説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】この発明はTCPを回路基板にシート部材を介して圧着するとき、シート部材に張力が発生してTCPが位置ずれするのを防止した実装装置を提供することにある。
【解決手段】下降方向に駆動されて複数のTCP4の他端部を、側辺部に実装部品6と粘着テープ2が貼着された端子部7とが設けられた回路基板3の端子部に粘着テープを介して加熱しながら圧着する複数の加圧ツール5a〜5cと、複数の加圧ツールによってTCPの他端部を回路基板3の端子部に圧着するときに回路基板とTCPの接続部分と加圧ツールの間に介在してその加圧ツールに溶融した粘着テープが付着するのを防止するシート部材9と、TCPの他端部を回路基板の端子部にシート部材を介して複数の加圧ツールによって圧着するときに、数の加圧ツールによる圧着を異なるタイミングで行なわせる制御装置を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は第1の電子部品を基板に一端部が接続された第2の電子部品の他端部に圧着する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6と図7に示すように、たとえば基板としての液晶セル1には異方性導電部材などの接着性を有する粘着テープ2によって第1の電子部品としての回路基板3が第2の電子部品である複数のTCP4(Tape Carrier Package)を介して粘着テープ2によって接続される。すなわち、液晶セル1の側辺部には複数の上記TCP4の一端部が上記粘着テープ2によって接続され、このTCP4の他端部に上記回路基板3が同じく粘着テープ2によって接続される。
【0003】
液晶セル1の側辺部に接続されたTCP4に回路基板3を接続する場合、異方性導電部材からなる上記粘着テープ2を図示しないヒータが内蔵された加圧ツール5(図9に示す)で加圧加熱して溶融硬化させる。そのため、回路基板3をTCP4に圧着する際、溶融した粘着テープ2の一部がTCP4からはみ出し、加圧ツール5の加圧面に付着するということがある。
【0004】
加圧ツール5の加圧面に溶融した粘着テープ2が付着して硬化すると、その加圧面の平坦度が低下するため、加圧ツール5の加圧面によって回路基板3を均一に加圧することができなくなって接続不良を招いたり、加圧ツール5に付着した粘着テープ2の溶融物が回路基板3に転移して汚れの原因になるなどのことがあり、好ましくない。
【0005】
そこで、液晶セル1に設けられたTCP4に回路基板3を圧着するとき、図9に示すようにシリコーン樹脂やフッ素樹脂によって形成された耐熱性を有するシート部材9を介して上記加圧ツール5によってTCP4と回路基板3の接続部分を加圧加熱し、溶融物が加圧ツール5に付着するのを防止するようにしている。
このような従来技術は特許文献1に示されている。
【0006】
ところで、最近では図8に示すように液晶セル1の高機能化などに伴って回路基板3の側辺部に複数の実装部品6を所定間隔で設けるということが行なわれている。その場合、回路基板3にTCP4を接続するための端子部7は上記実装部品6と交互に形成される。
【0007】
上記構成の回路基板3を液晶セル1に一端部が接続されたTCP4の他端部に接続する場合、図8に鎖線で示すように上記端子部7にこの端子部7を覆う長さに切断された粘着テープ2を貼着する。そして、図9に示すように、回路基板3をバックアップツール8上に載置し、回路基板3の各端子部7に対して各TCP4を位置決めした後、複数の加圧ツール5によって各TCP4をそれぞれシート部材9を介して加圧加熱するようにしている。
【0008】
従来、複数の加圧ツール5によって回路基板3の端子部7にそれぞれTCP4を加圧加熱する場合、複数の加圧ツール5を同じタイミングで下降させて複数のTCP4を同時に加圧加熱して圧着するようにしていた。
【特許文献1】特開2007−73897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
複数の加圧ツール5を同じタイミングで下降させて複数のTCP4を同時に加圧加熱すると、図9に示すように回路基板3に設けられた実装部品6の高さが加圧ツール5によってTCP4を回路基板3に加圧する高さよりも高いため、その高さの差によってシート部材9の隣り合う一対の加圧ツール5間に位置する部分に伸びが生じる。
【0010】
シート部材9に伸びが生じると、その伸びによって図9に矢印Fで示す方向に張力が発生するから、その張力によって加圧ツール5によって圧着されつつあるTCP4に作用するため、TCP4が回路基板3の端子部7に対して位置ずれし、接続不良を招くということがある。
【0011】
この発明は、実装部品と端子部が設けられた第1の電子部品の側辺部の上記各端子部に第2の電子部品を、複数の加圧ツールによってシート部材を介して加圧接続する際に、上記第2の電子部品がシート部材の張力によって位置ずれすることがないようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、側辺部に実装部品と粘着テープが貼着された端子部とが設けられた第1の電子部品を、基板の側辺部に上記端子部と対応する間隔で一端部が接続された複数の第2の電子部品の他端部に実装する電子部品の実装装置であって、
下降方向に駆動されて複数の第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の上記端子部に上記粘着テープを介して加熱しながら圧着する複数の加圧ツールと、
複数の加圧ツールによって上記第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の端子部に圧着するときに上記第1、第2の電子部品の接続部分と上記加圧ツールの間に介在してその加圧ツールに溶融した上記粘着テープが付着するのを防止するシート部材と、
上記第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の端子部に上記シート部材を介して上記複数の加圧ツールによって圧着するときに、上記複数の加圧ツールによる圧着を異なるタイミングで行なわせる制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0013】
上記シート部材は供給リールから繰り出され、上記加圧ツールと上記第1、第2の電子部品の接続部分との間に供給される前に弛み長さを調整する弛み調整機構を経て巻き取りリールに巻き取られるようになっていて、
上記制御手段は、複数の上記加圧ツールが上記巻き取りリール側に位置する加圧ツールから上記供給リール側に位置する加圧ツールの順に上記第2の電子部品を圧着するよう駆動制御することが好ましい。
【0014】
上下方向に駆動される可動体を有し、この可動体には、上記複数の加圧ツールをそれぞれ異なる高さで支持する支持体が設けられ、各支持体は上記加圧ツールが上記第1の電子部品に上記第2の電子部品を圧着するときに加わる加圧力が所定以上となったときに、その加圧ツールを相対的に上昇方向に変位させることが好ましい。
【0015】
上記シート部材は供給リールから繰り出され、弛み長さを調整する第1の弛み調整機構を経て上記加圧ツールと上記第1、第2の電子部品の接続部分との間に供給されてから第2の弛み調整機構を経て巻き取りリールに巻き取られるようになっていて、
上記制御手段は、複数の上記加圧ツールのうち、配列方向の中央に位置する加圧ツールによって上記第2の電子部品を圧着させてからその中央の加圧ツールの両側に位置する一対の加圧ツールの順に上記第2の電子部品を圧着させるよう駆動制御することがこのましい。
【0016】
この発明は、側辺部に実装部品と粘着テープが貼着された端子部とが設けられた第1の電子部品を、基板の側辺部に上記端子部と対応する間隔で一端部が接続された複数の第2の電子部品の他端部に圧着する電子部品の実装方法であって、
上記複数の第2の電子部品を上記第1の電子部品に上記端子部と対応する間隔で設けられた複数の加圧ツールによって加熱しながら圧着するときに、上記第1、第2の電子部品の接続部分と上記加圧ツールの間に上記加圧ツールに上記粘着テープが溶融して付着するのを防止するシート部材を介在させる工程と、
上記第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の端子部に上記シート部材を介して上記複数の加圧ツールによって圧着するときに、上記複数の加圧ツールによる圧着を異なるタイミングで行なう工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、第2の電子部品の他端部を第1の電子部品の端子部にシート部材を介して複数の加圧ツールによって加熱しながら圧着するとき、複数の加圧ツールによる圧着を異なるタイミングで行なうようにした。
【0018】
そのため、第1の電子部品に設けられた実装部品の高さによってシート部材が伸ばされ難くなるから、シート部材の張力によって第1の電子部品に対して第2の電子部品がずれ動いて接続不良を招くのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、図6〜図9で説明した部分と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
【0020】
図1乃至図3はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1に示す実装装置はバックアップツール8を有する。このバックアップツール8の上面には回路基板3が供給載置される。この回路基板3の端子部7(図8に示す)には、基板としての液晶セル1(図6に示す)の一側部に一端部が接続された第2の電子部品としてのTCP4の他端部が粘着テープ2によって後述するように接続される。
【0021】
上記バックアップツール8の上方には、上記回路基板3と同等或いはそれ以上の長さを有する可動体11が図示せぬリニアガイドによって上下方向に移動可能に設けられている。この可動体11の上辺は上下駆動手段としての駆動シリンダ12のロッド12aに連結されている。
【0022】
上記駆動シリンダ12は、図2に示すように電動式の第1の四方切換え弁13及び図示しないリリーフ弁を介して液体や気体などの流体を供給する流体供給源14に接続されている。上記第1の四方切換え弁13を切換え制御する一対のソレノイド13aは制御手段としての制御装置15によって切換え制御されるようになっている。
【0023】
上記制御装置15によって上記第1の四方切換え弁13を切換えれば、上記駆動シリンダ12のロッド12aを突出方向或いは没入方向に選択的に駆動することができる。それによって、上記可動体11を上昇させたり、下降させることができるようになっている。
【0024】
上記可動体11には複数、この実施の形態では第1乃至第3の3つの加圧シリンダ18a〜18cが図6に示す回路基板3の端子部7と対応する間隔で軸線を平行にして設けられている。各加圧シリンダ18a〜18cのロッド19にはそれぞれ第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cが設けられている。
【0025】
第1乃至第3の加圧シリンダ18a〜18cは、図2に示すようにそれぞれ第2の四方切換え弁22及び図示しないリリーフ弁を介して上記流体供給源14に接続されている。各第2の四方切換え弁22の一対のソレノイド22aは上記制御装置15によって切換え制御されるようになっている。第2の四方切換え弁22を切換え制御すれば、各加圧シリンダ18a〜18cのロッド19に設けられた加圧ツール5a〜5cを上昇方向或いは下降方向に駆動させることができる。
【0026】
上記バックアップツール8の上面に位置決め載置された回路基板3の端子部7には上記液晶セル1の一側部に一端部が接続された複数のTCP4の他端部が重合される。そして、回路基板3の端子部7とTCP4の重合部分は上記制御装置15によって下降方向に駆動される第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cによって後述するように加圧加熱される。
【0027】
上記加圧ツール5a〜5cによって回路基板3の端子部7とTCP4の重合部分を加圧加熱する際、TCP4と加圧ツール5a〜5cとの間にはテープ状のシート部材9が介在させられる。
【0028】
上記シート部材9は供給リール24から繰り出される。この供給リール24から繰り出されたシート部材9は弛み調整機構を構成するダンサローラ25によって所定長さ弛まされてからガイドローラ26を経て加圧ツール5a〜5cとバックアップツール8との間に供給される。そして、シート部材9は図示せぬ駆動源によって回転駆動される一対の送りローラ27間に通されて所定長さずつ送られて巻き取りリール28に巻き取られるようになっている。
【0029】
上記ダンサローラ25は図示しないばねによって弾性的に保持されていて、上記シート部材9に加わる張力が所定以上に増大すると、下降方向に弾性的に変位して弛んだシート部材9の一部を送り出す。それによって、上記シート部材9に加わる張力が除去されるようになっている。
【0030】
上記ガイドローラ26と上記一対の送りローラ27は図示しない駆動機構によって一体的に上下動するようになっている。つまり、ガイドローラ26と一対の送りローラ27は、加圧ツール5がTCP4を回路基板3に圧着するとき、シート部材9の上記ローラ26,27によって水平に支持された部分が回路基板3に設けられた実装部品6の上面に接触する位置まで下降するようになっている。
【0031】
つぎに、上記構成の実装装置によって回路基板3の端子部7にTCP4を接続する動作を説明する。
まず、バックアップツール8の上面に回路基板3を位置決め載置し、その回路基板3の端子部7に液晶セル1に一端部が接続されたTCP4の他端部を位置決めする。ついで、ガイドローラ26と一対の送りローラ27を下降させ、上記シート部材9の各ローラ26,27によって水平に支持された部分を回路基板3に設けられた実装部品6の上面に接触させる。
【0032】
つぎに、制御装置15によって第1の四方切換え弁13を切換え制御して駆動シリンダ12を作動させ、可動体11を所定の位置まで下降させる。つまり、可動体11に設けられた第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cが上記ガイドローラ26と一対の送りローラ27によって支持されたシート部材9よりもわずかに上方に位置する高さまで上記可動体11を下降させる。
【0033】
可動体11を下降させたならば、この可動体11に設けられた第1乃至第3の加圧シリンダ18a〜18cのうち、図1における右端である、巻き取りリール28側の第1の加圧シリンダ18aに接続された第2の四方切換え弁22を制御装置15によって作動させ、その第1の加圧シリンダ18aに設けられた第1の加圧ツール5aを下降させる。
【0034】
それによって、第1の加圧ツール5aは図3に示すようにシート部材9を介して1つ目のTCP4を回路基板3の端子部7に加熱しながら圧着するから、そのTCP4が回路基板3に接続されることになる。
【0035】
シート部材9が第1の加圧ツール5aによって加圧されると、図3に示すように第1の加圧ツール5aによって加圧された部分と、加圧された部分よりも供給リール24側に位置する実装部品6の上面に当たる部分とでは高さに差が生じるから、その差によってシート部材9の第1の加圧ツール5aによって加圧される部分よりも供給方向の上流側に位置する部分に張力が発生する。
【0036】
シート部材9に張力が発生すると、その張力がダンサローラ25に作用し、そのダンサローラ25が下方へ弾性的に変位して弛み量が縮小される。つまり、張力に応じてシート部材9が図2に矢印Lで示す方向に繰り出されるから、シート部材9に加わる張力が除去される。
【0037】
そのため、シート部材9の第1の加圧ツール5aによって加圧されている部分に張力が発生することがないから、上記第1の加圧ツール5aによって回路基板3の端子部7に圧着されるTCP4にシート部材9の張力が作用してそのTCP4にずれが生じるということがない。
【0038】
第1の加圧ツール5aによって1つ目のTCP4が回路基板3に圧着されると、つぎに、第2の加圧シリンダ18bが下降方向に駆動されて2つ目のTCP4がシート部材9を介して回路基板3の端子部7に加圧加熱される。
【0039】
このときも、シート部材9の第2の加圧ツール5bによって加圧される部分と、その部分よりも上流側に位置して実装部品6の上面に当たる部分とでは高さに差があるから、その差によって張力が発生するが、張力が発生すると、ダンサローラ25が下方へ弾性的に変位してシート部材9が繰り出されてその張力が緩和される。
【0040】
それによって、シート部材9の第2の加圧ツール5bによって加圧された部分に張力が発生することがないから、2つ目のTCP4も回路基板3の端子部7にずれが生じることなく実装することができる。
同様に3つ目のTCP4も回路基板3の端子部7に、第3の加圧ツール5cによってシート部材9を介してずれが生じることなく加圧加熱されて接続される。
【0041】
このように、第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cを、異なるタイミングで順次下降方向に駆動するようにした。そのため、各加圧ツール5a〜5cによって回路基板3の端子部7にそれぞれシート部材9を介してTCP4を加圧加熱して接続するとき、シート部材9の各加圧ツール5a〜5cによって加圧された部分に張力が残留することがない。
【0042】
それによって、回路基板3に接続されるTCP4がシート部材9の張力によってずれるのを防止することができるから、上記TCP4を上記回路基板3に精密に実装することが可能となる。
【0043】
図4はこの発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は可動体11に支持体としての第1乃至第3の加圧シリンダ18a〜18cが異なる高さで設けられている。すなわち、第1の加圧シリンダ18aが最も低い位置に設けられ、ついで第2の加圧シリンダ18b、第3の加圧シリンダ18cの順となっている。それによって、各加圧シリンダ18a〜18cに設けられた第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cの高さも順次高くなっている。
【0044】
なお、第1乃至第3の加圧シリンダ18a〜18cは、各加圧ツール5a〜5cに加わる圧力が一定に維持されるようになっている。つまり、各加圧ツール5a〜5cにTCP4を回路基板3に圧着するに必要な圧力以上の圧力が加わると、各加圧シリンダ18a〜18cからは図示しないリリーフ弁によって流体が流出して各加圧ツール5a〜5cは上昇可能となる。
【0045】
このような構成によれば、可動体11を駆動シリンダ12によって下降させると、最初に第1の加圧ツール5aがシート部材9を介して1つ目のTCP4を加熱しながら加圧し、そのTCP4を回路基板3の端子部7に圧着する。
【0046】
可動体11をさらに下降させると、第2の加圧ツール5bがシート部材9を介して2つ目のTCP4を加圧し、そのTCP4を回路基板3の端子部7に圧着する。可動体11の下降距離が所定以上になると、第1の加圧シリンダ18aの第1の加圧ツール5aには所定以上の圧力が加わるから、その圧力によって第1の加圧シリンダ18aは上昇可能となる。それによって、第1の加圧ツール5aは1つ目のTCP4を必要以上に加圧することがない。
【0047】
可動体11をさらに下降させると、第3の加圧ツール5cがシート部材9を介して3つ目のTCP4を加圧し、そのTCP4を回路基板3の端子部7に圧着する。このとき、第2の加圧ツール5bに加わる圧力が所定以上になると、第2の加圧シリンダ18bは上昇可能となるから、2つ目のTCP4が必要以上に加圧されることがない。
【0048】
このように、第1乃至第3の加圧シリンダ18a〜18c及びこれら加圧シリンダ18a〜18cに設けられる第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cの高さが順次高くなるよう可動体11に設けるようにした。そのため、可動体11を駆動シリンダ12によって下降させれば、第1乃至第3の加圧ツール5a〜5cがそれぞれ異なるタイミングでシート部材9を介してTCP4を順次圧着する。
【0049】
したがって、この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、シート部材9を介してTCP4を回路基板3に各加圧ツール5a〜5cによって圧着する際、シート部材9に張力が発生するのを防止できるから、TCP4が回路基板3に対して位置ずれするのを防止することができる。
【0050】
第2の実施の形態では加圧ツールを支持体としての加圧シリンダに設け、加圧ツールに加わる圧力が所定以上となったときに加圧ツールが上昇可能となるようにしたが、支持体としては加圧シリンダに代わり、加圧ツールをばねによって弾性的に支持する構造であってもよい。そのような構造によれば、加圧ツールに所定以上の圧力が加わると、上記ばねが圧縮変形するから、複数の可動体の下降に応じて複数の加圧ツールによってTCPの圧着を順次行うことが可能となる。
【0051】
図5はこの発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態は供給リール24から繰り出されたシート部材9は第1のガイドローラ26aによって水平方向に走行し、第2のガイドローラ26bを経て巻き取りリール28に巻き取られるようになっている。
【0052】
上記供給リール24側には第1の弛み調整機構としてのダンサローラ25aが設けられ、巻き取りリール28側には第2の弛み調整機構としてのダンサローラ25bが設けられている。
【0053】
そして、制御装置15(図2に示す)は第1の工程では配列方向中央に位置する加圧ツール5bを下降方向に駆動してTCP4を回路基板3に圧着し、第2の工程では上記加圧ツール5bの両側に位置する一対の加圧ツール5a,5cを同時に下降方向に駆動してTCP4を加圧する。
【0054】
砂W値、供給リール24側と、巻き取りリール28側にそれぞれダンサローラ25a,25bを設けたため、左右一対の加圧ツール5a,5cを同時に下降方向に駆動してTCP4の圧着を行なうことができる。
【0055】
このような構成によれば、第2の工程で一対の加圧ツール5a,5cによって2つのTCP4を同時に圧着することができるから、1つずつ順次行なう場合に比べてインデックスタイムを短縮し、生産性を向上させることができる。
【0056】
TCP4の圧着時に可動体11に加わる加圧シリンダ12の反力が複数の加圧ツール5a〜5cの配置方向に対して左右対称になるから、上記可動体11は上記反力によって傾くことがない。
【0057】
そのため、TCP4を圧着するときに、各加圧ツール5a〜5cとバックアップツール8の平行度が維持されるから、回路基板3にTCP4を精度よく圧着することができる。
【0058】
なお、上記各実施の形態において可動体に設けられる加圧ツールの数は限定されず、4つ以上であっても差し支えない。
【0059】
また、第3の実施の形態において、加圧ツールの数は奇数に限られず、偶数であってもよく、たとえば4つの場合、配列方向中央の2つの加圧ツールを第1の工程で下降させ、その両側に位置する残りの2つの加圧ツールを第2の工程で下降させるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す実装装置の概略的構成図。
【図2】駆動シリンダ及び第1乃至第3の加圧シリンダの制御ブロック図。
【図3】回路基板に複数のTCPを順次圧着するときの説明図。
【図4】この発明の第2の実施の形態を示す実装装置の概略的構成図。
【図5】この発明の第3の実施の形態を示す実装装置の概略的構成図。
【図6】回路基板が接続された液晶パネルの一般的な構成を示す平面図。
【図7】同じく側面図。
【図8】回路基板の斜視図。
【図9】複数のTCPを回路基板に同時に接続する従来の説明図。
【符号の説明】
【0061】
1…液晶セル(基板)、2…粘着テープ、3…回路基板(第1の電子部品)、4…TCP(第2の回路基板)、5a〜5c…第1乃至第3の加圧ツール、6…実装部品、7…端子部、8…バックアップツール、9…シート部材、11…可動体、12…駆動シリンダ、13…四方切換え弁、15…制御装置、18a〜18c…第1乃至第3の加圧シリンダ、22…四方切換え弁、25,25a,25b…ダンサローラ(弛み調整機構)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側辺部に実装部品と粘着テープが貼着された端子部とが設けられた第1の電子部品を、基板の側辺部に上記端子部と対応する間隔で一端部が接続された複数の第2の電子部品の他端部に実装する電子部品の実装装置であって、
下降方向に駆動されて複数の第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の上記端子部に上記粘着テープを介して加熱しながら圧着する複数の加圧ツールと、
複数の加圧ツールによって上記第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の端子部に圧着するときに上記第1、第2の電子部品の接続部分と上記加圧ツールの間に介在してその加圧ツールに溶融した上記粘着テープが付着するのを防止するシート部材と、
上記第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の端子部に上記シート部材を介して上記複数の加圧ツールによって圧着するときに、上記複数の加圧ツールによる圧着を異なるタイミングで行なわせる制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記シート部材は供給リールから繰り出され、上記加圧ツールと上記第1、第2の電子部品の接続部分との間に供給される前に弛み長さを調整する弛み調整機構を経て巻き取りリールに巻き取られるようになっていて、
上記制御手段は、複数の上記加圧ツールが上記巻き取りリール側に位置する加圧ツールから上記供給リール側に位置する加圧ツールの順に上記第2の電子部品を圧着するよう駆動制御することを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上下方向に駆動される可動体を有し、この可動体には、上記複数の加圧ツールをそれぞれ異なる高さで支持する支持体が設けられ、各支持体は上記加圧ツールが上記第1の電子部品に上記第2の電子部品を圧着するときに加わる加圧力が所定以上となったときに、その加圧ツールを相対的に上昇方向に変位させることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記シート部材は供給リールから繰り出され、弛み長さを調整する第1の弛み調整機構を経て上記加圧ツールと上記第1、第2の電子部品の接続部分との間に供給されてから第2の弛み調整機構を経て巻き取りリールに巻き取られるようになっていて、
上記制御手段は、複数の上記加圧ツールのうち、配列方向の中央に位置する加圧ツールによって上記第2の電子部品を圧着させてからその中央の加圧ツールの両側に位置する一対の加圧ツールの順に上記第2の電子部品を圧着させるよう駆動制御することを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
側辺部に実装部品と粘着テープが貼着された端子部とが設けられた第1の電子部品を、基板の側辺部に上記端子部と対応する間隔で一端部が接続された複数の第2の電子部品の他端部に圧着する電子部品の実装方法であって、
上記複数の第2の電子部品を上記第1の電子部品に上記端子部と対応する間隔で設けられた複数の加圧ツールによって加熱しながら圧着するときに、上記第1、第2の電子部品の接続部分と上記加圧ツールの間に上記加圧ツールに上記粘着テープが溶融して付着するのを防止するシート部材を介在させる工程と、
上記第2の電子部品の他端部を上記第1の電子部品の端子部に上記シート部材を介して上記複数の加圧ツールによって接続するときに、上記複数の加圧ツールによる圧着を異なるタイミングで行なう工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−44001(P2009−44001A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208300(P2007−208300)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】