説明

電子機器

【課題】コネクタを用いることなく、容易に電源コード等のケーブルを基板に取り付け、取り外すことができる電子機器を提供すること。
【解決手段】実装面に各種電子部品(S,M)が搭載されると共に、パターン面に前記電子部品(S,M)の端子が半田付けされる配線パターンが印刷されている基板(114)と、基板に搭載され、外部と接続するためのケーブル(121)が接続される圧接端子(130)と、基板を収納、保持すると共に、その一部に圧接端子(130)を露出させる開口部を有するケース(111、116)と、ケースと別体であり、開口部を塞ぐようにケース(111、116)に固定されると共に、ケーブル(121)を通すケーブル挿入部(117b)とケーブル挿入部(117b)を通過して圧接端子(130)に接続されるケーブル(121)の一部を押さえるケーブル押さえ部(117a)とを有するカバー(117)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に電子機器における基板への電源コード等のケーブルの接続に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス漏れ警報器等の電子機器には、商用電源で駆動するタイプのものが多く存在する。この種の電子機器は、プラグが取り付けられた電源コード部を有しているため、これに係る種々の問題があった。
【0003】
周知のように、ガス漏れ警報器をはじめとする電子機器類は、検査工程や調整工程を経て、製造されて出荷される。この検査工程や調整工程は、できるだけ出荷製品に近い状態で行う必要がある。すなわち、電子部品が実装された基板がケースに収容された状態で検査や調整を行う必要がある。特に、ガス漏れ警報器においては、運用時に正確に警報を行うために、ガス濃度の検査や調整は、センサがケースに収容された状態で行う必要がある。
【0004】
このため、製造時において警報器は、電源コード部が取り付けられた状態で、検査工程や調整工程をはじめとする他工程を流動することになり、作業性が好ましくなかった。そこで、電源コード部を最終段階で取り付け可能なようにしたガス漏れ警報器が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図5は、この種の従来のガス漏れ警報器の構成例を示す断面図である。ガス漏れ警報器9の外形は箱型をしており、本体ケース911側と電源コード部12側とから構成されている。本体ケース911に収容された基板914の実装面には、ガスセンサSやマイコンM等の各種電子部品が搭載され、それらの端子は、基板914を貫通して、半田ランドや配線パターンが印刷されたパターン面にて半田915付けされている。このパターン面上には、メス型電源コネクタ912の端子912aも半田915付けされている。
【0006】
そして、メス型電源コネクタ912に嵌合可能なオス型電源コネクタ124が電源コード121に取り付けられており、最終段階までは電源コード部12を取り外した状態で流動できるようにしている。
【特許文献1】特開2005−116382号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図5の従来例は、製造工程においては邪魔なケーブル類が無く、非常に組立性が良いが、コネクタが必要であり、部品点数の増加、構成の複雑化、筐体の大型化、これにともなうコスト高を招くものであった。
【0008】
そこで本発明は、上述した課題に鑑み、コネクタを用いることなく、容易に電源コード等のケーブルを基板に取り付け、取り外すことができる電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明の電子機器は、実装面に各種電子部品(S,M)が搭載されると共に、パターン面に前記電子部品(S,M)の端子が半田付けされる配線パターンが印刷されている基板(114)と、前記基板(114)に搭載され、外部と接続するためのケーブル(121)が接続される圧接端子(130)と、前記基板(114)を収納、保持すると共に、その一部に前記圧接端子(130)を露出させる開口部を有するケース(111、116)と、前記ケース(111、116)と別体であり、前記開口部を塞ぐように前記ケース(111、116)に固定されると共に、前記ケーブル(121)を通すケーブル挿入部(117b)と前記ケーブル挿入部(117b)を通過して前記圧接端子(130)に接続される前記ケーブル(121)の一部を押さえるケーブル押さえ部(117a)とを有するカバー(117)とを備えていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1記載のガス漏れ警報器において、前記圧接端子(130)は、前記ケーブル(121)の導線(121a)が圧入される圧接部(131)と、該圧接部(131)から延出され、前記基板(114)に設けられた挿入孔(114a)に挿入固定される脚部(133)とを有することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のガス漏れ警報器において、前記ケース(111、116)には、前記ケーブル押さえ部(117a)との間に前記ケーブル(121)を曲げて挟み込む突出部(112)が一体形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のガス漏れ警報器において、前記ケース(111、116)は、本体ケース(111)と下ケース(116)に分離されており、前記カバー(117)は、前記下ケース(116)と一体化されて前記本体ケース(111)に固定されていることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のガス漏れ警報器において、前記ケーブルは、商用電源が供給されるコンセントに接続されるプラグ(122)を一端に有し前記電子部品(S,M)に電源供給するための電源コード(121)であることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器において、前記電子部品はセンサ(S)を含むことを特徴とする。
【0015】
なお、上述の課題を解決するための手段の説明におけるかっこ書きの参照符号は、以下の発明を実施するための最良の形態の説明における構成要素の参照符号に対応しているが、これらは、特許請求の範囲の解釈を限定するものではない。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、従来のガス漏れ警報器において基板とコネクタ方式で接続していた外部出力ケーブルや電源コードなどの、外部と接続するためのケーブルが、本体ケースに収納されている基板に搭載された圧接端子に圧入されているので、コネクタを用いることなく、ケーブルを容易に基板に接続しまたは基板から取り外すことができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、圧接端子は、ケーブルの導線が圧入される圧接部と、該圧接部から延出され、基板に設けられた挿入孔に挿入固定される脚部とを有しているので、ケーブルの導線部分を圧接部に圧入することにより、容易にケーブルを基板に接続することができ、また、圧接部に圧入されている導線部分を取り外すことにより、容易にケーブルを基板から取り外すことができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、ケースには、ケーブル押さえ部との間にケーブルを曲げて挟み込む突出部が一体形成されているので、ケーブルが引っ張られても抜けることがなくなる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、ケースは、本体ケースと下ケースに分離されており、カバーは、下ケースと一体化されて本体ケースに固定されているので、解体が容易である。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、ケーブルは、商用電源が供給されるコンセントに接続されるプラグを一端に有し電子部品に電源供給するための電源コードであるので、電源コードの基板への電源コードの接続または基板からの取り外しが容易となる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、電子部品はセンサを含むので、センサを有する電子機器における、外部と接続するためのケーブルを、容易に基板に接続しまたは基板から取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の電子機器の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態では、本発明の電子機器として、ガス漏れ警報器に適用した場合について説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るガス漏れ警報器の構成を示す断面図である。ガス漏れ警報器1の外形は箱型をしており、本体部11側と電源コード部12側とから構成されている。本体部11は、ケースを構成する本体ケース111及び下ケース116と、ケースと別体になっているカバー117とで形成される収納空間に基板114が収納されている。本体ケース111及び下ケース116で構成されるケースの一部には開口部が形成されており、この開口部にカバー117が固定されている。
【0024】
基板114は、本体部11の本体ケース111の内側壁に設けられた係合爪(図示しない)に係止されることにより本体ケース111に取り付けられている。基板114の実装面(図中下面)には、ガスセンサSやマイコンM等の各種電子部品が搭載されている。各電子部品の端子は、基板114を貫通して、配線パターンが印刷された基板114のパターン面(図中上面)にて半田115付けされている。ガスセンサSと対向する本体ケース111部分には、外部の雰囲気を取り込む雰囲気取込孔(図示しない)が開けられている。
【0025】
さらに、基板114のパターン面には、電源コード121を接続するための圧接端子130が搭載されている。圧接端子130は、図2に示すように、切り込み部132を有する圧接部131と、圧接部131から延出する脚部133とから構成されている。切り込み部132は、圧接部131の上縁から下方へ次第に幅が狭くなるように形成された2つのテーパー部132aと、テーパー部132aの最狭幅部分からさらに下方へ等幅状に形成された溝部132bとを有する。テーパー部132aの最広幅部分の幅は、電源コード121の外径より大きく、最狭幅部分と溝部132bの幅は、後述する電源コード121の導線121aの外径よりも狭くなっている。圧接端子130は、図3に示すように、基板114のパターン面の配線パターンに形成された挿入孔114aに脚部133が挿入され、図1に示すように半田115付けにて固定されている。
【0026】
電源コード部12は、電源コード121及びプラグ122から構成されている。プラグ122は、商用電源が供給されるコンセント(図示しない)に接続される。電源コード121は、周知のように導線121aとこれを覆う絶縁性の被覆部とから構成される。電源コード121のプラグ122が取り付けられていない側の一端は、図4に示すように、部分的に導線121aが剥き出された状態に予め加工されている。
【0027】
なお、電源コード部12を本体ケース111側に取り付ける前には、下ケース116の側壁の端部を本体ケース111の側壁の上端に形成された段部111aに合致させて、下ケース116を本体ケース111に係合爪(図示しない)により取り付けておく。本体ケース111及び下ケース116で構成されるケースに設けられている開口部は、電源コード部12を取り付けるために、まだ、カバー117を取り付けることなく圧接端子130を露出させた状態にしておく。
【0028】
この状態において、試験用電源を一時的に圧接端子130を介して供給することにより、ガス濃度の検査や調整を行う検査・調整工程が行われる。
【0029】
次に、検査・調整工程が終了した後、出荷直前の最終工程にて、図4に示す電源コード121の先端を、取り付ける前のカバー117に設けられているコード挿入孔117bを通し、電源コード121の導線121aが剥き出された部分を、圧接端子130の切り込み部132の溝部132bに圧入し、圧接部131と導線121aを接触させる。
【0030】
次に、カバー117を、その段部117cを下ケース116の段部116aに合わせながら、ケース嵌合固定兼用のネジ118にて本体ケース111に固定する。このとき、カバー117に一体形成された板状のコード押さえ部117aで電源コード121を押さえ込み、コード押さえ部117aと本体ケース111の内壁から突出して一体形成された板状の突出部112の間と、突出部112と本体ケース111の内側壁との間を、電源コード121が通るように変形させる。それにより、電源コード121が外部から引っ張られても導線121aが圧接端子130から外れて抜けることが防がれると共に、圧接端子130が露出することが防がれる。
【0031】
次に、カバー117を固定したネジ118を誤って外されることがないように、封印シール(図示しない)にて封じる。このようにして、電源コード部12が本体部21に接続され、組み立てが完了する。
【0032】
なお、ガス漏れ警報器1を解体する場合には、封印シールの上からドライバーなどを差し込み、ネジ118を外せば、半田を溶かしたり、電源コード121を切断するようなこともなく、容易に電源コード部12を取り外すことができ、また、半田カスや切り屑などの余計なゴミも出ない。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、ガス漏れ警報器1に接続される電源コード121の末端は、コードそのものの被覆を少し向くだけで済むようにし、受け側の基板114の部品も極力単純な構造の廉価な部品(圧接端子130)とすることができる。また、ガス漏れ警報器1の組み立て工程は従来と変わらず、かつ電源コード121の基板114への接続及び取り外しは、きわめて容易となる。
【0034】
以上の通り、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
【0035】
例えば、上述の実施の形態では、基板114への電源コード121の接続に関して説明されているが、本発明はこれに限らず、電子機器の基板に接続される外部機器用の外部出力ケーブルなどの各種ケーブル類の接続に応用が可能である。
【0036】
また、上述の実施形態では、電源コード121の先端が図4に示すように導線121aが剥き出しになるように予め加工されているが、このような加工をしない電源コード121を圧接端子130の溝部132bに圧入した時に、電源コード121の被覆部が破断されて圧接部131と導線121aが接触するように構成しても良い。この場合は、例えば、圧接端子130の溝部132bの内縁を、電源コード121の被覆の破断が可能な若干鋭い形状にすれば良い。
【0037】
また、上述の実施の形態におけるコード挿入孔117bは、電源コード121が通過可能な形状であれば、切り欠き等の他の形状としても良い。
【0038】
また、上述の実施の形態におけるコード押さえ部117aの先端に電源コード121がはまる凹部を設けても良い。
【0039】
また、上述の実施の形態では、カバー117は、ケースと別体となっているが、これに代えて、カバー117を下ケース116と一体形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る電子機器の実施の形態を示す断面図である。
【図2】圧接端子の斜視図である。
【図3】基板への圧接端子の取付を説明する部分斜視図である。
【図4】電源コードの加工例を示す図である。
【図5】従来の電子機器の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ガス漏れ警報器(電子機器)
S ガスセンサ(電子部品、センサ)
M マイコン(電子部品)
111 本体ケース
112 突出部
114 基板
114a 挿入孔
116 下ケース
117 カバー
117a コード押さえ部(ケーブル押さえ部)
117b コード挿入部(ケーブル挿入部)
121 電源コード(ケーブル)
121a 導線
122 プラグ
130 圧接端子
131 圧接部
133 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面に各種電子部品が搭載されると共に、パターン面に前記電子部品の端子が半田付けされる配線パターンが印刷されている基板と、
前記基板に搭載され、外部と接続するためのケーブルが接続される圧接端子と、
前記基板を収納、保持すると共に、その一部に前記圧接端子を露出させる開口部を有するケースと、
前記ケースと別体であり、前記開口部を塞ぐように前記ケースに固定されると共に、前記ケーブルを通すケーブル挿入部と前記ケーブル挿入部を通過して前記圧接端子に接続される前記ケーブルの一部を押さえるケーブル押さえ部とを有するカバーとを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記圧接端子は、前記ケーブルの導線が圧入される圧接部と、該圧接部から延出され、前記基板に設けられた挿入孔に挿入固定される脚部とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2記載の電子機器において、
前記ケースは、本体ケースと下ケースに分離されており、前記カバーは、前記下ケースと一体化されて前記本体ケースに固定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1または2記載の電子機器において、
前記ケースには、前記ケーブル押さえ部との間に前記ケーブルを曲げて挟み込む突出部が一体形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記ケーブルは、商用電源が供給されるコンセントに接続されるプラグを一端に有し前記電子部品に電源供給するための電源コードであることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記電子部品はセンサを含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−135353(P2010−135353A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306997(P2008−306997)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】