説明

電子部品実装基板用水性コーティング剤

【課題】 皮膜面にワキと呼ばれる膨れが発生し難い電子部品実装基板用水性コーティング剤を実現する。
【解決手段】 熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング剤3にフッ素系水性撥水撥油剤を固形分として50〜500重量ppm添加し、その水性コーティング3をコーティングした電子部品実装基板を100℃以上で5分間乾燥させると、皮膜面に発生するワキを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品実装基板用水性コーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装基板をコーティングするコーティング剤として、水に樹脂を添加してなる水性コーティング剤が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−155904号公報(請求項1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来の水性コーティング剤は、皮膜内に閉じこめられた水分の蒸発によって皮膜面にワキと呼ばれる膨れが発生するという問題がある。図5は電子部品実装基板に従来の水性コーティング剤がコーティングされた状態を示す模式図であり、(a)は加熱前の状態、(b)は樹脂粒子同士が融着した状態、(c)は皮膜面にワキが発生した状態を示す。
【0005】
図5(a)に示すように、電子部品実装基板1の基板面には、チップコンデンサ2,2が実装されており、基板面および各コンデンサ2には、水性コーティング剤5がコーティングされている。この状態では、水5aの中に樹脂粒子5bが分散している。そして、水性コーティング剤5を加熱すると、図5(b)に示すように、水5aが表層から蒸発し、樹脂粒子5b同士が融着する。
【0006】
しかし、水性コーティング剤は、その表層から乾燥して皮膜が形成されるため、その皮膜によって閉じこめられている水分が蒸発してワキ4が形成されてしまう。特に、図5(c)に示すチップコンデンサ2,2のように電子部品間の間隔が狭いと、水性コーティング剤5の表面張力によって、その電子部品間の皮膜厚が厚くなり、皮膜によって閉じこめられる水分量が多くなるため、その皮膜面にワキ4が発生し易い。
【0007】
そこでこの発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、皮膜面にワキと呼ばれる膨れが発生し難い電子部品実装基板用水性コーティング剤の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング原液(3a)にフッ素系水性撥水撥油剤(3b)を固形分として50〜500重量ppm添加してなることを特徴とする電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)という技術的手段を用いる。
【0009】
熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング原液(3a)にフッ素系水性撥水撥油剤(3b)を固形分として50〜500重量ppm添加してなる電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)によって電子部品実装基板をコーティングすれば、皮膜面におけるワキの発生を低減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)において、アセチレンアルコール類が添加されてなるという技術的手段を用いる。
【0011】
熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング原液(3a)にフッ素系水性撥水撥油剤(3b)を固形分として50〜500重量ppm添加してなる電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)にアセチレンアルコール類を添加することにより、コーティング面における濡れ性を良くすることができる。
したがって、電子部品実装基板の絶縁性などの品質を高めることができる。
【0012】
特に、請求項3に記載の発明のように、アセチレンアルコール類を0.3〜1.2重量%添加することにより、コーティング面における濡れ性をより一層良くすることができるため、電子部品実装基板の絶縁性などの品質をより一層高めることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)において、グリコール類が添加されてなるという技術的手段を用いる。
【0014】
熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング剤(3a)にフッ素系水性撥水撥油剤(3b)を固形分として50〜500重量ppm添加してなる電子部品実装基板用水性コーティング原液(3)にグリコール類を添加することにより、粘度を高めることができる。
したがって、水性コーティング剤をスプレーコーティングするときの飛散を低減することができる。
【0015】
特に、請求項5に記載の発明のように、グリコール類を0.3〜8.0重量%添加することにより、粘度を高めて飛散を低減することができ、かつ、皮膜厚を薄くすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)において、前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーであるという技術的手段を用いる。
【0017】
熱可塑性エラストマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることにより、ゴム弾性を有し、かつ、耐候性および耐熱性に優れたコーティング皮膜を形成することができる。
【0018】
特に、請求項7に記載の発明のように、スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体を用いることにより、低温から常温で弾力があり、さらに高温になると(約70℃から)弾性率が低下して軟らかくなり、蒸気の透過率が増大するという特性を与えることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、電子部品実装基板(1)にコーティングされた請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)を10℃以上、かつ、電子部品実装基板に実装された電子部品(2)の耐熱温度未満で加熱して乾燥させるという技術的手段を用いる。
【0020】
電子部品実装基板(1)にコーティングされた電子部品実装基板用水性コーティング剤(3)を100℃以上、かつ、電子部品実装基板に実装された電子部品(2)の耐熱温度未満で加熱して乾燥させることにより、ワキの発生を低減し、かつ、乾燥時間を短縮することができる。
【0021】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〈考察〉
本願発明者らは、熱可塑性エラストマーを主成分とした水性コーティング剤によって電子部品実装基板(以下、基板という)をコーティングした場合の皮膜の形成過程について考察した。図1は電子部品実装基板に電子部品実装基板用水性コーティング剤(以下、水性コーティング剤という)がコーティングされた状態を示す模式図であり、(a)はコーティング直後の状態、(b)は熱可塑性エラストマー粒子同士が融着した状態、(c)は皮膜を示す。
【0023】
図1(a)に示すように、上記の水性コーティング剤3を基板1の基板面にコーティングした状態では、水3aに熱可塑性エラストマー粒子3bが分散された状態になっている。このような状態において、水性コーティング剤3を加熱すると、水性コーティング剤3の表層から乾燥が進行し、表層から皮膜が形成される。そして、皮膜によって閉じこめられた水分が存在する場合、その水分が蒸発してワキを形成する。
【0024】
そこで、本願発明者らは、表層からの皮膜形成を抑制できれば、ワキの発生を低減することができるのではないかと考えた。そして、表層からの皮膜形成を抑制するためには水性コーティング剤の表層部の性質を、乾燥し難い性質に変える必要があると考えた。そして、水性コーティング剤の主成分樹脂である熱可塑性エラストマーと相容性がない材料を微量添加すると、コーティング後にその材料が表層部に移動し、表層部の乾燥を抑制すると考えた。
【0025】
そして、その材料としてフッ素系水性撥水撥油剤を選択し、それを熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング原液に微量添加したものを基板にコーティングすると、乾燥工程において上記の微量添加されたフッ素系水性撥水撥油剤が皮膜表層部に移行し、その皮膜表層部の乾燥および融着を抑制することが分かった。
【0026】
また、本願発明者らは、水性コーティング剤3の表面における水蒸気の透過率が高くなっている間に水分を活発に蒸発させることができれば、乾燥時間を短縮できると考えた。そこで、水性コーティング剤3を100℃以上で加熱すると、水3aの蒸気圧が大気圧以上になるとともに、水性コーティング剤3が軟化し、水性コーティング剤3の表層は水蒸気の透過率が上昇するため、水性コーティング剤3に含まれる水3aが最表面を通して円滑に蒸発することが分かった。
【0027】
以上より、水性コーティング剤に微量のフッ素系水性撥水撥油剤を添加し、かつ、水性コーティング剤を100℃以上の温度下で乾燥させればワキの発生を低減できるとともに乾燥時間を短縮できることが分かった。つまり、図1(b)に示すように、ワキの原因となる水3aが存在せず、熱可塑性エラストマー粒子3b同士が融着した状態になり、図1(c)に示すように、ワキのない皮膜3cを短時間で形成できることが分かった。
【0028】
〈実験〉
(コーティング剤)
この実験では、熱可塑性エラストマーとしてSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)を使用し、フッ素系水性撥水撥油剤として株式会社フロロテクノロジー製のフロロサーフFS−6130を使用した(「フロロサーフ」は、株式会社フロロテクノロジーの登録商標)。
【0029】
SEBSは、低温から常温で弾力があり、さらに高温になると(約70℃から)弾性率が低下して軟らかくなり、蒸気の透過率が増大する特性を有する。また、フロロサーフは、特殊なフッ素樹脂を不燃性のフッ素系溶剤や有機溶剤に溶解し溶液化したものであり、撥水撥油効果を発揮し、乾燥後はフッ素樹脂皮膜が形成される。
【0030】
ところで、ワキは皮膜厚が厚くなるほど発生し易くなるため、水性コーティング剤を薄く(たとえば、皮膜厚が50μm以下に)塗布する必要がある。本願発明者らの実験によれば、水性コーティング剤を薄く塗布するのに適した水性コーティング剤の固形分は20重量%以下であることが分かった。
【0031】
しかし、固形分を少なくするために水性コーティング剤の原液を希釈すると、基板面で濡れ性が低下し、はじきと呼ぶ塗布不良が発生することがある。この対策として一般的に濡れ改良剤(水の表面張力を小さくする作用をする)を添加するが、濡れ改良剤が乾燥後に形成される皮膜中に残留すると、皮膜の絶縁性を低下させるおそれがある。
【0032】
そこで、本願発明者らは、はじきが発生せず、かつ、皮膜中に残留しない濡れ改良剤としてアセチレンアルコール類が適していることを実験により見出した。また、アセチレンアルコール類の添加量は、0.3〜1.2重量%が最適であることを実験により見出した。この実施形態における実験では、アセチレンアルコール類として、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールを使用した。
【0033】
また、水性コーティング剤をスプレー方式で塗布する場合、コーティングが不要な領域への水性コーティング剤の飛散を極力抑える必要がある。また、前述の濡れ改良剤と同様に乾燥後に形成される皮膜中に残留しない必要もある。
そこで、本願発明者らは、飛散が少なく、かつ、皮膜中に残留しない添加剤として揮発性のグリコール類が適していることを実験により見出した。また、グリコール類の添加量は、0.3〜8.0重量%が最適であることを実験により見出した。この実施形態における実験では、グリコール類として、プロピレングリコールを使用した。
【0034】
つまり、この実験では、SEBSを水に対して固形分20重量%に希釈してコーティング原液を作成し、そのコーティング原液にフロロサーフを50〜500重量ppm、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールを0.3〜1.2重量%、プロピレングリコールを0.3〜8.0重量%それぞれ添加してなる水性コーティング剤を使用した。この水性コーティング剤の粘度は、50mPa・s以下である。
【0035】
(実験装置)
上記の水性コーティング剤3をスプレー方式でコーティングする装置として、ノ−ドソン株式会社製のフィルムコートガンを使用した。また、コーティングされた基板1を乾燥させるための乾燥装置として、乾燥温度を80℃〜120℃に設定できる公知の温風乾燥室を使用した。また、コーティング対象となる基板として、基板面にフラックス処理が施され、複数(たとえば、100〜200個)のチップコンデンサなどの電子部品が実装されたものを使用した。
【0036】
(評価方法)
コーティング皮膜が不良であるか否かの評価は、コーティングされた基板に実装された電子部品の皮膜面に発生したワキの大きさによって判定した。図2は、ワキの大きさの定義を示す説明図である。例えば、チップコンデンサ2の両端に設けられた電極2a間の距離をL1、電極2a間の皮膜3cに発生したワキ4の幅をL2とした場合に、ワキ4の幅L2と電極2a間の距離との比率(L2/L1)を膨れ率と定義した。
【0037】
そして、コーティングされた電子部品のうち、膨れ率が100を超えたワキが発生した電子部品を不良であると評価した。また、不良と評価した電子部品数の全電子部品数に対する比率を不良率(%)として算出した。
【0038】
(実験1)
本願発明者らは、乾燥温度が不良率および乾燥時間に与える影響について実験を行った。先ず、フロロサーフを150〜200重量ppm添加した水性コーティング剤3を作成し、それをフィルムコートガンを用いて基板1の基板面にコーティングした。このコーティングは、コーティング領域における皮膜厚の平均が約20μmになるように行った。次に、そのコーティングされた基板1を温風乾燥室内に配置し、85℃の温度下で5分間乾燥させた。次に、温風乾燥室から基板1を取出し、実体顕微鏡を用い、ワキの膨れ率が100を超えている電子部品の個数を計数した。そして、その計数値を全電子部品数で除して不良率(%)を算出した。
【0039】
以降、乾燥温度を5℃刻みで115℃まで上げ、各乾燥温度における不良率を85℃の場合と同じ方法で算出した。各乾燥温度における乾燥時間は同じ5分間であり、同じ水性コーティング剤3を用いた。また、乾燥温度を上げる毎に新たな基板1を使用した。各乾燥温度で使用した各基板1は、実装された電子部品の数が同じものである。
【0040】
図3は、この実験により求めた乾燥温度および不良率の関係を示すグラフである。このグラフから分かるように、100℃以上の乾燥温度で5分間乾燥させると不良率が0%になった。つまり、乾燥温度を100℃以上、かつ、基板1の耐熱温度未満に設定することにより、ワキを低減することができ、かつ、乾燥時間を5分間に短縮できることが分かった。つまり、乾燥に数時間を要していた従来の水性コーティングよりも乾燥時間を大幅に短縮することができた。
【0041】
(実験2)
次に、本願発明者らは、フロロサーフの添加量が不良率に与える影響について実験を行った。先ず、フロロサーフを10重量ppm添加した水性コーティング剤3を作成し、それをフィルムコートガンを用いて基板1の基板面にコーティングした。次に、その基板1を温風乾燥室内に配置し、105℃の温度下で5分間乾燥させた。次に、実験1と同様の方法によって不良率(%)を算出した。
【0042】
次に、乾燥温度を5℃刻みで115℃まで上げ、各乾燥温度における不良率を105℃の場合と同じ方法で算出した。そして、各乾燥温度で算出した不良率の中で最も悪い不良率を、フロロサーフの添加量が10重量ppmの場合の不良率に決定した。
以降、フロロサーフの添加量を100重量ppm、200重量ppm、300重量ppm、500重量ppm、550重量ppmと順に増量し、各添加量における不良率を10重量ppmの場合と同じ方法で算出した。各添加量における実験条件は同じであり、添加量を増量する毎に新たな基板1を使用した。各添加量で使用した各基板1は、実装された電子部品の数が同じものである。
【0043】
図4は、この実験により求めたフロロサーフの添加量および不良率の関係を示すグラフである。このグラフから分かるように、フロロサーフの添加量が50重量ppm以上になると不良率が0%になった。また、フロロサーフの添加量が500重量ppmを超えると、水性コーティング剤3の濡れ性が低下し、皮膜が形成されない領域が発生した。
つまり、フロロサーフの添加量を50〜500重量ppmに設定することにより、ワキを低減することができ、かつ、皮膜が形成されない領域が発生しないことが分かった。
【0044】
<他の実施形態>
(1)フロロサーフの添加量を100〜300重量ppmに設定すると、ワキの低減および良好な濡れ性を安定して維持できることが分かった。
【0045】
(2)スチレン系水性コーティング剤は、アセチレンアルコール類およびグリコール類などの溶剤の添加過多によりゲル化してしまう。また、ゲル化する添加量は溶剤の種類で異なる。そこで、アセチレンアルコール類の添加量を0.3〜0.9重量%に設定すると、良好な濡れ性および水性コーティング剤のゲル化防止を安定して維持できることが分かった。
【0046】
(3)グリコール類の添加量を2.0〜5.0重量%に設定すると、スプレーコーティングする際の水性コーティング剤の飛散抑制および水性コーティング剤のゲル化防止を安定して維持できることが分かった。
【0047】
(4)熱可塑性エラストマーとしてSEBSの他、SES(スチレン−エチレン−スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソブレン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体)などを用いることもできる。
【0048】
(5)グリコール類としてプロピレングリコールの他、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどを用いることもできる。
【0049】
(6)アセチレン系アルコール類として3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールの他、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オールなどを用いることもできる。
【0050】
(7)コーティング時の水性コーティング剤のはじき防止を考慮しない場合は、特に、アセチレンアルコール類を添加する必要はなく、この場合もワキの発生を低減することができる。
【0051】
(8)コーティング時の水性コーティング剤の飛散防止を考慮しない場合は、特に、グリコール類を添加する必要はなく、この場合もワキの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】電子部品実装基板に電子部品実装基板用水性コーティング剤(以下、水性コーティング剤という)がコーティングされた状態を示す模式図であり、(a)はコーティング直後の状態、(b)は熱可塑性エラストマー粒子同士が融着した状態、(c)は皮膜を示す。
【図2】ワキの大きさの定義を示す説明図である。
【図3】実験により求めた乾燥温度および不良率の関係を示すグラフである。
【図4】実験により求めたフロロサーフの添加量および不良率の関係を示すグラフである。
【図5】電子部品実装基板に従来の水性コーティング剤がコーティングされた状態を示す模式図であり、(a)は加熱前の状態、(b)は樹脂粒子同士が融着した状態、(c)は皮膜面にワキが発生した状態を示す。
【符号の説明】
【0053】
1・・基板、2・・チップコンデンサ、3・・水性コーティング剤、3a・・水、
3b・・熱可塑性エラストマー粒子、3c・・皮膜、4・・ワキ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーを主成分とする水性コーティング原液にフッ素系水性撥水撥油剤を固形分として50〜500重量ppm添加してなることを特徴とする電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項2】
アセチレンアルコール類が添加されてなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項3】
前記アセチレンアルコール類の添加量が0.3〜1.2重量%であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項4】
グリコール類が添加されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項5】
前記グリコール類の添加量が0.3〜8.0重量%であることを特徴とする請求項4に記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項7】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項6に記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤。
【請求項8】
電子部品実装基板にコーティングされた請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の電子部品実装基板用水性コーティング剤を100℃以上、かつ、電子部品実装基板に実装された電子部品の耐熱温度未満で加熱して乾燥させることを特徴とする電子部品実装基板用水性コーティング剤の乾燥方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−13526(P2010−13526A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173656(P2008−173656)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】