説明

電気炊飯器

【課題】炊飯器において、炊飯中に発生する高温の蒸気の温度を下げ、炊飯器の外部に安全に排出する。
【解決手段】
炊飯器において、内鍋を内蔵する炊飯器本体の開口部を開閉自在に覆う外蓋本体内に、室内空間と連通した送風手段と、この送風手段に連結した送風路と、この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、内鍋を加熱する加熱手段と、この加熱手段及び送風手段を制御する制御手段と、この制御手段で実行される炊飯工程において内鍋の内部に発生する蒸気を混合室に導く蒸気路とを備え、混合室は、外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、この露回収具は、蒸気路から導かれた蒸気と送風路から導かれた室内空間の空気との拡散混合気体を室内空間に排出する吹出口を有し、かつ窪み部から取り外した状態において、混合空間の少なくとも上面の一部が自動的に開放される開口を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯後の飯を所定の温度に保持する保温機能を備え、炊飯中に鍋から発生する高温の蒸気の排出を抑制するようにした電気炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯中に排出される蒸気に空気を送風し、蒸気の濃度を下げて混合体として排出するようにした電気炊飯器はすでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この様な炊飯器は、蓋本体内に、前後に開口を有する筒状の排出管と、この排出管内部の途中に一端開口が臨み、他端開口はご飯を収容する内鍋の内部空間に連通する連通管とを備える。
そして、連通管から排出管の内部空間に排出された高温の蒸気に対し、前記蓋本体の外部から導入された空気を混合させ、排出管の末端(下流側)開口から室内空間へ排出される蒸気の濃度を下げる。つまり、電気炊飯器の内部から外部へ排出される蒸気の温度を下げるようにしたものである。
【0004】
しかしながら、このような炊飯器の構成では、排出管の下流側端部は電気炊飯器の蓋本体外部、つまり室内空間に向けて開口しているため、内鍋内部の高温蒸気に対して室内の冷たい空気を十分混合させにくい構成となっていた。
また、蒸気管はその下流側端部が、排出管の下流側に向けて設置されているため、蒸気管からの蒸気の流れと外部から導入されて排出管の内部を流れる風の流れとが、ほぼ平行に方向付けされた構成であり、高温の蒸気と外部からの空気は十分混合されることなくそのまま排出されてしまい、高温蒸気の排出抑制という本来の目的が十分得られないものであった。
【0005】
そこで、外部からの空気と蒸気との混合度合いを向上させるために、炊飯器本体の開口部を上方から開閉可能な蓋本体の内部に、外気と連通した送風装置と、この送風装置と連結するとともに外気と連通する送風経路と、この送風経路と内鍋内とを連通させた蒸気経路とを備え、蒸気経路はその蒸気経路出口を前記送風経路の経路壁に開口させると共に、前記蒸気経路出口と前記内鍋内と連通する前記蒸気経路入口とを水平方向に位置をずらして配置した電気炊飯器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
このような炊飯器では、蒸気経路出口と蒸気経路入口との位置が水平方向にずれていることで、蒸気経路からの蒸気は方向付けされることなく送風経路内に至り、そこで経路壁との摩擦で生じた乱流により均一に送風空気と混合されることになり、排出蒸気をより低温化することができるものであるが、実際の使用環境において次のような課題がある。
【0007】
例えば、炊飯中に排出される蒸気を蓋体の上面に設けた排出口から前方斜め上方向に吹き出すことは、使用者の顔に向けて暖かい空気を流すことであり、使用者によっては不快感を抱く懸念がある。
また、左側の側面側から室内の空気を送風ファンで吸い込み、それを反対側の右側面側に設けた排出口から吹き出すことは、やはり使用者の方に向けて暖かい空気を流すことにもなりかねないので、使用者によっては不快感を抱く懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3682252号公報
【特許文献2】特開2009−28513公報(図1、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、快適に美味しいご飯が炊けることと、蒸気と空気を十分混合させて排出蒸気の温度を低下させることを両立させる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気炊飯器は、基本的な構成として蒸気経路の蒸気経路出口を炊飯器蓋体の背面側に設け、空気を混合させて温度を下げた蒸気を電気炊飯器本体の後部空間に排出させるように構成したものである。
【0011】
この様に構成することで、蓋体内部で空気を混合させて温度を下げた蒸気を電気炊飯器本体の背面側に排出させることができるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器は、快適に美味しいご飯を炊くことと、排出蒸気の温度を低くすることを両立させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1における電気炊飯器の断面図
【図2】同電気炊飯器の平面図
【図3】同電気炊飯器の露回収具の斜視図
【図4】同電気炊飯器の後部の横断面図
【図5】同電気炊飯器の内蓋貫通孔とその周辺を示す縦断面図
【図6】同電気炊飯器の電気回路図
【図7】同電気炊飯器の炊飯動作を示すフローチャート
【図8】同電気炊飯器の炊飯動作を示す内鍋温度と通電状態の説明図
【図9】実施の形態2における電気炊飯器の露回収具の斜視図
【図10】実施の形態3における電気炊飯器の露回収具とその周辺部を示す縦断面図
【図11】実施の形態4における電気炊飯器の露回収具とその周辺部を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、内鍋を内蔵する炊飯器本体の開口部を開閉自在に覆う外蓋本体内に、室内空間と連通した送風手段と、この送風手段に連結した送風路と、この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、この加熱手段及び前記送風手段を制御する制御手段と、この制御手段で実行される炊飯工程において前記内鍋の内部に発生する蒸気を前記混合室に導く蒸気路と、を備え、
前記混合室は、前記外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、
この露回収具は、前記蒸気路から導かれた蒸気と前記送風路から導かれた室内空間の空気との拡散混合気体を室内空間に排出する吹出口を有し、かつ前記窪み部から取り外した状態において、前記混合空間の少なくとも上面の一部が自動的に開放される開口を備えたものである。
【0015】
これによって、内鍋からの高温の蒸気は、送風手段から送られた室温の空気と混合してから外蓋本体の後方に排出することができる。しかも、蒸気と室内空気との混合空間を備えた露回収具が外蓋本体と着脱できる構造であり、しかもその露回収具は取り外した状態で混合室が開放される構成であるから、露回収具を清掃又は新品と交換したい場合にもそれを可能にすることができるものである。
【0016】
第2の発明は、内鍋を内蔵する炊飯器本体の開口部を開閉自在に覆う外蓋本体内に、室内空間と連通した送風手段と、この送風手段に連結した送風路と、この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、この加熱手段及び前記送風手段を制御する制御手段と、この制御手段で実行される炊飯工程において前記内鍋の内部に発生する蒸気を前記混合室に導く蒸気路と、を備え、前記混合室は、前記外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、この露回収具は、前記蒸気路から導かれた蒸気と前記送風路から導かれた室内空間の空気との拡散混合気体を室内空間に排出する吹出口を有し、かつ前記窪み部から取り外した状態でのみ開放可能となる蓋を有し、当該蓋を開放した場合、前記混合空間が外部に開放される構成にしたものである。
【0017】
これによって、内鍋からの高温の蒸気は、送風手段から送られた室温の空気と混合してから外蓋本体の後方に排出することができる。しかも、蒸気と室内空気との混合空間を備えた露回収具が外蓋本体と着脱できる構造であり、その露回収具は取り外した状態で蓋を開放すれば混合室が外部に開放される構成である。これにより、露回収具の内部に手や清掃道具を入れやすいので、より清掃がしやすい構成である。また、露回収具を新品と交換したい場合にも、それを可能にすることができるものである。
【0018】
第3の発明は、炊飯器本体と、この本体に収納される内鍋と、この内鍋の上面開口部を開閉自在に覆うため前記本体後部にヒンジ軸を介して回動自在に支持された外蓋本体と、この外蓋本体内に収納され、室内空間と連通した送風手段と、この送風手段に連結した送風路と、この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、前記内鍋を加熱する加熱手段と、この加熱手段及び前記送風手段を制御する制御手段と、この制御手段で実行される炊飯工程において前記内鍋の内部に発生する蒸気を前記混合室に導く蒸気路と、を備え、前記混合室は、前記外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、この露回収具には、前記蒸気路から導かれた蒸気と前記送風路から導かれた室内空間の空気との拡散混合気体を室内空間に排出できる吹出口を背面壁に設け、前記外蓋本体が前記ヒンジ軸を中心にして後方に開放される場合、その外蓋本体の外郭を構成する構造物の回動軌跡が、前記露回収具の回動軌跡よりも背後側を通るように構成したものである。
【0019】
この構成によれば、外蓋本体を、ヒンジ軸を中心に回動させて開放した場合、その外蓋本体最後部が露回収具の背後側を移動するから、炊飯器の背後に接近して家具や壁など固い構造物があっても、それら物体と露回収具が衝突することを避けることができ、露回収具の衝突による破損や変形を避けることができるという効果がある。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1〜図7は、本発明の実施の形態1における電気炊飯器を示している。
【0022】
図1、図2に示すように、本実施の形態における電気炊飯器は、略有底筒状の炊飯器本体1と、炊飯器本体1の内部の鍋収納部1aに収納される磁性を有する金属材から一体に形成された内鍋2と、炊飯器本体1の開口部を開閉可能に炊飯器本体1にヒンジ軸3aを介して回動自在に取り付けられる外蓋本体3と、外蓋本体3の内側(内鍋2の開口部を覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部を密閉可能な略円盤状の内蓋4と、内鍋2を誘導加熱する加熱手段5とを有している。
内蓋4は、アルミや銅などの熱伝導率の良い材料、又は、ステンレスのように誘導加熱に適した材料から形成されている。
【0023】
前記内蓋4は、外蓋本体3を垂直状態まで開いた状態でも、内鍋2に重なるようにその上面開口を閉鎖した状態でも、外蓋本体3から脱落しないように、少なくとも周囲3ケ所は、後述する下板44に設けた弾性を有する複数個のフックや鉤形の受け部(図示せず)によって支持されている。
また、そのフックとの係合を外せば、内蓋4は外蓋本体3から取り外して洗うことが可能である。
【0024】
炊飯器本体1の鍋収納部1aは、炊飯器本体1の上部開口の内周部に嵌合され、耐熱性のプラスチック材から一体成型された略環状の上枠1bと、内鍋2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。このコイルベース1cも、耐熱性のプラスチック材から一体成型されている。
【0025】
コイルベース1cの外周面には、加熱手段5を構成する底部内側(誘導加熱用)コイル5aと底部外側(誘導加熱用)コイル5bとが取り付けられている。
底部内側コイル5aは、コイルベース1cを介して内鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されている。また、底部外側コイル5bは、コイルベース1cを介して内鍋2の底部のコーナー形状の部分に対向するように配置されている。
【0026】
コイルベース1cの底部の中央部分には、開口1dが形成されており、当該開口1dには、内鍋2の温度を測定するための内鍋2の温度検知手段である底温度センサ6が配置されている。この底温度センサ6は、内鍋2を鍋収納部1aに収納した際に、内鍋の底部に当接可能である。
ここでいう「当接可能」とは、温度センサ6が開口1dから常に上方へ一定寸法だけ突出するように下方からバネ(図示せず)で押し上げられていることによって、内鍋2が前記鍋収納部1aに正しくセットされた場合は、その内鍋2の外側底面に接するということである。
なお、図1でCLの直線は、内鍋2の中心線を示しており、図2のXはその中心線上にある内鍋2の中心点位置を示したものである。
【0027】
炊飯器本体1内には、各部および各装置を駆動制御して炊飯動作を行う制御手段7が設置されている。
この制御手段7は、例えば、外蓋本体3に設けられた操作パネル(図示せず)に配置された押しボタン20(タッチ式のキー等でも良い)を有する操作手段24を、使用者が操作することにより発せられる信号に基づき、各部および各装置の駆動制御を行う。
【0028】
炊飯器本体1の外殻を形成する本体ケース30の前壁となる前壁面30a上部(図1の左側上部)には、外蓋本体3の前側に設けられた外蓋フック8に係合可能なフック49が設けられている。フック49と前記上枠1bとの間には、圧縮状態にバネ(図示せず)が設けられている。このためフック49は、そのバネにより前方(図1の左側)に、常に付勢されている。
また、本体ケース30には、外蓋フック8とフック49の係合を解除する解除ボタン31が設けられている。この解除ボタン31を押下することにより、フック49を後方に退避させることがかのうであり、これにより、外蓋フック8とフック49の係合が解除される。
【0029】
外蓋本体3の内部には、内蓋温度検知部である内蓋温度センサ9と、内蓋加熱手段10と、送風手段11と、送風手段11の吸気側と外気を連通させる吸込風路11bと、送風手段11からの風を後述する外蓋本体3の後部に区画された混合室45へと導出する排気口11dと、送風装置11の排気側と排気口11dとを連通接続する送風路11cと、内鍋2の内部空間と送風路11cの出口側(出口近傍)とを連通させる蒸気路15とが設けられている。
尚、排気口11dは、後述する混合室45を形成する左壁面45aに開口する排気孔45eと連通している。
また、送風手段11の一例として、シロッコファン等の遠心式多翼ファンを用いる。
更に、前記底温度センサ6と内蓋温度センサ9は、例えば、サーミスタ式温度センサであるが、放射される赤外線を検知して温度を検知する赤外線式温度センサでも良い。
【0030】
前記蒸気路15は、図1、図5に示すように、内蓋4に形成した一つ又は複数個の小さな貫通孔4aの外側を密閉状態に覆う耐熱樹脂性の筒状のおねば回収体40と、このおねば回収体40の外側を環状の耐熱性及び弾性を有するパッキン41を介して覆う耐熱樹脂製のダクト42とを備えている。尚、蒸気路の入口15a(おねば回収体40の入口)は、貫通孔4aと連通している。
また、おねば回収体40の内側には、複数の突起43が形成され、内部空間が蒸気の排出路SRになっている。このおねば回収体40は、内蓋4の上面に接着又はネジ止めなどの手段で固定されている。
【0031】
次に、上ケース25は、下面全体が開口した外蓋本体3の上側を構成するケースで、耐熱性樹脂などで一体成型されている。下板44は、その上ケース25の下面開口を閉鎖するように、その上ケース25に固定される平板状の板で、耐熱性樹脂等で一体成型されている。
このため内蓋4は、下板44との係合を外し、外蓋本体3から取り外した場合、一緒におねば回収体40も一体的に取り外せることから、これら2つの部品は同時に洗浄することができる。
上ケース25の裏枠25Aは、前記上ケース25と同様に耐熱性樹脂などで一体成型され、上ケース25の下面(裏面)に密着して結合されており、また後述する窪み部55を形成している。
【0032】
内蓋4の加熱手段10の一例である内蓋加熱コイルは、外蓋本体3内の前記下板44の上面に設置され、制御手段7の制御により内蓋4を誘導加熱するよう構成されている。ヒンジ軸3aは、外蓋本体3の開閉時の中心軸であり、炊飯器本体1の上枠に両端部を回動自在に固定されている。なお、内鍋4の側面の上部に対応した位置に、同様な誘導加熱コイルを設置して、内鍋4の側面上部からも保温工程時に加熱するようにしても良い。
【0033】
外蓋本体3は、ヒンジ軸3aの近傍に設けた弦巻バネなどの回動バネ(図示せず)により、常に開放方向にヒンジ軸3aを中心に回動するよう付勢されている。
従って、前記炊飯器本体1の本体ケース30の前壁30a上部(図1の左側上部)にあるフック49と、外蓋本体3のフック8との係合を、解除ボタン31を操作することにより外した場合、外蓋本体3は前記回動バネ(図示せず)の付勢力により、開放方向に回動し、垂直状態を僅かに超えた位置まで開いたままで自動的に停止する。
つまり、外蓋本体3は、それ自身で90度を僅かに超えた位置にて開いた状態を維持する。
【0034】
図2に示すように、送風手段11は、ファンの回転中心軸がMの位置にある。そして、ファンの周囲を囲むように設置されているファンケース11aの吸込口に連通する吸込風路11bは、外蓋本体3の中に区画形成されている。この吸込風路11bは、専用のパイプやダクトのようなものを設置しても良い。
次に、吸込風路11bの上流側端部になる吸込口は、外蓋本体3の左側面に開口する窓部3gに接近し対抗した位置に開口している。つまり、吸込風路11bの上流側端になる吸込口と窓部3gは、外蓋本体3の外部空間に連通している。
一方、吸込風路11bの下流側端部になる排気口は、前記ファンケース11aの吸込口に接続されている。
【0035】
図2及び図4を参照すると、送風路11cは、送風手段であるファンからの風を流下させる風路であり、その下流側端部になる排気口11dは、外蓋本体3の後部に区画形成した混合室45の左壁面の設けた排気孔45eの孔縁部に接続されている。つまり、排気口11dと排気孔45eは連通しており、総風路11cを流下する風は排気口11dから排気孔45eを経て、混合室45へと流れ出ることができる。
そして、送風路11cの上流側端部になる入口は、前記ファンケース11aの吹出口(図示せず)に接続されている。
【0036】
45aは、混合室45を形成するために上ケース25に形成した背面側が開口した窪み部55の左側壁であり、45bは、上ケース25の下に密着結合している裏枠25Aに形成した窪み部55の右側壁である。
この窪み部55の横幅、すなわち、右側壁45bと左側壁45aの対向間隔Sは、後述する露回収具16の横幅寸法よりも若干大きく設定されている。排気孔45eは縦・横寸法が各20〜30mm程度である。
【0037】
蒸気路15は、内鍋2内で発生し流下してくる蒸気を混合室45へ排出できるように、ダクト42の一端の蒸気路入口15aを内蓋4の蒸気口4aと連通し、他端の蒸気路出口15bは外蓋本体3後部の混合室45の前方壁面に開口する噴出口47の口縁部に密着するように接続している。
【0038】
図3に示すように、露回収具16は、上方と前方がそれぞれ半分以上開放した窓16aを有する容器状であり、全体が耐熱性プラスチックで一体に形成されている。
この露回収具16は、右側面壁16b、左側面壁16c、上面壁16d、背面壁16e、平面視で長方形の底壁面16f、前面壁16gから構成されている。また背面壁16eには、後方に2〜3cm程度一体に突出した摘み部16hを設けており、使用者が露回収具16を後方に引き出す際に確実に掴めるように構成されている。
【0039】
前記したように露回収具16の横幅寸法よりも前記窪み部55の横幅、すなわち、右側壁45bと左側壁45aの対向間隔Sが若干大きく設定されているため、使用者が窪み部55の背面開口から露回収具16を容易に挿入して所定位置にセットできる。
つまり、窪み部55に露回収具16がセットされた状態において、窓16aに、排気孔45aと噴出口47が臨む位置関係となるように各部が構成されている。
【0040】
次に、混合室45は、内部に高圧の気体を導入したり、排出したりするものではないため、露回収具16の周囲と、これに対面する窪み部55の内側壁面との間に若干の隙間があったとしても混合室45の機能には支障がない。
つまり、排気孔45eからの空気や、噴出口47からの蒸気の全てを混合させて、それら混合気体を後述する背面の吹出口17から完全に排出させることまで露回収具16の機能として期待していない。
従って、混合気体の一部が露回収具16と窪み部55の周囲の壁面との間隙から若干漏れることは許容している。
【0041】
なお、この実施の態様では露回収具16の周囲と、窪み部55の内側壁面との間の対向隙間は最大で1mmである。露回収具は、右側面壁16b、左側面壁16c、上面壁16d、底壁面16fなどが窪み部55の内側壁面に所定の長さで対面しているので、それら一部の個所で1mm程度の対向隙間があっても気体の漏れの抑止効果はあり、実用上問題はない。
【0042】
次に、吹出口17は、前記背面壁16eに上下2段に形成された開口であり、本実施の形態では、直径数mm程度のものが10個程度形成されている。縦寸法が5mm程度で、横幅が数10mm程度の長方形や楕円形のものを2、3箇所設けても良い。
なお、全ての吹出口17の面積総和は、前記排気孔45e面積と前記混合室45の前方壁面に設けた噴出口47の面積の総和よりも大きく設定してあり、排気孔45eと噴出口47とから供給される空気や蒸気を円滑に排出できるように構成されている。
言い換えると、露回収具16の内部空間は、炊飯器本体1の外部の室内の空気と、内釜2内部空間からの高温蒸気の混合する混合の為の空間であるが、この混合気体は前記吹出口17から連続的に室内の空気に向けて放出される。
【0043】
また排気孔45eは、噴出口47の出口中心を通る延長線上に左側真横から交差するような向きにあるため、噴出口47から後方へ噴出する高温の蒸気に直接真横から空気を吹き付ける形になり、蒸気に対する空気の混合度を上げ、短時間に蒸気の温度を下げるように構成されている。
【0044】
さらに、混合室45の高さは30mm程度あるが、前記吹出口17は、前記露回収具の背面壁16eの下半分に分布させている。これは、混合室45の内部で合流した空気と蒸気が、合流後に短時間で吹出口17から排出されないようにするためである。
なお、噴出口47の出口中心を通る延長線上には、図4に示したように、前記吹出口17を位置させず、横にずらせることで排出経路の長さを長くすることも、混合室45での混合度合いを向上させることが可能となる。
【0045】
また、混合室45の横幅は150mm、奥行寸法も100mm程度あるため、全体として扁平形状である。噴出口47の出口から噴出する高温の蒸気と、それに比較して温度が低く排気孔45eから噴出される空気とが十分混合してから室内へ放出されるように、このように広い空間の混合室45が必要である。
【0046】
さらに、露回収具16の右側面壁16bに表面が露出するように永久磁石56が埋め込まれている。この磁石56は、後述する装着検出手段60の磁気感知スイッチ61を動作させるものである。
【0047】
次に、外蓋本体3の上ケース25の外表面には、炊飯のメニュー、時間などの各種情報を液晶画面などの表示部19に文字や記号等で表示する表示手段18と、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を行うための操作ボタン20が搭載されている。
操作ボタン19を操作することにより、炊飯器本体1に内蔵された制御手段7に内蔵されている炊飯プログラムが実行され、加熱手段5、内蓋加熱装置10を炊飯プログラムの進行に合わせて動作、停止させて炊飯を実施するとともに、送風手段11に関しても、制御手段7により、炊飯工程に連動して、動作、停止が制御されることとなる。
これらは後で詳しく述べる。
【0048】
表示用回路基板21は、表示部19を駆動するための回路基板であり、表示部ケース22はこの回路基板21の下方全体を覆う密閉用のケースで、耐熱性樹脂から形成されている。
表示部用ケース23は、耐熱性樹脂により形成され、上ケース25との間で密封する空間を形成し、この空間に上述の電子部品を収納することにより、これらの部品が内蓋加熱手段10の熱の悪影響を受けないように構成されている。
【0049】
本体ケース30は、炊飯器本体1の外郭を構成するもので、全体が樹脂で一体に形成されている。解除ボタン31は、外蓋の係止状態を解除するボタンであり、この解除ボタンを押し込むと、前記外蓋本体3のフック8に係合可能なフック1dを後方から押しているバネ(図示せず)に抗してフック1dが後退し、外蓋本体3が開放され、垂直(90度)位置よりも僅かに後方の位置に立った状態になる。
吸気孔32は、本体ケース30の後部底面に形成された複数個の開口であり、本体ケース30の外部から外気を取り入れ、本体ケース30の内部に設けられた制御手段を冷却する為のものである。
【0050】
33は、本体ケース30の背面壁から一体に突設したハンドル受けで、本体ケース30の背面から所定の寸法Fだけ突出している。なお、実際の寸法Fは30mm程度である。 34は、本体ケース30の底面に取り付け又は一体に形成した複数個の脚である。
50は、内鍋2の上面フランジ部と前記内蓋4との間に圧縮状態に置かれて内鍋2内部空間の気密性を保持するシリコンゴム製の環状パッキンで、前記内蓋4に取り付けられている。
【0051】
51は、前記した略環状の上枠1bと、有底円筒形状に形成された前記コイルベース1cと、本体ケース30の背面壁との3者によってそれらの間に形成される閉鎖された空間を前後に仕切る(二分する)断熱板で、難燃性又は不燃性の樹脂あるいは錆びにくい金属板などで形成されている。
【0052】
52は、軸流ファンなどの小型送風機で、断熱板51の後方に区画形成された空間53の内部に炊飯器の外部から空気を吸引導入するものであり、前記本体ケース30の吸気孔32の真上位置に設置してある。
54は、表面上に誘導加熱用の高周波電力を制御するIGBT等の電力用半導体素子やインバータ共振回路用の電子部品などを実装した電源供給基板である。
55は、制御手段7を構成するIGBT等の電力用半導体素子やチョークコイルのように、通電によって熱を発生する電子・電気部品を冷却するために設置されたアルミ製の放熱用フィンで、熱を発生する電子・電気部品が取り付けられている。
【0053】
そして、電源供給基板54は、図1に示すように垂直に設置され、その前方には小型送風機52からの風が流れる空間53、後方(背面側)にも小型送風機52からの風が流れる空間56が形成されている。57は、電源供給基板54の周囲を通った冷却風が排出される排気孔であり、前記ハンドル受け33の真上位置に複数個形成されている。
【0054】
62は、電気炊飯器全体を持ち運ぶために使用されるハンドルであり、図2に示すように使用しない場合は前記ハンドル受け33の上に握り部62Aが置かれる。
このハンドル62は、図2に示すようにハンドル受け33の上に倒した状態の平面視ではコ字形を有し、前記本体ケース30の右壁面に支持される右側部62R、同じく本体ケース30の左壁面に支持される左側部62Lと前記握り部62Aとから一体に構成されている。このハンドルは全体が樹脂又は金属で一体成型されたものである。
【0055】
63Rは、本体ケース30の右壁面を貫通するように固定された支持軸、63Lは同じく本体ケース30の左壁面を貫通するように固定された支持軸で、これら2つの支持軸は本体ケース30に対して回動自在でかつ外側に抜けないよう支持されている。
これによって、ハンドル62全体は2つの支持軸63R、63Lを中心に垂直状態から後方に水平以下の位置まで使用者が自由に回動させることができる。
【0056】
図1において、Yは前記ハンドル62の回動中心の位置を示しており、前記2つの支持軸63R、63Lの中心線上にある。またL1は、この中心位置Yを中心として前記ハンドル62を後方へ倒した場合、その握り部62Aの内側面の軌跡を示しており、前記外蓋本体3の上ケース25や前記露回収具16の摘み部16hに交差しない。
つまり、ハンドル62を倒した場合、途中でそれら上ケース25や前記露回収具16に衝突しないように構成されている。
【0057】
寸法Eは、ハンドル62をハンドル受け33に支持させた場合に、本体ケース30の後壁面からの突出寸法を示している。この突出寸法Eは、前記ハンドル受け33の突出寸法Fよりも大きくなっているので、図1に示すように台所や食器棚等のような設置部分の壁Kに接近して炊飯器が置かれた場合、そのハンドル62の突出寸法Eだけのスペースが炊飯器後方に確保される。
このため、前記冷却風が排出される排気孔57や、吹出口17の出口側が壁Kで塞がれることはない。
【0058】
軌跡L2は、外蓋本体3を、ヒンジ軸3aを中心に回動させて開放した場合の、その上ケース25の上面最後部の軌跡を示す。また、軌跡L3は、そのような外蓋本体3開放時の、摘み部16hの回動軌跡を示す。尚Uは、食器棚等のような設置面を示す。
【0059】
図6において、制御手段7は、1つ又は複数のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そのマイクロコンピュータは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、交流100V電源に繋がる電源部65と定電圧回路部66とを介して直流電源が供給されて、加熱手段5、内蓋加熱手段10、表示手段18及び送風手段11等を制御する中心的な役目を果たすものである。
【0060】
前記制御手段7には、加熱手段5の動作条件として内釜2底面の温度と米飯の温度との相関テーブル、各炊飯メニュー(白米、無洗米の選択、炊き加減の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」)、がそれぞれ記憶されている。
さらに、炊飯を行う工程として図8に示すように「予熱工程A」、「炊飯工程B」、「むらし工程C」及び「保温工程D」という4つの工程を順次実行するような制御プログラムが記憶されている。
炊飯工程Bは、強火力工程B1と弱火力工程B2から構成されている。
【0061】
この実施の形態でいう「動作条件」の一つとして、通電条件がある。通電条件とは、加熱手段5の電気的、物理的な条件を言い、加熱手段5の通電時間、通電量、通電パターン(連続通電、断続通電、通電率等)等を総称したものである。
同様に、前記制御手段7には、前記「保温工程」を実行するように、前記内蓋加熱手段10の通電開始や通電停止のタイミング、通電量などを決定する制御プログラムが記憶されている
【0062】
67は、タイマー等で構成される計時手段で、これが出力する計時信号が前記制御手段7に入力されるとともに、前記表示手段18に対して現在時刻や設置時刻情報が出力されるので、それら時刻が表示手段18の液晶表示画面上に表示される。
【0063】
68は、送風手段11の駆動回路を備えた駆動部である。
69は、前記加熱手段5に対して20〜40KHz程度の高周波電流を流すための高周波回路部で、内鍋2のような金属又は炭素等の被加熱物(金属物)は誘導加熱コイルに対して、共振コンデンサ(図示せず)を接続した回路に、スイッチング回路素子であるIGBT等によって20〜40KHz程度の駆動周波数でオン・オフ制御して、20〜40KHz程度の周波数の電流を流せば良い。
また、被加熱物がアルミや銅などの高電気導電率の材料で作られている場合、所望の加熱出力を得るためには、更に駆動周波数を上げ、60〜70KHzの駆動周波数でオン・オフ制御することが必要となる。
なお、図6では内蓋加熱手段10を図示していないが、同様に高周波駆動部69で駆動制御されるようにしてある。
【0064】
70は、前記送風手段11の送風路14又は前記吸込風路11bの中を流れる空気流の流量又は風圧を物理的に検知し、または送風手段の運転状態を電気的に検知する送風運転センサで、この検知出力は前記制御手段7に入力され、送風手段11の運転状態が検知される。また吸込風路11bの入口側が、何らかの物体で塞がれて十分な空気量を確保できない状態も検出できる。
【0065】
71は、前記吸込風路11bの入口部分、すなわち外蓋本体3の左側面部に開口した入口部を覆う埃や異物の侵入防止用のフィルター(図示せず)が正しく設置されているかどうかを検出するフィルター用センサで、吸込風路11bの入口部分に設置されている。このフィルター用センサの検知出力は前記制御手段7に入力される。
【0066】
61は、磁気感知スイッチで、前記露回収具16の右側面壁16bに表面が露出するように埋め込まれた永久磁石56と対面した場合に所定の信号を発し、この検知信号出力は前記制御手段7に入力される。これにより、露回収具16が、窪み部55に全く装着されていない状態、及び、装着が不完全である状態を検知することができる。
【0067】
以上のように構成された電気炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
まず、内鍋2内に所定の米と水をセットし、操作ボタン20で炊飯メニューを選択し、炊飯開始ボタンを操作することで、炊飯工程が開始される。炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる予熱工程、内鍋2を加熱手段5により一気に加熱し、内鍋2内の水を沸騰状態にする炊飯工程、内鍋2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑えるむらし工程と順次進む。
制御手段7は、温度検知手段6により内鍋2の温度に応じて、最適に加熱手段5を制御し、あらかじめ決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。炊飯工程が終了すると、自動的に保温工程へと移行し、炊き上がったご飯の温度が低下しないようになっている。
【0068】
次に、炊飯プログラム実行による動作の詳細を以下に説明する。
図8を参照すると、炊飯が開始されると、最初に予熱工程Aが開始される。予熱工程Aにおいて加熱手段5は最初強火力(例えば1000W)となるよう連続通電パターンで通電が開始されるが、内釜2内部の温度が所定の温度(60℃未満。この実施の態様では55℃)に達したことを温度検知手段である底温度センサ6が検知すると、この情報が制御手段7に入力され、55℃を維持するように通電量が抑制され、また通電が間欠的になるので、ほぼ蒸気は発生しない。
従ってこの状態では、蒸気の混合処理(冷却化処理)も行われていない。
【0069】
この55℃維持の状態を一定時間以上続けることになった時点からの経過時間を計時手段67が計測し、この計時信号が前記制御手段7に入力されて予熱工程の終了時間が制御される。
なお、予熱工程Aは、内鍋2を加熱し、内鍋2内の水の温度を、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)まで上げてそのまま所定時間維持することで、米の吸水を促進するために必要な工程である。
【0070】
次の炊飯工程Bでは、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御手段7は、加熱手段5を動作させて内鍋2を急速に加熱し、内鍋2内の水を沸騰状態とする。具体的には、炊飯工程Bに入ると、加熱手段5の火力が強くなり(例えば1100W又は1000W)、これを所定時間(例えば15分以上)継続する。
【0071】
すると、徐々に内釜2内の水温が上昇し内釜2内の水が沸騰状態に達することから、連続的に高温の蒸気が発生する。沸騰が激しくなり蒸気量が増すと、内釜2の中は大気圧よりも圧力が上昇し、内釜2内で発生した蒸気は、その圧力により押出されて狭い貫通孔4aを通り、蒸気路入口15aから蒸気の排出路SRに入る。
この排出路SRに入った蒸気は、おねば回収体40の内部空間を通る過程で、うま味成分と言われる、流出物(おねば)と分離され、さらに蒸気は蒸気路出口15bに至る。そして、蒸気路出口15bから一挙に広い空間である混合室45に噴出する。
尚、「おねば」とは、米中のでんぷんなどの成分が水中に溶け出し、膜状となった粘度の高い流体をいう。
【0072】
前記したように、貫通孔4aからおねば回収体40に入った高温の蒸気は、蒸気の排出路SRに入った初期の段階で、この蒸気流れの空間内に、おねば返しとなるような、交互に向かい合う突起43による螺旋状通路又は湾曲した通路の絞り部が形成された通路を通過するので、噴出された蒸気は急激に膨張して温度が下がり、またおねばが貫通孔4aから放出されたとしても、その絞り部の手前でせき止められ、そこから貫通孔4aまで自然に自身の重さで戻される。
これにより、内鍋2の内部から混合室45側へ蒸気以外の流出物が流出するのを抑制している。
【0073】
一方、炊飯工程の途中から制御手段7は駆動部68に指令を出し、送風手段11を駆動する。すると送風手段11は、吸込風路11bから室内の空気を吸い込み、これを送風路11cへ押し出し、排気孔45eから混合室45の内部へ供給する。
つまり、蒸気路15から混合室45に噴出した蒸気に対し、送風路14を経由して来た室内の冷たい空気をその左横から衝突させる。
【0074】
蒸気路15から混合室45へ導かれた蒸気は、室温の空気と混合され、この空気と蒸気の混合体が吹出口17から外蓋本体3外へと排出される。空気と混合することで、蒸気の濃度を低減することができるので、排出される混合気体の温度は低下する。
なお、蒸気路15は、その蒸気の出口となる噴出口47の向きが、送風路11cの末端にある排気口11dと連通する排気孔45eの向きに、直角に交わる位置にある関係となっている。これにより、蒸気路15から排出された蒸気は空気と良く混合し、混合することにより軽くなって自然と混合室45の上方へと移動し、露回収具16の内部空間、つまり混合室45の中で均一に空気と混ざりやすくなる。
【0075】
さらに、前述したように、内部が30mm程度の有効高さの混合室45の中で、前記吹出口17は、前記露回収具16の背面壁16eの下半分に分布させているので、混合室45の内部で合流した空気と蒸気が、合流後に短時間で吹出口17から排出されず、混合室45の内部に滞留する時間が長くなる。
これにより、より空気と蒸気が混合することができ、炊飯器本体から排出される蒸気と空気の混ざった排気の温度を低下させることができる。
【0076】
次に、炊飯工程B1中に、制御手段7は水温の上昇速度をおいしいご飯を炊くための最適速度とするために、炊飯合数に応じて火力を調整する必要がある。また、沸騰してからも米を十分柔らかいご飯にするために一定期間米を高温状態に保つ必要があり、そのためにも最初の所定時間(例えば最低15分間)は、最大火力(例えば1100W)の連続通電で加熱するが、火力を途中から調整して制限する必要がある。
【0077】
その火力制限のため、加熱手段5は断続的に内鍋2を加熱することで火力を調節する。
即ち、炊飯工程Bの途中の時点(これは沸騰状態に至った時点からの経過時間を前記制御手段7が見ていることで実現している)から弱火の炊飯工程B2に移り、加熱源4の火力は弱になり、そのため、強火力で加熱手段5が動作している間は、連続して内鍋2内で蒸気が発生していたものが、火力を低下させたあとは内鍋2内の蒸気発生は減少し、一時的には停止することもある。
内鍋2内で連続的に蒸気が発生しているときは、その蒸気は蒸気路15以外には移動する場所がないので、内鍋2内に蒸気が充満すると蒸気の圧力が高まり、蒸気路15を経て混合室45に噴出する。
【0078】
そして、炊飯工程B2の終わりになると、それまでに水蒸気化して放出されてしまっていることから内釜2内部の水分は少なくなり、内釜2内部温度はそれまで100度強であった状態から130度程度まで急上昇する。すると、このような急激な温度上昇を前記温度検知手段(底温度センサ)6が検知し、制御手段7に温度検知情報を入力するから制御手段7は炊飯完了と判断する。
【0079】
するとこの段階からむらし工程Cに入り炊飯が進行していくと、時間の経過に伴い蒸気発生量が徐々に少なくなり、炊飯が終了すると、内釜2内が冷えて圧力が低下する。これにより、内釜2内の圧力は元の大気圧に近い状態まで戻る。
【0080】
また、炊飯中に発生する蒸気量は、米の種類(白米、無洗米等)、炊き方(かたさ、粘り)、メニュー(通常の炊飯や、おかゆ)等の組合せにより異なるが、いずれの場合においても、確実にその調理メニューを終了するまでの過程で発生する蒸気は、上記したように送風手段11による混合処理を行い、やけどしない温度、例えば55度以下となるように温度を下げた状態にして外蓋本体3の後部から排出する。
【0081】
また、むらし工程Cが終わったあとの保温工程Dでは、前記加熱源5とは別に設けた専用の保温用電気ヒータ(最大加熱能力が小さい)内蓋加熱手段10を通電してご飯が冷えない程度の熱を与えるため、図7の炊飯工程図では加熱源5の通電パターンとしては何も示されていない。
【0082】
なお、内釜2の外周部分や外蓋本体3の内部は断熱性を持たせるための断熱材や密閉空間を形成しているため、内釜2内部のご飯が室温で急速に冷えることはなく、保温用電気ヒータである内蓋加熱手段10によって長時間保温が可能である。
【0083】
また、炊飯工程では、米飯からでんぷんなどの成分が水中に溶け出し、膜状となった粘度の高いおねばが蒸気とともに突起43を通過し、その下流域まで流出することがある。そのようなおねばは蒸気流に押されるようにして混合室鍋2外へと移動するのであるが、おねばに蒸気よりも十分低い温度の気体を当てると破裂する。
更に、送風手段11からの冷却風は、加熱手段5の動作に合わせて連続的に混合室45に入り込み、混合室45内の雰囲気温度および混合室45の壁面を冷却している。そのため、多少のおねばが進入しても混合室45に入った直後に噴出口47付近で送風手段11からの風によって冷却され破裂し、混合室内におねばが流入しにくくなる効果がある。
【0084】
次に、図7は、本発明の実施の形態1における電気炊飯器の全体の動作を示すフローチャートであり、このような動作プログラムが前記制御手段7のマイクロコンピュータの動作プログラムの中に格納されている。
【0085】
内鍋2内に所定の米と水をセットし、操作ボタン20で、炊飯メニューを選択し、炊飯開始ボタンを押下すると、ステップ(以下、「ST」と表示する)1で加熱動作前チェックが行われる。
この加熱動作前チェックとは、少なくとも次の事項を確認することである。
(1)装着検出手段60の磁気感知スイッチ61によって、露回収具16が窪み部55の奥まで(正しい位置に)セットされているかどうか。
(2)フィルター用センサ71によって、前記吸込風路11bの入口部分、すなわち外蓋本体3の左側面部に開口した入口部を覆う埃や異物の侵入防止用のフィルター(図示せず)が正しく設置されているかどうか。
(3)底温度センサ6によって内鍋の温度が所定温度以下であるかどうか。
【0086】
ST2の加熱動作前チェックの結果、異常があった場合、ST14〜ST16の処理になる。正常であった場合、ST3では加熱動作の表示が表示手段18にて行われる。例えば「炊飯を開始する」との表示が文字や記号、図形などで示される。同時にブザーや音声ガイド装置(図示せず)を駆動して合成音声等で炊飯を開始することを報知しても良い。
【0087】
(ST2の加熱動作前チェックの結果、異常がない場合)
ST4では、予熱工程Aが開始される。予熱工程Aの開始時点から所定時間後、内鍋2の温度変化を底温度センサ6によって検知し、ST5ではその所定時間と上昇した温度との関係から温度上昇率を検知し、炊飯量や米種などの判定を行う(ST6)。例えば、米と水の量が大きければ炊飯量は大きいと判断する。
【0088】
次に、ST6にて炊飯量や米種を判定し、この結果に応じて最適な通電パターンを選択し、予熱工程開始する(ST7)。
次に、内鍋2の温度が所定温度(55℃)になってからの経過時間がある時間を経過したかどうか判定し(ST8)、その設定された時間を経過すると炊飯工程Bを開始する(ST9)。
【0089】
次に、炊飯工程Bの中で強火力工程B1と弱火力工程B2を行い、内釜2内部の水量が少なくなると急激に温度上昇するので、内鍋2の温度を底温度センサ6によって検知し、所定の炊飯終了温度になったかどうか判定し(ST10)、所定温度を超えた場合はむらし工程Cに移行する(ST11)。
【0090】
次に、所定の時間だけ、むらし工程Cを行い、その時間が経過したかどうか判定し(ST12)、むらし時間が終わった場合には表示手段18にて炊飯動作終了の表示と報知を行う(ST13)。例えば、「炊飯が終わりました」との表示が文字や記号、図形などで示される。同時にブザーや音声ガイド装置(図示せず)を駆動して合成音声等で炊飯終了を報知しても良い。
尚、ST13の後、炊飯を終了し、保温工程に自動的に移行する。
【0091】
(ST2の加熱動作前チェックの結果、異常がある場合)
ST2の加熱動作前チェックの結果、異常があった場合、表示手段18にて異常のある旨の表示と報知を行う(ST14)。例えば、「露回収具が正しくセットされていません」との異常内容の説明や是正方法などを示す表示が文字や記号、図形などで示される。同時に、音声ガイド装置(図示せず)を駆動して合成音声等で異常の内容とその是正方法などを報知しても良い。
【0092】
この表示・報知処理のあとも一定時間後、例えば1分後に再度異常有無チェックを行い(ST15)、異常が発見されない場合は前記ST4に進み、予熱工程Aが開始される。
再び異常が検知されると、炊飯動作を行うのは危険と判断し、異常停止処理(ST16)を行う。
異常停止処理とは、例えば、表示手段18にて再び異常が検知された旨の表示と報知を行うことであり、仮に炊飯開始のボタンなどを使用者が操作しても、そのような命令は有効とせず、制御手段7は炊飯動作の開始を禁止することである。
【0093】
なお、この図7には示していないが、炊飯工程Bの中では、送風運転センサ70によって、前記送風手段11の送風路14又は前記吸込風路11bの中を流れる空気流の流量又は風圧を物理的に検知し、または送風手段の運転状態を電気的に検知している。
もし、送風手段11の送風量が低下するような事態が検知された場合、前記制御手段7は加熱手段5の加熱量、すなわち火力を抑制し、内鍋2から発生する蒸気が連続して多量に発生しないように是正指令を発する。
仮に送風手段11の運転が行われていない状態が検知された場合、炊飯工程Bは途中で停止しないが、使用者には高温の蒸気が外蓋本体3の後部へ排出されることがあると注意を喚起する。
【0094】
以上、実施の形態1においては、図1に示すように、前記ハンドル62を後方へ倒した場合、その握り部62Aは前記外蓋本体3の上ケース25や前記露回収具16に接触もしない。
つまり、ハンドル62をその回動中心Yを中心に後ろに回動させた場合、外蓋本体3が完全に閉まっており、また前記露回収具16も正しい位置にセットされていれば、それらには衝突することはない。
このことは逆に言えば、露回収具16が正しい位置にセットされていない場合には、ハンドル62が途中でその露回収具16に当たってしまうから、使用者はこのハンドル62の位置で露回収具16の設置状態が正しいかどうかを知ることができる。
露回収具16の挿入位置を、わざわざ本体ケース30の後壁面に回って目視で確かめることや、炊飯器本体1の背面側を手前になるように回す必要もない。
【0095】
また、実施の形態1においては、図1に示すように、フック49を外して外蓋本体3を、ヒンジ軸3aを中心に回動させて開放した場合、その上ケース25の上面最後部の軌跡L2は、外蓋本体3開放時の、摘み部16hの回動軌跡L3の外側である。
このため、ハンドル受け33があっても、電気炊飯器の設置部後方に何らかの硬い突起物や家具等(以下、「背後物体」という)があって、それに外蓋本体3の後部が衝突するような場合でも、露回収具16が背後物体に衝突することを避けることができる。
【0096】
外蓋本体3は、一般に内蔵構造物を保護するためと内鍋2の上方を確実に密封する目的のため上ケース25を始め、硬い構造物で外郭が形成されている。これに対して、露回収具16は、混合空間45を確保するものであるから、薄肉の樹脂などで箱や容器状に形成すれば良いため、外蓋本体3が勢い良く開放された場合に背後物体に衝突すると、後ろから持ち上げられるような強い外力が加わり、割れや変形などが起こってしまうおそれがある。
しかし、本実施の態様1では、上記したように、上ケース25が背後構造物に衝突することで露回収具16の衝突による破損や変形を避けることができるという効果がある。
【0097】
さらに、本実施の形態1においては、図3、図4に示すように、送風手段11から室内の空気が導入される排気孔45eは、噴出口47の出口中心を通る延長線上に左側真横から交差するような向きにあるため、噴出口47から後方へ噴出する高温の蒸気に直接真横から空気を吹き付ける形になり、蒸気に対する空気の混合度を上げ、短時間に蒸気の温度を下げる効果がある。
【0098】
さらに、本実施の形態1においては、最終的に空気を混合させて温度を下げた蒸気を排出する前記吹出口17は、露回収具16の背面壁16eの下半分にのみ分布させているため、混合室45の内部で合流した空気と蒸気が、合流後に軽くなって上昇してそのまま短時間で吹出口17から排出されないように抑制できる効果がある。
【0099】
さらに、本実施の形態1においては、蒸気が噴出する噴出口47の出口中心を通る延長線上には図4に示したように、前記吹出口17を位置させず、横に(図4では右に)ずらせることで排出経路の長さを長くしているので、同様に混合室45での空気と蒸気の混合度合いを向上させることができる。
【0100】
さらに、本実施の形態1においては、外蓋本体3の下面開口を平板状の下板44で閉塞し、その下板の下方にはその下板から取り外し自在に内蓋4を設け、この内蓋にはおねば回収体40を取り付けてあり、内蓋4を下板44、すなわち外蓋本体3から取り外した場合、おねば回収体40も一体的に取り外せる。
従って、これら2つの部品は同時に洗える便利さがある。また内蓋4に比較して小さな部品である、おねば回収体を紛失するおそれもないという利点がある。
【0101】
さらに、本実施の形態1においては、図3に示したように露回収具16の形態が、上方と前方がそれぞれ半分以上開放した窓16aを有するものであったため、露回収具16の内部にも洗浄ブラシや手指などが届き、露回収具16を清掃、洗浄して清潔に保つことができるという効果がある。
さらに、外蓋本体3を完全に開放した場合、外蓋本体3はヒンジ軸3aを支点にしたまま垂直状態より若干後ろに傾いた位置に立ったままの状態になる。このため、このような開放時、露回収具16は垂直状態を少し超えて後ろに若干傾いた状態になるが、露回収具16の内部に一回の炊飯で溜まる結露はごく僅かであり、数十CCのような纏まった水量にならず、また吹出口17の位置も、底壁面16f表面から一定の寸法だけ離れたところにあり、前面壁16gから離れた背面壁16eに形成してあるので、結露が吹出口17から滴下するようなことはない。
【0102】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における炊飯器を示している。実施の形態1と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、本実施の形態2における電気炊飯器の露回収具16は、平面形状が全く同じ上下一対の部分から形成されている。即ち、上ケース16Tと下ケース16Uとを樹脂の一体成型で形成し、それらを向かい合わせて結合したものである。
【0103】
このような上ケース16Tと下ケース16Uの向かい合わせ面BL側の端部には、それぞれ切り欠き部が合わせ面BLを基準に対称的に形成されている。そして、上ケース16Tと下ケース16Uの向かい合わせ面BLで合わさることにより、吹出口17や空気の導入孔16j、及び、蒸気の導入孔16hが形成される。
上記のような上ケース16T及び下ケース16Uを成型する場合、例えば、上型と下型からなる金型を用いることにより成型することができるので、金型をシンプルな構成にすることができる。
つまり、例えば、透孔がある成型品を形成する為などに用いられるスライド機構などの複雑な機構を金型に用いることなく、上ケース16T及び下ケース16Uを成型することが可能である。
【0104】
ここで、本実施の形態において、上ケース16Tと下ケース16Uは、対称的な形状となるように、別々の成型用金型で形成されたもの用いているが、同一の金型で形成したケースを合わせ面BLで結合して露回収具16を構成しても良い。
この場合、上ケース及び下ケースが全く同一の形状であるため、空気導入孔16jと蒸気導入孔16hは、露回収具16にそれぞれ2つずつ形成されるが、窪み部55に露回収具16を取付けたときに、不要な空気導入孔16jと蒸気導入孔16hが、窪み部55を構成する壁面に覆われるように構成すれば、問題が無い。
また、余分に形成された空気導入孔16jと蒸気導入孔16hをカバーなどで塞いで用いても良い。
【0105】
また、上ケース16T及び下ケース16Uを着脱自在に構成しても良い。この様に構成することにより、露回収具16の内部にも洗浄ブラシや手指などが届き、露回収具16を清掃、洗浄して清潔に保つことができる。
尚、上ケース16T及び下ケース16Uを着脱自在に構成した場合、各々をヒンジのような開閉具で連結したり、お互いを嵌合して結合したりすると良い。この様に構成することで、露回収具16を分解しても、それぞれの部品である上ケース16T及び下ケース16Uがバラバラにならず管理しやすい。また、上ケース16T及び下ケース16Uを嵌合結合可能にすることで、露回収具16を正しく組み立てることが容易となる。
【0106】
尚、実施の形態1と同様に、上記のように形成された導入孔16jは、前記排気孔45eと対向する位置に形成されており、また導入孔16hは前記噴出口47と対向する位置に形成されている。
従って、室内の空気は空気の導入孔16jから、また内鍋2内部からの蒸気は蒸気の導入孔16hから、それぞれ混合室45の内部に導入されるものである。
【0107】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における炊飯器を示している。実施の形態1と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、本実施の形態3における電気炊飯器の露回収具16は、上部に所定寸法Jだけ張り出した庇部16mを設け、また吹出口17の下方には、使用者が掴みやすいような摘み部16pと、この摘み部の手前には凹溝16nを一体に形成したものである。
【0108】
この凹溝16nは、吹出口17から万一、結露などが滴下した場合、それを受けることができるものであり、これにより本体ケース30の背面を濡らしたり、汚したりすることを避けることができる。
なお、吹出口17は全て外側に行くに従って下がるように斜め下向きになっている。また張り出し部16mは、図1に示した実施の形態1でいう摘み部16hの役目や、ハンドル受け33の役目を持たせたものである(つまりハンドル受け33は削除した)。
【0109】
さらに、この実施の形態3においては、底壁面16f表面から一定の寸法だけ離れたところに背面壁16eの横幅全体に及ぶ所定高さの凸条(土手)16sを一体に形成してあり、こり凸条より下方を露止め部16tにしている。
【0110】
このような構成であるので、前記実施の形態1におけるような効果が得られることに加え、蒸気と室内空気との混合によって混合室45の中に結露が発生しても、それを確実に露回収具16の中に溜めることができる。
すなわち、外蓋本体3を完全に開放した場合、外蓋本体3はヒンジ軸3aを支点にしたまま垂直状態より若干後ろに傾いた位置に立ったままの状態になるため、露回収具16は垂直状態を少し超えて後ろに若干傾いた状態になる。
この時、露回収具16の底壁面16fの結露が溜まっていたとしても、その結露は外蓋本体3開放時に、露回収具16が一体となって回動するから、底壁面16fから凹状の溝となる露止め部16tの中に溜まる。よって結露水が吹出口17に至ってそこから滴下するようなことはない。
【0111】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における炊飯器を示している。実施の形態1と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように、本実施の形態4における電気炊飯器の露回収具16は、上ケース25の後部を二重壁にし、その壁の下方に形成された窪み部55の後ろ面(背面)側の開口から挿入されて安定的にその窪み部55の中に置かれる。
前記二重壁の中間には断熱用の空気層ASが形成されている。この空気層は外蓋本体3の外部と連通しても良いし、連通していなくとも良い。
【0112】
露回収具16は、図9に示した本実施の形態2の露回収具16のように、平面形状が全く同じ上下一対の部分から形成されており、上ケース16Tと下ケース16Uとを樹脂の一体成型で形成し、それらを向かい合わせて着脱自在に結合したものである。
着脱自在に結合する手段としては図示していないが、例えば、上ケース16Tの底面周縁部に弾力性のある爪を形成し、一方、その爪と対向する位置にはその爪と係合するフック(鉤)状の掛け金を一体成型や別部品と取り付けて設け、この掛け金と前記爪との係合・離脱による構成が一案である。
【0113】
そして、上ケース16Tの天井壁面(上面壁)16dに吹出口17を形成している。
上ケース16Tの天井壁面(上面壁)16dは、蒸気の噴出口47に近い方から所定の範囲までは上記上ケース25の後部二重壁下面に近接しているが、途中から後部は一段下がっているため、その二重壁との間には所定の空間BSが形成され、この空間が前記吹出口17からの混合気体の排気通路になる。
【0114】
16pは、図10に示した前記実施の態様3における摘み部16pと同様な摘み部である。前記露回収具の吹出口17の表面側は、塵やごきぶりを含む虫等の侵入を阻止するための目の細かいフィルター(図示せず)で覆っている。そのフィルターは、上ケース16Tの天井壁面(上面壁)16dに接着されており、露回収具16全体を水などで丸洗いしても脱落しないようになっている。
【0115】
このような構成であるので、前記実施の形態1におけるような効果が得られることに加え、蒸気と室内空気との混合によって混合室45の中が温度上昇しても、混合室45に対応した位置の上ケース25が二重壁構造になっているので、外蓋本体3の上面まで温度が伝達されにくく、外蓋本体3の温度があがって使用者が触れた場合に不安感を抱かせることがない。
【0116】
また、窪み部55は、前記外蓋本体の外郭を構成する構造物(外ケース25)上面位置から所定寸法下方に形成され、前記露回収具16が外蓋本体3に装着された状態では、当該露回収具16は、前記外蓋本体3を斜め前方上方から見た場合、外蓋本体の表面には現れない。
従って、露回収具16が見えることによって意匠的イメージを損なうこともないという効果がある。具体的には、図11の実施の態様4では、俯角Θが少なくとも30度で見た場合、露回収具16が見えないようにしてあるが、使用者が炊飯器本体30の近くで上方から見た場合を想定すると、俯角Θが60度でも見えないようにすれば更に好ましい。
【0117】
なお、他の実施の形態として、前記第4の実施の形態のフィルターや露回収具16の表面、特に吹出口17の口縁部表面や、前記送風手段11の吸込風路11bの入口部表面にゴキブリ忌避剤を塗布しても良い。電気電子部品材料に用いる忌避剤としては、例えば、特開2004−31971号公報で示すものが知られている。
【0118】
さらに、他の実施の形態として、実施の態様1で示したような吸込風路1bと排気風路1cを、混合室45に近づくに従って下り傾斜に形成すれば、吸込風路1bや排気風路1cの途中の内部に結露しても露が炊飯器側面に流れ出ないという効果が得られる。
【0119】
また、各実施の形態で、露回収具16の底壁面16fについて詳述していないが、必ずしも平坦でなくとも良く、特定の部位に向けて傾斜していても良い。また、露回収具16の底壁面の一部に排水孔を形成し、この排水孔から炊飯器本体1の内部、例えば内鍋2の外周部に案内し、その案内先に別の露受け容器や凹み部を設けて、そこで露を蒸発させたり、あるいは清掃可能な形態にしたりしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、美味しくご飯を炊くことと、蒸気と空気を十分混合させて排出蒸気の温度を低下させることを両立させることができるものであるので、炊飯器全般に適用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 炊飯器本体、1a 鍋収納部、2 鍋、3 外蓋本体、3a ヒンジ軸、
3b 外蓋本体天面、4 内蓋、4a 貫通孔、5 内鍋加熱手段、
5a 底部内側コイル、5b 底部外側コイル、6 底温度センサ、7 制御手段、
9 蓋温度センサ、10 内蓋加熱手段、11 送風手段、11b 吸込風路、
11c 送風路、11d 排気孔、15 蒸気路、15a 蒸気路入口、
15b 蒸気路出口、16 露回収具、16b 右側面壁、16c 左側面壁、
16d 上面壁、16e 背面壁、16f 底壁面、16g 前面壁、16s 凸条、
16t 露止め部、17 吹出口、18 表示手段、19 表示部、20 操作ボタン、
21 表示用回路基板、22 表示部ケース、23 断熱ケース、24 操作手段、
25 上ケース、25A 裏枠、30 本体ケース、30a 前壁面、
31 解除ボタン、32 吸気孔、 33 ハンドル受け、34 脚、
35、40 おねば回収体、41 パッキン、42 ダクト、43 突起、44 下板、
45 混合室、47 噴出口、49 フック、50 パッキン、51 断熱板、
52 軸流ファン、53 空間、54 電源供給基板、55 窪み部、56 永久磁石、
57 排気孔、60 装着検出手段、61 磁気感知スイッチ、62 ハンドル、
63R 右側支持軸、63L 左側支持軸、65 電源部、66 定電圧回路部66、
68 送風手段の駆動部、69 高周波回路部、70 送風運転センサ、
71 フィルター用センサ、A 予熱工程、B 炊飯工程、C むらし工程、
D 保温工程、E 突出寸法、F 突出寸法、AS 空気層、BS 空間、
CL 中心線、L1 軌跡、L2 軌跡、 L3 軌跡、S 対向間隔、U 設置面、
X 中心点位置、SR 蒸気の排出路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋を内蔵する炊飯器本体の開口部を開閉自在に覆う外蓋本体内に、室内空間と連通した送風手段と、
この送風手段に連結した送風路と、
この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、
前記内鍋を加熱する加熱手段と、
この加熱手段及び前記送風手段を制御する制御手段と、
この制御手段で実行される炊飯工程において前記内鍋の内部に発生する蒸気を前記混合室に導く蒸気路と、
を備え、
前記混合室は、前記外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、
この露回収具は、前記蒸気路から導かれた蒸気と前記送風路から導かれた室内空間の空気との混合気体を室内空間に排出する吹出口を有し、かつ前記窪み部から取り外した状態において、前記混合空間の少なくとも上面の一部が自動的に開放される開口を備えたことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
内鍋を内蔵する炊飯器本体の開口部を開閉自在に覆う外蓋本体内に、室内空間と連通した送風手段と、
この送風手段に連結した送風路と、
この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、
前記内鍋を加熱する加熱手段と、
この加熱手段及び前記送風手段を制御する制御手段と、
この制御手段で実行される炊飯工程において前記内鍋の内部に発生する蒸気を前記混合室に導く蒸気路と、
を備え、
前記混合室は、前記外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、
この露回収具は、前記蒸気路から導かれた蒸気と前記送風路から導かれた室内空間の空気との混合気体を室内空間に排出する吹出口を有し、かつ前記窪み部から取り外した状態でのみ開放可能となる蓋を有し、当該蓋を開放した場合、前記混合空間が外部に開放される構成にしたことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項3】
前記露回収具の吹出口は、塵やごきぶり等の侵入を阻止するためのフィルターで覆っていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項4】
前記送風路は、前記混合室に対して導入する空気の流れが、前記蒸気路から混合室に噴出された直後の蒸気流の流れに対して横から交差するように配置してあることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項5】
前記蒸気路は、前記混合室に対してその前方から後方に向けて蒸気を噴出すように構成され、前記混合室は、その底面から天井面までの高さに対して前記吹出口のある背面壁までの奥行き寸法が2倍以上あることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項6】
前記炊飯器本体には、その両側面に両端部が回動自在に支持され、使用者が把持可能な握り部を有するハンドルを備え、このハンドルを後方へ回動させた場合には前記握り部が前記外蓋本体の最後部と所定の間隔を保って前記炊飯器本体の背後まで至るように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項7】
前記外蓋本体の後部に前記露回収具が装着された状態で、前記ハンドルを後方へ回動させた場合には、前記握り部が前記外蓋本体の最後部及び露回収具と所定の間隔を保って前記炊飯器本体の背後まで至り、前記露回収具が所定の位置に装着されないで後方へ突出した状態となった場合には、前記ハンドルを後方へ回動させた場合、その握り部が当該露回収具に当接することを特徴とする請求項6記載の電気炊飯器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記内鍋内部の温度が所定温度を超えたかどうかを検知する温度センサの情報に基づき、前記送風手段の運転を開始する動作をすることを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項9】
前記制御手段は、前記露回収具が外蓋本体装着されたかどうかを検知する装着センサの情報に基づき、装着されていないことが検知された場合、炊飯工程を開始しないかことを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項10】
前記露回収具は、前記外蓋本体に装着された状態において、その外蓋本体を前方から俯角30度以下で見た場合、外蓋本体の表面に輪郭が現れないよう当該外蓋本体の外郭を構成する構造物の上面位置から下方位置に設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項11】
炊飯器本体と、
この本体に収納される内鍋と、
この内鍋の上面開口部を開閉自在に覆うため前記本体後部にヒンジ軸を介して回動自在に支持された外蓋本体と、
この外蓋本体内に収納され、室内空間と連通した送風手段と、
この送風手段に連結した送風路と、
この送風路に一端を連結し他端が外蓋外部へ連通する混合室と、
前記内鍋を加熱する加熱手段と、
この加熱手段及び前記送風手段を制御する制御手段と、
この制御手段で実行される炊飯工程において前記内鍋の内部に発生する蒸気を前記混合室に導く蒸気路と、
を備え、
前記混合室は、前記外蓋本体の後部に形成された窪み部に着脱自在に装着された露回収具の内部に形成され、
この露回収具には、前記蒸気路から導かれた蒸気と前記送風路から導かれた室内空間の空気との混合気体を室内空間に排出できる吹出口を背面壁に設け、
前記外蓋本体が前記ヒンジ軸を中心にして後方に開放される場合、その外蓋本体の外郭を構成する構造物の回動軌跡が、前記露回収具の回動軌跡よりも背後側を通るように構成したこと特徴とする電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−125606(P2011−125606A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289035(P2009−289035)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】