説明

電気自動車充電用コードセット

【課題】安全に使用でき、見栄えも良い電気自動車充電用コードセットを提供することにある。
【解決手段】電気自動車充電用コードセット1は、一対の端子部を有し漏電時に一対の端子部間を遮断する遮断装置が収納された筐体5と、建物の壁面に設置されるアウトレットに接続されるプラグ20が一端に設けられ他端が遮断装置の一方の端子部に接続される第1のコード2と、電気自動車のインレットに接続されるコネクタ30が一端に設けられ他端が遮断装置の他方の端子部に接続される第2のコード3とを備え、筐体5には、第2のコード3を出し入れ自在に収納する収納部6と、地面に安定して置くためのスタンド7と、持ち運び用の把手8とが設けられ、収納部6は、筐体5に回転自在に取り付けられるとともに回転軸に直交する面内における外周面に第2のコード3が巻かれるドラム60を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の電池を充電するために使用される電気自動車充電用コードセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電池(二次電池)と電動機(モータ)が搭載された自動車である電気自動車が提供されてきている。この種の電気自動車では、電池を充電する必要があり、そのための充電装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示すものは、単相200Vの商用電源の引き込み線に時間帯別メータ、分電盤、および電源ケーブルを介して接続される操作ボックスと、操作ボックスを介して電源ケーブルに接続される充電ケーブルと、電気自動車に搭載された電池と車体に取り付けられた自動車側コネクタ(インレット)とを結ぶ充電ライン上に設けられた交流・直流変換器と、充電ケーブルの先端に接続され自動車側コネクタと連結可能な充電コネクタと、充電ケーブルを収納する充電ケーブル収納装置とで構成されている。
【0004】
特許文献1に示すものは、ガレージ内に設置されるものであり、このようなものを設置するには、多額の費用が必要になり、また外出先で充電したいという要求に応えることができない。かかる点に鑑みて、より簡易に電気自動車を充電することができるものとしては、図6に示すような、電気自動車充電用コードセット100が提案されている。
【0005】
図6に示す電気自動車充電用コードセット100は、建物(例えば住宅)の壁面(外壁面)に設置されるコンセントPに接続されるプラグ111が設けられた第1のコード110と、自動車Cのインレットに接続されるコネクタ121が設けられた第2のコード120と、第1のコード110と第2のコード120とを連結し漏電発生時に第1のコード110と第2のコード120との間の電路を遮断する漏電遮断装置130とを備えている。
【特許文献1】特開平8−33121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電気自動車充電用コードセット100において、コンセントPと漏電遮断器たる遮断装置130との間に挿入される第1のコード110の長さは、UL(Underwriters Laboratories Inc)規格によって、10cm〜30cmと定められている。そのため、第2のコード120には、コンセントPと自動車Cとの距離が遠い場合でも接続できるように、比較的長いコードが使用される。
【0007】
したがって、電気自動車充電用コードセット100を使用する場合、第2のコード120の余長部分が地面に置かれることが多く、このような第2のコード120の余長部分に人が引っ掛かって転倒するおそれがあり、安全面に問題があった。また、第2のコード120の余長部分が地面に置かれていると見栄えが悪いという問題があった。さらに、第2のコード120が比較的長い場合には、持ち運び難く使い勝手が悪いという問題もある。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、安全に使用でき、見栄えも良い電気自動車充電用コードセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、一対の端子部を有し漏電時に一対の端子部間を遮断する遮断装置が収納された筐体と、建物の壁面に設置されるアウトレットに接続されるプラグが一端に設けられ他端が遮断装置の一方の端子部に接続される第1のコードと、電気自動車のインレットに接続されるコネクタが一端に設けられ他端が遮断装置の他方の端子部に接続される第2のコードとを備え、筐体には、上記第2のコードを出し入れ自在に収納可能な収納部と、安定して置くための台部と、持ち運び用の把手とが設けられ、上記収納部は、上記筐体に回転自在に取り付けられるとともに回転軸に直交する面内における外周面に上記第2のコードが巻かれるドラムを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、第2のコードを必要な分だけ収納部から引き出して使用することができる(第2のコードの余長部分を収納することができる)ので、第2のコードの余長部分が地面に置かれることがないから、第2のコードの余長部分に人が引っ掛かって転倒してしまうことを防止できて、安全に使用することができ、しかも見た目がすっきりして、見栄えも良い。また、把手を持って持ち運ぶことができ、しかも地面に安定して置くことができるから、使い勝手が良い。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記筐体には、上記建物の壁面に設置された取付部に取り付けるための被取付部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によれば、第1のコードの長さの都合上、地面に置くことができない場合には、建物の壁面に取り付けて使用することができる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1または2の発明において、上記収納部は、上記ドラムを上記第2のコードを巻き取る方向に回転させる駆動装置を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、駆動装置を動作させることによって第2のコードを自動的に巻き取ることができるので、第2のコードの巻き取り作業を手作業で行わなくて済むから、巻き取り作業が容易になり、利便性が向上する。
【0015】
請求項4の発明では、請求項1〜3のうちいずれか1項の発明において、上記筐体には、上記コネクタを保持する保持具が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明によれば、コネクタを筐体に保持させることができるため、コネクタの垂れ下がりに起因する第2のコードの断線や、コネクタを地面に放置した際に水が浸入するといった不具合が発生することを防止することができる。
【0017】
請求項5の発明では、請求項1〜4のうちいずれか1項の発明において、上記収納部に収納された上記第2のコードの温度を検出する温度センサを備え、上記遮断装置は、温度センサで検出された温度が所定温度以上であれば、上記一対の端子部間を遮断する機能を有していることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明によれば、温度センサで検出された温度が所定温度以上になると一対の端子部間が遮断されて第2のコードに電流が流れなくなるため、第2のコードの温度が上がりすぎて、第2のコードの絶縁被覆が溶けて導線が露出してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、安全に使用でき、見栄えも良いという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態の電気自動車充電用コードセット(以下、単に「コードセット」と略称する)1は、建物(例えば住宅)の壁面(外壁面)に設置されるアウトレットである交流電源用のコンセントP(図6参照)と電気自動車である自動車C(図6参照)のインレット(図示せず)との接続に使用される電源コードセットである。なお、本願では、電池(二次電池)と電動機(モータ)が搭載された自動車を電気自動車と呼び、これには、内燃機関(ガソリンエンジン)と電動機とが搭載された所謂ハイブリッドカーや、プラグインハイブリッドカーも含むものとする。
【0021】
自動車Cのインレットは、自動車Cに搭載される電池の規格等に応じて好適な形状や、構造が採用される。本実施形態では、自動車Cに交流電力を直流電力に変換して上記電池を充電する充電装置(図示せず)が搭載されていることを前提とし、インレットは交流に対応するものとする。すなわち、自動車Cのインレットは、交流電源(例えば、周波数が50Hzあるいは60HzのAC200Vの商用電源)に接続可能な形に構成されており、交流電源の一対の電圧極に接続される一対の端子(図示せず)と、接地極用の端子(図示せず)とを有している。一方、コンセントPは、例えば、交流電源に対応するものであり、一対の電圧極用の刃受(図示せず)と、接地極用の刃受(図示せず)とを備えている。このようなコンセントPは従来周知のものであるから詳細な説明は省略する。
【0022】
コードセット1は、図2に示すように、電源の接続に使用する第1のコード2と、負荷の接続に使用する第2のコード3と、これらの間に挿入される遮断装置4とを有している。
【0023】
第1のコード2は、3本の絶縁被覆電線2a〜2cを1本の絶縁チューブ(図示せず)内に配置してなる3芯のものであり、絶縁被覆電線2a,2bが電圧極の接続に、絶縁被覆電線2cが接地極の接続に使用される。この第1のコード2の一端にはプラグ20が設けられている。プラグ20は、コンセントPに接続するためのものであり、コンセントPの一対の電圧極用の刃受それぞれに接続される一対の栓刃20a,20bと、接地極用の刃受に接続される栓刃20cとを備えている。そして、プラグ20の3つの栓刃20a,20b,20cそれぞれは、第1のコード2の3本の絶縁被覆電線2a,2b,2cそれぞれの一端に接続されている。このようなプラグ20は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。
【0024】
第2のコード3は、第1のコード2と同様に、3本の絶縁被覆電線3a〜3cを1本の絶縁チューブ(図示せず)内に配置してなる3芯のものであり、絶縁被覆電線3a,3bが電圧極の接続に、絶縁被覆電線3cが接地極の接続に使用される。この第2のコード3の一端にはコネクタ30が設けられている。コネクタ30は、自動車Cのインレットに接続するためのものであり、インレットの一対の電圧極用の端子それぞれに接続される一対の端子30a,30bと、接地極用の端子に接続される端子30cとを備えている。そして、コネクタ30の3つの端子30a,30b,30cそれぞれは、第2のコード3の3本の絶縁被覆電線3a,3b,3cそれぞれの一端に接続されている。
【0025】
遮断装置4は、漏電遮断器としての機能を有しており、一対の端子部40,41を備えている。一方の端子部40は、3つの端子40a,40b,40cを有しており、3つの端子40a,40b,40cそれぞれには第1のコード2の3本の絶縁被覆電線2a,2b,2cそれぞれの他端が接続される。端子部40は、交流電源に接続するための電源接続端子部として使用される。他方の端子部41は、3つの端子41a,41b,41cを有しており、3つの端子41a,41b,41cそれぞれには第2のコード3の3本の絶縁被覆電線3a,3b,3cそれぞれの他端が接続される。端子部41は、負荷である自動車Cに接続するための負荷接続端子部として使用される。
【0026】
一対の端子部40,41間は、電気接続部42により電気的に接続されている。電気接続部42は、端子40aと端子41aとを接続する電路42aと、端子40bと端子41bとを接続する電路42bと、端子40cと端子41cとを接続する電路42cとを有している。電気接続部42において、電力供給に使用される給電用の電路42a,42bそれぞれには、接点部43a,43bが挿入されている。接点部43a,43bは、固定接点と、当該固定接点に接離する可動接点とで構成される機械接点よりなり、これら接点部43a,43bによって、自動車Cへの給電をオン/オフする開閉部43が構成されている。すなわち、開閉部43が閉じていれば(両接点部43a,43bが閉じていれば)、給電用の間の電路42a,42bを通じて自動車Cに給電可能になり、開閉部43が開いていれば(両接点部43a,43bが開いていれば)、給電用の電路42a,42bが遮断されて自動車Cには給電されない。
【0027】
遮断装置4には、開閉部43の開閉を行う開閉機構部44と、開閉機構部44を制御する制御部45とを備えている。
【0028】
開閉機構部44は、例えば、開閉部43の各接点部43a,43bの固定接点が固着された固定端子板や、可動接点が固着された可動接触子、ばね材、係止部材などの種々の部材が機械的に結合されてなり、制御部45より与えられる制御信号に応じて開閉部43の開閉を行う。この種の開閉機構部44は従来周知のものを採用することができるから詳細な説明は省略する。
【0029】
制御部45は、例えば、マイクロコンピュータ(マイクロコントローラ、略称としてマイコン、広義にはCPUとも称される)であり、メモリに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより後述する種々の処理を実行する。この制御部45は、給電用の電路42a,42bに不平衡電流が生じているか否かを検出する零相変流器46の検出出力に基づいて、漏電が生じているか否かを判定する処理を実行する。制御部45は、当該処理の結果、漏電が生じていると判定すれば、開閉部43が開状態となるように開閉機構部44を制御する。これによって一対の端子部40,41間が遮断されて、交流電源から自動車Cに電力が供給されないようにする。一方、制御部45は、漏電が生じていないと判定すれば、開閉部43が閉状態となるように開閉機構部44を制御し、交流電源から自動車Cに電力が供給されるようにする。
【0030】
また、制御部45は、後述する収納部6に収納された第2のコード3の温度(第2のコード3そのものの温度ではなくて雰囲気温度でもよい)を検出する温度センサ47の検出結果に基づいて開閉機構部44を制御する処理を実行する。当該処理において、制御部45は、温度センサ47で検出された温度が所定温度以上であれば、開閉部43が開状態となるように開閉機構部44を制御する。これによって一対の端子部40,41間が遮断されて、交流電源から自動車Cに電力が供給されないようにする。一方、制御部45は、所定温度未満であれば、開閉部43が閉状態となるように開閉機構部44を制御し、交流電源から自動車Cに電力が供給されるようにする。ここで、上記の所定温度は、第2のコード3を構成する絶縁被覆電線の絶縁被覆の材料や絶縁チューブの材料である絶縁材料(ビニルなど)の融点を基準に定められ、これら絶縁被覆や絶縁チューブが溶け出す前に、電路42a,42bを遮断することができる温度に設定される。
【0031】
このように遮断装置4は、漏電が生じた際に一対の端子部40,41間を遮断して給電を停止する機能と、第2のコード3の絶縁被覆や絶縁チューブが溶けるおそれがある場合に一対の端子部40,41間を遮断して給電を停止する機能とを有している。
【0032】
また、遮断装置4は、制御部45を駆動するための電力を供給するための電源部48を備えている。電源部48は、レギュレータなどにより構成されている。この電源部48の各入力端子(図示せず)は電路42a,42bにおける端子40a,40bと接点部43a,43bとの間に接続されており、接点部43a,43bが開いた状態でも、交流電源より電力供給を受けることができるようになっている。
【0033】
上述した遮断装置4は、図1(a),(b)に示すような筐体5に収納されている。なお、以下では、説明の簡略化のために、図1(a)における上下方向を筐体5の高さ方向、図1(a)における左右方向を筐体5の幅方向、図1(a)における紙面の法線方向を筐体5の厚み方向として説明する。
【0034】
筐体5は、高さ方向と幅方向の寸法がほほ同じで、厚み方向の寸法が高さ方向の寸法より小さい直方体の箱状に形成されている。この筐体5の幅方向の一側面(図1(a)における左側面)には、第1のコード2を通すための第1の開孔部(図示せず)が設けられている。すなわち、第1のコード2の他端は筐体5内で遮断装置4の端子部40に接続され、第1のコード2の一端は上記開孔部を通して筐体5の外部に引き出される。なお、コンセントPと漏電遮断器たる遮断装置4との間に挿入される第1のコード2の長さは、UL規格によって、10cm〜30cmと定められているため、第1のコード2の長さはこの範囲で定められる。
【0035】
筐体5の厚み方向の一面側(図1(b)における左面)には、第2のコード3を出し入れ自在に収納可能な収納部6が設けられている。
【0036】
収納部6は、第2のコード3が巻き付けられるドラム60を有している。ドラム60は、断面が真円の筒状に形成され、中心軸方向を筐体5の厚み方向に沿わせた状態で、中心軸を回転軸として筐体5の厚み方向の一面側に回転自在に取り付けられている。ドラム60における筐体5側とは反対側(図1(b)における左側)には正円の円盤部61が設けられており、円盤部61の中心軸とドラム60の中心軸とは一致している。この円盤部61におけるドラム60側とは反対側(図1(b)における左側)の縁部には、ドラム60を手動で回転させるための摘み部61aが突設されている。また、この円盤部61は、内周形状が円形状(円盤部61の外周形状よりやや大きい円形状)、外周形状が矩形状に形成された枠体であるフレーム部62の内側に回転自在に支持されている。フレーム部62の外形サイズは筐体5の厚み方向の一面と同サイズに形成されている。フレーム部62は、棒状(図示例では丸棒状)の連結部63により筐体5に取り付けられている。連結部63は全部で4本あり、フレーム部62の四隅に位置している。
【0037】
筐体5の厚み方向の一面には、第2のコード3を通すための第2の開孔部(図示せず)が設けられており、第2のコード3の一端は当該第2の開孔部より収納部6側に引き出される。なお、第2のコード3の他端は筐体5内において遮断装置4の他方の端子部41に接続され、これによって、第2のコード3が遮断装置4を介して第1のコード2に連結される。筐体5より引き出された第2のコード3は、ドラム60の外周面(回転軸に直交する面内における外周面)に巻き付けられる。そのため、ドラム60の回転に応じて、収納部6より外部に引き出すことができる第2のコード3の長さを調整することができる。
【0038】
筐体5の高さ方向の一面(図1(a)における下面)には、筐体5を地面に安定して置くための台部となるスタンド7が設けられている。スタンド7は、例えば金属製のものであって、筐体5の厚み方向を長手方向とし、筐体5の幅方向に所定間隔を隔てて並べられた一対の足部7a,7aと、一対の足部7aの一端部(筐体5側の端部)それぞれを筐体5の高さ方向の一面に連結する一対の脚部7bと、一対の足部7aの他端部(収納部6側の端部)同士を連結する連結部7cとを一体に備えている。このようなスタンド7は、コードセット1の重心位置などを考慮して好適なものが採用される。
【0039】
一方、筐体5の高さ方向の他面(図1(a)における上面)には、持ち運び用の把手8が設けられている。把手8は、例えば金属製のものであって、筐体5の厚み方向を長手方向とし、筐体5の幅方向に所定間隔を隔てて並べられた一対の側部8a,8aと、一対の側部8aの一端部(筐体5側の端部)それぞれを筐体5の高さ方向の他面に連結する一対の連結部8bと、一対の側部8aの他端部(収納部6側の端部)同士を連結する把持部8cとを一体に備えている。このような把手8は、持ち運び易さを考慮して、コードセット1の重心位置などを考慮して持ち運び時に筐体5の高さ方向が鉛直方向に沿った方向となるように設計される。
【0040】
また、筐体5の幅方向の他面(図1(a)における右面)における高さ方向の一面側(図1(a)における下面側)には、保持部9が設けられている。保持部9は、コネクタ30を保持するためのものであり、筐体5の高さ方向の他面側(図1(b)における上面側)が開口された箱状に形成されている。したがって、コネクタ30の先部を上記開口より保持部9内に差し入れることで、コネクタ30が保持部9に保持されることになる。なお、保持部9の形状は上記の例に限定されず、コネクタ30の先端が地面に着かないように保持できるものであればよい。
【0041】
以上述べたように、コードセット1は、一対の端子部40,41を有し漏電時に一対の端子部40,41間を遮断する遮断装置4が収納された筐体5と、建物の壁面に設置されるアウトレット(コンセントP)に接続されるプラグ20が一端に設けられ他端が遮断装置4の一方の端子部40に接続される第1のコード2と、自動車Cのインレットに接続されるコネクタ30が一端に設けられ他端が遮断装置4の他方の端子部41に接続される第2のコード3とを備えている。コードセット1の筐体5には、第2のコード3を出し入れ自在に収納可能な収納部6と、地面に安定して置くための台部であるスタンド7と、持ち運び用の把手8とが設けられている。そして、収納部6は、筐体5に回転自在に取り付けられるとともに回転軸に直交する面内における外周面に第2のコード3が巻かれるドラム60を備えている。
【0042】
本実施形態のコードセット1を使用するにあたっては、把手8を持ってコードセット1を所望の位置まで持ち運び、スタンド7により所望の位置に置く。その後に、第1のコード2のプラグ20をコンセントPに接続し、コネクタ30を自動車Cのインレットに接続すればよい。ここで、コネクタ30を自動車Cのインレットに接続するにあたっては、コネクタ30を保持具9より外し、収納部6より第2のコード3を必要な分だけ引き出せばよい。第2のコード3を引き出し過ぎた場合には、摘み部61aを持って、第2のコード3を巻き取る方向にドラム60を回転させて第2のコード3の余長分を収納部6に引き入れればよい。
【0043】
このように本実施形態のコードセット1によれば、第2のコード3を必要な分だけ収納部6から引き出して使用することができる(第2のコード3の余長部分を収納することができる)ので、第2のコード3の余長部分が地面に置かれることがないから、第2のコード3の余長部分に人が引っ掛かって転倒してしまうことを防止できて、安全に使用することができ、しかも見た目がすっきりして、見栄えも良い。また、把手8を持って持ち運ぶことができ、しかもスタンド7により地面に安定して置くことができるから、使い勝手が良い。特に第2のコード3を収納部6に収納することができるから、持ち運びが容易である。
【0044】
また、筐体5には、コネクタ30を保持する保持具9が設けられているので、コネクタ30を筐体5に保持させることができる。そのため、コネクタ30の垂れ下がりに起因する第2のコード3の断線や、コネクタ30を地面に放置した際に水が浸入するといった不具合が発生することを防止することができる。
【0045】
また、収納部6に収納された第2のコード3の温度を検出する温度センサ47を備え、遮断装置4は、温度センサ47で検出された温度が所定温度以上であれば、一対の端子部40,41間を遮断する機能を有している。そのため、温度センサ47で検出された温度が所定温度以上になると一対の端子部40,41間が遮断されて第2のコード3に電流が流れなくなる。よって、第2のコード3の温度が上がりすぎて、第2のコード3の絶縁被覆が溶けて導線が露出してしまうことを防止することができる。
【0046】
ところで、第1のコード2の長さはUL規格によって規制されているため、コンセントPが比較的高所にある場合には、コードセット1を地面に置くことができず、筐体5や収納部6が第1のコード2で吊り下げられた形になり、第1のコード2やコンセントPに多大な負荷がかかり、第1のコード2が断線したり、プラグ20が破損したりするおそれがある。
【0047】
そこで、筐体5は、図3(a),(b)に示すような取付プレート50に取り付けることができるように構成されている。取付プレート50は、筐体5を壁面に取り付けるための取付部として用いられるものであって、矩形板状に形成されている。取付プレート50の長手方向の一端側(図3(a)における上端側)には、コンセントPを壁面に取り付けるための取付ねじ(図示せず)が挿通される挿通孔(図示せず)や、コンセントPに交流電源の電線を接続するための開口部(図示せず)が設けられている。このような取付プレート50は、図3(a),(b)に示すように、コンセントPと壁面との間に位置する形で壁面に取り付けられる。
【0048】
また、取付プレート50における壁面側とは反対面(図3(b)における左面)には、複数(図示例では4本)の引掛部51が設けられている。引掛部51は、いずれもコンセントPが配置される部位よりも取付プレート50の長手方向の他端側(図3(a)における下端側)に位置している。各引掛部51は、取付プレート50の上記反対面より突出する突出部51aと、突出部51aの先端から取付プレート50の長手方向の一端側に向かうように延出された爪部51bとを有する断面L字形に形成されている。これら引掛部51は、筐体5の四隅それぞれに対向する形に配置されている。
【0049】
そして、筐体5の厚み方向の他面の四隅それぞれには、引掛部51が個別に挿入される引掛孔52が設けられている。引掛孔52は、爪部51bの先部と凹凸嵌合する嵌合凹部52aと、爪部51bを嵌合凹部52aに導入するための導入部52bとを有する断面L字形の孔である。
【0050】
コードセット1は、図4(a),(b)に示すように、4つの引掛孔52それぞれに引掛部51を差し入れて、引掛部51の爪部51aを引掛孔52の嵌合凹部52a内に挿入することによって、取付プレート50に取り付けられる。したがって、引掛孔52が、筐体5をコンセントPが設置された壁面に設けた取付部である取付プレート50に取り付けるための被取付部を構成する。
【0051】
このように筐体5を取付プレート50に取り付けることによって、第1のコード2の長さの都合上、地面に置くことができない場合であっても、建物の壁面に取り付けて使用することができて、第1のコード2やプラグ20などに過剰な負荷がかかったり、破損したりすることを防止することができる。
【0052】
また、上記の収納部6の連結部63は、棒状のものであったが、図5に示すように、ドラム60に巻かれた第2のコード3を囲繞する矩形枠状のものであってもよい。図5に示す連結部63は、筐体5の各側面とフレーム部62の各側面とが同一平面上に位置する形でフレーム部62と筐体5とを連結するように形成されている。連結部63における筐体5の幅方向の他端側の側面には、第2のコード3用の挿通孔63aが設けられており、第2のコード3は挿通孔63aを通って収納部6に出し入れされる。このような連結部63を採用すれば、第2のコード3の余長部分(ドラム60に巻かれている部分)を隠すことができて、コードセット1の見た目がさらにすっきりし、見栄えが良くなる。
【0053】
ところで、上記の収納部6では、第2のコード3を巻き取る作業を、手動でドラム60を回転させる、すなわち手作業で行うようになっている。収納部6はこのような例に限定されず、例えば、ドラム60を第2のコード3を巻き取る方向に回転させる駆動装置(図示せず)を備えているものであってもよい。このような駆動装置を設ければ、駆動装置を動作させることによって第2のコード3を自動的に巻き取ることができる。そのため、第2のコード3の巻き取り作業を手作業で行わなくて済み、巻き取り作業が容易になり、利便性が向上する。
【0054】
なお、以上述べた実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎないものであって、本発明の技術的範囲を本実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、第2のコード3用の収納部6に加えて、第1のコード2を出し入れ自在に収納する収納部を設けてもよく、このようにすれば、第1のコード2の長さを調整することができる。ここで、UL規格に準じる場合、第1のコード2の長さを10cm〜30cmの範囲で調整することができる。また、筐体5は必ずしも直方体状である必要はないし、スタンド7や把手8の形状も図示例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態の電気自動車充電用コードセットを示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】同上の電気自動車充電用コードセットの回路説明図である。
【図3】同上の電気自動車充電用コードセットを取り付けるための取付部を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】同上の電気自動車充電用コードセットを取付部に取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】同上の電気自動車充電用コードセットの他例の側面図である。
【図6】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 電気自動車充電用コードセット(コードセット)
2 第1のコード
3 第2のコード
4 遮断装置
5 筐体
6 収納部
7 スタンド(台部)
8 把手
9 保持具
20 プラグ
30 コネクタ
40,41 端子部
47 温度センサ
50 取付プレート(取付部)
52 引掛孔(被取付部)
60 ドラム
P コンセント(アウトレット)
C 自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端子部を有し漏電時に一対の端子部間を遮断する遮断装置が収納された筐体と、
建物の壁面に設置されるアウトレットに接続されるプラグが一端に設けられ他端が遮断装置の一方の端子部に接続される第1のコードと、
電気自動車のインレットに接続されるコネクタが一端に設けられ他端が遮断装置の他方の端子部に接続される第2のコードとを備え、
筐体には、上記第2のコードを出し入れ自在に収納する収納部と、地面に安定して置くための台部と、持ち運び用の把手とが設けられ、
上記収納部は、上記筐体に回転自在に取り付けられるとともに回転軸に直交する面内における外周面に上記第2のコードが巻かれるドラムを備えていることを特徴とする電気自動車充電用コードセット。
【請求項2】
上記筐体には、上記建物の壁面に設置された取付部に取り付けるための被取付部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気自動車充電用コードセット。
【請求項3】
上記収納部は、上記ドラムを上記第2のコードを巻き取る方向に回転させる駆動装置を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の電気自動車充電用コードセット。
【請求項4】
上記筐体には、上記コネクタを保持する保持具が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の電気自動車充電用コードセット。
【請求項5】
上記収納部に収納された上記第2のコードの温度を検出する温度センサを備え、
上記遮断装置は、温度センサで検出された温度が所定温度以上であれば、上記一対の端子部間を遮断する機能を有していることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の電気自動車充電用コードセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−52861(P2010−52861A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217419(P2008−217419)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】