説明

電子機器並びにそれに用いるポータブルデバイス及びクレードル

【課題】 ポータブルデバイスに対する盗難等の発生を未然に防止することができるようにした電子機器を提供すること
【解決手段】 持ち運び可能なポータブルデバイスであるカーナビゲーション装置10と、そのカーナビゲーション装置と電気的に接続可能で、車内で保持するためのクレードル20と、を備える。そして、クレードルは、内蔵するセンサの出力信号に基づき異常の有無を判断し、異常時には、LEDを発光したりサイレンを鳴らしたりして警報を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器並びにそれに用いるポータブルデバイス及びクレードルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、PND(Personal Navigation Device)と称される簡易タイプのポータブル型カーナビゲーション装置や、ポータブルテレビ,DVDプレーヤーその他のポータブルデバイスは、ダッシュボード上などに設置されたクレードルに装着することで、車内の所定位置に配置され、一種の車載器として機能する。そして、係るポータブルデバイスは、クレードルに対して着脱自在に装着するとともに、クレードルから取り外した状態でも所望の機能が発揮されるようにしたものがある。
【0003】
これにより、たとえば、ポータブルデバイスがポータブル型のカーナビゲーション装置(PND)の場合、車載用のカーナビゲーションとして目的地の付近まで案内をし、目的地付近に到着すると、カーナビゲーション装置をクレードルから取り外すとともにユーザが携帯して持ち運ぶことで、歩行時等における携帯型のカーナビゲーション装置として機能する。よって、たとえば最終目的地までは自動車で移動できないような場合に、近くの駐車場まではPNDをクレードルに装着した状態で車載器として使用しつつ、当該駐車場でPNDをクレードルから取り外すとともにユーザが携帯し、最終目的地まで徒歩で移動する際のナビゲーションを行うことができる。
【0004】
なお、この種のクレードルに対して着脱自在にポータブルデバイスを取り付け、取り付けた状態では車載器として機能し、取り外した場合には携帯用の機器として機能する発明としては、PNDではないが、たとえば特許文献1に開示された発明がある。この特許文献に開示された発明は、ポータブルデバイスとして持ち運び可能なデジタルカメラであり、クレードルから取り外した状態では、通常のデジタルカメラとして利用し、クレードルに取り付けた状態では、ドライブレコーダとして機能する用にしている。
【特許文献1】特開2008−78793
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようにPND等の携帯可能なポータブルデバイスは、車載とポータブル(ユーザが持ち運んで使用)の兼用を特徴としていることから、車載専用の電子機器に比べてクレードルから容易に取り外すことができるとともに、クレードルから取り外した状態で使用できることが特徴であるため、車上狙い等の盗難にあいやすいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、盗難等の発生を未然に防止することができるようにした電子機器並びにそれに用いるポータブルデバイス及びクレードルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、(1)持ち運び可能なポータブルデバイスと、そのポータブルデバイスと電気的に接続可能で、当該ポータブルデバイスを車内で保持するためのクレードルと、を備える電子機器であって、前記クレードルは、異常時に警報を出力するセキュリティ装置の少なくとも一部を有するようにした。セキュリティ装置は、盗難警報装置などとも称されることがある。このセキュリティ装置を構成する要素の一部又は全部をクレードルに実装する。一部を実装する場合、他の要素はクレードルの外部に設置し、有線・無線などにて情報・信号の送受を行い、セキュリティ装置として機能する。たとえば、センサなどをクレードルの外の監視に適切な位置に設置することができる。また、ポータブルデバイスは、実施形態ではカーナビゲーション装置10に対応する。これ以外でも、テレビ,DVD等のプレーヤー,携帯電話,カメラ等、各種の装置がある。
【0008】
この発明によれば、クレードル自体にセキュリティ装置(一部の場合も含む)があるため、クレードルに保持されたポータブルデバイス等を狙った車上狙い等による被害を防ぐことに寄与する。さらに、セキュリティ装置を本発明の電子機器と別に設置する手間がかからず、簡単で便利であるばかりでなく、ダッシュボード上に多数の装置(電子機器とセキュリティ装置等)が置かれることがなく、すっきりと配置することができる。
【0009】
(2)前記クレードルが有する前記セキュリティ装置は、威嚇用発光装置を備えるように構成すると良い。威嚇用発光装置は、たとえば、セキュリティ装置が警戒状態の時に点灯或いは点滅させることができる。このようにすると、クレードルは、ダッシュボード上に設置されるのが主であることから、車外から発光(連続・点滅)していることが見え、車外の者に対する威嚇効果を発揮することができる。また、この威嚇用発光装置は、警報動作中の警報の出力時に発光することで、警報器としても機能させることができる。
【0010】
(3)前記セキュリティ装置は、センサと、警報器と、前記センサからの信号に基づいて前記警報器を制御する制御部とを備え、前記クレードルは前記センサと前記警報器と前記制御部の少なくとも一部を内蔵するものとした。警報器は、実施形態では、LED30eやスピーカ30fにより実現される。クレードルには、センサや警報器を内蔵せずに、例えば、外部に有線または無線で電気的に接続されるセンサや警報器を設け、これらセンサからの入力信号に基づいて警報器を制御するようにしてもよい。ただし、(3)の発明のように構成すると、センサや警報器の設置をしたり、センサや警報器への電源供給のための配線をしたりすることなく、単にクレードルを車両に設置するだけで、セキュリティ機能を実現することができるので好ましい。また、このようにすれば、クレードル自体から警報がなされるため、クレードルに支持・保持されたポータブルデバイスを狙った窃盗に対して優れた抑止効果を発揮する。
【0011】
(4)前記セキュリティ装置と前記ポータブルデバイスが、前記クレードルを介して接続されるようにしてもよい。セキュリティ装置とポータブルデバイスが接続されるとは、電気的に接続され、たとえば両者間で情報・信号の送受を行うことができることである。このように両者が接続されることで、以下の(7)以降に示す発明を実現するのに適するようになる。なお、実施形態で示すように、セキュリティ装置の一部または全部がクレードル(クレードル本体30)に内蔵されるような場合、クレードルとポータブルデバイスとが接続(実施形態では、インタフェース10j,30jにより接続)されることで、本発明でいうセキュリティ装置とポータブルデバイスとがクレードルを介して接続されることになる。
【0012】
(5)前記ポータブルデバイスと前記クレードルの少なくとも一方に二次電池を備え、前記セキュリティ装置に対して当該二次電池から電源を供給するようにするとよい。実施形態では、両方に二次電池を実装している。この電子機器の電源は、例えば車両のバッテリ等の車両側から供給するようにしてもよい。例えば、車両側の電源ラインをクレードルに接続し、クレードルからポータブルデバイスへ電源を供給するようにするとよい。つまり、二次電池は必ずしも実装しなくても良い。ただし、(5)のように構成することで、セキュリティ装置へは当該二次電池から電源を供給することができるので好ましい。これは例えば、車両のシガーソケットから電源の供給を受けるようにすると、ACC OFF時には、シガーソケットからの電源供給が遮断されてしまう。このように車両からの電源供給が遮断される場合であっても、(5)のようにすれば、二次電池による電源供給によって、セキュリティ装置を継続して動作させることができる。なお、二次電池を設けない場合には、シガーソケットではなくACC OFF時でも車両のバッテリから電源供給可能なように配線したり、一次電池を内蔵しセキュリティ装置は当該一次電池からの電源供給を受けて駆動したりすることで対応できる。
【0013】
なお、二次電池を実装する場合、車両側から電源の供給を受けた際に当該二次電池に充電する手段を備えると車内で二次電池への充電ができるのでさらによい。特にポータブルデバイスとクレードルの両方に二次電池を備える場合には、車両側から電源の供給を受けた際に、両方に充電するようにするとよい。
【0014】
(6)前記セキュリティ装置が警報状態の場合、それに連動して前記ポータブルデバイスからも警報を発するように構成するとよい。ここで、「それに連動して」とは、例えば、「セキュリティ装置の警報の開始を契機として」としてもよいし、「セキュリティ装置の警報の内容と同等の内容の警報を行うこと」としてもよいし、「セキュリティ装置の警報と同期して光や音を出すこと」としてもよい。このようにセキュリティ装置が警報状態の場合、それに連動してポータブルデバイスからも表示や音声等で警報を発するようにすれば、クレードルとポータブルデバイスの双方から連動して警報が発せられることになる。したがって、より大きな威嚇効果を発揮する。
【0015】
(7)前記セキュリティ装置は、警報を行わない警戒解除状態と、警報を行いうる警戒状態のいずれかの状態を採る構成であり、前記ポータブルデバイスは、前記セキュリティ装置を前記警戒状態とするか前記警戒解除状態とするかを設定するための設定手段を備えるとよい。設定手段は、実施形態では、設定スイッチ10iやタッチパネル10dからの入力を受けて制御部10cがクレードル(セキュリティ装置)側に指示を送る機能で実現されている。クレードルに有するセキュリティ装置は、所定の条件で警報を発するように構成することができるが、この(7)に示す発明のように、警戒状態(アーム状態)とするか警戒解除状態(ディスアーム状態)とするかを設定するようにするとよい。この警戒状態と警戒解除状態の切り替えは、従来の車両用セキュリティ装置と同様の方法で自動的に行うようにしてもよいし、手動で行うようにしてもよい。
【0016】
(8)前記セキュリティ装置は、警報を行わない警戒解除状態と、警報を行いうる警戒状態のいずれかの状態を採る構成であり、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外されたことを検出する離脱検出手段を設け、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外されたことを前記離脱検出手段が検出した場合に、前記警戒状態とする機能を備えるとよい。離脱検出手段は、実施形態ではリミットスイッチや近接センサ等により実現されている。このように、クレードルからポータブルデバイスが取り外された場合に警戒状態とすると、ユーザが警戒状態の設定を手動で行う必要がなくなり、単にクレードルからポータブルデバイスを取り外すだけで警戒状態とすることができるので利便性が向上する。
【0017】
(9)前記クレードルに対して外部から電源を供給されている場合には、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外された場合であっても、前記警戒状態への切り替えは行わないようにするとよい。セキュリティ装置に対して外部から電源を供給されている場合には、車内にまだ運転者等の正規の利用者がいる可能性が高いといえる。そこで、この発明によれば、単にポータブルデバイスを取り外しただけでは警戒状態へ切り替わらないので、運転者等の正規の利用者が自らポータブルデバイスをクレードルから取り外した際に、警戒状態に入って、運転者の動き等に応じて警報をしてしまうといった不都合を防止することができる。
【0018】
(10)(7)から(9)の発明を前提とし、前記警戒状態から前記警戒解除状態への設定は、前記クレードルおよびまたは前記ポータブルデバイスに設けた操作ボタンに対するボタン操作に基づいて行うようにするとよい。所定のボタン操作としては、例えば、ポータブルデバイスに暗証番号を入力するようにしたり、またはポータブルデバイスの隠しボタン操作で行うようにしたりするとよい。
【0019】
(11)前記セキュリティ装置が前記警戒状態の場合、前記ポータブルデバイスを正常に動作させない状態にし、前記セキュリティ装置が警戒状態で前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取外された場合に前記ポータブルデバイスを正常に動作させないことを続けるポータブルデバイス動作抑止手段を備えるといよい。このようにすると、セキュリティ装置が警戒状態のときにクレードルからポータブルデバイスが取外された場合には、ポータブルデバイスは正常に動作しない。したがって、窃盗犯人等が、ポータブルデバイスをクレードルから外して持ち去ったとしても、持ち去ったそのポータブルデバイスは、役に立たないので、持ち去られてしまうことが抑制できる。なお、「ポータブルデバイスを正常に動作させない」とは、例えば、ポータブルデバイスの持つ少なくとも一部の機能を動作させないようにするとよく、特にポータブルデバイスの本質的機能を動作させないようにするとよい。「正常に動作させない」ようにするための手段としては、例えば、機能を実現するための回路への電源供給を遮断したり、機能を実現するためのプログラムの実行を禁止したりするようにすればよい。
【0020】
(12)また、前記セキュリティ装置が前記警報を出力する状態になった際に、前記ポータブルデバイスを正常に動作させない状態に切り替える機能を備えたり、(13)前記セキュリティ装置が前記警戒状態の場合に前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取外された際に、前記ポータブルデバイスを正常に動作させない状態に切り替える機能を備えたりしても、上記の(11)と同様の効果を奏する。
【0021】
(14)前記ポータブルデバイスは、当該ポータブルデバイスに対する操作を入力する操作手段を備え、前記正常に動作させない状態は、前記操作手段を用いた前記ポータブルデバイスの操作を受け付けない状態とすることができる。
【0022】
(15)前記セキュリティ装置が前記警戒状態であるときに前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取外された場合、もしくは前記セキュリティ装置が警報中の場合、前記警戒状態もしくは警報の解除をしない限り前記ポータブルデバイスを使用できない旨の報知を行うようにするとよい。このように、ポータブルデバイスをクレードルから取り外して持ち去ろうとした際に、警戒状態もしくは警報の解除をしない限り前記ポータブルデバイスを使用できない旨の報知がなされるようにすると、解除方法が分からない犯人は、これらを持ち去ることをあきらめるという効果がある。
【0023】
(16)前記セキュリティ装置は、前記警戒状態において前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外された場合に警報を出力する機能を備えるとよい。このようにすると、より効果的にポータブルデバイスの盗難等を抑制することができる。
【0024】
(17)前記クレードルは、車両のドア錠がロック状態となったことが検出された場合に前記セキュリティ装置を前記警戒状態にし、アンロック状態となったことが検出された場合に前記セキュリティ装置を前記警戒解除状態にする機能を備えると良い。このようにすれば、車両の昇降動作に関連して行われるドア錠のロック/アンロックに連動してセキュリティ装置の警戒状態/警戒解除状態の制御を行うことができ、セキュリティ装置を警戒状態に設定することを忘れて車から離れてしまい、セキュリティ装置が役に立たなかったり、逆にセキュリティ装置を警戒解除状態に設定することを忘れて正規の利用者に対して警報が発せられたりすることを防止できる。
【0025】
(18)上記の(17)の発明において、前記ロック状態及び前記アンロック状態の検出は、車両のキーレスエントリー用のリモコンから発せられる信号に基づいて検出するようにするとよい。ここで、“車両のキーレスエントリー用のリモコンから発せられる信号に基づいて検出する”とは、たとえば、キーレスエントリーの受信機が、キーレスエントリー用のリモコンから“アンロック信号/ロック信号”を受信した際に、制御する制御信号(たとえばドアロック・アンロック用モーターの制御信号や、車内LANへの制御情報の送信)に基づいて検出するなど間接的に検出する場合を含む。係る機能を実現するためには、たとえば、制御信号や車内LANの信号の受信機を本電子機器に備えるようにしてもよいし、本電子機器の外部でこれらの信号を受信して本電子機器に伝達するようにしてもよい。また、キーレスエントリー用のリモコンから“アンロック信号/ロック信号”を直接的に受信するようにしてもよい。特に、クレードルは、キーレスエントリー用のリモコンから発せられる車両のドア錠のロック信号,アンロック信号を受信可能な受信機を内蔵し、前記リモコンからのロック信号を受信した場合に前記セキュリティ装置を前記警戒状態にし、前記リモコンからのアンロック信号を受信した場合に前記セキュリティ装置を前記警戒解除状態にするとよい。このようにすれば、外付けの機器を必要とせず、簡便に設置できる。
【0026】
(19)前記クレードルは、前記警報を発するための警報機として発光部を備え、その発光部は、前記クレードルの外周面のうち、異なる方向を向く複数の面に配置されるようにするとよい。このようにすると、さまざまな方向から光を確認することができ、警報または警戒の効果を高めることができる。
【0027】
(20)前記ポータブルデバイスは、前記クレードルを介して電源の供給を受けるとともに、前記クレードルから外されたことを検知する検知手段を備え、前記ポータブルデバイスは、前記クレードルから電源が供給されていない状態で、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが外された場合に、正常に動作させない状態に切り替える機能と、警報を発する機能の少なくとも一方の機能を備えるようにするとよい。
【0028】
(21)持ち運び可能なポータブルデバイスと、そのポータブルデバイスと電気的に接続可能で、当該ポータブルデバイスを車内で保持するためのクレードルと、を備える電子機器であって、前記ポータブルデバイスは、前記クレードルを介して電源の供給を受けるとともに、前記クレードルから外されたことを検知する検知手段を備え、前記ポータブルデバイスは、前記クレードルから電源が供給されていない状態で、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが外された場合に、正常に動作させない状態に切り替える機能と、警報を発する機能の少なくとも一方の機能を備えるようにしてもよい。
【0029】
(20),(21)の発明によれば、クレードルから電源が供給されている状態でポータブルデバイスを外せばポータブルデバイスは正常に動作し警報もしないので、通常のユーザが持ち運んだ状態での使用が可能となる。そして、(21)の発明によれば、セキュリティ装置を有しないクレードルであってもセキュリティ効果がある簡易タイプとして実現できる。さらに、いずれに発明においても、暗証番号の入力や隠しボタン操作で正常動作に復帰し、警報が停止する機能を備えると良い。係る処理は、たとえば(10)の発明の技術を利用できる。
【0030】
本発明のポータブルデバイスは、上記(1)〜(21)のいずれかに記載の電子機器におけるポータブルデバイスであり、また、本発明に係るクレードルは、上記(1)〜(20)のいずれかに記載の電子機器におけるクレードルとした。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、クレードル及びまたはポータブルデバイスにセキュリティ装置・機能を設けたので、たとえば、不審者の接近・侵入や、ポータブルデバイスの持ち出し(単体或いはクレードルごと)等の異常を検出した場合には、そのセキュリティ装置・機能から警報が発するので、不審者等に対して威嚇し、盗難発生を未然に防止できる。そして、電子機器と別に盗難警報装置を用意して配置する必要がなく、設置が簡単に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1から図6は、本発明に係る電子機器の好適な一実施形態の外観図を示しており、図7は、ポータブルデバイスの内部構成を示しており、図8はクレードルの内部構造を示している。本実施形態では、ポータブルデバイスとしてカーナビゲーション装置(PND(ポータブルナビゲーションデバイス))を用いた場合について説明するが、他のポータブルデバイスでももちろん適用できる。
【0033】
電子機器は、持ち運び可能な携帯型のカーナビゲーション装置10と、それを保持するクレードル20とを備える。カーナビゲーション装置10は、クレードル20に対して着脱自在に取り付けられる。カーナビゲーション装置10は、扁平な矩形状のケース本体11を備え、その前面に表示部12が配置される。この表示部12は、液晶パネルや有機ELパネルなどにより構成される。また、ケース本体11の下面には、第1コネクタ13が露出状態で設けられている(図5参照)。カーナビゲーション装置10のケース本体11内には、後述するように図7に示す内部回路が実装される。
【0034】
クレードル20は、カーナビゲーション装置10を保持するクレードル本体30と、車室内の所定の位置(ダッシュボード等)において、クレードル本体30を任意の姿勢で指示する台座部40と、を備えている。台座部40は、底面に設けた吸盤41にて、ダッシュボードなどの上に吸着して固定される。台座部40の上面には、ボールジョイント42が接続され、そのボールジョイント42を介してクレードル本体30が所定の角度範囲内で回転可能に連結される。また、ボールジョイント42は、ボール部42aと、そのボール部42aの外周面に符合する球面状の内周面を持つ凹部42bと、を備え、周知のようにボール部42aと凹部42bとが相対的に三次元方向の任意の角度範囲内で回転移動し、両者間の摩擦抵抗により任意の角度位置でその位置をとどめる。よって、クレードル本体30は、ボールジョイント42による可動範囲内でその姿勢を変えるとともに、その姿勢を維持することができる。
【0035】
クレードル本体30は、扁平なケース31の下端に、前方側に突出された受け部32を配置した構成となり、図2等に示すようにクレードル本体30は、略L字型となる。受け部32の上面中央には、第2コネクタ33が露出状態で設けられている(図4参照)。そして、さらに、ケース31内には、後述するように、図8に示す内部回路が実装される。
【0036】
カーナビゲーション装置10をクレードル本体30に実装するに際し、カーナビゲーション装置10のケース本体11の下面11bをクレードル本体30の受け部32上に置くとともに、カーナビゲーション装置10の背面11aをクレードル本体30の前面に接触するように配置する。このとき、第1コネクタ13と第2コネクタ33とが連結し、カーナビゲーション装置10の内部回路と、クレードル本体30の内部回路とが電気的に接続される。
【0037】
また、クレードル本体30の前面及び又は受け部32の上面と、カーナビゲーション装置10のケース本体11の背面及び又は下面には、クレードル本体30とカーナビゲーション装置10間の位置決めのための凸部/凹部等の位置決め部材を設けたり、連結状態を保持するための係止部材等を設けたりすると良い。
【0038】
図8は、クレードル本体30(ケース31)内に実装される内部回路を示している。図8に示すよう、クレードル本体30は、センサ30aと、制御部30cと、LED30eと、スピーカ30fと、電源回路30gと、二次電池30hと、設定スイッチ30iと、インタフェース30jと、電源ジャック30kと、を備えている。本発明との関係でいうと、センサ30aと、制御部30cと、LED30eと、スピーカ30fにて、セキュリティ装置を構成する。すなわち、本実施形態では、クレードル20自体にセキュリティ装置が内蔵され、クレードル20に支持されたカーナビゲーション装置10や、その他の車内の物品に対する車上狙い等による被害を、別途セキュリティ装置を設置することなく防ぐことができる。
【0039】
そして、セキュリティ装置を構成するためのセンサ30aは、例えばドア開や衝撃を検知するものを用いることができ、具体的には、マイクロホン,ショックセンサ(振動センサ),赤外線センサ,超音波センサ,マイクロ波センサ等を用いることができる。このセンサ30aは、1又は複数種類設置することができ、その検出信号は制御部30cに与えられる。
【0040】
セキュリティ装置としての制御部30cは、センサ30aから与えられた検出信号に基づいて車内への侵入者や、不審者の接近等の異常の有無を判断し、異常を検出した場合には、警報機を用いた警報処理をする。この警報処理を行う警報機は、本実施形態では、LED30eとスピーカ30fを用いている。具体的な警報処理としては、LED30eを発光(点滅)させたり、スピーカ30fからサイレンや各種のメッセージからなる音声など出力させたりすることがある。いずれの場合も、不審者等に対する威嚇効果があり、しかも、係る威嚇のための警報がクレードル本体30から出力されるので、クレードル20に支持されたポータブルデバイスであるカーナビゲーション装置10を狙った窃盗に対して優れた抑止効果を発揮する。
【0041】
また、カーナビゲーション装置10が取り付けられた状態でクレードル本体30内のセキュリティ装置が警戒状態になった場合において、セキュリティ装置(制御部30c)は、クレードル本体30からカーナビゲーション装置10が取り外された場合に警報をする機能を備えると良い。
【0042】
また、上記のLED30eやスピーカ30fの設置位置としては、たとえば図3に示すようにすることができる。具体的には、LED30eは、ケース31の上方空間内に設置され、ケース31の上方(上方近傍)に設置した導光部35により導かれて外部に放射される。そして、導光部35は、ケース31の上面31aと背面31bとの境界部分である面取り加工を施した面取り部31cと、ケース3の上面31aの両方の外周面にまたがるように配置している。これにより1つの導光部35の内側に1つのLED30aを設置した場合でも、異なる2つの外周面(上面31a,面取り部31c)で発光するので、さまざまな方向から光を確認することができ、より周囲に対して目立ち、威嚇効果が強くなる。もちろん、異なる2の外周面で発光させるためには、このように導光部35を設けることなく、各面にLEDを配置するようにしてもよい。
【0043】
なお、異なる複数の外周面は、上述したクレードル本体30のケース31の上面31aと面取り部31cに限ることはなく、たとえば、クレードル本体30の上面と背面に連続するようにしたり、クレードル本体30の前面と上面に連続するようにしたり、クレードル本体30の前面と上面と背面のように3つ以上の異なる面に連続するようにすることができる。いずれの場合も、各面にLED等の発光体を設けてもよいし、導光部を適宜に配置し1つの発光体から発光された光を異なる面から出射するようにしてもよい。さらに、異なる複数の外周面は、上述した各例示したものに限らず、左側面や右側面など他の面を含むようにしてもよく、さらには、必ずしも連続した面とする必要はなく、離反した位置で異なる面に発光部を設けてもよい。なお、実施形態等のように連続した異なる外周面に設定した場合、簡易な導光部(透明・半透明な合成樹脂等)を利用することができるので好ましい。
【0044】
さらに、クレードル本体30の前面に発光部を設けた場合、クレードル本体30とカーナビゲーション装置10が本実施形態の寸法・形状では、係る前面の発光部はクレードル本体30に取り付けられたカーナビゲーション装置10に覆われて外部から直接視認することはできなくなる。そこで、係る場合には、たとえば、クレードル本体の前面に設けた発光部(導光部)に対向するカーナビゲーション装置の位置に導光部を設け、カーナビゲーション装置10の背面や上面や前面まで導光するような機構を設けるとよい。もちろん、クレードル本体30が所定の前面に設けた発光部(導光部)に対向する部分にカーナビゲーション装置が存在せずに外部から視認可能としてもよい。
【0045】
一方、スピーカ30fは、クレードル本体30の背面31bの下方に設けた多数の孔部31dの内側に設けている。本実施形態では、スピーカ30fは、クレードル本体30の背面から音が出るようにしているが、上述した光の場合と同様に、複数の面から音が出るようにしてもよい。
【0046】
電源ジャック30kは、車両のシガーソケットに接続された電源ケーブルの一端に設けられた端子を装着するものである。電源ジャック30kと電源回路30gとは接続されており、車両のシガーソケット(車両のバッテリ)から電源供給を受けた電源回路30gは、二次電池30hに充電する。クレードル本体30に内蔵された各電子部品・機器等は、電源回路30g(車両のバッテリあるいは二次電池30hを電源とする)からの電力供給を受けて動作する。また、車両のバッテリは12V(24V)等であり、内蔵された電子部品(少なくとも制御部30cを構成するMPU(CPU))の電源電圧は、5Vの場合が多い。従って、電源回路30gには、レギュレータの機能と、二次電池30hに対する充放電回路などを備える。
【0047】
これにより、たとえばACCがON時には、電源回路30gはクレードル本体30内に実装された電子部品・機器に対する電源供給を行うとともに、二次電池30hに充電する。そして、ACC OFF時には、車両側からの電源供給が遮断されてしまうので二次電池30hによる電源供給(電源回路30gの放電回路により放電される二次電池30hの電力を、電源回路30gが所望の電圧値に変換して安定供給する)によって、セキュリティ装置(センサ30a,制御部30c,LED30e,スピーカ30f)を継続して動作させることができる。よって本実施形態によれば、セキュリティ装置を構成するセンサや警報器の設置をしたり、センサや警報器への電源供給のための配線をしたりすることなく、従来と同様に単にクレードルを車両に設置するだけで、セキュリティ機能を実現することができる。
【0048】
また、電源回路30gは、クレードル本体30内の各機器に電源供給するのみならず、インタフェース30jに接続され、インタフェース30jに接続される他の機器(装置)に対する電源供給を行えるようになる。つまり、このインタフェース30jは、第2コネクタ33を含み、カーナビゲーション装置10に対して電源供給する。このとき、電源回路30g内のレギュレータを介し電圧を変換(例えば12Vを5Vに)して、供給する。さらにインタフェース30jは、制御部30cとも接続されており、後述するように制御部30cはカーナビゲーション装置10と通信をし、各種の指令の送受を行うことができる。
【0049】
セキュリティ装置(制御部30c)は、警報を行わない警戒解除状態と、警報を行いうる警戒状態のいずれかの状態を採る。この状態の切り替えは、たとえば、クレードル本体30に設置された設定スイッチ30iに対する操作に基づいて行っても良い。この設定スイッチ30iは、押しボタンやスライドスイッチなどユーザが操作するための各種の形態のスイッチを利用できる。また、本実施形態の電子機器は、使用状態ではクレードル本体30は、カーナビゲーション装置10の背面側、つまり、運転者等のユーザから見て奥側に位置するので、クレードル本体30に設けた設定スイッチ30iに直接触れて操作することで状態の切り替えを行うようにした場合には、操作性があまり好ましくはない。そこで、ポータブルデバイスであるカーナビゲーション装置10側に設定スイッチを設け、そのカーナビゲーション装置10の設定スイッチに対する操作に連動してクレードル本体30内に実装されるセキュリティ装置が警戒状態(アーム状態)/警戒解除状態(ディスアーム状態)の切り替えを行うようにすると良い。カーナビゲーション装置10に設けた設定スイッチによる状態の切り替えについては、後述する。
【0050】
さらに、このような状態切り替えのための設定スイッチに対する直接的な操作ではなく、他の操作・動作に連動してセキュリティ装置が警戒状態(アーム状態)/警戒解除状態(ディスアーム状態)の切り替えを行うようにすると良い。具体的には、たとえば、クレードル本体30からカーナビゲーション装置10が取り外された場合に、セキュリティ装置(制御部30c)は、警戒状態に切り替えるようにするとよい。
【0051】
このようにすれば、ユーザが警戒状態の設定を手動で行う必要がなくなり、単にクレードル本体30からカーナビゲーション装置10を取り外すだけで警戒状態とすることができるので利便性が向上する。しかも、通常、運転者等のユーザが正規の行為としてカーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外した場合、車両から降りるとともに当該取り外したカーナビゲーション装置10を携帯して歩行時のナビゲーション装置として使用することが多い。従って、カーナビゲーション装置10を取り外す行為は、車両から離れてセキュリティ装置を警戒状態にする必要が生じる前段階の行為であるので、係る行為に連動させることで適切なタイミングで警戒状態への切り替えが行われる。
【0052】
カーナビゲーション装置10が取り外されたことの検知は、たとえば、クレードル本体30の受け部32の上面にリミットスイッチ等の感圧・接触式のスイッチ(センサ)を上方に突出状態で配置し、カーナビゲーション装置10をクレードル本体30に装着すると、係るスイッチがON(或いはOFF)になり、カーナビゲーション装置10を取り外すとスイッチがOFF(或いはON)に切り替わるように設定することで、係るスイッチのON/OFFの状態の切り替わりを契機に、カーナビゲーション装置10の着脱を検出することができる。また、このように直接接触するものに限ることはなく、近接センサなどの非接触タイプのものを利用したり、カーナビゲーション装置10とクレードル本体30との間で定期的に通信を行うようにし、通信が出来なくなった場合にカーナビゲーション装置10が取り外されたと認識するようにしてもよく、その他各種の方式を採ることができる。
【0053】
さらに、クレードル本体30に対して外部から電源が供給されている場合には、クレードル本体30からカーナビゲーション装置10が取り外された場合であっても、すぐに警戒状態にすることはなく、その後、係る電源供給がなくなった場合に警戒状態にするようにしてもよい。
【0054】
すなわち、本実施形態では、セキュリティ装置の電源は、シガーソケットから供給される車両のバッテリ或いは二次電池30hのいずれかから供給されるようになっている。従って、外部のバッテリから電源供給がされている場合には、イグニッションスイッチ或いはアクセサリ(ACC)がONとなっているので、車内にまだ運転者等の正規の利用者がいる可能性が高い。そこで、運転者等の正規の利用者が自らカーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外してもクレードル本体30に外部から電源が供給されている場合に警戒状態にならないようにすることで、運転者の動き等に応じて警報をしてしまうといった不都合を防止することができる。
【0055】
もちろん、係る外部からの電源供給の有無により警戒状態に移行するか否かを制御する機能の有無にかかわらず、カーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外した後(或いは取り外した後外部からの電源供給がなくなったこと)などの警戒状態に移行する条件を具備した場合でも、すぐに警戒状態に切り替わるのにではなく、一定時間を経過した後で切り替わるようにすると良い。つまり、カーナビゲーション装置10を取り外してから、実際に降車するまでは、所定の時間がかかるので、当該時間を考慮し、余裕を持って上記の一定時間を設定することで、確実にユーザが降車した後で警戒状態に移行し、降車前のユーザの動作に基づいて警報が発するのを防止できる。
【0056】
また、警戒状態と警戒解除状態の切り替えは、たとえばクレードル内に、キーレスエントリーシステムにおけるリモコンから発せられる車両のドア錠のロック、アンロック信号を受信可能な受信機を内蔵する。そして、制御部30cは、そのリモコンからのドアのロック信号を受信した場合に警戒状態にし、リモコンからのドアのアンロック信号を受信した場合、警戒解除状態にするようにしてもよい。
【0057】
係る構成をとると、車両のドアのロック時にクレードルのセキュリティ装置は警戒状態に設定され、車両のドアのアンロック時にクレードルのセキュリティ装置は警戒解除状態に設定される。したがって、セキュリティ装置を警戒状態に設定することを忘れて車から離れてしまい、セキュリティ装置が役に立たなかったり、逆にセキュリティ装置を警戒解除状態に設定することを忘れて正規の利用者に対して警報が発せられたりすることを防止できる。
【0058】
図7は、カーナビゲーション装置10のケース本体11内に実装される内部回路を示している。図7に示すように、カーナビゲーション装置10は、GPS受信機10aと、記憶部10bと、各種の制御を行う制御部10cと、表示部12と、タッチパネル10dと、スピーカ10fと、電源回路10gと、二次電池10hと、設定スイッチ10iと、インタフェース10jと、を備えている。
【0059】
GPS受信機10aは、GPS衛星からのGPS信号を受信し、現在位置を検出するもので、検出した現在位置(緯度・経度等)は制御部10cに与えられる。記憶部10bは、地図データ等を記憶保持する。制御部10cは、GPS受信機10aから受け取った位置情報に基づき、車両の周辺の地図データを記憶部10bから読み出すと共に、その読み出した地図データを表示部12に出力する。また、制御部10cは、この表示部12上に表示された所定位置に自車両を示すマークを描画したり、タッチパネル10dや図示省略するリモコン等の操作に基づき指定された目的地までのルートを算出すると共に、そのルートを地図上に描画したり、スピーカ10fを介して音声で案内したりする。これら例示したカーナビゲーション装置としての基本機能に加え、各種の処理を実行する。
【0060】
インタフェース10jは、第1コネクタ13を含み、第1,第2コネクタ13,33を接続した状態では、両インタフェース10j,30jは互いに電気的に導通する。このインタフェース10jには、制御部10cと電源回路10gとが接続される。つまり、両制御部10c,30cは、インタフェース10j,30jを介して相互に通信できる。また、電源回路10gは、インタフェース10jを介してクレードル本体30内の電源回路30gから電源供給を受けることができる。
【0061】
電源回路10gは、二次電池10hに対する充放電回路を備える。よって、上述したように、車両側からの電源供給を一旦クレードル20に行い、クレードル本体30の電源回路30gにて二次電池30hを充電する。そして、これと同時に電源回路10gへも電源供給されるので、カーナビゲーション装置10内の二次電池10hも車両側からの電源供給に従って充電される。従って、車両側との接続は、クレードル本体30の電源ジャック30kに接続する電源ケーブル(シガーソケットと接続するもの)のみの1本ですむ。よって、クレードル本体30からカーナビゲーション装置10を外す場合、充電用の電源ケーブルを外さなくてもよい。
【0062】
カーナビゲーション装置10に内蔵された各電子部品・機器等は、電源回路10g(車両のバッテリあるいは二次電池10h)からの電力供給を受けて動作する。クレードル20側からの電源供給がない場合には、二次電池10hが放電し、それに伴い各機器等が動作するので、このカーナビゲーション装置10は持ち運びながら動作させることが可能となる。また、このように携帯時のみならず、カーナビゲーション装置10をクレードル本体30に取り付けた状態において、車両のバッテリからの電源供給がなされない場合でも、カーナビゲーション装置10は二次電池10hによる動作が可能となる。
【0063】
よって、本発明との関係でいうと、カーナビゲーション装置10に以下の機能を付加すると良い。すなわち、まず、クレードルに実装された監視状態のセキュリティ装置が異常を検出し、警報状態になった場合、それに連動してカーナビゲーション装置10も警報を発する機能を備えると良い。すなわち、警報状態に至ると、セキュリティ装置を構成する制御部30cは、その旨をカーナビゲーション装置10の制御部10cに通知する。係る通知を受けた制御部10cは、スピーカ10fを用いた音声での警報或いは表示部12を用いた警報メッセージの出力による警報などを行う。これらの警報は、一方或いは両方を行う。
【0064】
このように、セキュリティ装置が警報状態の場合、それに連動してカーナビゲーション装置10からも表示及びまたは音声で警報を発するようにすれば、クレードルとポータブルデバイスの双方から連動して警報が発せられる。したがって、より大きな威嚇効果を発揮する。なお、セキュリティ装置が監視状態の場合、カーナビゲーション装置10は、少なくとも制御部10c,30c間で通信ができるように、制御部10c等は動作させておくが、表示部12やGPS受信機10a等はスリープ状態/電源OFFとしておく。これにより、二次電池10hによる動作時間の長時間化を図る。そして、警報状態になった場合には、制御部10cは表示部12を起動して警報メッセージを出力したりする。なお、本実施形態では、カーナビゲーション装置10にも二次電池10hを実装したので、係る警報時の動作は二次電池10hの放電を利用して行うが、ポータブルデバイスとして二次電池を内蔵しないタイプもあり、係る場合に上記のポータブルデバイスからの警報を行う場合には、クレードル本体30内の二次電池30hからの放電を利用することになる。
【0065】
また、上記の例では、クレードル20からカーナビゲーション装置10を取り外した場合にカーナビゲーション装置10からも警報がなされるようにしたので、たとえば、カーナビゲーション装置10を持ち去ろうとした場合、クレードル20からの警報に加え、カーナビゲーション装置10自体からも警報がなされるため、持ち去り時に目立ってしまい、持ち去ることをあきらめざるを得ないという優れた効果を発揮する。
【0066】
一方、カーナビゲーション装置10側の操作による警戒状態/警戒解除状態の切り替えは、たとえば、カーナビゲーション装置10に設定スイッチ10iを設け、係る設定スイッチ10iに対する手動による操作を制御部10cが検出し、それに基づいて制御部10cがセキュリティ装置を構成する制御部30cに向けて状態の切り替えのための信号を出力することで行える。この設定スイッチ10cは、各種のメカニカルのスイッチ等を利用できる。また、タッチパネル10dの操作に基づいて警戒状態/警戒解除状態の切り替えを行うこともできる。
【0067】
特に、警戒解除状態の設定として、暗証番号の入力や、隠しボタンの操作等の所定のボタン操作に基づいて行うと良い。ボタンの構成としては、設定スイッチ10cでもよいし、タッチパネル10dを利用しても良い。また、隠しボタン操作としては、本実施形態では、タッチパネル10dを備えているので、例えば電源ONで最初に表示部12にオープニング画面を出し、オープニング画面が出ている間に、その画面のどこか特定の場所を触る等の方法を採るとよい。これにより、所定のボタン操作を知らない窃盗犯人・不審者等は、警戒解除状態にすることが出来ないので、警報が継続して出力され続けるので、持ち出しをあきらめることになり、盗難を未然に防止できる。
【0068】
また、セキュリティ装置が警戒状態の場合、カーナビゲーション装置10を正常に動作させないようにし、この状態は、セキュリティ装置が警戒状態のときにクレードル本体30からカーナビゲーション装置10が取外された場合にも維持する(正常に動作させない)機能を設けると良い。このようにすると、セキュリティ装置が警戒状態のときに、クレードル20からカーナビゲーション装置10が取外された場合には、カーナビゲーション装置10は正常に動作しない。したがって、窃盗犯人等が、カーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外して持ち去ったとしても、その持ち去ったそのカーナビゲーション装置10は、自己使用や転売等の価値がなく、役に立たない。よって、持ち去ることが無意味になる。したがって、カーナビゲーション装置10の盗難防止に寄与する。
【0069】
しかも、この機能を備えたカーナビゲーション装置10は、セキュリティ装置が警戒状態の場合、クレードル本体30に取り付けた状態のときから正常に動作しないようにしているので、カーナビゲーション装置10がクレードル本体30に取り付けられた状態のままで盗難にあった場合にも、カーナビゲーション装置10を利用することができない。よって、上記の効果はさらに高まる。
【0070】
もちろん、カーナビゲーション装置10単独或いはクレードル本体30と共に持ち運ばれるなどの警報状態になった場合に、カーナビゲーション装置10が正常に動作させない状態に切り替わるようにしても良い。
【0071】
また、「正常に動作させない」とは、例えば、カーナビゲーション装置10の持つ少なくとも一部の機能を動作させないようにすればよい。この場合の一部の機能は、カーナビゲーション装置10の本質的機能、すなわち地図表示機能や経路案内機能とすると、価値をなくす効果が高いので好ましい。そして、「正常に動作させない」ようにするための手段としては、例えば、機能を実現するための回路への電源供給を遮断したり、機能を実現するためのプログラムの実行を禁止したり、カーナビゲーション装置10への入力操作(タッチパネル10dへの操作)を受け付けないようにしたりすることができる。
【0072】
なお、「正常に動作させない」状態のカーナビゲーション装置10も、セキュリティ装置が警戒解除状態になると正常な状態に復帰する。従って、たとえば、上述したように警戒解除状態に復帰させるに際し、カーナビゲーション装置10の所定のボタン操作を行うようにした場合、上記の入力操作の受付禁止については、解除状態にするためのボタン操作等の入力操作については受付を許容する必要がある。
【0073】
また、カーナビゲーション装置10は、セキュリティ装置が警戒状態のときにクレードル本体30からカーナビゲーション装置10が取外された場合や、セキュリティ装置が警報中の場合に、“警戒状態もしくは警報の解除をしない限りカーナビゲーション装置10を使用できない”旨の報知を行う機能を備えると良い。この報知は、表示部12にメッセージを表示したり、スピーカ10fを介して音声で出力したりすることで行う。
【0074】
係る機能を設けると、カーナビゲーション装置10を持ち去ろうとした際に、警戒状態もしくは警報の解除をしない限り使用できない旨の報知がなされるので、解除方法が分からない犯人は、当該カーナビゲーション装置10に価値がないことが理解でき、持ち去ることをあきらめるという効果がある。
【0075】
さらにまた、本実施形態のカーナビゲーション装置10は、クレードル本体30を介して電源の供給を受け得るようになっているので、クレードルから外されたことを検知する検知手段(リミットスイッチや近接センサ等)を備え、制御部10cは、クレードル本体30から電源が供給されていない状態で、検知手段の検知信号に基づいて、クレードル本体からカーナビゲーション装置10が外されたことを認識した場合に、カーナビゲーション装置10を正常に動作させない状態に切り替える機能及び又は警報を発する機能を備えるようにすると良い。
【0076】
さらに、係る機能を組み込んだカーナビゲーション装置10を用いた場合、係る機能がセキュリティ機能ともなるので、上述した実施形態並びに変形例のようにクレードル本体30側にセキュリティ機能を組み込まないようにすることもできる。
【0077】
なお、上述した実施形態並びに変形例では、セキュリティ装置の一部または全部をクレードル本体30内に内蔵するようにしたが、たとえば、クレードルに内蔵したセキュリティ装置は、別ピース(別の筐体)としてクレードルの外に設置し、クレードル経由でカーナビゲーション装置10(ポータブルデバイス)と接続し、クレードルは、セキュリティ装置の信号をカーナビゲーション装置10(ポータブルデバイス)側に伝える役割、あるいは、逆にカーナビゲーション装置10(ポータブルデバイス)からセキュリティ装置に信号を伝える役割を備えるようにしてもよい。このように、カーナビゲーション装置10(ポータブルデバイス)とセキュリティ装置との連携をとることで、上述した各実施形態・変形例で説明した機能(たとえば、カーナビゲーション装置10(ポータブルデバイス)側で操作や取り外しによりセキュリティ装置側が警戒状態に移行したり、セキュリティ装置側からの指示に従いカーナビゲーション装置10の機能の一部または全部が使用できないようになったり、カーナビゲーション装置10を警報機として利用するなど)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の好適な一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】その側面図である。
【図3】その背面側から見た斜視図である。
【図4】カーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】カーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外した状態を示す下方から見た斜視図である。
【図6】カーナビゲーション装置10をクレードル本体30から取り外した状態を示す側面図である。
【図7】カーナビゲーション装置10の内部構成を示すブロック図である。
【図8】クレードル本体30の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0079】
10 カーナビゲーション装置
11 ケース本体
12 表示部
20 クレードル
30 クレードル本体
40 台座部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運び可能なポータブルデバイスと、
そのポータブルデバイスと電気的に接続可能で、当該ポータブルデバイスを車内で保持するためのクレードルと、
を備える電子機器であって、
前記クレードルは、異常時に警報を出力するセキュリティ装置の少なくとも一部を有すること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記クレードルが有する前記セキュリティ装置は、威嚇用発光装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記セキュリティ装置は、センサと、警報器と、前記センサからの信号に基づいて前記警報器を制御する制御部とを備え、前記クレードルは前記センサと前記警報器と前記制御部の少なくとも一部を内蔵するものとすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記セキュリティ装置と前記ポータブルデバイスが、前記クレードルを介して接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記ポータブルデバイスと前記クレードルの少なくとも一方に二次電池を備え、前記セキュリティ装置に対して当該二次電池から電源を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記セキュリティ装置が警報状態の場合、それに連動して前記ポータブルデバイスからも警報を発するように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記セキュリティ装置は、警報を行わない警戒解除状態と、警報を行いうる警戒状態のいずれかの状態を採る構成であり、
前記ポータブルデバイスは、前記セキュリティ装置を前記警戒状態とするか前記警戒解除状態とするかを設定するための設定手段を備えること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記セキュリティ装置は、警報を行わない警戒解除状態と、警報を行いうる警戒状態のいずれかの状態を採る構成であり、
前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外されたことを検出する離脱検出手段を設け、
前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外されたことを前記離脱検出手段が検出した場合に、前記警戒状態とする機能を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記クレードルに対して外部から電源が供給されている場合には、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外された場合であっても、前記警戒状態への切り替えは行わないようにしたことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記警戒状態から前記警戒解除状態への設定は、前記クレードルおよびまたは前記ポータブルデバイスに設けた操作ボタンに対するボタン操作に基づいて行うことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記セキュリティ装置が前記警戒状態の場合、前記ポータブルデバイスを正常に動作させない状態にし、前記セキュリティ装置が警戒状態で前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取外された場合に前記ポータブルデバイスを正常に動作させないことを続けるポータブルデバイス動作抑止手段を備えることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記セキュリティ装置が前記警報を出力する状態になった際に、前記ポータブルデバイスを正常に動作させない状態に切り替える機能を備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記セキュリティ装置が前記警戒状態の場合に前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取外された際に、前記ポータブルデバイスを正常に動作させない状態に切り替える機能を備えたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記ポータブルデバイスは、当該ポータブルデバイスに対する操作を入力する操作手段を備え、
前記正常に動作させない状態は、前記操作手段を用いた前記ポータブルデバイスの操作を受け付けない状態であることを特徴とする請求項11から13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記セキュリティ装置が前記警戒状態であるときに前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取外された場合、もしくは前記セキュリティ装置が警報中の場合、前記警戒状態もしくは警報の解除をしない限り前記ポータブルデバイスを使用できない旨の報知を行うことを特徴とする請求項7〜14のいずれかに記載の電子機器。
【請求項16】
前記セキュリティ装置は、前記警戒状態において前記クレードルから前記ポータブルデバイスが取り外された場合に警報を出力する機能を備えたことを特徴とする請求項7〜15のいずれかに記載の電子機器。
【請求項17】
前記クレードルは、車両のドア錠がロック状態となったことが検出された場合に前記セキュリティ装置を前記警戒状態にし、アンロック状態となったことが検出された場合に前記セキュリティ装置を前記警戒解除状態にすることを特徴とする請求項7〜16のいずれかに記載の電子機器。
【請求項18】
前記ロック状態及び前記アンロック状態の検出は、車両のキーレスエントリー用のリモコンから発せられる信号に基づいて検出することを特徴とする請求項17に記載の電子機器。
【請求項19】
前記クレードルは、前記警報を発するための警報機として発光部を備え、
その発光部は、前記クレードルの外周面のうち、異なる方向を向く複数の面に配置されていることを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の電子機器。
【請求項20】
前記ポータブルデバイスは、前記クレードルを介して電源の供給を受けるとともに、前記クレードルから外されたことを検知する検知手段を備え、
前記ポータブルデバイスは、前記クレードルから電源が供給されていない状態で、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが外された場合に、正常に動作させない状態に切り替える機能と、警報を発する機能の少なくとも一方の機能を備えたことを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の電子機器。
【請求項21】
持ち運び可能なポータブルデバイスと、
そのポータブルデバイスと電気的に接続可能で、当該ポータブルデバイスを車内で保持するためのクレードルと、
を備える電子機器であって、
前記ポータブルデバイスは、前記クレードルを介して電源の供給を受けるとともに、前記クレードルから外されたことを検知する検知手段を備え、
前記ポータブルデバイスは、前記クレードルから電源が供給されていない状態で、前記クレードルから前記ポータブルデバイスが外された場合に、正常に動作させない状態に切り替える機能と、警報を発する機能の少なくとも一方の機能を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の電子機器におけるポータブルデバイス。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれかに記載の電子機器におけるクレードル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−86215(P2010−86215A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253579(P2008−253579)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】