説明

電気光学装置及びその製造方法並びに電子機器

【課題】液晶装置等の電気光学装置において、画像信号に乗る電磁ノイズが低減されており、高品位の画像表示を行うと共に、高精細化を図る。
【解決手段】電気光学装置は、基板上に、走査線と、走査線と交差するデータ線と、画素毎に設けられた画素電極と、(i)走査線に接続されたゲート電極、並びに(ii)データ線に接続されたソース領域、画素電極に接続されたドレイン領域、及びチャネル領域を有する半導体層を有する薄膜トランジスタと、ドレイン領域及び画素電極間を中継接続する中継配線と、データ線及び画素電極間に積層され、中継配線を囲むように形成され、所定電位に保持されるシールド部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば素子基板上にスイッチング素子として薄膜トランジスタが画素毎に配置された液晶装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びに電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例である液晶装置では、スイッチング素子として機能するTFTによる各画素電極のオン/オフ動作に同期して、画像信号が画素電極に書き込まれることにより、一対の基板間に挟持された電気光学物質の配向状態を電圧制御する。このようなスイッチング素子や配線等は、基板上に積層構造として形成される。ここで積層構造における各導電層間には、電位の差に応じて電界が発生し、相互に電磁ノイズとして影響し合う。特に、画像信号の電圧値が、このような電磁ノイズの影響を受けると、表示画像の質の低下が顕著となる。このため、シールド電極を設けることによって、導電層間に生じる電界を遮断するという技術が開示されている(特許文献1から3)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−39336号公報
【特許文献2】特開平2004−109974号公報
【特許文献3】特開平2006−189898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の背景技術によれば、シールド電極は平面的な構造をしているため、3次元的にシールド電極層の端部の外側を回りこむ電界成分までは遮断することができない。
【0005】
特に上述の背景技術によれば、シールド電極の面積が十分に大きくない場合や、電界の発生源となる導電層が複数存在する場合には、シールド電極の端部の外側を回りこむ成分が相対的に大きくなったり、電界が様々な方向の成分を有する。このため、平面的な構造を有するシールド電極では、これらの電界を遮断することが困難になる。また、高精細化が求められる液晶装置のような電気光学装置では、必然的にシールド電極もできるだけ小さく形成することが求められる。このように、シールド電極を小さく形成すると、背景技術では遮断できる電界の量が著しく低下してしまう。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像信号に乗る電磁ノイズが低減されており、高品位の画像表示を行うと共に、高精細化に適している電気光学装置及びその製造方法並びにそのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、第1の方向に延在する走査線と、前記走査線と交差する第2の方向に延在するデータ線と、前記走査線及び前記データ線の交差に対応して画素毎に設けられた画素電極と、(i)前記走査線に電気的に接続されたゲート電極、並びに(ii)前記データ線に電気的に接続されたソース領域、前記画素電極に電気的に接続されたドレイン領域、及び前記ゲート電極に対してゲート絶縁膜を介して対向するチャネル領域を有する半導体層を有する薄膜トランジスタと、前記半導体層及び前記画素電極間に積層されており、前記ドレイン領域及び前記画素電極間を中継接続する中継配線と、前記データ線及び前記画素電極間に積層された複数の導電層を含んでなり、前記中継配線を囲むように形成されており、所定電位に保持されるシールド部とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、基板上には走査線、データ線が夫々異なる方向に配置されており、走査線及びデータ線の交差に対応して画素毎に設けられた画素電極、薄膜トランジスタ(以下適宜単に「TFT」と称する)等を備えている。走査線から入力された走査信号に従って、スイッチング素子として機能するTFTによって各画素電極はオン/オフ駆動され、データ線を介して画像信号が画素電極に書き込まれる。画素電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる透明電極である。
【0009】
本発明では特に、TFTを構成する、ソース領域とドレイン領域とは夫々、データ線及び画素電極と電気的に接続されている。また、ゲート電極はゲート絶縁膜を介して、半導体層のチャネル領域と対向するように設けられている。
【0010】
半導体層と画素電極が形成されている層との間には、TFTのドレイン領域と画素電極間とを接続する中継配線が設けられている。中継配線は、例えば半導体層と画素電極との間に設けられた層間絶縁膜のコンタクトホールに形成され、互いに離れた層に形成された半導体層と画素電極とを接続する。そのため、中継配線は半導体層のドレイン領域及び画素電極と等電位となるため、電気光学装置の動作中、中継配線と、データ線及び異なる画素における画素電極との間には電位差が生じる。例えば、TFTがオフ状態のとき、データ線には画像信号に基づく電位が印加されているが、中継配線には電圧は印加されていない。また、例えば、アクティブマトリクス方式では画素毎に異なる画像信号が供給されるため、当然に異なる画素における画素電極の電位と、中継配線との間には電位差が生じる。その結果、仮に何らの対策を施さないとすれば、中継配線と、データ線や他の画素における画素電極等の導電層との間には、電位差によって生じる電界が発生する。即ち、中継配線と、データ線や他の画素における画素電極等との間には、各々の電位が電磁ノイズとして相互に作用する。
【0011】
しかるに本発明によれば、中継配線と、データ線や他の画素における画素電極等との間には、複数の導電層からなるシールド部が設けられている。シールド部は、中継配線を囲むように形成され、一定の電位に保持されている。ここで、「中継配線を囲むように形成されて」とは、中継配線の延在する方向に垂直な一の横断面上で少なくとも部分的に上又は下に形成されることに加えて、少なくとも左又は右にも形成されていることを意味し、該一の横断面上で、広義には何らかの形で中継配線の周囲を一方向又は複数方向から囲んでいればよく、狭義には上下及び左右から完全に囲んでいてもよい。そのため、シールド部によって、上述の中継配線と、データ線や他の画素における画素電極等の導電層との間に生じる電界を効率良く遮断することができる。特に、シールド部を中継配線の周囲を囲めば囲むほど、背景技術の場合に比べて、シールド部を構成する導電層の端部の外側を回りこむ電界についても遮断することが可能となっている。その結果、この回り込む電界に起因して中継配線に生じる電磁ノイズの遮断能力を格段に向上させることが可能となり、より高品位な画像表示を実現することができる。
【0012】
また、本発明では中継配線を囲むようにシールド部を形成しているので、例えシールド部を小さく形成しても、すぐさま電界の遮断能力が低下することはない。つまり、シールド部を構成する導電層として、中継配線の延在する方向に垂直な一の横断面上において、中継配線の左右にも導電層を設ければ、即ち少なくとも部分的に三次元的に又は立体的に導電層を設ければ、背景技術のように、すぐさま遮断できない電界が急増するのではなく、シールド部の端部の外側を回りこむ電界を依然として少なからず遮断することも可能である。高精細化が求められる液晶装置のような電気光学装置では、画素ピッチが小さくなるに従い、シールド部の大きさについても小さくすることが求められる。そのため、本発明によれば、高精細化に対応した電気光学装置においても、中継配線の電磁ノイズを抑制し、高品位な画像表示を行うことが可能となる。
【0013】
以上のように、シールド部を、中継配線を囲むように設けることによって、導電層間に生じる電界の遮断能力を更に向上させることができ、高精細な電気光学装置にも対応することが可能となる。
【0014】
本発明の一の態様では、前記シールド部は、前記中継配線の延在する方向に垂直な一の横断面上で、前記中継配線を上下左右から少なくとも部分的に囲むように形成されている。
【0015】
この態様によれば、中継配線と、データ線及び画素電極との間に生じる電界を遮断するために、シールド部を構成する複数の導電層が中継配線の延在する方向に垂直な一の横断面上で上下左右に囲むように配置されている。但し、上下左右を完全に囲んでいる必要はなく、上下左右のうち少なくとも部分的に導電層が配置されていればよい。これにより、単に平面的なシールド部を設けた場合にシールド部の端部の外側を回りこんでいた電界を少なからず遮断することができる。そして、中継配線を囲む割合が多くなるに従い、遮断できる電界も多くなり、より電磁ノイズの発生を抑制することができる。
【0016】
本発明の他の態様では、前記シールド部は、前記一の横断面上で、前記中継配線を上下左右から完全に囲むように形成されている。
【0017】
このようにシールド部を構成すれば、中継配線に出入りする電界の全てはシールド部によって遮断される。従って、中継配線と、データ線及び画素電極との間に生じる電界を完全に遮断することができ、画像信号における電磁ノイズを最も良好に減少或いは殆ど無くすることができる。その結果、極めて画質が良好で高品位な表示ができる電気光学装置を実現することができる。
【0018】
本発明の他の態様では、前記シールド部は、前記複数の導電層として、前記データ線及び前記中継配線間に積層され、所定電位に保持される第1シールド電極と、前記中継配線及び前記画素電極間に積層され、前記第1シールド電極と組み合わせて前記中継配線を囲むように形成され、所定電位に保持される第2シールド電極とを含んでなる。
【0019】
この態様によれば、第1シールド電極は、データ線と中継配線との間に配置される。これにより、データ線と中継配線との電位差に基づいて生じる電界を遮断することが可能となる。また、第1シールド電極と第2シールド電極とは、組み合わされることによって中継配線を囲むように形成されているため、第1シールド電極の端部の外側を回りこむ電界成分を、第2シールド電極で遮断することができる。逆に、第2シールド電極の端部を回りこむ電界成分は、第1シールド電極によって遮断することができる。
【0020】
このようして、第1シールド電極と第2シールド電極は組み合わされると、中継配線の延在する方向に垂直な一の横断面上で、前記中継配線を囲むように形成されているので、中継配線に印加される画像信号に電磁ノイズが混入することを抑制することが可能となる。
【0021】
本発明の他の態様では、前記第1シールド電極及び前記中継配線間に積層された誘電体膜を更に備え、前記第1シールド電極及び前記中継配線を、前記誘電体膜を挟持する一対の容量電極として保持容量を形成している。
【0022】
この態様によれば、所定電位或いは固定電位とされる第1シールド電極と、画素電極側電位とされる中継配線とを、一対の容量電極としてそのまま用いることによって、基板上に形成された積層構造を複雑化することなく保持容量を追加形成することが可能となる。この場合、保持容量の容量値は、第1シールド電極と中継配線との間に形成する誘電体膜の膜厚及び相対向する容量電極の面積を適切に調整することによって増減すればよい。
【0023】
このように形成すれば、保持容量を形成するために別途容量電極用に導電層を追加する必要が無くなるため、積層構造が複雑にならなくてすむ。その結果、電気光学装置の製造コストの削減や、電気光学装置の全体サイズを縮小することが可能となり、高精細な電気光学装置を実現することができる。
【0024】
本発明の他の態様では、前記第2シールド電極及び前記中継配線間に積層された誘電体膜を更に備え、前記第2シールド電極及び前記中継配線を、前記誘電体膜を挟持する一対の容量電極として保持容量を形成している。
【0025】
この態様によれば、所定電位或いは固定電位とされる第2シールド電極と、画素電極側電位とされる中継配線とを、一対の容量電極としてそのまま用いることによって、基板上に形成された積層構造を複雑化することなく保持容量を追加形成することが可能となる。この場合、保持容量の容量値は、第2シールド電極と中継配線との間に形成する誘電体膜の膜厚及び相対向する容量電極の面積を適切に調整することによって増減すればよい。
【0026】
このように形成すれば、保持容量を形成するために別途容量電極用に導電層を追加する必要が無くなるため、積層構造が複雑にならなくてすむ。その結果、電気光学装置の製造コストの削減や、電気光学装置の全体サイズを縮小することが可能となり、高精細な電気光学装置を実現することができる。
【0027】
本発明の第1の電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、前記基板上に前記第1シールド電極を形成する工程と、前記第1シールド電極上に前記誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に、前記第1シールド電極よりも幅狭に前記中継配線を形成する工程と、前記誘電体膜及び前記中継配線の上に、層間絶縁膜を形成する工程と、前記誘電体膜及び前記層間絶縁膜を部分的に除去することにより、前記第1シールド電極の端部を露出させる工程と、露出した前記第1シールド電極の端部及び前記層間絶縁膜上に前記第2シールド電極を形成する工程とを含む。
【0028】
本発明の第1の製造方法によれば、まず、基板上には第1シールド電極が、スパッタリング及びパターニング等の手法によって形成される。ここで、基板上にデータ線、走査線及び半導体層等も形成する必要がある場合には、これらの素子を形成したのち、層間絶縁膜で平坦化してから形成してもよい。
【0029】
第1シールド電極上には、第1シールド電極と中継配線とを容量電極として形成される保持容量の誘電体として、誘電体膜が形成される。ここで第1シールド電極上において誘電体膜を形成する範囲は、保持容量の容量値によって増減してもよいし、前面に形成してもよい。また、誘電体膜を薄く形成するのに応じて、容量値を大きくできる。
【0030】
誘電体膜上には、中継配線が形成される。特に中継配線を第1シールド電極よりも幅狭に形成することによって、第1シールド電極の端部の外側を回りこむ電界成分を軽減することが可能となる。ここで、一対の容量電極として相対向する中継配線部分及び第1シールド電極部分の面積を大きくするのに応じて、容量値を大きくできる。
【0031】
誘電体膜及び中継配線上には、層間絶縁膜が更に形成される。そして、誘電体膜及び層間絶縁膜を、第1シールド電極の端部が露出するように部分的に除去することによって、次に形成する第2シールド電極と第1シールド電極とを電気的に接続することが可能となる。
【0032】
このようにして、中継配線を囲むように第1シールド電極及び第2シールド電極を形成しつつ、基板上に第1シールド電極と中継配線を容量電極とする保持容量を有する電気光学装置を製造することができる。
【0033】
本発明の第2の電気光学装置の製造方法は上記課題を解決するために、前記基板上に前記第1シールド電極を形成する工程と、前記第1シールド電極上に第1層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1層間絶縁膜上に、前記第1シールド電極よりも幅狭に前記中継配線を形成する工程と、前記第1層間絶縁膜及び前記中継配線の上に、第2層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1層間絶縁膜及び前記第2層間絶縁膜を部分的に除去することにより、前記第1シールド電極の端部及び前記中継配線の表面を露出させる工程と、露出した前記第1シールド電極の端部及び前記中継配線の表面に前記誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に第2シールド電極を形成する工程とを含む。
【0034】
本発明の第1の製造方法によれば、第1シールド電極を形成したのち、第1シールド電極を覆うように第1層間絶縁膜が形成され、その上に中継配線が形成される。そして、第2層間絶縁膜が中継配線を覆うように形成される。その後、第1層間絶縁膜及び第2層間絶縁膜は、第1シールド電極の端部と中継配線の表面が露出するように除去される。そして、誘電体膜がシールド電極の端部と中継配線の表面に形成され、その上に第2シールド電極が形成される。
【0035】
このようにして、中継配線を囲むように第1シールド電極及び第2シールド電極を形成しつつ、基板上に第2シールド電極と中継配線を容量電極とする保持容量を有する電気光学装置を製造することができる。
【0036】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0037】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像を表示することが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0038】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らか
にされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。尚、以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線断面図である。
【0040】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板や、シリコン基板等である。対向基板20は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0041】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0042】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0043】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0044】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0045】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作りこまれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線の上層に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜(図2において省略)が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、ブラックマトリクス23が形成されている。ブラックマトリクス23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状、ストライプ状等にパターニングされている。遮光膜23上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向して、対向基板20の全面に亘って(例えばベタ状に)形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。
【0046】
このように構成され、画素電極9と対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0047】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路の他に、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0048】
次に、第1実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、第1実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0049】
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の
各々には、画素電極9及び本発明に係る「トランジスタ」の一例としての画素スイッチング用のTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9に電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置の動作時に画素電極9をスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6は、TFT30のソース領域に電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、互いに隣り合う複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0050】
TFT30のゲートには走査線11が電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20(図2参照)に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。
【0051】
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0052】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9と対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量に対して電気的に並列に蓄積容量70が付加されている。また、後述するように、シールド電極が所定電位となるように、固定電位又は一定周期で反転する対向電極電位などの所定電位の容量線300に電気的に接続されている。
【0053】
次に、第1実施形態に係る画素スイッチング用のTFT30付近の具体的な構成について、図4から図7を参照して説明する。
【0054】
図4は、第1実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板10上に形成された画素スイッチング用TFT30の周辺構成を図示する平面模式図である。尚、図4では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0055】
TFTアレイ基板10上には、走査線11及びデータ線6が、夫々X方向及びY方向に沿って配置されており、データ線6と走査線11の交差付近にTFT30(即ち、半導体層30a及びゲート電極30b)が形成されている。また、X方向に沿って遮光膜8が形成されている。走査線11は、遮光性の導電材料、例えば、W、Ti、TiN等から形成されており、TFT30の半導体層30aを含むように形成されている。図4に示すように、TFT30の半導体層30aよりも走査線11を幅広に形成することによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域30bを殆ど或いは完全に遮光できる。その結果、液晶装置の動作時に、TFT30における光リーク電流は低減され、コントラスト比を向上させることができ、高品位の画像表示が可能となる。
【0056】
TFT30は、半導体層30aと、ゲート電極30bから構成されている。半導体層30aは、ソース領域30a1、チャネル領域30a2、ドレイン領域30a3含んでおり、 チャネル領域30a2とソース領域30a1、又は、チャネル領域30a2とドレイン領域30a3との界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
【0057】
TFT30のソース領域30a1はコンタクトホール31を介してデータ線6と電気的に接続されている。一方、ドレイン領域30a3は、コンタクトホール32及び33を介して、第1ドレイン中継配線1、第2ドレイン中継配線2、及び画素電極9(図4において省略)と電気的に接続されている。
【0058】
続いて、図5から図7を参照して、TFTアレイ基板10上に形成された積層構造について、更に詳細に説明する。
【0059】
初めに、図5を参照して、図4のA−A´線断面について説明する。TFTアレイ基板10上には、上述した走査線11が、TFT30の半導体層30aよりも幅広に形成されている。走査線11は下地絶縁膜12によって覆われており、その表面が平坦化されている。尚、下地絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能も有している。
【0060】
TFT30は、半導体層30a(ソース領域30a1、チャネル領域30a2、ドレイン領域30a3)、ゲート電極30bから構成されている。特にゲート電極30bは、例えば導電性ポリシリコンから形成されており、走査線11と電気的に接続されている。
【0061】
画像信号が送られてくるデータ線6は、層間絶縁膜13及び14に開口されたコンタクトホール31を介してソース領域30a1と電気的に接続されている。一方、ドレイン領域30a3は、上層側に形成された画素電極9aと、第1ドレイン中継配線1及び第2ドレイン中継配線4を経由して、電気的に接続されている。より具体的には、第1ドレイン中継配線1は、層間絶縁膜13及び14に開口されたコンタクトホール32を介してドレイン領域30a3と第2ドレイン中継配線4とを電気的に接続している。第2ドレイン中継配線2は、層間絶縁膜15及び16に開口されたコンタクトホール33を介して、第1ドレイン中継配線1と画素電極9aとを電気的に接続している。尚、画素電極9aは層間絶縁膜17及び18に開口されているコンタクトホール34を介して、第2ドレイン中継配線4と電気的に接続されている。
【0062】
第1シールド電極4は、第2ドレイン中継配線2とデータ線6との間の層に形成され、コモン電位(即ち、一定電圧又は所定周期で反転する矩形電位)に落とされている。これにより、第2ドレイン中継配線2とデータ線6との電位差に起因して発生する電界を第1シールド電極によって遮断することができるので、第2ドレイン中継配線2における画像信号に、データ線6等から電磁ノイズが混入することを防ぐことができる。第2シールド電極5は、第2ドレイン中継配線2と、画素電極9(9a及び9b)との間に形成されており、コモン電位(即ち、一定電圧又は所定周期で反転する矩形電位)に落とされている。これにより、第2ドレイン中継配線2と画素電極9aとの電位差に起因して発生しようとする電界を第2シールド電極によって電界を効果的に遮断することができる。尚、第1シールド電極4及び第2シールド電極5は、共通配線300と接続されることによって、コモン電位(即ち、一定電圧又は所定周期で反転する矩形電位)に固定されている(図3参照)。
【0063】
続いて、図6を参照して、図4のB−B´線断面(つまり、第2ドレイン中継配線4の延在する方向に垂直な横断面上)における構造について説明する。
【0064】
TFTアレイ基板10上に、下地絶縁膜12、層間絶縁膜13及び14が形成され、その上にデータ線6が配置されている。データ線6は層間絶縁膜15によっておおわれ、平坦化されている。その上には、第1シールド電極4が配置されており、第2ドレイン中継配線2とデータ線6との間に生じようとする電界を効果的に遮断するように構成されている。また、第2ドレイン中継配線2と画素電極9との間には第2シールド電極5が配置されており、第2ドレイン中継配線2と画素電極9との間に生じようとする電界を効果的に遮断するように構成している。
【0065】
特に本実施形態では、第1シールド電極4と第2シールド電極5とが組み合わされることによって、第2ドレイン中継配線4の延在する方向に垂直な横断面において第2ドレイン中継配線4が囲まれるように形成されている。このように2つの導電層によってなるシールド電極で第2ドレイン中継配線4を囲むように形成することによって、第2ドレイン中継配線2と、データ線6及び画素電極9との間に生じようとする電界を極めて効果的に遮断することができる。特に本実施形態では、第1シールド電極4と第2シールド電極とが組み合わされて完全に第2ドレイン中継配線2を囲むように形成されているので、第2ドレイン中継配線2は他の導電層との電位差によって生じようとする電界をほぼ完全に遮断している。そのため、第2ドレイン中継配線2における画像信号に電磁ノイズが混入することを防止することができる。このように、背景技術では、シールド電極は平面的な構造を有するにすぎなかったため、シールド電極の端部の外側をまわりこむ電界が残存していたが、本発明によれば、第2ドレイン中継配線2をほぼ完全に遮断することが可能であり、高品位な画像表示ができる電気光学装置を実現することが可能となる。
【0066】
次に、図7を参照して、図4のC−C´線断面における構造について説明する。理想的には、図6に示したように第2ドレイン中継配線2を完全に囲むことが望ましいが、構造上の理由から、第2ドレイン中継配線2はTFTアレイ基板10上において画素電極9aとドレイン領域30a3と電気的に接続する領域を設ける必要がある。このような理由から、本実施形態では、図4のC−C´の領域において部分的に第2ドレイン中継配線2は、シールド電極で完全に囲まれていない領域を含んでいる。このように一部の領域において第2ドレイン中継配線2が完全にシールド電極によって囲まれていなくても、TFTアレイ基板10全体で見れば、第2ドレイン中継配線2の大部分がシールド電極によって囲まれているため、第2ドレイン中継配線における画像信号への電磁ノイズの混入を極めて良好に防ぐことができる。また、図7に示すような平面的なシールド電極しか有さない部分においても、第1シールド電極4及び第2シールド電極5の面積を第2ドレイン中継配線2に対して十分大きく確保することによって、シールド電極の端部の外側を回りこむ電界を最小限に抑えることができる。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、第2ドレイン中継配線2を2つのシールド電極で囲むことによって、データ線6及び画素電極9と、第2ドレイン中継配線との間に発生しようとする電界を効果的に遮断することができ、その結果、画像信号への電磁ノイズの混入が良好に抑制された高品質な画像が表示可能な電気光学装置を実現することができる。
【0068】
また、第2ドレイン中継配線2を囲むようにシールド電極を形成しているので、シールド電極を小さく形成しても、電界の遮断能力をほぼ保持することができる。従って、高精細化が求められる液晶装置のような電気光学装置においても、中継配線の電磁ノイズを抑制し、高品位な画像表示を行うことが可能となる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図8から図10を参照して説明する。第2実施形態では、第2シールド電極5と第2ドレイン中継配線2を容量電極として蓄積容量70(図3参照)を形成している点において、第1実施形態と異なる。
【0069】
図8は、第2実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板10上に形成された画素スイッチング用TFT30の周辺構成を図示する平面図である。尚、図8では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。基本的な構造は、第1実施形態(図4参照)と同様であるが、蓄積容量70の電極間に挟持される誘電体膜7が追加されている。誘電体膜7の占める面積の大きさは、追加したい蓄積容量70の容量値に応じて増減すればよい。
【0070】
図9は、図8のD−D´線断面図である。第2シールド電極5と第2ドレイン中継配線2との間に、薄い誘電体膜7が形成されている点で、第1実施形態(図6参照)と異なっている。この形態によれば、第2シールド電極5と第2ドレイン中継配線2とを容量電極としてそのまま用いることによって、TFTアレイ基板10上に形成された積層構造を複雑化することなく蓄積容量70を追加形成することができる。即ち、このように形成することによって、別途、容量電極用に導電層を追加する必要が無くなるため、基板上における積層構造及び製造工程が複雑にならなくてすむ。その結果、電気光学装置の製造コストの削減や、電気光学装置の全体サイズを縮小することが可能となり、高精細な電気光学装置を実現することができる。
【0071】
また、第2実施形態の変形例として、図10に示すように、第1シールド電極4と第2ドレイン中継配線2との間に誘電体膜7を形成してもよい。この場合も、図9の場合と同様に、容量電極用に導電層を追加する必要が無くなるため、基板上における積層構造及び製造工程が複雑にならなくてすむ。
【0072】
このように、シールド電極とドレイン中継配線とを容量電極として利用することによって、新たな導電層を新設することなく蓄積容量70を付加することができる。そのため、新たに電極を形成して積層構造を複雑化する必要がなくなるため、TFTアレイ基板10をより容易に製造することが可能となる。また、新たな電極を追加する必要がないため、構造がシンプルになり、より高精細化に適した液晶装置を実現することができる。
<製造方法>
続いて、第1実施形態及び第2実施形態に係る液晶装置の製造方法について、図11から13を参照して説明する。
【0073】
図11は、第1実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上に2つのシールド電極を形成する工程を段階的に示した模式図である。ここで、便宜上、TFTアレイ基板10上に形成される一般的な構成要素(例えば、図5における走査線11、下地絶縁膜12、及び層間絶縁膜13から15等)は省略している。
【0074】
まず、図11(a)に示すように、層間絶縁膜によって平坦化されたTFTアレイ基板の表面に、アルミニウムなどの導電性金属をスパッタリング及びエッチングすることによって、第1シールド電極4を形成する。そして、形成した第1シールド電極4を覆うように層間絶縁膜16を積層し、その上層に第2ドレイン中継配線2を第1シールド電極4よりも幅狭に形成する。更に、第2ドレイン中継配線2を覆うように層間絶縁膜17を積層する。尚、層間絶縁膜16及び17は、次の工程においてフォトリソグラフィによってパターニング処理される。
【0075】
次に、図11(b)に示すように、レジストをパターンニングした後、エッチング処理により層間絶縁膜16及び17の一部(点状で示した部分)を除去する。ここで特に、第1シールド電極4の端部が露出するように、パターン形成を行い、層間絶縁膜16及び17を部分的に除去する。
【0076】
そして、図11(c)に示すように、再度導電性金属をスパッタリング及びエッチングすることによって、第2シールド電極5を形成する。ここで、図11(b)で露出させた第1シールド電極の端部に第2シールド電極が積層されるため、全体として第2ドレイン中継配線を囲むようにシールド電極が形成される。
【0077】
その後、図11(d)に示すように、層間絶縁膜18を積層して、TFTアレイ基板10の表面を平坦化して、画素電極9を形成する。尚、図11には図示を省略していないが、画素電極9上には配向膜が形成される。このようにして、TFTアレイ基板10上における積層構造が完成する。
【0078】
次に、図12は、第2実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上に2つのシールド電極を形成する工程を段階的に示した模式図である。図12においても、便宜上、TFTアレイ基板10上に形成される一般的な構成要素(例えば、図5における遮光膜8、下地絶縁膜12、及び層間絶縁膜13から15等)は省略している。
【0079】
まず、図11(a)と同様に、基板上に第1シールド電極4、第2ドレイン中継配線2、層間絶縁膜16及び17を形成する(図12(a))。次に、図12(b)に示すように、第2ドレイン中継配線2上を含む広い範囲をパターンニングして、層間絶縁膜16及び17の一部(点状で示した部分)を除去する。そして、図12(c)に示すように、基板上に形成された第2ドレイン中継配線2等の上に誘電体膜7を薄く形成する。
【0080】
その後、図11(c)及び(d)と同様に、導電性金属をスパッタリング及びエッチングして第2シールド電極5を形成し(図12(d))、その上に層間絶縁膜18、画素電極9及び配向膜を形成することにより、TFTアレイ基板10上の積層構造が完成する(図12(e))。このとき、誘電体膜7を介して相対向して容量電極として機能する部分の面積を増やせば、形成したい蓄積容量70の容量値を増やせる。
【0081】
図13は、第1シールド電極4と第2ドレイン中継配線2との間に誘電体膜7を設けることにより、蓄積容量70を形成した液晶装置のTFTアレイ基板10上の積層構造の製造方法を示す工程図である。
【0082】
まず、TFTアレイ基板10上の平坦な表面上に第1シールド電極4を形成し、その表面を誘電体膜7で覆うように形成する(図13(a))。誘電体膜7上には、第1シールド電極4よりも幅狭に第2ドレイン中継配線2が形成され、層間絶縁膜16で平坦化される(図13(b))。
【0083】
続いて、図13(d)に示すように層間絶縁膜16及び誘電体膜7は、第1シールド電極4の端部が露出するようにパターンニングして部分的に除去される。そして、露出した第1シールド電極4の端部及び層間絶縁膜16上に第2シールド電極5が形成される。このようにして、第2ドレイン中継配線2は第1シールド電極4及び第2シールド電極5によって囲まれ、かつ、第1シールド電極4と第2ドレイン中継配線2とを容量電極とする蓄積容量70を積層構造に内蔵することができる。
【0084】
尚、第2シールド電極5上には更に層間絶縁膜18が積層されることによって平坦化され、その上に画素電極9や配向膜(図13において省略)が形成される。
【0085】
尚、対向基板20に関しては、必要に応じて下地絶縁膜、ブラックマトリクスや対向電極を設けることにより完成される。そして、上述の工程によって完成させられたTFTアレイ基板10と対向基板20とを対向配置し、その間に液晶等の電気光学物質で満たして封入することにより、液晶装置が完成する。
【0086】
<3:電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図14は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0087】
図14に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0088】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0089】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0090】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0091】
尚、図14を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0092】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0093】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用基板及び電気光学装置、並びに該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の平面図である。
【図2】図1のH−H´断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上に形成された画素スイッチング用TFTを周辺配線と共に図示する平面図である。
【図5】図4のA−A’線断面図である。
【図6】図4のB−B’線断面図である。
【図7】図4のC−C’線断面図である。
【図8】第2実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上に形成された画素スイッチング用TFTを周辺配線と共に図示する平面図である。
【図9】図8のD−D’線断面図である。
【図10】第2実施形態に係る液晶装置の変形例のTFTアレイ基板上に形成された画素スイッチング用TFT付近の積層構造の断面図である。
【図11】第1実施形態に係る液晶装置のシールド電極の製造方法を、順を追って示す工程断面図である。
【図12】第2実施形態に係る液晶装置のシールド電極の製造方法を、順を追って示す工程断面図である。
【図13】第2実施形態の変形例に係る液晶装置のシールド電極の製造方法を、順を追って示す工程断面図である。
【図14】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 第1ドレイン中継配線、 2 第2ドレイン中継配線、 4 第1シールド電極、 5 第2シールド電極、 6 データ線、 9 画素電極、 10 TFTアレイ基板、 10a 画像表示領域、 11 走査線、 20 対向基板、 21 対向電極、 30 TFT、 30a 半導体層、 30a1 ソース領域、 30a2 チャネル領域、 30a3 ドレイン領域、 30b ゲート電極、 50 液晶、 100 液晶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
第1の方向に延在する走査線と、
前記走査線と交差する第2の方向に延在するデータ線と、
前記走査線及び前記データ線の交差に対応して画素毎に設けられた画素電極と、
(i)前記走査線に電気的に接続されたゲート電極、並びに(ii)前記データ線に電気的に接続されたソース領域、前記画素電極に電気的に接続されたドレイン領域、及び前記ゲート電極に対してゲート絶縁膜を介して対向するチャネル領域を有する半導体層を有する薄膜トランジスタと、
前記半導体層及び前記画素電極間に積層されており、前記ドレイン領域及び前記画素電極間を中継接続する中継配線と、
前記データ線及び前記画素電極間に積層された複数の導電層を含んでなり、前記中継配線を囲むように形成されており、所定電位に保持されるシールド部と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記シールド部は、前記中継配線の延在する方向に垂直な一の横断面上で、前記中継配線を上下左右から少なくとも部分的に囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記シールド部は、前記一の横断面上で、前記中継配線を上下左右から完全に囲むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記シールド部は、前記複数の導電層として、
前記データ線及び前記中継配線間に積層され、所定電位に保持される第1シールド電極と、
前記中継配線及び前記画素電極間に積層され、前記第1シールド電極と組み合わせて前記中継配線を囲むように形成され、所定電位に保持される第2シールド電極と
を含んでなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1シールド電極及び前記中継配線間に積層された誘電体膜を更に備え、前記第1シールド電極及び前記中継配線を、前記誘電体膜を挟持する一対の容量電極として保持容量を形成していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第2シールド電極及び前記中継配線間に積層された誘電体膜を更に備え、前記第2シールド電極及び前記中継配線を、前記誘電体膜を挟持する一対の容量電極として保持容量を形成していることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気光学装置を製造する製造方法であって、
前記基板上に前記第1シールド電極を形成する工程と、
前記第1シールド電極上に前記誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に、前記第1シールド電極よりも幅狭に前記中継配線を形成する工程と、
前記誘電体膜及び前記中継配線の上に、層間絶縁膜を形成する工程と、
前記誘電体膜及び前記層間絶縁膜を部分的に除去することにより、前記第1シールド電極の端部を露出させる工程と、
露出した前記第1シールド電極の端部及び前記層間絶縁膜上に前記第2シールド電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項4から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を製造する製造方法であって、
前記基板上に前記第1シールド電極を形成する工程と、
前記第1シールド電極上に第1層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜上に、前記第1シールド電極よりも幅狭に前記中継配線を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜及び前記中継配線の上に、第2層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1層間絶縁膜及び前記第2層間絶縁膜を部分的に除去することにより、前記第1シールド電極の端部及び前記中継配線の表面を露出させる工程と、
露出した前記第1シールド電極の端部及び前記中継配線の表面に前記誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に第2シールド電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−39209(P2010−39209A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202190(P2008−202190)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】