説明

電気暖房機

【課題】 速熱機能を有する電気暖房機において、ヒーターを一時的にオフした後再度オンするときに設定温度を超えるオーバーランをなくし最適な温度コントロールができる電気暖房機を提供すること。
【解決手段】 ヒーターH、Hを用いて周囲を加熱するものであって、ヒーター容量が大きい速熱ヒーターモードで予め設定された速熱時間T1加熱し、該速熱時間経過後に、ユーザーがセットした任意のヒーター容量の個別ヒーターモードへ自動的に切り換える制御装置10を備えた電気暖房機1において、制御装置には、個別ヒーターモードでの給電が一時的にオフされ再度オンされるまでのオフ時間に対応した補正速熱時間Tcを予め設定しておき、再度ヒーターへの給電が開始されたときに、制御装置は、速熱時間T1から補正速熱時間Tcを引いた差時間だけ速熱ヒーターモードを作動し、該差時間経過後に個別ヒーターモードへ切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気温風機、電気ストーブ、電気カーペット及び電気毛布等の電気暖房機に係り、特にこれらの機器に速熱機能を設けた電気暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気温風機、電気ストーブ、電気カーペット及び電気毛布等の電気暖房機に使用されるヒーター(抵抗体)は、即熱性がないことから、ヒーターへの給電開始、いわゆるヒーターがオンされても、直ぐ発熱して室温を設定温度まで上昇させるのに時間がかかってしまう課題がある。この課題を解決するために、この種の電気暖房機には、ヒーターをオンしたときに、電力量及びそれに伴う放熱量(以下、これらを「ヒーター容量」という)の大きい速熱ヒーターを使用して、このヒーターで所定時間加熱した後、ユーザーが設定したヒーター容量へ自動的に切り換わるようにした温度制御装置が設けられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
図7は下記特許文献1に記載された電気毛布の温度制御装置を示す電気回路図および温度特性図である。
【0004】
この温度制御装置20は、図7(a)に示すように、発熱体21に制御スイッチング素子22を直列接続し、この制御スイッチング素子22のゲートに接続された感温物質23のインピーダンス変化により制御スイッチング素子22の導通角を制御するものにおいて、ゲートには別途電源スイッチ24の閉成により動作するタイマー回路25を接続し、スイッチ24の閉成時にタイマー回路25から一定時間のみゲート信号を直接ゲートに導入する構成となっている。
【0005】
この制御装置は、電源スイッチ24を閉じると、所定時間T後に制御スイッチング素子22は感温物質23のインピーダンス変化による導通角制御に全く関係なく導通角180°の半波導通となり最大出力が得られ、一定時間を経た時間T後には通常の感温物質のインピーダンス変化による導通角制御になる。したがって、この時間T及びTの最大出力の間に、発熱体21は迅速に加熱され図7(b)に実線で示すように短時間で設定温度まで上昇し、発熱体への通電開始時に設定温度へ上昇するまでの時間が短縮される。
【特許文献1】実開昭55−159412号公報(図2、図4、実用新案登録請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の温度制御装置によれば、ヒーターがオンされると、先ずヒーター容量が大きい速熱ヒーターモードで所定時間加熱され、この時間経過後に所定容量のヒーターモードへ自動的に切り換えられるので、室温から設定温度に到達するまでの時間が短縮される。しかしながら、暖房機の設置場所を変更等するために、ヒーターを一時的にオフし、再度、ヒーターをオンする場合があるが、その際に初回と同様の速熱時間で速熱ヒーターモードでの加熱を行うと、ユーザーが設定した設定温度を超えた過熱状態、いわゆるオーバーランをしてしまうことがある。すなわち、ヒーターは一時的にオフされたとき、その表面温度が時間の経過に伴って高温から徐々に低下する特性を有している。例えば、800Wのシーズヒーターは、その表面温度はヒーターの安定時に約630℃となるが、ヒーターがオフされて1〜2分経過すると、その温度は500℃に低下し、更に2〜3分経つと約300℃へと低下し、室温になるまでに20分以上かかる。このようにヒーターがオフされてから室温に冷めるまではヒーターに余熱が残った状態となっている。
【0007】
したがって、上記の温度制御装置のようにヒーターが一時的にオフされてヒーターに余熱がある間に再度ヒーターがオンされると、初回の速熱時間の間速熱ヒーターモードで加熱されるので、ヒーターには残留している余熱に速熱ヒーターモードでの加熱量が加算されてしまい設定温度を超えるオーバーランが発生する恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、速熱機能を有する電気暖房機において、ヒーターを一時的にオフした後再度オンするときに設定温度を超えるオーバーランをなくし最適な温度コントロールができる電気暖房機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の電気暖房機は、ヒーターを用いて周囲を加熱するものであって、電力量及びそれに伴う放熱量、すなわちヒーター容量が大きい速熱ヒーターモードで予め設定された速熱時間T1加熱し、該速熱時間経過後に、ユーザーがセットした任意のヒーター容量の個別ヒーターモードへ自動的に切り換える制御装置を備えた電気暖房機において、
前記制御装置には、前記個別ヒーターモードでの給電が一時的にオフされ再度オンされるまでのオフ時間に対応した補正速熱時間Tcを予め設定しておき、再度ヒーターへの給電が開始されたときに、前記制御装置は、前記速熱時間T1から前記補正速熱時間Tcを引いた差時間だけ前記速熱ヒーターモードを作動し、該差時間経過後に個別ヒーターモードへ切り換えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電気暖房機において、前記個別ヒーターモードは、異なるヒーター容量からなり、これらのヒーター容量に対応して前記速熱時間T1及び前記補正速熱時間Tcが設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電気暖房機において、前記個別ヒーターモードは、異なるヒーター容量からなり、これらのヒーター容量に対応して前記速熱時間T1及び前記補正速熱時間Tcが設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の電気暖房機において、前記速熱時間T1は、前記個別ヒーターモードのヒーター容量が大きいときは長い、小さいときは短い時間に設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の電気暖房機において、前記ヒーターは、シーズヒーターであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、制御装置に個別ヒーターモードでのオフ時間に対応した補正速熱時間Tcを予め設定しておき、再度ヒーターへの給電が開始されたときに、速熱時間T1から補正速熱時間Tcを引いた差時間だけ速熱ヒーターへ給電し、この差時間経過後に個別ヒーターモードへ切り換えることにより、再度オンされたときの速熱温度が短縮されるので、設定温度を超える過熱、いわゆるオーバーランを防止できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、速熱時間T1及び前記補正速熱時間Tcは、ヒーター容量の異なる個別ヒーターモード毎に設定されるので、各ヒーターモード毎に円滑な速熱が可能になるとともに、設定温度を超えるオーバーランを防止できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、速熱時間T1は個別ヒーターモードのヒーター容量に応じてその長短が設定、すなわち容量が大きいときは長く、容量が小さいときは短く設定さるので、個別ヒーターモードの容量に応じて速熱スピードを速めることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、補正速熱時間は、オフ時間の長短と反対、すなわち、オフ時間が長いときは短く、短いときは長い時間に設定することにより、ヒーターのオフ時間に応じて、ヒーターに残留する余熱を効率よく有効に利用することが可能になる。
【0018】
請求項5の発明によれば、シーズヒーターにより、請求項1〜4の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための電気暖房機として電気ストーブを例示するものであって、本発明をこの電気ストーブに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る電気ストーブの正面図、図2は図1の電気ストーブに内蔵されたヒーターの一部が正面から見えるようにした正面図、図3は図1の電気ストーブを一側面から見た側面図、図4は図3の側板を取り除き内蔵されたヒーターが見えるようにした側面図である。
【0021】
電気ストーブ1は、図1〜図4に示すように、基台2と、この基台2から立設されてヒーターが収容されたヒーター本体3とを備え、ヒーター本体3は基台2に連結部材Jで結合された構成を有している。
【0022】
基台2は、全体形状が略円形ないし楕円形状をなした台座からなり、その表面2a上方へ円弧状に湾曲し、底部2bに空間が形成され、床面に据え置きできるようになっている。この基台2は、その表面2aの略中心部に所定大きさの窪み部2cが形成され、この窪み部2cに連結部材Jが挿入されるようになっている。
【0023】
ヒーター本体3は、図2に示すように、前面が開口されて複数本、例えば2本のヒーターH、Hおよびその付属品等が収容されるハウジング4と、このハウジング4の前面開口を覆う防護網7とを有し、各ヒーターH、Hには、例えばシーズヒーターが使用されている。ハウジング4は、両側板4a、4bおよび裏板4cで囲まれ前面及び上下が開口された略直方体形状の箱型をなし、金属板の折曲加工により形成されている。裏板4cには、反射板が装着されている。
【0024】
ハウジング4は、下方の開口にベース板5が固定され、上方の開口が蓋体6で覆われている。この蓋体6は、その表面に操作プレート、下方に制御基板が装着されている。この操作プレートには、電源スイッチ、ヒーター容量切り換えスイッチおよび表示灯等が設けられている。また、制御基板には、ヒーター等を制御する回路素子等が設けられている。また、この蓋体6の下方には、温度センサーSnが取り付けられている。
【0025】
2本のシーズヒーターH、Hは、それぞれ所定のヒーター容量(例えば1本が400W)を有している。これらのヒーターは、それぞれの端部が上下板に固定されている。各シーズヒーターH、Hの端部には端子部が設けられており、各端子部には、電源線Pが接続される。防護網7は、ハウジング4の前面に設けられ安全柵となっている。
【0026】
次に、図5、図6を参照して、電気ストーブを制御する制御装置およびその動作を説明する。なお、図5は制御装置のブロック図、図6は制御装置の制御フローチャート図である。
【0027】
この制御装置10は、制御部10a、演算部10b、計時部10cおよび記憶部10dを有するマイクロコンピュータからなる制御手段10Aを有し、この制御手段10Aの入力部10には電源スイッチ11、ヒーター切り換え手段11、タイマー手段11の各出力および計測されたヒーターオフ時間(ステップS11参照)が入力され、また、出力部10には、シーズヒーターH、Hおよび警報表示器13が接続されている。また、記憶部10dには、設定手段12からヒーターの容量(以下、ヒーターモードという)別の速熱時間T1および補正速熱時間Tcが入力されて記憶されている。
【0028】
この制御装置は、図6の制御フローに従って作動されるが、この動作を説明する前に、一般的なシーズヒーターの温度特性およびこの制御装置に入力される設定値について説明する。
(i)シーズヒーターの時間−温度特性
シーズヒーターH、Hは、ヒーターへの給電が開始、いわゆるヒーターがオンされると、その表面温度は室温から徐々に上昇し、所定時間、例えば約15分後にその温度上昇がほぼストップして安定状態になる温度特性を有している。また、ヒーターへの給電が停止、つまりヒーターがオフされると、表面温度は安定状態の温度から徐々に低下して所定時間経過後に室温に達する。下記表1はヒーターモード別の時間−温度の関係を示したものである。
【0029】
【表1】


この表1から、例えば、400Wのシーズヒーターは、その表面温度は安定時に約510℃になるが、ヒーターオフ後1〜2分経過すると440℃〜370℃、更に2〜3分経過すると(ヒーターオフ後3〜5分後)320℃〜260℃へ低下し、更にまたヒーターオフ後10〜20分経つと170℃〜110℃へ低下し、室温になるまでに20分以上かかる時間−温度特性を有している。同様に、800Wヒーターは、安定時に約660℃となるが、ヒーターオフ後1〜2分経過すると約530℃から430℃、更に2〜3分(ヒーターオフ後3〜5分後)に370℃から270℃へ低下し、更にまたヒーターオフ後10〜20分経つと170℃から110℃へ低下し、室温になるまでに20分以上かかる時間―温度特性を有している。
(ii)ヒーターモード別の速熱時間
ところで、速熱ヒーターモードと個別ヒーターモードとを切り換えて使用する際に速熱時間を長くすると、個別ヒーターモードへ切り換えられたときに、個別ヒーターモードの安定時におけるヒーター表面温度を超えてしまうことがある。そこで、この温度を超えないように、各ヒーターモードに対応する速熱ヒーターモードによる速熱時間Tsを各ヒーターモード毎に設定しておく必要がある。この速熱時間Tsは、いずれも各ヒーターモードの安定時におけるヒーター設定温度を超過しない加熱時間の範囲に設定され、図6(ステップS)に示すように、400Wヒーターに対しては速熱時間T1を2.5分、500Wに対しては3.0分、600Wに対しては3.5分、700Wに対しては4.5分がそれぞれ設定される。この速熱時間は、個別ヒーターモードのヒーター容量が大きくなると長く設定されている。このように速熱時間を個別ヒーターモードのヒーター容量に応じて長短させることにより、設定温度になるまでの時間を短縮できる。なお、ここで述べる速熱ヒーターモードとしては、例えば2本のシーズヒーターH、Hの両方を作動することで速熱を行うものとする。
【0030】
そして、ヒーターが最初(初回)にオン、例えば長時間使用されず休止状態から最初に電源スイッチがオンされるとき(このとき、ヒーターの表面温度はほぼ室温になっている)に、速熱ヒーターモードによる速熱時間Tsは、個別ヒーターモード毎に設定された速熱時間T1と同じ時間となり、この時間Tsの間速熱される。
(iii)補正速熱時間の設定
シーズヒーターは、上記(i)のように、ヒーターのオフ後所定時間はヒーターに余熱が残っている。この余熱がある間に、再度、ヒーターをオンして、初回時と同様に速熱時間Ts(T1)だけ速熱ヒーターモードを作動すると、ヒーターには、残留している余熱に速熱ヒーターモードでの加熱量が加算されるため設定温度を超えてオーバーランするので、この余熱が残っている間は、一旦オフした後の速熱時間Tsを短縮させる必要がある。
【0031】
この速熱時間Tsの短縮は、ヒーターが一時的にオフされてから再びオンされるまでのオフ時間の長さに応じて所定の時間が設定される。そして、オフ時間後にヒーターがオンされるときは、変更した速熱時間(以下、補正速熱時間という)に基づく時間だけ速熱される。
【0032】
下記表2はヒーターオフ時間と個別ヒーターモードの補正速熱時間との関係を表したものである。
【0033】
【表2】


この補正速熱時間Tcは、上記表1の個別ヒーターモードにおける時間−温度特性とヒーターオフ時間との関連で設定される。
【0034】
個別ヒーターモード、例えば400Wのヒーターを使用中にヒーターを一時的にオフし、再びオンする際、このオフ時間が1〜2分のときは、補正速熱時間は2.0分、2〜3分に対しては1.5分、3〜5分に対しては1.0分、5〜10分に対しては1.0分、10〜20分に対しては0.5分、さらに20分以上では0分に設定される。これらの補正速熱時間は、初回の速熱時間Ts(T1)より小さい値になっている。例えば、400Wのヒーターの場合は初回の速熱時間Tsは2.5分である。また、このヒーターのオフ時間が1〜2分であるとき補正速熱時間Tcは2.0分となる。そして、1〜2分後にヒーターがオンされる際は、速熱ヒーターモードによる速熱時間は、T1からTcを差し引いた、すなわち2.5分から2.0分を引いた0.5分となり、この時間だけ速熱ヒーターモードでの速熱がなされる。このように、再度のヒーターオン時に初回の速熱時間を補正することにより、余熱を効率的に利用し、個別ヒーターモードのヒーター容量を超えるオーバーランをなくすることができる。
【0035】
次に、図6を参照して、電気ストーブの速熱運転を説明する。
(a)休止後の速熱運転
電気ストーブが、例えば一昼夜使用されず休止されていた状態から、当日の朝、初めて使用されるような場合、シーズヒーターは室温とほぼ同じ温度になっているので、長い速熱時間での加熱が必要になる。
【0036】
この速熱運転は、まず、個別ヒーターモードのヒーター容量を、例えば400Wに選定して、電源スイッチをオンすると、先ず速熱ヒーターモード(800W)で給電が開始される(ステップS、S)。そして、この電源スイッチのオンが最初(初回)か否かを判定する(ステップS)。この場合、初回であるので400Wヒーターの速熱時間Tsは、予め2.5分に設定されており、この時間、速熱ヒーターモードとして800Wで速熱される。この速熱時間2.5分を経過した後(ステップS)は、制御装置により速熱ヒーターモード(800W)から個別ヒーターモードの400Wヒーターへ切り換えられて、このヒーターでの加熱が継続される(ステップS)。
【0037】
したがって、先ず速熱ヒーターモードで加熱し、次いで速熱ヒーターモードから個別ヒーターモードへ切り換えることによって、設定温度に到達するまでの時間が短縮される。
(b)一時停止後の速熱運転
上記(a)のように、個別ヒーターモードで運転されているときに、電源スイッチを一時的にオフし(ステップS)、所定時間後に再度、電源スイッチをオンさせる一時停止後の速熱運転は、先ず、電源スイッチがオフされ再度オンされるまでのオフ時間を計時手段(図示省略)で測定し(ステップS〜S10)、このオフ時間に対応する補正速熱時間Tcを記憶部10dから呼び出して決定する(ステップS11)。そして、再び、ステップSに戻り、速熱ヒーターモードでの速熱を行う(ステップS)。なお、このヒーターオン(ステップS)は初回でないので(ステップSでNo)、初回の速熱時間T1から上記オフ時間に対応した補正速熱時間を差し引き、すなわち、400Wヒーターのオフ時間が2分のときの補正速熱時間は2.0分であるので、ステップSでT1−Tc=2.5−2.0=0.5(分)を算出して(ステップS)、この差時間0.5分だけ速熱ヒーターモードを作動し、この時間経過後は400Wヒーターへ移行する(ステップS、S)。
【0038】
また、オフ時間が比較的長く、例えば5〜10分である場合は、このときの補正速熱時間は、表2から1.0分であるので、速熱時間は、2.5分から1.0分差し引いた1.5分となる。
【0039】
この速熱運転により、速熱時間は、再度オンされたときに初回の速熱時間よりも短縮されるので、設定温度を超える過熱、いわゆるオーバーランを防止できる。
【0040】
また、速熱時間T1及び補正速熱時間Tcは、図6および表2に示すように、ヒーター容量の異なる個別ヒーターモード毎に設定、すなわち、速熱時間T1は個別ヒーターモードのヒーター容量に応じてその長短が設定、すなわち容量が大きいときは長く、容量が小さいときは短く設定するので、個別ヒーターモードの容量に応じて設定温度に到達するまでの時間を短縮することができる。さらに、補正速熱時間Tcは、オフ時間の長短と反対、すなわち、オフ時間が長いときは短く、オフ時間が短いときは長い時間に設定することにより、ヒーターのオフ時間に応じて、ヒーターに残留する余熱を効率よく有効に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る電気ストーブの正面図である。
【図2】図2は図1の電気ストーブに内蔵されたヒーターの一部が正面から見えるようにした正面図である。
【図3】図3は図1の電気ストーブを一側面から見た側面図である。
【図4】図4は図3の側板を取り除き内蔵されたヒーターが見えるようにした側面図である。
【図5】図5は制御装置のブロック図である。
【図6】図6は制御装置の制御フローチャート図である。
【図7】図7は従来技術を示し、図7(a)は回路図、図7(b)は温度特性図である。
【符号の説明】
【0042】
1 電気ストーブ(電気暖房機)
2 基台
3 ヒーター本体
4 ハウジング
Sn 温度センサー
、H ヒーター
10 制御装置
10A 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターを用いて周囲を加熱するものであって、ヒーター容量が大きい速熱ヒーターモードで予め設定された速熱時間T1加熱し、該速熱時間経過後に、ユーザーがセットした任意のヒーター容量の個別ヒーターモードへ自動的に切り換える制御装置を備えた電気暖房機において、前記制御装置には、前記個別ヒーターモードでの給電が一時的にオフされ再度オンされるまでのオフ時間に対応した補正速熱時間Tcを予め設定しておき、再度ヒーターへの給電が開始されたときに、前記制御装置は、前記速熱時間T1から前記補正速熱時間Tcを引いた差時間だけ前記速熱ヒーターモードを作動し、該差時間経過後に個別ヒーターモードへ切り換えることを特徴とする電気暖房機。
【請求項2】
前記個別ヒーターモードは、異なるヒーター容量からなり、これらのヒーター容量に対応して前記速熱時間T1及び前記補正速熱時間Tcが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電気暖房機。
【請求項3】
前記速熱時間T1は、前記個別ヒーターモードのヒーター容量が大きいときは長い、小さいときは短い時間に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電気暖房機。
【請求項4】
前記補正速熱時間Tcは、前記オフ時間が長いときは短い、短いときは長い時間に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気暖房機。
【請求項5】
前記ヒーターは、シーズヒーターであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−25959(P2008−25959A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201537(P2006−201537)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】