説明

電子部品の実装方法及び実装システム

【課題】生産性の向上を容易にするとともに、実装システムの簡素化を容易にする電子部品の実装方法および実装システムを提供する。
【解決手段】(a)はんだを含む電極204が表面に形成された電子部品200を準備し、(b)熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物103を、基板上で電子部品の周縁部と重なる部分に載置し、(c)電子部品の周縁部を樹脂固形物の上に重ねるように、電極を接続端子102と対向させた状態で、電子部品を前記基板上に搭載し、(d)はんだの融点及び樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで基板等を加熱した後、冷却することで、熱硬化性樹脂の硬化物により電子部品を基板と接着するとともに、はんだにより電極を接続端子と接合する、電子部品の実装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に複数のバンプを有する電子部品を、基板に実装する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、様々な電子部品が組み込まれており、これらの電子部品は複数の電極を有する基板の所定の位置に接合された状態で、実装構造体として機器に内蔵されている。近年の電子機器の小型化に伴い、機器に組み込まれる電子部品は小型化が進んでいることから、フリップチップやチップサイズパッケージ(CSP)などの小型の電子部品が基板に搭載されることが多くなってきている。
【0003】
フリップチップやCSPなどの電子部品は、複数の端子が規則的に配置された主面を有し、各端子にははんだ製のバンプ(電極)が形成されている。そのような電子部品を基板に実装するには、バンプをランドと称される基板電極(接続端子)に着地させて加熱し、溶融(リフロー)させた後、放冷することにより、電子部品と基板との相互接続が行われる。これにより、電子部品の各端子は基板の電極と電気的に導通するとともに、電子部品は、はんだ接合部により基板に保持される。
【0004】
実装構造体には、フリップチップやCSPなどの電子部品の他に、チップ抵抗、チップLED、チップコンデンサなどと称される電子部品が実装されることも多い。このような電子部品は、スクリーン印刷などの手法により、基板の電極に金属粒子を含むペースト(例えばクリームはんだ)を塗布した後、ペーストが塗布された電極に搭載される。その後、リフローにより、金属粒子及びバンプを溶融させ、放冷することにより、電子部品が基板に接合される。金属粒子を含むペーストの基板電極への塗布は、フリップチップやCSPなどの電子部品を基板に搭載する前に行われるのが一般的である。
【0005】
上記のような実装工程により得られた基板と電子部品からなる実装構造体に対して、ヒートサイクルによる熱応力や外力を加えると、バンプにより基板に接合されている電子部品では、はんだ接合部の強度が不足する場合がある。そこで、補強用樹脂により、電子部品を基板に接着して、はんだ接合部を補強することが行われている。
【0006】
補強用樹脂により、はんだ接合部を補強する方法としては、電子部品の複数のバンプが設けられた主面と基板との隙間の全体にアンダーフィル材を侵入させる方法がある。しかし、アンダーフィル材は、リフロー工程により電子部品と基板との相互接続を行った後に、電子部品と基板との隙間に注入する必要がある。そのため、アンダーフィル材を熱硬化させるための加熱が別に必要となり、実装工程の工数が多くなる。また、アンダーフィル材の付着面積が大きいため、実装構造体をリペアする際に不便である。さらに、アンダーフィル材によって補強されたはんだ接合部を有する基板を再リフローする際には、アンダーフィル材の隙間で、はんだフラッシュが発生しやすくなる。
【0007】
そこで、電子部品を基板に搭載する前に、予め電子部品の周縁部に対応する基板の位置だけに、補強用樹脂を供給する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、リフロー時に、はんだ接合と同時に補強用樹脂を硬化させることが可能であり、さらに、実装構造体のリペアが容易となる点や、再リフロー時にはんだフラッシュが発生しにくいという点でも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−218508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子部品を搭載する基板には、電子部品のバンプ(電極)と対応するように、複数の電極(接続端子)が規則的に行列状に設けられている。特許文献1では、電子部品が基板に搭載される前に、最外周の電極の外側の複数の補強位置に、補強用樹脂が塗布される。その後、フラックスが塗布されたバンプが電極に着地するように、電子部品が基板に搭載される。このとき、電子部品の周縁部に補強用樹脂を接触させることにより、補強用樹脂は、リフロー工程までの間、電子部品を基板に固定する接着剤として機能する。また、リフロー後には、補強用樹脂は、はんだ接合部に対する補強部となる。
【0010】
補強用樹脂を基板に塗布する工程は、例えばディスペンサーを使用して行われる。ところが、そのことは、実装システムの構成装置を増加させる要因となるために、システムを簡素化するための障害となり得る。また、補強用樹脂として十分な量の樹脂を、ディスペンサーを使用して基板上に塗布する工程は、実装ヘッド等を使用して電子部品を単に基板に搭載するような工程と比べると、長い時間を要する場合がある。したがって、その工程が、電子部品の実装工程のタクトタイムを短縮する場合のボトルネックとなり、生産性の向上の障害となることもあり得る。
【0011】
そこで、本発明は、生産性の向上を容易にするとともに、実装システムの簡素化を容易にする電子部品の実装方法および実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面は、接続端子を有する基板に、前記接続端子と接続される電極を有する電子部品を実装する電子部品の実装方法であって、
(a)はんだを含む前記電極が表面に形成された前記電子部品を準備し、
(b)熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物を、前記基板上で前記電子部品の周縁部と重なる部分に載置し、
(c)前記電子部品の周縁部を前記樹脂固形物の上に重ねるように、前記電極を前記接続端子と対向させた状態で、前記電子部品を前記基板上に搭載し、
(d)前記はんだの融点及び前記樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで、前記電子部品及び前記樹脂固形物が載置された前記基板を加熱した後、冷却することで、前記熱硬化性樹脂の硬化物により前記電子部品を前記基板と接着するとともに、前記はんだにより前記電極を前記接続端子と接合する、実装方法に関する。
【0013】
本発明の他の局面は、接続端子を有する基板に、前記接続端子と接続される電極を有する電子部品を実装する電子部品の実装システムであって、
はんだを含む前記電極が表面に形成された前記電子部品を供給する第1の供給部と、
熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物を供給する第2の供給部と、
前記電子部品を保持する第1の保持部、及び前記樹脂固形物を保持する第2の保持部を有する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを移動させる移動部と、
前記第2の保持部を使用して、前記第2の供給部により供給される前記樹脂固形物を、前記基板上の前記電子部品の周縁部と重なる部分に載置させるように前記実装ヘッド及び前記移動部を制御するとともに、前記第1の保持部を使用して、前記第1の供給部により供給される前記電子部品を、前記樹脂固形物を介して前記基板上に載置させるように前記実装ヘッド及び前記移動部を制御する制御部と、
前記はんだの融点及び前記樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで、前記電子部品及び前記樹脂固形物が載置された前記基板を加熱するリフロー装置と、を具備する実装システムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品の電極と基板の接続端子とのはんだ接合部の補強部を形成するために、従来の液状樹脂ではなく、樹脂固形物が基板上の補強位置に供給される。このため、補強部の材料を基板上に供給するのに要する時間を容易に短縮することができる。その結果、生産性が向上される。さらに、補強部の材料が樹脂固形物であり、軟化するまでは形状が安定していることから、その材料が電極(例えばバンプ)と接続端子(基板電極)との間に侵入することを容易に防止できる。よって、リフロー時には、溶融したバンプで電極を十分に濡らすことが可能となり、はんだ接合部における導通と十分な接合強度が確保される。さらに、補強部の材料を、樹脂固形物として供給するために、その材料の供給量を容易に安定化することができる。
【0015】
そして、本発明の実装システムにおいては、補強部の材料が樹脂固形物であることから、その材料の基板上への供給に、電子部品等を基板に搭載するための実装ヘッドを利用することも可能となる。よって、従来は必要とされたディスペンサー等を使用する必要性がなく、システムを簡素化することが容易となる。さらに、樹脂固形物の供給も、他の部品と同様に、例えばテープフィーダにより行うことができ、さらにシステムの簡素化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】複数のバンプを有する電子部品の一例の正面図である。
【図1B】同電子部品の底面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品を基板に搭載する電子部品実装方法の工程を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子部品実装システムの全体像を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子部品搭載装置を上方から見た構成図である。
【図5】樹脂固形物の供給部の一例の上面図である。
【図6】樹脂固形物の供給部の他の一例の上面図である。
【図7】樹脂固形物の保持部の一例の断面図であり、樹脂固形物を保持した状態を示す図である。
【図8】樹脂固形物の保持部の一例の断面図であり、樹脂固形物の保持を解除した状態を示す図である。
【図9】転写ユニットの上面図である。
【図10】転写ユニットのX−X線断面図である。
【図11】電子部品を基板に搭載する手順を示すフローチャートである。
【図12】電子部品を基板に搭載する工程を示す説明図である。
【図13】電子部品を搭載した基板をリフロー工程で加熱するときのはんだ接合部の状態を示す概念図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る電子部品搭載装置の制御系統図である。
【図15A】4箇所の補強位置に補強用樹脂が供給された矩形の第1電子部品の平面図である。
【図15B】同電子部品の底面図である。
【図16】補強用樹脂の載置パターンを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、接続端子を有する基板に、前記接続端子と接続される電極を有する電子部品を実装する電子部品の実装方法に関する。この方法においては、(a)はんだを含む電極が表面に形成された電子部品を準備し、(b)熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物を、基板上で電子部品の周縁部と重なる部分に載置し、(c)電子部品の周縁部を樹脂固形物の上に重ねるように、電極を接続端子と対向させた状態で、電子部品を基板上に搭載し、(d)はんだの融点及び樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで、電子部品及び樹脂固形物が載置された基板を加熱した後、冷却することで、熱硬化性樹脂の硬化物により電子部品を基板と接着するとともに、はんだにより電極を接続端子と接合する。
【0018】
以上のように、形状が安定しない従来の液状樹脂ではなく、樹脂固形物を、はんだ接合部の補強部の材料として使用することで、補強部の材料を基板上に迅速に供給することが可能となる。例えば、適宜の形状及びサイズに予め成形された樹脂固形物を基板上まで搬送するだけで、補強部の材料の基板上への供給が完了する。これにより、電子部品の実装工程のタクトタイムが短縮されて、生産性が向上される。
【0019】
詳言すれば、従来の液状の樹脂を補強部の材料とする方法では、電子部品の実装の際に、必要な高さとなるように、液状の樹脂を基板上に塗布する必要がある。そのような作業は、実装ヘッドにより電子部品を基板上に搬送するような作業と比べて、比較的長い時間を要する。このため、従来の方法では、補強部の材料を基板上に供給する工程が、電子部品の実装のタクトタイムを短縮する場合のボトルネックとなることも考えられる。これに対して、本発明によれば、樹脂固形物は、予めその形状及びサイズを容易に調節することができ、電子部品の実装の際には、樹脂固形物を単に搬送するだけで、補強部の材料を基板上に供給する工程が完了する。これにより、生産性の向上が容易となる。
【0020】
さらに、本発明によれば、樹脂固形物は、軟化するまでは形状が安定しているために、電子部品の電極(例えばバンプ)と、基板の接続端子(ランド)との間に補強部の材料が侵入するのを容易に防止することができる。このため、上記電極と接続端子との接合の信頼性を向上させることができる。
【0021】
ここで、樹脂固形物の高さは、電極及び接続端子の合計高さよりも大きくすることができる。これにより、電極と接続端子との間に隙間を設けるように、電子部品を、樹脂固形物を介して基板上に搭載することができる。このように、樹脂固形物の上に電子部品を直接置くことで、電子部品の重みを樹脂固形物に掛けることができる。これにより、はんだをリフローするまでに、基板上で樹脂固形物の位置がずれて、補強が十分に行えなくなるのを抑制することができる。また、樹脂固形物の高さを大きくすることで、樹脂固形物の軟化温度がはんだの融点よりも低く、先に樹脂固形物が軟化する場合でも、樹脂と電子部品との接触を確保することが容易であり、その高さが低く変形してしまって、電子部品を基板と接着できなくなる事態を防止できる。
【0022】
このとき、樹脂固形物の軟化により電子部品が降下して、電極と接続端子とが十分に接触するように、樹脂固形物の組成、形状、及びサイズを設定すればよい。また、樹脂と電子部品との接触が消失し、それにより電子部品を基板と接着できなくなるのを防止する観点から、軟化したときの樹脂固形物の変形が大きくなりすぎないように、樹脂固形物の組成等を設定すればよい。
【0023】
さらに、上記の隙間にフラックスまたはクリームはんだを充填するように、電極または接続端子に、予めフラックスまたはクリームはんだを付与することができる。これにより、フラックスまたはクリームはんだの表面張力および/または粘着力により、電極と接続端子との間にずれが生じるのを防止することができる。また、フラックス等を隙間に充填することで、樹脂の侵入をより効果的に防止できる。
【0024】
また、樹脂固形物を基板上に仮に固定して、その移動を防止するために、基板上の樹脂固形物が載置される部分に、粘着剤を予め塗布しておくこともできる。そのような粘着剤は、ごく少量で十分な効果を発揮する。したがって、例えば、ディスペンサーで補強部の材料である液状樹脂を供給する場合と比べて、その作業は、短い時間で完了する。同じ目的で、樹脂固形物の基板と対向する側の面(下面)に、予め粘着剤を塗布しておいてもよい。これにより、実装システムからディスペンサーを除外することも容易となる。
【0025】
また、本発明は、接続端子を有する基板に、接続端子と接続される電極を有する電子部品を実装する電子部品の実装システムに関する。このシステムは、はんだを含む電極が表面に形成された電子部品を供給する第1の供給部と、熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物を供給する第2の供給部と、電子部品を保持する第1の保持部、及び樹脂固形物を保持する第2の保持部を有する実装ヘッドと、実装ヘッドを移動させる移動部と、制御部と、リフロー装置とを備える。
【0026】
制御部は、第2の保持部を使用して、第2の供給部により供給される樹脂固形物を、基板上の電子部品の周縁部と重なる部分に載置させるように実装ヘッド及び移動部を制御する。さらに、制御部は、第1の保持部を使用して、第1の供給部により供給される電子部品を、樹脂固形物を介して基板上に載置させるように実装ヘッド及び移動部を制御する。リフロー装置は、はんだの融点及び樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで、電子部品及び樹脂固形物が載置された基板を加熱する。
【0027】
このように、本発明によれば、リフロー装置を使用するまでの各部材のセッティングは、電子部品及び樹脂固形物を基板上の所定位置まで搬送し、載置する手段を使用するだけで完了させることができる。したがって、少ない工数かつ短い時間で、電子部品と基板との接合不良を回避することができる電子部品の実装を実現し得る。よって、生産性を向上させることができる。
【0028】
さらに、第2の供給部に例えばテープフィーダを使用することで、他の様々な部品と全く同様に、補強部の材料を供給することが可能となる。したがって、システムの簡素化が容易となる。
【0029】
ここで、樹脂固形物は、例えば、樹脂固形物に突き立てる、上下動可能な針状部材と、針状部材を内部に収納するとともに、針状部材を先端から突出させるシリンダとを含む第2の保持部により保持して、基板上まで搬送することができる。このとき、上述したように、基板上の樹脂固形物が載置される部分に予め粘着剤を塗布したり、樹脂固形物の下面に予めタックを持たせたりすることで、はんだのリフローや電子部品の搭載までに樹脂固形物が基板上で動いて、位置ずれしてしまうのを防止することができる。
【0030】
または、第2の保持部は、樹脂固形物を吸着する吸着ノズルを含むものとすることもできる。そして、吸着ノズルの先端や上記のシリンダの先端を離型処理することで、第2の保持部による樹脂固形物の保持をスムーズに解除することができる。その結果、保持の解除の際に樹脂固形物が基板上で位置ずれしてしまうのを防止することも可能となる。吸着ノズルやシリンダの先端の離型処理は、具体的には、それらの先端をシリコーンゴムで形成したり、それらの先端にフッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を施したりすることで実現できる。
【0031】
上記の樹脂固形物は、例えば、エポキシ樹脂と無機フィラーとの混合物の成形体とすることができる。
【0032】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。まず、基板に搭載される電子部品の構造について説明する。
図1Aは、電子部品200の一例の正面図であり、図1Bはその底面図である。電子部品200は、はんだを含む複数のバンプ204(電極)で基板101の電極(ランド、接続端子)に接続されるボールグリッドアレイ(BGA)型の電子部品である。
【0033】
電子部品200は、薄い基板(部品内基板)201と、その上面に実装された半導体素子202と、半導体素子202を被覆する封止樹脂203とを具備する。部品内基板201の下面は、電子部品の主面201sを構成しており、主面201sには複数の端子が規則的に行列状に配列され、各々の端子にはバンプ204が設けられている。バンプ204、ないしはそれに含まれるはんだの融点は、バンプ204がSn−Ag−Cu合金はんだを含むものであれば、例えば217〜221℃である。バンプ204をSn−Bi系合金はんだから形成すれば、融点は、例えば138〜139℃とすることができる。
【0034】
なお、電子部品の構造は、図1Aおよび図1Bに示す構造に限定されない。例えば、様々な形態のフリップチップやチップサイズパッケージ(CSP)の部品などが電子部品に含まれる。
【0035】
以下、基板101に電子部品200を搭載する場合を例にとって説明する。
基板101には、図2(a)に示すように、電子部品200のバンプ204と接続される電極102(接続端子)が設けられている。
【0036】
次に、本発明の電子部品の実装方法について説明する。
本発明の電子部品の実装方法は、接続端子(電極102)を有する基板101に、接続端子と接続される電極(バンプ204)を有する電子部品200を実装する電子部品の実装方法である。この方法においては、(a)はんだを含むバンプ204が表面に形成された電子部品200を準備し、(b)熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物103を、基板101上で電子部品200の周縁部と重なる部分に載置し、(c)電子部品200の周縁部を樹脂固形物101の上に重ねるように、バンプ204を電極102と対向させた状態で、電子部品200を基板101上に搭載し、(d)上記のはんだの融点及び樹脂固形物103の硬化温度よりも高い温度まで、電子部品200及び樹脂固形物103が載置された基板101を加熱した後、冷却することで、上記の熱硬化性樹脂の硬化物により電子部品200を基板101と接着するとともに、上記のはんだによりバンプ204を電極102と接合する。樹脂固形物103は、エポキシ樹脂と無機フィラーとの混合物の成形体から構成することができる。
【0037】
まず、図2(b)に示すように、電子部品200が搭載される基板101において、電子部品200の周縁部201xに対応する補強位置104に少なくとも1つの樹脂固形物103を載置する。樹脂固形物103は、熱硬化性樹脂を含む、粉体ではない、樹脂の塊(ペレット)である。樹脂固形物103は、バンプ204と電極102とのはんだ接合部を補強する補強部の材料として機能する。バンプ204がSn−Ag−Cu合金はんだを使用していれば、樹脂固形物103の軟化温度は例えば50〜150℃とすることができ、硬化温度は例えば220〜240℃とすることができる。バンプ204がSn−Bi系合金はんだを使用していれば、樹脂固形物103の軟化温度は例えば40〜100℃とすることができ、硬化温度は例えば140〜160℃とすることができる。以上の結果、樹脂固形物103は、常温(例えば、25℃)で固形(ペレット)であり、常温で形状が安定している。樹脂固形物103を構成する成形体は、例えば、固形エポキシ樹脂をベースとして、それに、液状エポキシ樹脂、シリカ、顔料、及びカップリング剤等を混合し、その混合物をプレス成形することにより得ることができる。
【0038】
なお、複数の補強位置104は、周縁部201xの全体ではなく、例えば矩形の主面201sを有する電子部品200の4隅またはその近傍に対応させて、複数設けることが好ましい。また、複数の補強位置104には、樹脂固形物103を仮に固定するために、樹脂固形物103を載置する前に、少量の粘着剤を配しておくのが好ましい。これにより、基板上で樹脂固形物103が位置ずれするのを防止することができる。同様の目的で、樹脂固形物103の下面(基板101と対向する側の面)に予め粘着剤を付与しておくこともできる。
【0039】
ここで、樹脂固形物103の高さは、電子部品200の主面201sから計測したバンプ204の高さと、基板101の表面から計測した電極102の高さとの合計よりも大きくすることができる。これにより、電子部品200を、樹脂固形物103を介して基板101の上に搭載したときに、バンプ204と、電極102との間に所定の隙間Lを設けることができる。そして、その隙間Lにフラックス等を充填することで、フラックスの表面張力および/または粘着力により、バンプ204と電極102との位置ずれを防止することができる。このとき、樹脂固形物103の軟化温度はバンプ204の融点よりも低く設定するのが好ましい。これにより、リフローの際に、始めに樹脂固形物103が軟化して、電子部品200が沈み込むことで、バンプ204が電極102に着地する。
【0040】
以下、樹脂固形物103の軟化温度がバンプ204の融点よりも低く設定されているとともに、樹脂固形物103の高さが、バンプ204及び電極102の合計高さよりも大きいものとして説明を続ける。なお、樹脂固形物103の軟化温度をバンプ204の融点よりも高くし、バンプ204及び電極102の合計高さの方を、樹脂固形物103の高さよりも大きくすることも可能である。
【0041】
ここで、隙間Lは、バンプ204及び電極102のサイズ、並びに樹脂固形物103の組成にもよるが、例えば0.05〜1mmとするのが好ましい。隙間Lの上限値を1mmとすることで、後のリフロー工程で、軟化した樹脂固形物103が、バンプ204と電極102との間に侵入するのを防止するのが容易となる。一方、隙間Lの下限値を0.05mmとすることで、樹脂固形物103が一旦軟化して高さが小さくなったときにも、樹脂固形物103と電子部品200の周縁部201xとの接触を維持することが容易となる。これにより、バンプ204と電極102との接合部を確実に補強することができる。
【0042】
次に、複数のバンプ204にフラックス206を塗布した後、図2(c)に示すように、電子部品200を、樹脂固形物103を介して基板に搭載する。これにより、複数のバンプ204と、対応するそれぞれの電極102との隙間Lにフラックス206が充填される。これにより、複数のバンプ204に加え、全ての電極102がフラックス206で十分に濡れた状態になる。これにより、上述した理由で、複数のバンプ204と、対応するそれぞれの電極102との間の位置ずれが防止される。なお、フラックス206に代えて、クリームはんだを使用することができる。クリームはんだを隙間Lに充填することによっても、その表面張力および/または粘着力により、複数のバンプ204と、対応するそれぞれの電極102との間の位置ずれを防止することができる。加えて、クリームはんだを使用することで、はんだ接合部をより強度の高いものとすることも可能となる。
【0043】
このとき、補強用樹脂としての樹脂固形物103は、常温では変形しないので、補強用樹脂が電極102とバンプ204との間に侵入するのを防止することが容易となる。このため、電極102とバンプ204とがフラックス206で繋がった状態が維持される。なお、複数のバンプ204にフラックス206を塗布する方法は、特に限定されないが、スキージを用いて平坦面に形成したフラックス206の塗膜をバンプ204に転写する方式が好ましい。
【0044】
樹脂固形物103を介して電子部品200が搭載された基板101は、リフロー装置で加熱される。樹脂固形物103の軟化温度がバンプ204の融点よりも低い場合には、まず、樹脂固形物103が軟化する。これにより、図2(d)に示すように、樹脂固形物103により支えられた電子部品200が降下し、複数のバンプ204が、対応するそれぞれの電極102に着地する。このとき、隙間Lを適切に設定することで、変形した樹脂固形物103が、バンプ204と電極102との間に侵入することが防止される。その結果、電極102とバンプ204とがフラックス206で繋がった状態でバンプ204がリフローされる。よって、溶融したバンプが電極102に十分に濡れ広がり、セルフアラインメントの効果が発揮される。これにより、はんだ接合部における導通と十分な接合強度が確保される。そして、樹脂固形物103は、さらに熱硬化温度まで加熱され、その硬化物により、基板101と電子部品200とが接着される。
【0045】
さらに、隙間L及び樹脂固形物103の組成を適切に設定することで、リフローの際に、バンプ204と電極102とが接触するように、十分に電子部品200を降下させることが可能となる。そしてさらに、隙間L及び樹脂固形物103の組成を適切に設定することで、樹脂固形物103が熱硬化するまでに、樹脂固形物103の変形が大きくなりすぎて、電子部品200と基板101とが接着されなくなるのを防止することもできる。
【0046】
リフロー工程が終了すると、はんだは冷却されて固化し、電子部品200の各々の端子が基板101の対応する電極に接合される。リフロー工程において、バンプ204及び電極102を濡らしたはんだによるセルフアラインメントの効果が樹脂固形物103の熱硬化により阻害されないように、樹脂固形物103は、溶融したバンプで電極102が十分に濡れてから熱硬化するような配合であることが好ましい。熱硬化させる前の、軟化した樹脂固形物103の粘度は、温度上昇とともに低下する傾向がある。よって、樹脂固形物103の硬化反応をバンプ204の溶融よりも遅らせることにより、溶融したバンプによるセルフアラインメントの効果を得やすくなる。例えば、バンプ204の軟化温度(融点)よりも、樹脂固形物103の硬化温度を高くすることにより、セルフアラインメントの効果を確実に得ることができる。
【0047】
図3に、本発明の電子部品実装方法を実施するための電子部品実装システム(電子部品実装ライン)の一例の全体像を示す。
電子部品実装システム300は、電子部品を実装するための基板を供給する基板供給装置301と、基板供給装置301から搬出された基板の、例えば電極102以外の電極(図示せず)に、スクリーン印刷により金属粒子を含むペーストを塗布するスクリーン印刷装置302と、スクリーン印刷装置302から搬出された基板の電極102に電子部品200を搭載するとともに、金属粒子を含むペーストが塗布された上記の電極に、電子部品200以外の電子部品を搭載する電子部品搭載装置303と、電子部品搭載装置303から搬出された基板を加熱して、電子部品200及び、それ以外の電子部品を基板に接合するリフロー装置304と、を具備する。リフロー装置304から搬出された基板、すなわち実装構造体は、基板回収装置305により回収される。なお、スクリーン印刷装置302は必要に応じてシステムに加えられる装置であり、電子部品200のみの実装では、システムから除外することができる。
【0048】
図4は、電子部品実装システム300を構成する電子部品搭載装置303を上方から見た構成図である。電子部品搭載装置303は、電子部品200を供給する第1部品供給部307と、樹脂固形物103及び、電子部品200以外の電子部品や、その他の各種部品を供給する第2部品供給部308と、基板101を保持して位置決めする基板保持部309と、フラックスの塗膜をバンプ204に供給する転写ユニット310と、これらが配置される基台303aとを具備する。
【0049】
電子部品搭載装置303は、さらに、供給された電子部品200及び樹脂固形物103を基板101に搭載または載置する移動可能な搭載ヘッド311と、例えば樹脂固形物103を補強位置104で仮に固定するための粘着剤を補強位置104に塗布する、移動可能な塗布ヘッド312と、搭載ヘッド311と塗布ヘッド312の移動および動作を制御する制御部313とを具備する。搭載ヘッド311と塗布ヘッド312は、専用のXY移動機構(図示せず)に支持されており、制御部313によるXY移動機構の制御によって基台303aの上方空間を移動する。
【0050】
塗布ヘッド312は、粘着剤を吐出する塗布ノズルを有するディスペンサーと、塗布ノズルを昇降させる昇降機構を内蔵している。塗布ヘッド312は、専用のXY移動機構に支持されて、基台303aの上方空間を移動する構成とすることができる。または、塗布ヘッド312を搭載ヘッド311と一体化し、共通のXY移動機構によって基台303aの上方空間を移動する構成としてもよい。なお、樹脂固形物103の吸着ノズル等からの離型性が良好であり、かつ粘着剤がなくとも樹脂固形物103の位置ずれが生じないような場合には、電子部品搭載装置303から塗布ヘッド312を除外することもできる。例えば、樹脂固形物103の下面に予め粘着剤を付与することにより、塗布ヘッド312をシステムから除外することができる。
【0051】
第1部品供給部307の構造は、特に限定されないが、例えば、格子状に配置された複数の電子部品200を載置したトレイを、搭載ヘッド311のピックアップ位置に供給するトレイフィーダを具備する。
【0052】
電子部品200は、図1A、Bに示すような、複数のバンプ204が設けられた主面201sを有するBGA型の比較的小型の電子部品である。
【0053】
第2部品供給部308の構造も特に限定されないが、例えば、複数の樹脂固形物103や、他の各種部品を所定間隔で保持するテープを所定のピッチで搭載ヘッド311のピックアップ位置に送り出すテープフィーダを具備する。
【0054】
図5及び図6に、第2部品供給部308としてのテープフィーダにより、樹脂固形物103が供給される様子を示す。図中の矢印は、テープの進行方向を示す。図示例のテープフィーダ308aは、上面視でL字形の樹脂固形物103を供給するものであり、複数の樹脂固形物103が載置されたキャリアテープ308cと、樹脂固形物103の上を覆う複数のカバーテープ308dとを有している。一方、テープフィーダ308bは、上面視で矩形の樹脂固形物103を供給するものであり、複数の樹脂固形物103が載置されたキャリアテープ308eと、樹脂固形物103の上を覆う複数のカバーテープ308fとを有している。テープフィーダ308a及び308bは、それぞれ、キャリアテープ308c及び308eを矢印方向に間欠送りすることにより、搭載ヘッド311によるピックアップ位置に樹脂固形物103を供給する。
【0055】
基板101を保持して位置決めする基板保持部309は、どのような構造でもよいが、例えば図4に示すように、基板101を保持したキャリア314を搬送する基板搬送コンベア315により構成される。基板搬送コンベア315は、基板101を各電子部品の搭載が行われる位置まで搬送して位置決めするため、基板保持部309として機能する。
【0056】
搭載ヘッド311は、内蔵された昇降機構によって昇降動作を行う吸着ノズル等の保持部を有している。吸着ノズルの昇降動作と吸引とによって、第1部品供給部307及び第2部品供給部308から、電子部品200や樹脂固形物103がピックアップされる。また、基板101の所定箇所での昇降動作と吸引解除(真空破壊)により、電子部品が基板101に搭載される。
【0057】
図7及び図8に、搭載ヘッド311に具備される、樹脂固形部103の保持部の他の一例を示す。この保持部400は、樹脂固形物103に突き立てられる、上下動可能な針状部材401と、針状部材401が内部に収容される中空のシリンダ402とを有している。針状部材401及びシリンダ402は、搭載ヘッド311の移動に伴って一体的に移動する。
【0058】
そして、図7に示すように、樹脂固形物103を保持するときには、針状部材401がシリンダ402の先端から突出して、樹脂固形物103に突き立てられる。その保持を解除するときには、図8に示すように、針状部材401がシリンダ402の内部に引き入れられることにより、シリンダ402の先端が樹脂固形物103と当接して、針状部材401が樹脂固形物103から抜き取られる。樹脂固形物103の保持の解除がスムーズに行えるように、上記した吸着ノズル及びシリンダ402の先端には離型処理を施すのが好ましい。離型処理は、それらの先端をシリコーンゴムで形成したり、それらの先端にフッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を施したりすることで実現できる。
【0059】
さらに、搭載ヘッド311は、吸着ノズル、並びに、針状部材401及びシリンダ402を、軸芯を中心として回転させることで、保持した電子部品200や樹脂固形物103の姿勢を修正するための回転機構を備えていてもよい。その場合には、電子部品搭載装置303には、それらの保持部により保持された電子部品200や樹脂固形物103の位置及び姿勢のずれを検知するための、画像認識システム(例えばラインセンサ等の光学センサ及び画像処理装置)を設けるのがよい。
【0060】
搭載ヘッド311の移動および搭載ヘッド311による電子部品のピックアップ、並びに搭載または載置などの動作は、制御部313からの指令により制御される。同様に、塗布ヘッド312の移動および塗布ヘッド312からの粘着剤の吐出などの動作は、制御部313からの指令により制御される。制御部313は、搭載ヘッド311および塗布ヘッド312の移動および動作を規制するプログラムを記憶するメモリ313a、CPUまたはMPUなどの中央演算装置313b、様々なインターフェース、パーソナルコンピュータなどで構成されている。
【0061】
フラックスの塗膜を供給する転写ユニット310は、電子部品200のバンプ204に転写するのに適した厚さのフラックスの塗膜を供給できる機構を有するものであればよく、特に限定されない。例えば、図9に示すような、下方に設けられたベーステーブル320と、ベーステーブル320の上面に設けられた転写テーブル321と、転写テーブル321の上方に配置されたスキージユニット323とを具備する。スキージユニット323は、転写テーブルのY軸方向の幅とほぼ等しい長さを有する第1スキージ部材323aと第2スキージ部材323bとを備え、これらはそれぞれ一定の間隔をあけてY軸方向と平行に配置されている。各スキージ部材は、スキージユニット323に内蔵された昇降機構によって昇降自在、すなわち転写テーブル321に形成される塗膜に対して進退自在となっている。
【0062】
図10に示すように、第1スキージ部材323aと第2スキージ部材323bとの間にフラックス206を供給した後、スキージユニット323を矢印の方向に移動させるとともに、所定のタイミングで第1スキージ部材323aと第2スキージ部材323bを昇降させることにより、フラックスの塗膜が供給される。
【0063】
次に、電子部品200および第2電子部品210が基板101に搭載される際の具体的な流れについて、図11のフローチャート、並びに、図12及び図13の参考図に沿って説明する。
【0064】
制御部313は、基板101が基板保持部309に位置決めされたことを認識すると(SP1)、以下のような搭載ヘッド311の移動および動作の制御を開始する。まず、搭載ヘッド311は、第2部品供給部308で、上記した保持部400または図示しない吸着ノズルにより樹脂固形物103をピックアップし(SP2)、図12(a)に示すように、電子部品200を基板101上の補強位置104に載置する(SP3)。次に、搭載ヘッド311は、第1部品供給部307で吸着ノズル等の保持部により電子部品200をピックアップし(SP4)、電子部品200を転写ユニット310に移動させる(SP5)。次に、搭載ヘッド311は、転写ユニット310の転写テーブルに形成された塗膜に電子部品200のバンプ204を接触させ、バンプ204にフラックスを転写する(SP6)。これにより、図12(b)に示すように、フラックス206が電子部品200のバンプ204に塗布される。バンプ204にフラックス206を転写するとき、フラックスの塗膜の所定の位置に電子部品200が着地するように、画像認識システムの認識結果を利用した位置合わせの制御を行うことが好ましい。フラックスの塗膜の厚さは、バンプ204の大きさやバンプ1個あたりの塗布量を考慮して適宜調整される。
【0065】
次に、搭載ヘッド311は、電子部品200を基板101の電極102の上方に移動させ(SP7、図12(c))、複数のバンプ204が対応するそれぞれの電極102と対向するように、樹脂固形物103を介して電子部品200を基板101に搭載する(SP8)。このとき、図12(d)のように、バンプ204と電極102との間に隙間Lが設けられるとともに、バンプ204からフラックス206の一部が電極102に転写され、バンプ204と電極102との間にフラックス206が充填される。電子部品200を基板101の電極102に搭載する際に、上述したように、画像認識システムを利用して、撮像信号に基づいて精密な位置合わせ及び姿勢の修正を行ってもよい。
【0066】
電子部品200、樹脂固形物103、および、それ以外の電子部品等を搭載した基板101は、リフロー装置に搬送される(SP9)。リフロー装置内で、電子部品101および樹脂固形物103は、基板101ごと加熱され、図13(a)に示すように、始めに樹脂固形物103が軟化する。これにより、電子部品200が下降し、バンプ204が電極102に着地する。
【0067】
その状態で、バンプ204が溶融し、次いで、樹脂固形物103に由来する軟化樹脂が硬化して樹脂補強部105a(硬化物)になる。その際、電子部品200と基板101との間に位置ずれがある場合には、軟化樹脂が硬化する前に、溶融したはんだのセルフアラインメントの効果により位置ずれが解消する。はんだ接合が完了すると、図13(b)に示すように、バンプ204の形状はやや変形し、電子部品200と電極102との距離が縮められる。熱硬化性フラックスを用いる場合には、フラックスの硬化物206aが形成されるため、フラックスの洗浄工程は省いてもよい。
【0068】
なお、補強位置104に予め粘着剤を塗布する場合には、制御部313は、以下のような塗布ヘッド312の移動および動作の制御を開始する。まず、塗布ヘッド312は、補強位置104の上方に移動し、位置合わせをする。塗布ヘッド312にも精密な位置合わせのために画像認識システムを利用してもよい。次に、塗布ヘッド312は、電子部品200の周縁部201xに対応する基板101の補強位置104に、図示しない粘着剤を供給する。なお、電子部品200の周縁部201xは、例えば、BGA型の電子部品を構成する樹脂基板201の周縁部である。
【0069】
補強位置104は、基板101の電子部品200の周縁部201xに対応する領域に、通常は複数設定される。ここで、基板101の電子部品200の周縁部201xに対応する領域とは、複数のバンプを有する主面201sの外形に沿って基板に設定される枠状領域である。補強位置104は、その枠状領域の所定箇所に設定される。
【0070】
一般的なBGA型の電子部品の周縁部の形状は矩形である。矩形の電子部品においては、少なくとも矩形の周縁部の四隅またはその近傍に対応する複数の補強位置に、補強用樹脂を配置することが好ましい。このような配置で補強位置を設定することで、少量の補強用樹脂の使用でも、大きな補強効果が得られる。また、補強のバランスがよいため、電子部品が衝撃を受けたときに、はんだ接合部に発生する応力を低減しやすくなる。
【0071】
なお、樹脂固形物103の軟化温度がバンプ204の融点よりも高く、バンプ204及び電極102の合計高さの方を、樹脂固形物103の高さよりも大きくする場合には、上述のリフロー工程では、バンプ204が先に溶融する。これにより、電子部品200が降下して樹脂固形物103と電子部品200の周縁部とが接触し、次いで、樹脂固形物103が軟化した後、硬化し、これにより、電子部品200が基板101と接着される。その後、溶融したバンプ204を冷却することで、バンプ204と電極102とが接合される。
【0072】
さらに、図14に示すように、制御部313は、搭載ヘッド311(および塗布ヘッド312)だけでなく、第1部品供給部307、第2部品供給部308、基板保持部309および転写ユニット310の少なくとも1つまたは全部を制御するようにしてもよい。例えば、制御部313は、転写ユニット310に電子部品200が到着するまでに転写テーブルにフラックスの塗膜が形成されるように、転写ユニット310による塗膜の形成のタイミングを制御してもよい。
【0073】
次に、樹脂補強部の配置パターンについて具体的に説明する。
図15Aは、矩形の電子部品200の周縁部201xの四隅に対応させて4箇所の補強位置にL字形の樹脂固形物103を配置して、樹脂補強部105aを形成したときの、電子部品200の平面図を示す。図15Bは、同じ電子部品200の底面図(複数のバンプを有する主面201s)である。樹脂補強部105aは、電子部品200の周縁部201xの近傍のバンプ204の一部、および、図示しないが周縁部201xに最も近い電極102の一部とだけ接触するように補強位置に形成されている。ただし、樹脂補強部105aの配置パターンは、特に限定されない。
【0074】
図16には5種類の樹脂補強部の配置パターンを例示する。4点配置のパターン(a)、8点配置のパターン(b)、12点配置のパターン(c)およびL型配置のパターン(d)では、矩形の電子部品の周縁部の四隅またはその近傍に、複数の補強位置が設定されている。U型配置のパターン(e)でも、四隅およびその近傍を含むように補強位置が設定されている。配置パターン(a)〜(e)の順に、補強効果は大きくなるが、それだけ補強用樹脂(樹脂固形物103)の使用量も多くなる。一方、配置パターン(e)〜(a)の順にリペア(リワーク性)は良好となる。配置パターンは、電子部品のサイズおよび生産タクトに応じて、補強効果を考慮して、適宜選択すればよい。
【0075】
なお、周縁部のほぼ全体に樹脂補強部を配置してもよい。ただし、バンプのリフロー時に、補強用樹脂やフラックスからガスが発生することがあるため、ガスを逃がすための開口を設けることが望ましい。
【0076】
次に、フラックスについて説明する。
フラックスは、はんだ接合の際に、電極102の表面およびバンプ204の表面に存在する酸化物などを除去したり、はんだの表面張力を低減したりする作用を有する材料であればよい。これらの作用(以下、活性作用)により、はんだと電極102との濡れ性が大きくなり、信頼性の高い良好なはんだ接合が可能となる。
【0077】
フラックスの組成は、特に限定されないが、例えば、ロジンのようなベース剤、有機酸やハロゲン化水素酸塩などの活性剤、溶剤、チキソ性付与剤などを含む。
【0078】
本発明では、フラックスと補強用樹脂としての熱硬化性樹脂とが接触することを想定して、熱硬化性フラックスを用いることが望ましい。熱硬化性フラックスを用いる場合、フラックスと補強用樹脂とが混合された場合でも、補強用樹脂の正常な熱硬化が阻害されにくくなる。これは、フラックスの有効成分の補強用樹脂への移動が抑制されるためと考えられる。
【0079】
熱硬化性フラックスは、フラックスに熱硬化性樹脂を含ませることにより得ることができる。フラックスに含ませる熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点などから、例えばエポキシ樹脂が好適である。
【0080】
次に、補強用樹脂としての樹脂固形物の材料について説明する。
樹脂固形物103には、熱硬化性樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などを例示できる。常温(例えば25℃)で固形であり、加熱により容易に軟化する点で、熱硬化性樹脂には、平均分子量が1000〜10000程度のエポキシ樹脂オリゴマー、または、そのようなエポキシ樹脂オリゴマーと、分子量がより小さい液状エポキシ樹脂との混合物を使用するのがよい。ただし、液状エポキシ樹脂が多すぎると混合物がペースト状となるために、混合比は、例えば、1:1程度が好ましい。
【0081】
さらに、樹脂固形物103は、硬化剤、硬化促進剤、無機フィラー(例えば球状シリカ)、チキソ剤(例えば超微粒子シリカ)及び添加剤(例えばシランカップリング剤)などを含んでもよい。硬化剤としては、酸無水物、脂肪族または芳香族アミン、イミダゾールまたはその誘導体などが好ましく用いられ、硬化促進剤としては、ジシアンジアミドなどを例示できる。また、樹脂固形物の絶縁特性を向上させるためにイオン補足剤を添加してもよいし、色を付けるために顔料を添加してもよい。
【0082】
無機フィラーは、熱硬化性樹脂の総量の例えば2倍程度を含有させることで、樹脂固形物103及び、その硬化物を高弾性率化することが可能となる。これにより、樹脂固形物が軟化したときに原形が留めやすくなる。その結果、樹脂固形物が熱硬化にいたるときに、樹脂固形物と電子部品との接触状態を確保することが容易となる。したがって、はんだ接合部を高い信頼性で補強することが可能となる。ただし、無機フィラーの混合量が多すぎると、電子部品200の周縁部と基板101との接着が不十分となる場合がある。
【0083】
さらに、樹脂固形物103には、電極102またはバンプ204の表面に存在する酸化物を除去する作用を有する成分を含ませることができる。例えば、フラックスに含ませる活性剤などを樹脂固形物103に含ませてもよい。これにより、軟化した補樹脂固形物103が電極102またはバンプ204と接触した場合にも、溶融したバンプと電極102との濡れがより確実に確保される。
【0084】
なお、本発明は、1種の電子部品を基板に搭載する場合に限らず、複数種の電子部品を基板に搭載する場合にも適用できる。その場合、必要に応じて、電子部品搭載装置には、搭載ヘッドに装着するための複数の吸着ノズルを保持するノズルストッカを設け、複数の電子部品にそれぞれ対応させて吸着ノズルを交換できるようにしてもよい。
【0085】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、FR4基板に、電極(接続端子)として所定パターンのランドを形成した。電子部品の周縁部の四隅およびその近傍を含むように、4箇所の補強位置にL型の樹脂固形物を(図16(a)参照)で配置した。また、転写テーブルにスキージを用いてフラックスの塗膜を形成し、その塗膜を電子部品であるフリップチップBGAパッケージ(1005チップ)のSn−Ag−Cu系のはんだで構成されたバンプ(融点約220℃)に転写した。
【0086】
その後、バンプとランドを対向させるように、電子部品を、樹脂固形物を介して基板の上に搭載した。このとき、樹脂固形物の高さは、約0.5mmであり、バンプとランドとの隙間は約0.1mmであった。次に、電子部品を搭載した基板をリフロー装置で240〜250℃で加熱することで、基板と電子部品との接着、及び電極とバンプとのはんだ接合を行った。
【0087】
ここで、樹脂固形物の材料には、エポキシ樹脂オリゴマー50重量部、液状エポキシ樹脂50重量部、ヒドラジド系硬化剤20重量部、無機フィラーとしての球状シリカ(平均粒径:3μm)200重量部、チキソ剤としての超微粒子シリカ2重量部、並びに、添加剤としてのシランカップリング剤1重量部を使用した。それらの材料を混練して混合物とし、その混合物をプレス成形することで、ペレット状の樹脂固形物を形成した。樹脂固形物の軟化温度は56℃であり、推奨される熱硬化温度は235℃であった。
【0088】
(実施例2)
樹脂固形物の材料に、エポキシ樹脂オリゴマー100重量部、ヒドラジド系硬化剤20重量部、無機フィラーとしての球状シリカ(平均粒径:3μm)50重量部、チキソ剤としての超微粒子シリカ5重量部、並びに、添加剤としてのシランカップリング剤1重量部を使用した。樹脂固形物の軟化温度は82℃であり、推奨される熱硬化温度は235℃であった。それ以外は、実施例1と同様にして、樹脂固形物の作製、基板と電子部品との接着、並びに、電極とバンプとのはんだ接合を行った。
【0089】
(比較例1)
樹脂固形物の材料に、液状エポキシ樹脂100重量部、ヒドラジド系硬化剤20重量部、無機フィラーとしての球状シリカ50重量部、チキソ剤としての超微粒子シリカ5重量部、並びに、添加剤としてのシランカップリング剤1重量部を使用した。そして、実施例1と同様にして、樹脂固形物の作製を行った。しかしながら、この比較例1では、上記の混合物をプレス成形してもペレット状の樹脂固形物が得られず、混合物はペースト状となった。よって、この段階で実験を中止した。
【0090】
上記の各実施例に対して、はんだ接合を終了した電子部品を基板から剥がして、ランドにバンプが十分に付着しているかどうかを観察した。
【0091】
以上の結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
表1に示すように、実施例1及び2はともに樹脂固形物の成形性は良好であった。また、実施例1及び2ともに、バンプと電極との良好なはんだ接合性を得られた。特に、実施例1では、実施例2よりも比較的多量の無機フィラーを混合することができたために、硬化物をより高弾性率化することが容易となった。その結果、極めて良好なはんだ接合性及び、その補強性を両立できた。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の電子部品の実装方法、および電子部品実装システムは、複数のバンプが設けられた電子部品を基板に実装する場合に、確実な電気的導通と十分な接合強度の補強を確保可能とするものであり、特に小型のBGA型電子部品の表面実装の分野において有用である。
【符号の説明】
【0095】
101・・・基板、102・・・電極、103・・・樹脂固形物、104・・・補強位置、105・・・樹脂補強部(熱硬化性樹脂の硬化物)、200・・・電子部品、201・・・部品内基板、201s・・・主面、201x・・・周縁部、203・・・封止樹脂、204・・・バンプ、206・・・フラックス、300・・・電子部品実装システム、301・・・基板供給装置、302・・・電子部品搭載装置、303a・・・基台、304・・・リフロー装置、305・・・基板回収装置、306・・・制御装置、307・・・第1部品供給部、308・・・第2部品供給部、309・・・基板保持部、310・・・転写ユニット、311・・・搭載ヘッド、312・・・塗布ヘッド、312a・・・塗布ノズル、押圧端子、312b・・・押圧端子、313・・・制御部、313a・・・メモリ、313b・・・中央演算装置、314・・・キャリア、315・・・基板搬送コンベア、320・・・ベーステーブル、321・・・転写テーブル、323・・・スキージユニット、323a・・・第1スキージ部材、323b・・・第2スキージ部材、400・・・保持部、401・・・針状部材、402・・・シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を有する基板に、前記接続端子と接続される電極を有する電子部品を実装する電子部品の実装方法であって、
(a)はんだを含む前記電極が表面に形成された前記電子部品を準備し、
(b)熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物を、前記基板上で前記電子部品の周縁部と重なる部分に載置し、
(c)前記電子部品の周縁部を前記樹脂固形物の上に重ねるように、前記電極を前記接続端子と対向させた状態で、前記電子部品を前記基板上に搭載し、
(d)前記はんだの融点及び前記樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで、前記電子部品及び前記樹脂固形物が載置された前記基板を加熱した後、冷却することで、前記熱硬化性樹脂の硬化物により前記電子部品を前記基板と接着するとともに、前記はんだにより前記電極を前記接続端子と接合する、実装方法。
【請求項2】
前記樹脂固形物の高さが、前記電極及び前記接続端子の合計高さよりも大きく、
前記電極と前記接続端子との間に隙間を設けるように、前記電子部品を、前記樹脂固形物を介して前記基板上に搭載する、請求項1記載の電子部品の実装方法。
【請求項3】
前記樹脂固形物の軟化温度が、前記はんだの融点よりも低い、請求項1または2記載の電子部品の実装方法。
【請求項4】
さらに、(e)前記隙間にフラックスまたはクリームはんだを充填する、請求項2または3記載の電子部品の実装方法。
【請求項5】
さらに、前記工程(b)の前に、(f)前記基板の前記樹脂固形物が載置される部分に粘着剤を付与する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品の実装方法。
【請求項6】
さらに、前記工程(b)の前に、(g)前記樹脂固形物の前記基板と対向する面に粘着剤を付与する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品の実装方法。
【請求項7】
接続端子を有する基板に、前記接続端子と接続される電極を有する電子部品を実装する電子部品の実装システムであって、
はんだを含む前記電極が表面に形成された前記電子部品を供給する第1の供給部と、
熱硬化性樹脂を含む樹脂固形物を供給する第2の供給部と、
前記電子部品を保持する第1の保持部、及び前記樹脂固形物を保持する第2の保持部を有する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドを移動させる移動部と、
前記第2の保持部を使用して、前記第2の供給部により供給される前記樹脂固形物を、前記基板上の前記電子部品の周縁部と重なる部分に載置させるように前記実装ヘッド及び前記移動部を制御するとともに、前記第1の保持部を使用して、前記第1の供給部により供給される前記電子部品を、前記樹脂固形物を介して前記基板上に載置させるように前記実装ヘッド及び前記移動部を制御する制御部と、
前記はんだの融点及び前記樹脂固形物の硬化温度よりも高い温度まで、前記電子部品及び前記樹脂固形物が載置された前記基板を加熱するリフロー装置と、を具備する実装システム。
【請求項8】
前記第2の供給部が、テープフィーダである、請求項7記載の電子部品の実装システム。
【請求項9】
前記第2の保持部が、前記樹脂固形物に突き立てられる、上下動可能な針状部材、並びに、前記針状部材を内部に収納するとともに、前記針状部材を先端から突出させるシリンダを含む、請求項7または8記載の電子部品の実装システム。
【請求項10】
前記第2の保持部が、前記樹脂固形物を吸着する吸着ノズルを含む、請求項7または8記載の電子部品の実装システム。
【請求項11】
前記シリンダの先端または前記吸着ノズルの先端が離型処理されている、請求項9または10記載の電子部品の実装方法。
【請求項12】
前記樹脂固形物が、エポキシ樹脂と無機フィラーとの混合物の成形体である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の電子部品の実装システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−65705(P2013−65705A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203611(P2011−203611)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】