説明

電子部品実装装置およびテープフィーダならびにテープフィーダにおけるトップテープ送り方法

【課題】トップテープのテンションによるテープ押さえ部材の浮き上がりに起因するテープ押さえ部材の挙動不安定を抑制して電子部品のピックアップミスを防止することができる電子部品実装装置およびテープフィーダならびにテープフィーダにおけるトップテープ送り方法を提供することを目的とする。
【解決手段】テープフィーダ5においてキャリアテープ15から剥離されたトップテープ15eをピッチ送り方向と反対側に導いて送るに際し、トップテープ15eをテープ押さえ部材21において吸着位置の上流側に上方に突出して設けられた突出部26の上面を介して斜め下方に導いて、テープ押さえ部材21の浮き上がりを防止する。これにより、トップテープ15eのテンションによるテープ押さえ部材21の浮き上がりに起因するテープ押さえ部材21の挙動不安定を抑制して、電子部品のピックアップミスを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置およびキャリアテープに保持された電子部品をピッチ送りして電子部品実装装置の吸着位置に供給するテープフィーダならびにテープフィーダにおけるトップテープ送り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置において、実装ヘッドのノズルによる吸着位置に電子部品を供給する方法として、テープフィーダを用いる方法が知られている。この方法は、電子部品を保持するキャリアテープを供給リールから引き出し、電子部品の実装タイミングに同期させてピッチ送りしてノズルに供給するものである。キャリアテープの上面には、電子部品の保護と脱落防止のためトップテープが貼着されており、トップテープは吸着位置に送られる手前でキャリアテープから剥離される。そして剥離されたトップテープはピッチ送り方向と反対方向に折り返されて、送りローラなどに挟まれて送られ、トップテープを収容するテープ収納容器内に導かれる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−188581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献例を含め、従来技術においてはトップテープを後方に送るためのテンションに起因して、吸着位置においてキャリアテープを上面側から押さえてガイドするテープ押さえ部材の位置が不安定になる傾向があった。すなわち、トップテープは吸着位置に設けられた吸着開口の後縁部を周回することによってキャリアテープから剥離され、ピッチ送り方向と反対方向に送られる。このとき、トップテープには弛みを防止するためのテンションが付与されており、このテンションは吸着開口が設けられたテープ押さえ部材を斜め上方に持ち上げるように作用する。そしてこの持ち上げる作用が大きい場合には、テープ押さえ部材が浮き上がり、テープ押さえ部材の挙動が不安定となる結果、キャリアテープのピッチ送り動作が安定して行われず、部品位置ずれや上下方向の微振動などを誘発し、電子部品のピックアップミスを招く場合があった。
【0005】
そこで本発明は、トップテープのテンションによるテープ押さえ部材の浮き上がりに起因するテープ押さえ部材の挙動不安定を抑制して電子部品のピックアップミスを防止することができる電子部品実装装置およびテープフィーダならびにテープフィーダにおけるトップテープ送り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品実装装置は、部品供給部に配列されたテープフィーダから実装ヘッドによって電子部品を取り出して基板保持部に位置決め保持された基板に実装する電子部品実装装置であって、前記テープフィーダは、電子部品の上面をトップテープで覆って保持したキャリアテープをテープ押さえ部材によってテープ走行路に押さえつけた状態でピッチ送りすることにより、前記電子部品を前記実装ヘッドによる吸着位置に供給し、さらに前記テープフィーダは、前記キャリアテープをピッチ送りするピッチ送り機構と、前記吸着位置の手前で前記キャリアテープから剥離された前記トップテープをピッチ送り方向と反対側の斜め下方へ導いて送るトップテープ送り機構と、前記テープ押さえ部材において前記吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部とを備え、前記トップテープ送り機構において、前記剥離されたトップテープを前記突出部の上面を介して導くことにより、前記テープ押さえ部材の浮き上がりを防止する。
【0007】
本発明のテープフィーダは、電子部品の上面をトップテープで覆って保持したキャリアテープをテープ押さえ部材によってテープ走行路に押さえつけた状態でピッチ送りすることにより、前記電子部品を電子部品実装装置の実装ヘッドによる吸着位置に供給するテープフィーダであって、前記キャリアテープをピッチ送りするピッチ送り機構と、前記吸着位置の手前で前記キャリアテープから剥離された前記トップテープをピッチ送り方向と反対側の斜め下方へ導いて送るトップテープ送り機構と、前記テープ押さえ部材において前記吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部とを備え、前記トップテープ送り機構において、前記剥離されたトップテープを前記突出部の上面を介して導くことにより、前記テープ押さえ部材の浮き上がりを防止する。
【0008】
本発明のテープフィーダにおけるトップテープ送り方法は、電子部品の上面をトップテープで覆って保持したキャリアテープをテープ押さえ部材によってテープ走行路に押さえつけた状態でピッチ送りすることにより、前記電子部品を電子部品実装装置の実装ヘッドによる吸着位置に供給するテープフィーダにおいて、前記キャリアテープから剥離された前記トップテープをピッチ送り方向と反対側の斜め下方に導いて送るテープフィーダにおけるトップテープ送り方法であって、前記剥離されたトップテープを、前記テープ押さえ部材において前記吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部の上面を介して導くことにより、前記テープ押さえ部材の浮き上がりを防止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、テープフィーダにおいてキャリアテープから剥離されたトップテープをピッチ送り方向と反対側に導いて送るに際し、剥離されたトップテープをテープ押さえ部材において吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部の上面を介して斜め下方に導いてテープ押さえ部材の浮き上がりを防止することにより、トップテープのテンションによるテープ押さえ部材の浮き上がりに起因するテープ押さえ部材の挙動不安定を抑制して電子部品のピックアップミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分断面図
【図3】本発明の一実施の形態のテープフィーダの構成説明図
【図4】本発明の一実施の形態のテープフィーダのピッチ送り機構およびトップテープ送り機構の構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態のテープフィーダにおけるトップテープ送り方法の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2を参照して、基板に電子部品を実装する電子部品実装装置1の構成を説明する。電子部品実装装置1は、基板に半導体チップなどの電子部品を実装する機能を有するものであり、図2は、図1におけるA−A断面を部分的に示している。
【0012】
図1において基台1aの中央にはX方向(基板搬送方向)に基板搬送機構2が配設されている。基板搬送機構2は上流側から搬入された基板3を搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに位置決めして保持する。基板搬送機構2は基板3を位置決めして保持する基板保持部となっている。基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されており、それぞれの部品供給部4には複数のテープフィーダ5が並設されている。テープフィーダ5は、テープ状部材の部品収納面に電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、以下に説明する部品実装機構の実装ヘッドによる吸着位置に電子部品を供給する。
【0013】
基台1a上面の両端部上にはY軸テーブル6A,6Bが配設されており、Y軸テーブル6A,6B上には2台のX軸テーブル7A、7Bが架設されている。Y軸テーブル6Aを駆動することにより、X軸テーブル7AがY方向に水平移動し、Y軸テーブル6Bを駆動することにより、X軸テーブル7BがY方向に水平移動する。X軸テーブル7A,7Bには、それぞれ実装ヘッド8および実装ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ9が装着されている。
【0014】
Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bをそれぞれ組み合わせて駆動することにより実装ヘッド8は水平移動し、それぞれの部品供給部4から電子部品を吸着ノズル8a(図2参照)によってピックアップし、基板搬送機構2に位置決めされた基板3上に実装する。Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bは、実装ヘッド8を移動させるヘッド移動機構となっている。
【0015】
実装ヘッド8とともに基板3上に移動した基板認識カメラ9は、基板3を撮像して認識する。また部品供給部4から基板搬送機構2に至る経路には、部品認識カメラ10が配設されている。部品供給部4から電子部品を取り出した実装ヘッド8が実装ステージに位置決めされた基板3へ移動する際に、吸着ノズル8aに保持された電子部品を部品認識カメラ10の上方でX方向に移動させることにより、部品認識カメラ10は吸着ノズル8aに保持された電子部品を撮像する。そして撮像結果を認識装置(図示省略)によって認識処理することにより、吸着ノズル8aに保持された状態における電子部品の位置が認識されるとともに、電子部品の種類が識別される。ノズル保持部11は、複数種類の吸着ノズル8aを所定姿勢で収納し、実装ヘッド8がノズル保持部11にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、実装ヘッド8において対象とする電子部品の種類に応じてノズル交換が行われる。
【0016】
部品供給部4の構造を説明する。図2に示すように、部品供給部4には複数のテープフィーダ5を着脱自在に装着するためのフィーダ装着ベース4aが設けられている。テープフィーダ5は、フィーダ装着用の台車12によって部品供給部4に配置され、台車12には、キャリアテープ15を巻回状態で収納したテープリール14を保持するためのリール保持部13が設けられている。リール保持部13はテープリール14を回転自在に保持するための保持ローラを備えており、部品供給部4に配置されたテープリール14を回転させることにより、キャリアテープ15を引き出すことができるようになっている。
【0017】
次に、図3を参照してテープフィーダ5の構成および機能を説明する。図3に示すように、テープフィーダ5は当該テープフィーダ5の全体形状を構成するフィーダ本体部5aおよびフィーダ本体部5aの下面から下方に凸設された装着部5bを備えた構成となっている。フィーダ本体部5aの下面をフィーダ装着ベース4aに沿わせてテープフィーダ5を装着した状態では、装着部5bに設けられたコネクタがフィーダ装着ベース4aに嵌合する。これにより、テープフィーダ5は部品供給部4に固定装着されるとともに、テープフィーダ5は電子部品実装装置1の制御装置と電気的に接続される。
【0018】
フィーダ本体部5aの内部には、フィーダ本体部5aのテープ送り方向における上流端部に開口するテープ走行路5cが、実装ヘッド8による吸着位置まで連通して設けられている。テープ走行路5cは、テープリール14から引き出されてフィーダ本体部5a内に導入されたキャリアテープ15のテープ送りを、フィーダ本体部5aの上流側から実装ヘッド8による吸着位置までガイドする機能を有している。
【0019】
キャリアテープ15は、テープ本体を構成するベーステープ15aに、電子部品16を収納保持する部品ポケット15bおよびキャリアテープ15をピッチ送りするための送り穴15dを所定ピッチで設けた構成となっている。ベーステープ15aの下面において部品ポケット15bに対応した位置は下方に突出したエンボス部15cとなっている。ベーステープ15aの上面は、部品ポケット15bから電子部品16が脱落するのを防止するために、部品ポケット15bを覆ってトップテープ15eによって封止されている。
【0020】
フィーダ本体部5aには、キャリアテープ15をピッチ送りするためのピッチ送り機構17が内蔵されている。ピッチ送り機構17は、フィーダ本体部5aのテープ送り方向における下流端部に軸線を水平にした姿勢で配置されたスプロケット20、スプロケット20を回転駆動する駆動機構19および駆動機構19を制御するフィーダ制御部18を備えている。スプロケット20の外周に設けられた送りピン20a(図4参照)をキャリアテープ15の送り穴15dに係合させた状態で駆動機構19を駆動することにより、キャリアテープ15はテープ走行路5cに沿ってピッチ送りされる。
【0021】
スプロケット20の手前側は、部品ポケット15b内の電子部品16を、実装ヘッド8の吸着ノズル8aによって吸着して取り出す吸着位置となっている。スプロケット20近傍のフィーダ本体部5aの上面側には、テープ押さえ部材21が配設されており、テープ押さえ部材21には吸着ノズル8aによる吸着位置に対応して吸着開口部22が設けられている。吸着開口部22の上流端は、トップテープ15eを剥離するためのトップテープ剥離部22aとなっている。
【0022】
キャリアテープ15はテープ押さえ部材21によってテープ走行路5cに押さえつけた状態でピッチ送りされる。キャリアテープ15がテープ押さえ部材21の下方を走行する過程において、トップテープ15eをトップテープ剥離部22aを周回させて上流側に引き出すことによって、吸着位置の上流側にてトップテープ15eがベーステープ15aから剥離される。これにより、部品ポケット15b内の電子部品16は吸着開口部22において上方へ露呈され、吸着ノズル8aによる取り出しが可能な状態となる。
【0023】
テープ押さえ部材21において吸着開口部22(吸着位置)のピッチ送り方向における上流側には、上方に突出して突出部26が設けられている。テープ剥離位置にてベーステープ15aから剥離されて折り返されたトップテープ15eは、突出部26の上面を介してトップテープ送り機構25によってピッチ送り方向と反対側の斜め下方へ導かれる。トップテープ送り機構25は送り駆動機構25aおよびテンションガイド機構25bを備えており、突出部26の上面を介して導かれたトップテープ15eは、テンションガイド機構25bによってテンションを付与されてガイドされ、送り駆動機構25aによってフィーダ本体部5aの上流側に設けられたテープ回収部27内へ送られる。すなわちトップテープ送り機構25は、吸着位置の手前でキャリアテープ15から剥離されたトップテープ15eを、ピッチ送り方向と反対側の斜め下方へ導いて送る機能を有している。
【0024】
次に、ピッチ送り機構17およびトップテープ送り機構25について、図4を参照して説明する。図4において、キャリアテープ15をピッチ送りするスプロケット20は、モータ19aによってベベルギア19bを介して回転駆動され、ピッチ送り動作に対応した間欠回転動作を行う。スプロケット20の外周にはピン20aが定ピッチで設けられており、キャリアテープ15に設けられた送り穴15dにピン20aが嵌合した状態でスプロケット20が回転することによりテープ送りが行われ、モータ19aの回転をフィーダ制御部18によって制御することにより、テープ送り時の停止位置が制御される。
【0025】
スプロケット20近傍には、キャリアテープ15をテープ走行路5cに押さえつけるテープ押さえ部材21が軸支部21aによって軸支されて、軸支部21a廻りに開閉自在に配設されている。テープ押さえ部材21に設けられた吸着開口部22の上流端は、トップテープ15eを剥離するためのトップテープ剥離部22aとなっている。下流側へピッチ送りされるキャリアテープ15から剥離されたトップテープ15eは、テープ押さえ部材21において吸着開口部22の上流側に上方に突出して設けられた突出部26の上面を介して、トップテープ送り機構25に導かれる。
【0026】
トップテープ送り機構25に導かれた折り返されたトップテープ15eは、送り駆動機構25aに設けられた回転送り部材33,34によってテープ回収部27内に送り込まれる。回転送り部材33,34の回転駆動は、モータ30の回転をベベルギア31,伝動ギア部材32を介して回転送り部材34に伝達することによって行われる。
【0027】
送り駆動機構25aの手前側には、可動なテンションローラ36を備えたテンションガイド機構25bが配設されている。テンションローラ36はガイドローラ37と同軸の支点を有するレバー部材38aによって保持されており、剥離されたトップテープ15eは、ガイドローラ37の上側、テンションローラ36の下側を周回して送り駆動機構25aに導かれる。レバー部材38aと一体のアーム部材38bにはスプリング39が結合され、レバー部材38a、アーム部材38bはスプリング39によって常に下方へ付勢されている。これにより、トップテープ15eにはテンションローラ36によってテンションが付与される。
【0028】
テンションガイド機構25bの動作を説明する。テンションガイド機構25bの位置においてトップテープ15eに弛みが生じると、テンションローラ36が下方に移動する。これとともにアーム部材38bがスプリング39の付勢力によって回転し、先端に設けられたドグ38cが下方に変位する。そしてこの変位をフォトスイッチ40によって検出することにより、トップテープ15eの弛みが検出される。弛みが検出されたならば、直ちにモータ30が回転駆動され、これにより弛んだトップテープ15eはテープ回収部27内へ送り込まれ、所定のテープテンションが保たれる。すなわち、トップテープ送り機構25は、剥離されたトップテープ15eを送る経路においてこのトップテープ15eにテンションを付与するテンションローラ36を備えている。
【0029】
上述の構成において、テープ押さえ部材21に設けられた突出部26は、テンションガイド機構25bに設けられたテンションローラ36、ガイドローラ37よりも高い位置に配置されている。したがって、トップテープ剥離部22aによって剥離された後に突出部26の上面を介してテンションガイド機構25bに導かれるトップテープ15eは、常に斜め下方に向かってテープ送りされる。これにより、図5に説明するように、テープ押さえ部材21の浮き上がりを防止して、テープ押さえ部材21の挙動不安定を抑制することができる。
【0030】
すなわち、図5に示すように、突出部26の上面を介して上流側の斜め下方に導かれるキャリアテープ15には、トップテープ送り機構25のテンションローラ36によって付与されるテンションTが作用している。そしてトップテープ15eが上面を周回する突出部26には、テンションTの下向きの分力に相当する押さえ力Fが作用する。この押さえ力Fは、テープ押さえ部材21を軸支部21a廻りに下方に押し付けるように作用し、テープ押さえ部材21の浮き上がりを抑制することができる。
【0031】
すなわち、突出部26が存在しない場合には、剥離されたトップテープ15eはトップテープ剥離部22aから略水平方向に上流側に導かれるため、トップテープ15eはテープ押さえ部材21に対して軸支部21a廻りに破線矢印f方向に持ち上げるような力を及ぼす。これに対し、本実施の形態に示すように突出部26を設けることにより、テープ押さえ部材21に対して常に下向きの押さえ力Fを作用させることができる。このとき、突出部26のテープ押さえ部材21からの高さhとトップテープ剥離部22aから突出部26までの間隔Dを適切に設定することにより、トップテープ15eに作用するテンションTの作用方向を所望の角度方向θに設定して、良好な浮き上がり防止効果を得ることができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、テープ押さえ部材21の軸支部21aがテープ送り方向の上流側に位置して、テープ押さえ部材21の開放時に下流側を上に回動させる例を示したが、テープ押さえ部材21において軸支部21aをテープ送り方向の上流側に位置させて、開放時に上流側を上に回動させる構成においても、同様に本発明を適用することができる。
【0033】
上記説明したように、本実施の形態に示す電子部品実装装置、テープフィーダおよびトップテープ送り方法は、テープフィーダ5においてキャリアテープ15から剥離されたトップテープ15eをピッチ送り方向と反対側に導いて送るに際し、剥離されたトップテープ15eをテープ押さえ部材21において吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部26の上面を介して斜め下方に導いて、テープ押さえ部材21の浮き上がりを防止するようにしたものである。これにより、トップテープ15eのテンションによるテープ押さえ部材21の浮き上がりに起因するテープ押さえ部材21の挙動不安定を抑制して、電子部品のピックアップミスを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の電子部品実装装置およびテープフィーダならびにテープフィーダにおけるトップテープ送り方法は、トップテープのテンションによるテープ押さえ部材の浮き上がりに起因するテープ押さえ部材の挙動不安定を抑制して、電子部品のピックアップミスを防止することができるという利点を有し、テープフィーダによって供給される部品を基板に実装する電子部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 電子部品実装装置
2 基板搬送機構
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ
5c テープ走行路
8 実装ヘッド
15 キャリアテープ
15e トップテープ
17 ピッチ送り機構
18 フィーダ制御部
19 駆動機構
20 スプロケット
21 テープ押さえ部材
22 吸着開口部
25 トップテープ送り機構
25a 送り駆動機構
25b テンションガイド機構
26 突出部
27 テープ回収部
36 テンションローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給部に配列されたテープフィーダから実装ヘッドによって電子部品を取り出して基板保持部に位置決め保持された基板に実装する電子部品実装装置であって、
前記テープフィーダは、電子部品の上面をトップテープで覆って保持したキャリアテープをテープ押さえ部材によってテープ走行路に押さえつけた状態でピッチ送りすることにより、前記電子部品を前記実装ヘッドによる吸着位置に供給し、
さらに前記テープフィーダは、前記キャリアテープをピッチ送りするピッチ送り機構と、前記吸着位置の手前で前記キャリアテープから剥離された前記トップテープをピッチ送り方向と反対側の斜め下方へ導いて送るトップテープ送り機構と、前記テープ押さえ部材において前記吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部とを備え、
前記トップテープ送り機構において、前記剥離されたトップテープを前記突出部の上面を介して導くことにより、前記テープ押さえ部材の浮き上がりを防止することを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
電子部品の上面をトップテープで覆って保持したキャリアテープをテープ押さえ部材によってテープ走行路に押さえつけた状態でピッチ送りすることにより、前記電子部品を電子部品実装装置の実装ヘッドによる吸着位置に供給するテープフィーダであって、
前記キャリアテープをピッチ送りするピッチ送り機構と、
前記吸着位置の手前で前記キャリアテープから剥離された前記トップテープをピッチ送り方向と反対側の斜め下方へ導いて送るトップテープ送り機構と、
前記テープ押さえ部材において前記吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部とを備え、
前記トップテープ送り機構において、前記剥離されたトップテープを前記突出部の上面を介して導くことにより、前記テープ押さえ部材の浮き上がりを防止することを特徴とするテープフィーダ。
【請求項3】
前記トップテープ送り機構は、前記剥離されたトップテープを送る経路においてこのトップテープにテンションを付与するテンションローラを備え、
前記突出部は、前記テンションローラよりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載のテープフィーダ。
【請求項4】
電子部品の上面をトップテープで覆って保持したキャリアテープをテープ押さえ部材によってテープ走行路に押さえつけた状態でピッチ送りすることにより、前記電子部品を電子部品実装装置の実装ヘッドによる吸着位置に供給するテープフィーダにおいて、前記キャリアテープから剥離された前記トップテープをピッチ送り方向と反対側の斜め下方に導いて送るテープフィーダにおけるトップテープ送り方法であって、
前記剥離されたトップテープを、前記テープ押さえ部材において前記吸着位置のピッチ送り方向における上流側に上方に突出して設けられた突出部の上面を介して導くことにより、前記テープ押さえ部材の浮き上がりを防止することを特徴とするテープフィーダにおけるトップテープ送り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−65748(P2013−65748A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204097(P2011−204097)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】