説明

電気活性媒体の厚みが制御され、製造が簡素化された、電気制御可能な装置およびその製造方法

本発明の装置は、以下の積層を含む:グレージング機能を有する基板(V)、関連する電流供給部を備える第一導電層(TCC)、電気活性ラッカー層(VEA)であって、還元されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを受容することが可能な、少なくとも1つの電気活性化合物、酸化されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを放出することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物、色のコントラストを得るためにエレクトロクロミックである前記電気活性有機化合物のうちの少なくとも1つ、および電流の作用の下で、前記電気活性有機化合物の酸化および還元反応を可能にすることができ、色のコントラストを得るために必要とされるイオン電荷によって形成される電気活性媒体の成分を含む少なくとも1つの結合ポリマーを含有する、電気活性ラッカー層、および関連する電流供給部を備える第二導電層(TCC)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の積層を含む、可変光学/エネルギー特性を有する電気的制御可能な装置の改良である:
ガラス機能を有する第一基板(v)、
関連する電流供給部を備える第一導電層(TCC)、
電気活性(ea)システムであって:
還元されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを受容することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
酸化されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを放出することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
色のコントラストを得るためにエレクトロクロミックである前記電気活性有機化合物(eaおよびea)のうちの少なくとも1つ、および
電流の下で、前記電気活性有機化合物(eaおよびea)の酸化および還元反応を可能にすることができ、色のコントラストを得るためにこれらの反応が必要なイオン電荷を含むか、から構成され電気活性(ea)システム、
関連する電流供給部を備える第二導電層(TCC)、ならびに
ガラス機能を有する第二基板(v)。
【背景技術】
【0002】
導電層は、「透明導電膜、Transparent Conductive Coating」の省略形である「TCC」で示され、その一例はTCO(「透明導電酸化物、Transparent Conductive Oxide」)である。
【0003】
化合物(ea)がエレクトロクロミックであって(たとえば、1,1’−ジエチル−4,4’−二過塩素酸ビピリジニウムであって)、化合物(ea)がエレクトロクロミックである(たとえば5,10−ジヒドロ−5,10−フェノチアジンである)またはエレクトロクロミックではない(たとえばフェロセンである)と仮定される場合、電流の作用の下で確立される酸化還元反応は、以下の通りである:
ea+e≡ea
発色
ea≡ea+e
エレクトロクロミックの場合発色
エレクトロクロミックではない場合無色
【0004】
電気活性媒体(ea)は、溶液中に存在するかまたはゲル化された媒体である。これはまた、2008年6月25日付けの国際出願PCT/FR2008/051160号明細書または欧州特許出願第1786883号明細書に記載されるような、自己支持型ポリマーマトリクスに含有されてもよい。
【0005】
媒体(ea)が溶液中にあるかまたはゲル化されていて、そのため機械的強度を有していない場合、これは、その内面がそれぞれ(TCC)、(TCC)層で被覆された状態で、および電気的に絶縁され周囲枠または封止を封入した状態で、互いに対向させて配置された2つの板ガラス(v)、(v)によって定められた「リザーバ」領域内に封入されなければならない。このリザーバ領域は、真空下の比較的複雑な技術を通じてこの周囲封止内に作られたオリフィスを通じて充填される。
【0006】
このような電気制御可能な装置のある特定の用途は、グレージングユニット、特に建造物用の複層ガラスユニットの製造である。添付図面の図1は、シート(v)および(v)の間に空気充填空間またはアルゴンなどの別のガスで満たされた空間が介在し、周囲封止(図示せず)がアセンブリの支持に適している、板ガラス(v)に対向する第三の板ガラス(v)を含む、このような複層ガラスユニットの構成を模式的に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/051160号
【特許文献2】欧州特許出願第1786883号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/057605号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の真空充填技術の使用のため、したがってこのようなガラスユニット、さらに有力な理由により複層ガラスユニットを製造することは、容易ではないことが明らかである。この技術を大型ガラスユニットおよび複層ガラスユニットに適用することは特に不可能であるとさえ、言われている。
【0009】
さらに、特に建造物用の複層ガラスユニットの場合には、外側に配置される板ガラス(v)および(v)は、ガラスの熱膨張係数のため、強化ガラスで作られなければならない。しかしながら、強化ガラスは平坦性に小さな欠陥があり、電気制御可能な装置の動作中に、発色の均一性の問題を生じることになる。液相にある電気活性媒体は電気活性種(ea1)および(ea2)、(ea)および(ea)の移動性を許容しなければならないことがわかっているので、したがって特定の厚みを有する必要があり、これは充填動作も可能にしなければならず、ガラスの発色の不均一性の問題を克服するのに十分な厚さにするために、しかしこの色の変化の速度およびガラスを通しての良好な視界を損なわないために厚くなり過ぎないように、正確に調整される必要もある。このような厚みは、実際には100μmから700μmの間である。
【0010】
この平坦性不良問題も、ポリエチレンテレフタレート基板などの有機ガラスでできた可撓性基板の場合に存在する。
【0011】
電流が印加されていないときに電気活性層の光透過率の値が低下させ、そのため発色における変化の間に望ましいコントラストを減少させるという危険性を考慮すると、大き過ぎる電気活性層の厚みが望ましくないことも、留意されたい。
【0012】
電気活性媒体の容器として自己支持型ポリマーマトリクスを使用することは、様々な積層を可能にするので、製造を簡素化することを可能にする。しかしながら、その機械的強度が完璧ではないこと、および、可撓性基板および強化ガラスなど、平坦性に小さな欠陥を有する基板の間に適用されたときに、これらの平坦性の欠陥を受け入れる、という事実が残る。電気活性媒体の全体的な厚みが発色に関与するため、その後この発色の均一性における問題が発生する。自己支持型ポリマーマトリクスの厚みを増加させることは確かに可能であるが、しかし上記に示されたような同様の2つの理由のいずれにとっても、これは理想的ではない。
【0013】
そこで、本出願人の会社は、これら多くの欠点のうち少なくとも1つを排除または低減すべく努力し、特に2つの基板の間の距離を制御することによらずに活性媒体の厚みを制御することを可能にする手段を求め、その一方で電気制御可能な装置を製造するための工程を簡素化すべく努力してきた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のため、本出願人の会社は、電気活性媒体が、乾燥されるワニス状の第一導電層で被覆された基板上に付着されることが可能であり、その厚みは有利なことに先行技術のものより小さく完璧に制御され、一旦乾燥すると、第二導電層の直接付着を可能にする十分な機械的強度を有することを見出した。
【0015】
本発明の第一の対象はしたがって、以下の積層を含むことを特徴とする、可変光学/エネルギー特性を有する、電気制御可能な装置である:
ガラス機能を有する第一基板(v)、
関連する電流供給部を備える第一導電層(TCC)、
電気活性ワニス(VEA)の層であって:
還元されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを受容することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
酸化されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを放出することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
色のコントラストを得るためにエレクトロクロミックである前記電気活性有機化合物(eaおよびea)のうちの少なくとも1つ、および
電流の下で、前記電気活性有機化合物(eaおよびea)の酸化および還元反応を可能にすることができ、色のコントラストを得るためにこれらの反応が必要なイオン電荷によって形成される電気活性媒体の構成物を含む少なくとも1つのバインダーポリマーに基づく、電気活性ワニス(VEA)と、
関連する電流供給部を備える第二導電層(TCC)。
【0016】
ワニス(VEA)の基剤を構成する1つまたは複数のポリマーは、特にアクリルポリマー、シロキサン、およびシリコーンから選択される。
【0017】
1つまたは複数の電気活性有機化合物(ea)は、1,1’−ジエチル−4,4’−二過塩素酸ビピリジニウムなどのビピリジニウムまたはビオロゲン、ピラジニウム、ピリミジニウム、キノキサリニウム、ピリリウム、ピリジニウム、テトラゾリウム、ベルダジル、キノン、キノジメタン、トリシアノビニルベンゼン、テトラシアノエチレン、多硫化物および二硫化物、ならびに上記の電気活性化合物の全ての電気活性高分子誘導体から選択されてもよく、1つまたは複数の電気活性有機化合物(ea)は、コバルトセン、フェロセン、N,N,N’,N’−テトラメチルフェニレンジアミン(TMPD)などのメタロセン、フェノチアジンなどのフェノチアジン、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジンなどのジヒドロフェナジン、還元メチルフェノチアゾン(MPT)、メチレンバイオレットベルントセン(MVB)、ベルダジル、ならびに上記の電気活性化合物の全ての電気活性高分子誘導体から選択される。
【0018】
イオン電荷は、ワニス層の中に存在する少なくとも1つのイオン性塩によって担持されてもよく、イオン性塩は、特に過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフレート塩、トリフルオロメタンスルホニルイミド塩、およびアンモニウム塩から選択される。
【0019】
ワニス(VEA)の層は、特に最大でも100μmに等しい厚みを有する。
【0020】
導電層(TCC、TCC)は、特に銀、金、白金、および銅の層から選択される金属タイプの層、または錫がドープされた酸化インジウム(In:SnまたはITO)の、アンチモンがドープされた酸化インジウム(In:S)の、フッ素がドープされた酸化スズ(SnO:F)の、およびアルミニウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO:Al)の層など、透明導電酸化物(TCO)タイプの層、またはTCOおよび金属が特に上記に挙げられたものから選択される、TCO/金属/TCOタイプの多層、または金属が特に上記に挙げられたものから選択される、NiCr/金属/NiCrタイプの多層であってもよい。
【0021】
TCC層はまた、グリッドまたはマイクログリッドの形状であってもよい。これはまた、特にプラスチック基板の場合に、国際公開第2007/057605号に記載されるような、有機および/または無機下部層も含んでもよい。
【0022】
有機ワニス層および/または無機層または積層は、傷またはたとえば周囲空気からの酸素もしくは水分による化学攻撃などの機械的応力から電気制御可能な装置を保護するために、第二導電層(TCC)上に付着されてもよい。TCC保護のための有機ワニスはシロキサンベースであってもよく、無機層または無機積層は、たとえばSiまたはSiOに基づいてもよい。有機ワニス/有機層複合積層も、使用されてもよい。
【0023】
ガラス機能を有する基板(V)は、ガラス、ならびにポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフトエート(PEN)、およびシクロオレフィンコポリマー(COCs)などの透明ポリマーから選択されてもよい。したがって、基板(V)は、欠点なしで、PETなどの可撓性基板であり得る。
【0024】
グレージングの外側に位置する、ガラス機能を有する基板(V)は、強化ガラスまたは積層ガラスであってもよく、後者は、たとえばポリビニルブチラール(PVB)のシートまたはエチレン/ビニル/アセテートコポリマー(EVA)のシートなど、積層中間層シート(I)によって分離された2つの板ガラス(V1a)および(V1b)で構成される。
【0025】
本発明の電気制御可能な装置は、自律的に作動され得る、自動車用のサンルーフ、あるいは自動車用の横窓または後部窓あるいはバックミラー、自動車、航空機、または船舶の、フロントガラスまたはフロントガラスの一部、あるいは車両サンルーフ、航空機の客室窓、図形および/または英数字情報を表示するためのディスプレイパネル、建造物用の内装または外装用ガラスユニット、天窓、ディスプレイ棚または店舗用カウンタ、塗装タイプの物体を保護するためのガラスユニット、防眩コンピュータ画面、ガラス製家具、および建造物の内部の2つの部屋を仕切るための壁を形成するために、構成されてもよい。
【0026】
本発明の電気制御可能な装置は、二重グレージングとして組み立てられてもよく、ガラス機能を有する第二基板(V)が第二導電層(TCC)の側に、これと前記第二導電層(TCC)との間に空気またはアルゴンが充填された空間など、ガス充填空間を介在させて、取り付けられてもよい。
【0027】
本発明の別の対象は、上記で定義されたような電気制御可能な装置を製造する工程であって、後者の側に第一導電層(TCC)で被覆されたガラス機能を有する基板(V、V1a−I−V1b)の上に付着されるのが:
還元されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを受容することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
酸化されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを放出することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
色のコントラストを得るためにエレクトロクロミックである前記電気活性有機化合物(eaおよびea)のうちの少なくとも1つ、および
電流の下で、前記電気活性有機化合物(eaおよびea)の酸化および還元反応を可能にすることができ、色のコントラストを得るためにこれらの反応が必要なイオン電荷、を含有する少なくとも1つのバインダーポリマーに基づく電気活性ワニス(VEA)の層であり、
その後、ワニス(VEA)を乾燥した後に、第二導電層(TCC)、
その後、二重グレージングユニットを製造しようとする場合には、ガラス機能を有する第二基板(V)がこれと前記第二導電層(TCC)との間に、空気またはアルゴンが充填された空間など、ガス充填空間を介在させて、第二導電層(TCC)の側に取り付けられることを特徴とする。
【0028】
ワニス層(VEA)は、散布、吹き付け塗り、または流し塗りによって、スクリーン印刷によって、またはスピンオン蒸着または回転塗布法によって、またはインクジェットタイプの技術によって、有利に付着されてもよい。
【0029】
第二導電層TCCは、マグネトロンプラズマ増強化学蒸着(PE−CVD)によって有利に付着されてもよい。
【0030】
本発明の対象をよりよく図解するために、添付図面を参照して、2つの具体的な実施形態が、以下により詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来の構成における電気制御可能な装置を組み込んだ建造物用二重グレージングユニットの一部の模式的断面図である。
【図2】図1と類似であるが本発明の構成による図である。
【図3】図2と類似であるが本発明の構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これらの実施例において使用される「K−glass(TM)」ガラスは、SnO:Fの導電層で覆われたガラスである(「Pilkington」よりこの名称で販売されるガラス)。
【0033】
5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン0.25g、1,1’−ジエチル−4,4’−二過塩素酸ビピリジニウム0.50g、およびリチウムトリフラート0.47g、ならびにEvonik Tego Chemie GmbHより市販されているSILIKOPHENE(R)P50/X樹脂20mlを炭酸プロピレン20mlに混合することによって、電気活性ワニスの配合組成物を調製した。溶液を1時間かくはんした。
【0034】
その後、フィルムアプリケータを使用して、60μmの一定の厚みの電気活性ワニス配合組成物をK−glass(TM)ガラス上に投入した。電気活性樹脂配合組成物で覆われたK−glass(TM)ガラスを90℃で10時間加熱することによって、溶剤を蒸発させた。
【0035】
マグネトロンスパッタリングによってITOの層を付着させる前に、電気活性ワニスで覆われた基板上の、ワニスで覆われていないSnO:Fの領域をマスクした。その後、電気活性ワニスで覆われたK−glass(TM)ガラス上にマグネトロンスパッタリングすることによって、ITOの300nmの層を付着させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変光学/エネルギー特性を有する電気的制御可能な装置であって、
ガラス機能を有する第一基板(v)と、
関連する電流供給部を備える第一導電層(TCC)と、
電気活性ワニスの層(VEA)であって、
還元されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを受容することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
酸化されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを放出することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
色のコントラストを得るためにエレクトロクロミックである前記電気活性有機化合物(eaおよびea)のうちの少なくとも1つ、および
電流の下で、前記電気活性有機化合物(eaおよびea)の酸化および還元反応を可能にすることができ、色のコントラストを得るためにこれらの反応が必要なイオン電荷によって形成される電気活性媒体の構成要素を含有する少なくとも1つのバインダーポリマーに基づく、電気活性ワニスの層(VEA)と、
関連する電流供給部を備える第二導電層(TCC)と、の積層を含むことを特徴とする、電気的制御可能な装置。
【請求項2】
ワニスの基剤を構成する1つまたは複数のポリマーが、アクリルポリマー、シロキサン、およびシリコーンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の電気的制御可能な装置。
【請求項3】
1つまたは複数の電気活性有機化合物(ea)が、1,1’−ジエチル−4,4’−二過塩素酸ビピリジニウムなどのビピリジニウムまたはビオロゲン、ピラジニウム、ピリミジニウム、キノキサリニウム、ピリリウム、ピリジニウム、テトラゾリウム、ベルダジル、キノン、キノジメタン、トリシアノビニルベンゼン、テトラシアノエチレン、多硫化物および二硫化物、ならびに上記の電気活性化合物の全ての電気活性高分子誘導体から選択され、
1つまたは複数の電気活性有機化合物(ea)が、コバルトセン、フェロセン、N,N,N’,N’−テトラメチルフェニレンジアミン(TMPD)などのメタロセン、フェノチアジンなどのフェノチアジン、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジンなどのジヒドロフェナジン、還元メチルフェノチアゾン(MPT)、メチレンバイオレットベルントセン(MVB)、ベルダジル、ならびに上記の電気活性化合物の全ての電気活性高分子誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気的制御可能な装置。
【請求項4】
イオン電荷が、ワニス層の中に存在する少なくとも1つのイオン性塩によって担持され、イオン性塩が、特に過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフレート塩、トリフルオロメタンスルホニルイミド塩、およびアンモニウム塩から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項5】
ワニス層が、最大でも100μmに等しい厚みを有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項6】
導電層(TCC、TCC)が、特に銀、金、白金、および銅の層から選択される金属タイプの層、または錫がドープされた酸化インジウム(In:SnまたはITO)の、アンチモンがドープされた酸化インジウム(In:S)の、フッ素がドープされた酸化スズ(SnO:F)の、およびアルミニウムがドープされた酸化亜鉛(ZnO:Al)の層など、透明導電酸化物(TCO)タイプの層、またはTCOおよび金属が特に上記に挙げられたものから選択される、TCO/金属/TCOタイプの多層、または金属が特に上記に挙げられたものから選択される、NiCr/金属/NiCrタイプの多層であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項7】
TCC層がグリッドまたはマイクログリッドの形状であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項8】
TCC層が、特にプラスチック基板の場合に、有機および/または無機下部層を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項9】
有機ワニス層および/または無機層または積層が、第二導電層TCC上に付着され、TCC保護のための前記有機ワニスが場合によりシロキサンベースであり、無機層または無機積層が場合によりSiまたはSiOに基づいており、有機ワニス/有機層複合積層も場合により使用されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項10】
ガラス機能を有する基板(V)が、ガラス、ならびにポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフトエート(PEN)、およびシクロオレフィンコポリマー(COCs)などの透明ポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項11】
グレージングの外側に位置する、ガラス機能を有する基板(V)が、強化ガラスまたは積層ガラスであり、後者がたとえばポリビニルブチラール(PVB)のシートまたはエチレン/ビニル/アセテートコポリマー(EVA)のシートなど、積層中間層シート(I)によって分離された2つの板ガラス(V1a)および(V1b)で構成されることを特徴とする、請求項10に記載の電気制御可能な装置。
【請求項12】
ガラス機能を有する基板が可撓性基板であることを特徴とする、請求項10に記載の電気制御可能な装置。
【請求項13】
自律的に作動され得る、自動車用のサンルーフ、あるいは自動車用の横窓または後部窓あるいはバックミラー、自動車、航空機、または船舶の、フロントガラスまたはフロントガラスの一部、あるいは車両サンルーフ、航空機の客室窓、図形および/または英数字情報を表示するためのディスプレイパネル、建造物用の内装または外装用ガラスユニット、天窓、ディスプレイ棚または店舗用カウンタ、塗装タイプの物体を保護するためのガラスユニット、防眩コンピュータ画面、ガラス製家具、および建造物の内部の2つの部屋を仕切るための壁を形成するために構成されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項14】
二重グレージングとして組み立てられ、ガラス機能を有する第二基板がワニス層の側に、これと前記ワニス層との間にたとえば空気が充填されたものなど、ガス充填空間を介在させて取り付けられていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気制御可能な装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載された電気的制御可能な装置を製造する工程であって、後者の側に第一導電層(TCC)で被覆されたガラス機能を有する基板(V、V1a−I−V1b)の上に付着されるのが、
還元されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを受容することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
酸化されること、および/または補償電荷として作用する電子およびカチオンを放出することが可能な、少なくとも1つの電気活性有機化合物(ea)、
色のコントラストを得るためにエレクトロクロミックである前記電気活性有機化合物(eaおよびea)のうちの少なくとも1つ、および
電流の下で、前記電気活性有機化合物(eaおよびea)の酸化および還元反応を可能にすることができ、色のコントラストを得るためにこれらの反応が必要なイオン電荷を含有する少なくとも1つのバインダーポリマーに基づく電気活性ワニス(VEA)の層であって、
その後、ワニス(VEA)を乾燥した後に、第二導電層(TCC)、
その後、二重グレージングユニットを製造しようとする場合には、ガラス機能を有する第二基板(V)が、これと前記第二導電層(TCC)との間に、空気またはアルゴンが充填された空間など、ガス充填空間を介在させて、第二導電層(TCC)の側に取り付けられることを特徴とする、工程。
【請求項16】
ワニス層(VEA)が、散布、吹き付け塗り、または流し塗りによって、スクリーン印刷によって、またはスピンオン蒸着または回転塗布法によって、またはインクジェットタイプの技術によって付着され、第二導電層TCCがマグネトロンプラズマ増強化学蒸着(PE−CVD)によって付着されることを特徴とする、請求項15に記載の工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511166(P2012−511166A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539000(P2011−539000)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066165
【国際公開番号】WO2010/063729
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】