説明

電気光学装置の製造方法、電気光学装置及び電子機器

【課題】電子部品の端子と基板の端子との接触面積が大きく接続信頼性に優れた電気光学
装置の製造方法、電気光学装置、該電気光学装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】加熱圧着工程(S3)では、加熱された接着材29が硬化する温度以下の温
度で導電粒子28の金属膜27(Sn)を溶融させるので、加熱圧着工程時に、接着材2
9を硬化させる温度(例えば250°C)以下の温度で、導電粒子28の表面のSnを溶
融させ、基板側出力端子14aと、溶融した導電粒子28の表面との接触面積を増加させ
たり、ドライバ側出力端子24と、溶融した導電粒子28の表面との接触面積を増加させ
たりすることができ、接着材29を硬化させるための温度を超える温度に加熱するような
別工程を必要とすることなく、基板側出力端子14aと、ドライバ側出力端子24との電
気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータや携帯電話機等の電子機器及び電子機器に用いられ
る電気光学装置及び電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータや携帯電話機等といった電子機器の表示装置として電気
光学装置としての例えば液晶装置等が用いられている。この液晶装置等には、例えば、基
板とICチップとの間にACF(anisotropic conductive fi
lm)等を介してフリップチップ方式でICチップが実装されているが、ICチップの入
力バンプと出力バンプとの中心と、ICチップの外形の中心とが異なる場合には、加圧ヘ
ッドによりICチップを押圧するときに入出力バンプを均一に押圧することが難しく入出
力バンプの接続信頼性が低下する、という問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、例えば加圧ヘッドの中心が、入力バンプ列と出力バンプ列
との中心線に略一致する状態で、加圧ヘッドによりICチップを押圧しようとする技術が
開示されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−340613号公報(段落[0028]、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、例えば入出力バンプと、基板側の端子とが圧接して
設けられているものの、入出力バンプと、基板側の端子との接触面積を大きく確保するこ
とが難しく、接続の信頼性が低下する、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされるもので、電子部品の端子と基板の端子との接触
面積が大きく接続信頼性に優れた電気光学装置の製造方法、電気光学装置、該電気光学装
置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の主たる観点に係る電気光学装置の製造方法は、第
1の端子を有する基板に、前記第1の端子に電気的に接続される第2の端子を有する電子
部品が実装された電気光学装置の製造方法であって、前記第1の端子又は前記第2の端子
上に導電粒子及び接着材を配置する配置工程と、前記第1の端子と、前記第2の端子とが
前記導電粒子を介して電気的に接続されるように、前記電子部品を前記基板に加熱圧着す
る加熱圧着工程とを備え、前記加熱圧着工程では、前記接着材が軟化又は硬化する温度以
下の温度で少なくとも前記導電粒子の表面を溶融させることを特徴とする。
【0007】
本発明では、加熱圧着工程では、接着材が軟化又は硬化する温度以下の温度で少なくと
も導電粒子の表面を溶融させるので、例えば、接着材を硬化させる温度以下の温度で、導
電粒子の表面を溶融させ、第1の端子と、溶融した導電粒子の表面との接触面積を増加さ
せたり、第2の端子と、溶融した導電粒子の表面との接触面積を増加させたりすることが
でき、例えば接着材を硬化させるための温度を超える温度に加熱するような別工程を必要
とすることなく、加熱圧着工程で基板の第1の端子と電子部品の第2の端子との電気的か
つ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。例えば、溶融した導電粒子の表面と
、第1の端子との接触面積が増大することで、導通をより確実に確保することができると
共に、溶融した状態の導電粒子の表面と第1の端子とが接合されるので、より安定した強
固な電気的、機械的な接続構造を得ることができる。
【0008】
本発明の他の観点に係る電気光学装置の製造方法は、第1の端子を有する基板に、前記
第1の端子に電気的に接続される第2の端子を有する電子部品が実装された電気光学装置
の製造方法であって、前記第1の端子又は前記第2の端子上に導電粒子を配置する導電粒
子配置工程と、少なくとも前記基板の前記電子部品側の面又は少なくとも前記電子部品の
前記基板側の面に接着材を配置する接着材配置工程と、前記第1の端子と、前記第2の端
子とが前記導電粒子を介して電気的に接続されるように、前記電子部品を前記基板に加熱
圧着する加熱圧着工程とを備え、前記加熱圧着工程では、前記接着材が軟化又は硬化する
温度以下の温度で少なくとも前記導電粒子の表面を溶融させることを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1の端子又は第2の端子上に導電粒子を配置する導電粒子配置工程と、
少なくとも基板の電子部品側の面又は少なくとも電子部品の基板側の面に接着材を配置す
る接着材配置工程と、第1の端子と、第2の端子とが導電粒子を介して電気的に接続され
るように、電子部品を基板に加熱圧着する加熱圧着工程とを備えるので、例えば、基板の
第1の端子上に導電粒子を配置し、基板の電子部品側の面に接着材を配置した状態(導電
粒子と接着材とを別々に配置した状態)で電子部品を基板に加熱圧着することができ、加
熱圧着工程では、接着材が軟化又は硬化する温度以下の温度で少なくとも導電粒子の表面
を溶融させるので、加熱圧着工程時に、例えば、接着材を硬化させる温度以下の温度で、
例えば導電粒子の表面を溶融させ、第1の端子と、溶融した導電粒子の表面との接触面積
を増加させたり、第2の側端子と、溶融した導電粒子の表面との接触面積を増加させたり
することができ、例えば接着材を硬化させるための温度を超える温度に加熱するような別
工程を必要とすることなく、加熱圧着工程で電気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させ
ることができる。例えば、溶融した導電粒子の表面と、第1の端子との接触面積が増大す
ることで、導通をより確実に確保することができると共に、溶融した状態の導電粒子の表
面と第1の端子とが接合されるので、より安定した強固な電気的、機械的な接続構造を得
ることができる。
【0010】
本発明の他の観点に係る電気光学装置の製造方法は、第1の端子を有する基板に、前記
第1の端子に電気的に接続される第2の端子を有する電子部品が実装された電気光学装置
の製造方法であって、前記第1の端子又は前記第2の端子上に導電粒子を配置する導電粒
子配置工程と、前記第1の端子と、前記第2の端子とを前記導電粒子を介して対向配置す
る工程と、前記基板と前記電子部品との間に接着材を注入する注入工程と、前記第1の端
子と、前記第2の端子とが前記導電粒子を介して電気的に接続されるように、前記電子部
品を前記基板に加熱圧着する加熱圧着工程とを備え、前記加熱圧着工程では、前記接着材
が軟化又は硬化する温度以下の温度で少なくとも前記導電粒子の表面を溶融させることを
特徴とする。
【0011】
本発明では、第1の端子又は第2の端子上に導電粒子を配置する導電粒子配置工程と、
第1の端子と、第2の端子とを導電粒子を介して対向配置する工程と、基板と電子部品と
の間に接着材を注入する注入工程と、第1の端子と、第2の端子とが導電粒子を介して電
気的に接続されるように、電子部品を基板に加熱圧着する加熱圧着工程とを備えているの
で、第1の端子と第2の端子との間に導電粒子を挟んだ状態で基板と電子部品との間の隙
間に接着材を注入し加熱圧着することができると共に、加熱圧着工程では、接着材が軟化
又は硬化する温度以下の温度で少なくとも導電粒子の表面を溶融させるので、加熱圧着工
程時に、例えば、導電粒子の表面を溶融させると共に接着材を硬化させ、第1の端子と、
溶融した導電粒子の表面との接触面積を増加させたり、電子部品側端子と、溶融した導電
粒子の表面との接触面積を増加させたりすることができ、例えば接着材を硬化させるため
の温度を超える温度に加熱するような別工程を必要とすることなく、加熱圧着工程で電気
的かつ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。例えば、溶融した導電粒子を介
して第1の端子と第2の端子とを加熱圧着することで、溶融した導電粒子の表面と、第1
の端子との接触面積を増大させ、導通をより確実に確保することができると共に、溶融し
た状態の導電粒子の表面と第1の端子とが接合されるので、より安定した強固な電気的、
機械的な接続構造を得ることができる。
【0012】
本発明の一の形態によれば、前記配置工程は、前記第1の端子又は前記第2の端子上に
前記接着材を配置する接着材配置工程と、前記接着材配置工程の後に、前記第1の端子又
は前記第2の端子上に前記導電粒子を配置する導電粒子配置工程とを有することを特徴と
する。これにより、配置工程は、第1の端子又は前記第2の端子上に接着材を配置する接
着材配置工程と、接着材配置工程の後に、第1の端子又は第2の端子上に導電粒子を配置
する導電粒子配置工程とを有するので、例えば基板の第1の端子上に接着材を配置した後
に、接着材上に選択的に導電粒子を配置することができ、導電粒子の低コスト化を図るこ
とができると共に、接着材に導電粒子を捕らえることができ、例えば第1の端子間の短絡
を防止することができる。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記接着材は、250°C以下の温度で軟化又は硬化する
ことを特徴とする。これにより、接着材は、250°C以下の温度で軟化又は硬化するの
で、例えば接着材を硬化させるために接着材を250°Cに加熱する必要がある場合に、
例えば融点が250°C以下の導電粒子を用いることで、接着材を硬化させるときに導電
粒子を溶融させることができ、基板の第1の端子と電子部品の第2の端子との接触面積を
増加させることができる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、前記加熱圧着工程で少なくとも表面が溶融した前記導電粒
子は、前記第2の端子の前記導電粒子に圧接された圧接領域の周りに広がって、前記第1
の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方に接触することを特徴とする。ここで、「圧
接領域」とは、例えば、電子部品を押圧したときに、導電粒子と、基板の第1の端子、電
子部品の第2の端子とが圧接された領域である。これにより、加熱圧着工程で少なくとも
表面が溶融した導電粒子は、第2の端子の導電粒子に圧接された圧接領域の周りに広がっ
て、第1の端子及び第2の端子の少なくとも一方に接触するので、例えば、電子部品の第
2の端子と導電粒子とが圧接された圧接領域の面積より広い面積で導通を図り電気的かつ
機械的な接続の信頼性をより向上させることができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記導電粒子は、その表面の構成材料にSn、In、Na
又はKを有することを特徴とする。ここで、Snは錫、Inはインジウム、Naはナトリ
ウム、Kはカリウムである。これにより、導電粒子は、その表面の構成材料にSn、In
、Na又はKを有するので、例えば導電粒子がSnの場合には、Snの融点が232°C
であるので、加熱圧着工程において、温度が上昇するのに伴い、導電粒子の温度が232
°Cを超えると、まず、導電粒子が溶融し始め、続いて、接着材を250°Cに一定時間
保持して接着材の硬化反応を進行させることができる。このように、接着材を硬化させる
際に同時に導電粒子の少なくとも表面を溶融させて、例えば導電粒子と電子部品の第2の
端子との電気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、前記導電粒子は、その表面の構成材料にSnとBiとCd
とPbとの合金又はSnとAgとCuとの合金を有することを特徴とする。ここで、Sn
は錫、Biはビスマス、Cdはカドミウム、Pbは鉛、Agは銀、Cuは銅である。これ
により、導電粒子は、その表面の構成材料にSnとBiとCdとPbとの合金又はSnと
AgとCuとの合金を有するので、例えば導電粒子がSnとAgとCuとの合金の場合に
は、SnとAgとCuとの合金の融点が220°Cであり、加熱圧着工程において、導電
粒子の温度が上昇するのに伴い、導電粒子の温度が220°Cを超えると、まず、導電粒
子の表面が溶融し始め、続いて、接着材を250°Cに一定時間保持して接着材の硬化反
応を進行させることができる。このように、接着材を硬化させる際に同時に導電粒子の表
面を溶融させる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、溶融した前記導電粒子と、前記第1の端子及び前記第2の
端子のうち少なくとも一方とは、金属結合されていることを特徴とする。これにより、溶
融した導電粒子と、基板の第1の端子及び電子部品の第2の端子のうち少なくとも一方と
は、金属結合されているので、例えば第1の端子と導電粒子との境界領域等で抵抗(導電
性)が大きく変化したりすることなく、より強固な電気的、機械的な接続構造とすること
ができる。
【0018】
本発明の他の観点に係る電気光学装置は、第1の端子を有する基板と、前記第1の端子
に電気的に接続された第2の端子を有する電子部品と、前記第1の端子及び前記第2の端
子と電気的に接続され、表面の材質の融点が250°C以下の導電粒子と、を備えたこと
を特徴とする。
【0019】
本発明では、第1の端子を有する基板と、第1の端子に電気的に接続された第2の端子
を有する電子部品と、第1の端子及び第2の端子と電気的に接続され、表面の材質の融点
が250°C以下の導電粒子とを備えるので、例えば、基板の第1の端子と、溶融した導
電粒子の表面との接触面積が、導電粒子の表面の溶融前より大きくなっており、電気的か
つ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0020】
本発明の他の観点に係る電子部品は、上述した電気光学装置を備えたことを特徴とする

【0021】
本発明では、電子部品側端子と、導電粒子との接触面積や基板側端子と、導電粒子との
接触面積が増加した電気的かつ機械的な接続の信頼性に優れた電気光学装置を備えている
ので、例えば表示品位に優れた電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下実施形態を説明する
にあたっては、電気光学装置としての液晶装置、具体的には反射半透過型のTFT(Th
in Film Transistor)アクティブマトリックス方式の液晶装置、また
、その液晶装置を用いた電子機器、及び液晶装置の製造方法について説明するが、これに
限られるものではない。また、以下の図面においては各構成をわかりやすくするために、
実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0023】
(第1の実施形態)
【0024】
図1は本発明に係る第1の実施形態の液晶装置の概略斜視図、図2は図1の液晶装置の
A−A断面図、図3は図2の液晶装置のドライバICのドライバ側出力端子の拡大断面図
である。
【0025】
(液晶装置の構成)
【0026】
液晶装置1は、液晶パネル2と、液晶パネル2に接続された回路基板3とを備えている
。なお、液晶装置1は、液晶パネル2を支持する図示を省略したフレーム等のその他の付
帯機構が必要に応じて付設される。
【0027】
液晶パネル2は、基板4と、基板4に対向するように設けられた基板5と、基板4、5
の間に設けられたシール材6及び基板4、5により封止された図示しない液晶とを備えて
いる。液晶には、例えばTN(Twisted Nematic)が用いられている。
【0028】
基板4及び基板5は、例えばガラスや合成樹脂といった透光性を有する材料からなる板
状部材である。基板4の液晶側には、ゲート電極7、ソース電極8、薄膜トランジスタ素
子T及び画素電極9が形成されており、基板5の液晶側には、共通電極5aが形成されて
いる。
【0029】
ゲート電極7はX方向に、ソース電極8はY方向に、それぞれ例えばアルミニウム等の
金属材料等によって形成されている。ソース電極8は、例えば図1に示すように上半分が
左側に、下半分が右側に引き回されて形成されている。なお、ゲート電極7及びソース電
極8の本数は、液晶装置1の解像度や表示領域の大きさに応じて適宜変更可能である。
【0030】
薄膜トランジスタ素子Tは、ゲート電極7、ソース電極8及び画素電極9にそれぞれ電
気的に接続される3つの端子を備えている。薄膜トランジスタ素子Tは画素電極9、ゲー
ト電極7、ソース電極8に電気的に接続されている。これにより、ゲート電極7に電圧を
印加したときにソース電極8から画素電極9に又はその逆に電流が流れるように構成され
ている。
【0031】
また、基板4は、基板5の外縁から張り出した領域(以下、「張り出し部」と表記する
)4aを備えている。張り出し部4aの面上には、入力配線11〜13、出力配線14〜
16が付設されていると共に、例えば液晶を駆動するためのドライバIC17、18及び
19が実装されている。
【0032】
入力配線11は、図2に示す一端部の第1の端子としての基板側入力端子11aがドラ
イバIC17の図2に示す第2の端子としてのドライバ側入力端子23に導電粒子28を
介して電気的に接続され、他端部11bが回路基板3の可撓性基材31に付設された配線
36に図示しないACF等を介して電気的に接続されている。なお、入力配線12、13
は、それぞれ一端部の図示しない入力端子がドライバIC18、19の図示しない入力端
子に電気的に接続される等している。
【0033】
出力配線14は、図2に示す一端部の第1の端子としての基板側出力端子14aがドラ
イバIC17の図2に示す第2の端子としてのドライバ側出力端子24に導電粒子28を
介して電気的に接続されており、他端部が図1に示すゲート電極7に繋がっている。なお
、出力配線15、16は、一端部の図示しない出力端子がそれぞれドライバIC18、1
9の図示しない出力端子に電気的に接続される等している。
【0034】
ドライバIC17は、図2に示すように、ドライバIC17と基板4との間に設けられ
た例えばACF25により基板4に接着されている。
【0035】
ドライバIC17は、基材20と、基材20の基板4と対向する実装面20a側に設け
られた例えばアルミニウム製の電極パッド21、22と、電極パッド21、22にそれぞ
れ接続されドライバIC17の実装面20a側に突設された複数のドライバ側入力端子2
3、複数のドライバ側出力端子24とを備えている。
【0036】
電極パッド21、22は、基材20の実装面20a側にゲート電極7の配列方向(Y方
向)に配列して設けられている。
【0037】
ドライバ側入力端子23、ドライバ側出力端子24は、それぞれ図2に示す電極パッド
21、22に接続されてそれぞれゲート電極7の配列方向(Y方向)に配列して設けられ
ている。
【0038】
ACF25には、図3に示すように、例えば樹脂製の弾性粒子26が金属膜27により
被覆された導電粒子28が、ACF25の接着材29中に含まれて構成されている。
【0039】
弾性粒子26は、例えば樹脂が用いられており、後述する加熱圧着時に弾性変形したり
、外力に応じてドライバ側出力端子24に追従したりして、基板側入出力端子11a、1
4aと、ドライバ側入出力端子23、24との電気的な接続を確保するように構成されて
いる。
【0040】
金属膜27は、図3に示すように、例えば、ドライバ側出力端子24や基板側出力端子
14aとの接触部分が、加熱圧着時に溶融して濡れ広がって設けられている。例えば、加
熱圧着時に溶融した金属層27は、図3に示すように、ドライバ側出力端子24の導電粒
子28に圧接された圧接領域Sの周りに広がって、基板側出力端子14a、ドライバ側出
力端子24に接触している。圧接領域Sとは、図3に示すように、例えば、導電粒子28
を介してドライバIC17を押圧したときに、ドライバ側出力端子24、基板側出力端子
14aと、導電粒子28とが圧接された領域を言う。
【0041】
金属膜27は、例えば、弾性粒子26を被覆するように形成された例えばNi(ニッケ
ル)製の下地層と、導電粒子28の表面を形成する例えばSn(錫:融点232°C)、
In(インジウム:融点157°C)、Na(ナトリウム:融点98°C)、又は、K(
カリウム:融点63°C)製の表面層とを備えている。
【0042】
表面層の材料には、例えば、Sn(錫)、Bi(ビスマス)、Cd(カドミウム)及び
Pb(鉛)の合金(例えば重量パーセント比 Sn:Bi:Cd:Pb=8.7:56:
6.4:28.9 融点100°C以下)やSn(錫)、Ag(銀)及びCu(銅)の合
金(融点220°C)等を用いることもできる。表面層の材料の融点は、例えば後述する
接着材29が硬化するときの温度以下の温度に設定されている。
【0043】
表面層の厚さは、例えば加熱圧着時の後述する押圧ヘッドの温度や押圧力等に応じて適
宜変更される。例えば加熱圧着工程時に、後述するように溶融する金属膜27の量を多く
したい場合には、表面層の厚さを厚くすればよい。
【0044】
なお、本実施形態では、例えば、金属膜27が下地層と表面層とで形成されている例を
示した。しかし、金属層27はこれに限定されず、例えば、3層以上の層から構成されて
いるようにしてもよい。
【0045】
接着材29には、例えば硬化性の樹脂等が用いられている。接着材29が硬化する温度
は、例えば、導電粒子28の金属膜27の融点以上に設定されている。接着材29が硬化
するときの温度は、例えば、250°Cとされている。
【0046】
なお、本実施形態では、例えば硬化性の接着材29を用いる例を示した。しかし、これ
に限定されず、例えば、熱可塑性の接着材を用いるようにしてもよい。
【0047】
回路基板3は、図1に示すように、張り出し部4aに例えば接着材等を介して電気的に
接続されている。回路基板3は、可撓性基材31と、可撓性基材31に設けられた出力配
線32、入力配線33と、例えばドライバIC17等を制御するために可撓性基材31に
実装された半導体IC34とを備えている。可撓性基材31には、例えばこの他にも図示
を省略した電源供給用の半導体IC等が実装されている。
【0048】
出力配線32は、図1に示すように、例えばX方向に引き回されており、その一端が、
可撓性基材31に形成された図2に示すスルーホール内に設けられた接続部材37を介し
て可撓性基材31に付設された配線36の端部に接続されている。出力配線32の他端は
、ACF等を介して半導体IC34の図示を省略した出力端子に電気的に接続されている

【0049】
入力配線33は、図1に示すように、例えばX方向に引き回されている。入力配線33
の一端は、図1に示すように例えば半導体IC34の図示しない入力端子にACF等を介
して電気的に接続されている。入力配線33の他端は、例えば図示しない外部装置に電気
的に接続されている。
【0050】
(液晶装置1の製造方法)
【0051】
次に、液晶装置1の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0052】
図4は第1の実施形態の液晶装置の製造工程を示すフローチャート、図5は液晶パネル
2の基板4にACF25を貼り付けた状態(図4のS2)の断面図、図6は基板4にドラ
イバIC17を加熱圧着する加熱圧着工程(図4のS3)の断面図である。なお、本実施
形態では、ドライバIC17等を実装する前の液晶パネル2の製造工程(S1)及び回路
基板3の製造工程(S4)等については公知技術と同様なのでその説明を省略し、ドライ
バIC17の実装工程等(S2〜S3)について中心的に説明する。
【0053】
まず、例えばドライバIC17を実装する前のステップ1で製造された液晶パネル2を
、図5に示すように、ステージ41上に載置し、液晶パネル2の基板4に形成された基板
側出力端子14a上に、導電粒子28及び接着材29を含むACF25を貼り付ける(S
2)。
【0054】
次いで、図6に示すように、上下動可能な押圧ヘッド40によりドライバIC17に熱
を加えながら基板4に近づく方向(図6のD方向)にドライバIC17を押圧し、基板4
にドライバIC17を加熱圧着する(S3 加熱圧着工程)。
【0055】
このとき、押圧ヘッド40側からの熱がドライバIC17に伝わりACF25の温度が
上昇する。ACF25中の導電粒子28の温度が232°Cを超えると、まず、導電粒子
28の表面層のSnが溶融し、図6に示すように、例えばドライバ側出力端子24との接
触面及び基板側出力端子14aとの接触面にSnの一部が濡れ広がる。これにより、導電
粒子28の溶融前に比べて、ドライバ側出力端子24と導電粒子28との接触面積及び基
板側出力端子14aと導電粒子28との接触面積が増加する。
【0056】
更に温度が上昇し、接着材29の温度が例えば250°Cで一定時間保持され、接着材
29の硬化反応が進行し、図6に示すように、ドライバ側出力端子24と、基板側出力端
子14aとが、導電粒子28を介して電気的に接続された状態で固定される。例えば、ド
ライバ側出力端子24と導電粒子28とが接続(接合)された部分や基板側出力端子14
aと導電粒子28とが接続(接合)された部分は、例えば、金属結合される。
【0057】
そして、液晶パネル2と、ステップ4で製造した回路基板3とを図示を省略した導電性
の接着材等を介して電気的に接続し(S5)、バックライトや反射シート等を設ける等し
て液晶装置1を製造する(S6)。
【0058】
以上で液晶装置1の製造方法についての説明を終了する。
【0059】
このように本実施形態によれば、加熱圧着工程(S3)では、加熱された接着材29が
硬化する温度以下の温度で導電粒子28の金属膜27(Sn)を溶融させるので、加熱圧
着工程(S3)時に、例えば、接着材29を硬化させる温度(例えば250°C)以下の
温度で、例えば導電粒子28の表面のSnを溶融させ、基板側出力端子14aと、溶融し
た導電粒子28の表面との接触面積を増加させたり、ドライバ側出力端子24と、溶融し
た導電粒子28の表面との接触面積を増加させたりすることができ、接着材29を硬化さ
せるための温度を超える温度に加熱するような別工程を必要とすることなく、基板側出力
端子14aと、ドライバ側出力端子24との電気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させ
ることができる。例えば、溶融した導電粒子28の表面と、基板側出力端子14aとの接
触面積が増大することで、導通をより確実に確保することができると共に、溶融した状態
の導電粒子28の表面と基板側出力端子14aとが接合されるので、例えば従来のような
圧接されただけのような構造に比べて、より安定した強固な電気的、機械的な接続構造を
得ることができる。
【0060】
また、ACF25の接着材29は、例えば250°C以下の温度で硬化する硬化性樹脂
であるので、例えば接着材29を硬化させるために接着材29を250°Cに加熱する必
要がある場合に、融点が250°C以下のSn等の表面層を備えた導電粒子28を用いる
ことで、接着材29が硬化する際に導電粒子28の表面層29を溶融させ、基板側出力端
子14aとドライバ側出力端子24との接触面積を増加させることができる。
【0061】
更に、加熱圧着工程(S3)で溶融した導電粒子28は、ドライバ側出力端子24の導
電粒子28に圧接された圧接領域Sの周りに広がって、基板側出力端子14a、ドライバ
側出力端子24に接触しているので、例えば、ドライバ側出力端子24と導電粒子28と
の圧接された圧接領域Sの面積より広い面積で接合することで、導通をより向上させるこ
とができる。
【0062】
更に、導電粒子28の金属膜27の表面層は、その構成材料がSn(又は、In、Na
、K)であるので、例えば導電粒子28の金属膜27の表面層がSnの場合には、Snの
融点が232°Cであり、加熱圧着工程(S3)において、導電粒子28の温度が上昇す
るのに伴い、導電粒子28の温度が232°Cを超えると、まず、導電粒子28の金属膜
27の表面層が溶融し、続いて、接着材29の温度が例えば250°Cで一定時間保持さ
れ、接着材29の硬化反応が進行し、接着材29を硬化させることができる。このように
、加熱圧着を開始してから接着材29が硬化するまでの間に、導電粒子28の金属膜27
の表面層を溶融させて、例えば導電粒子28とドライバ側出力端子24や基板側出力端子
14aとの電気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、導電粒子28の金属膜27の表面層の構成材料が例えばSnの
例を示した。しかし、導電粒子28の金属膜27の表面層の構成材料は、これに限定され
ず、例えば、SnとBiとCdとPbとの合金又はSnとAgとCuとの合金としてもよ
い。例えば導電粒子の表面層の構成材料がSnとAgとCuとの合金の場合には、Snと
AgとCuとの合金の融点が220°Cであるので、加熱圧着工程(S3)において、導
電粒子の温度が上昇するのに伴い、導電粒子の温度が220°Cを超えると、まず、導電
粒子が溶融し、続いて、接着材の温度が250°Cで一定時間保持され、接着材29の硬
化反応が進行し、接着材29を硬化させることができる。
【0064】
また、溶融した導電粒子28の金属膜27と、基板側出力端子14a及びドライバ側出
力端子24は、金属結合されているので、例えば基板側出力端子14aと導電粒子28の
金属膜27との境界領域等で抵抗(導電性)が大きく変化したりすることなく、より強固
な電気的、機械的な接続構造とすることができる。
【0065】
(第1の変形例)
【0066】
次に、本発明に係る第1の変形例の液晶装置、液晶装置の製造方法について説明する。
なお、本変家例以降においては、上記実施形態と同一の構成部材等には同一の符号を付し
その説明を省略し、異なる箇所を中心に説明する。また、液晶装置の構成等については、
第1の実施の形態と略同様なのでその説明を省略する。
【0067】
図7は第1の変形例の基板の基板側入出力端子上に導電粒子を配置した状態の断面図、
図8は第1の変形例の導電粒子上に接着材を配置した状態の断面図である。
【0068】
(液晶装置の製造方法)
【0069】
次に、液晶装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本変形例では
、ドライバIC17等を実装する前の液晶パネル2の製造工程及び回路基板3の製造工程
等については公知技術と同様なのでその説明を省略し、導電粒子28と、接着材との配置
の方法が異なるのでこれらの配置工程について中心的に説明する。
【0070】
まず、例えばドライバIC17を実装する前の液晶パネル2を、図7に示すように、ス
テージ41上に載置し、液晶パネル2の基板4に形成された基板側出力端子14a上に、
導電粒子28を配置する。このとき、例えば、導電粒子28を噴出可能な図示を省略した
インクジェット装置等を用いる。
【0071】
次いで、図8に示すように、例えば導電粒子28に重なるように、接着材29´を貼り
付ける。このとき、例えば、図示しない接着材貼り付け装置を用いてもよいし、手動で貼
り付けてもよい。接着材29´には、例えばNCF(Non Conductive F
ilm)を用いることができる。
【0072】
続いて、押圧ヘッド40により、ドライバIC17に熱を加えながら基板4に向かう方
向(図6のD方向)にドライバIC17を押圧し、基板4にドライバIC17を加熱圧着
する(加熱圧着工程)。
【0073】
このとき、押圧ヘッド40側からの熱がドライバIC17に伝わり接着材29´及び導
電粒子28の温度が上昇する。導電粒子28の温度が232°Cを超えると、まず、導電
粒子28の表面層であるSnが溶融し始め、図6に示すように、例えばドライバ側出力端
子24との接触面及び基板側出力端子14aとの接触面にSnの一部が濡れ広がる。これ
により、導電粒子28の溶融前に比べて、ドライバ側出力端子24と導電粒子28との接
触面積及び基板側出力端子14aと導電粒子28との接触面積が増加する。
【0074】
次いで、更に温度が上昇し、接着材29´の温度が例えば250°Cで一定時間保持さ
れ、接着材29´の硬化反応が進行し、ドライバ側出力端子24と、基板側出力端子14
aとが、導電粒子28を介して電気的に接続された状態で固定される。例えば、ドライバ
側出力端子24と導電粒子28とが接続(接合)された部分や基板側出力端子14aと導
電粒子28とが接続(接合)された部分は、例えば、金属結合されている。
【0075】
そして、液晶パネル2と、回路基板3とを図示を省略した導電性の接着材等を介して電
気的に接続し、バックライトや反射シート等を設ける等して液晶装置を製造する。
【0076】
以上で液晶装置の製造方法についての説明を終了する。
【0077】
このように本変形例によれば、例えば図7に示すように、液晶パネル2の基板4に形成
された基板側出力端子14a上に、導電粒子28を配置した後に、図8に示すように、例
えば導電粒子28に重なるように、接着材29を貼り付け、続いて、押圧ヘッド40によ
り、ドライバIC17に熱を加えながら基板4に向かう方向(図6のD方向)にドライバ
IC17を押圧し、基板4にドライバIC17を加熱圧着する(加熱圧着工程)ので、例
えば、基板側出力端子14a上に図示しないインクジェット装置等を用いて選択的に導電
粒子28を配置することができ、不要な場所に配置することをなくし、低コスト化及び導
電粒子28による短絡を防止することができる。また、ACF25を用いることなく、加
熱圧着工程時に、例えば、接着材29´を硬化させる温度以下の温度で、例えば導電粒子
28の表面の金属Snを溶融させ、基板側出力端子14aと、溶融した導電粒子28の金
属膜27との接触面積を増加させたり、ドライバ側出力端子24と、溶融した導電粒子2
8の金属膜27との接触面積を増加させたりすることができ、例えば接着材29´を硬化
させるための温度を超える温度に加熱するような別工程を必要とすることなく、電気的か
つ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0078】
(第2の変形例)
【0079】
次に、本発明に係る第2の変形例の液晶装置、液晶装置の製造方法について説明する。
なお、液晶装置の構成等については、第1の実施の形態と略同様なのでその説明を省略す
る。
【0080】
図9は第2の変形例の基板の基板側端子上に接着材を配置した状態の断面図、図10は
第2の変形例の接着材上に導電粒子を配置した状態の断面図である。
【0081】
(液晶装置の製造方法)
【0082】
次に、液晶装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本変形例では
、ドライバIC17等を実装する前の液晶パネル2の製造工程及び回路基板3の製造工程
等については公知技術と同様なのでその説明を省略し、導電粒子28及び接着材29´の
配置工程のみが異なるので、これらの工程等について中心的に説明する。
【0083】
接着材29´には、例えば硬化性の樹脂等が用いられている。接着材29´が硬化する
温度は、例えば、導電粒子28の金属膜27の融点以上に設定されている。接着材29´
が硬化するときの温度は、例えば、250°Cとされている。
【0084】
まず、例えばドライバIC17を実装する前の液晶パネル2を、図9に示すように、ス
テージ41上に載置し、液晶パネル2の基板4に形成された基板側入出力端子11a、1
4a上に、接着材29´を配置する。このとき、例えば、図示しない接着材貼り付け装置
を用いてもよいし、手動で貼り付けてもよい。
【0085】
次いで、図10に示すように、例えば接着材29´を介して基板側入出力端子11a、
14aに重なるように、導電粒子28を配置する。このとき、例えば、導電粒子28を噴
出可能な図示を省略したインクジェット装置等を用いる。
【0086】
続いて、押圧ヘッド40により、ドライバIC17に熱を加えながら基板4に向かう方
向にドライバIC17を押圧し、基板4にドライバIC17を加熱圧着する(加熱圧着工
程)。
【0087】
このとき、押圧ヘッド40側からの熱がドライバIC17に伝わり接着材29´及び導
電粒子28の温度が上昇する。導電粒子28の温度が232°Cを超えると、まず、導電
粒子28の表面層であるSnが溶融し、図6に示すように、例えばドライバ側出力端子2
4との接触面及び基板側出力端子14aとの接触面にSnの一部が濡れ広がる。これによ
り、導電粒子28の溶融前に比べて、ドライバ側出力端子24と導電粒子28との接触面
積及び基板側出力端子14aと導電粒子28との接触面積が増加する。
【0088】
次いで、更に温度が上昇し、接着材29´の温度が例えば250°Cで一定時間保持さ
れ、接着材29´の硬化反応が進行し、ドライバ側出力端子24と、基板側出力端子14
aとが、導電粒子28を介して電気的に接続された状態で固定される。例えば、ドライバ
側出力端子24と導電粒子28とが接続(接合)された部分や基板側出力端子14aと導
電粒子28とが接続(接合)された部分は、例えば、金属結合されている。
【0089】
以上で液晶装置の製造方法についての説明を終了する。
【0090】
このように本変形例によれば、図9に示すように、例えば液晶パネル2の基板4に形成
された基板側入出力端子11a、14a上に、接着材29´を配置した後に、図10に示
すように、例えば接着材29´を介して基板側入出力端子11a、14aに重なるように
、導電粒子28を配置するので、例えば、基板側入力端子11a、基板側出力端子14a
上に例えば図示しないインクジェット装置等により導電粒子28を配置することができ、
無駄な導電粒子28を減少させて低コスト化を図ることができる。また、例えば導電粒子
28を接着材29´上に配置することができるので、配置した導電粒子28を接着材29
´上に捕らえることができ、無駄な導電粒子28を減少させることができる。
【0091】
また、押圧ヘッド40により、ドライバIC17に熱を加えながら基板4に向かう方向
(図6のD方向)にドライバIC17を押圧し、基板4にドライバIC17を加熱圧着す
る加熱圧着工程を備えているので、ACF25を用いることなく、加熱圧着工程時に、例
えば、接着材29´を硬化させる温度以下の温度で、例えば導電粒子28の表面の金属S
nを溶融させ、基板側出力端子14aと、溶融した導電粒子28の金属膜27との接触面
積を増加させたり、ドライバ側出力端子24と、溶融した導電粒子28の金属膜27との
接触面積を増加させたりすることができ、接着材29´が硬化する温度を超える温度に加
熱するような別工程を施すことなく、基板側出力端子14aと、ドライバ側出力端子24
との電気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。例えば、溶融した状態
の導電粒子28と基板側出力端子14aとが接合(例えば金属結合)されるので、圧接さ
れただけの構造に比べて、より安定した強固な電気的、機械的な接続構造を得ることがで
きる。
【0092】
(第3の変形例)
【0093】
次に、本発明に係る第3の変形例の液晶装置、液晶装置の製造方法について説明する。
なお、液晶装置の構成等については、第1の実施の形態と略同様なのでその説明を省略す
る。
【0094】
図11は第3の変形例の液晶装置の製造工程を示すフローチャート、図12は第3の変
形例の接着材注入前の製造工程を説明するための断面図である。
【0095】
(液晶装置の製造方法)
【0096】
次に、液晶装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本変形例では
、ドライバIC17等を実装する前の液晶パネル2の製造工程及び回路基板3の製造工程
等については公知技術と同様なのでその説明を省略し、導電粒子28と接着材29´との
配置工程等が異なるので、これらの工程等について中心的に説明する。
【0097】
まず、例えばドライバIC17を実装する前のステップ1で製造した液晶パネル2を、
図12に示すように、ステージ41上に載置し、液晶パネル2の基板4に形成された基板
側入出力端子11a、14a上に、弾性粒子26が金属膜27により被覆された導電粒子
28を配置する(S21)。このとき、例えば、導電粒子28を噴出可能な図示を省略し
たインクジェット装置等を用いる。
【0098】
次いで、図12に示すように、例えば押圧ヘッド40に保持したドライバIC17を基
板4に近づける方向(図12のD方向)に下降させる。これにより、図12に示すように
、基板側入出力端子11a、14aと、ドライバIC17のドライバ側入出力端子23、
24とを、導電粒子28を挟むように対向配置する(S22)。このとき、例えば次の接
着材の注入工程でドライバIC17の位置ずれが生じないように、基板4に対してドライ
バIC17を押圧するようにする。
【0099】
次に、図12に示す状態で、例えば接着材を供給することが可能な図示しない接着材供
給装置を用いて、図12に示すドライバIC17と、基板4との間に、接着材を供給する
(S23)。これにより、例えばドライバIC17と、基板4との間に略隙間なく接着材
を注入する。
【0100】
続いて、例えば、押圧ヘッド40により、ドライバIC17に熱を加えながら基板4に
向かう方向(D方向)にドライバIC17を押圧し、基板4にドライバIC17を加熱圧
着する(加熱圧着工程)。
【0101】
このとき、押圧ヘッド40側からの熱がドライバIC17に伝わり接着材及び導電粒子
28の温度が上昇する。導電粒子28の温度が232°Cを超えると、まず、導電粒子2
8の表面層であるSnが溶融し始め、例えばドライバ側出力端子24との接触面及び基板
側出力端子14aとの接触面にSnの一部が濡れ広がる。これにより、導電粒子28の溶
融前に比べて、ドライバ側出力端子24と導電粒子28との接触面積及び基板側出力端子
14aと導電粒子28との接触面積が増加する。
【0102】
更に温度が上昇し、接着材の温度が例えば250°Cで一定時間保持され、接着材の硬
化反応が進行し、ドライバ側出力端子24と、基板側出力端子14aとが、導電粒子28
を介して電気的に接続される。例えば、ドライバ側出力端子24と導電粒子28とが接続
(接合)された部分や基板側出力端子14aと導電粒子28とが接続(接合)された部分
は、例えば、金属結合されている。
【0103】
以上で液晶装置の製造方法についての説明を終了する。
【0104】
このように本変形例によれば、基板4に設けられた基板側出力端子14a上に導電粒子
28を配置する工程(S21)と、基板側出力端子14aと、ドライバIC17のドライ
バ側出力端子24とを導電粒子28を介して対向配置する工程(S22)と、基板4とド
ライバIC17との間に接着材を注入する工程(S23)と、基板側出力端子24と、ド
ライバ側出力端子14aとを導電粒子28を介して加熱圧着する加熱圧着工程(S3)と
を備え、加熱圧着工程(S3)では、加熱された接着材の硬化する温度以下の温度で導電
粒子28の金属膜27を溶融させるので、加熱圧着工程(S3)時に、例えば、接着材を
硬化させる温度(例えば250°C)以下の温度で、例えば導電粒子28の表面の金属S
nを溶融させ、基板側出力端子14aと、溶融した導電粒子28の金属膜27との接触面
積を増加させたり、ドライバ側出力端子24と、溶融した導電粒子28の金属膜27との
接触面積を増加させたりすることができ、例えば接着材の硬化温度より高い温度に接着材
を加熱する別工程等を施すことなく、基板側出力端子14aと、ドライバ側出力端子24
との電気的かつ機械的な接続の信頼性を向上させることができる。例えば、溶融した導電
粒子28の金属膜27を介してドライバ側出力端子24と基板側出力端子14aとを加熱
圧着することで、溶融した導電粒子28の金属膜27と、基板側出力端子14aとの接触
面積を増大させ、導通をより確実に確保することができると共に、溶融した状態の導電粒
子28の金属膜27と基板側出力端子14aとが接合されるので、例えば圧接されただけ
のような従来の構造に比べて、より安定した強固な電気的、機械的な接続構造を得ること
ができる。
【0105】
なお、上記実施形態及び変形例では、例えばACF25を基板4の基板側入出力端子1
1a、14a上に貼り付ける例や導電粒子28や接着材29等を例えば基板4の基板側出
力端子14a上等に配置する例を示した。しかし、例えばACF25をドライバIC17
の実装面20a側にドライバ側入出力端子23、24を覆うように貼り付けたり、ドライ
バIC17のドライバ側出力端子24上に接着材を貼り付け、更にこの接着材に導電粒子
28を配置しておき、その後、加熱圧着したりするようにしてもよい。
【0106】
(第2の実施形態・電子機器)
【0107】
次に、上述した液晶装置1を備えた本発明の第2の実施形態に係る電子機器について説
明する。
【0108】
図13は本発明の第2の実施形態に係る電子機器の表示制御系の全体構成の概略構成図
である。
【0109】
電子機器300は、表示制御系として例えば図13に示すように液晶パネル2及び表示
制御回路390などを備え、その表示制御回路390は表示情報出力源391、表示情報
処理回路392、電源回路393及びタイミングジェネレータ394などを有する。
【0110】
また、液晶パネル2には表示領域Iを駆動するドライバIC17等を含む駆動回路36
1を有する。
【0111】
表示情報出力源391は、ROM(Read Only Memory)やRAM(R
andom Access Memory)などからなるメモリと、磁気記録ディスクや
光記録ディスクなどからなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同
調回路とを備えている。更に表示情報出力源391は、タイミングジェネレータ394に
よって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの形
で表示情報を表示情報処理回路392に供給するように構成されている。
【0112】
また、表示情報処理回路392はシリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ロー
テーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路などの周知の各種回路を備え、入力した
表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路361へ
供給する。また、電源回路393は、上述した各構成要素に夫々所定の電圧を供給する。
【0113】
このように本実施形態によれば、ドライバIC17のドライバ側出力端子24と基板4
の基板側出力端子14aとの導電粒子28を介した接触面積が大きく接続信頼性に優れた
液晶装置1を備えているので、表示品位に優れた電子機器を得ることができる。
【0114】
具体的な電子機器としては、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの他に液晶装置
が搭載されたタッチパネル、プロジェクタ、液晶テレビやビューファインダ型、モニタ直
視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション、ページャ、電子手帳、電卓、ワード
プロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末等が挙げられる。そして、こ
れらの各種電子機器の表示部として、上述した例えば液晶装置1等が適用可能なのは言う
までもない。
【0115】
なお、本発明の電子機器、液晶装置の製造方法は、上述した例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えたり組み合わせたりできるこ
とは勿論である。
【0116】
例えば、上述の実施形態ではTFT型の液晶装置1等について説明したがこれに限られ
るものではなく、例えばTFD(Thin Film Diode)型アクティブマトリ
ックス型、パッシブマトリクス型の液晶装置であってもよい。また、プラズマディスプレ
イ装置、電気泳動ディスプレイ装置、電子放出素子を用いた装置(Field Emis
sion Display及びSurface‐Conduction Electro
n‐Emitter Display等)などの各種電気光学装置に本発明を適用しても
よい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の液晶装置の概略斜視図である。
【図2】図1の液晶装置のA−A断面図である。
【図3】図2の液晶装置のドライバICのドライバ側出力端子の拡大断面図である。
【図4】第1の実施形態の液晶装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】液晶パネルの基板にACFを貼り付けた状態(図4のS2)の断面図である。
【図6】基板にドライバICを加熱圧着する加熱圧着工程(図4のS3)の断面図である。
【図7】第1の変形例の基板の基板側端子上に導電粒子を配置した状態の断面図である。
【図8】第1の変形例の導電粒子上に接着材を配置した状態の断面図である。
【図9】第2の変形例の基板の基板側端子上に接着材を配置した状態の断面図である。
【図10】第2の変形例の接着材上に導電粒子を配置した状態の断面図である。
【図11】第3の変形例の液晶装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図12】第3の変形例の接着材注入前の製造工程を説明するための断面図である。
【図13】本発明に係る第4の実施形態の電子機器の表示制御系の概略構成図である。
【符号の説明】
【0118】
T 薄膜トランジスタ素子、S 圧接領域、 1 液晶装置、2 液晶パネル、3 回路
基板、4、5 基板、4a 張り出し部、5a 共通電極、6 シール材、7 ゲート電
極、8 ソース電極、9 画素電極、11〜13 入力配線、11a 基板側入力端子、
11b 他端部、14〜16 出力配線、14a 基板側出力端子、 17、18、19
ドライバIC、20 基材、20a 実装面、21、22 電極パッド、23 ドライ
バ側入力端子、24 ドライバ側出力端子、25 ACF、26 弾性粒子、27 金属
膜、28 導電粒子、29 接着材、31 可撓性基材、32 出力配線、33 入力配
線、 34 半導体IC、36 配線、37 接続部材、40 押圧ヘッド、41 ステ
ージ、300 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子を有する基板に、前記第1の端子に電気的に接続される第2の端子を有する
電子部品が実装された電気光学装置の製造方法であって、
前記第1の端子又は前記第2の端子上に導電粒子及び接着材を配置する配置工程と、
前記第1の端子と、前記第2の端子とが前記導電粒子を介して電気的に接続されるよう
に、前記電子部品を前記基板に加熱圧着する加熱圧着工程とを備え、
前記加熱圧着工程では、前記接着材が軟化又は硬化する温度以下の温度で少なくとも前
記導電粒子の表面を溶融させることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
第1の端子を有する基板に、前記第1の端子に電気的に接続される第2の端子を有する
電子部品が実装された電気光学装置の製造方法であって、
前記第1の端子又は前記第2の端子上に導電粒子を配置する導電粒子配置工程と、
少なくとも前記基板の前記電子部品側の面又は少なくとも前記電子部品の前記基板側の
面に接着材を配置する接着材配置工程と、
前記第1の端子と、前記第2の端子とが前記導電粒子を介して電気的に接続されるよう
に、前記電子部品を前記基板に加熱圧着する加熱圧着工程とを備え、
前記加熱圧着工程では、前記接着材が軟化又は硬化する温度以下の温度で少なくとも前
記導電粒子の表面を溶融させることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
第1の端子を有する基板に、前記第1の端子に電気的に接続される第2の端子を有する
電子部品が実装された電気光学装置の製造方法であって、
前記第1の端子又は前記第2の端子上に導電粒子を配置する導電粒子配置工程と、
前記第1の端子と、前記第2の端子とを前記導電粒子を介して対向配置する工程と、
前記基板と前記電子部品との間に接着材を注入する注入工程と、
前記第1の端子と、前記第2の端子とが前記導電粒子を介して電気的に接続されるよう
に、前記電子部品を前記基板に加熱圧着する加熱圧着工程とを備え、
前記加熱圧着工程では、前記接着材が軟化又は硬化する温度以下の温度で少なくとも前
記導電粒子の表面を溶融させることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記配置工程は、
前記第1の端子又は前記第2の端子上に前記接着材を配置する接着材配置工程と、
前記接着材配置工程の後に、前記第1の端子又は前記第2の端子上に前記導電粒子を配
置する導電粒子配置工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製
造方法。
【請求項5】
前記接着材は、250°C以下の温度で軟化又は硬化することを特徴とする請求項1か
ら請求項4のうちいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記加熱圧着工程で少なくとも表面が溶融した前記導電粒子は、前記第2の端子の前記
導電粒子に圧接された圧接領域の周りに広がって、前記第1の端子及び前記第2の端子の
少なくとも一方に接触することを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に
記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記導電粒子は、その表面の構成材料にSn、In、Na又はKを有することを特徴と
する請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
前記導電粒子は、その表面の構成材料にSnとBiとCdとPbとの合金又はSnとA
gとCuとの合金を有することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか一項
に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
溶融した前記導電粒子と、前記第1の端子及び前記第2の端子のうち少なくとも一方と
は、金属結合されていることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に
記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
第1の端子を有する基板と、
前記第1の端子に電気的に接続された第2の端子を有する電子部品と、
前記第1の端子及び前記第2の端子と電気的に接続され、表面の材質の融点が250°
C以下の導電粒子と、
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−212604(P2007−212604A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30587(P2006−30587)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】