説明

電子機器、カード受付装置、画像取扱システム

【課題】電子機器を使用するためのカード受付装置と組み合わせて使用され、ジョブ終了後のカード回収忘れを防止できる電子機器、カード受付装置、及び画像取扱システムを提供する。
【解決手段】カード有り信号を出力するカード受付装置2を接続するための接続手段16と、カード受付装置2にカードが挿入されていることを検知する検知手段19と、通知手段17,18と、制御手段10と、を備えており、制御手段10は、ジョブが終了してから、予め設定された時間の間、操作キー14の操作を受け付けない際には、検知手段19によりカード受付装置2にカードが挿入されていることが検知されているか否かを判断するカード挿入判断処理を実行し、カード挿入判断処理を実行した結果、検知手段19によりカード受付装置2にカードが挿入されていることが検知されていると判断した際には、カード挿入通知処理及びカード排出指示処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表す画像を取り扱うことが可能な電子機器、電子機器を使用するための使用情報が記録されたカードの挿入及び排出が可能なカード受付装置、及び、画像取扱システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複合機、コピー機、プリンタ等、画像形成を行う画像形成装置が、コンビニエンスストア等の店内に設置されており、来客が画像形成装置を使用できるようにしたサービス(例えば、コピーサービス)が提供されている。この種の画像形成装置には、信号線を通じて、カードの挿入を受け付けるカード受付装置が接続されており、カード受付装置が、ユーザが所持するカードの挿入を受け付けた際には、画像形成装置が使用できる状態となる。この種の画像形成装置の一例が特許文献1に示されている。
【0003】
また、従来より、店内に、前記カード受付装置が接続されたファクシミリ装置が設けられて、来客が、カード受付装置に、カードの挿入、及び効果の投入のいずれかを行えば、来客がファクシミリ装置を使用できるようにしたFAXサービスも提供されている。
【特許文献1】特開2002−55567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、先述した画像形成装置及びファクシミリ装置を含め、画像を表す画像データを取り扱うことが可能な装置は、「電子機器」と呼ばれる。
【0005】
この種の電子機器は、カード受付装置がカードの挿入を受け付けた際に使用できる状態となる。従って、カード受付装置が接続されずに電子機器が使用される状態とは異なり、以下に示すような特殊な問題が生じることがある。
【0006】
つまり、あるユーザがカード受付装置にカードを挿入して電子機器を使用できる状態としてコピー等のジョブを行った後、カード受付装置からカードを排出させずに、電子機器が設置されている場所から離れることがある。電子機器は、カード受付装置にカードが挿入されている間、使用できる状態である。つまり、電子装置は、カード受付装置にカードが挿入されている間、ジョブを実行することに対する待機状態にあり、操作キーの操作があればジョブが実行される状態にある。そのため、他者が誤って電子機器を使用するおそれがある。
【0007】
特に、店頭に電子機器が設置されている場合では、カードをカード受付装置に挿入したままユーザが電子機器が設置されている場所から離れてしまうと、その後に、悪意を有した他者が電子機器を使用する可能性が高い。
【0008】
また、カード受付装置にカードが挿入されている間は、カード受付装置にカードが挿入されていることが省エネルギーモードを実行することに対する阻害要因となる。つまり、ユーザがカードを排出させ損ねた後、電子機器において省エネルギーモードが実行されず、実際に電子機器が使用されていない状況であるにもかかわらず、消費電力が抑制されない。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、電子機器を使用するための使用情報が記録されたカードの挿入及び排出が可能なカード受付装置と組み合わせて使用され、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れることが防止される電子機器、カード受付装置、及び画像取扱システムを提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、前記カード受付装置と組み合わせて使用され、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れても、ユーザがカードを排出させることを忘れたことにより、電子機器が他者に使用されることが防止される電子機器、カード受付装置、及び画像取扱システムを提供することを第2の目的とする。
【0011】
また、ユーザがカードを排出させることを忘れたことが、電子機器が省エネルギーモードを実行することに対する阻害要因とはならない電子機器、カード受付装置、及び画像取扱システムを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面に係る電子機器は、画像を表す画像データを取り扱うことが可能な電子機器であって、前記電子機器を使用するための使用情報が記録されたカードの挿入及び排出が可能であり、前記カードが挿入されていることを示すカード有り信号を出力するカード受付装置を接続するための接続手段と、前記カード受付装置から出力された前記カード有り信号を前記接続手段を通じて受け付けて、前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることを検知する検知手段と、前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることを通知するための通知手段と、操作キーの操作を受け付けて前記画像データを取り扱うジョブを実行する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記ジョブが終了してから、予め設定された時間の間、前記操作キーの操作を受け付けない際には、前記検知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることが検知されているか否かを判断するカード挿入判断処理を実行し、前記カード挿入判断処理を実行した結果、前記検知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることが検知されていると判断した際には、前記通知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることを通知するカード挿入通知処理、及び、前記カード受付装置に対して前記カードを排出することを指示するカード排出指示処理、を実行することを特徴とする(請求項1)。
【0013】
この構成によれば、ジョブが終了してから、予め設定された時間の間、操作キーの操作がされない際には、カード挿入判断処理が実行される。そして、この処理の結果、カード受付装置にカードが挿入されていることが検知されると、カード挿入通知処理及びカード排出指示処理が実行される。そのため、電子機器においてカード挿入通知が行われ、且つ、カード受付装置においてカードが排出される。
【0014】
従って、電子機器によるジョブ終了後に、ユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れることが防止され、且つ、ユーザがカードを持ち帰る機会が確保される。また、ジョブが終了してから、予め設定された時間の間、操作キーの操作がされない際にはカードが排出されるので、電子機器が省エネルギーモードを実行することに対する阻害要因が除去される。
【0015】
上記構成において、前記カード受付装置は、さらに、前記カードが挿入されている状態で、前記カードにデータを書き込むことが可能であり、前記制御手段は、前記カード挿入判断処理を実行した結果、前記検知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることが検知されていると判断した際には、前記カード受付装置に対して、前記カードに、前記電子機器を使用することを禁止するための使用禁止データを書き込ませる使用禁止データ書込指示処理を実行する構成とすることができる(請求項2)。
【0016】
この構成によれば、カード挿入判断処理の結果、カード受付装置にカードが挿入されていることが検知されると、使用禁止データ書込指示処理が実行される。そのため、使用禁止データが書き込まれたカードを使用することが不可能とされる。
【0017】
上記構成において、前記カード受付装置は、さらに、前記カードが挿入されている状態で、前記カードに書き込まれたデータを読み取り、読み取った前記データを出力することが可能であり、前記制御手段は、前記カード受付装置により読み取られ、且つ、出力された前記データに、前記電子機器を使用することを禁止するための使用禁止データが含まれているか否かを判断して、前記カードに前記使用禁止データが書き込まれているか否かを判断する使用禁止データ判断処理を実行し、前記使用禁止データ判断処理を実行した結果、前記カードに前記使用禁止データが書き込まれていると判断した際には、前記ジョブの実行を禁止するジョブ実行禁止処理を行う構成とすることができる(請求項3)。
【0018】
この構成によれば、カード受付装置に挿入されているカードに使用禁止データが書き込まれている際には、ジョブの実行が禁止される。そのため、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れても、他者により当該カードが使用されることが防止される。
【0019】
上記構成において、前記制御手段は、前記ジョブ実行禁止処理を実行する際には、前記通知手段によって、前記電子機器を使用することが禁止されていることを通知させる使用禁止通知処理を実行する構成とすることができる(請求項4)。
【0020】
この構成によれば、使用禁止データが書き込まれたカードを他者がカード受付装置に挿入すれば、電子機器により使用禁止通知処理が実行される。そのため、他者が当該カードを誤ってカード受付装置に挿入してジョブが実行されることが防止される。
【0021】
上記構成において、前記カード受付装置は、さらに、前記カードに書き込まれたデータを消去することが可能であり、前記制御手段は、前記カード受付装置に対して、前記カードに書き込まれた、前記電子機器を使用することを禁止するための使用禁止データを消去させる使用禁止データ消去指示処理を実行する構成とすることができる(請求項5)。この構成によれば、カードに書き込まれた使用禁止データが消去されるため、その後には、当該カードが使用可能な状態とされる。
【0022】
上記構成において、前記制御手段は、前記使用禁止データ消去指示処理を、前記カードに書き込まれた前記使用禁止データを削除するための認証データの入力を受け付ける認証データ入力受付処理、及び、入力された前記認証データを照合する認証データ照合処理を実行した後に実行する構成とすることができる(請求項6)。
【0023】
この構成によれば、暗証データ入力受付処理において入力された暗証データが暗証データ照合処理により照合されてから、使用禁止データ消去指示処理が実行される。そのため、他者により勝手に使用禁止データが消去されることが防止される。
【0024】
また、本発明の他の局面に係るカード受付装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子機器に接続され、前記使用情報が記録されたカードの挿入及び排出が可能であり、前記カード有り信号を前記電子機器に出力するカード有り信号出力処理手段と、前記電子機器が行う前記カード排出指示処理により前記カードを排出するカード排出処理手段と、を備えるカード受付装置であって、前記電子機器が行う前記使用禁止データ書込指示処理により、前記カードに前記使用禁止データを書き込む使用禁止データ書込指示処理手段、及び、前記電子機器が行う前記使用禁止データ消去指示処理により、前記カードに書き込まれた前記使用禁止データを消去する使用禁止データ消去処理手段、のいずれか一方を備えることを特徴とする(請求項7)。
【0025】
この構成によれば、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子機器に接続されて、電子機器による指示の下で、カード有り信号出力処理及びカード排出処理が実行される。また、電子機器による指示の下で、使用禁止データ書込処理、及び、使用禁止データ消去処理のいずれか一方が実行される。そのため、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子機器に請求項7に記載のカード受付装置が接続された際には、前記電子機器において、請求項1乃至請求項6のいずれか一項が奏する効果が奏される。
【0026】
また、本発明の他の局面に係る画像取扱システムは、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器と、請求項7に記載のカード受付装置と、を備えることを特徴とする(請求項8)。この構成によれば、請求項1乃至請求項6のいずれか一項が奏する効果が発揮される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電子機器によるジョブ終了後に、ユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れることが防止され、ユーザがカード受付装置からカードを排出させる操作を行ってカードを持ち帰る機会が確保される。また、ジョブが終了してから、予め設定された時間の間、操作キーの操作がされない際にはカードが排出されるので、電子機器が省エネルギーモードを実行することに対する阻害要因が除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器、カード受付装置、及び画像取扱システムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像取扱システムの一例を概略的に示す外観図である。図2は、本発明の一実施形態に係る電子機器及びカード受付装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
以下、電子機器は、画像を取り扱うことが可能な装置であり、複合機、コピー機、ファクシミリ装置を総称した名称であり、電子機器の一例であるコピー機が図示されている。
【0030】
図1に示す画像取扱システムにおいて、電子機器1の外部I/F(インタフェース)(接続手段)16、及び、カード受付装置2の外部I/F21には、双方向通信が可能な信号線Lが接続されている。ここに、信号線Lは、例えば、シリアルケーブル又はパラレルケーブルである。
【0031】
カード受付装置2には、カードの挿入を受け付けるカード挿入口22Aが設けられている。ここに、カード挿入口22Aに挿入されるカードは、電子機器1を使用するための使用情報が記録されたカードであり、例えば、残度数が記録された専用カード、暗証番号が記録されたキャッシュカード又はクレジットカードである。
【0032】
図2に示す電子機器1は、制御部(制御手段)10、画像データ生成部11、画像メモリ12、操作部(操作手段)13、プリント部15、外部I/F16、表示部(通知手段)17、音出力部(通知手段)18、及び検知部(検知手段)19を備える。
【0033】
このような電子機器1において、制御部10は、コントロールバス(例えば、CPUバス)及びデータバスを通じて制御信号及びデータの転送を行うことにより、電子機器1を制御して、後述される各種の処理を実行する。つまり、各種の処理は、カード挿入判断処理、カード挿入通知処理、カード排出指示処理、使用禁止データ書込指示処理、使用禁止データ判断処理、ジョブ実行禁止処理、使用禁止通知処理、使用禁止データ消去指示処理、認証データ入力受付処理、及び認証データ照合処理である。
【0034】
また、制御部10は図示しないタイマを備える。後述される処理において、予め設定された時間ΔTを計時するためである。
【0035】
画像データ生成部11は、図示しない原稿台に載置された原稿を走査して、画像データを生成する。画像メモリ12は、画像データ生成部11により生成された画像データを記憶する。操作部13は1又は複数の操作キー14・・・を備える。プリント部15は、予めセットされた記録紙に、画像データを表すトナー像を形成し、その後、記録紙上に形成されたトナー像を加熱及び加圧して、記録紙上に定着させる。
【0036】
外部I/F16は、信号線Lを通じてカード受付装置2との間で、後述される信号の送受を行う。表示部17は各種の画面を表示する。音出力部18は各種の音を出力する。
【0037】
一方、図2に示すカード受付装置2は、制御部20、外部I/F21、カード受付部22、カード有り信号出力処理部(カード有り信号出力処理手段)23、カード排出処理部(カード排出処理手段)24、データ書込処理部(データ書込処理手段)25、データ読取処理部(データ読取処理手段)26、及びデータ消去処理部(データ消去処理手段)27を備える。
【0038】
このようなカード受付装置2において、制御部20は、コントロールバス(例えば、CPUバス)及びデータバスを通じて制御信号及びデータの転送を行うことにより、カード受付装置2を制御する。また、制御部20は、後述される各種の処理を実行する。ここに、制御部20が行う各種の処理は、カード有り信号出力処理、カード排出処理、使用禁止データ書込処理、及び使用禁止データ消去処理である。
【0039】
外部I/F21は、信号線Lを通じて電子機器1との間で、後述される信号の送受を行う。カード受付部22は、カードの挿入を受け付けるカード挿入口22Aを備える。また、カード受付部22は、カードが挿入されていることを検知するセンサ22Bを備える。センサ22Bは、カードが挿入されていることを検知した際には、カードが挿入されていることを制御部20に通知する。制御部20は、センサ22Bから、カードが挿入されていることが通知された際には、カード有り信号出力処理部23に対してカード有り信号の出力を指示する。
【0040】
カード有り信号出力処理部23は、制御部20の指示によりカード有り信号を外部I/F21を通じて電子機器1に出力する。カード排出処理部24は、図示しないカード排出機構を備えており、制御部20の指示により、カード挿入口22Aに挿入されているカードを排出させる。ここに、カード排出機構は、モータ、モータにより回転する搬送ローラ、等を備えて構成される。
【0041】
データ書込処理部25は、図示しない磁気ライタを備えており、制御部20の指示により、カード挿入口22Aに挿入されているカードにデータを書き込む。データ読取処理部26は、図示しない磁気リーダを備えており、制御部20の指示により、カード挿入口22Aに挿入されているカードに記録されているデータを読み取る。データ消去処理部27は、図示しない消去ヘッドを備えており、制御部20の指示により、カード挿入口22Aに挿入されているカードに記録されているデータを消去する。
【0042】
このような画像取扱システムは以下の基本動作をなす。つまり、カード受付装置2のカード挿入口22Aにカードを挿入すれば、電子機器1が使用できる状態となる。そして、電子機器1においてコピージョブの実行が要求された際には、画像データ生成部11が原稿の画像データを順次生成する。
【0043】
このように順次生成された画像データは順次画像メモリ12に記憶され、画像メモリ12に記憶されている画像データがプリント部15においてプリントされる。プリント部15では、予めセットされた記録紙に画像データを表すトナー像が形成され、その後、記録紙上に形成されたトナー像が加熱及び加圧されて、記録紙上に定着される。このような動作を経て、原稿の画像が記録紙上に複写される。
【0044】
図3は、電子機器1が行う処理であって、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置2からカードを排出させることを忘れた際の処理の一例を示すフローチャートである。つまり、電子機器1においてジョブの実行が終了した際には(ステップS1のYES)、制御部10は、図示しないタイマをセットして(ステップS2)、予め設定された時間ΔTの計測を開始する(ステップS3)。
【0045】
そして、制御部10は、予め設定された時間ΔTの計測が終了するまでの間(ステップS4のNO)、操作キー14の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS5)。この判定により、時間ΔTの計測が終了するまでの間、操作キー14の操作を受け付けなかった際、つまり、ジョブが終了してから時間ΔTが経過するまでの間に操作キー14の操作を受け付けなかった際には、制御部10は、カード受付装置2にカードが挿入されているか否かを判定する(ステップS6)。
【0046】
つまり、制御部10は、検知部19によりカード受付装置2にカードが挿入されていることが検知されているか否かを判断する。制御部10は、カード受付装置2にカードが挿入されている際には(ステップS6のYES)、カード挿入通知処理を実行する(ステップS7)。
【0047】
このようなカード挿入通知処理は、表示部17又は音出力部18により、カード受付装置2にカードが挿入されていることを通知する処理である。このような処理として、例えば、表示部17において「カードを取り外して下さい」といったメッセージ画面を表示する処理、表示部17において図示しない発光ダイオードを点灯又は点滅させる処理が挙げられる。また、このような処理として、例えば、音出力部18において、「カードを取り外してください」といった警告メッセージを出力する処理、警報音を出力する処理が挙げられる。
【0048】
このように、電子機器1において、ジョブが終了してから時間ΔTが経過するまでの間に、操作キー14が操作されなかった際には、カード挿入通知処理が実行される。そのため、電子機器1によるジョブ終了後に、ユーザがカード受付装置2からカードを排出させることを忘れることが防止され、ユーザがカード受付装置2からカードを排出させる操作を行ってカードを持ち帰る機会が確保される。
【0049】
また、制御部10は、カード受付装置2にカードが挿入されている際には(ステップS6のYES)、使用禁止データ書込指示処理を実行する(ステップS8)。このような使用禁止データ書込指示処理は、カード受付装置2に対して、カード挿入口22Aに挿入されているカードに、電子機器1を使用することを禁止するための使用禁止データを書き込むことを指示する信号を出力する処理である。この信号を受け付けたカード受付装置2において、カード挿入口22Aに挿入されているカードに使用禁止データを書き込む処理が実行される。
【0050】
また、制御部10は、カード受付装置2にカードが挿入されている際には(ステップS6のYES)、カード排出指示処理を実行する(ステップS9)。このようなカード排出指示処理は、カード受付装置2に対して、カード挿入口22Aに挿入されているカードを排出することを指示する信号を出力する処理である。この信号を受け付けたカード受付装置2において、カード挿入口22Aに挿入されているカードを排出する処理が実行される。
【0051】
一方、制御部10は、ジョブが終了してから時間ΔTが経過するまでの間に操作キー14の操作を受け付けた際には(ステップS4のNO、ステップS5のYES)、待機処理を実行する(ステップS10)。このような待機処理は、プリント部15において図示しない定着ローラの温度を、記録紙上に形成されたトナー像を定着させるトナー像定着温度よりも低く、トナー像定着温度にまで上昇させることが容易な待機温度に保持して、ジョブの実行が要求されることに対して待機する処理である。
【0052】
また、制御部10は、カード受付装置2にカードが挿入されている際にも(ステップS6のYES)、先述される待機処理を実行する(ステップS10)。
【0053】
図4は、カード受付装置2が行う処理であって、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置2からカードを排出させることを忘れた際の処理の一例を示すフローチャートである。つまり、カード受付装置2において、電子機器1が実行した使用禁止データ書込指示処理(図3のステップS8)により出力され、カード挿入口22Aに挿入されているカードに、電子機器1を使用することを禁止するための使用禁止データを書き込むことを指示する信号を受け付けた際には(ステップS11のYES)、制御部20は、データ書込処理部25により、カード挿入口22Aに挿入されているカードに使用禁止データを書き込む(ステップS12)。
【0054】
また、カード受付装置2において、電子機器1が実行したカード排出指示処理(図3のステップS9)により出力され、カード挿入口22Aに挿入されているカードを排出することを指示する信号を受け付けた際には(ステップS13のYES)、制御部20は、カード排出処理部24により、カード挿入口22Aに挿入されているカードを排出させる(ステップS14)。
【0055】
このように、電子機器1において、電子機器1において、ジョブの終了後、時間ΔTが経過するまでの間に、操作キー15が操作されなかった際には、カード受付装置2において挿入されているカードに使用禁止データが書き込まれる。そのため、当該カードを使用することが不可能とされる。
【0056】
また、電子機器1において、ジョブの終了後、時間ΔTが経過するまでの間に、操作キー15が操作されなかった際には、カード受付装置2において挿入されているカードが排出される。そのため、電子機器1によるジョブ終了後に、ユーザがカード受付装置2からカードを排出させることを忘れることが防止され、且つ、ユーザがカードを持ち帰る機会が確保される。また、電子機器1が省エネルギーモードを実行することに対する阻害要因が除去される。
【0057】
図5は、電子機器1が行う処理であって、カード排出処理により排出されたカードが使用された際の処理の一例を示すフローチャートである。つまり、カード受付装置2にカードが挿入されたことを検知部19が検知した際には(ステップS20)、制御部10は、使用禁止データ判断処理を実行する(ステップS21)。
【0058】
このような使用禁止データ判断処理は、カード受付装置により読み取られ、且つ、出力されたデータに、電子機器1を使用することを禁止するための使用禁止データが含まれているか否かを判断して、カードに使用禁止データが書き込まれているか否かを判断する処理である。
【0059】
この処理の結果、カードに使用禁止データが書き込まれていると判断した際には(ステップS22のYES)、制御部10は、ジョブ実行禁止処理を行う(ステップS23)。このようなジョブ実行禁止処理は、操作キー14の操作を受け付けたジョブを実行することを禁止する処理である。このように、カードに使用禁止データが書き込まれている際にはジョブ実行禁止処理が実行されるので、電子機器1によるジョブ終了後にユーザがカード受付装置2からカードを排出させることを忘れても、他者により当該カードが使用されることが防止される。
【0060】
また、カードに使用禁止データが書き込まれていると判断した際には(ステップS22のYES)、制御部10は、使用禁止通知処理を行う(ステップS24)。このような使用禁止通知処理は、表示部17又は音出力部18に対して、電子機器1を使用することが禁止されていることを通知させる処理である。
【0061】
このような処理として、例えば、表示部17において「このカードは使用できません」といったメッセージ画面を表示する処理、表示部17において図示しない発光ダイオードを点灯又は点滅させる処理が挙げられる。また、このような処理として、例えば、音出力部18において、「このカードは使用できません」といった警告メッセージを出力する処理、警報音を出力する処理が挙げられる。
【0062】
このように、カードに使用禁止データが書き込まれている際には、使用禁止通知処理が実行される。そのため、他者が当該カードを誤ってカード受付装置に挿入してジョブが実行されることが防止される。
【0063】
また、カードに使用禁止データが書き込まれていると判断した際には(ステップS22のYES)、制御部10は、認証データ入力受付処理(ステップS25)、及び認証データ照合処理(ステップS26)を順次実行し、認証データが照合できた際には(ステップS27のYES)、使用禁止データ消去指示処理を実行する(ステップS28)。
【0064】
ここに、認証データ入力受付処理は、カードに書き込まれた使用禁止データを削除するための認証データの入力を受け付ける処理であり、例えば、表示部17に対してパスワード入力画面を表示させ、操作キー14の操作を受け付けてパスワードの入力を受け付ける処理がある。
【0065】
また、認証データ照合処理は、入力された認証データを照合する処理である。このような認証データ照合処理として、例えば、操作キー14の操作により入力されたパスワードと、カードに予め記録されたパスワードとを電子機器1の制御部10が照合する処理が挙げられる。
【0066】
この処理を実行するためには、電子機器1を使用したジョブが実行されるまでに、前手順として、操作キー14の操作により入力されたパスワードがカード受付装置2に出力されることで、パスワードを受け付けたカード受付装置2側で受け付けたパスワードがカードに書き込まれることが望まれる。このようにパスワードがカードに書き込まれていれば、電子機器1による出力指示を受け付けて当該パスワードが電子機器1に出力されるので、電子機器1において、パスワードを照合することができる。また、電子機器1側において、図示しないメモリに予め記憶されたパスワードと照合し、両者が一致するか否かを照合する処理も挙げられる。
【0067】
尚、認証データ照合処理は、電子機器1からカード受付装置2に対して照合指示を行って、カード受付装置2において、電子機器1から出力されたパスワードと、カードに書き込まれたパスワードとの照合を行い、照合結果を電子機器1に出力する処理であっても構わない。また、認証データ照合処理、及び、後述する使用禁止データ消去処理が、カード受付装置2側で行われ、認証データの照合結果に応じて、カード受付装置2がカードから使用禁止データを消去する処理であっても構わない。
【0068】
このように、暗証データ入力受付処理において入力された暗証データが暗証データ照合処理により照合されてから、制御部10により使用禁止データ消去指示処理が実行される。そのため、他者により勝手に使用禁止データが消去されることが防止される。
【0069】
尚、このような使用禁止データ消去処理は、予め設定された管理人パスワードを入力させて、入力された管理人パスワードが照合できれば、表示部17に所定の管理者メニューを表示させて、管理者の操作により使用禁止データ消去処理が実行される処理であってもよい。
【0070】
また、使用禁止データ消去指示処理は、カードに書き込まれた使用禁止データを消去させる信号をカード受付装置2に出力する処理である。この信号を受け付けたカード受付装置2において、使用禁止データ消去処理が実行される。
【0071】
一方、カードに使用禁止データが書き込まれていると判断しない際には(ステップS22のNO)、先述される待機処理を実行する(ステップS29)。
【0072】
図6は、カード受付装置2が行う処理であって、カード排出処理により排出されたカードが使用された際の処理の一例を示すフローチャートである。つまり、カード受付装置2において、カードが挿入された際には(ステップS30)、センサ22Bによりカードが挿入されていることが検知される。そのため、制御部20は、カード有り信号出力処理部23によりカード有り信号を電子機器1に出力させる(ステップS31)。
【0073】
ついで、制御部20は、データ読取処理部26により、カードに記録されているデータを読み取らせ(ステップS32)、当該データを電子機器1に出力する(ステップS33)。そして、電子機器1が実行する使用禁止データ消去指示処理により出力され、カードに書き込まれた使用禁止データを消去することを要求する信号を受け付けた際には(ステップS34のYES)、データ消去処理部27により、カードに書き込まれている使用禁止データを消去させる(ステップS35)。
【0074】
このように、カード受付装置2が、カードに書き込まれた使用禁止データを消去することを要求する信号を受け付けた際には、カードから使用禁止データが消去される。そのため、その後には、当該カードが使用可能な状態とされる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】発明の一実施形態に係る画像取扱システムの一例を概略的に示す外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子機器及びカード受付装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】電子機器が行う処理であって、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れた際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】カード受付装置が行う処理であって、ジョブ終了後にユーザがカード受付装置からカードを排出させることを忘れた際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】電子機器が行う処理であって、カード排出処理により排出されたカードが使用された際の処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】カード受付装置が行う処理であって、カード排出処理により排出されたカードが使用された際の処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 電子機器
10 制御部
13 操作部
14 操作キー
16 外部I/F
17 表示部
18 音出力部
19 検知部
2 カード受付装置
20 制御部
22A カード挿入口
23 カード有り信号出力処理部
24 カード排出処理部
25 データ書込処理部
26 データ読取処理部
27 データ消去処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表す画像データを取り扱うことが可能な電子機器であって、
前記電子機器を使用するための使用情報が記録されたカードの挿入及び排出が可能であり、前記カードが挿入されていることを示すカード有り信号を出力するカード受付装置を接続するための接続手段と、
前記カード受付装置から出力された前記カード有り信号を前記接続手段を通じて受け付けて、前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることを検知する検知手段と、
前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることを通知するための通知手段と、
操作キーの操作を受け付けて前記画像データを取り扱うジョブを実行する制御手段と、
を備えており、
前記制御手段は、
前記ジョブが終了してから、予め設定された時間の間、前記操作キーの操作を受け付けない際には、前記検知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることが検知されているか否かを判断するカード挿入判断処理を実行し、
前記カード挿入判断処理を実行した結果、前記検知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることが検知されていると判断した際には、
前記通知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることを通知するカード挿入通知処理、及び、前記カード受付装置に対して前記カードを排出することを指示するカード排出指示処理、
を実行することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記カード受付装置は、さらに、前記カードが挿入されている状態で、前記カードにデータを書き込むことが可能であり、
前記制御手段は、
前記カード挿入判断処理を実行した結果、前記検知手段により前記カード受付装置に前記カードが挿入されていることが検知されていると判断した際には、前記カード受付装置に対して、前記カードに、前記電子機器を使用することを禁止するための使用禁止データを書き込ませる使用禁止データ書込指示処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記カード受付装置は、さらに、前記カードが挿入されている状態で、前記カードに書き込まれたデータを読み取り、読み取った前記データを出力することが可能であり、
前記制御手段は、
前記カード受付装置により読み取られ、且つ、出力された前記データに、前記電子機器を使用することを禁止するための使用禁止データが含まれているか否かを判断して、前記カードに前記使用禁止データが書き込まれているか否かを判断する使用禁止データ判断処理を実行し、
前記使用禁止データ判断処理を実行した結果、前記カードに前記使用禁止データが書き込まれていると判断した際には、前記ジョブの実行を禁止するジョブ実行禁止処理を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記ジョブ実行禁止処理を実行する際には、前記通知手段によって、前記電子機器を使用することが禁止されていることを通知させる使用禁止通知処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記カード受付装置は、さらに、前記カードに書き込まれたデータを消去することが可能であり、
前記制御手段は、
前記カード受付装置に対して、前記カードに書き込まれた、前記電子機器を使用することを禁止するための使用禁止データを消去させる使用禁止データ消去指示処理を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記使用禁止データ消去指示処理を、
前記カードに書き込まれた前記使用禁止データを削除するための認証データの入力を受け付ける認証データ入力受付処理、及び、入力された前記認証データを照合する認証データ照合処理を実行した後に実行することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子機器に接続され、
前記使用情報が記録されたカードの挿入及び排出が可能であり、前記カード有り信号を前記電子機器に出力するカード有り信号出力処理手段と、前記電子機器が行う前記カード排出指示処理により前記カードを排出するカード排出処理手段と、を備えるカード受付装置であって、
前記電子機器が行う前記使用禁止データ書込指示処理により、前記カードに前記使用禁止データを書き込む使用禁止データ書込処理手段、及び、
前記電子機器が行う前記使用禁止データ消去指示処理により、前記カードに書き込まれた前記使用禁止データを消去する使用禁止データ消去処理手段、
のいずれか一方を備えることを特徴とするカード受付装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器と、
請求項7に記載のカード受付装置と、
を備えることを特徴とする画像取扱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−136262(P2010−136262A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312188(P2008−312188)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】