説明

電子部品及び圧電振動子

【課題】引き出し電極と貫通電極との接続を確実に行う電子部品、及び圧電振動子を提供する。
【解決手段】励振電極(第1励振電極26、第2励振電極28)を有する圧電振動片14をベース基板42上に搭載して形成された圧電振動子10であって、前記ベース基板42は、前記圧電振動片14に対向する位置に形成された貫通孔(第1貫通孔44、第2貫通孔46)と、前記貫通孔を封止する貫通電極(第1貫通電極52、第2貫通電極54)とを有し、前記圧電振動片14は、前記圧電振動片14の前記貫通孔に対向する主面に凸部(第1凸部36、第2凸部38)と、前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された導電膜(第1金属膜48a、第2金属膜50a等)と、を有し、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接接合を用いて接合される積層構造の圧電振動子や力検出素子等の電子部品に関し、特に中間層の端子電極とベース基板を貫通する貫通電極との電気的接続において接続信頼性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年に代表される移動体通信機器や携帯電話は個人向け携帯電話の小型軽量化及び高周波化に伴い、それらに用いられる圧電振動子やフィルタ等も、より一層の小型化及び高周波化が求められている。この要求に応えるため、従来の圧電部品は小型化、薄型化のパッケージへの適用が急速に求められてきている。
一方、水晶振動子、水晶フィルタやSAWフィルタなどの圧電素子は、周囲の温度や湿度の変化、あるいは微細な異物に影響されて特性が微妙に変化することや、機械的振動や衝撃によって破損しやすい。このため上述の素子は、パッケージに封止して使用に供されている。
【0003】
従来のパッケージは、素子個別にパッケージを形成しているが、これに対し、複数の素子が同時に切り出されているウェハレベルで、封止された状態としたのち、個々の素子(チップ)に切り出してパッケージされたチップの状態とする技術も提案されている。この場合ウェハの積層構造によってパッケージを製造することになるが、異なるウェハに存在する電極同士の電気的接続を高い信頼性で行う必要がある。
【0004】
図12に第1の従来技術に係る圧電振動子を示す。図12に示すように、特許文献1には、励振電極205(ab)及び励振電極205(ab)に接続される引き出し電極207(ab)を有する水晶片203と、水晶片203に対向する面に形成された凹部204(ab)及び凹部204(ab)を貫通する貫通孔206(ab)を有する蓋体202(ab)とを有し、水晶片203がシロキサン結合による直接接合により蓋体202(ab)に挟まれる態様で積層された3層All Quartz Packageにおいて、貫通孔206(ab)を封止し、例えば蒸着により、導電性接合材208に接続する実装電極209(ab)を両端側の側面及び両主面に形成することが開示されている。
【0005】
図13に第2の従来技術に係る圧電振動子を示す。図13(a)は全体図、図13(b)は図13(a)の外部端子を形成する工程を示す図である。図13に示すように、特許文献2には、下からベース用シート状ウェハ303、水晶ウェハ305、蓋体シート状ウェハ301の順に直接接合により積層された3層All Quartz Packageにおいて、ウェハ状に形成された水晶振動子306のベース用シート状ウェハ303に予め形成された貫通孔302に金属粉308を吹き付けて、その内部に金属粉308を堆積させながら、水晶振動素子304の表面と貫通孔302との隙間を埋めるとともに、金属粉308を貫通孔302の内部に堆積させて、水晶振動子306の内部の水晶振動素子304から貫通孔302内部を経てベース用シート状ウェハ303の表面に至るまで詰め込み密着させて電気的導通路307を形成することが開示されている。金属粉308は貫通孔302に吹き付けられる際に、貫通孔302の内壁との摩擦で発生する摩擦熱により金属粉308が溶け、水晶振動素子304の表面と、貫通孔302との隙間を埋めて、金属粉308を貫通孔302の内部に密着、堆積させて水晶振動子306の内部の水晶振動素子304から貫通孔302内部を経てベース用シート状ウェハ303の表面に至るまで詰め込まれ密着される。
【0006】
金属粉308は粒径がおおよそ10μm程度の粉状のアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などを使用することができ、貫通孔302の大きさは、直径がおおよそ20〜200μm程度の微細なものであり、外部端子形状も略矩形でなく図13に示されるような貫通孔302をベースシート用ウェハ303からみた円形状でも全く構わないことが開示されている。
【0007】
図14に第3の従来技術に係る圧電振動子を示す。図14(a)は全体図、図14(b)は図14(a)の外部端子を形成する工程を示す図である。図14に示すように、特許文献3にも、下からベース用シート状ウェハ403、水晶ウェハ405、蓋体シート状ウェハ401の順に直接接合により積層された3層All Quartz Packageにおいて、金属箔微粒子411をウェハ状に形成した水晶振動子406のベース用シート状ウェハ403の貫通孔402の間に配置された金属箔409にレーザー照射装置408から射出されたレーザー光410を照射して溶解し、先の貫通孔402に飛散させて、貫通孔402内部に金属箔微粒子411を堆積させ水晶振動素子404の表面と、貫通孔402との隙間を金属微粒子411で埋めて、更に金属箔微粒子411を貫通孔402の内部に堆積させて、水晶振動子406の内部の水晶振動素子404から貫通孔402内部を経てベース用シート状ウェハ403の表面に至るまで金属微粒子411を堆積させて電気的導通路407を形成する電気的導通路の形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−269775号公報
【特許文献2】特開2008−113378号公報
【特許文献3】特開2008−167302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、先行文献1〜3には、もともと貫通孔の開口面と引き回し電極との間に隙間(空隙)が存在しており、先行文献1においては表面張力によって蝋材(または溶解した金属微粒子)が接触面積の大きい貫通孔内壁面の方へ引っ張られるので、蝋材が引き回し電極まで至らず結果的に貫通孔内の蝋材と引き回し電極との電気的接続が確保できなくなる虞があるという問題があった。
また、先行文献2、先行文献3においては、金属粉または金属箔微粒子を貫通孔に溶解させながら堆積させているが、先に堆積された金属粉または金属箔微粒子の熱容量と照射されている金属粉または金属箔微粒子の熱容量の差が徐々に拡大し、照射されている金属粉または金属箔微粒子の溶解品質(ヌレ性)が徐々に低下して抵抗分が上昇し、接続信頼性が低下する虞があるという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記問題に着目し、中間層の引き出し電極とベース基板に形成された外部電極との貫通電極を介しての電気的接続において接続信頼性を向上させた構造を有する電子部品、及び圧電振動子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]電子素子片をベース基板上に搭載して形成される電子部品であって、前記ベース基板は、前記電子素子片に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する封止部材とを有し、前記電子素子片は、前記電子素子片の前記貫通孔に対向する主面に凸部を有するとともに、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記電子素子片に対向する側の開口面を貫通していることを特徴とする電子部品。
【0012】
上記構成により、凸部に形成された導電膜を貫通孔内に入り込ませることができる。よって貫通孔内に形成する貫通電極と導電膜との電気的接続を容易に行うことができる電子部品となる。
【0013】
[適用例2]前記凸部が、前記開口面を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
これにより、凸部は貫通孔に嵌め込まれることになるので、電子素子片とベース基板との積層時のアライメントが容易になり作業効率を向上させることができる。
【0014】
[適用例3]励振電極を有する圧電振動片をベース基板上に搭載して形成された圧電振動子であって、前記ベース基板は、前記圧電振動片に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する貫通電極とを有し、前記圧電振動片は、前記圧電振動片の前記貫通孔に対向する主面に凸部と、前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された導電膜と、を有し、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通していることを特徴とする圧電振動子。
【0015】
上記構成により、凸部に形成された導電膜を貫通孔内に入り込ませることができる。よって貫通孔内に形成する貫通電極と導電膜との電気的接続を容易に行うことができる圧電振動子となる。
【0016】
[適用例4]ベース基板上に圧電振動片層を積層して形成される圧電振動子であって、前記ベース基板は、前記凸部に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する貫通電極と、を有し、前記圧電振動片層は、励振電極を有する圧電振動片と、前記圧電振動片を支持し、前記ベース基板に接合される支持枠と、前記圧電振動片に接続された引き出し部と、前記引き出し部の前記ベース基板に対向する面に形成された凸部と、前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された導電膜と、を有し、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通していることを特徴とする圧電振動子。
【0017】
積層構造の圧電振動子においても、圧電振動片を包含する圧電振動片層に凸部と、励振電極に接続され凸部の表面を覆うように形成された導電膜を設けることにより、圧電振動片のベース基板への接続が容易になるとともに、凸部に形成され貫通孔内に入り込ませた導電膜と貫通電極との電気的接続を容易に行うことができるため、歩留まりを向上させることができる。
【0018】
[適用例5]前記支持枠は、前記ベース基板に固相接合により接合されることを特徴とする適用例4に記載の圧電振動子。これにより、支持枠とベース基板とが接着層を形成せずに強固に接合され、凸部と貫通孔との相対位置のばらつきが抑制されるため、導電膜と貫通電極との電気的接続のばらつきを抑制して圧電振動子の特性のばらつきを抑制することができる。
【0019】
[適用例6]前記凸部は、前記支持枠の前記ベース基板に対向する面より前記基板側に突出して形成され、前記凸部は前記開口面を貫通することを特徴とする適用例4または5に記載の圧電振動子。
これにより、凸部は貫通孔に嵌め込まれることになるので、圧電振動片層と基板との積層時のアライメントが容易になり作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る圧電振動子の模式図である。
【図2】第1実施形態に係る圧電振動子の分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る圧電振動子の製造工程を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る圧電振動子の製造工程を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る圧電振動子の製造工程を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る圧電振動子の模式図である。
【図7】第2実施形態に係る圧電振動片層の製造工程を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る力検出素子の模式図である。
【図9】第3実施形態に係る力検出素子の分解斜視図である。
【図10】第3実施形態に係る力検出素子の分解斜視図である。
【図11】第3実施形態に係る力検出素子の変形例の模式図である。
【図12】第1の従来技術に係る圧電振動子の模式図である。
【図13】第2の従来技術に係る圧電振動子の模式図である。
【図14】第3の従来技術に係る圧電振動子の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0022】
図1は本発明に係る電子部品の第1実施形態である圧電振動子であって、図1(a)に第1実施形態に係る圧電振動子の側面方向から見た側面断面図(部分拡大図付き)、図1(b)に圧電振動子を構成する圧電振動片層の平面図、図1(c)に圧電振動片層の底面図、図2(a)にリッド側からみた分解斜視図、図2(b)にベース基板側からみた分解斜視図を示す。なお、図及び以下の説明においては、直交座標系(X軸、Y軸、Z軸)を用いる。
【0023】
第1実施形態に係る圧電振動子は、励振電極を有する圧電振動片をベース基板の主面上に搭載して形成された圧電振動子であって、前記ベース基板は、前記圧電振動片に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する貫通電極とを有し、前記圧電振動片は、前記圧電振動片の前記貫通孔に対向する主面に凸部と、前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された引き出し電極と、を有し、前記凸部の表面上に形成された引き出し電極が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通している構成を有するものである。
【0024】
より詳細には、ベース基板の主面上に圧電振動片層を積層して形成される圧電振動片であって、前記ベース基板は、前記凸部に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する貫通電極と、を有し、前記圧電振動片層は、励振電極を有する圧電振動片と、前記圧電振動片を支持し、前記ベース基板に接合される支持枠と、前記圧電振動片に接続された引き出し部と、前記引き出し部の前記ベース基板に対向する面に形成された凸部と、前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された導電膜と、を有し、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通している構成を有するものである。そして圧電振動子10はベース基板、圧電振動片層、リッドの各ウェハによる積層構造体を個片化して得られたものである。
【0025】
圧電振動片層12は、水晶等の圧電基板により形成され、圧電振動片14、連結部(第1連結部16、第2連結部18)、引き出し部(第1引き出し部20、第2引き出し部22)、凸部(第1凸部36、第2凸部38)、支持枠24により形成されており、圧電振動片層12の外形は、後述の製造工程で示すように、フォトリソ技法とエッチング技法を併用して形成することができる。
【0026】
圧電振動片14は、音叉型振動片、厚みすべり振動片等として形成されたものであるが、本実施形態においては支持枠24より薄く形成された逆メサ型の厚みすべり振動片を用いている。圧電振動片14は、長手方向(±X方向)の一端の辺の両端において、支持枠24内の−X方向側の2つのコーナーのそれぞれに設けた引き出し部20a、20bに連結された第1連結部16、及び第2連結部18と接続され、圧電振動片14は長手方向の一端(−X方向の一端)を片持ち支持状態で支持枠24に支持されている。
【0027】
また圧電振動片14の両面にはスパッタ等により励振電極(第1励振電極26、第2励振電極28)が形成され、リッド40の主面に対向する第1励振電極26には同様にスパッタ等により形成された第1引き出し電極30が接続され、ベース基板42の主面に対向する第2励振電極28にもスパッタ等により第2引き出し電極32が接続されている。
【0028】
圧電振動片層12には支持枠24内の−X方向側の2つのコーナーに前述のように引き出し部20a、20bが形成され、更に+X方向側の2つのコーナーのうち、前記引き出し部20aの対角線上に第2引き出し部22が形成されている。また引き出し部22と引き出し部20aとは支持枠24に接続した延伸部34により接続されている。よって引き出し部22は、延伸部34、引き出し部20b及び第2連結部18を介して圧電振動片14に接続されている。以下、引き出し部20aを第1引き出し部20とし、引き出し部20bを第2引き出し部2と称する。
【0029】
またベース基板42側に面した第1引き出し部20の面には第1凸部36が形成され、同様に第2引き出し部22のベース基板42の主面側には第2凸部38が形成されている。
【0030】
第1励振電極26に接続された第1引き出し電極30は、第1連結部16においてベース基板42の主面側に延出されて、第1引き出し部20のベース基板42の主面に対向する側にまで引き出され、更に第1引き出し部20に形成された第1凸部36の表面上を覆うように形成されている。一方、第2励振電極28に接続された第2引き出し電極32は、第2連結部18及び延伸部34のベース基板42の主面に対向する側に延出されて、第2引き出し部22のベース基板42の主面に対向する側に引き出され、更に第2引き出し部22に形成された第2凸部38の表面を覆うように形成されている。
【0031】
ベース基板42は水晶等の圧電材料によって形成された矩形の部材であり、その周縁部と圧電振動片層12の支持枠24とが接合される。またベース基板42の一方の主面である第1面42aの反対側の他方の主面である第2面42bから前記第1面42aに向かって漸次内径を小さくするテーパー状に貫通孔(第1貫通孔44、第2貫通孔46)が形成されており、各貫通孔は、ベース基板42に圧電振動片層12を積層する際に第1凸部36、第2凸部38に対向する位置に形成される。貫通孔は、積層前において、エッチングまたはサンドブラストにより形成することができるが、上述のように貫通孔をテーパー状に形成する場合はサンドブラストを行うことが好適である。サンドブラストは、研削面において研削箇所を残してマスクをし、直径20μm程度のSiC等の研削粒子を高速のエアーとともに研削箇所に吹き付けることにより行う。また貫通孔をサンドブラストにより形成されたのち、貫通孔の内壁にエッチング処理(ライトエッチング)を行うことが好適である。これにより、貫通孔の内壁の残留応力を低減して圧電振動子10への悪影響を防止するとともに、貫通孔の内壁を平滑化することにより後述の金属膜(第1金属膜48、第2金属膜50)の形成を容易に行うことができる。
【0032】
第1貫通孔44の内壁及び第1凸部36に形成された第1引き出し電極30には夫々金属膜(第1金属膜48、48a)が形成され、第2貫通孔46の内壁及び第2凸部38に形成された第2引き出し電極32には夫々金属膜(第2金属膜50、50a)がスパッタ等により形成される。この金属膜は圧電振動片層12をベース基板42上に積層したのち、スパッタ等によりベース基板42の第2面42bから金属膜を構成する金属粒子を導入し、貫通孔の内壁及び凸部に形成された引き出し電極上に堆積させることにより形成される。この第1金属膜48、48a、第2金属膜50、50aを形成すると同時にベース基板42の第2面42bには第1金属膜48と接続する第1外部電極56、第2金属膜50と接続する第2外部電極58を形成することができる。これら金属膜を形成することにより後述の貫通電極(第1貫通電極52、第2貫通電極54)を容易に形成することができる。これにより、第1凸部36の表面を覆うように形成された第1金属膜48a(及び第1引き出し電極30)は、第1貫通孔44に入り込む導電膜を形成し、第2凸部38の表面を覆うように形成された第2金属膜50a(及び第2引き出し電極32)は第2貫通孔46に入り込む導電膜を形成し、それぞれ貫通孔の圧電振動片14に対向する側の開口面を貫通することになる。
【0033】
そして貫通孔内部には貫通孔を真空封止する貫通電極(第1貫通電極52、第2貫通電極54)が形成される。各貫通電極は後述の製造工程で示すように、例えば半田ボール51(図2、図5参照)を貫通孔内で溶解・凝固させることにより形成される。第1貫通電極52は第1貫通孔44の内壁に形成された第1金属膜48及び第1引き出し電極30上に形成された第1金属膜48aに接続される。よって第1引き出し電極30は、第1金属膜48a、第1貫通電極52、第1金属膜48を介して第1外部電極56に電気的に接続される。第2貫通電極54は、第2貫通孔46の内壁に形成された第2金属膜50及び第2引き出し電極32上に形成された第2金属膜50aに接続される。よって、第2引き出し電極32は、第2金属膜50a、第2貫通電極54、第2金属膜50を介して第2外部電極58に電気的に接続される。
【0034】
したがって圧電振動片14を励振する励振電極(第1励振電極26、第2励振電極28)を、外部電極(第1外部電極56、第2外部電極58)を介して圧電振動片14を駆動する駆動回路(不図示)に接続することにより、圧電振動片14を固有の共振周波数で振動させることができる。
【0035】
ところで、本実施形態においては、図1(a)の部分拡大図に示すように第1凸部36の主面、第2凸部38の主面、支持枠24の主面が同一の平面を有するように形成しているが、少なくとも第1凸部36の主面上に形成された第1金属膜48aは前記同一平面を貫通して、即ち第1貫通孔44の開口面を貫通して第1貫通孔44の内部に入り込み、同様に第2凸部38の主面上に形成された第2金属膜50aは前記同一平面を貫通して、即ち第2貫通孔46の開口面を貫通して第2貫通孔46の内部に入り込む形となっている。一方、第1貫通孔44の内壁の全面に第1金属膜48が形成され、第2貫通孔46の内壁の全面に第2金属膜50が形成されている。そして第1金属膜48、48a、第2金属膜50、50aはそれぞれ半田ボール51(図2(b)及び図5参照)が溶解して形成される溶融金属に対して濡れ性を有するため、第1貫通電極52は第1金属膜48、48aに接合し、第2貫通電極54は第2金属膜50、50aに接合しつつ、第1貫通孔44全体、第2貫通孔46全体を封止するように形成することができる。したがって貫通電極と引き出し電極(金属膜)との間に隙間が形成されることを防止して引き出し電極と貫通電極との間で安定した電気的接続を図ることができ、これにより励振電極と外部電極との間で安定した電気的接続を図ることができる。
【0036】
リッド40は水晶等の圧電ベース基板により形成され、その周縁が圧電振動片層の支持枠の主面と接合される。
【0037】
ベース基板42と圧電振動片層12との接合、及び圧電振動片層12とリッド40との接合は固相接合を行うことが好適である。ここで固相接合とは接着剤を用いずに固相同士を接合する方法をいい、直接接合、メタル接合、陽極接合等が挙げられるが、本実施形形態においては直接接合を行うことが好適である。水晶基板に対する直接接合は、平坦性が確保された水晶基板の接合面にプラズマを照射し、接合部を活性化させた後に接合面を当接させて接合させるもの等があり、接合面において直接接合による新たな接合膜は形成されない。直接接合は共晶金属等の蝋材に比べて遥かに少ない接合面積で充分な接合強度が得られ、本実施形態においては接合幅が50μm〜200μm程度でウェハ同士を充分な接合強度で接合できる。
【0038】
また直接接合を行うことにより、ウェハ同士の相対位置にばらつきが抑制される。より具体的にはベース基板42と支持枠24との相対位置にばらつきが抑制されるので、第1凸部36と第1貫通孔44、及び第2凸部38と第2貫通孔46の±Z方向の相対位置にばらつきが抑制される。よって金属膜の形成にばらつきが生じることはなく、さらにその後形成される第1貫通電極52、及び第2貫通電極54の接続状態にばらつきが生じないので圧電振動子10の特性のばらつきを抑制することができる。
【0039】
なおベース基板42、圧電振動片層12、リッド40を同一材料(水晶等の圧電材料)として積層することにより、線膨張係数が各層で互いに一致するため、温度変化に伴う圧電振動片14への応力の発生を抑制して圧電振動片14の発振周波数の誤差を抑制することができる。
【0040】
図3、図4、図5に第1実施形態に係る圧電振動子10の製造工程を示す。まず図3(a)に示すように、矩形のベース基板42を用意し、第1凸部36及び第2凸部38に対向する位置にそれぞれ第1貫通孔44、第2貫通孔46をエッチングまたはサンドブラストにより形成する(図3(b))。
【0041】
次に図4(a)に示すように、圧電振動片層12用の水晶素板60を用意し、水晶素板60に支持枠24、第1連結部16(不図示)、第2連結部18(不図示)、第1引き出し部20、第2引き出し部22、延伸部34(図4では不図示)、第1凸部36、第2凸部38の外形を残して圧電振動片14の厚みになるまで両面からエッチングを行い(図4(b))、支持枠24の外形及び圧電振動片14の厚みまでエッチングされた領域を残し、さらに第1凸部36及び第2凸部38の外形を残して、水晶基板60のベース基板42に対向する面において、第1引き出し部20、第2引き出し部22、延伸部34を所定の厚みになるまでエッチングを行い(図4(c))、支持枠24、第1連結部16、第2連結部18、第1引き出し部20、第2引き出し部22、延伸部34(図4では不図示)、第1凸部36、第2凸部38、圧電振動片14の外形を残して水晶基板60を貫通するまでエッチングすることにより、圧電振動片層12の外形を形成する(図4(d))。そして第1励振電極26、第2励振電極28、第1引き出し電極30、第2引き出し電極32を所定の位置に形成する(図4(e))。
【0042】
この状態で圧電振動片14は固有の発振周波数により発振可能となるので、第1引き出し電極30及び第2引き出し電極32に駆動回路(不図示)を接続して圧電振動片14を駆動させ、図4(f)に示すように第1励振電極26の一部を蒸着法により厚膜化またはアルゴンプラズマ照射によるドライエッチング法を用いて薄膜化することにより周波数調整を行う。
【0043】
次に、以下の工程においては真空チャンバー(不図示)内において行う。図5(a)に示すように、ベース基板42、圧電振動片層12、リッド40を積層する。
すなわち、ベース基板42の周縁と圧電振動片層12の支持枠24とを固相接合(直接接合)により接合し、同様に支持枠24とリッド40とを固相接合(直接接合)により接合する。
【0044】
次に図5(b)に示すように、スパッタ等により第1貫通孔44に第1金属膜48、48aを形成し、第2貫通孔46に第2金属膜50、50aを形成し(部分拡大図参照)、さらにベース基板42の第2面42bの第1貫通孔44の周りに第1外部電極56を形成し、同様に第2貫通孔46の周りに第2外部電極58を形成する。
【0045】
そして図5(c)に示すように、第1貫通孔44および第2貫通孔46に半田ボール51を挿入し、圧電振動片14の内部空間10a内に発生し滞留するガスを第1貫通孔44及び第2貫通孔46から排出した後、半田ボール51にレーザー光(不図示)を照射して半田ボール51を溶解・凝固させることにより、図5(d)に示すように第1貫通孔44を封止する第1貫通電極52が形成され、第2貫通孔46を封止する第2貫通電極54が形成されることにより圧電振動子10が形成される。これにより圧電振動子10内部に内部空間10aが形成され、圧電振動片14は内部空間10aにおいて真空封止される。
【0046】
第2実施形態に係る圧電振動子を図6に示す。図6(a)は側面方向から見た側面断面図(部分拡大図付き)、図6(b)は圧電振動子を構成する圧電振動片の平面図、図6(c)は圧電振動片層の底面図である。第2実施形態に係る圧電振動子70は基本的には第1実施形態の圧電振動子10と構成が類似するが、圧電振動片層72において、凸部(第1凸部及び第2凸部)が支持枠のベース基板に対向する面よりベース基板側に突出して形成されることにより、積層時に凸部が貫通孔の開口面を貫通する構成となっている。
【0047】
このように、第1凸部、第2凸部を形成することにより、各凸部が貫通孔(第1貫通孔、第2貫通孔)に入り込み、各凸部と貫通孔が平面的に干渉するため、ベース基板上に圧電振動片層を積層する際のアライメント性が向上し、積層の際のズレを防止することができる。また凸部における貫通電極の接触面積と貫通孔の内壁の面積とが均衡し、半田ボールが溶解して形成された溶融金属の表面張力が均一化されるので、各凸部に対する貫通電極の機械的な接続信頼性が向上する。さらに第1凸部に形成される第1引き出し電極(及び第1金属膜)と第1貫通電極との接合面積、第2凸部に形成された第2引き出し電極(及び第2金属膜)と第2貫通電極との接合面積が増大するので、引き出し電極と貫通電極との電気的接続の信頼性が第1実施形態の場合よりさらに向上する。
【0048】
図7に第2実施形態の圧電振動子を構成する圧電振動片層の製造工程を示す。
まず、図7(a)に示すように、圧電振動片層12用の水晶素板100を用意し、水晶素板100に第1連結部76(図6参照)、第2連結部78(図6参照)、第1引き出し部80、第2引き出し部82、支持枠84、延伸部86の外形を残して圧電振動片74の厚みになるまで両面からエッチングを行い(図7(b))、第1凸部88の外形、第2凸部90の外形、圧電振動片74の厚みまでエッチングされた領域を残して第1引き出し部80、第2引き出し部82、延伸部84のベース基板42に対向する面から支持枠84の厚みになるまで水晶基板100にエッチングを行い(図7(c))、支持枠84の外形、第1凸部88の外形、第2凸部90の外形、圧電振動片14の厚みまでエッチングされた領域の外形を残してベース基板42に対向する面から第1連結部76、第2連結部78、第1引き出し部80、第2引き出し部82、延伸部86(図7では不図示の厚みになるまで水晶基板100にエッチングを行い(図7(d))、支持枠84、第1凸部88、第2凸部90、第1連結部76、第2連結部78、第1引き出し部88、第2引き出し部90、圧電振動片74の外形を残して水晶基板100を貫通するまでエッチングすることにより、圧電振動片層74の外形を形成する(図7(e))。そして第1励振電極92、第2励振電極94、第1引き出し電96、第2引き出し電極98を所定の位置に形成する(図7(f))。
【0049】
この状態で圧電振動片は固有の発振周波数により発振可能となるので、第1引き出し電極96及び第2引き出し電極98に駆動回路(不図示)を接続して圧電振動片74を駆動させ、図4(g)に示すように第1励振電極92の一部を蒸着法により厚膜化またはアルゴンプラズマ照射によるドライエッチング法を用いて薄膜化することにより周波数調整を行う。ベース基板42、圧電振動片層72、リッド40の積層は第1実施形態と同様なので(図5参照)説明を省略する。
【0050】
なお、第1金属膜48、48a及び第2金属膜50、50aは、ベース基板に圧電振動片層を積層したのちに形成する旨説明したが、積層前に第1貫通孔44、第2貫通孔46の内壁のみにそれぞれ第1金属膜48、第2金属膜50を形成してもよい。
【0051】
図8、図9、図10は、本発明に係る電子部品の第3実施形態である力検出素子であって、図8(a)に力検出素子の側面方向からみた側面断面図、図8(b)は図8(a)の部分詳細図、図8(c)に力検出素子を構成する感圧素子片の底面図、図9はベース基板側からみた分解斜視図、図10はダイアフラム側からみた分解斜視図を示す。
力を直接受けて撓む、例えば被測定圧力を受圧して撓む可撓部を有するダイアフラムに支持部を介して搭載された圧電振動子は、例えば、板状の圧電基板上に電極パターンが形成され、力の検出方向に検出軸を設定しており、前記検出軸の方向に直交する方向から被測定圧力がダイアフラムの受圧部で受圧すると前記可撓部が撓み、前記支持部を介して前記圧電振動子に力が加わると、前記圧電振動子は検出軸の方向に引張り応力が生じるため前記圧電振動子の共振周波数が変化し、前記共振周波数の変化から前記被測定圧力の圧力値を検出する。圧力センサー、受圧手段としてのダイアフラムと、前記ダイアフラムに形成した支持部に搭載された感圧素子(双音叉振動子)とを有し、これらを容器に収容しつつダイアフラムの受圧面を外面に臨ませるようにして真空封止した構成となっている。
【0052】
第3実施形態に係る力検出素子700は、感圧素子としての双音叉振動子705の2本の柱状ビームに形成した励振電極701と、前記励振電極701に接続された引き出し電極(第1引き出し電極702、第2引き出し電極703)とを有する感圧素子片772を、ダイアフラム704の受圧面704aとは反対側の内側の主面704b上に形成した支持部706に搭載された双音叉振動子705であって、前記双音叉振動子705は、前記ベース基板742に対向する主面に形成された凸部(第1凸部736、第2凸部738)と、前記凸部の表面上に形成された引き出し電極(第1引き出し電極702、第2引き出し電極703)と、を有し、前記ベース基板742は、前記凸部に対向する位置に形成された貫通孔(第1貫通孔744、第2貫通孔746)と、前記貫通孔を封止する貫通電極(第1貫通電極752、第2貫通電極754)と、を有するものでありベース基板742、感圧素子片層772、ダイアフラム704により内部空間700aを有する3層構造となっている。
【0053】
ダイアフラム704は、可撓部704cと前記可撓部704cの外縁を囲む厚肉部704dとを有する。
感圧素子片772は、2本の柱状ビームからなる振動部705aと前記振動部705aの両端に位置する基部705bとから構成される双音叉振動子705と、前記双音叉振動子705を囲む矩形の支持枠部773と、前記支持枠部773と前記基部705bとを連結する梁707とを有する。また支持枠部773のベース基板742に対向する主面は、外枠773aと前記外枠の内側に形成され、前記外枠より薄肉に形成された内枠773bを有し、内枠773bに梁707が接続されている。さらに内枠773bの後述の第1貫通孔744に対向する位置に第1凸部736が形成され、後述の第2貫通孔746に対向する位置に第2凸部738が形成されている。また内枠773bには励振電極701に接続された第1引き出し電極702及び第2引き出し電極703が形成されている。なお図12において励振電極701はベース基板742側にのみ形成されたように描かれているが、実際には両面に形成されているものとする。
【0054】
第1実施形態と同様に、感圧素子層712の支持枠773の外枠773aの両面にはそれぞれ、前記ダイアフラム704の厚肉部704dとベース基板742の外縁部742cとが、直接接合を用いて接合されている。同様に一対の基部705bは一対の支持部706と直接接合を用いて接合されている(図8(a)参照)。
一方、第1実施形態と同様に、ベース基板742の第1面742aの反対側の第2面742bから第1面742aに向かって漸次内径を小さくするテーパー状に貫通孔(第1貫通孔744、第2貫通孔746)が形成されている。
【0055】
そして、第1貫通孔744の内壁及び第1凸部736に形成された第1引き出し電極730には夫々金属膜(第1金属膜748、748a)が形成され、第2貫通孔746の内壁及び第2凸部738に形成された第2引き出し電極732には夫々金属膜(第2金属膜750、750a)がスパッタ等により形成される。この第1金属膜748、748a、第2金属膜750、750aを形成すると同時にベース基板742の第2面742bには第1金属膜748と接続する第1外部電極756、第2金属膜750と接続する第2外部電極758を形成することができる。そして第1実施形態と同様に、貫通孔内部には貫通孔を封止する貫通電極(第1貫通電極752、第2貫通電極754)が形成される。第1貫通電極752は第1貫通孔744の内壁に形成された第1金属膜748及び第1引き出し電極730上に形成された第1金属膜748aに接続される(図8(b)参照)。よって第1引き出し電極730は、第1金属膜748a、第1貫通電極752、第1金属膜748を介して第1外部電極756に電気的に接続される。第2貫通電極754は、第2貫通孔746の内壁に形成された第2金属膜750及び第2引き出し電極732上に形成された第2金属膜750aに接続される(図8(b)参照)。よって、第2引き出し電極732は、第2金属膜750a、第2貫通電極754、第2金属膜750を介して第2外部電極758に電気的に接続される。
【0056】
したがって双音叉振動子705を励振する励振電極701を、外部電極(第1外部電極756、第2外部電極758)を介して双音叉振動子705を駆動する駆動回路(不図示)に接続することにより、双音叉振動子705を固有の共振周波数で振動させることができる。ところで、ダイアフラム704が圧力により撓むことにより一対の支持部706は互いに離間するため、これらに接続した一対の基部705bも互いに離間するため、双音叉振動子705の共振周波数が変動することになる。よってこの共振周波数の変動を利用してダイアフラム704が受圧する被圧力測定領域の圧力値を得ることができる。なお、感圧素子層772の製造方法は第1実施形態における圧電振動片層12と同様なので説明を省略する。また第2実施形態のように、第1凸部736及び第2凸部738を支持枠773の外枠773aよりもベース基板742側に突出して形成することも可能である。
【0057】
以上、実施形態として、圧電振動子、力検出素子を前提として述べてきたがこれに限定されることはない。すなわち、積層構造の電子部品において、電子部品を構成し電極を有する電子素子片をベース基板上に搭載して形成される電子部品であって、前記ベース基板は、前記電子素子片に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する封止部材とを有し、前記電子素子片は、前記電子素子片の前記貫通孔に対向する主面に凸部を有するとともに、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記電子素子片に対向する側の開口面を貫通している構成とすることにより、電子素子片の電極と基板側の電極との電気的接続を高い信頼性で実現することができる。
【0058】
さらに、図1(a)、図6(a)、図8(b)に示すように、いずれの実施形態においても、振動片コーナーの引き出し電極表面と貫通孔の開口面との間に隙間10b、70b、700bを確保し、半田ボールで貫通電極を形成する際、内部空間のガスを前記隙間10b、70b、700bを介して外部へ排出して内部空間を真空にしてから、貫通電極を形成するものである。貫通電極は凸部表面の電極膜(引き出し電極、金属膜)と外部電極とを電気的に接続する機能を有する。また、隙間10b、70b、700bは内部空間を真空引きするための機能を有するため、引き出し電極と外部電極とを電気的に接続するために貫通孔を半田ボール等の蝋材で気密に封止する際、従来構造では貫通孔の開口面と引き出し電極とにギャップが存在しているため、気密封止の信頼性並びに電気的な導通を確保する上での信頼性に問題があったが、いずれの実施形態においても、圧電振動片の貫通孔に対向する部位に凸部を設け、前記凸部の表面に引き出し電極を形成したので、前記引き出し電極の凸面が貫通孔の開口面を貫通し、前記貫通孔の内部に入り込んでいるため、半田ボールを溶解させて形成される貫通電極が確実に引き出し電極と外部電極とを電気的に接続させると共に貫通孔を気密封止できるので内部空間を確実に真空にすることができる。
【0059】
図11に第3実施形態の力検出素子の変形例を示す。図11において、破線で囲まれた領域の詳細図は図8(b)の右側のものと同様である。本実施形態において、真空封止する部位は一箇所で良いので、図11に示す変形例のように、貫通孔のうちいずれか一方は、振動片の表面と貫通孔の開口面とが同一平面を形成するように位置してもよく、他方の貫通孔が前述の構造となっていれば良い。このような構造は第1実施形態及び第2実施形態においても同様に適用できる。即ち本発明に係る電子部品は、複数存在する貫通電極のうち、少なくとも一箇所が、振動片コーナーの引き出し部表面と貫通孔の開口面との間に隙間10b、70b、700bを有し、半田ボールで貫通電極を形成する際、内部空間のガスを前記隙間10b、70b、700bを介して外部へ排出して内部空間を真空にしてから、貫通電極を形成する構造を有するものであり、真空引きは前記一箇所のみで行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
10………圧電振動子、12………圧電振動片層、14………圧電振動片、16………第1連結部、18………第2連結部、20………第1引き出し部、22………第2引き出し部、24………支持枠、26………第1励振電極、28………第2励振電極、30………第1引き出し電極、32………第2引き出し電極、34………延伸部、36………第1凸部、38………第2凸部、40………リッド、42………基板、44………第1貫通孔、46………第2貫通孔、48………第1金属膜、48a………第1金属膜、50………第2金属膜、50a………第2金属膜、51………半田ボール、52………第1貫通電極、54………第2貫通電極、56………第1外部電極、58………第2外部電極、60………水晶基板、70………圧電振動子、72………圧電振動片層、74………圧電振動片、76………第1連結部、78………第2連結部、80………第1引き出し部、82………第2引き出し部、84………支持枠、86………延伸部、88………第1凸部、90………第2凸部、92………第1励振電極、94………第2励振電極、96………第1引き出し電極、98………第2引き出し電極、100………水晶基板、202(ab)………蓋体、203………水晶片、204(ab)………凹部、205(ab)………励振電極、206(ab)………貫通孔、207(ab)………引き出し電極、208………導電性接合材、209(ab)………実装電極、301………蓋体用シート状ウェハ、302………貫通孔、303………ベース用シート状ウェハ、304………水晶振動素子、305………水晶ウェハ、306………水晶振動子、307………電気導通路、308………金属粉、401………蓋体用シート状ウェハ、402………貫通孔、403………ベース用シート状ウェハ、404………水晶振動素子、405………水晶ウェハ、406………水晶振動子、407………電気導通路、408………レーザー照射装置、409………金属箔、410………レーザー光、411………金属箔微粒子、700………力検出素子、701………励振電極、702………第1引き出し電極、703………第2引き出し電極、704………ダイアフラム、705………双音叉振動子、706………支持部、707………梁、736………第1凸部、738………第2凸部、742………ベース基板、744………第1貫通孔、746………第2貫通孔、748………第1金属膜、750………第2金属膜、752………第1貫通電極、754………第2貫通電極、756………第1外部電極、758………第2外部電極、772………感圧素子層、773………支持枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子片をベース基板上に搭載して形成される電子部品であって、
前記ベース基板は、前記電子素子片に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する封止部材とを有し、
前記電子素子片は、前記電子素子片の前記貫通孔に対向する主面に凸部を有するとともに、前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記電子素子片に対向する側の開口面を貫通している
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記凸部が、前記開口面を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
励振電極を有する圧電振動片をベース基板上に搭載して形成された圧電振動子であって、
前記ベース基板は、前記圧電振動片に対向する位置に形成された貫通孔と、前記貫通孔を封止する貫通電極とを有し、
前記圧電振動片は、前記圧電振動片の前記貫通孔に対向する主面に凸部と、前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された導電膜と、を有し、
前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通している
ことを特徴とする圧電振動子。
【請求項4】
ベース基板上に圧電振動片層を積層して形成される圧電振動片であって、
前記ベース基板は、
前記凸部に対向する位置に形成された貫通孔と、
前記貫通孔を封止する貫通電極と、を有し、
前記圧電振動片層は、
励振電極を有する圧電振動片と、
前記圧電振動片を支持し、前記ベース基板に接合される支持枠と、
前記圧電振動片に接続された引き出し部と、
前記引き出し部の前記ベース基板に対向する面に形成された凸部と、
前記凸部の表面上に形成されると共に前記励振電極と電気的に接続された導電膜と、を有し、
前記凸部の表面上に形成された導電膜が前記貫通孔の前記圧電振動片に対向する側の開口面を貫通している
ことを特徴とする圧電振動子。
【請求項5】
前記支持枠は、前記ベース基板に固相接合により接合されることを特徴とする請求項4に記載の圧電振動子
【請求項6】
前記凸部は、前記支持枠の前記ベース基板に対向する面より前記基板側に突出して形成され、前記凸部は前記開口面を貫通することを特徴とする請求項4または5に記載の圧電振動子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−263530(P2010−263530A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114274(P2009−114274)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】