説明

電気接続箱

【課題】より少ない部品点数とより優れたスペース効率をもって、電線を保持する電線保持部を構成することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供すること。
【解決手段】電線28aを保持する電線保持部24を、箱本体23に一体形成した片持ち状の保持片34を含んで構成すると共に、前記電線28aと当接する当接突起54を、前記箱本体23の表面36と前記保持片34との少なくとも一方から突出して、該保持片34の延出方向で該保持片34の先端部44から基端部38に至るまでの中間部分に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品が装着される電気接続箱に関し、特に、電線を保持する電線保持部が設けられた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等において、コネクタやリレー等の電気部品を集約して配設したり、電気配線を効率よく行なうなどの目的で、コネクタホルダやリレーボックス、ジャンクションボックス等の電気接続箱が用いられている。
【0003】
ところで、電気接続箱に装着されるコネクタや、リレー等と接続するために電気接続箱内に設けられる接続端子等は、電線の末端に接続されており、電気接続箱からは、それらの電線が引き出されている。また、電気接続箱外の電気部品に接続されたワイヤハーネス等の電線が、電気接続箱の近くを通って配策される場合がある。
【0004】
そのような場合に、電線の取り回しを容易にしたり、電線を他部材と干渉しない所定位置に固定するために、特開平11−298166号公報(特許文献1)には、電線を保持する電線保持部としてのクリップが設けられた電気接続箱が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の電気接続箱においては、電線を保持するクリップが電気接続箱の箱本体と別体とされている。それ故、部品点数の増加や、クリップを箱本体に組み付ける組立工数の増加を招くという問題があった。また、クリップが箱本体から突出する一対の挟持片で構成されていることから、クリップが電気接続箱の表面から外方に大きく突出して、省スペース化の要求に対応できない場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−298166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、より少ない部品点数とより優れたスペース効率をもって、電線を保持する電線保持部を構成することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、電気部品を収容する箱本体と、該箱本体の表面に電線を保持する電線保持部を備えた電気接続箱において、前記電線保持部が前記箱本体の表面に片持ち状をなして一体形成された保持片を含んで構成されており、該保持片が該箱本体の表面に沿って隙間を隔てて延出すると共に、自由端とされた該保持片の先端部が前記箱本体の表面に対して接近/離隔変位可能とされており、該保持片の先端部から挿し入れられた前記電線が前記箱本体と前記保持片の間で保持されるようになっている一方、前記箱本体と前記保持片の間で保持された前記電線と当接する当接突起が、前記箱本体の表面と前記保持片との少なくとも一方から突出して、前記保持片の延出方向で前記先端部から基端部に至るまでの中間部分に設けられていることを、特徴とする。
【0009】
本発明に従う構造とされた電気接続箱によれば、電線を保持する保持片が、箱本体に一体形成されている。これにより、電線保持部を少ない部品点数で構成することが出来ると共に、組立作業も不要となることから、製造効率の向上を図ることも出来る。更に、保持片が箱本体の表面に沿って延出されていることから、保持片の箱本体からの突出量を抑えることが出来て、電線保持部をスペース効率良く形成することが出来る。
【0010】
一方、片持ち状である保持片は、電線を挿し入れる際に、箱本体から離隔する開方向の変形に伴う基端部への応力集中を緩和するために、電線の径よりも大きな延出長さが必要となる。それ故、保持片に保持された電線が保持片の基端部と先端部の間で広範囲に亘って移動することが避けられず、電線がぐらついたり、移動した電線が保持片の基端部に強く打ち当たり、異音の発生や電線の損傷等を招くおそれがある。この点、本発明においては、保持片の延出方向の中間部分に当接突起を設けて、電線の移動を制限することによって、電線のぐらつきを抑えると共に、電線の移動に伴う基端部への打ち当たりを阻止して、打ち当たりに起因する異音の発生や電線の損傷のおそれを軽減することが出来る。これにより、電線保持部を省スペースに形成しつつ、電線を安定して保持するという二つの効果を同時に達成できるのである。なお、本発明における当接突起は、箱本体の表面および保持片の何れか一方に設けても良いし、両方に設けても良い。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記保持片の延出方向に直交する方向において、前記保持片を挟んだ両側に前記箱本体の表面から突出する前記当接突起がそれぞれ設けられているものである。
【0012】
本態様によれば、保持片を挟む両側に当接突起を設けることにより、一対の当接突起間の距離を大きくすることが出来る。これにより、保持片に保持された電線を、その長さ方向で相互に離隔した2点で保持することが出来、当接突起でより安定的に支持することが出来る。
【0013】
また、当接突起が箱本体の表面側に設けられていることから、当接突起が保持片側に設けられている場合のように、保持片の開閉に伴って当接突起が動くことが無く、当接突起が電線を挟み込んで損傷するようなおそれも軽減することが出来る。
【0014】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記当接突起の高さ寸法が、前記保持片と前記箱本体の間に保持される前記電線の径寸法の1/2以上とされているものである。
【0015】
本態様によれば、当接突起の高さ寸法を電線の径寸法の半分以上に設定することによって、電線が保持片を開方向に変形させつつ当接突起を乗り越えるおそれを軽減して、電線の変位量をより確実に制限することが出来る。
【0016】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記保持片の前記先端部に前記箱本体の表面に向かって突出して前記電線の抜け出しを防止する係止突起が設けられている一方、前記保持片の延出方向での前記係止突起と前記当接突起の離隔距離が、前記電線の径寸法の2倍以下とされているものである。
【0017】
本態様によれば、保持片の先端部の係止突起と、当接突起との離隔距離を電線の径寸法に近づけることにより、係止突起と当接突起の間で許容される電線の変位量をより小さくして、電線をより安定的に保持することが出来る。
【0018】
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記箱本体の表面には、前記保持片の延出方向において、前記当接突起から前記保持片の先端部よりも離隔する位置に前記保持片の先端部に向かって傾斜して突出する傾斜突部が設けられているものである。
【0019】
本態様によれば、保持片に保持された電線を傾斜突部に当接させることによって、保持片からの離脱をより効果的に阻止することが出来る。更に、傾斜突部が傾斜して突出されていることから、電線を保持片と箱本体の間に挿し込む際に、電線の傾斜突部の乗り越えを容易に行うことが出来る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、片持ち状で箱本体の表面に沿って延出する保持片を箱本体に一体形成して電線保持部を構成した。これにより、少ない部品点数と優れたスペース効率をもって電線保持部を構成することが出来る。更に、保持片の延出方向で、保持片の先端部から基端部に至るまでの中間部分に、保持片に保持された電線と当接する当接突起を設けた。これにより、保持片の延出方向での電線の変位量を制限して、保持片の基端部に電線が強く打ち当たることに起因する異音の発生や電線の損傷のおそれを軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の斜視図。
【図2】図1に示した電気接続箱の要部の斜視図。
【図3】図2に示した要部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
先ず、図1に、本発明の一実施形態としての電気接続箱に係るコネクタホルダ10を示す。コネクタホルダ10は、例えばポリエチレン/ポリプロピレン等の合成樹脂から形成された一体成形品とされており、電気部品としてのコネクタ12a〜12dを装着状態で保持するものである。なお、図1において、コネクタ12aと12b、およびコネクタ12cとコネクタ12dは、互いに嵌合された状態でコネクタホルダ10に装着されている。
【0024】
コネクタホルダ10は、一方に開口する略矩形のフード部14を有している。フード部14にはコネクタ装着部16a,16bが設けられており、互いに嵌合状態とされたコネクタ12aとコネクタ12b、およびコネクタ12cとコネクタ12dがコネクタ装着部16a,16bにそれぞれ差し込まれて、フード部14への収容状態で装着されるようになっている。また、フード部14における3つの外面にはランス18がそれぞれ形成されていると共に、フード部14の開口縁部には、外方に突出するフランジ部20が形成されている。そして、図示しない車体パネルの取付穴内にフード部14が開口側と反対側から差し込まれて、ランス18とフランジ部20の間で車体パネルが挟まれることにより、コネクタホルダ10が車体パネルに取り付けられるようになっている。
【0025】
フード部14における開口縁部の一辺には、外方に突出する突出板部22が一体形成されており、本実施形態においては、フード部14と突出板部22を含んで、箱本体23が構成されている。該突出板部22におけるフード部14からの突出先端部には、電線保持部24が形成されている。そして、コネクタ12aから延出された電線26aと、コネクタ12cから延出された電線26cとが束ねられて形成された電線としてのワイヤハーネス28aが、電線保持部24に保持されている。更に、フード部14には、開口縁部から外方に突出する案内片部30が形成されている。案内片部30の幅方向一方の端縁部には、立壁32が立設されている。そして、コネクタ12bから延出された電線26bと、コネクタ12dから延出された電線26dとが束ねられて形成された電線としてのワイヤハーネス28bが、案内片部30に重ね合わせられて、立壁32で案内片部30からの脱落が阻止された状態でコネクタホルダ10の外部に案内されている。
【0026】
図2および図3に、電線保持部24を示す。電線保持部24には、保持片34が形成されている。保持片34は、箱本体23の表面36から突出してコネクタホルダ10に一体形成されている。保持片34は、表面36と連結して表面36から外方(図3中、上方)に突出する基端部38と、基端部38の突出先端部から表面36に沿って延びる押さえ片40とを有する略L字のフック形状とされて、表面36に片持ち状に一体形成されている。これにより、押さえ片40は表面36に対して所定距離:Dhを隔てて延出されており、該所定距離:Dhが、ワイヤハーネス28aの径寸法:φよりも僅かに大きくされている。なお、図3から明らかなように、押さえ片40における基端部38との連結部42は、略1/4周の円弧形状とされている。また、基端部38は押さえ片40よりも厚肉に形成されており、表面36から連結部42に行くに連れて肉厚寸法が次第に小さくされている。そして、押さえ片40における基端部38と反対側の先端部44が自由端とされており、押さえ片40が撓まされることによって、先端部44が表面36に対して接近/離隔変位可能とされている。ここで、押さえ片40の基端部38からの延出寸法:Lは、電線保持部24にワイヤハーネス28aを挿し入れる際に要求される保持片34の撓み変形量と保持片34の材質の最大曲げ応力に基づいて決定されるものであり、ワイヤハーネス28aの径寸法:φよりも大きくされている。本実施形態において、押さえ片40の基端部38からの延出寸法:Lは、ワイヤハーネス28aの径寸法:φの略2.5倍に設定されている。
【0027】
さらに、押さえ片40の先端部44には、表面36側に突出する係止突起46が形成されている。係止突起46において、押さえ片40の先端縁部側(図3中、右側)に位置する押さえ片40からの突出面は、基端部38側に行くに連れて次第に突出寸法が大きくなる傾斜案内面48とされている。一方、係止突起46において基端部38側に位置する押さえ片40からの突出面は、押さえ片40から垂直に突出する係止面50とされている。また、保持片34の外面には、保持片34の幅方向中央部分を略全長に亘って延びる補強リブ52が形成されている。
【0028】
また、電線保持部24には、一対の当接突起54,54が形成されている。これら当接突起54,54は保持片34を挟んで対称の略同形状とされていることから、特に区別することなく説明する。
【0029】
当接突起54は、表面36から略垂直に突出して表面36に一体形成されている。当接突起54の具体的形状は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、保持片34の延出方向:lに対して略直交して広がる当接部56と、当接部56よりも小さな幅寸法で、当接部56から保持片34の基端部38側に向かって延出する補強部57が一体となり、略L字状の一定断面で表面36から押さえ片40側に向けて突出する形状とされている。なお、当接部56の表面36からの突出基端部は、保持片34の先端部44側に向けて次第に湾曲して広がる湾曲面58とされており、当接突起54の強度の向上が図られている。また、当接突起54の中央部分には貫通孔60が貫設されて、樹脂量が削減されている。
【0030】
当接突起54の表面36からの突出高さ寸法:Hは、好適には、ワイヤハーネス28aの径寸法:φの1/2以上、より好ましくは、2/3以上に設定される。このような当接突起54の一対が、保持片34の延出方向:lに直交する方向で保持片34を挟む両側に位置すると共に、保持片34の延出方向:lで、先端部44から基端部38に至る中間部分の互いに等しい位置に形成されている。なお、保持片34の延出方向:lで、当接突起54と保持片34の係止突起46との離隔距離:Dlは、好適には、ワイヤハーネス28aの径寸法:φの2倍以下、より好ましくは、1.5倍以下、更に好ましくは、1.3倍以下に設定される。
【0031】
また、表面36において、保持片34の先端部44側には、表面36から保持片34側に突出する一対の傾斜突部62,62が形成されている。これら傾斜突部62,62は互いに同様の形状とされており、図3から明らかなように、保持片34と反対側(図3中、右側)に位置する側面は、保持片34側に行くに連れて表面36からの突出寸法が次第に大きくなるように傾斜して突出する傾斜案内面64とされると共に、保持片34側(図3中、左側)に位置する面は、表面36から略垂直に立ち上がる係止面66とされている。このような傾斜突部62の一対が、保持片34の延出方向:lで、当接突起54に対して保持片34の先端部44よりも離隔した互いに等しい位置で、保持片34を挟む両側に形成されている。従って、傾斜突部62は、図3に示す側方視において、保持片34の係止突起46と対向位置されている。それと共に、傾斜突部62の係止面66は、保持片34の延出方向:lで、当接突起54に対して、係止突起46の係止面50よりもやや遠位に設定されている。
【0032】
このような構造とされた電線保持部24には、図1に示したように、コネクタ12a,12cから延出された電線26a,26cを束ねたワイヤハーネス28aが、保持片34の先端部44から保持片34と箱本体23の表面36の間に挿し入れられる。ワイヤハーネス28aは、保持片34が先端部44を表面36から離隔する方向に撓まされて、傾斜突部62と係止突起46を乗り越えることにより、保持片34と表面36の間に挿し入れられる。そして、保持片34が弾性復元力によって先端部44を表面36に接近させる方向に復帰して、係止突起46がワイヤハーネス28aを係止することにより、ワイヤハーネス28aが保持片34と表面36の間で抜け出し不能に保持される。
【0033】
本実施形態に従う構造とされたコネクタホルダ10によれば、電線保持部24を構成する保持片34が、箱本体23に一体形成されている。これにより、少ない部品点数で電線保持部24を構成することが出来ると共に、組立作業も不要となって、製造効率の向上を図ることが出来る。更に、保持片34が、箱本体23の表面36に沿って延出されていることから、箱本体23からの突出寸法も抑えることが出来て、電線保持部24を省スペースで形成することが出来る。
【0034】
そして、保持片34に保持されたワイヤハーネス28aは、保持片34の延出方向:lで、保持片34の係止突起46と当接突起54,54の間に位置される。これにより、車両走行時の振動等で保持片34に保持されたワイヤハーネス28aが保持片34の基端部38側に移動しようとした場合には、当接突起54,54がワイヤハーネス28aに当接することにより、ワイヤハーネス28aの基端部38側への変位量が規制される。従って、保持片34の材質により、押さえ片40の基端部38からの延出寸法を大きくする必要があり、ワイヤハーネス28aと基端部38との間に、保持片34の延出方向:lにおける大きな隙間が形成される場合でも、当接突起54,54でワイヤハーネス28aの基端部38側への変位を規制することによって、ワイヤハーネス28aの過大な変位や、過大な変位に伴う基端部38への強い打ち当たりを阻止することが出来る。これにより、ワイヤハーネス28aをより安定的に保持することが出来ると共に、基端部38への強い打ち当たりに起因する異音の発生やワイヤハーネス28aの損傷のおそれを軽減することが出来る。
【0035】
特に本実施形態においては、当接突起54の突出高さ寸法:Hが、ワイヤハーネス28aの径寸法:φの1/2以上に設定されており、ワイヤハーネス28aの径寸法:φに対して或る程度の大きさを有している。これにより、ワイヤハーネス28aの基端部38への変位を確実に阻止することが出来る。また、ワイヤハーネス28aを保持片34に挿し入れる際に、過度の押込力が及ぼされることにより、保持片34の過度の開方向への撓み変形を生じさせること等に起因してワイヤハーネス28aが当接突起54を乗り越えることも防止することが出来る。
【0036】
さらに、保持片34の延出方向:lで、保持片34の係止突起46と当接突起54との離隔距離:Dlが、ワイヤハーネス28aの径寸法:φよりも僅かに大きい程度に設定されている。これにより、係止突起46と当接突起54で挟まれたワイヤハーネス28aを殆ど変位させることなく、安定的に保持することが出来、ワイヤハーネス28aの変位に伴う異音の発生や保持片34からの脱離の発生を防止することが出来る。特に、一対の当接突起54,54を保持片34の延出方向:lで同位置に形成したことにより、ワイヤハーネス28aの長さ方向で相互に離隔した2点を一対の当接突起54,54で支持することが出来、ワイヤハーネス28aの基端部38側への変位をより確実に阻止することが出来る。更に、一対の当接突起54,54を保持片34を挟む両側に形成したことにより、両当接突起54,54の離隔距離を大きく確保することが出来て、一対の当接突起54,54でワイヤハーネス28aをより安定的に支持することも出来る。また、本発明における当接突起は、保持片34側から突出形成しても良いが、本実施形態によれば、当接突起54が箱本体23側に固定的に設けられている。これにより、当接突起が保持片34側から突出される場合のように、当接突起が保持片34の開閉と同時に動いてワイヤハーネス28aを噛み込んだり、ワイヤハーネス28aに強く接触してワイヤハーネス28aを損傷する等のおそれを回避することが出来る。
【0037】
さらに、電線保持部24には、保持片34の係止突起46と対向して、傾斜突部62,62が形成されている。これにより、係止突起46と傾斜突部62,62とが協働して、ワイヤハーネス28aの保持片34からの脱離をより効果的に阻止することが出来る。また、係止突起46と傾斜突部62,62のそれぞれにおいて、ワイヤハーネス28aが挿し入れ時に乗り越える面が傾斜案内面48,64とされていることから、ワイヤハーネス28aの乗り越えを容易に許容することが出来ると共に、ワイヤハーネス28aを係止する係止面50,66が、ワイヤハーネス28aの脱離の方向(図3中、左方から右方)に対して略垂直に広がることから、ワイヤハーネス28aの脱離をより確実に阻止することが出来る。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、当接突起の具体的形状は前記実施形態の如き形状に限定されるものではなく、正方形や長方形等の矩形断面、円形および楕円形等の円形断面、その他の多角形状断面、およびそれらと湾曲形状の組み合わせ形状等、任意の断面形状が適宜に採用可能である。更に、当接突起の数は限定されることはなく、一つのみ形成しても良いし、或いは前記実施形態における保持片34からも当接突起を突出させる等して、当接突起を3つ以上形成する等しても良い。
【0039】
また、前記実施形態における傾斜突部62,62は必ずしも必要ではない。更に、1つの電気接続箱に、複数の電線保持部を形成しても良い。更にまた、保持片で複数本の電線を保持するようにしても良い。
【0040】
さらに、本発明は、コネクタホルダに限定して適用されるものではなく、例えばジャンクションボックスやリレーボックス等、各種の電気接続箱に広く適用可能である。また、電線保持部に保持される電線は、必ずしも箱本体に装着された電気部品と接続する電線である必要はなく、例えば電気接続箱の近くに配索された電線を、電線保持部で保持する等しても良い。
【符号の説明】
【0041】
10:コネクタホルダ(電気接続箱)、12a〜d:コネクタ(電気部品)、23:箱本体、24:電線保持部、28a,b:ワイヤハーネス(電線)、34:保持片、36:表面、38:基端部、44:先端部、46:係止突起、54:当接突起、62:傾斜突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を収容する箱本体と、該箱本体の表面に電線を保持する電線保持部を備えた電気接続箱において、
前記電線保持部が前記箱本体の表面に片持ち状をなして一体形成された保持片を含んで構成されており、該保持片が該箱本体の表面に沿って隙間を隔てて延出すると共に、自由端とされた該保持片の先端部が前記箱本体の表面に対して接近/離隔変位可能とされており、該保持片の先端部から挿し入れられた前記電線が前記箱本体と前記保持片の間で保持されるようになっている一方、
前記箱本体と前記保持片の間で保持された前記電線と当接する当接突起が、前記箱本体の表面と前記保持片との少なくとも一方から突出して、前記保持片の延出方向で前記先端部から基端部に至るまでの中間部分に設けられていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記保持片の延出方向に直交する方向において、前記保持片を挟んだ両側に前記箱本体の表面から突出する前記当接突起がそれぞれ設けられている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記当接突起の高さ寸法が、前記保持片と前記箱本体の間に保持される前記電線の径寸法の1/2以上とされている
請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記保持片の前記先端部に前記箱本体の表面に向かって突出して前記電線の抜け出しを防止する係止突起が設けられている一方、前記保持片の延出方向での前記係止突起と前記当接突起の離隔距離が、前記電線の径寸法の2倍以下とされている
請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記箱本体の表面には、前記保持片の延出方向において、前記当接突起から前記保持片の先端部よりも離隔する位置に前記保持片の先端部に向かって傾斜して突出する傾斜突部が設けられている
請求項1〜4の何れか1項に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−27225(P2013−27225A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161611(P2011−161611)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】