説明

電気機器

【課題】設置場所の給電手段に応じて交流電力と直流電力とのいずれをも簡単に利用することができる電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器100は、筐体1に取付けられた差込プラグ3およびコンセント4と、整流回路7と、平滑コンデンサ8とを含む。差込プラグ3を介して受けた商用交流電圧は、整流回路7によって整流される。平滑コンデンサ8は、整流回路7の出力電圧を平滑化する。コンセント4を介して受けた直流電圧は、逆流防止用のダイオード5を介して平滑コンデンサ8に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交流電力と直流電力との双方が利用できる電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策が世界的な課題として取り上げられている。具体的には、地球温暖化の要因の一つとされる二酸化炭素の排出量低減のため、化石燃料の使用量を低減する取り組みが進められている。
【0003】
このような背景の下、一般家庭で使用される空調機器、冷蔵庫、および照明機器を始めとした家庭用の電気機器(家電機器とも称する)においては、基本性能を維持しながらエネルギー使用量を低減すること、すなわち省エネ化が求められ、現在そのための技術開発が進められている。
【0004】
家電機器においては、さらに、太陽電池などの自然エネルギーの利用も進められている。たとえば、特開平5−11871号公報(特許文献1)には、商用交流電力と太陽電池によって発電された直流電力との両方が入力される複合入力インバータ装置が開示されている。この文献に示されたインバータ装置は、商用交流系統に整流回路を介して接続された直流負荷と、この整流回路の出力端にDC−DCコンバ−タを介して接続された太陽電池とを含む。この構成において、DC−DCコンバ−タの入力電圧は太陽電池の最大電力に対応した最適動作電圧値に常時調整されるとともに、太陽電池の余剰電力の発生を抑制するために太陽電池の最大電力が前記直流負荷の最大消費電力以下に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−11871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近の空気調和機(エアコン)、冷蔵庫、洗濯機などの家電機器は、インバータを搭載しているのが普通である。これらの家電機器を商用交流系統に接続する場合には、商用交流を一度直流に変換し、その後、インバータによって高周波の交流に変換するというように電力変換を繰返す必要があるので、変換のたびに損失が生じる。したがって、上記の文献に記載の複合入力インバータ装置を用いて、商用交流電力以外に太陽電池や直流配電系統などの直流電力を利用できるようにすることは、省エネルギーの観点から有用である。
【0007】
しかしながら、太陽電池や直流配電系統は普及の途上であるので、住宅環境に応じて利用できる電力は異なる。このため、家電機器の設置場所の電力供給手段に応じて家電機器の改造ないしは買い替えが必要となるのが現状であり、不便かつ不経済である。
【0008】
この発明は上記の問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、設置場所の給電手段に応じて交流電力と直流電力とのいずれをも簡単に利用することができる電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は要約すれば電気機器であって、第1の接続部と、整流回路と、平滑コンデンサと、負荷と、第2の接続部とを備える。第1の接続部は、電気機器の外郭部に取付けられ、外部から商用交流電圧を受けるために設けられる。整流回路は、第1の接続部を介して受けた商用交流電圧を整流する。平滑コンデンサは、整流回路の出力電圧を受ける。負荷は、平滑コンデンサの両端間の電圧によって駆動される。第2の接続部は、電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第1の直流電圧を受け、第1の直流電圧を平滑コンデンサに供給するために設けられる。
【0010】
好ましい実施の一形態において、電気機器は、第2の接続部と平滑コンデンサとの間の第1の直流電圧の供給経路に設けられ、平滑コンデンサに蓄積された電荷が第2の接続部の方向に逆流するのを阻止する第1の逆流阻止部をさらに備える。
【0011】
好ましくは、第1の直流電圧は太陽電池から供給される。この場合、太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧は商用交流電圧のピーク値に略等しい。
【0012】
好ましい実施の他の形態において、電気機器は、上記の実施の一形態の構成に加えて、第2の接続部と第1の逆流阻止部との間の第1の直流電圧の供給経路に設けられ、第1の直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換する第1の変換器をさらに備える。
【0013】
好ましくは、第1の直流電圧は太陽電池から供給される。この場合、第1の変換器は、第1の変換器の出力電圧を商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、第1の変換器の入力電圧を太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧になるように制御する。
【0014】
もしくは、第1の直流電圧が太陽電池から供給される場合において、好ましくは、第1の変換器は、第1の変換器の出力電圧を商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、第1の変換器の入力電力が最大になるように制御する。
【0015】
上記の実施の一形態において好ましくは、電気機器は、第3の接続部と、第2の逆流阻止部とをさらに備える。第3の接続部は、電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第2の直流電圧を受け、第2の直流電圧を平滑コンデンサに供給するために設けられる。第2の逆流阻止部は、第3の接続部と平滑コンデンサとの間の第2の直流電圧の供給経路に設けられ、平滑コンデンサに蓄積された電荷が第3の接続部の方向に逆流するのを阻止する。ここで、第1の直流電圧は直流配電系統から供給され、第1の直流電圧の大きさは商用交流電圧のピーク値に略等しい。第2の直流電圧は太陽電池から供給され、太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧は商用交流電圧のピーク値に略等しい。
【0016】
上記の実施の他の形態において好ましくは、電気機器は、第3の接続部と、第2の逆流阻止部と、第2の変換器とをさらに備える。第3の接続部は、電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第2の直流電圧を受け、第2の直流電圧を平滑コンデンサに供給するために設けられる。第2の逆流阻止部は、第3の接続部と平滑コンデンサとの間の第2の直流電圧の供給経路に設けられ、平滑コンデンサに蓄積された電荷が第3の接続部の方向に逆流するのを阻止する。第2の変換器は、第3の接続部と第2の逆流阻止部との間の第2の直流電圧の供給経路に設けられ、第2の直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換する。ここで、第1の直流電圧は直流配電系統から供給され、第1の直流電圧の大きさは商用交流電圧のピーク値に略等しい。第2の直流電圧は太陽電池から供給される。第2の変換器は、第2の変換器の出力電圧を商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、第2の変換器の入力電圧を太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧になるように制御する。
【0017】
もしくは、第2の直流電圧が太陽電池から供給される場合において、好ましくは、第2の変換器は、第2の変換器の出力電圧を商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、第2の変換器の入力電力が最大になるように制御する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、電気機器の外郭部に外部から商用交流電圧を受けるための第1の接続部と、外部から直流電圧を受けるための第2の接続部とが設けられるので、設置場所の給電手段に応じて交流電力と直流電力とのいずれをも簡単に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態1による冷蔵庫100の正面側の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の冷蔵庫100の背面側の外観を示す斜視図である。
【図3】図1、図2のコンセント4の使用例を説明するための図である。
【図4】図1、図2の冷蔵庫100の構成および使用例を説明するための図である(商用交流電源28に接続された場合)。
【図5】図1、図2の冷蔵庫100の他の使用例を説明するための図である(直流配電系統の電源23に接続された場合)。
【図6】図1、図2の冷蔵庫100のさらに他の使用例を説明するための図である(商用交流電源28と太陽電池35とに接続された場合)。
【図7】太陽電池の電流電圧特性を説明するための図である。
【図8】図6で商用交流電源28から出力される電圧が増加した場合の太陽電池35の動作を説明するための図である。
【図9】実施の形態1の変形例としての冷蔵庫101の背面側の外観を示す斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2による冷蔵庫102の構成および使用例を説明するための図である(商用交流電源28に接続された場合)。
【図11】図10の冷蔵庫102の他の使用例を説明するための図である(直流配電系統の電源23に接続された場合)。
【図12】この発明の実施の形態3による冷蔵庫103の構成および使用例を説明するための図である(商用交流電源28と太陽電池35とに接続された場合)。
【図13】図12のDC−DCコンバータ34の構成の一例を示す回路図である。
【図14】図13のDC−DCコンバータ34の機能ブロック図である。
【図15】図14のマイクロコンピュータ54の入出力関係を示す図である。
【図16】図14の制御回路IC2の入出力関係を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態4による冷蔵庫104の背面側の外観を示す斜視図である。
【図18】図17の冷蔵庫104の構成および使用例を説明するための図である(商用交流電源28と太陽電池35とに接続された場合)。
【図19】図18の冷蔵庫104の他の使用例を説明するための図である(直流配電系統の電源23と太陽電池35とに接続された場合)。
【図20】この発明の実施の形態5による冷蔵庫105の構成および使用例を説明するための図である(商用交流電源28と太陽電池35とに接続された場合)。
【図21】図5の冷蔵庫105の他の使用例を説明するための図である(直流配電系統の電源23と太陽電池35とに接続された場合)。
【図22】この発明の実施の形態6による冷蔵庫106の構成および使用例を説明するための図である(2台の太陽電池35,37に接続された場合)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。以下では、インバータを用いた冷蔵庫を例に挙げて説明するが、空気調和機や洗濯機などの他の家電機器にもこの発明を同様に適用することができる。
【0021】
<実施の形態1>
図1は、この発明の実施の形態1による冷蔵庫100の正面側の外観を示す斜視図である。
【0022】
図2は、図1の冷蔵庫100の背面側の外観を示す斜視図である。冷蔵庫100は、外観上は、筐体1(外郭部)と、筐体1にACコード2を介して取付けられた差込プラグ3と、筐体1に取付けられたコンセント4と、コンセント4の保護カバー11とを含む。差込プラグ3は商用交流系統と接続するための第1の接続部として用いられ、コンセント4は直流配電系統や太陽電池などの直流電源と接続するための第2の接続部として用いられる。保護カバー11は、コンセント4への接触による感電や漏電を避けるために設けられている。
【0023】
図3は、図1、図2のコンセント4の使用例を説明するための図である。コンセント4は、住宅などの建物の壁面21に取付けられたコンセント22と、両端に差込プラグ25,26が取付けられたDCコード24を介して接続される。コンセント22は、直流配電システムの電源23から直流電圧の供給を受けるために設置されている。
【0024】
図4は、図1、図2の冷蔵庫100の構成および使用例を説明するための図である。図4では、冷蔵庫100のコンセント3が住宅の壁面に設けられた商用交流電源28用のコンセント27に接続された場合が示される。冷蔵庫100は、筐体1の内部に設けられた、整流回路7、平滑コンデンサ8、インバータ9、同期モータ10、および逆流阻止部18を含む。同期モータ10は、冷蔵庫100のコンプレッサに内蔵されたモータである。
【0025】
整流回路7は、商用交流電源28からコンセント27および差込プラグ3を介して受けた商用交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路7は、ノードND3,ND4間に逆バイアス方向に直列に接続されたダイオードD1,D2と、同じくノードND3,ND4間に逆バイアス方向に直列に接続されたダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD1,D2の接続ノードND1と、ダイオードD3,D4の接続ノードND2との間に商用交流電圧が入力される。
【0026】
平滑コンデンサ8は、出力ノードND3,ND4間に接続され、整流回路7の出力電圧を平滑化する。商用交流電源28の電圧の実効値が100Vの場合、平滑コンデンサ8の両端の電圧は、およそそのルート2倍の141V(商用交流電源28が出力する電圧のピーク値)に等しい。
【0027】
逆流阻止部18は、平滑コンデンサ8に蓄積された電荷がコンセント4の方向に逆流するのを阻止するために設けられる。図4の場合、逆流阻止部18として、コンセント4の高電圧側の端子4Pと平滑コンデンサ8の高電圧側のノードND3との間に、ノードND3の側がカソードとなるようにダイオード5が接続される。図4の場合とは逆に、コンセント4の低電圧側の端子4Nと平滑コンデンサ8の低電圧側のノードND4との間に、ノードND4の側がアノードとなるようにダイオードを設けてもよい。
【0028】
インバータ9は、平滑コンデンサ8の両端間の直流電圧を高周波の三相交流電圧に変換して同期モータ10に供給する。すなわち、平滑コンデンサ8の両端間の電圧によって、負荷としてのインバータ9および同期モータ10が駆動される。このように、電力供給源として商用交流電源28が用いられる場合は、冷蔵庫100の動作は従来の冷蔵庫と変わらない。
【0029】
図5は、図1、図2の冷蔵庫100の他の使用例を説明するための図である。図5では、冷蔵庫100のコンセント4が図3で示した直流配電系統の電源23に接続された場合を示す。直流配電系統の電源23と図4の商用交流電源28とは同時に使用されることはない。ただし、インバータ9の部品の耐圧などの観点から、直流配電系統の電源23から供給される直流電圧は商用交流電源28の電圧の実効値のルート2倍(商用交流電源28が出力する電圧のピーク値)に等しいことが望ましい。
【0030】
図5において、直流配電系統の電源23から供給された直流電圧は、逆流阻止部18を介して平滑コンデンサ8に供給される。インバータ9は、図4の商用交流電源28の場合と同様に、平滑コンデンサ8の両端間の電圧を受けて、高周波の三相交流電圧に変換して同期モータ10に出力する。
【0031】
このように、冷蔵庫100の筐体1に直流配電系統の電源23用のコンセント4を取付けることによって、電力供給源が商用交流系統および直流配電系統のいずれの場合に対しても容易に使用することができる。
【0032】
図6は、図1、図2の冷蔵庫100のさらに他の使用例を説明するための図である。図6では、冷蔵庫100が商用交流電源28と太陽電池35との両方に接続された場合が示される。まず、太陽電池35の特性について説明する。
【0033】
図7は、太陽電池の電流電圧特性を説明するための図である。図6、図7を参照して、太陽電池の動作点は、電流電圧曲線上の開放電圧Voに対応する動作点Poから短絡電流Isに対応する動作点Psまでの間で変化し、動作点Pmで最大出力電力が得られる。この最大出力電力時の電圧を最適動作電圧Vmと称し、電流を最適動作電流Imと称する。最大出力電力は図7でハッチングを付した部分の面積(Vm×Im)に相当する。一般に、太陽電池は、最大出力電力が得られる動作点付近で使用することが望ましい。
【0034】
図6の太陽電池35として、最適動作電圧Vmが商用交流電源28の電圧の実効値のルート2倍(商用交流電源28が出力する電圧のピーク値)付近であるものが選択される。この場合、太陽電池35の出力電力が負荷としてのインバータ9および同期モータ10が必要とする電力を超えているときには、負荷の消費電力に見合った出力電力になるように図7の電流電圧曲線上を点Pmから点Poの方向へ動作点がシフトし、太陽電池35から供給される電力によって平滑コンデンサ8の両端間の電圧は商用交流電圧のピーク値より大きな値に維持される。このため、整流回路7のダイオードD1,D3がオフ状態になるので、商用交流電力は冷蔵庫100に供給されない。すなわち、冷蔵庫100は太陽電池35の出力電力のみによって動作する。
【0035】
一方、太陽電池35の出力電力が負荷の必要とする電力に満たない場合は、太陽電池35の出力電力のみによって、平滑コンデンサ8の電圧を商用交流電圧のピーク値以上に維持することができない。このため、不足分が商用交流電源28から家電機器に供給される。太陽光が不十分な早朝および夕方や夜間などには、太陽電池35の出力電圧は商用交流電源28が出力する電圧のピーク値に達しない。この場合、太陽電池35は冷蔵庫100への電力供給に寄与せず、冷蔵庫100は商用交流電源28から供給された電力のみによって動作する。
【0036】
図8は、図6で商用交流電源28から出力される電圧が増加した場合の太陽電池35の動作を説明するための図である。図6、図8を参照して、たとえば、商用交流電圧の実効値が100Vから110Vに増加した場合について説明する。この場合、商用交流電圧のピーク値は141Vから155Vに増加する。これに伴って、図8に示すように、太陽電池35の動作点は、電圧Vm(141V)に対応した動作点Pmから電圧V1(155V)に対応した動作点P1にシフトする。すなわち、太陽電池35は、商用交流電圧の変動に追随した動作をする。したがって、新しい動作点P1における太陽電池35の出力電力が負荷で必要とする電力を超えている場合には、冷蔵庫100は専ら太陽電池35から供給される電力によって動作する。新しい動作点P1における太陽電池35の出力電力が負荷で必要とする電力に不足している場合には、不足分が商用交流電源28から供給される。
【0037】
このように、図8に示す回路構成では、平滑コンデンサ8には太陽電池35で発電した電力が優先的に供給され、この電力によってインバータ9および同期モータ10が動作する。不足分の電力のみが商用交流電源28から供給されるので、商用交流電力の使用量を削減することができ、冷蔵庫100の使用者は電気代を削減できるとともに二酸化炭素の排出量の削減に貢献することができる。
【0038】
図9は、実施の形態1の変形例としての冷蔵庫101の背面側の外観を示す斜視図である。図9の冷蔵庫101の筐体1には、図2のコンセント4に代えて差込プラグ32がDCコード31を介して取付けられる。差込プラグ32は、直流配電系統の電源23または太陽電池35と接続するための第2の接続部として用いられる。
【0039】
<実施の形態2>
図10は、この発明の実施の形態2による冷蔵庫102の構成を示すブロック図である。さらに、図10、図11によって冷蔵庫102の使用例が示される。図10は冷蔵庫102のコンセント3が住宅の壁面に設けられた商用交流電源28用のコンセント27に接続された場合を示し、図11は冷蔵庫102のコンセント4が直流配電系統の電源23に接続された場合を示す。
【0040】
図10、図11を参照して、冷蔵庫102は、コンセント4と逆流阻止部18との間の直流電圧の供給経路に設けられたDC−DCコンバータ14をさらに含む点で、図4の冷蔵庫100と異なる。DC−DCコンバータ14の高電圧側の出力ノードND5はダイオード5のアノードに接続される。DC−DCコンバータ14の低電圧側の出力ノードND6は平滑コンデンサ8の低電圧側のノードND4に接続される。図10、図11のその他の点は図4の冷蔵庫100と共通するので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0041】
DC−DCコンバータ14は、図11に示すように、コンセント4が直流配電系統の電源23に接続された場合に、電源23から出力される直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換する。たとえば、直流配電系統の定格電圧が400Vであるとすると、DC−DCコンバータ14は、400Vの直流電圧を商用交流電圧の実効値のルート2倍(商用交流電源28が出力する電圧のピーク値に等しい、たとえば141V)に変換する。したがって、直流配電系統の定格電圧に応じてDC−DCコンバータ14による電圧変換率を調整すれば、どのような定格電圧の直流配電系統に対しても冷蔵庫102を接続することができる。
【0042】
一方、図10に示すように、冷蔵庫102がコンセント27を介して商用交流電源28に接続された場合は、実施の形態1の図4で説明した場合と同様であるので、説明を繰返さない。
【0043】
<実施の形態3>
図12は、この発明の実施の形態3による冷蔵庫103の構成および使用例を説明するための図である。図12では、冷蔵庫103が商用交流電源28と太陽電池35との両方に接続された場合が示される。
【0044】
図12の冷蔵庫103は、図10、図11のDC−DCコンバータ14と異なる動作のDC−DCコンバータ34が設けられている点で図10、図11の冷蔵庫102と異なる。図12のDC−DCコンバータ34は、その出力電圧が基準電圧を超えないように制御するとともに、その入力電圧および入力電流がそれぞれ、太陽電池35の最大出力電力に対応した最適動作電圧および最適動作電流になるように制御する(MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御と称する)。この場合の基準電圧は、商用交流電圧の実効値のルート2倍であるピーク電圧より大きい値に設定される。以下、DC−DCコンバータ34の構成についてさらに詳しく説明する。図12のその他の点は図10、図11の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0045】
図13は、図12のDC−DCコンバータ34の構成の一例を示す回路図である。
図13において、太陽電池35の高電圧側の出力ノードND11を電源ノードVCC1とも記載し、低電圧側の出力ノードND12を接地ノードGND1とも記載する。さらに、DC−DCコンバータ34の高電圧側の出力ノードND7を電源ノードVCC2とも記載する。電源ノードVCC1の電圧はたとえば20Vであり、電源ノードVCC2の電圧はたとえば150Vである。
【0046】
図13の場合、DC−DCコンバータ34は、絶縁型のフライバックコンバータである。フライバックコンバータに代えて、他の種類のDC−DCコンバータ、たとえば、フォワードコンバータや非絶縁型の昇降圧チョッパを用いることもできる。図13に示すように、DC−DCコンバータ34は、変換回路65と、平滑コンデンサ45と、制御回路IC1,IC2と、マイクロコンピュータ(MCU:Micro Computer Unit)54と、演算増幅器55と、ダイオード56と、抵抗素子46〜50と、フォトカプラ60とを含む。
【0047】
変換回路65は、トランス41と、NチャネルのMOS(Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタ42(NMOSトランジスタ42とも称する)と、ダイオード43と、平滑コンデンサ44とを含む。トランス41の一次巻線41AとMOSトランジスタ42と抵抗素子46とはノードND11,ND12間に直列に接続される。トランス41の二次巻線41Bとダイオード43とは出力ノードND7,ND8間に直列に接続される。ここで、ダイオード43は、MOSトランジスタ42がオン状態のときに、トランス41の二次巻線41Bに電流が流れないような極性で接続される。平滑コンデンサ44は、出力ノードND7,ND8間の電圧を平滑化する。
【0048】
平滑コンデンサ45は、ノードND11と、NMOSトランジスタ42と抵抗素子46との接続ノードND13との間に接続される。平滑コンデンサ45は、太陽電池35から出力される直流電圧を平滑化する。
【0049】
制御回路IC1は、MOSトランジスタ42のスイッチングをPWM(Pulse-Width Modulation)方式で制御するための集積回路(IC:Integrated Circuit)である(PWM−ICとも称する)。制御回路IC1は、コンパレータ51と、キャリア周波数で発振する三角波発振器52と、抵抗素子53とを含む。
【0050】
コンパレータ51の反転(−)入力端子は、三角波発振器52を介して接地ノードGND1と接続される。コンパレータ51の非反転(+)入力端子は、ノードND16に接続される。ノードND16は、抵抗素子53を介して電源ノードVCC1と接続される。後述するように、ノードND16には、制御回路IC2およびマイクロコンピュータ54から出力されたフィードバック電圧が与えられる。コンパレータ51の出力端子は、MOSトランジスタ42のゲートに接続される。このような制御回路IC1の構成によって、非反転(+)入力端子に入力された電圧が三角波発振器52の出力電圧を超えている間、MOSトランジスタ42はオン状態になる。
【0051】
制御回路IC2は、DC−DCコンバータ34の出力電圧が一定になるように、出力ノードND7,ND8間の電圧を制御回路IC1にフィードバックするための集積回路である(シャントレギュレータとも称する)。制御回路IC2は、差動増幅器57と、NPN型のバイポーラトランジスタ58と、直流電源59とを含む。
【0052】
差動増幅器57の非反転(+)入力端子は、出力ノードND7,ND8間に直列接続された抵抗素子49,50の接続ノードND15に接続される。差動増幅器57の反転(−)入力端子は、直流電源59を介して低電圧側の出力ノードND8と接続される。差動増幅器57の出力端子は、バイポーラトランジスタ58のベースと接続される。抵抗素子61、フォトカプラ60を構成する発光ダイオード60A、およびバイポーラトランジスタ58は、この順で出力ノードND7,ND8間に直列に接続される。なお、トランス41の2次側に補助巻線と、補助巻線の出力電圧を整流するダイオードおよび平滑コンデンサとをさらに設け、この平滑コンデンサの高電圧側ノードと低電圧側の出力ノードND8との間に、抵抗素子61、発光ダイオード60A、およびバイポーラトランジスタ58を接続してもよい。
【0053】
上記の制御回路IC2の構成によれば、出力ノードND7,ND8間の電圧が増加すると、差動増幅器57の非反転(+)入力端子の電圧が増加するので、バイポーラトランジスタ58のベース電圧が増加する。この結果、発光ダイオード60Aを通ってバイポーラトランジスタ58を流れる電流量が増加するので、フォトカプラ60を構成するフォトトランジスタ60Bの電流量も増加する。そして、フォトトランジスタ60Bの電流量が増加すると、ノードND16の電圧が減少するので、MOSトランジスタ42のデューティ比が減少し、これによって出力ノードND7,ND8間の電圧の増加が抑制される。逆に、出力ノードND7,ND8間の電圧が減少すると、フォトトランジスタ60Bを流れる電流量が減少するので、ノードND16の電圧が増加する。この結果、出力ノードND7,ND8間の電圧の減少が抑制される。直流電源59の出力電圧は、上記のフィードバック制御によって、出力ノードND7,ND8間の電圧が所定の設定電圧値になるような大きさに設定される。この場合の出力ノードND7,ND8間の設定電圧値は、商用交流電源28が出力する電圧のピーク値よりも若干高めの値(たとえば、150V)である。
【0054】
マイクロコンピュータ54は、DC−DCコンバータ34の入力電力が最大になるように、太陽電池35の出力ノードND11,ND12間の電圧および太陽電池35の出力電流を制御回路IC1にフィードバックするために設けられる。マイクロコンピュータ54は、アナログ入力端子AD1,AD2と、アナログ出力端子DA1とを有する。アナログ入力端子AD1,AD2はマイクロコンピュータ54に内蔵されたA/D(Analog-to-Digital)変換器(図示省略)と接続され、アナログ出力端子DA1はマイクロコンピュータ54に内蔵されたD/A(Digital-to-Analog)変換器(図示省略)と接続される。
【0055】
太陽電池35の出力電流(DC−DCコンバータ34の入力電流Iin)を検出するために、アナログ入力端子AD1には抵抗素子46の両端間にかかる電圧が入力される。太陽電池35の出力電圧(DC−DCコンバータ34の入力電圧Vin)を検出するために、アナログ入力端子AD2が太陽電池35の出力ノードND11,ND12間に直列に接続された抵抗素子47,48の接続ノードND14と接続される。マイクロコンピュータ54は、検出された太陽電池35の出力電圧および出力電流を乗算した出力電力Pinと所定の最大出力電力との偏差ができるだけ小さくなるように制御するための制御信号をアナログ出力端子DA1から出力する。
【0056】
演算増幅器55は電圧フォロアとして用いられる。演算増幅器55の非反転(+)入力端子はマイクロコンピュータ54のアナログ出力端子DA1に接続され、出力端子は反転(−)入力端子に接続されるとともにダイオード56のカソードに接続される。ダイオード56のアノードはノードND16に接続される。
【0057】
上記の構成によれば、たとえば日射強度が変化することによって太陽電池35の電流電圧特性が変化し、太陽電池35の出力ノードND11,ND12間の現時点の出力電圧よりも最大出力電力に対応した最適動作電圧が高くなった場合には、マイクロコンピュータ54はアナログ出力端子DA1から出力する電圧を減少させる。この結果、ノードND16の電圧が低下するので、MOSトランジスタ42のデューティ比が減少し、太陽電池35の出力ノードND11,ND12間の電圧が増加し、太陽電池の最大出力電力からのずれが抑制される。逆に、太陽電池35の出力ノードND11,ND12間の現時点の出力電圧よりも最大出力電力に対応した最適動作電圧が低くなった場合には、マイクロコンピュータ54は、アナログ出力端子DA1から出力する電圧を増加させる。この結果、ノードND16の電圧が上昇するので、太陽電池35の出力ノードND11,ND12間の電圧が低下し、太陽電池の最大出力電力からのずれが抑制される。
【0058】
図14は、図13に示すDC−DCコンバータ34の機能ブロック図である。図14において、OR回路66は、図13のノードND16を抵抗素子53でプルアップすることによって実現される負論理のOR回路(ワイヤードOR)を示す。
【0059】
図15は、図14のマイクロコンピュータ54の入出力関係を示す図である。図13で説明したように、マイクロコンピュータ54は、DC−DCコンバータ34の入力電圧Vinおよび入力電流Iinをモニターし、その積Pinが所定の最大出力電力Pmとなるように制御するためのフィードバック電圧Vfb1を生成して図14のOR回路66に出力する。
【0060】
図16は、図14の制御回路IC2の入出力関係を示す図である。図13で説明したように制御回路IC2は、DC−DCコンバータ34の出力電圧Voutをモニターして、出力電圧Voutが所定の基準電圧(図16では150V)を超えないように制御するためのフィードバック電圧Vfb2を生成して図14のOR回路66に出力する。
【0061】
したがって、太陽電池35の発電電力が負荷で必要とされる電力より大きい場合(軽負荷時)には、制御回路IC2からOR回路66に出力されるフィードバック電圧Vfb2が減少することによって、DC−DCコンバータ34の出力電圧が設定値(たとえば、150V)を超えないようにMOSトランジスタ42のオン時間が抑制される。一方、朝夕や曇天時のように日照量が少ない場合(重負荷時)には、太陽電池35の発電電力は負荷9,10で必要とされる電力よりも小さい。この場合には、マイクロコンピュータ54からOR回路66に出力されるフィードバック電圧Vfb1が減少することによって、DC−DCコンバータ34の入力電力が最大出力電力を維持するようにMOSトランジスタ42のオン時間が抑制される。
【0062】
以上の構成によって、平滑コンデンサ8には太陽電池35で発電した電力が優先的に供給され、この電力によってインバータ9および同期モータ10が動作する。不足分の電力のみが商用交流電源28から供給されるので、商用交流電力の使用量を削減することができ、冷蔵庫100の使用者は電気代を削減できるとともに二酸化炭素の排出量の削減に貢献することができる。さらに、DC−DCコンバータ34を設けることによって、太陽電池35の最適動作電圧が商用交流電圧のピーク値付近に限られないというメリットがある。
【0063】
なお、上記のMPPT制御と異なり、DC−DCコンバータ34は、入力電圧のみをモニターして、入力電圧が太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧になるように制御を行なってもよい。
【0064】
<実施の形態4>
図17は、この発明の実施の形態4による冷蔵庫104の背面側の外観を示す斜視図である。図17の冷蔵庫104は、太陽電池と接続するためのコンセント15(接続部)とその保護カバー17をさらに含む点で図2の冷蔵庫100と異なる。
【0065】
図18は、図18の冷蔵庫104の構成を示すブロック図である。さらに、図18、図19には冷蔵庫104の使用例が示される。図18は冷蔵庫104が商用交流電源28と太陽電池35とに接続された場合を示し、図19は冷蔵庫104が直流配電系統の電源23と太陽電池35とに接続された場合を示す。太陽電池35は、その最大出力電力に対応する最適動作電圧が商用交流電圧の実効値のルート2倍(商用交流電源28が出力する電圧のピーク値)に略等しいものが選択される。直流配電系統の定格電圧も、商用交流電圧の実効値のルート2倍(商用交流電源28が出力する電圧のピーク値)に略等しく設定される。
【0066】
図18、図19を参照して、冷蔵庫104は、コンセント15と平滑コンデンサ8との間の直流電力の経路に設けられた逆流阻止部19をさらに含む点で図4の冷蔵庫100と異なる。逆流阻止部19は、平滑コンデンサ8に蓄積された電荷がコンセント15の方向に逆流するのを阻止するために設けられる。図18、図19の場合、逆流阻止部19として、コンセント15の高電圧側の端子15Pと平滑コンデンサ8の高電圧側のノードND3との間に、ノードND3の側がカソードとなるようにダイオード16が設けられる。図18、図19の場合とは逆に、コンセント15の低電圧側の端子15Nと平滑コンデンサ8の低電圧側のノードND4との間に、ノードND4の側がアノードとなるようにダイオードを設けてもよい。
【0067】
図18の使用例では、冷蔵庫104の差込プラグ3が商用交流電源28用のコンセント27と接続されるとともに、冷蔵庫104のコンセント15が太陽電池35に接続される。この場合の動作は、実施の形態1の図6の場合と同様であるので説明を繰返さない。
【0068】
図19の使用例では、冷蔵庫104のコンセント4が直流配電系統の電源23に接続されるとともに、コンセント15が太陽電池35に接続される。この場合には、太陽電池35の出力電圧は、図7に示す電流電圧曲線に従って動作し、図18に示した商用交流電源28の場合の動作と基本的には変わらない。
【0069】
具体的に説明すると、太陽電池35の出力電力が負荷としてのインバータ9および同期モータ10が必要とする電力を超えているときには、負荷の消費電力に見合った出力電力になるように図7の電流電圧曲線上を点Pmから点Poの方向へ動作点がシフトする。この場合、平滑コンデンサ8の両端間の電圧は、直流配電系統の定格電圧を超えているので、冷蔵庫104は太陽電池35の出力電力のみによって動作する。
【0070】
一方、太陽電池35の出力電力が負荷が必要とする電力に満たない場合は、太陽電池35の出力電力のみによって、平滑コンデンサ8の電圧を直流配電系統の定格電圧に等しい値に維持することができない。このため、不足分が直流配電系統の電源23から冷蔵庫104に供給される。太陽光が不十分な早朝および夕方や夜間などには、太陽電池35の出力電圧が直流配電系統の電源23の定格電圧に達しない。この場合、太陽電池35は冷蔵庫100への電力供給に寄与せず、冷蔵庫100は直流配電系統の電源23から供給された電力のみによって動作する。
【0071】
さらに、図8のように直流配電系統の電源23の電圧がVmからV1に増加した場合には、太陽電池35の動作点は直流配電系統の電源23の電圧の増加に伴って、PmからP1にシフトする。したがって、新しい動作点P1における太陽電池35の出力電力が負荷で必要とする電力を超えている場合には、冷蔵庫100は専ら太陽電池35から供給される電力によって動作する。新しい動作点P1における太陽電池35の出力電力が負荷で必要とする電力に不足している場合には、不足分が直流配電系統の電源23から供給される。
【0072】
以上の構成によって、平滑コンデンサ8には太陽電池35で発電した電力が優先的に供給され、この電力によってインバータ9および同期モータ10が動作する。不足分の電力のみが直流配電系統の電源23から供給されるので、直流配電系統からの電力使用量を削減することができ、冷蔵庫100の使用者は電気代を削減できるとともに二酸化炭素の排出量の削減に貢献することができる。
【0073】
<実施の形態5>
図20は、この発明の実施の形態5による冷蔵庫105の構成を示すブロック図である。さらに、図20、図21には冷蔵庫105の使用例が示される。図20は冷蔵庫105が商用交流電源28と太陽電池35とに接続された場合を示し、図21は冷蔵庫105が直流配電系統の電源23と太陽電池35とに接続された場合を示す。
【0074】
図20、図21を参照して、冷蔵庫105は、太陽電池35に接続するためのコンセント15と、コンセント15と平滑コンデンサ8との間の直流電力の供給経路に設けられたDC−DCコンバータ34および逆流阻止部19とをさらに含む点で、図11の冷蔵庫102と異なる。冷蔵庫の105の外観は実施の形態4の図17と同じである。
【0075】
図20、図21のDC−DCコンバータ34の構成は、図12、図13に示すものと同じであるので説明を繰返さない。図20、図21の逆流阻止部19として、DC−DCコンバータ34の高電圧側の出力ノードND7と平滑コンデンサ8の高電圧側のノードND3との間に、ノードND3の側がカソードとなるようにダイオード16が設けられる。図20、図21の場合とは逆に、DC−DCコンバータ34の低電圧側の出力ノードND8と平滑コンデンサ8の低電圧側のノードND4との間に、ノードND4の側がアノードとなるようにダイオードを設けてもよい。
【0076】
図20の使用例では、冷蔵庫105の差込プラグ3が商用交流電源28用のコンセント27に接続されるとともに、冷蔵庫105のコンセント15が太陽電池35に接続される。この場合の動作は、実施の形態3の図12の場合と同じであるので詳しい説明を繰返さない。DC−DCコンバータ34を設けることによって、太陽電池35の最適動作電圧が、商用交流電圧のピーク値付近に限られないというメリットがある。
【0077】
図21の使用例では、冷蔵庫105のコンセント4が直流配電系統の電源23に接続されるとともに、コンセント15が太陽電池35に接続される。この場合、DC−DCコンバータ14は、その出力電圧を商用交流電圧のピーク値(商用交流電圧の実効値のルート2倍に等しい)に等しくなるように制御する。DC−DCコンバータ34は、その出力電圧が基準電圧を超えないように制御するとともに、その入力電圧および入力電流がそれぞれ太陽電池35の最大出力電力に対応した最適動作電圧および最適動作電流になるように制御する(MPPT制御)。このときの基準電圧は、商用交流電圧のピーク値より大きい値に設定される。
【0078】
したがって、図21において、太陽電池35の出力電力が負荷としてのインバータ9および同期モータ10が必要とする電力を超えているときには、平滑コンデンサ8の両端間の電圧は商用交流電圧のピーク値を超えるので、冷蔵庫105はDC−DCコンバータ34の出力電力のみによって動作する。一方、太陽電池35の出力電力が負荷の必要とする電力に満たない場合は、DC−DCコンバータ34の出力電力のみによって平滑コンデンサ8の電圧を一定値に維持することができない。このため、不足分が直流配電系統の電源23からDC−DCコンバータ14を介して冷蔵庫105に供給される。太陽光が不十分な早朝および夕方や夜間などには、DC−DCコンバータ34の出力電圧は商用交流電圧のピーク値に達しない。この場合、太陽電池35は冷蔵庫100への電力供給に寄与せず、冷蔵庫100は直流配電系統の電源23からDC−DCコンバータ14を介して供給された電力のみによって動作する。
【0079】
以上の構成によって、平滑コンデンサ8には太陽電池35で発電した電力がDC−DCコンバータ34を介して優先的に供給され、この電力によってインバータ9および同期モータ10が動作する。不足分の電力のみが直流配電系統の電源23からDC−DCコンバータ14を介して平滑コンデンサ8に供給されるので、直流配電系統からの電力使用量を削減することができ、冷蔵庫100の使用者は電気代を削減できるとともに二酸化炭素の排出量の削減に貢献することができる。さらに、DC−DCコンバータ14を設けることによって、直流配電系統の電源23から供給される直流電圧の大きさを商用交流電圧のピーク値に等しくする必要がないというメリットがある。
【0080】
<実施の形態6>
図22は、この発明の実施の形態6による冷蔵庫106の構成および使用例を説明するための図である。図22には、2台の太陽電池に接続された場合が示される。
【0081】
図22の冷蔵庫106は、DC−DCコンバータ14に代えてDC−DCコンバータ36が設けられる点で図21の冷蔵庫と異なる。DC−DCコンバータ36の構成は図12、図13に示すDC−DCコンバータ34と同じである。さらに、冷蔵庫106のコンセント4には、直流配電系統の電源23に代えて太陽電池37が接続される点で、図21の場合と異なる。図22のその他の点は図21の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0082】
以上の構成によって、平滑コンデンサ8には2台の太陽電池35,37で発電した電力が優先的に供給され、この電力によってインバータ9および同期モータ10が動作する。不足分の電力のみが商用交流電源28から整流回路7を介して平滑コンデンサ8に供給されるので、商用交流電力の使用量を削減することができ、冷蔵庫100の使用者は電気代を削減できるとともに二酸化炭素の排出量の削減に貢献することができる。さらに、冷蔵庫106では、2つの太陽電池35,37の少なくとも一方のみを接続することができ、太陽電池35,37のいずれも接続しない場合であっても商用交流電源28さえ接続されていれば、従来の冷蔵庫と同様に使用できる。したがって、後から太陽電池35,37を順々に追加したり、使用環境によって接続する太陽電池35,37の個数を変更したりすることができ、汎用性に富んだ家電機器になっている。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
1 筐体(外郭部)、3 差込プラグ(第1の接続部)、4 コンセント(第2の接続部)、5,16 ダイオード、7 整流回路、8 平滑コンデンサ、9 インバータ、10 同期モータ、14 DC−DCコンバータ、15 コンセント(第3の接続部)、18,19 逆流阻止部、23 直流配電系統の電源、28 商用交流電源、32 差込プラグ(第2の接続部)、34,36 DC−DCコンバータ、35,37 太陽電池、100〜106 冷蔵庫。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器であって、
前記電気機器の外郭部に取付けられ、外部から商用交流電圧を受けるための第1の接続部と、
前記第1の接続部を介して受けた前記商用交流電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力電圧を受ける平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサの両端間の電圧によって駆動される負荷と、
前記電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第1の直流電圧を受け、前記第1の直流電圧を前記平滑コンデンサに供給するための第2の接続部とを備える、電気機器。
【請求項2】
前記電気機器は、前記第2の接続部と前記平滑コンデンサとの間の前記第1の直流電圧の供給経路に設けられ、前記平滑コンデンサに蓄積された電荷が前記第2の接続部の方向に逆流するのを阻止する第1の逆流阻止部をさらに備える、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記電気機器は、前記第2の接続部と前記第1の逆流阻止部との間の前記第1の直流電圧の供給経路に設けられ、前記第1の直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換する第1の変換器をさらに備える、請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第1の直流電圧は太陽電池から供給され、前記太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧は前記商用交流電圧のピーク値に略等しい、請求項2に記載の電気機器。
【請求項5】
前記第1の直流電圧は太陽電池から供給され、
前記第1の変換器は、前記第1の変換器の出力電圧を前記商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、前記第1の変換器の入力電圧を前記太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧になるように制御する、請求項3に記載の電気機器。
【請求項6】
前記第1の直流電圧は太陽電池から供給され、
前記第1の変換器は、前記第1の変換器の出力電圧を前記商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、前記第1の変換器の入力電力が最大になるように制御する、請求項3に記載の電気機器。
【請求項7】
前記電気機器は、
前記電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第2の直流電圧を受け、前記第2の直流電圧を前記平滑コンデンサに供給するための第3の接続部と、
前記第3の接続部と前記平滑コンデンサとの間の前記第2の直流電圧の供給経路に設けられ、前記平滑コンデンサに蓄積された電荷が前記第3の接続部の方向に逆流するのを阻止する第2の逆流阻止部とをさらに備え、
前記第1の直流電圧は直流配電系統から供給され、前記第1の直流電圧の大きさは前記商用交流電圧のピーク値に略等しく、
前記第2の直流電圧は太陽電池から供給され、前記太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧は前記商用交流電圧のピーク値に略等しい、請求項2に記載の電気機器。
【請求項8】
前記電気機器は、
前記電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第2の直流電圧を受け、前記第2の直流電圧を前記平滑コンデンサに供給するための第3の接続部と、
前記第3の接続部と前記平滑コンデンサとの間の前記第2の直流電圧の供給経路に設けられ、前記平滑コンデンサに蓄積された電荷が前記第3の接続部の方向に逆流するのを阻止する第2の逆流阻止部と、
前記第3の接続部と前記第2の逆流阻止部との間の前記第2の直流電圧の供給経路に設けられ、前記第2の直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換する第2の変換器とを備え、
前記第1の直流電圧は直流配電系統から供給され、前記第1の変換器の出力電圧の大きさは前記商用交流電圧のピーク値に略等しく、
前記第2の直流電圧は太陽電池から供給され、
前記第2の変換器は、前記第2の変換器の出力電圧を前記商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、前記第2の変換器の入力電圧を前記太陽電池の最大出力電力に対応した最適動作電圧になるように制御する、請求項3に記載の電気機器。
【請求項9】
前記電気機器は、
前記電気機器の外郭部に取付けられ、外部から第2の直流電圧を受け、前記第2の直流電圧を前記平滑コンデンサに供給するための第3の接続部と、
前記第3の接続部と前記平滑コンデンサとの間の前記第2の直流電圧の供給経路に設けられ、前記平滑コンデンサに蓄積された電荷が前記第3の接続部の方向に逆流するのを阻止する第2の逆流阻止部と、
前記第3の接続部と前記第2の逆流阻止部との間の前記第2の直流電圧の供給経路に設けられ、前記第2の直流電圧を異なる大きさの直流電圧に変換する第2の変換器とを備え、
前記第1の直流電圧は直流配電系統から供給され、前記第1の変換器の出力電圧の大きさは前記商用交流電圧のピーク値に略等しく、
前記第2の直流電圧は太陽電池から供給され、
前記第2の変換器は、前記第2の変換器の出力電圧を前記商用交流電圧のピーク値以上の値に設定された基準電圧を超えないように制御するとともに、前記第2の変換器の入力電力が最大になるように制御する、請求項3に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−145849(P2011−145849A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5618(P2010−5618)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】