電気貯湯容器
【課題】 簡単な構成で湯沸かしに要する時間を大幅に短縮できるようにする。
【解決手段】 底部に一重壁部3aを有する第1内容器3と、該第1内容器3内に収容された水を加熱するメインヒータ4(主加熱手段)と、前記第1内容器3内のお湯を外部へ吐出する吐出通路5とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部3aの下方に、該一重壁部3aに入口22aおよび出口22bを有し且つ循環用ポンプ23によって前記第1内容器3内のお湯を循環させる循環経路22(第2内容器)を設けるとともに、該循環経路22に、循環経路22を循環するお湯を加熱するためのサブヒータ24(副加熱手段)を付設して、第1内容器3内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができるようにしている。
【解決手段】 底部に一重壁部3aを有する第1内容器3と、該第1内容器3内に収容された水を加熱するメインヒータ4(主加熱手段)と、前記第1内容器3内のお湯を外部へ吐出する吐出通路5とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部3aの下方に、該一重壁部3aに入口22aおよび出口22bを有し且つ循環用ポンプ23によって前記第1内容器3内のお湯を循環させる循環経路22(第2内容器)を設けるとともに、該循環経路22に、循環経路22を循環するお湯を加熱するためのサブヒータ24(副加熱手段)を付設して、第1内容器3内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気貯湯容器に関し、さらに詳しくは、内容器内の水をできるだけ速く沸かし得るようにした電気貯湯容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電気貯湯容器としては、水を収容する内容器と、該内器内に収容された水を加熱する加熱手段と、前記内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えたものがある。
【0003】
ところで、上記構成の電気貯湯容器においては、前記加熱手段として、前記内容器の底部に配設した電気ヒータを採用しているが、該電気ヒータの加熱能力(換言すれば、ワット密度)には限りがあるところから、前記内容器内に収容された水を沸騰させるには、相当な時間を必要としていた。ところが、一方で、この種電気貯湯容器における湯沸かし時間をできるだけ短くしたいというユーザの要求がある。
【0004】
従来技術としては、この種の電気貯湯容器において、全体が真空二重構造となっている内容器内の水を循環させる循環路を設け、該循環路に加熱手段を付設することにより、内容器内の水が循環路を循環する過程において加熱できるようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開2000−157417号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されている電気貯湯容器の場合、循環路を循環する水を加熱手段により加熱するタイプなので、この場合にも、湯沸かしに相当な時間を必要とすることとなる。しかも、特許文献1に開示されている電気貯湯容器の場合、内容器全体が真空二重構造となっているため、循環路での加熱しかできない構造となっている。しかも、真空二重壁を貫通させて循環路を形成しているが、このような構造とするには、技術的困難を伴うこととなる。
【0007】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で湯沸かしに要する時間を大幅に短縮できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、底部に一重壁部を有する第1内容器と、該第1内容器内に収容された水を加熱する主加熱手段と、前記第1内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部の下方に、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記第1内容器内のお湯を循環させる第2内容器を設けるとともに、該第2内容器に、第2内容器を循環するお湯を加熱するための副加熱手段を付設している。
【0009】
上記のように構成したことにより、第1内容器内に収容した水が主加熱手段によって加熱されるとともに、循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において副加熱手段により加熱されることとなり、第1内容器内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができる。しかも、第2内容器の出入口を第1内容器の底部を構成する一重壁部に形成したことにより、第2内容器、循環用ポンプおよび副加熱手段を第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に配設することが可能となるところから、循環用ポンプの揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となる。
【0010】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプを、前記第1内容器と前記第2内容器との間に配設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に循環用ポンプの配設スペースを確保することができるとともに、第2内容器で発生する蒸気の影響を循環用ポンプが受けることによるキャビテーションを防止することができる。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第1内容器の側面を、真空二重壁部で構成することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の保温性能が大幅に向上するところから、循環加熱による加熱効果がより効果的となる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気貯湯容器において、前記吐出通路には、前記第1内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記第2内容器を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設することもでき、そのように構成した場合、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを循環用ポンプとして兼用できることとなり、コンパクト化が可能となる。
【0013】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた電気貯湯容器において、前記主加熱手段と前記副加熱手段とを、それぞれ独立して制御できるように構成することもでき、そのように構成した場合、沸騰時に発生する蒸気量を調整することができ、第1内容器内でのお湯の飛び散りを抑制することができる。
【0014】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第6の手段として、上記第5の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記主加熱手段の作動停止より前に作動停止できるように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを確実に防止することができる。
【0015】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第7の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記第1内容器内の湯量に対応して制御開始タイミングを変化させ得るように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを防止しながら第1内容器内での湯沸かし時間を短縮することができる。
【0016】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第8の手段として、上記第4、第5、第6又は第7の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプの回転数を、前記吐出用ポンプの回転数より低くできるように構成することもでき、そのように構成した場合、第2内容器を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、副加熱手段による加熱を確実に行うことができる。
【0017】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第9の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第2内容器には、該第2内容器を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器内で沸騰させたお湯を循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において冷却部において強制冷却できるところから、第1内容器内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の第1の手段によれば、底部に一重壁部を有する第1内容器と、該第1内容器内に収容された水を加熱する主加熱手段と、前記第1内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部の下方に、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記第1内容器内のお湯を循環させる第2内容器を設けるとともに、該第2内容器に、第2内容器を循環するお湯を加熱するための副加熱手段を付設して、第1内容器内に収容した水が主加熱手段によって加熱されるとともに、循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において副加熱手段により加熱されるようにしたので、第1内容器内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができるという効果がある。しかも、第2内容器の出入口を第1内容器の底部を構成する一重壁部に形成したことにより、第2内容器、循環用ポンプおよび副加熱手段を第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に配設することが可能となるところから、循環用ポンプの揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となるという効果もある。
【0019】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプを、前記第1内容器と前記第2内容器との間に配設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に循環用ポンプの配設スペースを確保することができるとともに、第2内容器で発生する蒸気の影響を循環用ポンプが受けることによるキャビテーションを防止することができる。
【0020】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第1内容器の側面を、真空二重壁部で構成することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の保温性能が大幅に向上するところから、循環加熱による加熱効果がより効果的となる。
【0021】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気貯湯容器において、前記吐出通路には、前記第1内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記第2内容器を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設することもでき、そのように構成した場合、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを循環用ポンプとして兼用できることとなり、コンパクト化が可能となる。
【0022】
本願発明の第5の手段におけるように、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた電気貯湯容器において、前記主加熱手段と前記副加熱手段とを、それぞれ独立して制御できるように構成することもでき、そのように構成した場合、沸騰時に発生する蒸気量を調整することができ、第1内容器内でのお湯の飛び散りを抑制することができる。
【0023】
本願発明の第6の手段におけるように、上記第5の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記主加熱手段の作動停止より前に作動停止できるように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを確実に防止することができる。
【0024】
本願発明の第7の手段におけるように、上記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記第1内容器内の湯量に対応して制御開始タイミングを変化させ得るように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを防止しながら第1内容器内での湯沸かし時間を短縮することができる。
【0025】
本願発明の第8の手段におけるように、上記第4、第5、第6又は第7の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプの回転数を、前記吐出用ポンプの回転数より低くできるように構成することもでき、そのように構成した場合、第2内容器を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、副加熱手段による加熱を確実に行うことができる。
【0026】
本願発明の第9の手段におけるように、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第2内容器には、該第2内容器を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器内で沸騰させたお湯を循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において冷却部において強制冷却できるところから、第1内容器内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本願発明を幾つかの好適な実施の形態について説明する。
【0028】
第1の実施の形態
図1ないし図6には、本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器が示されている。
【0029】
この電気貯湯容器は、図1に示すように、水を収容する第1内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部開口を開閉する蓋体2と、前記第1内容器3の底部を加熱する主加熱手段であるメインヒータ4と、前記第1内容器3内のお湯を外部へ吐出するための吐出通路5と、該吐出通路5の途中に設けられた吐出用ポンプ6とを備えて構成されている。
【0030】
前記容器本体1は、外側面を構成する金属製の外ケース7と、内周面を構成する前記第1内容器3と、前記外ケース7の上部と第1内容器3の上部とを結合する合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面を構成する合成樹脂製の底板9とからなっている。
【0031】
前記第1内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒10とステンレス製の略円筒形状の外筒11との間に真空空間12を形成してなる真空二重容器からなっており、底部に一重壁部3aを有し且つ側面に真空二重壁部3bを有して構成されている。なお、第1内容器3は、底部に一重壁部3aを有していればよく、第1内容器3の側面は、一重容器の外側に真空二重の断熱容器を配設したり、一重容器の外側に真空断熱材を巻き付けた構造とすることもできる。
【0032】
前記第1内容器3における底部(即ち、一重壁部3a)下面には、前記メインヒータ4(例えば、雲母板に発熱体を保持させてなるマイカヒータ)が取り付けられている。符号13は第1内容器3の温度(換言すれば、湯温T)を検出する温度検出手段として作用する第1温度センサである。
【0033】
前記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が嵌め合いにより結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、前記肩部材8の後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して開閉且つ着脱自在に支持されている。符号18は蒸気排出通路である。
【0034】
前記蓋体2における下板15には、金属製のカバー部材19が固定されており、該カバー部材19の外周縁には、蓋体2の閉蓋時において前記内容器3の給水口3cに圧接されるシールパッキン20が設けられている。
【0035】
前記内容器3における一重壁部3aの下方に形成される余剰空間21には、該一重壁部3aに入口22aおよび出口22bを有し且つ循環用ポンプ23によって前記第1内容器3内の水を循環させる第2内容器として作用する循環経路22が設けられている(図2参照)。前記一重壁部3aには、メインヒータ4が取り付けられているが、該メインヒータ4が取り付けられていない部位Sが設けられており、前記循環経路22の入口22aおよび出口22bは、当該部位Sに形成されている(図3および図4参照)。
【0036】
前記循環経路22の途中には、該循環経路22を循環する水を加熱するための副加熱手段として作用するサブヒータ24が付設されている。該サブヒータ24の出口側24bの位置は、入口側24aの位置より高くされている(図1参照)。このようにすると、サブヒータ24による加熱で生ずる気泡と循環流との流れ方向が一致することとなり、サブヒータ24による加熱が効率良く行える。なお、サブヒータ24の入口側24aと出口側24bとを同じ高さとしても、同様な効果を期待することができる。なお、サブヒータ24は、循環経路22に巻き付けるタイプのパイプヒータあるいは正特性サーミスタとされる。
【0037】
また、前記循環経路22における前記サブヒータ24の下流側には、循環経路22を循環する水の温度を検出する温度検出手段として作用する第2温度センサ25が付設されている(図2参照)。この第2温度センサ25は、容量の小さい循環経路22内で沸騰が生ずると、大量の気泡が発生するおそれがあるところから、循環経路22内の温度を検知して沸騰する前にサブヒータ24を作動停止する制御を行うかON/OFF制御を行うことができるようにするために設けられる。
【0038】
ところで、本実施の形態においては、図2に示すように、前記循環経路22の入口22aは、前記吐出通路5の入口と兼用されており、該吐出通路5において前記吐出用ポンプ6の上流側から分岐して前記循環経路22の出口22bに至る分岐通路27が形成されている。従って、本実施の形態においては、前記循環経路22は、前記吐出通路5における吐出用ポンプ6の上流側の一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなっている。このようにすると、内容器3における一重壁部3aに形成される穴を少なくすることができることとなり、メインヒータ4の占有面積を最大とすることができるとともに、加工工数も低減できる。
【0039】
上記構成の電気貯湯容器においては、メインヒータ4は、後述するように沸騰用ヒータ4Aと保温用ヒータ4Bとを備えており、保温用ヒータ4Bへの通電制御を行う通常の保温モード(換言すれば、設定保温温度制御モード)の他に、沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を停止した状態(即ち、電源コードを取り外した状態)で保温する魔法瓶保温モードによる使用が可能となっている。
【0040】
図1において、符号28は蓋体2を容器本体1に対して閉止状態に保持するためのロック機構、29は後述する各種スイッチ類を備えた操作パネル部である。
【0041】
前記操作パネル部29には、図5に示すように、給湯スイッチ30、ロック解除スイッチ31、再沸騰スイッチ32、保温選択スイッチ33、タイマー設定用スイッチ34、スピード加熱用スイッチ35、液晶表示装置36、沸騰表示灯(沸騰LED)37、保温表示灯(保温LED)38が設けられている。前記液晶表示装置36には、温度、沸騰残時間および湯量が交互に7セグメント表示され且つ後述するスローリーク発生表示が文字表示されるとともに、設定保温温度(98℃、90℃、魔法瓶)が表示される。
【0042】
図6は、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態を示すブロック図である。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6において、符号39はマイコン基板、40は交流電源、41は温度ヒューズ、42はトライアック、43A,43Bはリレーである。本実施の形態においては、メインヒータ4とサブヒータ24とは、それぞれリレー43A,43Bに接続されており、互いに独立して制御されることとなっている。
【0044】
ついで、上記構成の電気貯湯容器におけるスピード加熱制御について、図7〜図9に示すフローチャートを参照して説明する。
(1) 基本的なスピード加熱制御(図7のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS4において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ5においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0045】
そして、ステップS6において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで、上記スピード加熱あるいは通常加熱は継続されるが、ステップS6において沸騰検知されると、ステップS7において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。なお、沸騰検知時に循環用ポンプ23を作動させていると、第1温度センサ13により検出される湯温にバラツキが生ずるおそれがあるので、沸騰検知中だけ循環用ポンプ23の作動を停止させるのが望ましい。
【0046】
上記したように、本実施の形態においては、第1内容器3内に収容した水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、循環用ポンプ23の作動により第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてサブヒータ24により加熱されることとなり、第1内容器3内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0047】
ちなみに、従来のメインヒータ(900W)のみの加熱(従来例)とメインヒータ(900W)およびサブヒータ(400W)による加熱(本実施例)とサブヒータ(900W)のみによる循環加熱(比較例)とにおける沸騰に要する時間を調べたところ、下記表1の結果が得られた。ここで、第1内容器3内の水量は満量(2850ml)とされる。
【0048】
【表1】
【0049】
上記結果によれば、本実施例の場合、沸騰に要する時間が従来例および比較例に比して大幅に短縮されていることが分かる。
【0050】
しかも、本実施の形態においては、第2内容器として作用する循環経路22の出入口を第1内容器3の底部を構成する一重壁部3aに形成したことにより、第2内容器として作用する循環経路22、循環用ポンプ23およびサブヒータ24を第1内容器3の一重壁部3aの下方に形成される余剰空間部21に配設することが可能となるところから、循環用ポンプ23の揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となる。また、前記循環用ポンプ23を、前記第1内容器3と前記循環経路22との間に配設しているので、第1内容器3の一重壁部3aの下方に形成される余剰空間部21に循環用ポンプ23の配設スペースを確保することができるとともに、循環経路22で発生する蒸気の影響を循環用ポンプ23が受けることによるキャビテーションを防止することができる。さらに、前記第1内容器3の側面を、真空二重壁部3bで構成しているので、第1内容器3の保温性能が大幅に向上するところから、循環加熱による加熱効果がより効果的となる。
(2) 沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御(図8のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップS4において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。ここで、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS5において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS6においてサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され且つメインヒータ4がON作動が継続される。つまり、循環用ポンプ23およびサブヒータ24の作動停止タイミング(換言すれば、循環加熱の停止タイミング)は、沸騰直前とされるのである。このようにした理由は、サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0051】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS7において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ8においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0052】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS9において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS9において沸騰検知されると、ステップS10において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS11においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0053】
上記したように、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。
(3) 第1内容器3内の湯量に対応したスピード加熱制御(図9のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップ4において第1内容器3内の湯量判定が行われる。この湯量判定は、第1温度センサ13による温度上昇度に基づいて行われる。例えば、湯温上昇に要した時間dt、単位時間dTとの比dt/dTを湯沸かし工程において計測し、dt/dT=S(内容量の簡易判定結果)の計測結果により、下記のように湯量判定が行われる。
【0054】
S=大⇒湯量少
S=中⇒湯量中
S=小⇒湯量大
そして、ステップS5において湯量少と判定された場合には、ステップ6において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が90℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において湯量中と判定された場合には、ステップS10において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が93℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において否定判定された場合(換言すれば、湯量大と判定された場合)には、ステップS11において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。上記判定において、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS7において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され且つメインヒータ4のON作動が継続される。つまり、循環用ポンプ23およびサブヒータ24の作動停止タイミングは、沸騰直前とされるとともに、第1内容器3の内容量に対応して決定されることとなっているのである。このようにした理由は、第1内容器3の内容量によっては(特に、内容量が少ない場合に)サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0055】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS12において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ13においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0056】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS14において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS14において沸騰検知されると、ステップS15において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS16においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0057】
上記したように、第1内容器3の内容量に対応させて、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。
【0058】
ところで、前記循環用ポンプ23の回転数は、前記吐出用ポンプ6の回転数より低くされている。このようにすると、第2内容器として作用する循環経路22を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、サブヒータ24による加熱を確実に行うことができる。
【0059】
第2の実施の形態
図10ないし図12には、本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0060】
この場合、循環経路22を構成する分岐通路27は、吐出通路5における吐出用ポンプ6の下流側から分岐されており、この分岐部には、吐出通路5側へお湯が吐出され方向と分岐通路27側へお湯が流れる方向とにお湯の流れを切り換える通路切換弁45が介設されている。このようにすると、循環経路22は、前記吐出通路5における入口22aから吐出用ポンプ6の下流側の分岐部までの一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなる。なお、前記通路切換弁45の切換作動は、手動あるいは自動で行うこととなっている。また、吐出用ポンプ6のポンプ能力は、吐出時>循環時とするのが望ましい。このようにすると、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプ6を循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0061】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図11に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
ついで、上記構成の電気貯湯容器における加熱制御について、図13〜図15に示すフローチャートを参照して説明する。
(1) 基本的なスピード加熱制御(図13のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容する側に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS4において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ5においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0063】
そして、ステップS6において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで、上記スピード加熱あるいは通常加熱は継続されるが、ステップS6において沸騰検知されると、ステップS7において通路切換弁45が吐出通路5がへの水の流通を許容する側に切り換えられ(換言すれば、循環経路22側への水の流通を許容しない側に切り換えられ)且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0064】
上記したように、本実施の形態においては、第1内容器3内に収容した水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、通路切換弁45の切換作動による第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてサブヒータ24により加熱されることとなり、第1内容器3内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができる。
(2) 沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御(図14のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容する側に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップS4において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。ここで、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS5において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS6においてメインヒータ4のON作動が継続され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、循環用ポンプ23およびサブヒータ24の作動停止タイミング(換言すれば、循環加熱の停止タイミング)は、沸騰直前とされるのである。このようにした理由は、サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0065】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS7において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ8においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0066】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS9において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS9において沸騰検知されると、ステップS10において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS11においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0067】
上記したように、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。
(3) 第1内容器3内の湯量に対応したスピード加熱制御(図15のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容する側に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップ4において第1内容器3内の湯量判定が行われる。この湯量判定は、第1温度センサ13による温度上昇度に基づいて行われる。例えば、湯温上昇に要した時間dt、単位時間dTとの比dt/dTを湯沸かし工程において計測し、dt/dT=S(内容量の簡易判定結果)の計測結果により、下記のように湯量判定が行われる。
【0068】
S=大⇒湯量少
S=中⇒湯量中
S=小⇒湯量大
そして、ステップS5において湯量少と判定された場合には、ステップ6において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が90℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において湯量中と判定された場合には、ステップS10において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が93℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において否定判定された場合(換言すれば、湯量大と判定された場合)には、ステップS11において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。上記判定において、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS7において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され且つメインヒータ4のON作動が継続される。つまり、通路切換弁45の切換タイミング、吐出用ポンプ6およびサブヒータ24の作動停止タイミングは、沸騰直前とされるとともに、第1内容器3の内容量に対応して決定されることとなっているのである。このようにした理由は、第1内容器3の内容量によっては(特に、内容量が少ない場合に)サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0069】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS12において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ13においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0070】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS14において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS14において沸騰検知されると、ステップS15において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS16においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0071】
上記したように、第1内容器3の内容量に対応させて、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。なお、この場合、吐出用ポンプ6は、循環時の回転数を給湯時の回転数より小さくするのが望ましい。このようにすると、第2内容器として作用する循環経路22を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、サブヒータ24による加熱を確実に行うことができる。
【0072】
その他の作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0073】
第3の実施の形態
図16ないし図18には、本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0074】
この場合、第2内容器として作用する循環経路22には、該循環経路22を循環するお湯を冷却するための冷却部として作用するヒートシンク46が付設されている。また、該ヒートシンク46を強制冷却するための冷却ファン47が付設されている。さらに、操作パネル部29には、スピード加熱スイッチ35に隣接して冷却機能スイッチ48が付設されている。該冷却機能スイッチ48のON操作により循環用ポンプ23および冷却ファン47の作動が開始されることとなっている。なお、スピード加熱スイッチ35のON操作時には冷却機能スイッチ48は作動不能とされ且つ冷却機能スイッチ48のON操作時には、スピード加熱スイッチ35は作動不能とされている。このようにすると、冷却機能選択時においては、第1内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてヒートシンク46において強制冷却できるところから、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0075】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図18に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における加熱制御は、第1の実施の形態において説明したと同様である。
【0077】
そこで、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御について図19に示すフローチャートを参照して説明する。
【0078】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ48がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS4において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5において循環用ポンプ23がON作動され、ステップS6において冷却ファン47がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて第1内容器3内に還流されることとなり、第1内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0079】
そして、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS5,S6における循環用ポンプ23および冷却ファン47の制御は継続されるが、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ48がOFFされる。従って、ステップS7において冷却機能スイッチ48のOFFが確認されると、ステップS8において循環用ポンプ23がOFFされるとともに、ステップS9において冷却ファン47がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0080】
上記したように、本実施の形態においては、冷却機能選択時に、第1内容器3内で沸騰させたお湯を吐出用ポンプ6および冷却ファン47の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク46および冷却ファン47)によって強制冷却できるようにしたので、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0081】
その他の作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0082】
第4の実施の形態
図20および図21には、本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0083】
この場合、第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器において、循環経路22を構成する分岐通路27は、吐出通路5における吐出用ポンプ6の下流側から分岐されており、この分岐部には、吐出通路5側へお湯が吐出され方向と分岐通路27側へお湯が流れる方向とにお湯の流れを切り換える通路切換弁45が介設されている。つまり、第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器において、第2内容器として作用する循環経路22には、該循環経路22を循環するお湯を冷却するための冷却部として作用するヒートシンク46が付設され、該ヒートシンク46を強制冷却するための冷却ファン47が付設されているのである。さらに、第3の実施の形態におけると同様に、操作パネル部29には、スピード加熱スイッチ35に隣接して冷却機能スイッチ48が付設されている。該冷却機能スイッチ48のON操作により循環用ポンプ23および冷却ファン47の作動が開始されることとなっている。なお、スピード加熱スイッチ35のON操作時には冷却機能スイッチ48は作動不能とされ且つ冷却機能スイッチ48のON操作時には、スピード加熱スイッチ35は作動不能とされている。
【0084】
このようにすると、循環経路22は、前記吐出通路5における入口22aから吐出用ポンプ6の下流側の分岐部までの一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなる。なお、前記通路切換弁45の切換作動は、手動あるいは自動で行うこととなっている。また、吐出用ポンプ6のポンプ能力は、吐出時>循環時とするのが望ましい。また、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプ6を循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。冷却機能選択時においては、第1内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてヒートシンク46において強制冷却できるところから、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0085】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図21に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における加熱制御は、第2の実施の形態において説明したと同様である。
【0087】
そこで、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御について図22に示すフローチャートを参照して説明する。
【0088】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ48がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS4において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5において通路切換弁45が循環経路22側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS6において吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS7において冷却ファン47がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて第1内容器3内に還流されることとなり、第1内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0089】
そして、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS5,S6,S7における通路切換弁45、吐出用ポンプ6および冷却ファン47の制御は継続されるが、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ48がOFFされる。従って、ステップS8において冷却機能スイッチ48のOFFが確認されると、ステップS9において通路切換弁45が吐出通路5側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS10において吐出用ポンプ6がOFFされるとともに、ステップS11において冷却ファン47がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0090】
上記したように、本実施の形態においては、第1内容器3内で沸騰させたお湯を通路切換弁45の切換作動および吐出用ポンプ6の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク46および冷却ファン47)によって強制冷却できるようにしたので、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0091】
その他の作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0092】
なお、上記各実施の形態においては、第1内容器内のお湯は循環経路を介して循環する構造とされているが、循環経路から分岐して吐出通路に合流する通路を形成しておき、コップ1杯分を急速加熱したいときには、循環経路内の湯をサブヒータのみで加熱し、吐出通路を介して外部へ吐出させるようにする場合もある。
【0093】
本願発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部を示す拡大断面図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の縦断面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の底面図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における操作パネル部の拡大平面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における基本的なスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図8】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図9】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器内の湯量に対応したスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図10】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の要部を示す縦断面図である。
【図11】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の底面図である。
【図12】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図13】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における基本的なスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図14】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図15】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器内の湯量に対応したスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図16】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の要部を示す縦断面図である。
【図17】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における操作パネル部の拡大平面図である。
【図18】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図19】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【図20】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の要部を示す縦断面図である。
【図21】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図22】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
3は第1内容器
3aは一重壁部
3bは真空二重壁部
4は主加熱手段(メインヒータ)
5は吐出通路
6は吐出用ポンプ
22は第2内容器(循環経路)
22aは入口
22bは出口
23は循環用ポンプ
24は副加熱手段(サブヒータ)
35はスピード加熱スイッチ
45は通路切換弁
49は冷却部(ヒートシンク)
47は冷却部(冷却ファン)
48は冷却機能スイッチ
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気貯湯容器に関し、さらに詳しくは、内容器内の水をできるだけ速く沸かし得るようにした電気貯湯容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電気貯湯容器としては、水を収容する内容器と、該内器内に収容された水を加熱する加熱手段と、前記内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えたものがある。
【0003】
ところで、上記構成の電気貯湯容器においては、前記加熱手段として、前記内容器の底部に配設した電気ヒータを採用しているが、該電気ヒータの加熱能力(換言すれば、ワット密度)には限りがあるところから、前記内容器内に収容された水を沸騰させるには、相当な時間を必要としていた。ところが、一方で、この種電気貯湯容器における湯沸かし時間をできるだけ短くしたいというユーザの要求がある。
【0004】
従来技術としては、この種の電気貯湯容器において、全体が真空二重構造となっている内容器内の水を循環させる循環路を設け、該循環路に加熱手段を付設することにより、内容器内の水が循環路を循環する過程において加熱できるようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開2000−157417号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されている電気貯湯容器の場合、循環路を循環する水を加熱手段により加熱するタイプなので、この場合にも、湯沸かしに相当な時間を必要とすることとなる。しかも、特許文献1に開示されている電気貯湯容器の場合、内容器全体が真空二重構造となっているため、循環路での加熱しかできない構造となっている。しかも、真空二重壁を貫通させて循環路を形成しているが、このような構造とするには、技術的困難を伴うこととなる。
【0007】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で湯沸かしに要する時間を大幅に短縮できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、底部に一重壁部を有する第1内容器と、該第1内容器内に収容された水を加熱する主加熱手段と、前記第1内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部の下方に、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記第1内容器内のお湯を循環させる第2内容器を設けるとともに、該第2内容器に、第2内容器を循環するお湯を加熱するための副加熱手段を付設している。
【0009】
上記のように構成したことにより、第1内容器内に収容した水が主加熱手段によって加熱されるとともに、循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において副加熱手段により加熱されることとなり、第1内容器内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができる。しかも、第2内容器の出入口を第1内容器の底部を構成する一重壁部に形成したことにより、第2内容器、循環用ポンプおよび副加熱手段を第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に配設することが可能となるところから、循環用ポンプの揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となる。
【0010】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプを、前記第1内容器と前記第2内容器との間に配設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に循環用ポンプの配設スペースを確保することができるとともに、第2内容器で発生する蒸気の影響を循環用ポンプが受けることによるキャビテーションを防止することができる。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第1内容器の側面を、真空二重壁部で構成することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の保温性能が大幅に向上するところから、循環加熱による加熱効果がより効果的となる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気貯湯容器において、前記吐出通路には、前記第1内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記第2内容器を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設することもでき、そのように構成した場合、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを循環用ポンプとして兼用できることとなり、コンパクト化が可能となる。
【0013】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた電気貯湯容器において、前記主加熱手段と前記副加熱手段とを、それぞれ独立して制御できるように構成することもでき、そのように構成した場合、沸騰時に発生する蒸気量を調整することができ、第1内容器内でのお湯の飛び散りを抑制することができる。
【0014】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第6の手段として、上記第5の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記主加熱手段の作動停止より前に作動停止できるように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを確実に防止することができる。
【0015】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第7の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記第1内容器内の湯量に対応して制御開始タイミングを変化させ得るように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを防止しながら第1内容器内での湯沸かし時間を短縮することができる。
【0016】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第8の手段として、上記第4、第5、第6又は第7の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプの回転数を、前記吐出用ポンプの回転数より低くできるように構成することもでき、そのように構成した場合、第2内容器を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、副加熱手段による加熱を確実に行うことができる。
【0017】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第9の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第2内容器には、該第2内容器を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器内で沸騰させたお湯を循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において冷却部において強制冷却できるところから、第1内容器内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の第1の手段によれば、底部に一重壁部を有する第1内容器と、該第1内容器内に収容された水を加熱する主加熱手段と、前記第1内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部の下方に、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記第1内容器内のお湯を循環させる第2内容器を設けるとともに、該第2内容器に、第2内容器を循環するお湯を加熱するための副加熱手段を付設して、第1内容器内に収容した水が主加熱手段によって加熱されるとともに、循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において副加熱手段により加熱されるようにしたので、第1内容器内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができるという効果がある。しかも、第2内容器の出入口を第1内容器の底部を構成する一重壁部に形成したことにより、第2内容器、循環用ポンプおよび副加熱手段を第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に配設することが可能となるところから、循環用ポンプの揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となるという効果もある。
【0019】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプを、前記第1内容器と前記第2内容器との間に配設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に循環用ポンプの配設スペースを確保することができるとともに、第2内容器で発生する蒸気の影響を循環用ポンプが受けることによるキャビテーションを防止することができる。
【0020】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第1内容器の側面を、真空二重壁部で構成することもでき、そのように構成した場合、第1内容器の保温性能が大幅に向上するところから、循環加熱による加熱効果がより効果的となる。
【0021】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気貯湯容器において、前記吐出通路には、前記第1内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記第2内容器を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設することもでき、そのように構成した場合、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを循環用ポンプとして兼用できることとなり、コンパクト化が可能となる。
【0022】
本願発明の第5の手段におけるように、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた電気貯湯容器において、前記主加熱手段と前記副加熱手段とを、それぞれ独立して制御できるように構成することもでき、そのように構成した場合、沸騰時に発生する蒸気量を調整することができ、第1内容器内でのお湯の飛び散りを抑制することができる。
【0023】
本願発明の第6の手段におけるように、上記第5の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記主加熱手段の作動停止より前に作動停止できるように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを確実に防止することができる。
【0024】
本願発明の第7の手段におけるように、上記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の手段を備えた電気貯湯容器において、前記副加熱手段を、前記第1内容器内の湯量に対応して制御開始タイミングを変化させ得るように構成することもでき、そのように構成した場合、副加熱手段での加熱沸騰による第2内容器内のお湯の飛び散りを防止しながら第1内容器内での湯沸かし時間を短縮することができる。
【0025】
本願発明の第8の手段におけるように、上記第4、第5、第6又は第7の手段を備えた電気貯湯容器において、前記循環用ポンプの回転数を、前記吐出用ポンプの回転数より低くできるように構成することもでき、そのように構成した場合、第2内容器を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、副加熱手段による加熱を確実に行うことができる。
【0026】
本願発明の第9の手段におけるように、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えた電気貯湯容器において、前記第2内容器には、該第2内容器を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設することもでき、そのように構成した場合、第1内容器内で沸騰させたお湯を循環用ポンプの作動により第2内容器を循環する過程において冷却部において強制冷却できるところから、第1内容器内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本願発明を幾つかの好適な実施の形態について説明する。
【0028】
第1の実施の形態
図1ないし図6には、本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器が示されている。
【0029】
この電気貯湯容器は、図1に示すように、水を収容する第1内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部開口を開閉する蓋体2と、前記第1内容器3の底部を加熱する主加熱手段であるメインヒータ4と、前記第1内容器3内のお湯を外部へ吐出するための吐出通路5と、該吐出通路5の途中に設けられた吐出用ポンプ6とを備えて構成されている。
【0030】
前記容器本体1は、外側面を構成する金属製の外ケース7と、内周面を構成する前記第1内容器3と、前記外ケース7の上部と第1内容器3の上部とを結合する合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面を構成する合成樹脂製の底板9とからなっている。
【0031】
前記第1内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒10とステンレス製の略円筒形状の外筒11との間に真空空間12を形成してなる真空二重容器からなっており、底部に一重壁部3aを有し且つ側面に真空二重壁部3bを有して構成されている。なお、第1内容器3は、底部に一重壁部3aを有していればよく、第1内容器3の側面は、一重容器の外側に真空二重の断熱容器を配設したり、一重容器の外側に真空断熱材を巻き付けた構造とすることもできる。
【0032】
前記第1内容器3における底部(即ち、一重壁部3a)下面には、前記メインヒータ4(例えば、雲母板に発熱体を保持させてなるマイカヒータ)が取り付けられている。符号13は第1内容器3の温度(換言すれば、湯温T)を検出する温度検出手段として作用する第1温度センサである。
【0033】
前記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が嵌め合いにより結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、前記肩部材8の後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して開閉且つ着脱自在に支持されている。符号18は蒸気排出通路である。
【0034】
前記蓋体2における下板15には、金属製のカバー部材19が固定されており、該カバー部材19の外周縁には、蓋体2の閉蓋時において前記内容器3の給水口3cに圧接されるシールパッキン20が設けられている。
【0035】
前記内容器3における一重壁部3aの下方に形成される余剰空間21には、該一重壁部3aに入口22aおよび出口22bを有し且つ循環用ポンプ23によって前記第1内容器3内の水を循環させる第2内容器として作用する循環経路22が設けられている(図2参照)。前記一重壁部3aには、メインヒータ4が取り付けられているが、該メインヒータ4が取り付けられていない部位Sが設けられており、前記循環経路22の入口22aおよび出口22bは、当該部位Sに形成されている(図3および図4参照)。
【0036】
前記循環経路22の途中には、該循環経路22を循環する水を加熱するための副加熱手段として作用するサブヒータ24が付設されている。該サブヒータ24の出口側24bの位置は、入口側24aの位置より高くされている(図1参照)。このようにすると、サブヒータ24による加熱で生ずる気泡と循環流との流れ方向が一致することとなり、サブヒータ24による加熱が効率良く行える。なお、サブヒータ24の入口側24aと出口側24bとを同じ高さとしても、同様な効果を期待することができる。なお、サブヒータ24は、循環経路22に巻き付けるタイプのパイプヒータあるいは正特性サーミスタとされる。
【0037】
また、前記循環経路22における前記サブヒータ24の下流側には、循環経路22を循環する水の温度を検出する温度検出手段として作用する第2温度センサ25が付設されている(図2参照)。この第2温度センサ25は、容量の小さい循環経路22内で沸騰が生ずると、大量の気泡が発生するおそれがあるところから、循環経路22内の温度を検知して沸騰する前にサブヒータ24を作動停止する制御を行うかON/OFF制御を行うことができるようにするために設けられる。
【0038】
ところで、本実施の形態においては、図2に示すように、前記循環経路22の入口22aは、前記吐出通路5の入口と兼用されており、該吐出通路5において前記吐出用ポンプ6の上流側から分岐して前記循環経路22の出口22bに至る分岐通路27が形成されている。従って、本実施の形態においては、前記循環経路22は、前記吐出通路5における吐出用ポンプ6の上流側の一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなっている。このようにすると、内容器3における一重壁部3aに形成される穴を少なくすることができることとなり、メインヒータ4の占有面積を最大とすることができるとともに、加工工数も低減できる。
【0039】
上記構成の電気貯湯容器においては、メインヒータ4は、後述するように沸騰用ヒータ4Aと保温用ヒータ4Bとを備えており、保温用ヒータ4Bへの通電制御を行う通常の保温モード(換言すれば、設定保温温度制御モード)の他に、沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を停止した状態(即ち、電源コードを取り外した状態)で保温する魔法瓶保温モードによる使用が可能となっている。
【0040】
図1において、符号28は蓋体2を容器本体1に対して閉止状態に保持するためのロック機構、29は後述する各種スイッチ類を備えた操作パネル部である。
【0041】
前記操作パネル部29には、図5に示すように、給湯スイッチ30、ロック解除スイッチ31、再沸騰スイッチ32、保温選択スイッチ33、タイマー設定用スイッチ34、スピード加熱用スイッチ35、液晶表示装置36、沸騰表示灯(沸騰LED)37、保温表示灯(保温LED)38が設けられている。前記液晶表示装置36には、温度、沸騰残時間および湯量が交互に7セグメント表示され且つ後述するスローリーク発生表示が文字表示されるとともに、設定保温温度(98℃、90℃、魔法瓶)が表示される。
【0042】
図6は、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態を示すブロック図である。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6において、符号39はマイコン基板、40は交流電源、41は温度ヒューズ、42はトライアック、43A,43Bはリレーである。本実施の形態においては、メインヒータ4とサブヒータ24とは、それぞれリレー43A,43Bに接続されており、互いに独立して制御されることとなっている。
【0044】
ついで、上記構成の電気貯湯容器におけるスピード加熱制御について、図7〜図9に示すフローチャートを参照して説明する。
(1) 基本的なスピード加熱制御(図7のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS4において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ5においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0045】
そして、ステップS6において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで、上記スピード加熱あるいは通常加熱は継続されるが、ステップS6において沸騰検知されると、ステップS7において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。なお、沸騰検知時に循環用ポンプ23を作動させていると、第1温度センサ13により検出される湯温にバラツキが生ずるおそれがあるので、沸騰検知中だけ循環用ポンプ23の作動を停止させるのが望ましい。
【0046】
上記したように、本実施の形態においては、第1内容器3内に収容した水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、循環用ポンプ23の作動により第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてサブヒータ24により加熱されることとなり、第1内容器3内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0047】
ちなみに、従来のメインヒータ(900W)のみの加熱(従来例)とメインヒータ(900W)およびサブヒータ(400W)による加熱(本実施例)とサブヒータ(900W)のみによる循環加熱(比較例)とにおける沸騰に要する時間を調べたところ、下記表1の結果が得られた。ここで、第1内容器3内の水量は満量(2850ml)とされる。
【0048】
【表1】
【0049】
上記結果によれば、本実施例の場合、沸騰に要する時間が従来例および比較例に比して大幅に短縮されていることが分かる。
【0050】
しかも、本実施の形態においては、第2内容器として作用する循環経路22の出入口を第1内容器3の底部を構成する一重壁部3aに形成したことにより、第2内容器として作用する循環経路22、循環用ポンプ23およびサブヒータ24を第1内容器3の一重壁部3aの下方に形成される余剰空間部21に配設することが可能となるところから、循環用ポンプ23の揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となる。また、前記循環用ポンプ23を、前記第1内容器3と前記循環経路22との間に配設しているので、第1内容器3の一重壁部3aの下方に形成される余剰空間部21に循環用ポンプ23の配設スペースを確保することができるとともに、循環経路22で発生する蒸気の影響を循環用ポンプ23が受けることによるキャビテーションを防止することができる。さらに、前記第1内容器3の側面を、真空二重壁部3bで構成しているので、第1内容器3の保温性能が大幅に向上するところから、循環加熱による加熱効果がより効果的となる。
(2) 沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御(図8のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップS4において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。ここで、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS5において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS6においてサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され且つメインヒータ4がON作動が継続される。つまり、循環用ポンプ23およびサブヒータ24の作動停止タイミング(換言すれば、循環加熱の停止タイミング)は、沸騰直前とされるのである。このようにした理由は、サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0051】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS7において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ8においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0052】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS9において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS9において沸騰検知されると、ステップS10において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS11においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0053】
上記したように、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。
(3) 第1内容器3内の湯量に対応したスピード加熱制御(図9のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップ4において第1内容器3内の湯量判定が行われる。この湯量判定は、第1温度センサ13による温度上昇度に基づいて行われる。例えば、湯温上昇に要した時間dt、単位時間dTとの比dt/dTを湯沸かし工程において計測し、dt/dT=S(内容量の簡易判定結果)の計測結果により、下記のように湯量判定が行われる。
【0054】
S=大⇒湯量少
S=中⇒湯量中
S=小⇒湯量大
そして、ステップS5において湯量少と判定された場合には、ステップ6において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が90℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において湯量中と判定された場合には、ステップS10において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が93℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において否定判定された場合(換言すれば、湯量大と判定された場合)には、ステップS11において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。上記判定において、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS7において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され且つメインヒータ4のON作動が継続される。つまり、循環用ポンプ23およびサブヒータ24の作動停止タイミングは、沸騰直前とされるとともに、第1内容器3の内容量に対応して決定されることとなっているのである。このようにした理由は、第1内容器3の内容量によっては(特に、内容量が少ない場合に)サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0055】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS12において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ13においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0056】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS14において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS14において沸騰検知されると、ステップS15において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS16においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0057】
上記したように、第1内容器3の内容量に対応させて、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。
【0058】
ところで、前記循環用ポンプ23の回転数は、前記吐出用ポンプ6の回転数より低くされている。このようにすると、第2内容器として作用する循環経路22を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、サブヒータ24による加熱を確実に行うことができる。
【0059】
第2の実施の形態
図10ないし図12には、本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0060】
この場合、循環経路22を構成する分岐通路27は、吐出通路5における吐出用ポンプ6の下流側から分岐されており、この分岐部には、吐出通路5側へお湯が吐出され方向と分岐通路27側へお湯が流れる方向とにお湯の流れを切り換える通路切換弁45が介設されている。このようにすると、循環経路22は、前記吐出通路5における入口22aから吐出用ポンプ6の下流側の分岐部までの一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなる。なお、前記通路切換弁45の切換作動は、手動あるいは自動で行うこととなっている。また、吐出用ポンプ6のポンプ能力は、吐出時>循環時とするのが望ましい。このようにすると、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプ6を循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0061】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図11に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
ついで、上記構成の電気貯湯容器における加熱制御について、図13〜図15に示すフローチャートを参照して説明する。
(1) 基本的なスピード加熱制御(図13のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容する側に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS4において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ5においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0063】
そして、ステップS6において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで、上記スピード加熱あるいは通常加熱は継続されるが、ステップS6において沸騰検知されると、ステップS7において通路切換弁45が吐出通路5がへの水の流通を許容する側に切り換えられ(換言すれば、循環経路22側への水の流通を許容しない側に切り換えられ)且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0064】
上記したように、本実施の形態においては、第1内容器3内に収容した水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、通路切換弁45の切換作動による第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてサブヒータ24により加熱されることとなり、第1内容器3内の水を湯沸かしするに要する時間を大幅に短縮することができる。
(2) 沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御(図14のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容する側に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップS4において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。ここで、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS5において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS6においてメインヒータ4のON作動が継続され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、循環用ポンプ23およびサブヒータ24の作動停止タイミング(換言すれば、循環加熱の停止タイミング)は、沸騰直前とされるのである。このようにした理由は、サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0065】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS7において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ8においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0066】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS9において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS9において沸騰検知されると、ステップS10において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS11においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0067】
上記したように、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。
(3) 第1内容器3内の湯量に対応したスピード加熱制御(図15のフローチャート参照)
ステップS1においてスピード加熱スイッチ35がON操作されたか否か(換言すれば、スピード加熱が選択されたか否か)の判定がなされ、ここで肯定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択された場合)には、ステップS2において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容する側に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS3においてメインヒータ4およびサブヒータ24がON作動され、第1内容器3内の水がメインヒータ4によって加熱されるとともに、第2内容器である循環経路22を循環する水がサブヒータ24によって加熱され、第1内容器3内の水の温度が次第に上昇する。この状態で、ステップ4において第1内容器3内の湯量判定が行われる。この湯量判定は、第1温度センサ13による温度上昇度に基づいて行われる。例えば、湯温上昇に要した時間dt、単位時間dTとの比dt/dTを湯沸かし工程において計測し、dt/dT=S(内容量の簡易判定結果)の計測結果により、下記のように湯量判定が行われる。
【0068】
S=大⇒湯量少
S=中⇒湯量中
S=小⇒湯量大
そして、ステップS5において湯量少と判定された場合には、ステップ6において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が90℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において湯量中と判定された場合には、ステップS10において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が93℃以上であるか否かの判定がなされ、ステップS9において否定判定された場合(換言すれば、湯量大と判定された場合)には、ステップS11において第1温度センサ13の検出温度(即ち、湯温)が96℃以上であるか否かの判定がなされる。上記判定において、否定判定された場合には、ステップS1にリターンして、前述の加熱制御が継続されるが、肯定判定された場合には、ステップS7において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS8においてサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され且つメインヒータ4のON作動が継続される。つまり、通路切換弁45の切換タイミング、吐出用ポンプ6およびサブヒータ24の作動停止タイミングは、沸騰直前とされるとともに、第1内容器3の内容量に対応して決定されることとなっているのである。このようにした理由は、第1内容器3の内容量によっては(特に、内容量が少ない場合に)サブヒータ24による加熱沸騰によって内容湯の飛び散りが発生するおそれがあるからである。
【0069】
一方、ステップS1において否定判定された場合(換言すれば、スピード加熱が選択されなかった場合)には、ステップS12において通路切換弁45が循環経路22側への水の流通を許容しない側(換言すれば、吐出通路6側)に切り換えられ且つ吐出用ポンプ6が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップ13においてメインヒータ4がON作動され且つサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)される。つまり、メインヒータ4のみによる通常加熱が実行されるのである。
【0070】
上記加熱制御(即ち、スピード加熱制御あるいは通常加熱制御)は、ステップS14において第1温度センサ13により内容器3内の水が沸騰したことが検知されるまで継続されるが、ステップS14において沸騰検知されると、ステップS15において循環用ポンプ23が作動停止(即ち、OFF)されるとともに、ステップS16においてメインヒータ4およびサブヒータ24が作動停止(即ち、OFF)され、その後加熱制御は終了する。
【0071】
上記したように、第1内容器3の内容量に対応させて、沸騰直前にサブヒータ24による循環加熱を停止すると、サブヒータ24の沸騰による内容湯の飛び散りを防止しながらスピード湯沸かしが可能となる。なお、この場合、吐出用ポンプ6は、循環時の回転数を給湯時の回転数より小さくするのが望ましい。このようにすると、第2内容器として作用する循環経路22を循環する水の流速が遅く抑えられるところから、サブヒータ24による加熱を確実に行うことができる。
【0072】
その他の作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0073】
第3の実施の形態
図16ないし図18には、本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0074】
この場合、第2内容器として作用する循環経路22には、該循環経路22を循環するお湯を冷却するための冷却部として作用するヒートシンク46が付設されている。また、該ヒートシンク46を強制冷却するための冷却ファン47が付設されている。さらに、操作パネル部29には、スピード加熱スイッチ35に隣接して冷却機能スイッチ48が付設されている。該冷却機能スイッチ48のON操作により循環用ポンプ23および冷却ファン47の作動が開始されることとなっている。なお、スピード加熱スイッチ35のON操作時には冷却機能スイッチ48は作動不能とされ且つ冷却機能スイッチ48のON操作時には、スピード加熱スイッチ35は作動不能とされている。このようにすると、冷却機能選択時においては、第1内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてヒートシンク46において強制冷却できるところから、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0075】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図18に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における加熱制御は、第1の実施の形態において説明したと同様である。
【0077】
そこで、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御について図19に示すフローチャートを参照して説明する。
【0078】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ48がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS4において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5において循環用ポンプ23がON作動され、ステップS6において冷却ファン47がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて第1内容器3内に還流されることとなり、第1内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0079】
そして、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS5,S6における循環用ポンプ23および冷却ファン47の制御は継続されるが、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ48がOFFされる。従って、ステップS7において冷却機能スイッチ48のOFFが確認されると、ステップS8において循環用ポンプ23がOFFされるとともに、ステップS9において冷却ファン47がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0080】
上記したように、本実施の形態においては、冷却機能選択時に、第1内容器3内で沸騰させたお湯を吐出用ポンプ6および冷却ファン47の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク46および冷却ファン47)によって強制冷却できるようにしたので、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0081】
その他の作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0082】
第4の実施の形態
図20および図21には、本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0083】
この場合、第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器において、循環経路22を構成する分岐通路27は、吐出通路5における吐出用ポンプ6の下流側から分岐されており、この分岐部には、吐出通路5側へお湯が吐出され方向と分岐通路27側へお湯が流れる方向とにお湯の流れを切り換える通路切換弁45が介設されている。つまり、第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器において、第2内容器として作用する循環経路22には、該循環経路22を循環するお湯を冷却するための冷却部として作用するヒートシンク46が付設され、該ヒートシンク46を強制冷却するための冷却ファン47が付設されているのである。さらに、第3の実施の形態におけると同様に、操作パネル部29には、スピード加熱スイッチ35に隣接して冷却機能スイッチ48が付設されている。該冷却機能スイッチ48のON操作により循環用ポンプ23および冷却ファン47の作動が開始されることとなっている。なお、スピード加熱スイッチ35のON操作時には冷却機能スイッチ48は作動不能とされ且つ冷却機能スイッチ48のON操作時には、スピード加熱スイッチ35は作動不能とされている。
【0084】
このようにすると、循環経路22は、前記吐出通路5における入口22aから吐出用ポンプ6の下流側の分岐部までの一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなる。なお、前記通路切換弁45の切換作動は、手動あるいは自動で行うこととなっている。また、吐出用ポンプ6のポンプ能力は、吐出時>循環時とするのが望ましい。また、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプ6を循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。冷却機能選択時においては、第1内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により第2内容器として作用する循環経路22を循環する過程においてヒートシンク46において強制冷却できるところから、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0085】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図21に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における加熱制御は、第2の実施の形態において説明したと同様である。
【0087】
そこで、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御について図22に示すフローチャートを参照して説明する。
【0088】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ48がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS4において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5において通路切換弁45が循環経路22側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS6において吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS7において冷却ファン47がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて第1内容器3内に還流されることとなり、第1内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0089】
そして、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS5,S6,S7における通路切換弁45、吐出用ポンプ6および冷却ファン47の制御は継続されるが、第1内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ48がOFFされる。従って、ステップS8において冷却機能スイッチ48のOFFが確認されると、ステップS9において通路切換弁45が吐出通路5側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS10において吐出用ポンプ6がOFFされるとともに、ステップS11において冷却ファン47がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0090】
上記したように、本実施の形態においては、第1内容器3内で沸騰させたお湯を通路切換弁45の切換作動および吐出用ポンプ6の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク46および冷却ファン47)によって強制冷却できるようにしたので、第1内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0091】
その他の作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0092】
なお、上記各実施の形態においては、第1内容器内のお湯は循環経路を介して循環する構造とされているが、循環経路から分岐して吐出通路に合流する通路を形成しておき、コップ1杯分を急速加熱したいときには、循環経路内の湯をサブヒータのみで加熱し、吐出通路を介して外部へ吐出させるようにする場合もある。
【0093】
本願発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部を示す拡大断面図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の縦断面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の底面図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における操作パネル部の拡大平面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における基本的なスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図8】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図9】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器内の湯量に対応したスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図10】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の要部を示す縦断面図である。
【図11】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の底面図である。
【図12】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図13】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における基本的なスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図14】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における沸騰直前にサブヒータをOFFさせるスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図15】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器内の湯量に対応したスピード加熱制御の内容を示すフローチャートである。
【図16】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の要部を示す縦断面図である。
【図17】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における操作パネル部の拡大平面図である。
【図18】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図19】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【図20】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における第1内容器の要部を示す縦断面図である。
【図21】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図22】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
3は第1内容器
3aは一重壁部
3bは真空二重壁部
4は主加熱手段(メインヒータ)
5は吐出通路
6は吐出用ポンプ
22は第2内容器(循環経路)
22aは入口
22bは出口
23は循環用ポンプ
24は副加熱手段(サブヒータ)
35はスピード加熱スイッチ
45は通路切換弁
49は冷却部(ヒートシンク)
47は冷却部(冷却ファン)
48は冷却機能スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に一重壁部を有する第1内容器と、該第1内容器内に収容された水を加熱する主加熱手段と、前記第1内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器であって、前記一重壁部の下方には、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記第1内容器内のお湯を循環させる第2内容器を設けるとともに、該第2内容器には、第2内容器を循環するお湯を加熱するための副加熱手段を付設したことを特徴とする電気貯湯容器。
【請求項2】
前記循環用ポンプを、前記第1内容器と前記第2内容器との間に配設したことを特徴とする請求項1記載の電気貯湯容器。
【請求項3】
前記内容器の側面を、真空二重壁部で構成したことを特徴とする請求項1および2のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項4】
前記吐出通路には、前記内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記第2内容器を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設したことを特徴とする請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項5】
前記主加熱手段と前記副加熱手段とを、それぞれ独立して制御できるように構成したことを特徴とする請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項6】
前記副加熱手段を、前記主加熱手段の作動停止より前に作動停止できるように構成したことを特徴とする請求項5記載の電気貯湯容器。
【請求項7】
前記副加熱手段を、前記内容器内の湯量に対応して制御開始タイミングを変化させ得るように構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5および6のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項8】
前記循環用ポンプの回転数を、前記吐出用ポンプの回転数より低くできるように構成したことを特徴とする請求項4、5、6および7のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項9】
前記第2内容器には、該第2内容器を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7および8のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項1】
底部に一重壁部を有する第1内容器と、該第1内容器内に収容された水を加熱する主加熱手段と、前記第1内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器であって、前記一重壁部の下方には、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記第1内容器内のお湯を循環させる第2内容器を設けるとともに、該第2内容器には、第2内容器を循環するお湯を加熱するための副加熱手段を付設したことを特徴とする電気貯湯容器。
【請求項2】
前記循環用ポンプを、前記第1内容器と前記第2内容器との間に配設したことを特徴とする請求項1記載の電気貯湯容器。
【請求項3】
前記内容器の側面を、真空二重壁部で構成したことを特徴とする請求項1および2のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項4】
前記吐出通路には、前記内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記第2内容器を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設したことを特徴とする請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項5】
前記主加熱手段と前記副加熱手段とを、それぞれ独立して制御できるように構成したことを特徴とする請求項1、2、3および4のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項6】
前記副加熱手段を、前記主加熱手段の作動停止より前に作動停止できるように構成したことを特徴とする請求項5記載の電気貯湯容器。
【請求項7】
前記副加熱手段を、前記内容器内の湯量に対応して制御開始タイミングを変化させ得るように構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5および6のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項8】
前記循環用ポンプの回転数を、前記吐出用ポンプの回転数より低くできるように構成したことを特徴とする請求項4、5、6および7のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項9】
前記第2内容器には、該第2内容器を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7および8のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−189634(P2009−189634A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34639(P2008−34639)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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