電子装置
【課題】簡単かつ確実な取り付け及び電気的な接続が可能な電子装置を提供すること。
【解決手段】導電ケーブルを保持可能な保持溝を前面に備えたベースプレートと、背面に突出する前記接続端子を具備する電子装置本体とを備え、電子装置本体は、その背面をベースプレートの前面に取り付け可能であって、該取り付け状態において前記接続端子が導電ケーブル内の導電線に突き刺さるようになされ、前記保持溝は、その底部には、前記2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの底面と対向する位置に逃がし溝が形成されて、前記電子装置本体の接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が前記逃がし溝に入り込むことが可能なようにした。
【解決手段】導電ケーブルを保持可能な保持溝を前面に備えたベースプレートと、背面に突出する前記接続端子を具備する電子装置本体とを備え、電子装置本体は、その背面をベースプレートの前面に取り付け可能であって、該取り付け状態において前記接続端子が導電ケーブル内の導電線に突き刺さるようになされ、前記保持溝は、その底部には、前記2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの底面と対向する位置に逃がし溝が形成されて、前記電子装置本体の接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が前記逃がし溝に入り込むことが可能なようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行して配された2本の導電線を樹脂等により被覆して1本として形成した所謂2線式導電ケーブルに直接的に接続させて動作させることが可能な電子装置に関するものであり、特に、工場や物流現場などの作業場で物品のピッキング作業や仕分け作業を行う際、当該作業を支援するためのピッキング支援システムにおいて利用されるピッキング表示装置やセンサ、その他の電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所謂2線式導電ケーブルに接続させて動作させることが可能な電子装置は広く利用されている。下記特許文献1に記載の発明はその一例であって、多種多量の物品(部品、商品等)を保管した工場や倉庫などの作業場で当該物品のピッキング作業や仕分け作業を行う場合、ピッキング或いは仕分けを行う物品の種類や数量を間違えないようにするため、各物品が収納されている棚の間口毎に電子装置を設置して、これを制御用コンピュータからの指示で点灯制御等することにより、作業が発生する間口や作業数量などを表示するピッキング支援システムにおける電子装置(表示器)に関するものである。
【0003】
この特許文献1の図5に開示された電子装置は、その前面側正面に照光式押しボタンスイッチを備えており、この照光式押しボタンスイッチを点灯することによって作業が発生する間口の位置を作業者に知らせ、また当該押しボタンスイッチを押すことによって作業完了を知らせるようになされたものである。
【0004】
また、特許文献1に記載の電子装置においては、それぞれ独立した2本の導電ケーブルが用いられているが、現在では、2本の導電線を樹脂やゴム等の可とう性材料によって被覆して1本の導電ケーブルとしたものが広く利用されている。そのような導電ケーブルを利用したものとして、例えば下記特許文献2に記載の電子装置がある。
【0005】
この特許文献2に記載の電子装置は、導電ケーブルとしてAS−iケーブルを用いており、ベースに電子装置本体(スレーブ)を取り付けるように構成され、電子装置本体とベースとの一体化により、電子装置本体の背面側に突出して設けられた2本の接続端子(接続ピン)が導電ケーブルに突き刺さって導通するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−012865号公報
【特許文献2】特開2005−168239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献2の電子装置によれば、電子装置本体とベースとの一体化により、簡単に電子装置を導電ケーブルに電気的に接続することが可能である。
【0008】
しかしながら、接続端子(接続ピン)の先端部を導電ケーブルに押し付けて突き刺すと、導電ケーブルはベースに押し付けられて変形し、2本の接続ピンに挟まれた部分の被覆樹脂又はゴムが、2本の接続端子(接続ピン)の先端部を互いに離反する方向へ弾性的に押圧することとなる。それゆえ、2本の接続端子は、その先端部が互いに離反する方向へ曲がってしまう恐れがあった。
【0009】
この点、平行する2本の導電線を樹脂又はゴム材料により被覆して1本に形成した二線式導電ケーブル場合、2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの表裏面は、その樹脂又はゴム材料が当初設計の寸法よりもやや肉厚に盛り上がって成形されることが多くある。一方、導電ケーブルは、導電線に対する確実な導通を確保するために所定の位置(保持部)に正確に保持される必要があるので、当該保持部については、通常、導電ケーブルの当初設計の形状及び寸法に合わせた保持溝が形成されて保持部となされる。この場合、上記やや肉厚に盛り上がった部分が保持溝に収まり切らず、更に接続端子に押し付けられると導電ケーブルは変形せざるを得ず、上述のとおり、2本の接続ピンに挟まれた部分の被覆樹脂又はゴムが、2本の接続端子(接続ピン)の先端部を互いに離反する方向へ弾性的に押圧することとなる。また、このとき、保持溝(を構成する部材)が充分な強度を備えていないと、これが破損する恐れがあり、結果として導電ケーブルが適正な位置に保持されなくなってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであり、簡単かつ確実な取り付け及び電気的な接続が可能な電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を克服するため、本発明に係る電子装置は、平行する2本の導電線を樹脂又はゴム材料により被覆して1本に形成した二線式導電ケーブルの各導電線に、接続端子を突き刺して導通させることにより動作可能とした電子装置であって、前記導電ケーブルを保持可能な保持溝を前面に備えたベースプレートと、背面に突出する前記接続端子を具備する電子装置本体とを備え、電子装置本体は、その背面をベースプレートの前面に取り付け可能であって、該取り付け状態において前記接続端子が導電線に突き刺さるようになされ、前記保持溝は、その底部には、前記2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの底面と対向する位置に逃がし溝が形成されて、前記電子装置本体の接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が前記逃がし溝に入り込むことが可能なようになされていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電子装置によれば、電子装置本体をベースプレートの前面に取り付けるだけで、導電ケーブルとの導通が可能となされているため、電子装置本体の取り付けが非常に容易であり、しかも、接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が入り込むことの可能な逃がし溝が形成されているので、例え導電ケーブルが変形しても、接続端子が曲がったりする恐れが無く、確実な導通状態の維持が可能となる。
【0013】
また、本発明に係る電子装置において、保持溝の底部に形成された逃がし溝の両側部には、導電ケーブルがその延長方向にズレ動かないようにズレ防止機構が更に設けられているようにしてもよい。このようにすれば、保持溝に保持された導電ケーブルがその延設方向へズレなくなるので、接続端子が折れたり、突き刺さった接続端子によって導電ケーブルが引き裂かれ破損する恐れが少なくなる。
【0014】
さらに、本発明に係る電子装置において、ベースプレートは、電子装置本体を取り付け可能な電子装置本体取付部を備え、電子装置本体は、前面に自発光体と押釦スイッチとを備えると共に、その背面側に、ベースプレートに形成された電子装置本体取付部に対して着脱自在に取り付け可能な取付手段が設けられると共に、電子装置本体の背面から突出する2本の接続端子を備え、電子装置本体をベースプレートに取り付けると、電子装置本体の2本の接続端子がベースプレートの保持溝に保持された導電ケーブルを押圧すると共に該導電ケーブルの2本の導電線にそれぞれに突き刺さって導通するようにすることもできる。このようにすれば、電子装置本体をベースプレートに対して着脱自在に取り付けるだけで、導電ケーブルとの導通も可能となされているため、電子装置本体の取り付け及び取り外しが非常に容易であり、しかも、確実な導通状態の維持が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る電子装置において、電子装置本体の背面側には複数の脚部が突設されており、各脚部には、電子装置本体をベースプレートに取り付けた状態において、各脚部の少なくとも一部がベースプレートの前面に当接した状態となる当接部が形成され、前記取付手段は、電子装置本体の背面から突設された複数の鉤状係止片であり、前記電子装置本体取付部は、ベースプレートに形成され前記鉤状係止片を嵌挿可能な貫通孔の背面側周縁部であって、前記複数の鉤状係止片が前記貫通孔を貫通し、前記鉤状係止片の先端部に形成された係止鉤部がベースプレート背面側の前記背面側周縁部に係止するようになされ、これにより、前記当接部と鉤部との間にベースプレートが挟持されるようになされて、該挟持状態において電子装置本体がベースプレートに固定されると共に、電子装置本体の接続端子が導電ケーブルに導通するようになされるようにしてもよい。このようにすれば、電子装置本体とベースプレートとの間の距離を一定に維持して、互いにしっかりと固定される。また、これにより、確実な導通状態が維持される。
【0016】
さらに、本発明に係る電子装置において、電子装置本体は、本体部とキャップレンズとを備え、前記本体部は、その前面側に、外部からの電力供給及び信号によって制御され発光する自発光体と、押釦スイッチとが配されており、前記キャップレンズは、透光性を備えると共に、背面方向に開口したキャップ状となされ、前記本体部の前方側から該本体部の前面及び上下左右の側壁面を覆うようにして着脱自在に取り付けられるものであって、本体部に配された自発光体が発光すると、その光がキャップレンズを介して前方のみならず多方向へ投光されるようになされ、かつ、前記キャップレンズは、本体部に取り付けられた状態で背面方向へ僅かに後退自在となされると共に前記押釦スイッチに当接するように取り付けられており、該キャップレンズを押すことによって前記押釦スイッチが押されるようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、電子装置を非常に小さいものとすることができ、かつ、キャップレンズは、透光性を備えると共に、背面方向に開口したキャップ状となされ、前記本体部の前方側から該本体部の前面及び上下左右の側壁面を覆うようにしていることで、様々な方向から容易に点灯状態が確認できる。
【0018】
また、本発明に係る電子装置において、キャップレンズは、該キャップレンズの内周側壁面に形成された係合部を、本体部の周側壁に形成された被係合部に係合させて、背面方向へ僅かに後退自在に取り付けられるものとすることができる。このようにすれば、簡単な構成でキャップレンズ全体を利用して発光面とすることができ、かつ押ボタンとして利用することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係る電子装置は、ピッキング作業又は仕分け作業が行われる現場においてピッキング又は仕分けされる物品を保管する棚の各間口の前面側に設置され、ピッキング作業又は仕分け作業に関する作業情報を表示するための表示器であって、自発光体は、その点灯によりピッキング又は仕分けの作業が発生している間口の位置を作業者に知らせるためのものであり、押釦スイッチは、前記作業が発生した間口において、作業が終了したときに作業者が押して作業完了を知らせるための作業終了確認スイッチであるようにすることができる。このようにすれば、多数配置される表示器を容易に設置することが可能となり、かつ確実な取り付けが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明に係る電子装置によれば、電子装置本体をベースプレートの前面に取り付けるだけで、導電ケーブルとの導通が可能となされているため、電子装置本体の取り付けが非常に容易であり、しかも、接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が入り込むことの可能な逃がし溝が形成されているので、例え導電ケーブルが変形しても、接続端子が曲がったりする恐れが無く、確実な導通状態の維持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電子装置の一実施形態を示す図であり、ピッキング作業場において物品が保管される棚に電子装置が取り付けられた使用状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る電子装置を含む、ピッキング支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る電子装置の一実施形態を示す図であり、導電ケーブルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示した電子装置をベースプレートと電子装置本体に分離した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示した電子装置本体の背面側の斜視図である。
【図6】図3に示した電子装置本体のキャップレンズ、基板および本体部に分解した状態を示す斜視図(概略図)である。
【図7】図3に示した電子装置本体の(a)は正面図、(b)は右側面図、そして(c)は平面図である。
【図8】図6に示したキャップレンズの斜視図(内側透視図)である。
【図9】図7(a)のA−A線における断面図である。
【図10】図7(a)のB−B線における断面図である。
【図11】図10と同様の断面図であって、キャップレンズを取り外した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る電子装置1が設置された状態の一例を示す図である。この実施形態においては、電子装置1は、ピッキング作業場においてピッキングされる物品を保管する棚Sの各間口S1に設置される表示装置であり、制御端末の指令に基づいて発光し作業が発生する間口を知らせるランプを備え、またランプが発光した間口における作業が終了した時に作業者が押す押ボタン(確認ボタン)を備えるものである。すなわち、この図1に示すように、電子装置(表示装置)1は、導電ケーブルLによって接続され、当該導電ケーブルを介して電源及び制御信号が供給されるようになされている。電子装置1は、例えば図2に示すように導電ケーブルを介して制御端末に接続され、(制御用コンピュータからの指令に基づく)制御端末の制御により、ピッキング作業の発生する間口に設置された電子装置1のランプ部6を点灯(発光)させて、作業者に作業の発生を知らせるものである。また、ランプ部6は押釦スイッチを備えており、ランプ部6の点灯した間口における作業を終了した作業者がランプ部6を押すと、押釦スイッチが押下され、ランプ部6が消灯するとともに、作業終了を知らせる信号が制御端末へ送信される。
【0024】
図2は、本発明に係る電子装置1を含むピッキング支援システムの構成の一実施例を示したブロック図である。この図2に示すピッキング支援システムは、制御用コンピュータC101、複数の制御端末C201〜C20n、及び複数の電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを備えている。
【0025】
制御用コンピュータC101と複数の制御端末C201〜C20nは、ローカル・エリア・ネットワーク(以下、「LAN」と記載する。)用ケーブルECを介して相互通信可能に接続され、LANを構成している。尚、この実施形態においては、LAN用ケーブルECとしてハブ(図示省略)に接続された10BASE−Tケーブルを用いているが、必ずしもこの形態に限られるものではなく、このLANに関しては、汎用的に用いられるLANであれば様々な形態のLANを適用することが可能であり、また当該LANは有線のものに限られず、無線であってもよく、又有線と無線を組み合わせたものであってもよい。
【0026】
制御用コンピュータC101は、一般のパーソナルコンピュータ、あるいはサーバ等のコンピュータが任意に選択されて用いられ、内部に装着されたLANアダプタ等を介してLAN用ケーブルECに接続されている。また、この制御用コンピュータC101は、所定の制御プログラムを実行することによって電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを制御するための制御指令等を制御端末C201〜C20nに送信すると共に、制御端末C201〜C20nからの応答を受信し、制御端末C201〜C02nの動作を制御する。尚、この制御用コンピュータC101は1台に限られるものではなく、必要に応じて複数台を用いるようにすることもできる。その場合、各制御用コンピュータには、LANにおいて各制御用コンピュータを識別・特定するためのIPアドレスが設定される。また、必要に応じてプリンタ等の他の機器をLANを介して接続するようにしてもよい。
【0027】
各制御端末C201〜C20nは、LANインターフェイス機能を有し、LANケーブルECを介して制御用コンピュータC101から送信される制御指令を受信し、当該制御指令に基づいて電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを制御すると共に、制御指令に対する電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzからの応答を受信して、これを制御用コンピュータC101へ送信する。尚、各制御端末C201〜C20nには、LANにおいて各制御端末C201〜C20nを識別・特定するためのIPアドレスが設定されており、このIPアドレスを用いて制御用コンピュータC101との通信が行われる。
【0028】
制御端末C201は、2本の導電線L1a,L1bを介して複数の電子装置1a1〜1axに接続され、制御用コンピュータC101から受信した制御指令等を電子装置1a1〜1axが解読可能な形式に変換して各電子装置1a1〜1axに送信し、これにより各電子装置1a1〜1axの動作を制御する。また、制御端末C201は、電子装置1a1〜1axからの応答信号を制御用コンピュータC101が解読可能な形式に変換して、この応答に対応する制御指令を発信した制御用コンピュータC101へ送信する。他の制御端末C202〜C20nも上記制御端末C201と同様に構成される。
【0029】
複数の電子装置1a1〜1axは、それぞれに各端末1a1〜1axを識別・特定するためのアドレスが設定されており、図2に示すように、物品が保管される棚Sの間口S1毎に取り付けられる。各電子装置1a1〜1axは、2本の導電線L1a,L1bを介して制御端末C201から給電されると共に、制御端末C201と通信可能に接続され、制御端末C201からの指令に基づいて動作し、また当該指令に対する所定の応答を制御端末C201へ送信する。尚、他の電子装置1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzも、上記電子装置1a1〜1axと同様に構成されている。
【0030】
例えば、各電子装置1は、ピッキング対象となる物品を作業者に教示するためのランプ部6を備えており、自身が設置された棚に保管されている物品がピッキング対象となる場合には、制御端末の制御に従い、ランプ部6が点灯する。これにより、ピッキング作業者は、多数の間口の中からピッキング対象の物品が保管された間口を容易に特定、作業者のピッキング作業を支援することができる。
【0031】
その後、指示された棚の間口S1からのピッキング作業を完了すると、作業者は点灯しているランプ部6を押下する。ランプ部6を押下すると、電子装置1は当該ランプ部6を消灯させると共に、作業が完了したことを示す作業終了応答信号を2本の導電線を介して制御端末へ送信する。制御端末は、受信した作業終了応答信号を制御用コンピュータが解読可能な形式に変換して制御用コンピュータへ送信し、当該制御用コンピュータはピッキング作業が完了したことを検知する。したがって、作業管理者は、ピッキング作業が完了したことを即座に知ることができるので、ピッキング作業を容易に管理することができる。
【0032】
次に、この実施形態における電子装置(ピッキング表示装置)1について詳細に説明する。
【0033】
図3は、本発明に係る電子装置1の一実施形態を示す斜視図であり、導電ケーブルLに接続した状態を示した図である。
【0034】
図3に示すように、この実施形態における電子装置1は、電子装置本体2とベースプレート3とからなるものであり、図4は、これらを分解した状態を示す斜視図である。これらの図に示すように、この実施形態における電子装置1は、電子装置本体2とベースプレート3との間に導電ケーブルLを挟持するようにして保持するものであり、先ず初めにベースプレート3を棚Sの各間口S1の所定位置に取り付け、ベースプレート3に導電ケーブルLを保持させた後、ベースプレート3に対して電子装置本体2を着脱自在に取り付けることによって設置されるものである。尚、ベースプレート3には、これを棚Sの所定位置にネジ留めして取り付けることができるように、ベースプレート3の表裏面に貫通するネジ孔39が左右2箇所に形成されている。
【0035】
図4及び図5に示される電子装置本体2は、更に図6に示すように、本体部4と、基板5と、キャップレンズ6とを備えている。本体部4は、正面視において略正方形であって、その前面側に凹部42を備えており、該凹部42に基板5が収容される。また、図5に示すように、本体部4の背面側には、その4隅に脚部43a〜43dが一体的に形成され、さらに、互いに平行して背面方向に突出する2つの板状の鉤状係止片47、47が一体的に形成されている。尚、この実施形態においては、本体部4はABS樹脂により形成されたものであるが、同様に成型でき、かつ所定の性能を備えていれば、任意の材料を選択可能である。
【0036】
本体部4の対辺となる一対の側壁面46、46には、それぞれ後述するキャップレンズ6の内側側壁面に形成された係合部65、65を着脱自在に嵌入して係合することの出来る被係合部45、45が形成されている。被係合部45は、この実施形態においては、略長方形の孔部が形成されてなるものである。
【0037】
また、図5に示すように、本体部4の背面の略中央には、ステンレス製の2本の接続端子71a、71bが突出して設けられている。この接続端子71a、71bは、ステンレスの薄板により作製され、突出している先端部に向かって先細りの形状となされており、その基端側は、図示しないが、後述する基板6に備える自発光体51や押釦スイッチ52を含む電気回路に接続されている。
【0038】
基板6には、その前面側正面に自発光体(LED)51が配され、また、2箇所に押釦スイッチ52が配されている。この自発光体51は、上述した制御用コンピュータ及び制御端末からの制御指令に従って発光するものであり、この実施形態においては、チップLEDが用いられている。押釦スイッチ52は、作業者が当該間口における作業を完了したときに押下されるスイッチであり、押釦スイッチ52の押釦部521を押下すると当該押釦部521が後方(背面方向)へ弾性的に僅かに後退し、手を離すと元の位置に復帰するものであって、また、当該スイッチ52が押下されると、作業を完了したことを示す応答信号が制御端末へ送信されるようになされたものである。
【0039】
キャップレンズ6(ランプ部6)は、背面方向に開口する背面開口部61を備えたキャップ状に形成されている。図7(a)に示すように、キャップレンズ6は正面視で正方形状であり、外形は直方体の正面側略半分を正面方向へ向かって先細りとした四角錐台状を備えている。キャップレンズ6は、この実施形態においては、ポリカーボネートで形成されたものであって、乳白色に着色されると共に透光性を備えている。これにより、本体部4内の基板5に配された自発光体51が発光すると、白色光が投光されるようになされている。尚、このキャップレンズ6は、上記以外の材料により形成されるようにしてもよく、また必要に応じて様々な色に着色してよいものである。
【0040】
キャップレンズ6の内壁面には、図8〜10に示すように、多数の凹凸や溝62が形成されて、自発光体51から発光された光が様々な方向へ拡散する拡散レンズの役割を果たすようになされていて、これにより広角度から自発光体の発光を確認することができる。
【0041】
また、図11に示すように、キャップレンズ6の左右に対向する一対の内側壁63、63には、本体部4に形成された被係合部45に係合する係合部65、65が形成されている。係合部65は、内側壁63から突出する突出片により形成されるものであって、背面開口部61の開口部側から奥方へ向かってなだらかに突出高さが高くなるようになされた斜面部65aが形成されるとともに、奥側端部において略垂直に立ち上がるような形状となされて被係合部45の前端縁部45aに係合する係合縁部65bが形成されている。
【0042】
また、対向する一対の係合部65、65の先端部間の距離(図11中のp)は、本体部4における被係合部45、45が形成された側壁面46、46間の幅寸法(図11中のq)よりも小さいものとなされている。これにより、キャップレンズ6の背面開口部61を本体部4の正面側から被せるように取り付けると、係合部(突出片)65が被係合部(孔部)45に嵌り込んで、一対の係合部65、65が本体部4をその両側方から挟み込むような状態となり、これによりキャップレンズ6が本体部4に対して着脱自在に嵌着される。尚、係合部65を上記のような形態としたことで、キャップレンズ6を本体部4に対して容易に嵌着(取り付け)することができ、かつ取り付けたキャップレンズ6は容易には本体部4から脱落しない。
【0043】
さらに、本体部4に形成された被係合部(孔部)45は、その前後方向(図11中のZ方向)に所定の幅を有している。また、キャップレンズ6には、その内壁面から後方(背面方向)へ突出する2本の押圧脚部67が形成されている。この押圧脚部67は、キャップレンズ6を本体部4に嵌着させた状態において、その先端部が押釦スイッチ52(押釦部521)の前面部に接触した状態となされている。また、この状態のとき、好ましくは、キャップレンズ6の係合縁部65bが、本体部4の側壁部46に形成された被係合部(孔部)45の前端縁部45aに係合するようになされる。これにより、作業者が作業完了してキャップレンズ6を押圧すると、キャップレンズ6が弾性的に後方(背面方向)へ後退して、キャップレンズ6の押圧脚部67を介して押釦スイッチ52が押下されると共に、作業者がキャップレンズ6から手を離すと、押釦スイッチ52(押釦部521)が元の状態に復帰するのと同時にキャップレンズ6も前方へ進出して元の状態に復帰する。
【0044】
図4に示すように、ベースプレート3は、正面視略正方形状をした板状部材31により構成され、この実施形態においては、本体部4と同じくABS樹脂により作製されている。ベースプレート3の前面には、導電ケーブルLを左右方向(図4におけるX方向)に挿通させて保持することが可能な保持溝32が形成されている。保持溝32は、上下から導電ケーブルLを挟み込むように形成された保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34との両側壁の間に形成されている。この両側壁(保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34)は、いずれもベースプレート本体31の前面から板状に突出して一体的に形成されており、当該両側壁間に、導通ケーブルLの断面形状に沿った形状の溝部が形成されて保持溝32となされている。
【0045】
この実施形態においては、導電ケーブルLとしてAS−i(Actuator Sensor Interface)ケーブルを用いており、保持溝32もAS−iケーブルLの断面形状に沿った形状の溝となされている。尚、言うまでもなく、AS−iケーブルは、世界的に普及してきているFAネットワークシステム(AS−Interfaceバスシステム)に用いられる導電ケーブルであり、絶縁材料によって被覆された2本の導電線が平行して配され、該2本の導電線をさらに樹脂又はゴム材料によって被覆して1本のケーブルとして形成し、このケーブルによってセンサーその他のI/Oモジュールへ電源供給と信号の伝送とを同時に行えるようにした所謂2線式の導電ケーブルである。
【0046】
また、保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34の両側壁の先端部には、互いに近づく方向へ突出した保持爪331、341が複数箇所形成されている。この保持爪331、341によって、保持溝32に保持された導電ケーブルLが保持溝32から容易に脱落するのを防止できる。
【0047】
さらに、保持溝32の底部の左右端部近傍には、保持溝32に保持された導電ケーブルLがその延長方向(図4中のX方向)に動かない(ズレない)ように、ズレ防止機構35として、ズレ防止突出片351が保持溝32の底部から前方(正面方向)へ突出して形成されている。このズレ防止突出片351は、いずれもその断面形状が略直角三角形状であって、且つそれぞれ内側が垂直に立ち上がって形状となされ、これにより、導電ケーブルLはその延長方向のいずれの方向へも動かない(ズレない)ようになされている。尚、このズレ防止突出片351の形状や数は、ここに示した形態に限られるものではなく、導電ケーブルLのズレを防止できるものであれば任意の形状とすることができ、またその形成位置や数も必要に応じて変更してよいものである。
【0048】
また、保持溝32の底部には、導電ケーブルLの延長方向に沿って(すなわちこの実施形態においては図4におけるX方向に)、更に逃がし溝(凹溝)36が形成されている。
【0049】
この点、上述したAS−iケーブルのような2線式の導電ケーブルLにおいては、ケーブル内に配された2本の導電線La、Lbに挟まれた領域、すなわち、図4に示すWの範囲においてはその成型上、導電ケーブルLの表裏面が肉厚に盛り上がって形成される場合があることが避けられない(図3に示す肉厚部Lm)。導電ケーブルLの導電線(本実施形態におけるLa、Lb)を被覆する材料によっては(例えばゴム材料など)、明らかに盛り上がって形成されるものもある。
【0050】
図4及び図9に示すように、逃がし溝36は、凡そ保持溝32に保持されるAS−iケーブルLの2本の導電線La、Lbに挟まれる領域に対応した位置、即ち、ベースプレート3の前面であって、当該ベースプレート3に保持される導電ケーブルの背面側における2本の導電線La、Lbに挟まれる領域に対応した位置に沿って形成されている。この逃がし溝36が形成されていることで、電子装置本体2がベースプレート3に取り付けられた際、電子装置本体2側に設けられた接続端子71a、71bによって押圧された導電ケーブルLの一部、すなわち上述した2本の導電線La、Lbに挟まれた領域における肉厚に盛り上がった部分Lmが、逃がし溝36に入り込むことが可能なようになされている。
【0051】
もし、逃がし溝36が形成されていなければ、導電ケーブルLは大きく変形せざるを得ず、保持溝32を形成して導電ケーブルLを保持する保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34や、導電ケーブルに突き刺さった接続端子71a、71bに大きな負担が掛かる。ところが、逃がし溝36が形成されていることで、保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34とにかかる負荷が軽減されるので、前記両側壁33、34や電子装置本体2側の接続端子71a、71bが破損したり、更には導電ケーブルLが脱落したりする恐れが無くなり、また導電ケーブルLと接続端子71a、71bとの確実な導通状態が維持される。
【0052】
続いて本体部4とベースプレート3との取り付け構造について詳細に説明すると、上述のとおり、本体部4の背面側には、その4隅に背面方向へ突出する脚部43a〜43dが一体的に形成されている。図5に示すように、この4本の脚部43a〜43dは、いずれも断面略T字状に突出した支持脚431a〜431dを備え、また1本の脚部43dを除いて残りの3本の脚部43a〜43cは、支持脚431a〜431cの先端部から更に円柱状に突出した円柱嵌合脚432a〜432cを備えている。尚、この実施形態においては、3本の円柱嵌合脚432a〜432cのうち、1本(432a)のみが他の2本(432b及び432c)よりも太いもの(直径が大きい形態のもの)としている。また、図4に示すように、T字状の支持脚431a〜431cの幅寸法は、いずれも円柱嵌合脚432a〜432cの円形における直径寸法よりも大きいものとなされている。
【0053】
さらに、本体部4の背面には、平行して背面方向に突出する2つの板状の鉤状係止片47、47が一体的に形成されている(図5参照)。この鉤状係止片47の先端部には、断面形状が略直角三角状に側方へ突出した係止鉤部471が更に形成されている。
【0054】
一方、図4に示すように、ベースプレート3には、本体部4を取り付けたときに円柱嵌合脚432a〜432cに対応する位置に、円柱嵌合脚432a〜432cの外形よりも僅かに大きな外形を備えて円柱嵌合脚432a〜432cを挿通可能とした円柱嵌合脚挿通孔37a〜37cが形成されている。すなわち、ベースプレート3の表裏面を貫通するように、3つの円柱嵌合脚挿通孔37a〜37cが形成されており、そのうちの1つ(37a)は、上述した他の2本の円柱嵌合脚432b、432cよりも太い1本の円柱嵌合脚432aを挿通可能なように、他の2つの円柱嵌合脚挿通孔37b、37cよりも直径が大きい孔37aとして形成されている。
【0055】
また、ベースプレート3には、本体部4の鉤状係止片47を貫通させることが可能な貫通孔38が2つ形成されており、本体部4の鉤状係止片47を当該貫通孔38に挿通させて係止させることによって、本体部4(電子装置本体2)は、ベースプレート3に取り付けられる。すなわち、電子装置本体2を正面からベースプレート3に押し付けるようにして鉤状係止片47を貫通孔38に押し込むと、2つの鉤状係止片47の先端部が互いに近づく方向へ弾性変形し、更に鉤状係止片47を押し込むと、係止鉤部471が貫通孔38を通り抜ける。このとき、鉤状係止片47は元の状態に復帰し、係止鉤部471が貫通孔38の背面側周縁部(図9におけるFで示した位置)に係止して、これにより本体部4(電子装置本体2)がベースプレート3対して着脱自在に取り付けられる。
【0056】
上述のような構成を備えていることにより、すなわち、(ア)円柱嵌合脚432a〜432cを4本ではなく3本のみ形成とすると共に、当該円柱嵌合脚を挿通させることが可能なベースプレート3の円柱嵌合脚挿通孔を3つ(37a〜37c)だけ形成したこと、および(イ)1本の円柱嵌合脚432aを他の2本の円柱嵌合脚432b、432cよりも太くすると共に、太い1本の円柱嵌合脚432aを挿通可能なように、他の2つの円柱嵌合脚挿通孔37b、37cよりも直径が大きい孔37aとして形成したことにより、電子装置本体2をベースプレート3に対して正しく取り付けることができる。
【0057】
この点、導電ケーブルLの2本の導電線La、Lbにはそれぞれ極性があるので、電子装置本体2の2本の接続端子71a、71bは、極性を間違えないよう、それぞれ対応する導電線La、Lbに正しく接続されなければならず、それゆえ、電子装置本体2をベースプレート3に取り付けるときには、必ず所定の方向に取り付けられなければならない。ところが、この実施形態における電子装置本体2は、正面視で略正方形であって、90度毎にどのように回転した状態であっても正面視では同じ形態に見えるので、正しい方向を一目で判断するのが困難である。しかしながら、上記(ア)及び(イ)の構成を備えていることで、間違った方向へは取り付けが不可能となっているため、間違った取り付けがなされる心配がない。尚、上記(ア)及び(イ)の構成は必ずしも両方備えられている必要はなく、いずれか一方でもよい。また、同様に間違った方向への取り付けを防止できる手段であれば、別の構成を採用することもできる。
【0058】
図9に示すように、上述のようにして電子装置本体2がベースプレート3に取り付けられた際、すなわち鉤状係止片47の係止鉤部471が貫通孔38の背面側周縁部(ベースプレート3の背面)に係止した状態のとき、本体部4に形成された4本の支持脚431a〜431dの先端部(当接部)4311a〜4311dが、それぞれベースプレート3の前面に当接するようになされている。これにより、ベースプレート3は、係止鉤部471と4本の支持脚431a〜431dの先端部(当接部)4311a〜4311dとの間(図9におけるUの範囲)に挟持されるようにして固定されることとなり、ベースプレート3と本体部4との間の距離が一定に維持される。それゆえ、繰り返される押釦スイッチの押下動作にも関わらず接続端子71a、71bに対する負荷はほとんど無く、接続端子71a、71bと導電ケーブルL(導電線La、Lb)に対する確実な導通状態が良好に維持される。
【0059】
以上を踏まえ、この実施形態における電子装置1を設置する方法を説明すると、先ず、ベースプレート3を棚Sの各間口S1の所定位置に取り付ける。このときの取り付け方法は上述したネジ留めに限られず、例えば、接着剤や両面テープによって取り付けるようにしてもよく、その他の手段によるものとしてもよい。次に、ベースプレート3に導電ケーブルLを配線する。すなわち、ベースプレート3の保持溝32に導電ケーブルLを配して保持させる。そして最後に、ベースプレート3の正面から電子装置本体2をその背面をベースプレート3に対して押し付けるようにして取り付ける。このとき、電子装置本体2の背面に設けられた2本の接続端子71a、71bは、導電ケーブルLに突き刺さって、それぞれ導電線La、Lbに導通する。
【0060】
以上のとおり、具体的な実施形態を示して本発明に係る電子装置を説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。すなわち、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 電子装置
2 電子装置本体
3 ベースプレート
32 保持溝
33 保持溝上側側壁
34 保持溝下側側壁
36 逃がし溝
37a〜37c 円柱嵌合脚挿通孔
38 貫通孔
4 本体部
43a〜43d 脚部
431a〜431d 支持脚
432a〜432c 円柱嵌合脚
47 鉤状係止片
5 基板
51 自発光体(チップLED)
52 押釦スイッチ
6 キャップレンズ
67 押圧脚部
71a、71b 接続端子
C101 制御用コンピュータ
C201〜C20n コントローラ(制御装置)
L 導電ケーブル
La、Lb 導電線
S 棚
S1 各間口
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行して配された2本の導電線を樹脂等により被覆して1本として形成した所謂2線式導電ケーブルに直接的に接続させて動作させることが可能な電子装置に関するものであり、特に、工場や物流現場などの作業場で物品のピッキング作業や仕分け作業を行う際、当該作業を支援するためのピッキング支援システムにおいて利用されるピッキング表示装置やセンサ、その他の電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所謂2線式導電ケーブルに接続させて動作させることが可能な電子装置は広く利用されている。下記特許文献1に記載の発明はその一例であって、多種多量の物品(部品、商品等)を保管した工場や倉庫などの作業場で当該物品のピッキング作業や仕分け作業を行う場合、ピッキング或いは仕分けを行う物品の種類や数量を間違えないようにするため、各物品が収納されている棚の間口毎に電子装置を設置して、これを制御用コンピュータからの指示で点灯制御等することにより、作業が発生する間口や作業数量などを表示するピッキング支援システムにおける電子装置(表示器)に関するものである。
【0003】
この特許文献1の図5に開示された電子装置は、その前面側正面に照光式押しボタンスイッチを備えており、この照光式押しボタンスイッチを点灯することによって作業が発生する間口の位置を作業者に知らせ、また当該押しボタンスイッチを押すことによって作業完了を知らせるようになされたものである。
【0004】
また、特許文献1に記載の電子装置においては、それぞれ独立した2本の導電ケーブルが用いられているが、現在では、2本の導電線を樹脂やゴム等の可とう性材料によって被覆して1本の導電ケーブルとしたものが広く利用されている。そのような導電ケーブルを利用したものとして、例えば下記特許文献2に記載の電子装置がある。
【0005】
この特許文献2に記載の電子装置は、導電ケーブルとしてAS−iケーブルを用いており、ベースに電子装置本体(スレーブ)を取り付けるように構成され、電子装置本体とベースとの一体化により、電子装置本体の背面側に突出して設けられた2本の接続端子(接続ピン)が導電ケーブルに突き刺さって導通するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−012865号公報
【特許文献2】特開2005−168239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献2の電子装置によれば、電子装置本体とベースとの一体化により、簡単に電子装置を導電ケーブルに電気的に接続することが可能である。
【0008】
しかしながら、接続端子(接続ピン)の先端部を導電ケーブルに押し付けて突き刺すと、導電ケーブルはベースに押し付けられて変形し、2本の接続ピンに挟まれた部分の被覆樹脂又はゴムが、2本の接続端子(接続ピン)の先端部を互いに離反する方向へ弾性的に押圧することとなる。それゆえ、2本の接続端子は、その先端部が互いに離反する方向へ曲がってしまう恐れがあった。
【0009】
この点、平行する2本の導電線を樹脂又はゴム材料により被覆して1本に形成した二線式導電ケーブル場合、2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの表裏面は、その樹脂又はゴム材料が当初設計の寸法よりもやや肉厚に盛り上がって成形されることが多くある。一方、導電ケーブルは、導電線に対する確実な導通を確保するために所定の位置(保持部)に正確に保持される必要があるので、当該保持部については、通常、導電ケーブルの当初設計の形状及び寸法に合わせた保持溝が形成されて保持部となされる。この場合、上記やや肉厚に盛り上がった部分が保持溝に収まり切らず、更に接続端子に押し付けられると導電ケーブルは変形せざるを得ず、上述のとおり、2本の接続ピンに挟まれた部分の被覆樹脂又はゴムが、2本の接続端子(接続ピン)の先端部を互いに離反する方向へ弾性的に押圧することとなる。また、このとき、保持溝(を構成する部材)が充分な強度を備えていないと、これが破損する恐れがあり、結果として導電ケーブルが適正な位置に保持されなくなってしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであり、簡単かつ確実な取り付け及び電気的な接続が可能な電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を克服するため、本発明に係る電子装置は、平行する2本の導電線を樹脂又はゴム材料により被覆して1本に形成した二線式導電ケーブルの各導電線に、接続端子を突き刺して導通させることにより動作可能とした電子装置であって、前記導電ケーブルを保持可能な保持溝を前面に備えたベースプレートと、背面に突出する前記接続端子を具備する電子装置本体とを備え、電子装置本体は、その背面をベースプレートの前面に取り付け可能であって、該取り付け状態において前記接続端子が導電線に突き刺さるようになされ、前記保持溝は、その底部には、前記2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの底面と対向する位置に逃がし溝が形成されて、前記電子装置本体の接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が前記逃がし溝に入り込むことが可能なようになされていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電子装置によれば、電子装置本体をベースプレートの前面に取り付けるだけで、導電ケーブルとの導通が可能となされているため、電子装置本体の取り付けが非常に容易であり、しかも、接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が入り込むことの可能な逃がし溝が形成されているので、例え導電ケーブルが変形しても、接続端子が曲がったりする恐れが無く、確実な導通状態の維持が可能となる。
【0013】
また、本発明に係る電子装置において、保持溝の底部に形成された逃がし溝の両側部には、導電ケーブルがその延長方向にズレ動かないようにズレ防止機構が更に設けられているようにしてもよい。このようにすれば、保持溝に保持された導電ケーブルがその延設方向へズレなくなるので、接続端子が折れたり、突き刺さった接続端子によって導電ケーブルが引き裂かれ破損する恐れが少なくなる。
【0014】
さらに、本発明に係る電子装置において、ベースプレートは、電子装置本体を取り付け可能な電子装置本体取付部を備え、電子装置本体は、前面に自発光体と押釦スイッチとを備えると共に、その背面側に、ベースプレートに形成された電子装置本体取付部に対して着脱自在に取り付け可能な取付手段が設けられると共に、電子装置本体の背面から突出する2本の接続端子を備え、電子装置本体をベースプレートに取り付けると、電子装置本体の2本の接続端子がベースプレートの保持溝に保持された導電ケーブルを押圧すると共に該導電ケーブルの2本の導電線にそれぞれに突き刺さって導通するようにすることもできる。このようにすれば、電子装置本体をベースプレートに対して着脱自在に取り付けるだけで、導電ケーブルとの導通も可能となされているため、電子装置本体の取り付け及び取り外しが非常に容易であり、しかも、確実な導通状態の維持が可能となる。
【0015】
また、本発明に係る電子装置において、電子装置本体の背面側には複数の脚部が突設されており、各脚部には、電子装置本体をベースプレートに取り付けた状態において、各脚部の少なくとも一部がベースプレートの前面に当接した状態となる当接部が形成され、前記取付手段は、電子装置本体の背面から突設された複数の鉤状係止片であり、前記電子装置本体取付部は、ベースプレートに形成され前記鉤状係止片を嵌挿可能な貫通孔の背面側周縁部であって、前記複数の鉤状係止片が前記貫通孔を貫通し、前記鉤状係止片の先端部に形成された係止鉤部がベースプレート背面側の前記背面側周縁部に係止するようになされ、これにより、前記当接部と鉤部との間にベースプレートが挟持されるようになされて、該挟持状態において電子装置本体がベースプレートに固定されると共に、電子装置本体の接続端子が導電ケーブルに導通するようになされるようにしてもよい。このようにすれば、電子装置本体とベースプレートとの間の距離を一定に維持して、互いにしっかりと固定される。また、これにより、確実な導通状態が維持される。
【0016】
さらに、本発明に係る電子装置において、電子装置本体は、本体部とキャップレンズとを備え、前記本体部は、その前面側に、外部からの電力供給及び信号によって制御され発光する自発光体と、押釦スイッチとが配されており、前記キャップレンズは、透光性を備えると共に、背面方向に開口したキャップ状となされ、前記本体部の前方側から該本体部の前面及び上下左右の側壁面を覆うようにして着脱自在に取り付けられるものであって、本体部に配された自発光体が発光すると、その光がキャップレンズを介して前方のみならず多方向へ投光されるようになされ、かつ、前記キャップレンズは、本体部に取り付けられた状態で背面方向へ僅かに後退自在となされると共に前記押釦スイッチに当接するように取り付けられており、該キャップレンズを押すことによって前記押釦スイッチが押されるようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、電子装置を非常に小さいものとすることができ、かつ、キャップレンズは、透光性を備えると共に、背面方向に開口したキャップ状となされ、前記本体部の前方側から該本体部の前面及び上下左右の側壁面を覆うようにしていることで、様々な方向から容易に点灯状態が確認できる。
【0018】
また、本発明に係る電子装置において、キャップレンズは、該キャップレンズの内周側壁面に形成された係合部を、本体部の周側壁に形成された被係合部に係合させて、背面方向へ僅かに後退自在に取り付けられるものとすることができる。このようにすれば、簡単な構成でキャップレンズ全体を利用して発光面とすることができ、かつ押ボタンとして利用することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係る電子装置は、ピッキング作業又は仕分け作業が行われる現場においてピッキング又は仕分けされる物品を保管する棚の各間口の前面側に設置され、ピッキング作業又は仕分け作業に関する作業情報を表示するための表示器であって、自発光体は、その点灯によりピッキング又は仕分けの作業が発生している間口の位置を作業者に知らせるためのものであり、押釦スイッチは、前記作業が発生した間口において、作業が終了したときに作業者が押して作業完了を知らせるための作業終了確認スイッチであるようにすることができる。このようにすれば、多数配置される表示器を容易に設置することが可能となり、かつ確実な取り付けが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明に係る電子装置によれば、電子装置本体をベースプレートの前面に取り付けるだけで、導電ケーブルとの導通が可能となされているため、電子装置本体の取り付けが非常に容易であり、しかも、接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が入り込むことの可能な逃がし溝が形成されているので、例え導電ケーブルが変形しても、接続端子が曲がったりする恐れが無く、確実な導通状態の維持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る電子装置の一実施形態を示す図であり、ピッキング作業場において物品が保管される棚に電子装置が取り付けられた使用状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る電子装置を含む、ピッキング支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る電子装置の一実施形態を示す図であり、導電ケーブルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示した電子装置をベースプレートと電子装置本体に分離した状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示した電子装置本体の背面側の斜視図である。
【図6】図3に示した電子装置本体のキャップレンズ、基板および本体部に分解した状態を示す斜視図(概略図)である。
【図7】図3に示した電子装置本体の(a)は正面図、(b)は右側面図、そして(c)は平面図である。
【図8】図6に示したキャップレンズの斜視図(内側透視図)である。
【図9】図7(a)のA−A線における断面図である。
【図10】図7(a)のB−B線における断面図である。
【図11】図10と同様の断面図であって、キャップレンズを取り外した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る電子装置1が設置された状態の一例を示す図である。この実施形態においては、電子装置1は、ピッキング作業場においてピッキングされる物品を保管する棚Sの各間口S1に設置される表示装置であり、制御端末の指令に基づいて発光し作業が発生する間口を知らせるランプを備え、またランプが発光した間口における作業が終了した時に作業者が押す押ボタン(確認ボタン)を備えるものである。すなわち、この図1に示すように、電子装置(表示装置)1は、導電ケーブルLによって接続され、当該導電ケーブルを介して電源及び制御信号が供給されるようになされている。電子装置1は、例えば図2に示すように導電ケーブルを介して制御端末に接続され、(制御用コンピュータからの指令に基づく)制御端末の制御により、ピッキング作業の発生する間口に設置された電子装置1のランプ部6を点灯(発光)させて、作業者に作業の発生を知らせるものである。また、ランプ部6は押釦スイッチを備えており、ランプ部6の点灯した間口における作業を終了した作業者がランプ部6を押すと、押釦スイッチが押下され、ランプ部6が消灯するとともに、作業終了を知らせる信号が制御端末へ送信される。
【0024】
図2は、本発明に係る電子装置1を含むピッキング支援システムの構成の一実施例を示したブロック図である。この図2に示すピッキング支援システムは、制御用コンピュータC101、複数の制御端末C201〜C20n、及び複数の電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを備えている。
【0025】
制御用コンピュータC101と複数の制御端末C201〜C20nは、ローカル・エリア・ネットワーク(以下、「LAN」と記載する。)用ケーブルECを介して相互通信可能に接続され、LANを構成している。尚、この実施形態においては、LAN用ケーブルECとしてハブ(図示省略)に接続された10BASE−Tケーブルを用いているが、必ずしもこの形態に限られるものではなく、このLANに関しては、汎用的に用いられるLANであれば様々な形態のLANを適用することが可能であり、また当該LANは有線のものに限られず、無線であってもよく、又有線と無線を組み合わせたものであってもよい。
【0026】
制御用コンピュータC101は、一般のパーソナルコンピュータ、あるいはサーバ等のコンピュータが任意に選択されて用いられ、内部に装着されたLANアダプタ等を介してLAN用ケーブルECに接続されている。また、この制御用コンピュータC101は、所定の制御プログラムを実行することによって電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを制御するための制御指令等を制御端末C201〜C20nに送信すると共に、制御端末C201〜C20nからの応答を受信し、制御端末C201〜C02nの動作を制御する。尚、この制御用コンピュータC101は1台に限られるものではなく、必要に応じて複数台を用いるようにすることもできる。その場合、各制御用コンピュータには、LANにおいて各制御用コンピュータを識別・特定するためのIPアドレスが設定される。また、必要に応じてプリンタ等の他の機器をLANを介して接続するようにしてもよい。
【0027】
各制御端末C201〜C20nは、LANインターフェイス機能を有し、LANケーブルECを介して制御用コンピュータC101から送信される制御指令を受信し、当該制御指令に基づいて電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzを制御すると共に、制御指令に対する電子装置1a1〜1ax,1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzからの応答を受信して、これを制御用コンピュータC101へ送信する。尚、各制御端末C201〜C20nには、LANにおいて各制御端末C201〜C20nを識別・特定するためのIPアドレスが設定されており、このIPアドレスを用いて制御用コンピュータC101との通信が行われる。
【0028】
制御端末C201は、2本の導電線L1a,L1bを介して複数の電子装置1a1〜1axに接続され、制御用コンピュータC101から受信した制御指令等を電子装置1a1〜1axが解読可能な形式に変換して各電子装置1a1〜1axに送信し、これにより各電子装置1a1〜1axの動作を制御する。また、制御端末C201は、電子装置1a1〜1axからの応答信号を制御用コンピュータC101が解読可能な形式に変換して、この応答に対応する制御指令を発信した制御用コンピュータC101へ送信する。他の制御端末C202〜C20nも上記制御端末C201と同様に構成される。
【0029】
複数の電子装置1a1〜1axは、それぞれに各端末1a1〜1axを識別・特定するためのアドレスが設定されており、図2に示すように、物品が保管される棚Sの間口S1毎に取り付けられる。各電子装置1a1〜1axは、2本の導電線L1a,L1bを介して制御端末C201から給電されると共に、制御端末C201と通信可能に接続され、制御端末C201からの指令に基づいて動作し、また当該指令に対する所定の応答を制御端末C201へ送信する。尚、他の電子装置1b1〜1by,・・・,1n1〜1nzも、上記電子装置1a1〜1axと同様に構成されている。
【0030】
例えば、各電子装置1は、ピッキング対象となる物品を作業者に教示するためのランプ部6を備えており、自身が設置された棚に保管されている物品がピッキング対象となる場合には、制御端末の制御に従い、ランプ部6が点灯する。これにより、ピッキング作業者は、多数の間口の中からピッキング対象の物品が保管された間口を容易に特定、作業者のピッキング作業を支援することができる。
【0031】
その後、指示された棚の間口S1からのピッキング作業を完了すると、作業者は点灯しているランプ部6を押下する。ランプ部6を押下すると、電子装置1は当該ランプ部6を消灯させると共に、作業が完了したことを示す作業終了応答信号を2本の導電線を介して制御端末へ送信する。制御端末は、受信した作業終了応答信号を制御用コンピュータが解読可能な形式に変換して制御用コンピュータへ送信し、当該制御用コンピュータはピッキング作業が完了したことを検知する。したがって、作業管理者は、ピッキング作業が完了したことを即座に知ることができるので、ピッキング作業を容易に管理することができる。
【0032】
次に、この実施形態における電子装置(ピッキング表示装置)1について詳細に説明する。
【0033】
図3は、本発明に係る電子装置1の一実施形態を示す斜視図であり、導電ケーブルLに接続した状態を示した図である。
【0034】
図3に示すように、この実施形態における電子装置1は、電子装置本体2とベースプレート3とからなるものであり、図4は、これらを分解した状態を示す斜視図である。これらの図に示すように、この実施形態における電子装置1は、電子装置本体2とベースプレート3との間に導電ケーブルLを挟持するようにして保持するものであり、先ず初めにベースプレート3を棚Sの各間口S1の所定位置に取り付け、ベースプレート3に導電ケーブルLを保持させた後、ベースプレート3に対して電子装置本体2を着脱自在に取り付けることによって設置されるものである。尚、ベースプレート3には、これを棚Sの所定位置にネジ留めして取り付けることができるように、ベースプレート3の表裏面に貫通するネジ孔39が左右2箇所に形成されている。
【0035】
図4及び図5に示される電子装置本体2は、更に図6に示すように、本体部4と、基板5と、キャップレンズ6とを備えている。本体部4は、正面視において略正方形であって、その前面側に凹部42を備えており、該凹部42に基板5が収容される。また、図5に示すように、本体部4の背面側には、その4隅に脚部43a〜43dが一体的に形成され、さらに、互いに平行して背面方向に突出する2つの板状の鉤状係止片47、47が一体的に形成されている。尚、この実施形態においては、本体部4はABS樹脂により形成されたものであるが、同様に成型でき、かつ所定の性能を備えていれば、任意の材料を選択可能である。
【0036】
本体部4の対辺となる一対の側壁面46、46には、それぞれ後述するキャップレンズ6の内側側壁面に形成された係合部65、65を着脱自在に嵌入して係合することの出来る被係合部45、45が形成されている。被係合部45は、この実施形態においては、略長方形の孔部が形成されてなるものである。
【0037】
また、図5に示すように、本体部4の背面の略中央には、ステンレス製の2本の接続端子71a、71bが突出して設けられている。この接続端子71a、71bは、ステンレスの薄板により作製され、突出している先端部に向かって先細りの形状となされており、その基端側は、図示しないが、後述する基板6に備える自発光体51や押釦スイッチ52を含む電気回路に接続されている。
【0038】
基板6には、その前面側正面に自発光体(LED)51が配され、また、2箇所に押釦スイッチ52が配されている。この自発光体51は、上述した制御用コンピュータ及び制御端末からの制御指令に従って発光するものであり、この実施形態においては、チップLEDが用いられている。押釦スイッチ52は、作業者が当該間口における作業を完了したときに押下されるスイッチであり、押釦スイッチ52の押釦部521を押下すると当該押釦部521が後方(背面方向)へ弾性的に僅かに後退し、手を離すと元の位置に復帰するものであって、また、当該スイッチ52が押下されると、作業を完了したことを示す応答信号が制御端末へ送信されるようになされたものである。
【0039】
キャップレンズ6(ランプ部6)は、背面方向に開口する背面開口部61を備えたキャップ状に形成されている。図7(a)に示すように、キャップレンズ6は正面視で正方形状であり、外形は直方体の正面側略半分を正面方向へ向かって先細りとした四角錐台状を備えている。キャップレンズ6は、この実施形態においては、ポリカーボネートで形成されたものであって、乳白色に着色されると共に透光性を備えている。これにより、本体部4内の基板5に配された自発光体51が発光すると、白色光が投光されるようになされている。尚、このキャップレンズ6は、上記以外の材料により形成されるようにしてもよく、また必要に応じて様々な色に着色してよいものである。
【0040】
キャップレンズ6の内壁面には、図8〜10に示すように、多数の凹凸や溝62が形成されて、自発光体51から発光された光が様々な方向へ拡散する拡散レンズの役割を果たすようになされていて、これにより広角度から自発光体の発光を確認することができる。
【0041】
また、図11に示すように、キャップレンズ6の左右に対向する一対の内側壁63、63には、本体部4に形成された被係合部45に係合する係合部65、65が形成されている。係合部65は、内側壁63から突出する突出片により形成されるものであって、背面開口部61の開口部側から奥方へ向かってなだらかに突出高さが高くなるようになされた斜面部65aが形成されるとともに、奥側端部において略垂直に立ち上がるような形状となされて被係合部45の前端縁部45aに係合する係合縁部65bが形成されている。
【0042】
また、対向する一対の係合部65、65の先端部間の距離(図11中のp)は、本体部4における被係合部45、45が形成された側壁面46、46間の幅寸法(図11中のq)よりも小さいものとなされている。これにより、キャップレンズ6の背面開口部61を本体部4の正面側から被せるように取り付けると、係合部(突出片)65が被係合部(孔部)45に嵌り込んで、一対の係合部65、65が本体部4をその両側方から挟み込むような状態となり、これによりキャップレンズ6が本体部4に対して着脱自在に嵌着される。尚、係合部65を上記のような形態としたことで、キャップレンズ6を本体部4に対して容易に嵌着(取り付け)することができ、かつ取り付けたキャップレンズ6は容易には本体部4から脱落しない。
【0043】
さらに、本体部4に形成された被係合部(孔部)45は、その前後方向(図11中のZ方向)に所定の幅を有している。また、キャップレンズ6には、その内壁面から後方(背面方向)へ突出する2本の押圧脚部67が形成されている。この押圧脚部67は、キャップレンズ6を本体部4に嵌着させた状態において、その先端部が押釦スイッチ52(押釦部521)の前面部に接触した状態となされている。また、この状態のとき、好ましくは、キャップレンズ6の係合縁部65bが、本体部4の側壁部46に形成された被係合部(孔部)45の前端縁部45aに係合するようになされる。これにより、作業者が作業完了してキャップレンズ6を押圧すると、キャップレンズ6が弾性的に後方(背面方向)へ後退して、キャップレンズ6の押圧脚部67を介して押釦スイッチ52が押下されると共に、作業者がキャップレンズ6から手を離すと、押釦スイッチ52(押釦部521)が元の状態に復帰するのと同時にキャップレンズ6も前方へ進出して元の状態に復帰する。
【0044】
図4に示すように、ベースプレート3は、正面視略正方形状をした板状部材31により構成され、この実施形態においては、本体部4と同じくABS樹脂により作製されている。ベースプレート3の前面には、導電ケーブルLを左右方向(図4におけるX方向)に挿通させて保持することが可能な保持溝32が形成されている。保持溝32は、上下から導電ケーブルLを挟み込むように形成された保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34との両側壁の間に形成されている。この両側壁(保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34)は、いずれもベースプレート本体31の前面から板状に突出して一体的に形成されており、当該両側壁間に、導通ケーブルLの断面形状に沿った形状の溝部が形成されて保持溝32となされている。
【0045】
この実施形態においては、導電ケーブルLとしてAS−i(Actuator Sensor Interface)ケーブルを用いており、保持溝32もAS−iケーブルLの断面形状に沿った形状の溝となされている。尚、言うまでもなく、AS−iケーブルは、世界的に普及してきているFAネットワークシステム(AS−Interfaceバスシステム)に用いられる導電ケーブルであり、絶縁材料によって被覆された2本の導電線が平行して配され、該2本の導電線をさらに樹脂又はゴム材料によって被覆して1本のケーブルとして形成し、このケーブルによってセンサーその他のI/Oモジュールへ電源供給と信号の伝送とを同時に行えるようにした所謂2線式の導電ケーブルである。
【0046】
また、保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34の両側壁の先端部には、互いに近づく方向へ突出した保持爪331、341が複数箇所形成されている。この保持爪331、341によって、保持溝32に保持された導電ケーブルLが保持溝32から容易に脱落するのを防止できる。
【0047】
さらに、保持溝32の底部の左右端部近傍には、保持溝32に保持された導電ケーブルLがその延長方向(図4中のX方向)に動かない(ズレない)ように、ズレ防止機構35として、ズレ防止突出片351が保持溝32の底部から前方(正面方向)へ突出して形成されている。このズレ防止突出片351は、いずれもその断面形状が略直角三角形状であって、且つそれぞれ内側が垂直に立ち上がって形状となされ、これにより、導電ケーブルLはその延長方向のいずれの方向へも動かない(ズレない)ようになされている。尚、このズレ防止突出片351の形状や数は、ここに示した形態に限られるものではなく、導電ケーブルLのズレを防止できるものであれば任意の形状とすることができ、またその形成位置や数も必要に応じて変更してよいものである。
【0048】
また、保持溝32の底部には、導電ケーブルLの延長方向に沿って(すなわちこの実施形態においては図4におけるX方向に)、更に逃がし溝(凹溝)36が形成されている。
【0049】
この点、上述したAS−iケーブルのような2線式の導電ケーブルLにおいては、ケーブル内に配された2本の導電線La、Lbに挟まれた領域、すなわち、図4に示すWの範囲においてはその成型上、導電ケーブルLの表裏面が肉厚に盛り上がって形成される場合があることが避けられない(図3に示す肉厚部Lm)。導電ケーブルLの導電線(本実施形態におけるLa、Lb)を被覆する材料によっては(例えばゴム材料など)、明らかに盛り上がって形成されるものもある。
【0050】
図4及び図9に示すように、逃がし溝36は、凡そ保持溝32に保持されるAS−iケーブルLの2本の導電線La、Lbに挟まれる領域に対応した位置、即ち、ベースプレート3の前面であって、当該ベースプレート3に保持される導電ケーブルの背面側における2本の導電線La、Lbに挟まれる領域に対応した位置に沿って形成されている。この逃がし溝36が形成されていることで、電子装置本体2がベースプレート3に取り付けられた際、電子装置本体2側に設けられた接続端子71a、71bによって押圧された導電ケーブルLの一部、すなわち上述した2本の導電線La、Lbに挟まれた領域における肉厚に盛り上がった部分Lmが、逃がし溝36に入り込むことが可能なようになされている。
【0051】
もし、逃がし溝36が形成されていなければ、導電ケーブルLは大きく変形せざるを得ず、保持溝32を形成して導電ケーブルLを保持する保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34や、導電ケーブルに突き刺さった接続端子71a、71bに大きな負担が掛かる。ところが、逃がし溝36が形成されていることで、保持溝上側側壁33と保持溝下側側壁34とにかかる負荷が軽減されるので、前記両側壁33、34や電子装置本体2側の接続端子71a、71bが破損したり、更には導電ケーブルLが脱落したりする恐れが無くなり、また導電ケーブルLと接続端子71a、71bとの確実な導通状態が維持される。
【0052】
続いて本体部4とベースプレート3との取り付け構造について詳細に説明すると、上述のとおり、本体部4の背面側には、その4隅に背面方向へ突出する脚部43a〜43dが一体的に形成されている。図5に示すように、この4本の脚部43a〜43dは、いずれも断面略T字状に突出した支持脚431a〜431dを備え、また1本の脚部43dを除いて残りの3本の脚部43a〜43cは、支持脚431a〜431cの先端部から更に円柱状に突出した円柱嵌合脚432a〜432cを備えている。尚、この実施形態においては、3本の円柱嵌合脚432a〜432cのうち、1本(432a)のみが他の2本(432b及び432c)よりも太いもの(直径が大きい形態のもの)としている。また、図4に示すように、T字状の支持脚431a〜431cの幅寸法は、いずれも円柱嵌合脚432a〜432cの円形における直径寸法よりも大きいものとなされている。
【0053】
さらに、本体部4の背面には、平行して背面方向に突出する2つの板状の鉤状係止片47、47が一体的に形成されている(図5参照)。この鉤状係止片47の先端部には、断面形状が略直角三角状に側方へ突出した係止鉤部471が更に形成されている。
【0054】
一方、図4に示すように、ベースプレート3には、本体部4を取り付けたときに円柱嵌合脚432a〜432cに対応する位置に、円柱嵌合脚432a〜432cの外形よりも僅かに大きな外形を備えて円柱嵌合脚432a〜432cを挿通可能とした円柱嵌合脚挿通孔37a〜37cが形成されている。すなわち、ベースプレート3の表裏面を貫通するように、3つの円柱嵌合脚挿通孔37a〜37cが形成されており、そのうちの1つ(37a)は、上述した他の2本の円柱嵌合脚432b、432cよりも太い1本の円柱嵌合脚432aを挿通可能なように、他の2つの円柱嵌合脚挿通孔37b、37cよりも直径が大きい孔37aとして形成されている。
【0055】
また、ベースプレート3には、本体部4の鉤状係止片47を貫通させることが可能な貫通孔38が2つ形成されており、本体部4の鉤状係止片47を当該貫通孔38に挿通させて係止させることによって、本体部4(電子装置本体2)は、ベースプレート3に取り付けられる。すなわち、電子装置本体2を正面からベースプレート3に押し付けるようにして鉤状係止片47を貫通孔38に押し込むと、2つの鉤状係止片47の先端部が互いに近づく方向へ弾性変形し、更に鉤状係止片47を押し込むと、係止鉤部471が貫通孔38を通り抜ける。このとき、鉤状係止片47は元の状態に復帰し、係止鉤部471が貫通孔38の背面側周縁部(図9におけるFで示した位置)に係止して、これにより本体部4(電子装置本体2)がベースプレート3対して着脱自在に取り付けられる。
【0056】
上述のような構成を備えていることにより、すなわち、(ア)円柱嵌合脚432a〜432cを4本ではなく3本のみ形成とすると共に、当該円柱嵌合脚を挿通させることが可能なベースプレート3の円柱嵌合脚挿通孔を3つ(37a〜37c)だけ形成したこと、および(イ)1本の円柱嵌合脚432aを他の2本の円柱嵌合脚432b、432cよりも太くすると共に、太い1本の円柱嵌合脚432aを挿通可能なように、他の2つの円柱嵌合脚挿通孔37b、37cよりも直径が大きい孔37aとして形成したことにより、電子装置本体2をベースプレート3に対して正しく取り付けることができる。
【0057】
この点、導電ケーブルLの2本の導電線La、Lbにはそれぞれ極性があるので、電子装置本体2の2本の接続端子71a、71bは、極性を間違えないよう、それぞれ対応する導電線La、Lbに正しく接続されなければならず、それゆえ、電子装置本体2をベースプレート3に取り付けるときには、必ず所定の方向に取り付けられなければならない。ところが、この実施形態における電子装置本体2は、正面視で略正方形であって、90度毎にどのように回転した状態であっても正面視では同じ形態に見えるので、正しい方向を一目で判断するのが困難である。しかしながら、上記(ア)及び(イ)の構成を備えていることで、間違った方向へは取り付けが不可能となっているため、間違った取り付けがなされる心配がない。尚、上記(ア)及び(イ)の構成は必ずしも両方備えられている必要はなく、いずれか一方でもよい。また、同様に間違った方向への取り付けを防止できる手段であれば、別の構成を採用することもできる。
【0058】
図9に示すように、上述のようにして電子装置本体2がベースプレート3に取り付けられた際、すなわち鉤状係止片47の係止鉤部471が貫通孔38の背面側周縁部(ベースプレート3の背面)に係止した状態のとき、本体部4に形成された4本の支持脚431a〜431dの先端部(当接部)4311a〜4311dが、それぞれベースプレート3の前面に当接するようになされている。これにより、ベースプレート3は、係止鉤部471と4本の支持脚431a〜431dの先端部(当接部)4311a〜4311dとの間(図9におけるUの範囲)に挟持されるようにして固定されることとなり、ベースプレート3と本体部4との間の距離が一定に維持される。それゆえ、繰り返される押釦スイッチの押下動作にも関わらず接続端子71a、71bに対する負荷はほとんど無く、接続端子71a、71bと導電ケーブルL(導電線La、Lb)に対する確実な導通状態が良好に維持される。
【0059】
以上を踏まえ、この実施形態における電子装置1を設置する方法を説明すると、先ず、ベースプレート3を棚Sの各間口S1の所定位置に取り付ける。このときの取り付け方法は上述したネジ留めに限られず、例えば、接着剤や両面テープによって取り付けるようにしてもよく、その他の手段によるものとしてもよい。次に、ベースプレート3に導電ケーブルLを配線する。すなわち、ベースプレート3の保持溝32に導電ケーブルLを配して保持させる。そして最後に、ベースプレート3の正面から電子装置本体2をその背面をベースプレート3に対して押し付けるようにして取り付ける。このとき、電子装置本体2の背面に設けられた2本の接続端子71a、71bは、導電ケーブルLに突き刺さって、それぞれ導電線La、Lbに導通する。
【0060】
以上のとおり、具体的な実施形態を示して本発明に係る電子装置を説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。すなわち、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定され、また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 電子装置
2 電子装置本体
3 ベースプレート
32 保持溝
33 保持溝上側側壁
34 保持溝下側側壁
36 逃がし溝
37a〜37c 円柱嵌合脚挿通孔
38 貫通孔
4 本体部
43a〜43d 脚部
431a〜431d 支持脚
432a〜432c 円柱嵌合脚
47 鉤状係止片
5 基板
51 自発光体(チップLED)
52 押釦スイッチ
6 キャップレンズ
67 押圧脚部
71a、71b 接続端子
C101 制御用コンピュータ
C201〜C20n コントローラ(制御装置)
L 導電ケーブル
La、Lb 導電線
S 棚
S1 各間口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行する2本の導電線を樹脂又はゴム材料により被覆して1本に形成した二線式導電ケーブルの各導電線に、接続端子を突き刺して導通させることにより動作可能とした電子装置であって、
前記導電ケーブルを保持可能な保持溝を前面に備えたベースプレートと、背面に突出する前記接続端子を具備する電子装置本体とを備え、
電子装置本体は、その背面をベースプレートの前面に取り付け可能であって、該取り付け状態において前記接続端子が導電線に突き刺さるようになされ、
前記保持溝は、その底部には、前記2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの底面と対向する位置に逃がし溝が形成されて、前記電子装置本体の接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が前記逃がし溝に入り込むことが可能なようになされていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
保持溝の底部に形成された逃がし溝の両側部には、導電ケーブルがその延長方向にズレ動かないようにズレ防止機構が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
ベースプレートは、電子装置本体を取り付け可能な電子装置本体取付部を備え、
電子装置本体は、前面に自発光体と押釦スイッチとを備えると共に、その背面側に、ベースプレートに形成された電子装置本体取付部に対して着脱自在に取り付け可能な取付手段が設けられると共に、電子装置本体の背面から突出する2本の接続端子を備え、
電子装置本体をベースプレートに取り付けると、電子装置本体の2本の接続端子がベースプレートの保持溝に保持された導電ケーブルを押圧すると共に該導電ケーブルの2本の導電線にそれぞれに突き刺さって導通するようになされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
電子装置本体の背面側には複数の脚部が突設されており、各脚部には、電子装置本体をベースプレートに取り付けた状態において、各脚部の少なくとも一部がベースプレートの前面に当接した状態となる当接部が形成され、
前記取付手段は、電子装置本体の背面から突設された複数の鉤状係止片であり、前記電子装置本体取付部は、ベースプレートに形成され前記鉤状係止片を嵌挿可能な貫通孔の背面側周縁部であって、
前記複数の鉤状係止片が前記貫通孔を貫通し、前記鉤状係止片の先端部に形成された係止鉤部がベースプレート背面側の前記背面側周縁部に係止するようになされ、
これにより、前記当接部と鉤部との間にベースプレートが挟持されるようになされて、該挟持状態において電子装置本体がベースプレートに固定されると共に、電子装置本体の接続端子が導電ケーブルに導通するようになされたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
電子装置本体は、本体部とキャップレンズとを備え、
前記本体部は、その前面側に、外部からの電力供給及び信号によって制御され発光する自発光体と、押釦スイッチとが配されており、
前記キャップレンズは、透光性を備えると共に、背面方向に開口したキャップ状となされ、前記本体部の前方側から該本体部の前面及び上下左右の側壁面を覆うようにして着脱自在に取り付けられるものであって、本体部に配された自発光体が発光すると、その光がキャップレンズを介して前方のみならず多方向へ投光されるようになされ、
かつ、前記キャップレンズは、本体部に取り付けられた状態で背面方向へ僅かに後退自在となされると共に前記押釦スイッチに当接するように取り付けられており、該キャップレンズを押すことによって前記押釦スイッチが押されるようになされたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項6】
キャップレンズは、該キャップレンズの内周側壁面に形成された係合部を、本体部の周側壁に形成された被係合部に係合させて、背面方向へ僅かに後退自在に取り付けられるものであることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
電子装置は、ピッキング作業又は仕分け作業が行われる現場においてピッキング又は仕分けされる物品を保管する棚の各間口の前面側に設置され、ピッキング作業又は仕分け作業に関する作業情報を表示するための表示器であって、自発光体は、その点灯によりピッキング又は仕分けの作業が発生している間口の位置を作業者に知らせるためのものであり、押釦スイッチは、前記作業が発生した間口において、作業が終了したときに作業者が押して作業完了を知らせるための作業終了確認スイッチであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項1】
平行する2本の導電線を樹脂又はゴム材料により被覆して1本に形成した二線式導電ケーブルの各導電線に、接続端子を突き刺して導通させることにより動作可能とした電子装置であって、
前記導電ケーブルを保持可能な保持溝を前面に備えたベースプレートと、背面に突出する前記接続端子を具備する電子装置本体とを備え、
電子装置本体は、その背面をベースプレートの前面に取り付け可能であって、該取り付け状態において前記接続端子が導電線に突き刺さるようになされ、
前記保持溝は、その底部には、前記2本の導電線に挟まれた領域における導電ケーブルの底面と対向する位置に逃がし溝が形成されて、前記電子装置本体の接続端子により押圧された導電ケーブルの一部が前記逃がし溝に入り込むことが可能なようになされていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
保持溝の底部に形成された逃がし溝の両側部には、導電ケーブルがその延長方向にズレ動かないようにズレ防止機構が更に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
ベースプレートは、電子装置本体を取り付け可能な電子装置本体取付部を備え、
電子装置本体は、前面に自発光体と押釦スイッチとを備えると共に、その背面側に、ベースプレートに形成された電子装置本体取付部に対して着脱自在に取り付け可能な取付手段が設けられると共に、電子装置本体の背面から突出する2本の接続端子を備え、
電子装置本体をベースプレートに取り付けると、電子装置本体の2本の接続端子がベースプレートの保持溝に保持された導電ケーブルを押圧すると共に該導電ケーブルの2本の導電線にそれぞれに突き刺さって導通するようになされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
電子装置本体の背面側には複数の脚部が突設されており、各脚部には、電子装置本体をベースプレートに取り付けた状態において、各脚部の少なくとも一部がベースプレートの前面に当接した状態となる当接部が形成され、
前記取付手段は、電子装置本体の背面から突設された複数の鉤状係止片であり、前記電子装置本体取付部は、ベースプレートに形成され前記鉤状係止片を嵌挿可能な貫通孔の背面側周縁部であって、
前記複数の鉤状係止片が前記貫通孔を貫通し、前記鉤状係止片の先端部に形成された係止鉤部がベースプレート背面側の前記背面側周縁部に係止するようになされ、
これにより、前記当接部と鉤部との間にベースプレートが挟持されるようになされて、該挟持状態において電子装置本体がベースプレートに固定されると共に、電子装置本体の接続端子が導電ケーブルに導通するようになされたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子装置。
【請求項5】
電子装置本体は、本体部とキャップレンズとを備え、
前記本体部は、その前面側に、外部からの電力供給及び信号によって制御され発光する自発光体と、押釦スイッチとが配されており、
前記キャップレンズは、透光性を備えると共に、背面方向に開口したキャップ状となされ、前記本体部の前方側から該本体部の前面及び上下左右の側壁面を覆うようにして着脱自在に取り付けられるものであって、本体部に配された自発光体が発光すると、その光がキャップレンズを介して前方のみならず多方向へ投光されるようになされ、
かつ、前記キャップレンズは、本体部に取り付けられた状態で背面方向へ僅かに後退自在となされると共に前記押釦スイッチに当接するように取り付けられており、該キャップレンズを押すことによって前記押釦スイッチが押されるようになされたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項6】
キャップレンズは、該キャップレンズの内周側壁面に形成された係合部を、本体部の周側壁に形成された被係合部に係合させて、背面方向へ僅かに後退自在に取り付けられるものであることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
電子装置は、ピッキング作業又は仕分け作業が行われる現場においてピッキング又は仕分けされる物品を保管する棚の各間口の前面側に設置され、ピッキング作業又は仕分け作業に関する作業情報を表示するための表示器であって、自発光体は、その点灯によりピッキング又は仕分けの作業が発生している間口の位置を作業者に知らせるためのものであり、押釦スイッチは、前記作業が発生した間口において、作業が終了したときに作業者が押して作業完了を知らせるための作業終了確認スイッチであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−20992(P2013−20992A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150512(P2011−150512)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(308012495)積水樹脂キャップアイシステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(308012495)積水樹脂キャップアイシステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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