説明

電池、及び電池の製造方法

【課題】 発電要素を収容する電池ケースを確実に気密にでき、電池ケースの気密性の信頼度を高めて安定した品質を確保することのできる電池を提供する。
【解決手段】 発電要素及び発電要素に接続された集電部材を収容する電池ケースと、電池ケースの外側に配置された出力端子と、集電部材と出力端子とを電気的に接続する軸状接続体と、電池ケースの内部空間を画定する隔壁を挟んで配置された一対の絶縁パッキンとを備え、一対の絶縁パッキンの少なくとも何れか一方は、隔壁に穿設された貫通穴に対して同心で嵌入可能な筒状部を備え、軸状接続体は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定された軸部と、該軸部の一端に連設され、該軸部よりも大径に設定された抜止部とを備え、軸部が筒状部に圧入された状態で該軸部の少なくとも他端側が絶縁パッキン上の集電部材と螺合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器の電力供給源として採用される電池に関し、特に発電要素を収容する電池ケースが密閉された密閉型の電池、及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種機器の電力供給源として採用される電池には、各種タイプのものがあり、その一つとして、リチウムイオン二次電池等の密閉型の電池が提供されている。
【0003】
かかる電池は、図9に示す如く、充放電可能な発電要素2’と、発電要素2’に対して電気的に接続された集電部材3a’,3b’と、前記発電要素2’及び集電部材3a’,3b’を収容する電池ケース4’と、該電池ケース4’の外側に配置された出力端子5a’,5b’と、電池ケース4’の内部空間42’を画定する隔壁41’に穿設された貫通穴410a’,410b’(図10参照)に挿通され、電池ケース4’内外にある集電部材3a’,3b’と出力端子5a’,5b’とを電気的に接続する軸状接続体6a’,6b’とを備えている。
【0004】
そして、この種の電池1’は、図10に示す如く、電池ケース4’の隔壁41’を挟むように一対の絶縁パッキン7a1’,7a2’,7b1’,7b2’が電池ケース4’の内外に配置され、軸状接続体6a’,6b’の外周と隔壁41’に穿設された前記貫通穴410a’,410b’の内周面との間が封止されている。
【0005】
より具体的に説明すると、この種の電池1’は、一対の絶縁パッキン7a1’,7a2’,7b1’,7b2’の少なくとも何れか一方が前記貫通穴410a’,410b’に対して同心で嵌入可能な筒状部71a1’,71b1’を備えており、軸状接続体6a’,6b’が絶縁パッキン7a1’,7b1’の筒状部71a1’,71b1’と電池ケース4’内の絶縁パッキン7a2’,7b2’に重ね合わされた集電部材3a’,3b’とに挿通された状態で軸線方向の圧縮力が作用するように端部がカシメ処理されている。
【0006】
すなわち、従来の電池1’は、軸状接続体6a’,6b’がリベット状に形成されており、筒状部71a1’,71b1’及び集電部材3a’,3b’に挿通された軸状接続体6a’,6b’の少なくとも何れか一方の端部がカシメ処理されている。なお、前記軸状接続体6a’,6b’は、棒状に形成されたものや、棒状の本体の一端に鍔部が形成されたものがあり、棒状の軸状接続体6a’,6b’が採用される場合には、軸状接続体6a’,6b’の両端が内外でカシメ処理され、棒状の本体の一端に鍔部が形成された軸状接続体6a’,6b’を採用する場合には、電池ケース4’内にある本体の他端部(先端部)がカシメ処理される。
【0007】
このように、上記構成の電池1’は、軸状接続体6a’,6b’の少なくとも何れか一端側がカシメ処理されているため、軸状接続体6a’,6b’が軸線方向の圧縮力による歪みで拡径しており、該軸状接続体6a’,6b’の外周面が絶縁パッキン7a1’,7b1’の筒状部71a1’,71b1’の内周面に密接しつつ径方向外方に押圧する(筒状部71a1’,71b1’を径方向外方に向けて圧迫する)とともに、軸状接続体6a’,6b’による筒状部71a1’,71b1’に対する押圧(圧迫)で該筒状部71a1’,71b1’が拡径して該筒状部71a1’,71b1’の外周面と貫通穴410a’,410b’の内周面とが密接している。
【0008】
これにより、上記構成の電池1’は、軸状接続体6a’,6b’の外周面と貫通穴410a’,410b’の内周面との間が封止され、電池ケース4’内への水分の進入の防止や電解液の漏れ防止等が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−283335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記電池1’は、カシメ処理に伴う軸状接続体6a’,6b’の拡径で絶縁パッキン7a1’7b1’(筒状部71a1’,71b1’)を軸状接続体6a’,6b’の外周面と貫通穴410a’,410b’の内周面に密接させるようにしているため、電池1’毎に電池ケース4’の気密性が異なり、性能や寿命等(電池ケース4’内への水分の進入や電解液の漏れ等を防止できる性能や期間等)に差が生じるといった問題があった。
【0011】
すなわち、軸状接続体6a’,6b’を塑性変形させるカシメ処理の加工精度や軸状接続体6a’,6b’の性状(例えば、サイズや組成)等が都度異なる(バラツキがある)ため、電池1’(軸状接続体6a’,6b’)毎にカシメ処理による軸状接続体6a’,6b’の拡径(拡径前の径に対する拡大率)にバラツキが生じてしまう。
【0012】
そのため、従来の電池1’は、軸状接続体6a’,6b’の拡径による筒状部71a1’,71b1’の圧迫状態にもバラツキが生じる結果、電池1’毎に筒状部71a1’,71b1’及び隔壁41’(貫通穴410a’,410b’の内周面)に対する軸状接続体6a’,6b’の密接状態にもバラツキが生じ、電池ケース4’の気密性(軸状接続体6a’,6b’の外周面と貫通穴410a’,410b’の内周面との間の封止性能)の信頼度が低いといった問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、発電要素を収容する電池ケースを確実に気密にでき、電池ケースの気密性の信頼度を高めて安定した品質を確保することのできる電池、及び電池の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る電池は、充放電可能な発電要素と、発電要素に対して電気的に接続された集電部材と、前記発電要素及び集電部材を収容する電池ケースと、該電池ケースの外側に配置された出力端子と、電池ケース内外にある集電部材と出力端子とを電気的に接続する軸状接続体と、電池ケースの内部空間を画定する隔壁を挟んで前記電池ケース内外に配置された一対の絶縁パッキンとを備え、一対の絶縁パッキンの少なくとも何れか一方は、前記隔壁に穿設された貫通穴に対して同心で嵌入可能な筒状部を備え、前記軸状接続体が前記筒状部に挿通された状態で集電部材と出力端子とを電気的に接続した電池において、前記軸状接続体は、筒状部に挿通される軸部と、該軸部の一端に連設され、該軸部よりも大径に設定された抜止部とを備え、前記軸部の他端側が絶縁パッキン上の集電部材と螺合されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成の電池によれば、軸部の他端側が集電部材に螺合されると、軸状接続体の抜止部及び集電部材が電池ケースの隔壁を挟んで配置された一対の絶縁パッキンに密接した状態(挟み込んだ状態)になる。これにより、軸部に軸心方向の引っ張り作用が生じるため、一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分に前記引っ張り作用に対する抗力(圧縮作用)が生じ、当該圧縮作用によって絶縁パッキンの筒状部が拡径した状態になる。
【0016】
これにより、筒状部が径方向内外に向けて押された状態になる結果、軸部の外周面及び貫通穴の内周面に対する筒状部の圧接が確実になり、軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の封止性能(電池ケースの気密性)を高められることになる。また、上述の如く、軸部の他端側が集電部材に螺合された状態で軸部に対する引っ張り作用(一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分の圧縮作用)が生じることで、集電部材が絶縁パッキンに密接した状態で確実に固定されるため、集電部材に接続された発電要素を電池ケース内の適正位置で確実に支持されることになる。
【0017】
このように上記構成の電池は、従来の電池のように筒状部の拡径にバラツキを生じさせる軸状接続体の変形(拡径)に頼ることなく、軸状接続体の定寸に設定された軸部で筒状部を拡径するようにしているため、電池毎に軸状接続体の筒状部及び貫通穴の内周面に対する密接状態にバラツキが生じることがなく、電池ケースの気密性(軸状接続体の外周面と貫通穴を画定する内周面との間の封止性能)の信頼度が高いものになる。
【0018】
本発明の一態様として、前記軸部は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定され、筒状部に圧入されていることが好ましい。このようにすれば、軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の封止性能(電池ケースの気密性)をより高めることができる。
【0019】
より具体的に説明すると、上記構成の電池によれば、前記軸部は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定され、筒状部に圧入された状態で該軸部の少なくとも他端側が絶縁パッキン上の集電部材と螺合されることになるため、筒状部が軸状接続体の軸部に押し広げられて拡径し、筒状部の外周が貫通穴の内周面に密接(圧接)した状態になる。
【0020】
このように筒状部が軸部に押し広げられて貫通穴の内周面に密接(圧接)すると、該筒状部は、径方向に圧縮されて肉厚が薄くなって(軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の隙間に対応した厚みになって)軸線方向の長さが延びようとするため、電池ケースの内外にある一対の絶縁パッキンは、筒状部の対応する部分が外側に膨出しようとする。
【0021】
しかしながら、上述の如く、軸部の他端側が集電部材に螺合されると、軸状接続体の抜止部及び集電部材が電池ケースの隔壁を挟んで配置された一対の絶縁パッキンに密接した状態(挟み込んだ状態)になる。これにより、軸部に軸心方向の引っ張り作用が生じるため、一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分に前記引っ張り作用に対する抗力(圧縮作用)が生じ、絶縁パッキンの外側に膨出しようとする部分(筒状部の対応する部分)が軸部と貫通穴の内周面との間に押し込まれたに等しい状態となる。
【0022】
これにより、筒状部が径方向内外に向けて押された状態になる結果、軸部の外周面及び貫通穴の内周面に対する筒状部の圧接がより確実になり、軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の封止性能(電池ケースの気密性)を高められることになる。また、上述の如く、軸部の他端側が集電部材に螺合された状態で軸部に対する引っ張り作用(一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分の圧縮作用)が生じることで、集電部材が絶縁パッキンに密接した状態で確実に固定されるため、集電部材に接続された発電要素を電池ケース内の適正位置で確実に支持されることになる。
【0023】
このように上記構成の電池は、従来の電池のように筒状部の拡径にバラツキを生じさせる軸状接続体の変形(拡径)に頼ることなく、軸状接続体の定寸に設定された軸部で筒状部を拡径するようにしているため、電池毎に軸状接続体の筒状部及び貫通穴の内周面に対する密接状態にバラツキが生じることがなく、電池ケースの気密性(軸状接続体の外周面と貫通穴を画定する内周面との間の封止性能)の信頼度が高いものになる。
【0024】
本発明の他態様に係る電池として、前記軸部は、筒状部と螺合していることが好ましい。このようにすれば、軸部が筒状部をより大きく拡径させようとするため、筒状部の外周が貫通穴の内周面により高い面圧で密接(圧接)した状態にすることができる。すなわち、軸部を筒状部にねじ込む(螺合させる)ときに、軸部の雄ネジに筒状部の内周部分が外側に押し除けられた状態になるため、筒状部がより大きく押し広げられて拡径しようとする結果、筒状部の外周が貫通穴の内周面により高い面圧で密接(圧接)することになり、軸部と貫通穴の内周面との封止性能がより高いものとなる。また、組み立て時において、軸状接続部の軸部を筒状部にねじ込むことで軸部が筒状部を径方向に押し広げながら該筒状部内に進入することになるため、軸部を筒状部の内穴よりも大径に設定しても筒状部に対して容易に圧入することができる。
【0025】
本発明の別の態様に係る電池として、前記軸部は、外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成されていることが好ましい。このようにすれば、軸部が筒状部に進入するにつれて該筒状部を大きく拡径させようとするため、筒状部の外周が貫通穴の内周面により高い面圧で密接(圧接)することになり、軸部と貫通穴の内周面との封止性能がより高いものとなる。
【0026】
本発明のさらに別の態様に係る電池として、前記出力端子は、前記軸状接続体に連設されていてもよい。このようにすれば、出力端子が軸状接続部と一体的になるため、強度的に優れたものになる。
【0027】
本発明の電池の製造方法は、一対の絶縁パッキンの少なくとも何れか一方に形成された筒状部を、電池ケースを形成するための蓋板に穿設された貫通穴に嵌合させ、蓋板を挟み込むように前記一対の絶縁パッキンを配置するパッキン配置工程と、出力端子に電気的に接続される軸状接続体を前記筒状部と蓋板の一方の面上に配置された絶縁パッキンに重ね合わされた集電部材とに挿通し、軸状接続体を前記集電部材に電気的に接続する集電部材接続工程と、充放電可能な発電要素及び該発電要素に電気的に接続された集電部材を上部が開放したケース本体内に収容し、該ケース本体の上部開口を前記蓋板で封止して発電要素及び集電部材を収容した電池ケースを形成するケース成型工程とを備えた電池の製造方法において、前記軸状接続体は、筒状部に挿通される軸部と、該軸部の一端に連設され、該軸部よりも大径に設定された抜止部とを備え、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に挿通して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させることを特徴とする。
【0028】
上記構成の電池の製造方法によれば、前記集電部材接続工程で軸部の他端側が集電部材に螺合されると、軸状接続体の抜止部及び集電部材が電池ケースの隔壁を挟んで配置された一対の絶縁パッキンに密接した状態(挟み込んだ状態)になる。これにより、軸部に軸心方向の引っ張り作用が生じるため、一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分に前記引っ張り作用に対する抗力(圧縮作用)が生じ、当該圧縮作用によって絶縁パッキンの筒状部が拡径した状態になる。
【0029】
これにより、筒状部が径方向内外に向けて押された状態になる結果、軸部の外周面及び貫通穴の内周面に対する筒状部の圧接が確実になり、軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の封止性能(電池ケースの気密性)を高められることになる。また、上述の如く、軸部の他端側が集電部材に螺合された状態で軸部に対する引っ張り作用(一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分の圧縮作用)が生じることで、集電部材が絶縁パッキンに密接した状態で確実に固定されるため、集電部材に接続された発電要素を電池ケース内の適正位置で確実に支持されることになる。
【0030】
このように上記構成の電池は、従来の電池のように筒状部の拡径にバラツキを生じさせる軸状接続体の変形(拡径)に頼ることなく、軸状接続体の定寸に設定された軸部で筒状部を拡径するようにしているため、電池毎に軸状接続体の筒状部及び貫通穴の内周面に対する密接状態にバラツキが生じることがなく、電池ケースの気密性(軸状接続体の外周面と貫通穴を画定する内周面との間の封止性能)の信頼度が高いものになる。
【0031】
本発明の一態様として、前記軸部は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定され、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させるようにしてもよい。このようにすれば、このようにすれば、軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の封止性能(電池ケースの気密性)をより高めることができる。
【0032】
より具体的に説明すると、上記構成の電池の製造方法によれば、前記軸部は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定され、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させるようにしているため、筒状部が軸状接続体の軸部に押し広げられて拡径し、筒状部の外周が貫通穴の内周面に密接(圧接)した状態になる。
【0033】
このように筒状部が軸部に押し広げられて貫通穴の内周面に密接(圧接)すると、該筒状部は、径方向に圧縮されて肉厚が薄くなって(軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の隙間に対応した厚みになって)軸線方向の長さが延びようとするため、電池ケースの内外にある一対の絶縁パッキンは、筒状部の対応する部分が外側に膨出しようとする。
【0034】
しかしながら、上述の如く、軸部の他端側が集電部材に螺合されると、軸状接続体の抜止部及び集電部材が電池ケースの隔壁を挟んで配置された一対の絶縁パッキンに密接した状態(挟み込んだ状態)になる。これにより、軸部に軸心方向の引っ張り作用が生じるため、一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分に前記引っ張り作用に対する抗力(圧縮作用)が生じ、絶縁パッキンの外側に膨出しようとする部分(筒状部の対応する部分)が軸部と貫通穴の内周面との間に押し込まれたに等しい状態となる。
【0035】
これにより、筒状部が径方向内外に向けて押された状態になる結果、軸部の外周面及び貫通穴の内周面に対する筒状部の圧接がより確実になり、軸部の外周面と貫通穴の内周面との間の封止性能(電池ケースの気密性)を高められることになる。また、上述の如く、軸部の他端側が集電部材に螺合された状態で軸部に対する引っ張り作用(一対の絶縁パッキンに対する抜止部及び集電部材の当接部分の圧縮作用)が生じることで、集電部材が絶縁パッキンに密接した状態で確実に固定されるため、集電部材に接続された発電要素を電池ケース内の適正位置で確実に支持されることになる。
【0036】
このように上記構成の電池の製造方法は、従来の電池のように筒状部の拡径にバラツキを生じさせる軸状接続体の変形(拡径)に頼ることなく、軸状接続体の定寸に設定された軸部で筒状部を拡径するようにしているため、電池毎に軸状接続体の筒状部及び貫通穴の内周面に対する密接状態にバラツキが生じることがなく、電池ケースの気密性(軸状接続体の外周面と貫通穴を画定する内周面との間の封止性能)の信頼度が高い電池を製造することができる。
【0037】
本発明の他態様に係る電池の製造方法として、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に螺合させつつ圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させることが好ましい。このようにすれば、軸部が筒状部をより大きく拡径させようとするため、筒状部の外周が貫通穴の内周面により高い面圧で密接(圧接)した状態にすることができる。すなわち、軸部を筒状部にねじ込む(螺合させる)ときに、軸部の雄ネジに筒状部の内周部分が外側に押し除けられた状態になるため、筒状部がより大きく押し広げられて拡径しようとする結果、筒状部の外周が貫通穴の内周面により高い面圧で密接(圧接)することになり、軸部と貫通穴の内周面との封止性能がより高いものとなる。また、軸状接続部の軸部を筒状部にねじ込むことで軸部が筒状部を径方向に押し広げながら該筒状部内に進入することになるため、軸部を筒状部の内穴よりも大径に設定しても筒状部に対して容易に圧入することができる。
【0038】
本発明の別の態様に係る電池の製造方法として、前記軸部は、外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成され、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部の他端側から筒状部に螺合させつつ圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させることが好ましい。このようにすれば、軸部が筒状部に進入するにつれて該筒状部を大きく拡径させようとするため、筒状部の外周が貫通穴の内周面により高い面圧で密接(圧接)することになり、軸部と貫通穴の内周面との封止性能がより高いものとなる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明の電池によれば、発電要素を収容する電池ケースを確実に気密にでき、電池ケースの気密性の信頼度を高めて安定した品質を確保することができるという優れた効果を奏し得る。
【0040】
本発明の電池の製造方法によれば、発電要素を収容する電池ケースを確実に気密にでき、電池ケースの気密性の信頼度を高めて安定した品質を確保することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池の全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る電池の分解斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る電池の軸状接続体の全体斜視図を示す。
【図4】同実施形態に係る電池の部分拡大断面図であって、(a)は、集電部材接続工程で軸状接続体の軸部を絶縁パッキン、蓋板(隔壁)、集電部材に圧入するときの部分拡大断面図を示し、(b)は、集電部材接続工程で軸状接続体の軸部を絶縁パッキン、蓋板(隔壁)、集電部材に圧入した状態の部分拡大断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る電池の製造方法のケース成型工程前の状態(電池を構成する部品の一部を組み立てた状態)の斜視図を示す。
【図6】本発明の他実施形態に係る電池の軸状接続体の全体斜視図を示す。
【図7】本発明の他実施形態に係る電池の部分拡大断面図を示す。
【図8】本発明の別の実施形態に係る電池の部分拡大断面図を示す。
【図9】従来の電池の全体斜視図を示す。
【図10】従来の電池の部分拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の一実施形態に係る電池及び該電池の製造方法について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0043】
本実施形態に係る電池は、図1及び図2に示す如く、充放電可能な発電要素2と、発電要素2に対して電気的に接続された集電部材3a,3bと、前記発電要素2及び集電部材3a,3bを収容する電池ケース4と、該電池ケース4の外側に配置された出力端子5a,5bと、電池ケース4内外にある集電部材3a,3bと出力端子5a,5bとを電気的に接続する軸状接続体6a,6bと、電池ケース4の内部空間42を画定する隔壁(後述する蓋板)41を挟んで前記電池ケース4内外に配置された一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2とを備えている。
【0044】
なお、本明細書及び添付図面において、後述の正極板及び負極板以外の構成で極性毎に設けられるものの符号に対し、正極用のものには「a」を付し、負極用のものには「b」を付している。また、添付図面において、正極側及び負極側の共通する構成(絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2、集電部材3a,3b、軸状接続体6a,6b)を単独で表現した図、及びこれらを含む部分拡大図において、正極側及び負極側を共通した図として示し、正極側の構成に対する符号に対して負極側の構成の符号を括弧書きにして並記している。
【0045】
前記発電要素2は、図2に示す如く、電気絶縁性を有するセパレータ20を介して正極板21と負極板22とが積層されて形成されている。正極板21及び負極板22は、それぞれ導電性を有するシート(例えば、アルミ箔や銅箔等の金属箔)を基材とし、積層状態で互いに重なり合う領域に極性に応じた活物質層が形成されている。
【0046】
前記発電要素2は、正極板21及び負極板22が一方向で位置をずらした状態で積層され、一方向の一端部に正極板21のみが積層された正極リード部23aが形成されるとともに一方向の他端部に負極板22のみが積層された負極リード部23bが形成されている。
【0047】
本実施形態に係る発電要素2は、セパレータ20、正極板21及び負極板22のそれぞれが長尺なシート状に形成され、長手方向と直交する方向(以下、短手方向という)で位置をずらした状態で積層され、該積層状態を維持しつつ長手方向の一端側から他端側に向けて巻回されている。
【0048】
これに伴い、本実施形態に係る発電要素2は、正極板21及び負極板22の巻回中心方向の一端側に正極板21(正極用の基材)のみが積層された正極リード部23aが形成され、前記巻回中心方向の他端側に負極板22(負極用の基材)のみが積層された負極リード部23bが形成されている。本実施形態に係る発電要素2は、積層状態にあるセパレータ20、正極板21及び負極板22が扁平状に巻回されており、正極リード部23a及び負極リード部23bのそれぞれは、巻回中心の両側に該巻回中心と直交する方向に延びるように形成されている。すなわち、正極リード部23a及び負極リード部23bのそれぞれは、扁平状の発電要素2の外周を構成する長辺部分に形成されている。なお、以下の説明において、正極リード部23a及び負極リード部23bについて、極性を問わない場合には総称してリード部23a,23bということし、極性の区別が必要である場合には正極リード部23a及び負極リード部23bということとする。
【0049】
前記集電部材3a,3bは、正極用及び負極用として二つ設けられている。該二つの集電部材3a,3bは、同形態に形成されている。各集電部材3a,3bは、所定形状に裁断された金属プレートを折り曲げ加工して形成されたもので、前記軸状接続体6a,6b(後述する軸部60a,60b)に接続されるベース部30a,30bと、該ベース部30a,30bに連設され、発電要素2のリード部23a,23bに接続されるリード接続部31a,31a,31b,31bとを備えている。
【0050】
前記ベース部30a,30bは、平面視四角形状をなす片状に形成され、所定位置に軸状接続体6a,6b(軸体)を螺合させるネジ穴32a,32bが形成されている。
【0051】
前記リード接続部31a,31a,31b,31bは、ベース部30a,30bの一端から該ベース部30a,30bと面交差する方向(本実施形態においては直交方向)に延出している。そして、該リード接続部31a,31a,31b,31bは、発電要素2のリード部23a,23bに沿って配置可能に形成されている。本実施形態に係る発電要素2は、正極リード部23a及び負極リード部23bのそれぞれが巻回中心の両側に形成されているため、各集電部材3a,3bのリード接続部31a,31a,31b,31bは、巻回中心の両側にあるリード部23a,23bのそれぞれに添設できるように一対設けられている。また、本実施形態に係る発電要素2は、扁平状に形成されて前記リード部23a,23bが発電要素2の長辺部分に形成されているため、リード接続部31a,31a,31b,31bは、リード部23a,23bのサイズに応じてベース部30a,30bからの延出方向で長手をなすように形成されている。
【0052】
本実施形態に係る集電部材3a,3bは、一対のリード接続部31a,31a,31b,31b間に発電要素2(リード部23a,23b)が介装され、一対のリード接続部31a,31a,31b,31bが発電要素2(リード部23a,23b)の最外周に沿って配置されるようになっている。なお、集電部材3a,3bをリード部23a,23bに接続するに当り、正極リード部23aに接続される一方の集電部材3aは、ベース部30aが発電要素2の一端側から他端側に向けて延出するように配置される一方、負極リード部23bに接続される他方の集電部材3bは、ベース部30bが発電要素2の他端側から一端側に向けて延出するように配置される。すなわち、一対の集電部材3a,3bは、発電要素2を挟んで対称(鏡像)配置される。
【0053】
本実施形態に係る電池1は、リード部23a,23bとリード接続部31a,31a,31b,31bとが溶着され、発電要素2と集電部材3a,3bとの間で通電可能となっている。リード部23a,23b及びリード接続部31a,31a,31b,31bは、直接溶着してもよいが、本実施形態に係る電池1は、リード部23a,23b及びリード接続部31a,31a,31b,31bをクリップ8a,8bで覆った上でこれらが一括して溶着されている。
【0054】
具体的に説明すると、本実施形態に係る電池1は、上記構成に加え、リード部23a,23bと該リード部23a,23bに添設されたリード接続部31a,31a,31b,31bとを一括して挟み込むクリップ8a,8bを備えている。該クリップ8a,8bは、金属製の薄板を二つ折りにしたもので、この二つ折りに伴って互いに対向する一対の対向片80a,80a,80b,80b間にリード部23a,23b及びリード接続部31a,31a,31b,31bが介入され、対向片80a,80a,80b,80b、リード部23a,23b及びリード接続部31a,31a,31b,31bが一括して溶着されている。なお、リード接続部31a,31a,31b,31bに対する接続(溶着)には、各種溶接方法を採用できるが、正極板21及び負極板22の基材の破損防止等の観点から超音波溶接を採用することが好ましい。
【0055】
本実施形態に係る電池ケース4は、外観六面体状に形成されており(図1参照)、発電要素2及び該発電要素2に接続された集電部材3a,3bを収容する内部空間42が形成されている。より具体的に説明すると、前記電池ケース4は、上部が開放した箱状のケース本体40と、該ケース本体40の上部開口を閉塞するための蓋板41とで構成されている。
【0056】
前記ケース本体40は、金属プレートが立体成形されたもので、平面視四角形状(本実施形態においては長方形状)の底部400と、該底部400の外周を構成する四辺(四つの端縁)のそれぞれから起立した四つの壁部401…とを備え、隣り合う壁部401…同士が接続されている。これにより、前記ケース本体40は、四つの壁部401…が底部400の平面形状に対応する四角形状(長方形状)の上部開口を画定している。
【0057】
そして、該ケース本体40は、発電要素2の巻回中心と当該ケース本体40の底部400の長手方向とが一致するように、集電部材3a,3bの取り付けられた発電要素2を収容できるようになっている。なお、この種の電池1は、一般的に発電要素2と該発電要素2に取り付けられた集電部材3a,3b(リード接続部31a,31a,31b,31b)とを電気絶縁性を有する絶縁袋B(図5参照)で覆った上でこれらが電池ケース4(ケース本体40)内に圧入され、電池ケース4内での発電要素2の揺れ動き等が規制される。
【0058】
前記蓋板41は、金属プレートで構成されており、平面形状がケース本体40の上部開口と対応するように形成されている。本実施形態において、上述の如く、ケース本体40の上部開口が四角形状になっているため、前記蓋板41は、平面視四角形状に形成されている。
【0059】
そして、該蓋板41は、一方向に間隔をあけて一対の貫通穴410a,410bが穿設されている。本実施形態に係る蓋板41は、上述の如く、平面視長方形状に形成され、一対の貫通穴410a,410bが長手方向に間隔をあけて設けられている。一対の貫通穴410a,410bは、発電要素2に取り付けられた集電部材3a,3b(ベース部30a,30b)のネジ穴32a,32bと同心になるように配置が設定され、絶縁パッキン7a1,7b1の後述する筒状部71a1,71b1を嵌合可能な穴径に設定されている。
【0060】
そして、該蓋板41は、ケース本体40の上部開口を閉じるように配置された上で外周全周がケース本体40の上端部(各壁部401…の上端部)に溶接されることで、ケース本体40とともに前記内部空間42を有する電池ケース4を形成するようになっている。
【0061】
前記出力端子5a,5bは、導電性材料で構成されており、一般的に金属材料で形成される。該出力端子5a,5bは、電気的な負荷に接続されたケーブルの端部に連設された接続端子や、電気的な負荷や別の電池1に接続するための接続金具(例えば、バスバー)を接続可能に形成され、本実施形態では円柱状に形成されている。本実施形態に係る出力端子5a,5bは、軸状接続体6a,6bと一体的に形成されている。すなわち、本実施形態に係る出力端子5a,5bは、軸状接続体6a,6bの一端(後述するトルク伝達部62a,62bの先端)に連設されている。
【0062】
前記軸状接続体6a,6bは、図3に示す如く、絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の筒状部71a1,71b1の内穴の穴径よりも大径に設定された軸部60a,60bと、該軸部60a,60bの一端に連設され、該軸部60a,60bよりも大径に設定された抜止部61a,61bとを備えている。
【0063】
該軸状接続体6a,6bは、前記軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1に圧入された状態で該軸部60a,60bの少なくとも他端側が絶縁パッキン7a2,7b2上の集電部材3a,3b(ベース部30a,30b)と螺合するように構成されている。また、本実施形態に係る軸状接続体6a,6bは、前記軸部60a,60bが絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1にも螺合するように構成されている。
【0064】
より具体的に説明すると、本実施形態に係る軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bは、軸心方向の長さが電池ケース4の隔壁である蓋板41の厚みと一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2(後述するパッキン本体部70a1,70a2,70b1,70b2)の厚みを合わせた合計厚み以上に設定されている。なお、軸部60a,60bを集電部材3a,3b(ベース部30a,30b)と螺合した状態で、発電要素2側に突出しすぎると該発電要素2と接触する(短絡する)虞があるため、軸体の軸心方向の長さは、前記合計厚みと同程度に設定することが好ましい。
【0065】
本実施形態において、前記軸部60a,60bの外周には、軸心方向全長に亘って雄ネジ(ネジ溝)が設けられている。そして、本実施形態に係る軸状接続体6a,6bは、前記軸部60a,60bの外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成されている。従って、本実施形態に係る軸部60a,60bは、テーパネジを構成している。これにより、本実施形態に係る電池1は、組み立て過程(後述する集電部材3a,3b接続工程)において、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bが絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1の内穴及び集電部材3a,3b(ベース部30a,30b)のネジ穴32a,32bにねじ込まれるようになっている。すなわち、本実施形態に係る電池1は、製造過程において、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bを絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1にねじ込むことで該筒状部71a1,71b1を径方向に押し広げるようになっており、筒状部71a1,71b1を通過した軸部60a,60bの先端側(他端側)が集電部材3a,3b(ベース部30a,30b)のネジ穴32a,32bと螺合するようになっている。
【0066】
前記抜止部61a,61bは、円板状に形成されており、軸部60a,60bと同心をなすように該軸部60a,60bの一端に連設されている。
【0067】
本実施形態に係る軸状接続体6a,6bは、製造過程で軸部60a,60bを絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1にねじ込んで集電部材3a,3bと螺合させるため、前記軸部60a,60b及び抜止部61a,61bに加え、抜止部61a,61bに連設された多角柱状のトルク伝達部62a,62bを備えている。これにより、該軸状接続体6a,6bは、製造過程においてスパナー、モンキーレンチ等の工具でトルク伝達部62a,62bに回転トルクを伝達でき、筒状部71a1,71b1に対するねじ込みと集電部材3a,3bに対する螺合とを簡単にできるようになっている。
【0068】
図2に戻り、前記一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2は、電気絶縁性を有する樹脂で成型されている。該一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2のうち、一方の絶縁パッキン7a1,7b1は電池ケース4を構成する蓋板41の一方の面(電池ケース4の外側になる面)上に配置され、他方の絶縁パッキン7a2,7b2は前記蓋板41の他方の面(電池ケース4の内側になる面)上に配置される。
【0069】
より具体的に説明すると、一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2は、それぞれ平面視四角形状をなすプレート状のパッキン本体部70a1,70a2,70b1,70b2を備えている。一方の絶縁パッキン7a1,7b1は、図4(a)に示す如く、パッキン本体部70a1,70b1に加え、蓋板41の貫通穴410a,410bに嵌合可能な筒状部71a1,71b1を備えている。
【0070】
該筒状部71a1,71b1は、パッキン本体部70a1,70b1の一方の面に凸設されている。該筒状部71a1,71b1は、内穴が軸線方向で同一径に設定される丸穴で構成されている。該内穴は、軸部60a,60bよりも小径に設定されている。本実施形態において、前記軸部60a,60bがテーパー状に形成されているため、筒状部71a1,71b1の内穴の内径は、軸部60a,60bの最小径よりも僅かに小さく設定されている。なお、筒状部71a1,71b1は、内周面にネジ溝(雌ネジ)が形成されておらず、外周にネジ溝(雄ネジ)の形成された軸部60a,60bがねじ込まれるようになっている。
【0071】
そして、筒状部71a1,71b1は、外径が蓋板41の貫通穴410a,410bの穴径と略一致しており、該貫通穴410a,410bに嵌合した状態で外周面が貫通穴410a,410bの内周面と接触又は略接触した状態になるように構成されている。本実施形態に係る筒状部71a1,71b1は、軸心方向の長さが蓋板41の板厚よりも僅かに長く設定されている。すなわち、一方の絶縁パッキン7a1,7b1は、筒状部71a1,71b1を蓋板41の貫通穴410a,410bに嵌入し、パッキン本体部70a1,70b1が蓋板41に接触した状態で、該筒状部71a1,71b1の先端側が蓋板41から突出するようになっている。
【0072】
そして、該一方の絶縁パッキン7a1,7b1は、パッキン本体部70a1,70b1に前記筒状部71a1,71b1の内穴と連続して貫通する軸部挿通穴72a1,72b1が穿設されている。また、該一方の絶縁パッキン7a1,7b1は、パッキン本体部70a1,70b1の他方の面(蓋板41と対向する面とは反対側の面)上に前記軸部挿通穴72a1,72b1を包囲する枠部73a1,73b1が凸設されている。
【0073】
該枠部73a1,73b1は、軸状接続体6a,6bの抜止部61a,61bの外形と対応する領域を画定するように形成されている。すなわち、一方の絶縁パッキン7a1,7b1は、軸部挿通穴72a1,72b1に軸部60a,60bを挿入した軸状接続体6a,6bの抜止部61a,61bが嵌合する凹部74a1,74b1が形成されている。該凹部74a1,74b1は軸部挿通穴72a1,72b1の穴中心と中心にして平面視円形状に形成されている。すなわち、該凹部74a1,74b1の平面視における形状は、軸状接続体6a,6bの抜止部61a,61bの断面形状に対応している。これにより、一方の絶縁パッキン7a1,7b1は、軸部60a,60bを筒状部71a1,71b1にねじ込むときに抜止部61a,61bが周囲を干渉することなく凹部内で回転できるようになっている。
【0074】
これに対し、他方の絶縁パッキン7a2,7b2は、一方の絶縁パッキン7a1,7b1と同様に、パッキン本体部70a2,70b2に貫通した軸部挿通穴72a2,72b2が穿設されている。そして、該他方の絶縁パッキン7a2,7b2は、パッキン本体部70a2,70b2の一方の面(蓋板41と対向する面)上に軸部挿通穴72a2,72b2と同心をなした平面視円形状の嵌入用凹部75a2,75b2が形成されている。該嵌入用凹部75a2,75b2は、内径が一方の絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1の外径と対応しており、当該他方の絶縁パッキン7a2,7b2を蓋板41の他方の面上に配置した状態で、該蓋板41から突出する一方の絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1の先端部が嵌入できるようになっている。
【0075】
また、嵌入用凹部75a2,75b2は、当該他方の絶縁パッキン7a2,7b2を蓋板41上に配置した状態で、嵌入した筒状部71a1,71b1の先端が奥側の面に接触するように深さが設定されている。なお、特に図示しないが、他方の絶縁パッキン7a2,7b2は、パッキン本体部70a2,70b2の他方の面に集電部材3a,3bのベース部30a,30bが重ね合わされたときに、該ベース部30a,30bとの相対的な配置を位置決めするための位置決め用の凸部が設けられる。
【0076】
本実施形態に係る電池1は、以上の通りであり、続いて、上記構成の電池1の製造方法(組み立て)について説明する。なお、ここでは電池ケース4を構成するケース本体40や蓋板41、発電要素2、集電部材3a,3b等の作製についての説明を省略し、上述した各構成を組み立てる工程について説明する。
【0077】
まず、ケース本体40の上部開口を蓋板41で封止する前に、図5に示す如く、該蓋板41に対して発電要素2、集電部材3a,3bを組み付ける。このとき、図4(a)に示す如く、蓋板41の一方の貫通穴410aの配置に対応するように一対の絶縁パッキン7a1,7a2を配置した後、正極用の出力端子5aが連設された軸状接続体6aを発電要素2の正極リード部23aに接続される正極用の集電部材3aに連結する。また、蓋板41の他方の貫通穴410bの配置に対応するように一対の絶縁パッキン7b1,7b2を配置した後、負極用の出力端子5bが連設された軸状接続体6bを発電要素2の負極リード部23bに接続される負極用の集電部材3bに連結する。
【0078】
ここで絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の配置(パッキン配置工程)、及び、集電部材3a,3bに対する軸状接続体6a,6bの接続(集電部材接続工程)について具体的に説明する。なお、正極側及び負極側は同一構成となっているため、ここでは正極側を一例に説明することとする。
【0079】
まず、蓋板41を挟み込むように前記一対の絶縁パッキン7a1,7a2を配置する(パッキン配置工程)。すなわち、一方の絶縁パッキン7a1の筒状部71a1と蓋板41の一方の貫通穴410aとを嵌合させて該一方の絶縁パッキン7a1を蓋板41の一方の面上に配置するとともに、他方の絶縁パッキン7a2の軸部挿通穴72a2と蓋板41の一方の貫通穴410aとが同心になるように該他方の絶縁パッキン7a2を蓋板41の他方の面上に配置する(パッキン配置工程)。
【0080】
本実施形態において、他方の絶縁パッキン7a2は、パッキン本体部70a2に嵌入用凹部75a2が形成されているため、上述の如く、軸部挿通穴72a2と蓋板41の一方の貫通穴410aとが同心になるように該他方の絶縁パッキン7a2を蓋板41の他方の面上に配置すると、一方の絶縁パッキン7a1の筒状部71a1の先端部(蓋板41から突出した端部)が嵌入用凹部75a2に嵌入し、該筒状部71a1の先端が他方の絶縁パッキン7a2(パッキン本体部70a2)と干渉した状態になる。
【0081】
そして、蓋板41の他方の面(内面)上に配置された他方の絶縁パッキン7a2上に正極用の集電部材3aを配置する。すなわち、一方の集電部材3aのベース部30aに穿設されたネジ穴32aと他方の絶縁パッキン7a2(パッキン本体部70a2)の軸部挿通穴72a2とが同心になるように、該一方の集電部材3aのベース部30aを他方の絶縁パッキン7a2(パッキン本体部70a2)に重ね合わせる。
【0082】
しかる後、軸状接続体6a,6bを一対の絶縁パッキン7a1,7a2(筒状部71a1及び軸部挿通穴72a1,72a2)に挿通し、蓋板41の他方の面上に配置された絶縁パッキン7a2に重ね合わされた一方の集電部材3aに軸状接続体6aを電気的に接続する。すなわち、軸状接続体6aの軸部60aを筒状部71a1に圧入して該軸部60aの他端側を前記一方の集電部材3aと螺合させる。本実施形態において、前記軸状接続体6aは、軸部60aの全長に亘って雄ネジが形成されているため、上述の如く、軸部60aを筒状部71a1に挿通させる際に、トルク伝達部62aに係合させた工具を操作してトルク伝達部62aに回転力を伝えると、軸状接続体6aの軸部60aが筒状部71a1に螺合しつつ圧入し、該軸部60aの他端側が一方の集電部材3a(ベース部30a)のネジ穴32aと螺合することになる。
【0083】
このように、軸状接続体6aの軸部60aを絶縁パッキン7a2の筒状部71a1に圧入すると、図4(b)に示す如く、筒状部71a1が軸状接続体6aの軸部60aに押し広げられて拡径し、筒状部71a1の外周が貫通穴410aの内周面に密接(圧接)した状態になる。
【0084】
特に、本実施形態に係る軸状接続体6aは、軸部60aに雄ネジが形成されているため、軸部60aが筒状部71a1をより大きく拡径させ、筒状部71a1の外周が貫通穴410aの内周面により高い面圧で密接(圧接)した状態になる。すなわち、軸部60aを筒状部71a1にねじ込む(螺合させる)ときに、軸部60aの雄ネジに筒状部71a1の内周部分が外側に押し除けられた状態になるため、筒状部71a1がより大きく押し広げられて拡径しようとする結果、筒状部71a1の外周が貫通穴410aの内周面により高い面圧で密接(圧接)することになる。
【0085】
また、前記軸部60aは、外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成されているため、軸部60aが筒状部71a1に進入するにつれて該筒状部71a1を大きく拡径させ、これによっても、筒状部71a1の外周が貫通穴410aの内周面により高い面圧で密接(圧接)することになる。
【0086】
このように筒状部71a1が軸部60aに押し広げられて貫通穴410aの内周面に密接(圧接)すると、該筒状部71a1が径方向に圧縮されて肉厚が薄く(軸部60aの外周面と貫通穴410aの内周面との間の隙間に対応した厚みになる)なるため、その軸線方向の長さが延びることになり、絶縁パッキン7a1の筒状部71a1の対応する部分が外側に膨出しようとするが、軸部60aの他端側が集電部材3aに螺合されると、軸状接続体6aの抜止部61a及び集電部材3aが電池ケース4の蓋板(隔壁)41を挟んで配置された一対の絶縁パッキン7a1,7a2に密接した状態(挟み込んだ状態)で軸部60aに軸心方向の引っ張り作用が生じるため、一対の絶縁パッキン7a1,7a2に対する抜止部61a及び集電部材3aの当接部分に前記引っ張り作用に対する抗力(圧縮力)が生じ、絶縁パッキン7a1,7a2の外側に膨出しようとする部分(筒状部71a1の対応する部分)が軸部60aと貫通穴410aの内周面との間に押し込まれたに等しい状態になる。すなわち、一対の絶縁パッキン7a1,7a2に対する抜止部61a及び集電部材3aの当接部分が、絶縁パッキン7a1,7a2の筒状部71a1の対応する部分の外側への膨出を規制することになる。
【0087】
これにより、筒状部71a1が径方向内外に向けて押された状態になる結果、軸部60aの外周面及び貫通穴410aの内周面に対する筒状部71a1の圧接がより確実になり、軸部60aの外周面と貫通穴410aの内周面との間の封止性能が高められることになる。また、上述の如く、軸部60aの他端側が集電部材3aに螺合された状態で軸部60aに引っ張り作用(一対の絶縁パッキン7a1,7a2に対する抜止部61a及び集電部材3aの当接部分の圧縮作用)が生じることで、集電部材3aが絶縁パッキン7a2に密接した状態で確実に固定される。
【0088】
そして、図4(a)及び図4(b)に示す如く、負極側についても、正極側と同様に、絶縁パッキン7b1,7b2を配置した上で、軸状接続体6bを集電部材3bに接続する。これにより、正極側と同様に、負極側においても、軸部60bの外周面と貫通穴410bの内周面との間の封止性能が高められ、集電部材3bが絶縁パッキン7b2に密接した状態で確実に固定される。すなわち、本実施形態に係る電池1は、上述の如く、正極側及び負極側の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2、集電部材3a,3b、及び軸状接続体6a,6bが共通した構成であるため、負極側においても、正極側と同様の作用及び効果を奏することになる。
【0089】
これにより、正極側及び負極側のそれぞれにおいて、軸部60a,60bの外周面と貫通穴410a,410bの内周面との間が確実に封止された状態で正極用及び負極用の集電部材3a,3bのそれぞれが蓋板41に対して固定された状態になる。なお、絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の配置(パッキン配置工程)、及び、集電部材3a,3bに対する軸状接続体6a,6bの接続(集電部材接続工程)は、正極側又は負極側の何れから行ってもよいことは言うまでもない。
【0090】
そして、上述のように集電部材3a,3bを蓋板41に固定する前、又は固定した後に正極用の集電部材3aを発電要素2の正極リード部23aに接続し、負極用の集電部材3bを発電要素2の負極リード部23bに接続する。このとき、リード接続部31a,31a,31b,31bとリード部23a,23bとを重ね合わせ、これらをクリップ8a,8bで覆った上で超音波溶接機等を用いて一括して溶着する。これにより、図5に示す如く、正極用及び負極用の集電部材3a,3bが発電要素2と一体的になる。
【0091】
そして、上述の如く、正極用及び負極用の集電部材3a,3bのそれぞれが蓋板41に対して固定されることで、集電部材3a,3b、発電要素2、及び軸状接続体6a,6bが電池ケース4の一部である蓋板41に対して絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2によって電気絶縁性が図られつつ電気的及び物理的に一体となる。本実施形態において、出力端子5a,5bが軸状接続体6a,6bと一体的になっているため、集電部材3a,3b、発電要素2、軸状接続体6a,6b、及び出力端子5a,5bが電気的及び物理的に一体となる。
【0092】
このように集電部材3a,3b、発電要素2、軸状接続体6a,6b、及び出力端子5a,5bが電気的及び物理的に一体になった後、発電要素2及び集電部材3a,3bを絶縁袋Bで覆った上でケース本体40に収容する。なお、ケース本体40に発電要素2及び集電部材3a,3bを収容する前又は収容した後にケース本体40に電解液が必要量入れられる。
【0093】
そして、図1に示す如く、発電要素2及び集電部材3a,3bをケース本体40に収容した後、蓋板41の全周とケース本体40の上端部(各壁部401…の上端部)とを溶接する(ケース成型工程)ことで、ケース本体40と蓋板41とが内部空間42を形成した電池ケース4になって上記構成の電池1が完成する。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る電池1は、軸状接続体6a,6bが筒状部71a1,71b1の内穴の穴径よりも大径に設定された軸部60a,60bと、該軸部60a,60bの一端に連設され、該軸部60a,60bよりも大径に設定された抜止部61a,61bとを備え、前記軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1に圧入された状態で該軸部60a,60bの他端側が絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2上の集電部材3a,3bと螺合されているため、軸部60a,60bの外周面及び貫通穴410a,410bの内周面に対する筒状部71a1,71b1の圧接がより確実になり、軸部60a,60bの外周面と貫通穴410a,410bの内周面との間の封止性能(電池ケース4の気密性)を高めることができる。その上、集電部材3a,3bが絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2に密接した状態で確実に固定されるため、集電部材3a,3bに接続された発電要素2を電池ケース4内の適正位置で確実に支持することができる。
【0095】
また、本実施形態に係る電池1は、軸状接続体6a,6bの定寸に設定された軸部60a,60bで筒状部71a1,71b1を拡径するようにしているため、電池1毎に筒状部71a1,71b1及び貫通穴410a,410bの内周面に対する軸状接続体6a,6bの密接状態にバラツキが生じることがなく、電池ケース4の気密性(軸状接続体6a,6bの外周面と貫通穴410a,410bの内周面との間の封止性能)の信頼度が高いものになる。
【0096】
さらに、本実施形態に係る電池1は、前記軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1と螺合しているため、筒状部71a1,71b1の外周が貫通穴410a,410bの内周面により高い面圧で密接(圧接)した状態にすることができる。すなわち、軸部60a,60bを筒状部71a1,71b1にねじ込む(螺合させる)ときに、軸部60a,60bの雄ネジに筒状部71a1,71b1の内周部分が外側に押し除けられた状態になるため、筒状部71a1,71b1がより大きく押し広げられて拡径しようとする結果、筒状部71a1,71b1の外周が貫通穴410a,410bの内周面により高い面圧で密接(圧接)することになり、軸部60a,60bと貫通穴410a,410bの内周面との封止性能がより高いものとなる。また、組み立て時において、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bを筒状部71a1,71b1にねじ込むことで軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1を径方向に押し広げながら該筒状部71a1,71b1内に進入することになるため、軸部60a,60bを筒状部71a1,71b1の内穴よりも大径に設定しても容易に筒状部71a1,71b1に圧入した状態にすることができる。
【0097】
特に、本実施形態に係る電池1は、前記軸部60a,60bの外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成されているため、筒状部71a1,71b1の外周が貫通穴410a,410bの内周面により高い面圧で密接(圧接)することになり、軸部60a,60bと貫通穴410a,410bの内周面との封止性能がより高いものとなる。
【0098】
そして、本実施形態に係る電池1は、前記出力端子5a,5bが前記軸状接続体6a,6bに連設されているため、出力端子5a,5bが軸状接続体6a,6bと一体的になり、強度的に優れたものになる。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0100】
例えば、上記実施形態において、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bの全長に亘って雄ネジ(ネジ溝)を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図6及び図7に示す如く、軸部60a,60bの先端部のみに雄ネジを設け、該軸部60a,60bの先端部を集電部材3a,3bと螺合させるようにしてもよい。
【0101】
この場合、軸部60a,60bの筒状部71a1,71b1に圧入される部分をテーパー状に形成し、集電部材3a,3bに螺合される先端部を円柱状に形成してもよい。このようにしても、軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1の内穴よりも大径に形成されることで、筒状部71a1,71b1を径方向外方に押し広げることができるため、上記実施形態と同様に筒状部71a1,71b1を貫通穴410a,410bの内周面と軸部60a,60bの外周面との確実に密接させることができる。その上、軸部60a,60bの先端部を集電部材3a,3bに螺合させることで、当該軸部60a,60bに対して軸心方向の引っ張り力が生じさせて絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の外側に押し出されそうになる部分(筒状部71a1,71b1と対応する部分)に対して貫通穴410a,410bの内周面と軸部60a,60bとの間への押し込み作用を生じさせ、貫通穴410a,410bの内周面と軸部60a,60bの外周面とに対して高い面圧で筒状部71a1,71b1を密接させることができる。
【0102】
上記実施形態において、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60b全体をテーパー状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、軸部60a,60bを円柱状に形成してもよい。このようにしても、軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1の内穴よりも大径に形成されることで、筒状部71a1,71b1を径方向外方に押し広げることができるため、上記実施形態と同様に筒状部71a1,71b1を貫通穴410a,410bの内周面と軸部60a,60bの外周面との確実に密接させることができる上に、軸部60a,60bの先端部を集電部材3a,3bに螺合させることで、当該軸部60a,60bに対して軸心方向の引っ張り力が生じさせて絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の外側に押し出されそうになる部分(筒状部71a1,71b1と対応する部分)に対して貫通穴410a,410bの内周面と軸部60a,60bとの間への押し込み作用を生じさせ、貫通穴410a,410bの内周面と軸部60a,60bの外周面とに対して高い面圧で筒状部71a1,71b1を密接させることができる。
【0103】
上記実施形態において、一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2のうち、蓋板41(隔壁)の外側に配置される一方の絶縁パッキン7a1,7b1に筒状部71a1,71b1を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、蓋板41(隔壁)の内側に配置される他方の絶縁パッキン7a2,7b2のみに筒状部71a1,71b1を設け、筒状部71a1,71b1を貫通穴410a,410bに嵌合した状態で該筒状部71a1,71b1が一方の絶縁パッキン7a1,7b1に接触するようにしてもよいし、一対の絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の両方に筒状部71a1,71b1を設け、両絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2の筒状部71a1,71b1を共通する貫通穴410a,410bに嵌合した状態で、両筒状部71a1,71b1の先端同士が接触するようにしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態において、出力端子5a,5bと軸状接続体6a,6bとを一体的に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、出力端子5a,5bを軸状接続体6a,6bとを別体で形成し、接続杆9a,9bを介して出力端子5a,5bと軸状接続体6a,6bとを電気的に接続するようにしてもよい。
【0105】
具体的に説明すると、軸状接続体6a,6bが抜止部61a,61bと軸部60a,60bとを備えるとともに、出力端子5a,5bが軸状の端子部50a,50bと該端子部50a,50bの一端に連設された抜止部51a,51bとを備え、前記接続杆9a,9bがプレート状に形成されて軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bを挿通させる貫通した第一穴90a,90b及び出力端子5a,5bの端子部50a,50bを挿通させる貫通した第二穴91a,91bが形成され、出力端子5a,5bの端子部50a,50bが接続杆9a,9bの第二穴91a,91bに該接続杆9a,9bの一方の面(絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2と対向する面)側から挿通されるとともに、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bが接続杆9a,9bの第一穴90a,90bに該接続杆9a,9bの他方の面(外側に向く面)側から挿通された上で、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bが集電部材3a,3bに電気的に接続されてもよい。
【0106】
かかる構成の電池1においても、上記実施形態と同様に、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bを筒状部71a1,71b1の内穴よりも大径に設定し、接続杆9a,9bの第一穴90a,90bに挿通された軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bが筒状部71a1,71b1に圧入された状態で該軸部60a,60bの少なくとも他端側が絶縁パッキン7a1,7a2,7b1,7b2上の集電部材3a,3bと螺合されることで、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0107】
この場合においても、軸部60a,60bの他端側を集電部材3a,3bに螺合させるために、軸状接続体6a,6bにトルク伝達部62a,62bを設けることが好ましいことは言うまでもない。また、図8に示す如く、接続杆9a,9bの有無に関係なく、抜止部61a,61bをトルク伝達部62a,62bに兼用してもよい。
【0108】
上記実施形態において、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bを絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1の内穴の穴径よりも大径に設定して筒状部71a1,71b1に圧入するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、軸状接続体6a,6bの軸部60a,60bを絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1の内穴と略同径に設定して当該筒状部71a1,71b1に挿通し、該軸部60a,60bの他端側を集電部材3a,3bに螺合させるようにしてもよい。このようにしても、軸部60a,60bに軸心方向の引っ張り作用が生じるため、一対の絶縁パッキン7a1,7b1,7a2,7b2に対する抜止部61a,61b及び集電部材3a,3bの当接部分に前記引っ張り作用に対する抗力(圧縮作用)が生じ、当該圧縮作用によって絶縁パッキン7a1,7b1の筒状部71a1,71b1が拡径した状態になる。従って、軸部60a,60bの外周面及び貫通穴410a,410bの内周面に対する筒状部71a1,71b1の圧接が確実になり、軸部60a,60bの外周面と貫通穴410a,410bの内周面との間の封止性能(電池ケース4の気密性)を高められることになる。
【符号の説明】
【0109】
1…電池、2…発電要素、3a,3b…集電部材、4…電池ケース、5a,5b…出力端子、6a,6b…軸状接続体、7a1,7a2,7b1,7b2…絶縁パッキン、8a,8b…クリップ、20…セパレータ、21…正極板、22…負極板、23a…正極リード部(リード部)、23b…負極リード部(リード部)、30a,30b…ベース部、31a,31b…リード接続部、32a,32b…ネジ穴、40…ケース本体、41…蓋板、42…内部空間、60a,60b…軸部、61a,61b…抜止部、62a,62b…トルク伝達部、70a1,70a2,70b1,70b2…パッキン本体部、71a1,71b1…筒状部、72a1,72a2,72b1,72b2…軸部挿通穴、73a1,73b1…枠部、74a1,74b1…凹部、75a2,75b2…嵌入用凹部、80a,80a,80b,80b…対向片、400…底部、401…壁部、410a,410b…貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な発電要素と、発電要素に対して電気的に接続された集電部材と、前記発電要素及び集電部材を収容する電池ケースと、該電池ケースの外側に配置された出力端子と、電池ケース内外にある集電部材と出力端子とを電気的に接続する軸状接続体と、電池ケースの内部空間を画定する隔壁を挟んで前記電池ケース内外に配置された一対の絶縁パッキンとを備え、一対の絶縁パッキンの少なくとも何れか一方は、前記隔壁に穿設された貫通穴に対して同心で嵌入可能な筒状部を備え、前記軸状接続体が前記筒状部に挿通された状態で集電部材と出力端子とを電気的に接続した電池において、前記軸状接続体は、筒状部に挿通される軸部と、該軸部の一端に連設され、該軸部よりも大径に設定された抜止部とを備え、前記軸部の他端側が絶縁パッキン上の集電部材と螺合されていることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記軸部は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定され、筒状部に圧入されている請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記軸部は、筒状部と螺合している請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記軸部は、外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記出力端子は、前記軸状接続体に連設されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の電池。
【請求項6】
一対の絶縁パッキンの少なくとも何れか一方に形成された筒状部を、電池ケースを形成するための蓋板に穿設された貫通穴に嵌合させ、蓋板を挟み込むように前記一対の絶縁パッキンを配置するパッキン配置工程と、出力端子に電気的に接続される軸状接続体を前記筒状部と蓋板の一方の面上に配置された絶縁パッキンに重ね合わされた集電部材とに挿通し、軸状接続体を前記集電部材に電気的に接続する集電部材接続工程と、充放電可能な発電要素及び該発電要素に電気的に接続された集電部材を上部が開放したケース本体内に収容し、該ケース本体の上部開口を前記蓋板で封止して発電要素及び集電部材を収容した電池ケースを形成するケース成型工程とを備えた電池の製造方法において、前記軸状接続体は、筒状部に挿通される軸部と、該軸部の一端に連設され、該軸部よりも大径に設定された抜止部とを備え、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に挿通して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させることを特徴とする電池の製造方法。
【請求項7】
前記軸部は、筒状部の内穴の穴径よりも大径に設定され、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させる請求項1に記載の電池の製造方法。
【請求項8】
前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部を筒状部に螺合させつつ圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させる請求項6又は7に記載の電池の製造方法。
【請求項9】
前記軸部は、外径が一端側から他端側に向けて縮小してテーパー状に形成され、前記集電部材接続工程は、軸状接続体の軸部の他端側から筒状部に螺合させつつ圧入して該軸部の他端側を前記集電部材と螺合させる請求項6乃至8の何れか1項に記載の電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−160311(P2012−160311A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18496(P2011−18496)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(508110205)株式会社リチウムエナジージャパン (32)
【Fターム(参考)】