電池、及び電池の製造方法
【課題】 正極と正極集電部材との接続信頼性の高いアルカリ蓄電池、及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のアルカリ蓄電池100は、樹脂骨格を有する正極基板121k、正極基板121kの空隙部内に充填された正極活物質、及び正極基板121に固着された正極リード121rを有する正極121と、正極リード121rを通じて、正極121から正の電荷を集電する正極集電部材130とを備えている。正極リード121rと正極集電部材130とは、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して接合されている。
【解決手段】 本発明のアルカリ蓄電池100は、樹脂骨格を有する正極基板121k、正極基板121kの空隙部内に充填された正極活物質、及び正極基板121に固着された正極リード121rを有する正極121と、正極リード121rを通じて、正極121から正の電荷を集電する正極集電部材130とを備えている。正極リード121rと正極集電部材130とは、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池、特に、樹脂骨格を有する正極基板を備える電池、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池、特に、アルカリ蓄電池は、ポータブル機器や携帯機器などの電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として注目されている。このようなアルカリ蓄電池としては、様々のものが提案されているが、このうち、水酸化ニッケルを主体とした活物質を含む正極と、水素吸蔵合金を主成分とした負極と、水酸化カリウムなどを含むアルカリ電解液とを備えるニッケル水素二次電池は、エネルギー密度が高く、信頼性に優れたアルカリ蓄電池として急速に普及している。
【0003】
ところで、ニッケル水素二次電池の正極は、電極の製法の違いによって、焼結式ニッケル電極とペースト式(非焼結式)ニッケル電極との2種類に大別される。このうち、焼結式ニッケル電極は、穿孔鋼板(パンチングメタル)の両面にニッケル微粉末を焼結した多孔性焼結基板の微細孔内に、溶液含浸法などによって、水酸化ニッケルを析出させて製作される。一方、ペースト式ニッケル電極は、高多孔度の発泡ニッケル多孔体基板(発泡ニッケル基板)の細孔内に、水酸化ニッケルを含む活物質を直接に充填して作製される。このペースト式ニッケル電極は、水酸化ニッケルの充填密度が高く、高エネルギー密度化が容易であるために、現在では、ニッケル水素蓄電池用正極の主流となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−15769号公報
【特許文献2】特開平8−321303号公報
【特許文献3】特開2001−313038号公報
【0005】
ペースト式ニッケル電極に用いられる発泡ニッケル基板は、発砲ポリウレタンシートの樹脂骨格にニッケルめっきを施した後、樹脂骨格を焼失させることにより作製する。このような手法により、空隙率の高いニッケル基板を得ることができ、水酸化ニッケルの充填密度を高めることが可能となるが、樹脂骨格を焼失させる工程が必要なため、製造コストが高いという課題があった。また、発泡ニッケル基板の強度が弱いために、充放電の繰り返しによって、ニッケル電極(正極)が大きく膨張してしまう虞がある。このため、ニッケル電極が大きく膨張すると、セパレータが圧縮され、これに伴い、セパレータ内の電解液が減少し、内部抵抗の上昇や充放電効率の低下を引き起こす虞があった。
【0006】
このような問題を解決するべく、近年、不織布などの樹脂骨格にニッケルめっきを施し、樹脂骨格を焼失させることなく作製した正極基板(集電材)、これを用いたアルカリ蓄電池が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。不織布などの樹脂骨格を含む正極基板を用いることにより、正極基板を強固にできるので、正極の膨張を抑制することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アルカリ蓄電池としては、例えば、板状の正極、セパレータ、及び負極を、多数、交互に積層した極板群を有するアルカリ蓄電池が知られている。このアルカリ蓄電池では、多数の正極から正の電荷を集電する正極集電部材が設けられており、この正極集電部材と正極(具体的には、正極のうち正極リード)は、溶接により接合されている。
【0008】
ところが、正極として、樹脂骨格を含む正極基板を有する正極を用いた場合には、この正極(具体的には、正極のうち正極リード)と正極集電部材とを溶接したときに、正極基板に含まれる樹脂の一部が熱分解し、正極と正極集電部材との接合部(フィレットなど)の内部にブローホールが形成されてしまうことがあった。このため、正極と正極集電部材との接続信頼性に問題があった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その解決手段は、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び上記正極基板に固着された正極リード、を有する正極と、上記正極リードに接合された正極集電部材であって、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材との接合により形成されたフィレットは、内部にブローホールを含まないフィレットである電池である。
【0010】
本発明の電池では、正極基板として、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格を含む正極基板を用いている。これにより、正極基板の空隙部内に、十分な正極活物質を充填可能としつつ、正極基板が強固となる。
さらに、本発明の電池は、正極リードと正極集電部材とが、フィレット形成して接合されており、しかも、このフィレットの内部には、ブローホールが含まれていない。これにより、正極リードと正極集電部材との接合が強固となるので、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池となる。
【0011】
なお、正極リードと正極集電部材との接合形態としては、例えば、ロウ材によりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とがロウ付け接合されている形態が挙げられる。また、正極集電部材の一部(内側面)を溶融させて、これによりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とを接合するようにしても良い。
また、正極基板の金属被覆層としては、例えば、ニッケルからなるニッケル被覆層が挙げられる。また、本発明の電池としては、例えば、ニッケル水素蓄電池等のアルカリ蓄電池が挙げられる。
【0012】
他の解決手段は、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び上記正極基板に固着された正極リード、を有する正極と、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材とは、上記正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して接合されてなる電池である。
【0013】
本発明の電池では、正極基板として、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格を含む正極基板を用いている。これにより、正極基板の空隙部内に、十分な正極活物質を充填可能としつつ、正極基板が強固となる。
さらに、本発明の電池は、正極と正極集電部材とが、正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ(換言すれば、フィレットとなる溶融金属を正極基板に接触させることなく)、フィレットを形成して接合されている。このように形成されたフィレットの内部には、ブローホールが存在する危険性が小さいので、正極リードと正極集電部材との接合が強固となる。従って、本発明の電池は、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池となる。
【0014】
さらに、他の解決手段は、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び上記正極基板に固着された正極リード、を有する正極と、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材とがフィレットを形成して接合されてなる電池の製造方法であって、上記正極基板を、上記フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して、上記正極リードと上記正極集電部材とを溶接する溶接工程を備える電池の製造方法である。
【0015】
本発明の製造方法は、溶接工程において、正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ(換言すれば、フィレットとなる溶融金属を正極基板に接触させることなく)、正極リードと正極集電部材とを、フィレットを形成して溶接する。このように、フィレットとなる溶融金属を正極基板に接触させないことにより、正極基板に含まれる樹脂が熱分解する虞がなく、フィレット内部にブローホールが形成されてしまう虞がない。従って、本発明の製造方法によれば、正極リードと正極集電部材との接合を強固にできるので、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池を製造できる。
【0016】
なお、溶接工程における溶接形態としては、例えば、ロウ材によりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とをロウ付け接合する形態が挙げられる。また、正極集電部材の一部(内側面)を溶融させて、これによりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とを接合するようにしても良い。
【0017】
さらに、上記の電池の製造方法であって、前記正極リードは、前記正極基板から突出して延びる突出部を含み、前記溶接工程は、上記正極集電部材に、上記正極リードの上記突出部を突き当てた状態で、上記正極リードと上記正極集電部材とを、前記フィレットを形成して溶接する電池の製造方法とすると良い。
【0018】
本発明の製造方法は、溶接工程において、正極集電部材に、正極基板から突出して延びる正極リードの突出部を突き当てた状態で、正極リードと正極集電部材とを、フィレットを形成して溶接する。正極集電部材に、正極基板から突出して延びる正極リードの突出部を突き当てることにより、正極集電部材と正極基板との間に間隙を設け、適切に、フィレットとなる溶融金属の正極基板への接触を防止できる。
【0019】
さらに、上記の電池の製造方法であって、前記溶接工程に先立って、前記正極基板に固着された前記正極リードについて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した前記突出部を形成する突出部形成工程を有し、上記突出部形成工程は、前記正極基板のうち、前記正極リードと接触している接触基板部の一部を、これに含まれる樹脂の熱分解により消失させて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した上記突出部を形成する電池の製造方法であると良い。
【0020】
本発明の製造方法は、溶接工程に先立つ突出部形成工程において、正極基板のうち、正極リードと接触している接触基板部の一部を、これに含まれる樹脂の熱分解により消失させて、正極基板から所定の突出長だけ突出した突出部を形成する。このように、予め、正極リードについて、正極基板から所定の突出長だけ突出した突出部を形成しておくことにより、溶接工程において、正極集電部材に正極リードの突出部を突き当てたときに、適切に、正極集電部材と正極基板との間に、所定の間隙を設けることができる。従って、溶接工程において、適切に、フィレットとなる溶融金属の正極基板への接触を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態)
図1は、本実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の正面図、図2はその側面図、図3はその断面図(図2のA−A断面図に相当する)である。
本実施形態にかかるアルカリ蓄電池100は、金属製(具体的には、ニッケルめっき鋼板)の電池ケース110と、安全弁113と、電池ケース110内に配置された、極板群120(図3参照)及び電解液(図示しない)とを備える角形密閉式ニッケル水素蓄電池である。このうち、セパレータ125としては、例えば、親水化処理された合成繊維からなる不織布を用いることができる。電解液としては、例えば、KOHを主成分とする比重1.2〜1.4のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0022】
極板群120は、図3に示すように、複数の正極121と複数の負極123とが、セパレータ125を介して交互に積層されることにより構成されている。
このうち、正極121は、正極基板121kの内部に正極活物質が充填された正極充填部121sと、正極基板121kの内部に正極活物質が充填されていない正極未充填部121tと、正極未充填部121tに溶接された正極リード121rとを有している。この正極121は、いずれも、正極リード121rが所定方向(図3中、右側)に延出するように配置されている。なお、本実施形態では、正極基板121kとして、樹脂骨格を有する正極基板(詳細には、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板)を用いている。また、正極活物質として、水酸化ニッケルを含む活物質を用いている。
【0023】
負極123は、負極基板123kの内部に負極活物質が充填された負極充填部123sと、負極基板123kの内部に負極活物質が充填されていない負極未充填部123tと、負極未充填部123tに溶接された負極リード123rとを有している。この負極123は、いずれも、正極リード121rとは反対方向(図3中、左側)に延出するように配置されている。なお、負極活物質として、水素吸蔵合金等を含む活物質を用いている。
【0024】
電池ケース110は、図3に示すように、金属(具体的には、ニッケルめっき鋼板)からなり、矩形箱形状をなす電槽111と、金属(具体的には、ニッケルめっき鋼板)からなり、矩形略板形状を有する封口部材115とを有している。このうち、電槽111の第3側壁部111e(図3において右側に位置する壁部)には、2つの貫通孔111hが形成されている。この2つの貫通孔111hには、電気絶縁性のシール部材145を介在させて、第1正極端子140bと第2正極端子140cとが挿設されている。また、封口部材115は、電槽111の開口端面111f上(図3参照)に当接した状態で全周溶接され、電槽111の開口部111gを封止している。これにより、封口部材115と電槽111とが一体化して、電池ケース110をなしている。
【0025】
また、図3に示すように、正極121の正極リード121rは、いずれも、矩形板状をなす正極集電部材130の内側面130bに、電子ビーム溶接等によりロウ付け接合されている。さらに、正極集電部材130は、レーザー溶接等により、第1正極端子140b及び第2正極端子140cに接合されている。これにより、第1正極端子140b及び第2正極端子140cと正極121とが、電気的に接続される。また、負極123の負極リード123rは、いずれも、矩形板状をなす封口部材115の内側面115bに、電子ビーム溶接等により接合されている。これにより、本実施形態のアルカリ蓄電池100では、封口部材115を含めた電池ケース110全体が負極となる。
【0026】
ここで、正極121の正極リード121rと正極集電部材130との接合状態を、図9に拡大して示す。正極リード121rと正極集電部材130とは、フィレット151を形成してロウ付け接合されている。しかも、このフィレット151の内部には、ブローホールが含まれていない。
【0027】
ところで、従来のアルカリ蓄電池では、正極基板として、樹脂骨格を有する正極基板(例えば、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板)を用いた場合には、正極(正極リード)と正極集電部材とを溶接したときに、正極基板に含まれる樹脂の一部が熱分解し、フィレットの内部にブローホールが形成されてしまうことがあった。
【0028】
これに対し、本実施形態のアルカリ蓄電池100では、正極基板121kとして、樹脂骨格を有する正極基板(詳細には、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板)を用いているにも拘わらず、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して、正極リード121rと正極集電部材130とがロウ付け接合されている。これにより、正極リード121rと正極集電部材130との接合が強固となる。
【0029】
このように、本実施形態のアルカリ蓄電池100は、樹脂骨格を有する正極基板121kを用いているため、正極基板121k自身が強固となり、充放電の繰り返しに伴う正極121の膨張変形を抑制することができる。しかも、上記のように、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して、正極リード121rと正極集電部材130とがロウ付け接合されているので、正極121と正極集電部材130との接続信頼性の高いアルカリ蓄電池となる。
【0030】
このような本実施形態のアルカリ蓄電池100は、以下のようにして製造する。
(正極形成工程)
図4に示すように、帯状をなすニッケル被覆樹脂基板21の表面21bのうち、幅方向(図中、上下方向)中央部21dの位置に、帯状の正極リード基材21rを溶接する。なお、ニッケル被覆樹脂基板21としては、例えば、スルホン化処理を施した不織布(例えば、ポリプロピレン繊維などを含む不織布)にニッケルめっきを施した、ニッケル被覆樹脂基板を用いることができる。また、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dは、予め、その厚み方向(図中、紙面に直交する方向)に圧延されているため、空隙部が消失している。
【0031】
また、正極リード基材21rとしては、例えば、ニッケルを主成分とする肉薄の金属板を用いることができる。さらには、メッシュメタルやエキスパンドメタルを肉薄の金属板の表面に接合したものを、正極リード基材21rとして用いることができる。この場合は、正極リード基材21rのうちメッシュメタルやエキスパンドメタル側の面を、ニッケル被覆樹脂基板21に接触させて溶接することで、ニッケル被覆樹脂基板21に対し、正極リード基材21rを強固に接合することができる。
【0032】
次いで、図5に示すように、高温に加熱された金属棒10を、ニッケル被覆樹脂基板21の裏面21cのうち、幅方向中央部21dの位置に接触させつつ、ニッケル被覆樹脂基板21の長手方向(図中、矢印で示す右方向)に進行させる。この金属棒10は、ニッケル被覆樹脂基板21に含まれる樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)の熱分解温度より高い温度(例えば、500℃)に加熱されているので、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dに含まれる樹脂を、熱分解して消失させることができる。これにより、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dの位置に、正極リード基材21rの一部(後に、突出部21rtとなる部位)を、長手方向(図5中、左右方向)に露出させることができる。なお、本実施形態では、幅方向中央部21dが、接触基板部に相当する。
【0033】
次いで、幅方向中央部21dに含まれる樹脂を消失させたニッケル被覆樹脂基板21の空隙部に、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を充填する。このとき、幅方向中央部21dには、予め圧延されて空隙部が存在しないため、正極活物質が充填されることはない。従って、ニッケル被覆樹脂基板21のうち、幅方向中央部21dを除く部位21sの空隙内に、正極活物質が充填される。
【0034】
次いで、図6に示すように、幅方向中央部21dに含まれる樹脂を消失させたニッケル被覆樹脂基板21を、幅方向中央位置Bの位置で2分割すると共に、所定位置C,D等の位置で、長手方向(図中、左右方向)について所定の長さずつ分割する。これにより、図7に示す正極121を、多数形成することができる。具体的には、図7(a)に示すように、正極基板121kの内部に正極活物質が充填された正極充填部121sと、正極基板121kの内部に正極活物質が充填されていない正極未充填部121tと、正極未充填部121tに溶接された正極リード121rとを有する正極121を形成することができる。
【0035】
しかも、本実施形態の正極121では、図7(b)に拡大して示すように、正極リード121rに、正極基板121k(正極未充填部121t)から突出して延びる突出部121rtを設けることができる。これは、上述のように、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dに含まれる樹脂を熱分解して消失させた後、ニッケル被覆樹脂基板21を分割するためである。
【0036】
なお、本実施形態では、正極基板121kからの突出部121rtの突出長Gを、約0.5mmとしている。また、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dに含まれる樹脂を、熱分解して消失させた工程が、突出部形成工程に相当する。また、本実施形態では、上述のように、帯状のニッケル被覆樹脂基板21から多数の正極121を製造できるので、正極121の生産性が良好となる。
【0037】
(溶接工程)
次に、上述のように形成した正極121を、正極集電部材130に溶接する。具体的には、図8に示すように、まず、正極集電部材130の内側面130bに、ニッケルを主成分とするロウ材150を、厚さ約0.3mmで帯状に塗布する。また、正極121と負極123との間にセパレータ125を介在させつつ、正極121と負極123とを交互に積層して、極板群120を形成する。
【0038】
次いで、図8に示すように、真空中で、正極集電部材130のうちロウ材150を塗布した塗布面に、正極リード121rの突出部121rtを突き当て、正極集電部材130を正極リード121rの突出部121rtに向けて加圧した状態で、正極集電部材130の外側面130cに電子ビームを照射する。これにより、図9に示すように、ロウ材150を一旦溶融させて、正極リード121rの突出部121rtを、正極集電部材130に接合することができる。このとき、正極リード121rの突出部121rtの周囲には、ロウ材150を主成分とするフィレット151が形成される。このようにして、図9に示すように、正極リード121rの突出部121rtと正極集電部材130とを、フィレット151を形成してロウ付け接合することができる。
【0039】
ところで、本実施形態の溶接工程では、フィレット151となる溶融金属(溶融したロウ材150が主成分の溶融金属)を、正極基板121k(正極未充填部121t)に接触させることなく、正極リード121rと正極集電部材130とを、フィレット151を形成して溶接することができた。このように、フィレット151となる溶融金属を正極基板121kに接触させないことにより、正極基板121kに含まれる樹脂が熱分解する虞がなく、フィレット151内部にブローホールが形成されてしまう虞がない。このため、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して、正極リード121rと正極集電部材130とを接合することができたと考えられる。
【0040】
以上より、本実施形態の製造方法によれば、正極リード121rと正極集電部材130との接合を強固にできる。従って、正極121と正極集電部材130との接続信頼性の高いアルカリ蓄電池100を製造できる。
また、本実施形態では、真空中で、正極リード121rと正極集電部材130とを溶接しているが、上記のように、正極基板121kに含まれる樹脂を熱分解させないようにすることで、真空度の低下をも防止することができる。このため、電子ビーム溶接を、適切に行うことができる。
【0041】
(組立工程)
次に、極板群120のうち負極123の負極リード123rを、封口部材115の内側面115b側に、電子ビーム溶接により接合する。また、これとは別に、電槽111に第1正極端子140b及び第2正極端子140cを固着する。具体的には、電槽111の貫通穴111hにシール部材145を装着すると共に、第1正極端子140b及び第2正極端子140cの極柱部141を外側から挿入する。次いで、極柱部141の筒内に流体圧をかけて、極柱部141の一端側を径方向外側に膨出させ、更に軸方向に圧縮変形させて、圧縮変形部141hを形成する。これにより、第1正極端子140b及び第2正極端子140cが、電槽111と電気的に絶縁しつつ、電槽111に固着される。
【0042】
次に、極板群120と封口部材115と正極集電部材130とが接合されてなる接合体のうち、正極集電部材130及び極板群120を、開口部111gから電槽111内に挿入すると共に、封口部材115で電槽111に蓋をする。次いで、外部からレーザを照射して、封口部材115と電槽111とを接合し、電槽111を封口する。次いで、第1正極端子140b及び第2正極端子140cの外側からその極柱部141の凹みに向けてレーザを照射し、極柱部141の圧縮変形部141hと正極集電部材130とを接合する。次いで、電槽111の天井部111aに位置する注入口111kから電解液を注入し、注入口111kを閉鎖するように安全弁113を取り付ける。その後、所定の工程を経て、図1に示すアルカリ蓄電池100が完成する。
【0043】
(変形形態)
上記の実施形態では、正極リード121rと正極集電部材130とを、ロウ付け接合したが、正極リードと正極集電部材とを、フィレットを形成して接合できれば、いずれの接合手法を用いても良い。例えば、図11に示すように、正極集電部材230の一部(図10において、凸部230f)を溶融させて、正極集電部材230の一部によりフィレット231を形成して、正極リード121rと正極集電部材230とを接合するようにしても良い。
【0044】
具体的には、まず、図10に示すように、内側面230bに複数の凹溝230dを有する正極集電部材230を用意する。次いで、真空中で、正極121のうち正極リード121rの突出部121rtを、正極集電部材230の凹溝230d内に挿入し、正極集電部材230を正極リード121rの突出部121rtに向けて加圧した状態で、正極集電部材230の外側面230cに電子ビームを照射する。これにより、図11に示すように、正極集電部材230の凸部230fを一旦溶融させて、正極リード121rの突出部121rtを、正極集電部材230に接合することができる。このとき、正極リード121rの突出部121rtの周囲には、正極集電部材230をなす金属によりフィレット231が形成される。
【0045】
このような手法でも、フィレット231となる溶融金属(正極集電部材230の一部が溶融した溶融金属)を、正極基板121k(正極未充填部121t)に接触させることなく、正極リード121rと正極集電部材230とを、フィレット231を形成して溶接することができる。これにより、内部にブローホールを含まないフィレット231を形成して、正極リード121rと正極集電部材230とを接合することができる。従って、正極リード121rと正極集電部材230とを、強固に接合することができる。
【0046】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0047】
例えば、実施形態等では、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dの位置に、正極リード基材21rを溶接し、幅方向中央部21dに含まれる樹脂を熱分解して消失させた後、幅方向中央位置B等の位置で分割することにより、多数の正極121を形成した。しかしながら、正極121は、このような手法により形成されたものに限らず、例えば、正極リード121rを、予め、正極基板121kから突出する形態で、正極基板121kの正極未充填部121tに溶接するようにしても良い。
【0048】
また、実施形態等では、正極基板121kとして、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板を用いて、ニッケル水素蓄電池(アルカリ蓄電池100)を製造した。しかしながら、本発明の製造方法は、樹脂骨格に金属めっきを施した(金属層で樹脂骨格を被覆した)正極基板を用いる電池であれば、いずれの電池についても、適用することができる。
また、実施形態等では、ニッケル水素蓄電池(アルカリ蓄電池100)の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、ニッケル水素蓄電池に限らず、樹脂骨格を有する正極基板を備える電池であれば、いずれの電池についても、適用することができる。
【0049】
また、実施形態等では、角形の電池(アルカリ蓄電池100)の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、角形の電池に限らず、他の形状の電池(例えば、円筒形状)についても、適用することができる。
また、実施形態等では、金属製の電池ケース110を備える電池(アルカリ蓄電池100)の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、金属製の電池ケースを備える電池に限らず、他の部材(例えば、樹脂製)の電池ケースを備える電池についても、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の正面図である。
【図2】実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の側面図である。
【図3】実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の断面図であり、図2のA−A断面図に相当する。
【図4】帯状のニッケル被覆樹脂基板21の表面21b上に正極リード基材21rを溶接した状態の上面図である。
【図5】実施形態にかかる突出部形成工程を説明する説明図である。
【図6】帯状のニッケル被覆樹脂基板21を分割する工程を説明する説明図である。
【図7】実施形態にかかる正極121を示す図であり、(a)はその上面図、(b)はE視拡大図である。
【図8】実施形態にかかる溶接工程を説明するための拡大断面図である。
【図9】実施形態にかかる溶接工程により、正極121の正極リード121rと正極集電部材130とを接合した状態を示す拡大断面図である。
【図10】変形形態にかかる溶接工程を説明するための拡大断面図である。
【図11】変形形態にかかる溶接工程により、正極121の正極リード121rと正極集電部材230とを接合した状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
21d 幅方向中央部(接触基板部)
100 アルカリ蓄電池
121 正極
121k 正極基板
121r 正極リード
121rt 突出部
130,230 正極集電部材
150 ロウ材
151,231 フィレット
G 突出長
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池、特に、樹脂骨格を有する正極基板を備える電池、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池、特に、アルカリ蓄電池は、ポータブル機器や携帯機器などの電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として注目されている。このようなアルカリ蓄電池としては、様々のものが提案されているが、このうち、水酸化ニッケルを主体とした活物質を含む正極と、水素吸蔵合金を主成分とした負極と、水酸化カリウムなどを含むアルカリ電解液とを備えるニッケル水素二次電池は、エネルギー密度が高く、信頼性に優れたアルカリ蓄電池として急速に普及している。
【0003】
ところで、ニッケル水素二次電池の正極は、電極の製法の違いによって、焼結式ニッケル電極とペースト式(非焼結式)ニッケル電極との2種類に大別される。このうち、焼結式ニッケル電極は、穿孔鋼板(パンチングメタル)の両面にニッケル微粉末を焼結した多孔性焼結基板の微細孔内に、溶液含浸法などによって、水酸化ニッケルを析出させて製作される。一方、ペースト式ニッケル電極は、高多孔度の発泡ニッケル多孔体基板(発泡ニッケル基板)の細孔内に、水酸化ニッケルを含む活物質を直接に充填して作製される。このペースト式ニッケル電極は、水酸化ニッケルの充填密度が高く、高エネルギー密度化が容易であるために、現在では、ニッケル水素蓄電池用正極の主流となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−15769号公報
【特許文献2】特開平8−321303号公報
【特許文献3】特開2001−313038号公報
【0005】
ペースト式ニッケル電極に用いられる発泡ニッケル基板は、発砲ポリウレタンシートの樹脂骨格にニッケルめっきを施した後、樹脂骨格を焼失させることにより作製する。このような手法により、空隙率の高いニッケル基板を得ることができ、水酸化ニッケルの充填密度を高めることが可能となるが、樹脂骨格を焼失させる工程が必要なため、製造コストが高いという課題があった。また、発泡ニッケル基板の強度が弱いために、充放電の繰り返しによって、ニッケル電極(正極)が大きく膨張してしまう虞がある。このため、ニッケル電極が大きく膨張すると、セパレータが圧縮され、これに伴い、セパレータ内の電解液が減少し、内部抵抗の上昇や充放電効率の低下を引き起こす虞があった。
【0006】
このような問題を解決するべく、近年、不織布などの樹脂骨格にニッケルめっきを施し、樹脂骨格を焼失させることなく作製した正極基板(集電材)、これを用いたアルカリ蓄電池が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。不織布などの樹脂骨格を含む正極基板を用いることにより、正極基板を強固にできるので、正極の膨張を抑制することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アルカリ蓄電池としては、例えば、板状の正極、セパレータ、及び負極を、多数、交互に積層した極板群を有するアルカリ蓄電池が知られている。このアルカリ蓄電池では、多数の正極から正の電荷を集電する正極集電部材が設けられており、この正極集電部材と正極(具体的には、正極のうち正極リード)は、溶接により接合されている。
【0008】
ところが、正極として、樹脂骨格を含む正極基板を有する正極を用いた場合には、この正極(具体的には、正極のうち正極リード)と正極集電部材とを溶接したときに、正極基板に含まれる樹脂の一部が熱分解し、正極と正極集電部材との接合部(フィレットなど)の内部にブローホールが形成されてしまうことがあった。このため、正極と正極集電部材との接続信頼性に問題があった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その解決手段は、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び上記正極基板に固着された正極リード、を有する正極と、上記正極リードに接合された正極集電部材であって、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材との接合により形成されたフィレットは、内部にブローホールを含まないフィレットである電池である。
【0010】
本発明の電池では、正極基板として、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格を含む正極基板を用いている。これにより、正極基板の空隙部内に、十分な正極活物質を充填可能としつつ、正極基板が強固となる。
さらに、本発明の電池は、正極リードと正極集電部材とが、フィレット形成して接合されており、しかも、このフィレットの内部には、ブローホールが含まれていない。これにより、正極リードと正極集電部材との接合が強固となるので、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池となる。
【0011】
なお、正極リードと正極集電部材との接合形態としては、例えば、ロウ材によりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とがロウ付け接合されている形態が挙げられる。また、正極集電部材の一部(内側面)を溶融させて、これによりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とを接合するようにしても良い。
また、正極基板の金属被覆層としては、例えば、ニッケルからなるニッケル被覆層が挙げられる。また、本発明の電池としては、例えば、ニッケル水素蓄電池等のアルカリ蓄電池が挙げられる。
【0012】
他の解決手段は、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び上記正極基板に固着された正極リード、を有する正極と、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材とは、上記正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して接合されてなる電池である。
【0013】
本発明の電池では、正極基板として、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格を含む正極基板を用いている。これにより、正極基板の空隙部内に、十分な正極活物質を充填可能としつつ、正極基板が強固となる。
さらに、本発明の電池は、正極と正極集電部材とが、正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ(換言すれば、フィレットとなる溶融金属を正極基板に接触させることなく)、フィレットを形成して接合されている。このように形成されたフィレットの内部には、ブローホールが存在する危険性が小さいので、正極リードと正極集電部材との接合が強固となる。従って、本発明の電池は、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池となる。
【0014】
さらに、他の解決手段は、樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び上記正極基板に固着された正極リード、を有する正極と、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材とがフィレットを形成して接合されてなる電池の製造方法であって、上記正極基板を、上記フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して、上記正極リードと上記正極集電部材とを溶接する溶接工程を備える電池の製造方法である。
【0015】
本発明の製造方法は、溶接工程において、正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ(換言すれば、フィレットとなる溶融金属を正極基板に接触させることなく)、正極リードと正極集電部材とを、フィレットを形成して溶接する。このように、フィレットとなる溶融金属を正極基板に接触させないことにより、正極基板に含まれる樹脂が熱分解する虞がなく、フィレット内部にブローホールが形成されてしまう虞がない。従って、本発明の製造方法によれば、正極リードと正極集電部材との接合を強固にできるので、正極と正極集電部材との接続信頼性の高い電池を製造できる。
【0016】
なお、溶接工程における溶接形態としては、例えば、ロウ材によりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とをロウ付け接合する形態が挙げられる。また、正極集電部材の一部(内側面)を溶融させて、これによりフィレットを形成して、正極リードと正極集電部材とを接合するようにしても良い。
【0017】
さらに、上記の電池の製造方法であって、前記正極リードは、前記正極基板から突出して延びる突出部を含み、前記溶接工程は、上記正極集電部材に、上記正極リードの上記突出部を突き当てた状態で、上記正極リードと上記正極集電部材とを、前記フィレットを形成して溶接する電池の製造方法とすると良い。
【0018】
本発明の製造方法は、溶接工程において、正極集電部材に、正極基板から突出して延びる正極リードの突出部を突き当てた状態で、正極リードと正極集電部材とを、フィレットを形成して溶接する。正極集電部材に、正極基板から突出して延びる正極リードの突出部を突き当てることにより、正極集電部材と正極基板との間に間隙を設け、適切に、フィレットとなる溶融金属の正極基板への接触を防止できる。
【0019】
さらに、上記の電池の製造方法であって、前記溶接工程に先立って、前記正極基板に固着された前記正極リードについて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した前記突出部を形成する突出部形成工程を有し、上記突出部形成工程は、前記正極基板のうち、前記正極リードと接触している接触基板部の一部を、これに含まれる樹脂の熱分解により消失させて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した上記突出部を形成する電池の製造方法であると良い。
【0020】
本発明の製造方法は、溶接工程に先立つ突出部形成工程において、正極基板のうち、正極リードと接触している接触基板部の一部を、これに含まれる樹脂の熱分解により消失させて、正極基板から所定の突出長だけ突出した突出部を形成する。このように、予め、正極リードについて、正極基板から所定の突出長だけ突出した突出部を形成しておくことにより、溶接工程において、正極集電部材に正極リードの突出部を突き当てたときに、適切に、正極集電部材と正極基板との間に、所定の間隙を設けることができる。従って、溶接工程において、適切に、フィレットとなる溶融金属の正極基板への接触を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施形態)
図1は、本実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の正面図、図2はその側面図、図3はその断面図(図2のA−A断面図に相当する)である。
本実施形態にかかるアルカリ蓄電池100は、金属製(具体的には、ニッケルめっき鋼板)の電池ケース110と、安全弁113と、電池ケース110内に配置された、極板群120(図3参照)及び電解液(図示しない)とを備える角形密閉式ニッケル水素蓄電池である。このうち、セパレータ125としては、例えば、親水化処理された合成繊維からなる不織布を用いることができる。電解液としては、例えば、KOHを主成分とする比重1.2〜1.4のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0022】
極板群120は、図3に示すように、複数の正極121と複数の負極123とが、セパレータ125を介して交互に積層されることにより構成されている。
このうち、正極121は、正極基板121kの内部に正極活物質が充填された正極充填部121sと、正極基板121kの内部に正極活物質が充填されていない正極未充填部121tと、正極未充填部121tに溶接された正極リード121rとを有している。この正極121は、いずれも、正極リード121rが所定方向(図3中、右側)に延出するように配置されている。なお、本実施形態では、正極基板121kとして、樹脂骨格を有する正極基板(詳細には、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板)を用いている。また、正極活物質として、水酸化ニッケルを含む活物質を用いている。
【0023】
負極123は、負極基板123kの内部に負極活物質が充填された負極充填部123sと、負極基板123kの内部に負極活物質が充填されていない負極未充填部123tと、負極未充填部123tに溶接された負極リード123rとを有している。この負極123は、いずれも、正極リード121rとは反対方向(図3中、左側)に延出するように配置されている。なお、負極活物質として、水素吸蔵合金等を含む活物質を用いている。
【0024】
電池ケース110は、図3に示すように、金属(具体的には、ニッケルめっき鋼板)からなり、矩形箱形状をなす電槽111と、金属(具体的には、ニッケルめっき鋼板)からなり、矩形略板形状を有する封口部材115とを有している。このうち、電槽111の第3側壁部111e(図3において右側に位置する壁部)には、2つの貫通孔111hが形成されている。この2つの貫通孔111hには、電気絶縁性のシール部材145を介在させて、第1正極端子140bと第2正極端子140cとが挿設されている。また、封口部材115は、電槽111の開口端面111f上(図3参照)に当接した状態で全周溶接され、電槽111の開口部111gを封止している。これにより、封口部材115と電槽111とが一体化して、電池ケース110をなしている。
【0025】
また、図3に示すように、正極121の正極リード121rは、いずれも、矩形板状をなす正極集電部材130の内側面130bに、電子ビーム溶接等によりロウ付け接合されている。さらに、正極集電部材130は、レーザー溶接等により、第1正極端子140b及び第2正極端子140cに接合されている。これにより、第1正極端子140b及び第2正極端子140cと正極121とが、電気的に接続される。また、負極123の負極リード123rは、いずれも、矩形板状をなす封口部材115の内側面115bに、電子ビーム溶接等により接合されている。これにより、本実施形態のアルカリ蓄電池100では、封口部材115を含めた電池ケース110全体が負極となる。
【0026】
ここで、正極121の正極リード121rと正極集電部材130との接合状態を、図9に拡大して示す。正極リード121rと正極集電部材130とは、フィレット151を形成してロウ付け接合されている。しかも、このフィレット151の内部には、ブローホールが含まれていない。
【0027】
ところで、従来のアルカリ蓄電池では、正極基板として、樹脂骨格を有する正極基板(例えば、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板)を用いた場合には、正極(正極リード)と正極集電部材とを溶接したときに、正極基板に含まれる樹脂の一部が熱分解し、フィレットの内部にブローホールが形成されてしまうことがあった。
【0028】
これに対し、本実施形態のアルカリ蓄電池100では、正極基板121kとして、樹脂骨格を有する正極基板(詳細には、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板)を用いているにも拘わらず、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して、正極リード121rと正極集電部材130とがロウ付け接合されている。これにより、正極リード121rと正極集電部材130との接合が強固となる。
【0029】
このように、本実施形態のアルカリ蓄電池100は、樹脂骨格を有する正極基板121kを用いているため、正極基板121k自身が強固となり、充放電の繰り返しに伴う正極121の膨張変形を抑制することができる。しかも、上記のように、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して、正極リード121rと正極集電部材130とがロウ付け接合されているので、正極121と正極集電部材130との接続信頼性の高いアルカリ蓄電池となる。
【0030】
このような本実施形態のアルカリ蓄電池100は、以下のようにして製造する。
(正極形成工程)
図4に示すように、帯状をなすニッケル被覆樹脂基板21の表面21bのうち、幅方向(図中、上下方向)中央部21dの位置に、帯状の正極リード基材21rを溶接する。なお、ニッケル被覆樹脂基板21としては、例えば、スルホン化処理を施した不織布(例えば、ポリプロピレン繊維などを含む不織布)にニッケルめっきを施した、ニッケル被覆樹脂基板を用いることができる。また、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dは、予め、その厚み方向(図中、紙面に直交する方向)に圧延されているため、空隙部が消失している。
【0031】
また、正極リード基材21rとしては、例えば、ニッケルを主成分とする肉薄の金属板を用いることができる。さらには、メッシュメタルやエキスパンドメタルを肉薄の金属板の表面に接合したものを、正極リード基材21rとして用いることができる。この場合は、正極リード基材21rのうちメッシュメタルやエキスパンドメタル側の面を、ニッケル被覆樹脂基板21に接触させて溶接することで、ニッケル被覆樹脂基板21に対し、正極リード基材21rを強固に接合することができる。
【0032】
次いで、図5に示すように、高温に加熱された金属棒10を、ニッケル被覆樹脂基板21の裏面21cのうち、幅方向中央部21dの位置に接触させつつ、ニッケル被覆樹脂基板21の長手方向(図中、矢印で示す右方向)に進行させる。この金属棒10は、ニッケル被覆樹脂基板21に含まれる樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)の熱分解温度より高い温度(例えば、500℃)に加熱されているので、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dに含まれる樹脂を、熱分解して消失させることができる。これにより、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dの位置に、正極リード基材21rの一部(後に、突出部21rtとなる部位)を、長手方向(図5中、左右方向)に露出させることができる。なお、本実施形態では、幅方向中央部21dが、接触基板部に相当する。
【0033】
次いで、幅方向中央部21dに含まれる樹脂を消失させたニッケル被覆樹脂基板21の空隙部に、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を充填する。このとき、幅方向中央部21dには、予め圧延されて空隙部が存在しないため、正極活物質が充填されることはない。従って、ニッケル被覆樹脂基板21のうち、幅方向中央部21dを除く部位21sの空隙内に、正極活物質が充填される。
【0034】
次いで、図6に示すように、幅方向中央部21dに含まれる樹脂を消失させたニッケル被覆樹脂基板21を、幅方向中央位置Bの位置で2分割すると共に、所定位置C,D等の位置で、長手方向(図中、左右方向)について所定の長さずつ分割する。これにより、図7に示す正極121を、多数形成することができる。具体的には、図7(a)に示すように、正極基板121kの内部に正極活物質が充填された正極充填部121sと、正極基板121kの内部に正極活物質が充填されていない正極未充填部121tと、正極未充填部121tに溶接された正極リード121rとを有する正極121を形成することができる。
【0035】
しかも、本実施形態の正極121では、図7(b)に拡大して示すように、正極リード121rに、正極基板121k(正極未充填部121t)から突出して延びる突出部121rtを設けることができる。これは、上述のように、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dに含まれる樹脂を熱分解して消失させた後、ニッケル被覆樹脂基板21を分割するためである。
【0036】
なお、本実施形態では、正極基板121kからの突出部121rtの突出長Gを、約0.5mmとしている。また、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dに含まれる樹脂を、熱分解して消失させた工程が、突出部形成工程に相当する。また、本実施形態では、上述のように、帯状のニッケル被覆樹脂基板21から多数の正極121を製造できるので、正極121の生産性が良好となる。
【0037】
(溶接工程)
次に、上述のように形成した正極121を、正極集電部材130に溶接する。具体的には、図8に示すように、まず、正極集電部材130の内側面130bに、ニッケルを主成分とするロウ材150を、厚さ約0.3mmで帯状に塗布する。また、正極121と負極123との間にセパレータ125を介在させつつ、正極121と負極123とを交互に積層して、極板群120を形成する。
【0038】
次いで、図8に示すように、真空中で、正極集電部材130のうちロウ材150を塗布した塗布面に、正極リード121rの突出部121rtを突き当て、正極集電部材130を正極リード121rの突出部121rtに向けて加圧した状態で、正極集電部材130の外側面130cに電子ビームを照射する。これにより、図9に示すように、ロウ材150を一旦溶融させて、正極リード121rの突出部121rtを、正極集電部材130に接合することができる。このとき、正極リード121rの突出部121rtの周囲には、ロウ材150を主成分とするフィレット151が形成される。このようにして、図9に示すように、正極リード121rの突出部121rtと正極集電部材130とを、フィレット151を形成してロウ付け接合することができる。
【0039】
ところで、本実施形態の溶接工程では、フィレット151となる溶融金属(溶融したロウ材150が主成分の溶融金属)を、正極基板121k(正極未充填部121t)に接触させることなく、正極リード121rと正極集電部材130とを、フィレット151を形成して溶接することができた。このように、フィレット151となる溶融金属を正極基板121kに接触させないことにより、正極基板121kに含まれる樹脂が熱分解する虞がなく、フィレット151内部にブローホールが形成されてしまう虞がない。このため、内部にブローホールを含まないフィレット151を形成して、正極リード121rと正極集電部材130とを接合することができたと考えられる。
【0040】
以上より、本実施形態の製造方法によれば、正極リード121rと正極集電部材130との接合を強固にできる。従って、正極121と正極集電部材130との接続信頼性の高いアルカリ蓄電池100を製造できる。
また、本実施形態では、真空中で、正極リード121rと正極集電部材130とを溶接しているが、上記のように、正極基板121kに含まれる樹脂を熱分解させないようにすることで、真空度の低下をも防止することができる。このため、電子ビーム溶接を、適切に行うことができる。
【0041】
(組立工程)
次に、極板群120のうち負極123の負極リード123rを、封口部材115の内側面115b側に、電子ビーム溶接により接合する。また、これとは別に、電槽111に第1正極端子140b及び第2正極端子140cを固着する。具体的には、電槽111の貫通穴111hにシール部材145を装着すると共に、第1正極端子140b及び第2正極端子140cの極柱部141を外側から挿入する。次いで、極柱部141の筒内に流体圧をかけて、極柱部141の一端側を径方向外側に膨出させ、更に軸方向に圧縮変形させて、圧縮変形部141hを形成する。これにより、第1正極端子140b及び第2正極端子140cが、電槽111と電気的に絶縁しつつ、電槽111に固着される。
【0042】
次に、極板群120と封口部材115と正極集電部材130とが接合されてなる接合体のうち、正極集電部材130及び極板群120を、開口部111gから電槽111内に挿入すると共に、封口部材115で電槽111に蓋をする。次いで、外部からレーザを照射して、封口部材115と電槽111とを接合し、電槽111を封口する。次いで、第1正極端子140b及び第2正極端子140cの外側からその極柱部141の凹みに向けてレーザを照射し、極柱部141の圧縮変形部141hと正極集電部材130とを接合する。次いで、電槽111の天井部111aに位置する注入口111kから電解液を注入し、注入口111kを閉鎖するように安全弁113を取り付ける。その後、所定の工程を経て、図1に示すアルカリ蓄電池100が完成する。
【0043】
(変形形態)
上記の実施形態では、正極リード121rと正極集電部材130とを、ロウ付け接合したが、正極リードと正極集電部材とを、フィレットを形成して接合できれば、いずれの接合手法を用いても良い。例えば、図11に示すように、正極集電部材230の一部(図10において、凸部230f)を溶融させて、正極集電部材230の一部によりフィレット231を形成して、正極リード121rと正極集電部材230とを接合するようにしても良い。
【0044】
具体的には、まず、図10に示すように、内側面230bに複数の凹溝230dを有する正極集電部材230を用意する。次いで、真空中で、正極121のうち正極リード121rの突出部121rtを、正極集電部材230の凹溝230d内に挿入し、正極集電部材230を正極リード121rの突出部121rtに向けて加圧した状態で、正極集電部材230の外側面230cに電子ビームを照射する。これにより、図11に示すように、正極集電部材230の凸部230fを一旦溶融させて、正極リード121rの突出部121rtを、正極集電部材230に接合することができる。このとき、正極リード121rの突出部121rtの周囲には、正極集電部材230をなす金属によりフィレット231が形成される。
【0045】
このような手法でも、フィレット231となる溶融金属(正極集電部材230の一部が溶融した溶融金属)を、正極基板121k(正極未充填部121t)に接触させることなく、正極リード121rと正極集電部材230とを、フィレット231を形成して溶接することができる。これにより、内部にブローホールを含まないフィレット231を形成して、正極リード121rと正極集電部材230とを接合することができる。従って、正極リード121rと正極集電部材230とを、強固に接合することができる。
【0046】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0047】
例えば、実施形態等では、ニッケル被覆樹脂基板21の幅方向中央部21dの位置に、正極リード基材21rを溶接し、幅方向中央部21dに含まれる樹脂を熱分解して消失させた後、幅方向中央位置B等の位置で分割することにより、多数の正極121を形成した。しかしながら、正極121は、このような手法により形成されたものに限らず、例えば、正極リード121rを、予め、正極基板121kから突出する形態で、正極基板121kの正極未充填部121tに溶接するようにしても良い。
【0048】
また、実施形態等では、正極基板121kとして、不織布にニッケルめっきを施したニッケル被覆樹脂基板を用いて、ニッケル水素蓄電池(アルカリ蓄電池100)を製造した。しかしながら、本発明の製造方法は、樹脂骨格に金属めっきを施した(金属層で樹脂骨格を被覆した)正極基板を用いる電池であれば、いずれの電池についても、適用することができる。
また、実施形態等では、ニッケル水素蓄電池(アルカリ蓄電池100)の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、ニッケル水素蓄電池に限らず、樹脂骨格を有する正極基板を備える電池であれば、いずれの電池についても、適用することができる。
【0049】
また、実施形態等では、角形の電池(アルカリ蓄電池100)の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、角形の電池に限らず、他の形状の電池(例えば、円筒形状)についても、適用することができる。
また、実施形態等では、金属製の電池ケース110を備える電池(アルカリ蓄電池100)の製造方法について説明したが、本発明の製造方法は、金属製の電池ケースを備える電池に限らず、他の部材(例えば、樹脂製)の電池ケースを備える電池についても、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の正面図である。
【図2】実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の側面図である。
【図3】実施形態にかかるアルカリ蓄電池100の断面図であり、図2のA−A断面図に相当する。
【図4】帯状のニッケル被覆樹脂基板21の表面21b上に正極リード基材21rを溶接した状態の上面図である。
【図5】実施形態にかかる突出部形成工程を説明する説明図である。
【図6】帯状のニッケル被覆樹脂基板21を分割する工程を説明する説明図である。
【図7】実施形態にかかる正極121を示す図であり、(a)はその上面図、(b)はE視拡大図である。
【図8】実施形態にかかる溶接工程を説明するための拡大断面図である。
【図9】実施形態にかかる溶接工程により、正極121の正極リード121rと正極集電部材130とを接合した状態を示す拡大断面図である。
【図10】変形形態にかかる溶接工程を説明するための拡大断面図である。
【図11】変形形態にかかる溶接工程により、正極121の正極リード121rと正極集電部材230とを接合した状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0051】
21d 幅方向中央部(接触基板部)
100 アルカリ蓄電池
121 正極
121k 正極基板
121r 正極リード
121rt 突出部
130,230 正極集電部材
150 ロウ材
151,231 フィレット
G 突出長
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、
上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び
上記正極基板に固着された正極リード、
を有する正極と、
上記正極リードに接合された正極集電部材であって、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、
上記正極リードと上記正極集電部材との接合により形成されたフィレットは、内部にブローホールを含まないフィレットである
電池。
【請求項2】
樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、
上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び
上記正極基板に固着された正極リード、
を有する正極と、
上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、
上記正極リードと上記正極集電部材とは、
上記正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して接合されてなる
電池。
【請求項3】
樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、
上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び
上記正極基板に固着された正極リード、
を有する正極と、
上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材とがフィレットを形成して接合されてなる
電池の製造方法であって、
上記正極基板を、上記フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して、上記正極リードと上記正極集電部材とを溶接する溶接工程を備える
電池の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電池の製造方法であって、
前記正極リードは、前記正極基板から突出して延びる突出部を含み、
前記溶接工程は、
上記正極集電部材に、上記正極リードの上記突出部を突き当てた状態で、上記正極リードと上記正極集電部材とを、前記フィレットを形成して溶接する
電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池の製造方法であって、
前記溶接工程に先立って、前記正極基板に固着された前記正極リードについて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した前記突出部を形成する突出部形成工程を有し、
上記突出部形成工程は、
前記正極基板のうち、前記正極リードと接触している接触基板部の一部を、これに含まれる樹脂の熱分解により消失させて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した上記突出部を形成する
電池の製造方法。
【請求項1】
樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、
上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び
上記正極基板に固着された正極リード、
を有する正極と、
上記正極リードに接合された正極集電部材であって、上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、
上記正極リードと上記正極集電部材との接合により形成されたフィレットは、内部にブローホールを含まないフィレットである
電池。
【請求項2】
樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、
上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び
上記正極基板に固着された正極リード、
を有する正極と、
上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、
上記正極リードと上記正極集電部材とは、
上記正極基板を、フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して接合されてなる
電池。
【請求項3】
樹脂からなり三次元網状構造を有する樹脂骨格と、金属からなり上記樹脂骨格を被覆する金属被覆層とを備え、複数の孔が三次元に連結した空隙部を有する正極基板、
上記正極基板の上記空隙部内に充填された正極活物質、及び
上記正極基板に固着された正極リード、
を有する正極と、
上記正極リードを通じて、上記正極から正の電荷を集電する正極集電部材と、を備え、上記正極リードと上記正極集電部材とがフィレットを形成して接合されてなる
電池の製造方法であって、
上記正極基板を、上記フィレットとなる溶融金属から離間させつつ、上記フィレットを形成して、上記正極リードと上記正極集電部材とを溶接する溶接工程を備える
電池の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電池の製造方法であって、
前記正極リードは、前記正極基板から突出して延びる突出部を含み、
前記溶接工程は、
上記正極集電部材に、上記正極リードの上記突出部を突き当てた状態で、上記正極リードと上記正極集電部材とを、前記フィレットを形成して溶接する
電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池の製造方法であって、
前記溶接工程に先立って、前記正極基板に固着された前記正極リードについて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した前記突出部を形成する突出部形成工程を有し、
上記突出部形成工程は、
前記正極基板のうち、前記正極リードと接触している接触基板部の一部を、これに含まれる樹脂の熱分解により消失させて、前記正極基板から所定の突出長だけ突出した上記突出部を形成する
電池の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−302781(P2006−302781A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125667(P2005−125667)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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