれらによる処理結果などを記憶する。また、記憶部50は、制御部100が実行するプログラムを格納する。本実施形態では、図1に示すように、アプリケーション格納領域51、第1のOS格納領域52、第2のOS格納領域53、起動プログラム格納領域54、データ格納領域55、などの記憶領域が用意される。
【0026】
アプリケーション格納領域51は、移動体通信端末1で実行させる種々のアプリケーションプログラムを格納する領域である。本実施形態では、アプリケーション格納領域51に格納されるアプリケーションは、通信機能以外の機能にかかるアプリケーションプログラムが格納されるものとする。
【0027】
第1のOS格納領域52は、移動体通信端末1の通信機能にかかる動作を制御する目的のOS(例えば、REX(商標)など。以下、「第1のOS」とする)を格納する領域である。
【0028】
第2のOS格納領域53は、アプリケーション格納領域51に格納されているアプリケーションプログラムの実行に必要となるOS(例えば、Linux(商標)など。以下、「第2のOS」とする)を格納する領域である。
【0029】
起動プログラム格納領域54は、移動体通信端末1の電源投入時などに最初に実行される起動プログラムを格納する領域である。この起動プログラムにより、実行するOSが選択され、選択されたOSが制御部100によって実行される。なお、本実施形態では、起動時に実行するOSを示すフラグ(以下、「起動OSフラグ」とする)や、起動後に実行するアプリケーションを示す情報が、後述する各処理により起動プログラム格納領域54に格納されるものとする。
【0030】
データ格納領域55は、アプリケーションやOSの実行に必要な情報や、これらの実行により生成された種々のデータを格納する。例えば、第1のOS実行下においては、通信履歴を示す情報などが格納される。
【0031】
本実施形態では、アプリケーション格納領域51に格納されたアプリケーションプログラム、第1のOS格納領域52に格納された第1のOS、第2のOS格納領域53に格納された第2のOS、起動プログラム格納領域54に格納された起動プログラムのいずれもが移動体通信端末1の制御部100によって実行される。
【0032】
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やRAM(Random Access Memory)などから構成されており、移動体通信端末1の各部の動作を制御する。本実施形態では、制御部100が、記憶部50に格納されている各プログラムを実行することで、後述する各処理が実現される。なお、制御部100に構成されるRAMは、CPUがプログラムを実行する際、ワークメモリとして用いられる。
【0033】
制御部100は、記憶部50に格納された各プログラムを実行することで、図2に示すような機能構成を実現する。すなわち、制御部100は、アプリケーション実行部110、使用OS判別部120、OS切替部130、などとして機能する。
【0034】
アプリケーション実行部110は、操作部30や記憶部50などと協働し、ユーザによって実行が指示されたアプリケーションの実行をおこなう。
【0035】
使用OS判別部120は、アプリケーションの実行が指示された場合に、当該アプリケーションの実行に使用するOSがいずれであるかを判別する。この場合、例えば、アプリケーション格納領域51に格納されるアプリケーションには、各アプリケーションで使用するOSを示す情報が対応づけられているものとし、これに基づいて使用OSを判別するものとする。あるいは、指定されたアプリケーションの拡張子などに基づいて使用OSを判別してもよい。
【0036】
OS切替部130は、使用OS判別部120が判別したOSが、そのときに起動しているOSと異なる場合、該当するOSに切り替える動作をおこなう。本実施形態では、起動させるOSを示す起動OSフラグを起動プログラム格納領域54に設定し、移動体通信端末1をリセット(再起動)する動作をおこなう。また、OS切替部130は、アプリケーションの起動に応じてOSを切り替える場合は、OS切替後に実行するアプリケーションを示す情報を起動プログラム格納領域54に設定する。
【0037】
本実施形態では、上記各機能を実現する構成を、制御部100がプログラムを実行することで実現されるものとするが、これに限られず、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)などのハードウェアによって処理がおこなわれるように構成してもよい。
【0038】
上記各構成は本発明を実現するために必要な構成であり、移動体通信端末としての基本機能や付加機能のために必要なその他の構成は必要に応じて備えられているものとする。
【0039】
以上のような構成を有する移動体通信端末1の動作を以下説明する。ここでは、アプリケーションの実行指示に応じてOSを切り替えるための「OS切替処理」を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。このOS切替処理は、移動体通信端末1のユーザが操作部30を操作することにより、アプリケーション格納領域51に格納されているアプリケーションの実行が指示されたことを契機に開始されるものとする。すなわち、操作部30からの入力信号に基づいてアプリケーション実行部110が、アプリケーションの実行指示が入力されたか否かを判別し、実行指示が入力されたと判別したことを契機にOS切替処理を実行する。この場合において、移動体通信端末1では第1のOSが起動しているものとする。
【0040】
処理が開始されると、アプリケーション実行部110は、実行が指示されたアプリケーションがいずれであるかを使用OS判別部120に通知する。アプリケーション実行部110からの通知に応じて、使用OS判別部120はアプリケーション格納領域51にアクセスし、指示されたアプリケーションに対応するOSがいずれであるかを判別する(ステップS101)。
【0041】
使用OS判別部120は、指示されたアプリケーションの使用OSが、現在起動しているOS(すなわち、第1のOS)とは異なるOS(すなわち、第2のOS)であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0042】
現在のOSとは異なるOSである場合(ステップS102:Yes)、指示されたアプリケーションに対応づけられている使用OSをOS切替部130に通知して、OSの切替を指示する。
【0043】
使用OS判別部120からの指示に応じて、OS切替部130はまず、現在実行中の動作にかかるデータをデータ格納領域55に保存する(ステップS103)。
【0044】
つぎに、OS切替部130は、起動OSフラグを設定する(ステップS104)。ここでは、第2のOSを示す起動OSフラグを起動プログラム格納領域54に設定する。起動OSフラグは、例えば、0と1の二値データであるものとし、本実施形態では、0が第1のOSを示し、1が第2のOSを示すものとする。よって、ここでは、第2のOSを示す「1」が起動OSフラグとして設定される。
【0045】
次に、OS切替部130は、OS切替後に実行するアプリケーションを示す情報(以下、「起動アプリケーション情報」とする)を起動プログラム格納領域54に設定する(ステップS105)。この起動アプリケーション情報は、本処理の実行時に指定されたアプリケーションを示す情報である。
【0046】
このようにして、起動OSフラグと起動アプリケーション情報を設定すると、OS切替部130は、現在起動中の第1のOSに対し、動作リセット(再起動)を要求することで、移動体通信端末1を再起動させる(ステップS106)。
【0047】
移動体通信端末1が再起動すると、まず、起動プログラム格納領域54に格納されている起動プログラムが実行される(ステップS107)。起動プログラムは、起動プログラム格納領域54に設定された起動フラグOSに対応するOSを選択する(ステップS108)。ここでは、第2のOSが設定されているので、起動プログラムは、第2のOS格納領域53に格納されている第2のOSをロードして起動する。すなわち、ステップS108で選択した第2のOSを起動する(ステップS109)。
【0048】
第2のOSが起動してOSが切り替えられると、アプリケーション実行部110は、起動プログラム格納領域54にアクセスし、設定されている起動アプリケーション情報を参照する。そして、アプリケーション格納領域51にアクセスし、起動アプリケーション情報が示すアプリケーションを実行して(ステップS110)、処理を終了する。
【0049】
なお、実行が指示されたアプリケーションで使用するOSが、そのとき起動中のOSと同じ場合(ステップS102:No)は、OSを切り替える必要はないので、そのまま処理を終了し、現在のOS下で指示されたアプリケーションの実行をおこなう。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、アプリケーションの実行指示に応じて、そのアプリケーションの実行環境に合ったOSに切り替えられるので、アプリケーションの性能を損なうことなく種々のアプリケーションを移動体通信端末上で実行することができる。
【0051】
(実施形態2)
上記実施形態1では、アプリケーションプログラムやOSなどを移動体通信端末1内の記憶部50内に格納しておくものとしたが、例えば、メモリカードなどの外部記憶媒体にこれらを格納してもよい。この場合を実施形態2として以下説明する。本実施形態にかかる移動体通信端末の例を、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態にかかる移動体通信端末2の構成を示すブロック図である。
【0052】
図示するように、本実施形態にかかる移動体通信端末2は、上記実施形態1にかかる移動体通信端末1と同様に、無線通信部10、音声処理部20、操作部30、表示部40を備えており、これらの構成は実施形態1で示したものと同様である。
【0053】
また、記憶部50については、その構成自体は実施形態1で示した記憶部50と同一であるが、記憶部50内に規定される記憶領域が実施形態1とは異なる。すなわち、図4に示すように、本実施形態にかかる記憶部50には、第1のOS格納領域52、起動プログラム格納領域54、データ格納領域55のみが用意されるものとする。これらの記憶領域に格納される情報は実施形態1の場合と同様である。
【0054】
本実施形態にかかる移動体通信端末2は、実施形態1で示した移動体通信端末1の構成に加え、カードインタフェース(I/F)60を備えている。このカードインタフェース60は、移動体通信端末2に着脱されるメモリカードMCのインタフェースである。すなわち、カードインタフェース60は、例えば、規格化されたメモリカードスロットなどから構成され、装着されたメモリカードMCと制御部200とを電気的に接続する。この場合、カードインタフェース60は、メモリカードMCの挿抜に応じた電気信号を制御部200に入力することで、メモリカードMCの挿抜を制御部200に通知する。
【0055】
本実施形態では、このようなカードインタフェース60に装着されるメモリカードMC内に、実施形態1で示したアプリケーション格納領域51、第2のOS格納領域53、データ格納領域55、などが用意されるものとする。これらの記憶領域に格納される情報は、実施形態1で示したものと同様であるが、メモリカードMCのアプリケーション格納領域51に格納されているアプリケーションを実行する際のOSが、当該メモリカードMCの第2のOS格納領域53に格納されているものとする。
【0056】
制御部200は、その構成は実施形態1で示した制御部100と同一であるが、実現される機能構成が実施形態1とは異なる。本実施形態にかかる制御部200によって実現される機能構成を図5に示す。
【0057】
図示するように、制御部200は、カード装着判別部210、通信状態判別部220、アプリケーション実行部240、OS切替部230、などとして機能する。
【0058】
カード装着判別部210は、カードインタフェース60からの入力に基づいて、カードインタフェース60にメモリカードMCが装着されたか否かを判別する。
【0059】
通信状態判別部220は、カードインタフェース60にメモリカードMCが装着された場合、無線通信部10による通信動作がおこなわれているか否かを判別する。
【0060】
OS切替部230は、実施形態1で示したOS切替部130と同様の機能であるが、本実施形態では、カードインタフェース60に装着されたメモリカードMCの第2のOS格納領域53に格納されている第2のOSへの切替動作をおこなう。ここで、OS切替部230は、通信状態判別部220により、通信動作がおこなわれていないと判別された場合にOSの切替をおこなうものとする。
【0061】
アプリケーション実行部240は、実施形態1で示したアプリケーション実行部110と同様の機能であるが、本実施形態では、カードインタフェース60に装着されたメモリカードMCのアプリケーション格納領域51に格納されているアプリケーションの実行をおこなう。
【0062】
これらの各機能構成は、たとえば、ASICなどによるハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0063】
このような構成の移動体通信端末2の動作を以下説明する。ここでは、カードインタフェース60に装着されたメモリカードMC(外部メモリ)に格納されているアプリケーションを起動するための「外部メモリ起動処理」を、図6に示すフローチャートを参照して説明する。この外部メモリ起動処理は、カードインタフェース60にメモリカードMCが装着されたことを契機に開始される。すなわち、メモリカードMCの装着を示すカードインタフェース60からの電気信号が制御部200に入力されることで、カード装着判別部210がメモリカードMCの装着を判別したことを契機に処理が開始される。
【0064】
カード装着判別部210がメモリカードMCの装着を判別すると、通信状態判別部220に通信状態の判別を指示する。カード装着判別部210からの指示に応じて、通信状態判別部220は、無線通信部10の動作状態をチェックし、通信動作(例えば、音声通話やデータ通信にかかる動作)が実行中であるか否かを判別する(ステップS201)。
【0065】
通信動作の実行中ではない場合(ステップS201:No)、通信状態判別部220は、その旨をOS切替部230に通知する。
【0066】
通信状態判別部220からの通知に応じて、OS切替部230は、起動OSフラグを起動プログラム格納領域54に設定する(ステップS202)。実施形態1では、第1のOSを0とし、第2のOSを1で示したが、本実施形態では、移動体通信端末2の第1のOS格納領域52に格納されているOSを起動する場合には0を設定し、メモリカードMCの第2のOS格納領域53に格納されているOSを起動する場合には1を設定するものとする。
【0067】
ここでは、メモリカードMCの第2のOS格納領域53に格納されているOSを起動させるために、起動OSフラグを1と設定する。
【0068】
起動OSフラグを設定すると、OS切替部230は、移動体通信端末2を再起動させる(ステップS203)。
【0069】
移動体通信端末2が再起動すると、起動プログラム格納領域54に格納されている起動プログラムが起動し、起動プログラム格納領域54に設定されている起動OSフラグを参照する。ここでは、メモリカードMCの第2のOS格納領域53に格納されているOSが指定されているので、起動プログラムを実行している制御部200は、カードインタフェース60を介してメモリカードMCにアクセスし、第2のOS格納領域53に格納されているOSを起動させる(ステップS204)。
【0070】
ここで、メモリカードMCに格納されているOSは、起動後に、同じメモリカードMC内に格納されているアプリケーションを実行するよう予め規定されているものとする。これにより、メモリカードMCに格納されているOSを実行している制御部200は、カードインタフェース60を介してメモリカードMCのアプリケーション格納領域51にアクセスし、格納されているアプリケーションプログラムを実行する(ステップS205)。
【0071】
以上のような動作により、移動体通信端末2にメモリカードMCを装着した場合、通信動作中でなければ、メモリカードMCに格納されているアプリケーションが自動的に実行される。このとき、当該アプリケーションの実行環境となるOSを同一のメモリカード内に格納しておくことにより、アプリケーション実行時にOSも自動的に切り替えられる。
【0072】
なお、メモリカードMCを装着したときに、無線通信部10のよる通信動作がおこなわれている場合(ステップS201:Yes)、OS切替のために移動体通信端末2を再起動させると、実行中の通信が中断してしまうので、そのまま処理を終了する。この場合は、例えば、所定時間経過後に外部メモリ起動処理を再度実行し、通信動作をおこなっていない場合にアプリケーションの自動起動をおこなう。これにより、通信動作を中断することなく、装着したメモリカードに格納されているOSに自動的に切り替えてアプリケーションを自動実行させることができる。
【0073】
また、本実施形態2では、メモリカードMCにアプリケーションやOSが格納されているものとしたが、このようなアプリケーションやOSが装着されたメモリカードMCに格納されているか否かを判別し、格納されていない場合には、上述した処理をおこなわないように動作してもよい。この場合、カードインタフェース60からの装着通知に応じて、例えば、カード装着判別部210がメモリカードMCにアクセスし、アプリケーションプログラムやOSが格納されているか否かを判別すればよい。これにより、例えば、無線通信部10が用いる加入者識別カード(いわゆる、SIM(Subscriber Identity Module)やUIM(User Identity Module)など)や、データ保存用の外部メモリが装着された場合には、上述したOS切替やアプリケーション自動実行にかかる処理をおこなわないので、メモリカードが装着されても、そのときに実行中の動作を継続させることができる。
【0074】
(実施形態3)
上述した実施形態1では、ユーザがアプリケーションの実行を指示したことを契機にOSの切替をおこなう例を、実施形態2では、メモリカードの装着を契機にOSの切替をおこなう例を示したが、OSの切替をおこなうタイミングは、このような手動動作に限られず、自動的におこなってもよい。自動的にOS切替をおこなう例を実施形態3として以下説明する。
【0075】
本実施形態では、第1のOS実行下において、通信にかかる動作状況に応じて自動的にOSの切替をおこなう場合を例示する。本実施形態にかかる移動体通信端末3の構成を図7に示す。なお、本実施形態にかかる移動体通信端末3は、実施形態1で示した移動体通信端末1とほぼ同様の構成である。すなわち、図7に示すように、移動体通信端末3は、無線通信部10、音声処理部20、操作部30、表示部40、記憶部50を備えており、これらは、移動体通信端末1と同様の構成である。また、記憶部50に構成される記憶領域も移動体通信端末1の場合と同様であり、アプリケーション格納領域51、第1のOS格納領域52、第2のOS格納領域53、起動プログラム格納領域54、データ格納領域55、が用意される。これらに格納される情報も、実施形態1の場合と同様である。
【0076】
制御部300は、その構成自体は実施形態1の制御部100と同様であるが、実現される機能が異なる。本実施形態にかかる制御部300によって実現される機能の例を図8に示す。
【0077】
図示するように、本実施形態にかかる制御部300は、自動切替設定部310、通信可能状態判別部320、タイマ部330、OS切替部340、などとして機能する。
【0078】
自動切替設定部310は、操作部30からの入力信号に基づいて、自動切替モードがユーザによって選択されたか否かを判別する。この自動切替モードは、ユーザにより任意に設定されるものとし、所定の条件を満たす場合に、第1のOSから第2のOSに自動的に切り替えるモードである。本実施形態では、移動体通信端末3が通信可能圏外である時間が所定時間経過したことを条件として、OSの自動切替をおこなうものとする。
【0079】
通信可能状態判別部320は、無線通信部10の動作状況に基づいて、移動体通信端末3が通信可能圏内であるか否かを判別する。ここでは、例えば、無線通信部10が近傍の基地局と通信可能であれば通信可能圏内であると判別し、近傍の基地局と通信不可であれば通信可能圏外であると判別する。
【0080】
タイマ部330は、移動体通信端末3が通信可能圏外となっている時間を計時する。
【0081】
OS切替部340は、実施形態1におけるOS切替部130と同様の機能であるが、本実施形態では、通信可能圏外となってから所定時間経過したことを契機に、OSの切替動作を実行する。
【0082】
これらの各機能構成は、たとえば、ASICなどによるハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0083】
このような構成の移動体通信端末3の動作を以下説明する。ここでは、自動的にOSを切り替えるために実行される「自動OS切替処理」を、図9に示すフローチャートを参照して説明する。この自動OS切替処理は、ユーザが操作部30を操作することで、自動切替モードが選択されたことを契機に開始される。すなわち、自動切替モードの選択を示す入力信号が操作部30から制御部300に入力され、自動切替設定部310によって、自動切替モードが設定されたことを契機に処理が開始される。
【0084】
処理が開始されると、自動切替設定部310は、通信可能状態判別部320に通信可能状態の判別動作開始を指示する。自動切替設定部310からの指示に応じて、通信可能状態判別部320は、無線通信部10の動作を監視することで、移動体通信端末3が通信可能圏外であるか否かを判別する(ステップS301)。
【0085】
通信可能圏外となったことが判別されると(ステップS301:Yes)、通信可能状態判別部320は、その旨をタイマ部330に通知し、計時開始を指示する。通信可能状態判別部320からの指示に応じて、タイマ部330は計時を開始する(ステップS302)。すなわち、移動体通信端末3が通信可能圏外となったことを契機に計時が開始される。
【0086】
そして、タイマ部330は、ステップS302で開始した計時時間が所定時間Tを超えたか否かを判別する(ステップS303)。この所定時間Tは、例えば、ユーザが自動切替モードを選択した際に、任意に設定されるものとする。
【0087】
所定時間が経過しない場合(ステップS303:No)、タイマ部330は計時を継続するが、通信可能状態判別部320によって、移動体通信端末3が通信可能圏内となったことが判別されると、計時を終了する。
【0088】
一方、計時時間が所定時間Tを超えた場合(ステップS303:Yes)、タイマ部330はその旨をOS切替部340に通知する。
【0089】
タイマ部330からの通知を契機に、OS切替部340は、OSの切替動作を実行する。すなわち、OS切替部340は、起動するOSが第2のOSであることを示す起動OSフラグを起動プログラム格納領域54に設定し(ステップS304)、移動体通信端末3を再起動させる(ステップS305)。
【0090】
移動体通信端末3が再起動すると、起動プログラム格納領域54に格納されている起動プログラムが起動し、起動プログラム格納領域54に設定された起動OSフラグに基づいて、起動させるOSを選択する(ステップS306)。ここでは、第2のOSを示す起動OSフラグが設定されているので、起動プログラムは第2のOSを選択する。この場合、第2のOS格納領域53に格納されている第2のOSがロードされることで、第2のOSが起動して(ステップS307)、処理を終了する。
【0091】
実施形態3によれば、移動体通信端末3が通信できない状態が所定時間以上となる場合、通信動作にかかる第1のOSから、他のアプリケーションの実行環境となる第2のOSに自動的に切り替える。これにより、通信できない状況においては、通信動作をおこなわないOSに切り替えられるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0092】
なお、上記各実施形態では、第1のOSから第2のOSに切り替える場合を示したが、第2のOSから第1のOSへの切替は、ユーザによる操作部30の操作を契機におこなうことができる。この場合、通信動作にかかるキー操作(例えば、通話ボタンの押下やメール送受信ボタンの押下など)がおこなわれたことに応じて、OSの切替動作をおこなうものとする。この場合は、第1のOSを示す起動OSフラグを設定してから再起動させることで、起動プログラムが第1のOSを選択して起動する。これにより、第2のOSから第1のOSに切り替えることができる。
【0093】
以上説明したように、本発明を上記実施形態の如く適用することで、移動体通信端末でOSを切り替えることができ、種々のアプリケーションを利用することができる。
【0094】
上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0095】
例えば、上記各実施形態では、2つのOSを切り替えるものとしたが、切替可能なOSの数は任意であり、3以上のOSを切り替えるようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態3では、通信可能圏外である場合に自動的にOSの切替をおこなったが、例えば、ユーザが操作部30を操作することにより、通信機能を停止させたことを契機に、第1のOSから第2のOSに切り替える動作を実行してもよい。すなわち、移動体通信端末を通信に使用しない場合に、アプリケーションの実行に適したOSに切り替えることで、通信処理用の第1のOSでは利用できないアプリケーションを利用できるとともに、通信処理をおこなわないことで消費電力の低減を図ることができる。
【0097】
また、上記各実施形態に示したような、本発明にかかる機能を予め備えた移動体通信端末として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の移動体通信端末などを本発明にかかる移動体通信端末として機能させることができる。すなわち、上述した制御部が実行したようなプログラムを、既存の移動体通信端末に適用し、当該移動体通信端末を制御するコンピュータ(CPUなど)がそれを実行することで、上述した各機能構成や処理が実現される。
【0098】
なお、通信機能を有する移動体通信端末への本発明の適用が好適であるが、本発明の適用は移動体通信端末に限られるものではない。すなわち、OSの制御によって動作する種々の電子機器に適用することができるものであり、例えば、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)などの電子機器に本発明を適用してもよい。
【0099】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカードなどの記録媒体に格納して配布可能である他、例えば、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布することもできる。そして、このようにして配布されたプログラムを移動体通信端末などの電子機器にインストールして適用することで、上述した移動体通信端末1〜3と同様な機能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態1にかかる移動体通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す制御部により実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1にかかる「OS切替処理」を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2にかかる移動体通信端末の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す制御部により実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態2にかかる「外部メモリ起動処理」を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態3にかかる移動体通信端末の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す制御部により実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図9】本発明の実施形態3にかかる「自動OS切替処理」を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1…移動体通信端末、2…移動体通信端末、3…移動体通信端末、10…無線通信部、11…通信アンテナ、20…音声処理部、21…スピーカ、22…マイクロフォン、30…操作部、40…表示部、50…記憶部、51…アプリケーション格納領域、52…第1のOS格納領域、53…第2のOS格納領域、54…起動プログラム格納領域、55…データ格納領域、60…カードインタフェース、MC…メモリカード、100…制御部、110…アプリケーション実行部、120…使用OS判別部、130…OS切替部、200…制御部、210…カード装着判別部、220…通信状態判別部、230…OS切替部、240…アプリケーション実行部、300…制御部、310…自動切替設定部、320…通信可能状態判別部、330…タイマ部、340…OS切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のOSを格納するOS格納手段と、
アプリケーションプログラムを格納するアプリケーション格納手段と、
指定されたアプリケーションで使用するOSを判別する使用OS判別手段と、
前記使用OS判別手段が判別したOSが実行中のOSと異なる場合、OSを切り替えるOS切替手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記OS切替手段によるOS切替後に、前記指定されたアプリケーションを実行するアプリケーション実行手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記OS格納手段および前記アプリケーション格納手段は、前記電子機器に着脱可能な外部メモリに構成され、
前記OS切替手段は、前記外部メモリが前記電子機器に装着されたことを契機に、前記外部メモリのOS格納手段に格納されたOSに切り替える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記OS切替手段は、前記電子機器に装着された前記外部メモリに、前記OS格納手段及び前記アプリケーション格納手段、或いは、前記OS格納手段又は前記アプリケーション格納手段のいずれかが構成されているか否かを判別し、該判別の結果、前記OS格納手段及び前記アプリケーション格納手段、或いは、前記OS格納手段又は前記アプリケーション格納手段いずれかが構成されている場合に前記OS切替動作を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は移動体通信端末であり、
該移動体通信端末の通信動作が実行中であるか否かを判別する通信状態判別手段をさらに備え、
前記OS切替手段は、前記通信状態判別手段によって通信動作が実行中でないと判別された場合に、前記OS切替動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記移動体通信端末が通信可能圏外であるか否かを判別する通信可能状態判別手段をさらに備え、
前記OS切替手段は、前記通信可能状態判別手段によって通信可能圏外であると判別されたことを契機に前記OS切替動作を実行する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記OS切替手段は、前記移動体通信端末の通信動作をおこなうための第1のOSから、前記アプリケーションを利用するための第2のOSへの切替をおこなう、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記OS切替手段は、前記移動体通信端末の使用者による操作に基づいて、切り替えた前記第2のOSから前記第1のOSへの切替をおこなう、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記OS切替手段は、前記移動体通信端末の使用者による操作により、該移動体通信端末の通信機能が停止されたことを契機に、前記第1のOSから前記第2のOSへの切替をおこなう、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器を制御するコンピュータに、
複数種類のOSを格納する機能と、
アプリケーションプログラムを格納する機能と、
指定されたアプリケーションで使用するOSを判別する機能と、
前記使用OS判別手段が判別したOSが実行中のOSと異なる場合、OSを切り替える機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−336229(P2007−336229A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165404(P2006−165404)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】