説明

電子部品収容体

【課題】 収容部から部品を効率的に取り出す。
【解決手段】 電子部品収容体1は、第1の孔部111xを有した底面111と、この底面111の縁部から延設する側面112とから形成された少なくとも1つの収容部110を有するシート10と、収容部110に収容される電子部品30と、電子部品30と底面111とを接着する接着部40とを備える。接着部40は、第1の孔部111xを収容部11の内側から塞ぐように底面111に接着する紫外線透過材からなる第1の接着部41と、一方の面が第1の接着部41に接着し、他方の面が電子部品30と接着された紫外線吸収により接着強度が低下する第2の接着部42とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品収容体に係り、特に実装機で使用可能な電子部品収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に電子部品を実装する場合、実装機(マウンタ)によって任意の電子部品を自動的に配置する手法が採用されることが多い。実装機で実装される電子部品は、複数の収容部を有した電子部品収容体が使用される。電子部品収容体が有する収容体の夫々には電子部品が1つ収容されている。複数の収容部を有する1つの電子部品収容体では、通常、夫々の収容部に収容されている電子部品は同種である。
【0003】
電子部品の種類によっては、電子部品自体の大きさに比して収容部の容量が大きすぎると、電子部品収容体が搬送される度に収容部の中で電子部品が動き出す。従って、電子部品の1つの面を収容部に貼り付ける手法が多用されている。
【0004】
上記貼り付け手法を採用すると、確かに収容部内での遊びの動きは制限できる。しかし、実際に実装機で所望の部品を電子部品収容体から取り出す際に貼り付けの粘着力の原因で効率よく電子部品収容体から電子部品を取り出すことができない場合もある。
【0005】
特許文献1では、電子部品収容体における電子部品貼り付け領域の一部に部品を突き上げるための押上棒挿入用孔を設けてこの問題を解決している。
【特許文献1】実公平6−27590号公報(2頁、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、収容部と電子部品とを接着する接着部の接着力は接着部の種類や接着領域の大きさ等の理由により一定とはならず、押し上げ棒だけでは収容部から離れない場合も想定される。また、収容部から離れたとしても、接着先が、収容部から押し上げ棒の先端に移ってしまう場合も想定され、この場合、実装機が効率的に電子部品を取り出せない等問題は依然として残っている。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたもので、接着部に紫外線を吸収すると粘着力が落ちる材料を使用することにより、収容部から部品を効率的に取り出せる電子部品収容体を手供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子部品収容体は、第1の孔部を有した底面と、この底面の縁部から延設する側面とから形成された少なくとも1つの収容部を有するシートと、前記収容部に収容される電子部品と、前記電子部品と前記底面とを接着する接着部とを備えた電子部品収容体であって、前記接着部は、前記孔部を前記収容部の内側から塞ぐように前記底面に接着する紫外線透過材からなる第1の接着部と、一方の面が前記第1の接着部に接着し、他方の面が前記電子部品と接着された紫外線吸収により接着強度が低下する第2の接着部とからなることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の電子部品収容体は、底面と、この底面の縁部から延設する側面とから形成された少なくとも1つの収容部を有する紫外線透過材からなるシートと、前記収容部に収容される電子部品と、前記電子部品と前記底面とを接着する接着部とを備えた電子部品収容体であって、前記接着部は、前記孔部を前記収容部の内側から塞ぐように前記底面に接着する紫外線透過材からなる第1の接着部と、一方の面が前記第1の接着部に接着し、他方の面が前記電子部品と接着された紫外線吸収により接着強度が低下する第2の接着部とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
収容部から部品を効率的に取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品収容体の外観を示した斜視図である。図2は、図1の側面側からみた断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本電子部品収容体1は、シート10と、カバーシート20と、電子部品30と、接着部40とを主たる構成要素とする。
【0013】
シート10は、例えば幅数mm〜数10mm、厚さ0.5mm〜数mmのプラスチック製シートであり、部品を収容する役目を担う。シート10は、本体部11と送り部12とを有する。本体部11は、少なくとも1つの収容部110を有し、部品を収容する。送り部12は、実装機の部品搬送機能を利用するために複数の送り孔部121(不図示)を有する。
【0014】
カバーシート20は、例えば幅数mm〜数10mm、厚さ0.5mm〜数mmのプラスチック製シートであり、部品を収容したシート10の開口部を塞ぐ役目を担う。カバーシート20は、本体部21と送り部22を有する。但し、送り部12が既に搬送機能を有している為、カバーシート20においては、送り部22は必ずしも有していなくても良い。
【0015】
本体部21は開口部を塞ぐ。送り部22は、実装機の部品搬送機能を利用するために複数の孔送り孔部221(図1)を有する。
【0016】
電子部品30は、収容部110に収容される電子部品であり、実装機でプリント配線板上に実装される部品である。電子部品30は、例えばチップコンデンサ等の受動部品が考えられるが、実装機で使用できるものであれば受動部品に限らず、能動部品であっても良い。
【0017】
接着部40は、電子部品30とシート10とを接合する役目を担う。この接合方法の詳細は後述する。
【0018】
次に、図3と図4を参照して収容部110への電子部品30の収容方法を説明する。
【0019】
図3は、図2におけるAの領域を拡大した図である。図4は、図3の各要素を展開した図である。
【0020】
図3に示すように、シート10の収容部110は、底面111と側面112とから形成された略凹状の形状を有している。即ち、底面111の縁部から側面112が上方に延設し、略凹状の形状を有する。
【0021】
収容部110の大きさは目的とする電子部品30を有用するのに十分な大きさを有する。本実施例では電子部品30としてチップコンデンサを図示している。図4に示すようにチップコンデンサである電子部品30は、天面30aと、底面30bと、側面30c,30d,30e,30fとで囲まれ、例えば長さ2.0mm、幅1.0mm、高さ1.0mmの直方体を形成している。また、電子部品30は、部品本体31と、部品本体31の両端に位置する2つの電極部32から構成されている。
【0022】
従って、収容部110の底面111は、少なくとも部品接着面となる底面30bより大きな面積を有する。また、底面111から立ち上がった側面112は、底面からの高さが電子部品30の高さよりも高いことを要する。更に、側面112の底面111と延設していない一端は、本体部11と延設している。但し、底面111と対向する部分は開口部を形成している。
【0023】
ところで、シート10は、収容する電子部品30によって材質を変えることが好ましい。例えば、電子部品30がICチップ等の静電気に弱い部品である場合には、カーボン材を含んだものが好ましい。一方、電子部品30が抵抗やコイル等、静電気に弱くない部品である場合には、必ずしもカーボン材を含まなくても良い。
【0024】
従って、シート10がカーボン材を含んだことで紫外線を遮断する性質のものである場合には、後述する第1の孔部111xは必須となるが、シート10が紫外線を遮断しない性質のものである場合には、必ずしも第1の孔部111xは必須のものではない。
【0025】
カバーシート20は、第1の面20aと、第2の面20bとを有する。第2の面20bには、本体部11の第1の面11aと対向して接合する。この接合する領域には予め所定の接着剤が付されており、この接着剤にて両者は接着される。尚、接着剤を使用しない場合には両者を熱圧着することで接合する。
【0026】
収容部110は、第1の孔部111xと、第2の孔部111yとを有する。第1の孔部111xは、後述する部品取り出し治具300のノズル301を挿入するための孔部である。第1の孔部111xは、例えば直径1mmの円形の孔部である。第2の孔部111yは、収容部110内と外気との気圧差を軽減するための密閉防止の孔部である。第2の孔部111yは、例えば直径0.5mmの円形の孔部である。尚、第2の孔部111yは、側面112に設けても良い。即ち、第2の孔部111yは第1の面112aと第2の面112bとを貫通した孔部であっても良い。
【0027】
接着部40は、第1の接着部41と第2の接着部42とから構成される。
【0028】
第1の接着部41は、例えば長さ1.6mm、幅0.8mm、厚さ0.5mmの接着シートであり、紫外線を透過する性質を有する。第1の接着部41は、第1の面41aと、第2の面41bとを有する。第1の接着部41は、例えばポリオレフィン系の基材の両面にアクリル系の粘着材が付されたものが考えられる。但し、接着剤は第2の面41b側のみに付されているほうがより好ましい。第1の面41aと電子部品30の底面30bとが接着して離れない場合が発生しうるからである。
【0029】
また、第2の接着部42は、例えば直径1.0mm、厚さ0.5mmの円形の接着シートであり、第1の面42aと、第2の面42bとを有する。第2の接着部42は、例えばポリオレフィン系の基材の両面にアクリル系の粘着材が付されいわゆるUVシートが考えられる。但し、第1の面42a側の接着剤は、紫外線を吸収することでその接着強度が低下する性質を有する。一方、第2の面42b側の接着剤は紫外線を吸収しても接着強度が低下しない通常の接着剤を使用する。
【0030】
第1の接着部41は、収容部110の底面111と接合する。即ち、第1の接着部41の第2の面41bと、底面111の第1の面111aとを対向させて接合させることで、第1の接着部41と本体部11とが接着する。この際、第2の面41bは第1の孔部111xを塞ぐように接合する。但し、第2の孔部111yは塞がない。
【0031】
第2の接着部42は、第1の接着部41と接合する。即ち、第1の接着部41の第1の面41aと、第2の接着部42の第2の面42bとを対向させて接合させることで、第1の接着部41と第2の接着部42とが接着する。この際、第2の面42bは、第1の面41aとのみ接合するようにする。従って、第2の面42bの面積は、第1の面41aの面積より小さいことを要する。
【0032】
電子部品30は、第2の接着部42と接合する。即ち、第2の接着部42の第1の面42aと、電子部品30の底面30bとを対向させて接合させることで、電子部品30と第2の接着部42とが接着する。この際、第1の面42aは、底面30bとのみ接合し、側面30c,30d,30e,30fには接合しないようにする。従って、第1の面42aの面積は、底面30bの面積よりも小さいことを要する。
【0033】
以上のような接合方法をとることで、図3に示すような電子部品収容体1が得られる。
【0034】
次に、実装機による部品の取り出し方法を説明する。
【0035】
図5は、電子部品収容体1への紫外線照射方法を示した図である。図6は、電子部品30の取り出し方法を示した図である。
【0036】
本実施の形態における部品の取り出し方法は、以下の4つのステップを経る。即ち、まず図3に示した状態からカバーシート20を実装機のカバーシート巻き取り機構(不図示)で巻き取り、シート10の開口部を露出させる(ステップS1)。次に、実装機の部品吸着機構(不図示)で電子部品30の天面30aを吸着する(ステップS2)。次に、図5に示すように、紫外線射出機200によりシート10の底面111に対し、第2の面111b側から紫外線を照射する(ステップS3)。そして、ステップS3と同時期に、図6に示すように、取り出し補助治具である部品取り出し治具300を、第1の面111aの第1の孔部111xに挿入して第1の接着部41を突き出すことで電子部品30を取り出す(ステップS4)。
【0037】
ここで、紫外線射出機200は、実装機の一機能として有しており、少なくとも第2の面42bの全ての領域、あるいは第1の孔部111xにめがけて照射できるように紫外線射出機200の径や照射方法を調整する。例えば、シート10が、第1の孔部111xを有する場合には紫外線射出機200を第1の孔部111xに絞り込むように射出径を調整する。一方、シート10が第1の孔部111xを有しない場合には、例えば第2の面111bの全面にめがけて射出径を調整する。
【0038】
ステップS3により、紫外線射出機200より射出された紫外線201は、底面111を介して第2の接着部42に照射される。既述のように第1の接着部41は、紫外線透過材で形成されている為、紫外線201の殆どが第2の接着部42に照射されることとなる。
【0039】
また、紫外線201を受けた第2の接着部42は、紫外線吸収により第1の面42aに付された接着剤の粘着力が低下する。従って、第1の面42aと底面30bとの接合が弱くなる。
【0040】
ステップS4において、部品取り出し治具300は、実装機(不図示)の一機能として有しており、ノズル301と挿入部302から構成される。従って、ノズル301部分の第1の孔部111xへの移動により連動している挿入部302が第1の孔部111xに挿入され第1の接着部41及び第2の接着部42を介して電子部品30を突き出すこととなる。
【0041】
既述のように、紫外線201が照射された電子部品収容体1は、既に第2の接着部42の粘着力が低下しているため、部品吸着機構で簡単に取り出すことができる。また、部品取り出し治具300の突き出しにより更に容易に電子部品30が収容部110からはがされることなる。従って、収容部から部品を効率的に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子部品収容体の外観を示した斜視図。
【図2】図1の側面側からみた断面図。
【図3】図2におけるAの領域を拡大した図。
【図4】図3の各要素を展開した図。
【図5】電子部品収容体1への紫外線照射方法を示した図。
【図6】電子部品30の取り出し方法を示した図。
【符号の説明】
【0043】
1 電子部品収容体
10 シート
11 本体部
12 送り部
110 収容部
20 カバーシート
21 本体部
22 送り部
221 送り孔部
30 電子部品
30a 天面
30b 底面
30c,30d,30e,30f 側面
40 接着部
31 部品本体
32 電極部
11a,20a,41a,42a,111a,112a 第1の面
11b,20b,41b,42b,111b,112b 第2の面
200 紫外線射出機
201 紫外線
300 部品取り出し治具
301 ノズル
302 挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の孔部を有した底面と、この底面の縁部から延設する側面とから形成された少なくとも1つの収容部を有するシートと、
前記収容部に収容される電子部品と、
前記電子部品と前記底面とを接着する接着部と
を備えた電子部品収容体であって、
前記接着部は、
前記孔部を前記収容部の内側から塞ぐように前記底面に接着する紫外線透過材からなる第1の接着部と、
一方の面が前記第1の接着部に接着し、他方の面が前記電子部品と接着された紫外線吸収により接着強度が低下する第2の接着部と、
からなることを特徴とする電子部品収容体。
【請求項2】
前記底面と延接していない側の前記側面の端部周辺に、前記底面に対向するように接合されたカバーシートを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品収容体。
【請求項3】
前記第1の接着部は、前記底面より小さな面積を有し、前記底面の領域内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収容体。
【請求項4】
前記第2の接着部は、前記第1の接着部より小さな面積を有し、前記第1接着部の領域内に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収容体。
【請求項5】
前記収容部は、前記第1の接着部が接着されていない領域に第2の孔部を有したことを特徴とする請求項2に記載の電子部品収容体。
【請求項6】
前記シートは、紫外線を遮断する材質からなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品収容体。
【請求項7】
底面と、この底面の縁部から延設する側面とから形成された少なくとも1つの収容部を有する紫外線透過材からなるシートと、
前記収容部に収容される電子部品と、
前記電子部品と前記底面とを接着する接着部と
を備えた電子部品収容体であって、
前記接着部は、
前記孔部を前記収容部の内側から塞ぐように前記底面に接着する紫外線透過材からなる第1の接着部と、
一方の面が前記第1の接着部に接着し、他方の面が前記電子部品と接着された紫外線吸収により接着強度が低下する第2の接着部と、
からなることを特徴とする電子部品収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−71970(P2008−71970A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249946(P2006−249946)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】